「JASRAC(日本音楽著作権協会)」とは、その法理論、及び実態 |
(最新見直し2008.3.12日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
著作権法が如何に矛盾に満ちており、継ぎ接ぎだらけで次第に規制強化に向って行っているのか。その様は、既得権益でガリバー化するゴジラに似ている。これを象徴するのが音楽著作権であり、JASRACの市街地侵食ぶりであろう。彼らの行くところ音楽の灯が消える。しかし彼らは何の責任も問おうとしない。この法律矛盾、法匪性こそ厳しく弾劾されねばなるまい。心ある専門職は内部からこれを問題にするのが当然だろうに。 2004.9.11日 れんだいこ拝 |
【JASRACとは】 | ||||
日本音楽著作権協会(以下、JASRACと云う)の定款からJASRACとは何者か、を見ておく。フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」によれば次の通り。
JASRACの定款は、「定款」で閲覧できる。これによれば、65条で構成されている。 第1条で、名称をを次のように自己規定している。
第4条で目的について次のように自己規定している。
つまり、「著作権者の権利を護りつつ音楽文化の普及発展を目指す」立場にあることを明記している。 第5条で事業内容について次のように自己規定している。
その活動は国内のみならず、外国の音楽著作権とも管理契約を結んでおり、かくて内外音楽著作物の演奏権・複製権などに関する著作権の管理も行っている。これにより、JASRACは、著作権利者の著作権を管理委託することで、音符、演奏、放送、録音、ネット配信などさまざまな形で利用される音楽に関する著作権利用料金を請求する権利を受託されることになっている。その配分権も獲得しているようである。 |
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何と、著作権に関するJASRAC定款はほぼ以上に尽きる簡素なものであり、以下65条までの規定は内向きの会員及び結社に関するものでしかない。ということは、肝心要のJASRAC定款に照らしてみても、音楽著作権の権利内容については漠然としたまま、ということになる。この状態で、「泣く子も黙るJASRAC著作権の猛威」が振るわれているのは許し難い。 2004.8.31日 れんだいこ拝 |
【JASRACの音楽著作権法理論考】 | |||
JASRACの正式見解かどうかは分からないが、JASRACの音楽著作権法理論は次のように構成されている。 |
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他にも、「著作隣接権」がある。「著作隣接権」とは、次のようなものである。
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これらから、「音楽著作物使用許諾申請の方法」が次のように定められている。
「許諾申請をしなくても良い場合」は次のように定められている。
「罰則」が次のように定められている。
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【音楽著作権法の制定過程】 | |||
JASRACのこのような権利は、1939年に制定された「著作権仲介業務法」に始まる。この経緯には次のような事情があるようである。以下、「ウィキぺディアの『プラーゲ旋風と仲介業務法』」の関連箇所を転載する。
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制定された著作権仲介業務法によると、「権利者は権利委託の際に全作品の著作権を全て信託せざるを得ないことになり、即ち作品や権利を選択することはできなくなっている。作品や権利を選択する自由や、それに対する対価の決定権はJASRACが持つということになっている」(「音楽著作権問題その2」)。為に、以降、JASRACが、音楽の「作詞」・「作曲」・「編曲」に関する管理業務を独占することになる。つまり、JASRACによる音楽著作権の排他的独占的集中管理体制が為されていることになる。 JASRACに排他的独占的著作権管理が認められるようになった経緯については、上述の「プラーゲ機関」とのいきさつがあったとはいえ、戦後の法秩序からすれば独占禁止法に抵触する恐れがある。しかし、この問題は不問に付されつつ今日まで経緯している。こうしたことも含め、JASRACに対しては被請求者のみならず著作権者からの不満も発生しているようである。 れんだいこが注意を喚起するのは、JASRACが法的に認められた結社であることは良いとしても、その活動はあくまで「もって音楽文化の普及発展に資することを目的」とせねばならないということについてである。民法一般にも公序良俗規定があるように、著作権法にも「文化の普及発展に資する規定」がある。JASRAC活動は、この大綱から外されることは許されないという公理に忠実に営まれなければならない。JASRAC活動の実態は果たしてこの公理に即しているだろうか。 |
【JASRACの独占業務の弊害】 | |
JASRACの独占業務の弊害について、「ウィキぺディアの『独占業務の弊害』」には次のように記されている。これも参考になるための関連箇所を転載する。
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【仲介業務法の終焉とJASRACの今後】 | |
JASRACの今後について、「ウィキぺディアの『仲介業務法の終焉とJASRACの今後』」には次のように記されている。これも参考になるための関連箇所を転載する。
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【JASRACの自己規定】 | ||||||
JASRAC(日本音楽著作権協会)」は、2004年現在の同社よりの郵送パンフレット文に次のように記している。
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ならば問う。
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ここで、「JASRACのカラオケ店に対する課金制の正義」が吐露されているが、論理の飛躍ではなかろうか。そもそも著作権法及び音楽著作権法の趣旨は、著作権者の権利に対する業者規制から発していた。それがいつのまにか利用者規制にまで横滑りさせられていることを怪訝すべきではなかろうか。 カラオケ店は歌唱機会の提供者ないしは音楽文化の営利的普及者とみなされるべきであり、音楽著作権法上適用されている業者ではない。にも拘らず、何ゆえにカラオケ店経営者に対する課金制が当然の如く認可されたのか。ここに不正があることを嗅ぎ取らなければならない。 「JASRACのカラオケ店に対する課金制の正義」は、文化庁と族議員とJASRACの三者連携による天下り利権として導入されたものであり、「JASRACのカラオケ店に対する課金制」そのものが不当とみなされねばならない。れんだいこはかく主張する。つまり、「JASRACのカラオケ店に対する課金制」の是非は、原点批判から始めねばならないということになろう。 著作権法を利用者規制にまで及ぼす愚昧は、次の例示でもあきらかになろう。ある人が学習教材を作ったとする。それを教材会社が引き受け販売したとする。この教材が学習塾で使われたとする。この時、学習教材作成権利者組合が学習塾に対し著作権料を支払えと催促しているのが、音楽界に於けるジャスラック的在り方である。学習教材作成者は果たしてそのような請求をするだろうか。 次のように例示する事もできる。神社仏閣が参拝者に対し、拝殿前で課金制を敷くだろうか。参拝者は任意に賽銭箱に賽銭しているところ、拝礼前に強制的に課金されるべきであろうか。そのようにしようというのが、音楽界に於けるジャスラック的在り方である。 しかし、考えても見よう。学習教材作成権利者然り神社仏閣然り、多くの者が利用したり参拝することこそを本望としているのではなかろうか。利用されることによってそこに様々な福利があり、それで良しとするべきではなかろうか。従来そのようにしてきており、それで何ら問題ないところ、ジャスラック的正義を振り回される覚えがあるべきだろうか。かく思案せねばならない。 2008.1.28日 れんだいこ拝 |
【JASRACによる「JASRAC契約」の強制について】 | ||||||
JASRAC(日本音楽著作権協会)」は、同パンフレット文の「カラオケ利用店の経営者の皆様へ」で、「お店でカラオケを利用される場合は、音楽著作権の手続きが必要です」の見出しで次のように記している。
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ならば問う。
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【【JASRCの事務所網】】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
JASRACは、設立が1939(昭和14).11.18日で、2007.4.1日現在、本部を/ 東京都渋谷区上原3-6-12に置き、03-3481-2121(代表)で、支部を 全国主要都市に22支部展開している。502名の職員、1万4071名の会員、信託者を数えている。支部は以下の通りである。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【JASRAC役員一覧】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「JASRAC役員一覧」は次の通リ。
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2007.10.10日現在の「役員一覧」は次の通り。
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JASRACは、これだけの役員を抱えており、その他全国各地に社員と事務所を抱えている。これら役員は、現行のJASRACの在り方が正当であると思うかどうか返答せよ。その報酬及び給与及びその他経費の内訳を公開せよ。これを曖昧にしたまま独占事業を行うのは不正ではないのか。「著作権者の権利を護りつつ音楽文化の普及発展を目指す」理念の実態が精査されねばならない。 傍証として、「小野清子氏がJASRAC理事長してた時の年収は、日本道路公団総裁(2,614万円)や日本中央競馬会理事長(3,000万円)を凌ぐ3,565万円であった」なる情報が漏洩している。こうなると、JASRACの利権構造が精査されねばならないであろう。 2007.2.4日 れんだいこ拝 |
【JASRACの売上高】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
JASRACは、信託関係収入だけで毎年1500億円前後の売り上げを誇っている。「ジャスラック」の「情報公開」に拠れば次のように推移している。
これによれば、カラオケ関係の徴収金額が漸減していることになる。 ちなみに、日本の国技である日本相撲協会の収支や他の団体と比較してみればより鮮明になる。
ジャスラックが一桁、二桁突出している事が判明しよう。 |
【著作権管理事業法施行による民間参入で、現在5社】 |
2001.10月、著作権管理事業法が施行され、著作権管理事業が許可制から登録制に変わった。これにより民間参入が相次いだ。現在、著作権管理事業者は5社となっている。 |
(私論.私見)