「JASRAC(日本音楽著作権協会)」とは、その法理論、及び実態

 (最新見直し2008.3.12日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 著作権法が如何に矛盾に満ちており、継ぎ接ぎだらけで次第に規制強化に向って行っているのか。その様は、既得権益でガリバー化するゴジラに似ている。これを象徴するのが音楽著作権であり、JASRACの市街地侵食ぶりであろう。彼らの行くところ音楽の灯が消える。しかし彼らは何の責任も問おうとしない。この法律矛盾、法匪性こそ厳しく弾劾されねばなるまい。心ある専門職は内部からこれを問題にするのが当然だろうに。

 2004.9.11日 れんだいこ拝


【JASRACとは】
 日本音楽著作権協会(以下、JASRACと云う)の定款からJASRACとは何者か、を見ておく。フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」によれば次の通り。
 「社団法人 日本音楽著作権協会(Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers;略称JASRAC)は、日本および海外の音楽について、作詞者作曲者音楽出版社が持つ音楽著作権を管理する日本の団体である」。

 JASRACの定款は、「定款」で閲覧できる。これによれば、65条で構成されている。

 第1条で、名称をを次のように自己規定している。
 「本会は、社団法人日本音楽著作権協会と称する。英文では、Japanese Society for Rights of Authors,Composers and Publishers(略称JASRAC)と表示する」。
 つまり、「日本の作曲者や作詞者ら著作権者の権利を守る団体」ということになる。

 第4条で目的について次のように自己規定している。
 「本会は、音楽の著作物の著作権者の権利を擁護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、もって音楽文化の普及発展に資することを目的とする」。

 つまり、「著作権者の権利を護りつつ音楽文化の普及発展を目指す」立場にあることを明記している。

 第5条で事業内容について次のように自己規定している。
 概要「音楽の著作権に関する管理事業」を始めとするその他関連事業、調査研究を行う」。

 
その活動は国内のみならず、外国の音楽著作権とも管理契約を結んでおり、かくて内外音楽著作物の演奏権・複製権などに関する著作権の管理も行っている。これにより、JASRACは、著作権利者の著作権を管理委託することで、音符、演奏、放送、録音、ネット配信などさまざまな形で利用される音楽に関する著作権利用料金を請求する権利を受託されることになっている。その配分権も獲得しているようである。
(私論.私見)
 何と、著作権に関するJASRAC定款はほぼ以上に尽きる簡素なものであり、以下65条までの規定は内向きの会員及び結社に関するものでしかない。ということは、肝心要のJASRAC定款に照らしてみても、音楽著作権の権利内容については漠然としたまま、ということになる。この状態で、「泣く子も黙るJASRAC著作権の猛威」が振るわれているのは許し難い。

 2004.8.31日 れんだいこ拝

JASRACの音楽著作権法理論考

 JASRACの正式見解かどうかは分からないが、JASRACの音楽著作権法理論は次のように構成されている。

 「音楽著作権」が著作権法により保護されていることは分かる。著作権法第1条は、「この法律は、著作物ならびに実演、レコード、放送および有線放送に関し著作者の権利、および、これに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする」と規定しているからして、このことは疑いない。

 問題は、著作物の創作者たる著作者の、この場合は「音楽著作権」の著作者権利が如何にどのようにして保護されるべきか、ということにある。著作権法上の「著作物」とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう」と規定されているので、音楽著作権が保護されるていることは自明である。

 一般に、著作権法により保護される著作権者の権利には、著作者人格権と著作権の二つの権利が認められている。その概要は著作権法での主要な論争点に記したので参照すべし。

 他にも、「著作隣接権」がある。「著作隣接権」とは、次のようなものである。

◎著作権制度を前提する。

◎著作物を一般公衆に伝達する第一次媒体としての実演と、第二次媒体としての録音および放送に知的価値を認める。

◎著作物の解釈者としての実演家とその伝達者としてのレコード(CD)製作者および放送事業者との関係を合理的に調整するために、これら三者の権利関係を設定する。

 これらから、「音楽著作物使用許諾申請の方法」が次のように定められている。

◎舞台で演奏する場合(著作権の上演権、演奏権):「演奏利用申込書」および「演奏曲目報告書」を主催者が記入し、演奏される場所の近くの日本音楽著作権協会の支部に提出し、規定の料金を支払って許諾が成立する。

◎舞台で既成CD、カセットテープ、レコードを再生する場合(著作権の上演権、演奏権):演奏と同じ申請をして、許諾をとる。

◎舞台でアカペラで歌を歌った場合(著作権の上演権、演奏権):音楽そのものを再生しないでも、アカペラで歌ったり、歌詞を台詞で喋る場合も許諾が必要である。演奏と同じ申請をする。

◎既成のCDやカセットテープなどから、編集しないで他のメディア(MDやCDなど)に記録し、それを舞台で再生する場合(著作権の複製権、上演権、演奏権):日本音楽著作権協会に「録音利用申込書」と、「録音利用明細書」を提出する。追加製造する場合は、「申請書別表」を提出する。規定料金を支払うと「許諾証紙」が交付されるので、それを再生メディアに貼り付ける。そして、さらに演奏と同じ申請が必要である。

◎既成のCD、カセットテープなどを編集をして、他のメディア(MDやCDなど)に記録し、それを舞台で再生する場合(著作権の複製権、上演権、演奏権、翻案権):編集は元の楽曲の変形に当たる(翻案権)ので、編集する楽曲の管理をしている音楽出版社に「変形許諾」の申請が必要である。出版社の許諾をとった後、「コピーして編集しないで舞台再生する」のと同じ申請をする。「演奏」と同じ申請も必要である。

◎舞台公演をVTRに記録し販売する場合(著作権の複製権、頒布権、二次使用権):舞台の公演記録をVTRで販売する場合は、その舞台で使用した楽曲の全てに関して、その楽曲を管理している音楽出版社に二次使用権の許諾を受ける必要である。その上で日本音楽著作権協会に複製権、頒布権の手続きをする。


 「許諾申請をしなくても良い場合」は次のように定められている。
●演出効果を高めるためにオリジナル楽曲を作曲・製作して使用する場合は、許諾申請の必要はない。ただし、作曲家、作詞家がJASRACの会員である場合は上演権の許諾申請が必要である。

●国内で制作された著作権フリー楽曲の場合、基本的には一切の著作権申請の必要はない 。ただし、使用範囲など契約条項の確認が必要である。海外で制作された著作権フリー楽曲の場合も、日本国内で使用するときは基本的に一切の著作権申請は必要ないが、海外で使用する場合に制限がある。これも契約条項の確認が必要で、特に映像に付ける場合には注意が必要である。

●家庭内での「私的使用のための複製」など、個人的に使用するときは申請の必要はない。

●以下の3つの条件を満たしていれば、公に上演、演奏、上映できる。
    営利を目的としない
    聴衆から料金をとらない
    演奏者に出演料を支払わない
(注)旧著作権法においては、演出意図がない場合(劇場における開演前の客入れ、終演後のBGMなど)で、市販のCDを使用すれば申請は不要であったが、2001年1月の改正で利用申請が必要になった。

 「罰則」が次のように定められている。
 著作権、人格権、隣接権、出版権の侵害は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金。なお、侵害を犯した者が法人の場合は1億円以下の罰金。

【音楽著作権法の制定過程】
 JASRACのこのような権利は、1939年に制定された「著作権仲介業務法」に始まる。この経緯には次のような事情があるようである。以下、「ウィキぺディアの『プラーゲ旋風と仲介業務法』」の関連箇所を転載する。

 1931年、旧制一高のドイツ人教師であったウィルヘルム・プラーゲが、主にヨーロッパの著作権管理団体より日本での代理権を取得したと主張して東京に著作権管理団体「プラーゲ機関」を設立した。そして放送局やオーケストラなど楽曲を使用するすべての事業者に楽曲使用料の請求を始めた。

 日本は1899年にベルヌ条約に加盟し、著作権法も施行されていたが楽曲を演奏(いわゆる生演奏の他に録音媒体の再生も含む)するたびに使用料を支払うという概念は皆無であった。プラーゲの要求する使用料が当時の常識では法外であったことや、その態度が法的手段を含む強硬なものであったことから、事実上海外の楽曲が使用しずらい事態に陥った。日本放送協会は契約交渉が不調に終わったことから1年以上にわたって海外の楽曲を放送できなくなった。

 一方でプラーゲは、日本の音楽作家に対しても著作権管理の代行を働きかけ始めた。プラーゲの目的は金銭ではなく著作権の適正運用だったとも言われているが、楽曲利用者との溝は埋めることができず、日本人作家の代理権取得は更なる反発を招いた。

 この事態を打開するため、日本政府は、外国の管理団体の活動を制限する一方で、政府の指導監督の下で国内の管理団体の育成を図ることにした。こうして、1939年、「著作権に関する仲介業務に関する法律」、いわゆる仲介業務法が施行された。著作権管理の仲介業務は文化庁の許可を得た者に限るというもので、同年 JASRAC設立、翌年1940年に業務が開始された。これに伴いプラーゲは著作権管理業務から排除され、同法違反で罰金刑を受けて1941年、離日した。

 これら一連の事件は「プラーゲ旋風」と呼ばれ、日本の著作権管理のきっかけとなった。こうした経緯から、文化庁は JASRAC をはじめ4団体に仲介業務の許可を与えて他の参入を認めなかったので、音楽著作権の仲介は JASRAC の独占業務となった。

 2001.10月、著作権等管理事業法が施行され、仲介業務法が廃止されるまで60年間、音楽著作権の基本法となった。

(私論.私見)
 JASRAC設立の経緯は分かった。問題は、JASRACがこの時文化庁に提出した書類文面である。これが公開されていないが、現在のようなNHKの受信料取立てよりも強引且つ恫喝的な請求の仕方はできない内容になっているのではなかろうかと思われる。これを確認したいので、文化庁よ、当時の設立許可基準を明らかにせよ。これをしないとならば、JASRACの利権的保護による行政的癒着を証していることになろう。

(私論.私見) JASRACの排他的独占的著作権管理考
 制定された著作権仲介業務法によると、「権利者は権利委託の際に全作品の著作権を全て信託せざるを得ないことになり、即ち作品や権利を選択することはできなくなっている。作品や権利を選択する自由や、それに対する対価の決定権はJASRACが持つということになっている」(「音楽著作権問題その2)。為に、以降、JASRACが、音楽の「作詞」・「作曲」・「編曲」に関する管理業務を独占することになる。つまり、JASRACによる音楽著作権の排他的独占的集中管理体制が為されていることになる。

 JASRACに排他的独占的著作権管理が認められるようになった経緯については、上述の「プラーゲ機関」とのいきさつがあったとはいえ、戦後の法秩序からすれば独占禁止法に抵触する恐れがある。しかし、この問題は不問に付されつつ今日まで経緯している。こうしたことも含め、JASRACに対しては被請求者のみならず著作権者からの不満も発生しているようである。

 れんだいこが注意を喚起するのは、JASRACが法的に認められた結社であることは良いとしても、その活動はあくまで「もって音楽文化の普及発展に資することを目的」とせねばならないということについてである。民法一般にも公序良俗規定があるように、著作権法にも「文化の普及発展に資する規定」がある。JASRAC活動は、この大綱から外されることは許されないという公理に忠実に営まれなければならない。JASRAC活動の実態は果たしてこの公理に即しているだろうか。

JASRACの独占業務の弊害
 JASRACの独占業務の弊害について、「ウィキぺディアの『独占業務の弊害』」には次のように記されている。これも参考になるための関連箇所を転載する。
 1980年代後半よりパソコン通信が普及し始めた。個対多の情報発信が容易になるにつれて JASRAC の問題点が指摘され始めた。

 著作権法の解釈では文字情報の一部を引用し、出典を明らかにした上で質量ともに十分なコメントを付記した行為が認められている。文芸分野において仲介業務を行っている日本文芸著作権保護同盟はこれを認めているが、JASRAC の見解では一節の引用も許容できないとされた。パソコン通信事業者との話し合いでも主張は平行線を辿った。事業者のひとつである NIFTY-Serve (現在の@nifty) は1997年ごろに独自の解釈をまとめ、会員に文芸作品と同等の引用を許容すると発表した。

 次にDTM の普及で演奏データの配布が可能になると、JASRAC の規定では当時コンピュータ上の送信権がなかったことから使用料が提示されず、手続きの上ではネットワーク上で音楽の送信はできないことになった。実情に対処するため JASRAC は実験という名目でパソコン通信事業者に対して演奏データの蓄積と送信を黙認した。しかしこれも全体の管理者が存在しないインターネットでは全く対処することができず、個人が非商用目的を理由に無断で演奏データや音声ファイルをウェブサイトに掲載する脱法行為が日常化した。

 これらに対して利用者のみならず権利者側からも非難の声が上がり、長い議論の末に200年8月にインタラクティブ配信の利用規定が認可を受けた。2001年には非商用のインタラクティブ配信、主として個人のウェブサイトに対する楽曲の使用許諾を開始した。またインタラクティブ配信におけるネット上の使用許諾窓口としてJ-TAKTがある。

 また、ネット上のMP3や歌詞などの違法ファイルを監視するシステムとしてJ-MUSEがあり、違法ファイルと認められたホームページの管理者には個別に警告メールを送付している (参照リンク (http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0217/special.htm)) 。

(私論.私見) 

仲介業務法の終焉とJASRACの今後
 JASRACの今後について、ウィキぺディアの『仲介業務法の終焉とJASRACの今後』には次のように記されている。これも参考になるための関連箇所を転載する。

 著作権の一元管理は効率の良いシステムとして運用されてきたが、音楽ソフトのデジタル化、ネットワーク化の進展にともなって JASRAC の非効率性が指摘されるようになってきた。カラオケでも使用料や権利者への分配方法が業界や権利者代表との話し合いでも決定しないままビジネスが先行するなどの弊害も生んだ。

 権利者側からも、従来からあった楽譜出版、録音、演奏の権利とゲーム、着信メロディー、ネットワーク送信などの権利は別に管理したいのに、JASRAC の著作権信託ではそれができないことを指摘して、これを改めるよう求める動きも活発化した。[1] (http://www.kab.com/liberte/rondan.html)

 こうした流れの中、2000年に著作権等管理事業法が成立、2001年に施行された。仲介業務法と最も異なる点は管理団体の設立が許可制から登録制に緩和されたことであり、これにより60年にわたる JASRAC の独占に事実上終止符が打たれた。しかしこれがすぐに JASRAC に代わり得る管理団体の誕生を意味するものではなく、依然として JASRAC の独占は続いているといった声も根強くある。

 また、1998年からは著作権思想の普及を目的として文化事業を行っている。また、2000年辺りからは集中的な著作権管理システムとして「JASRAC NETWORCHESTRA SYSTEM(ネットワーケストラ)」を運用している。

(私論.私見) 

【JASRACの自己規定】
 JASRAC(日本音楽著作権協会)」は、2004年現在の同社よりの郵送パンフレット文に次のように記している。
 「JASRACは、著作権者から音楽の著作権を預かり管理をしている公益社団法人です。カラオケで歌われる音楽のほとんど全てを管理しているので、お店の経営者の方は、JASPACに手続きをいただくことで、音楽を適法に利用することができます」。
(私論.私見) 「「JASRACの自己規定」について

 ならば問う。

 JASRACが公益社団法人であるなら、JASPACは当然公益社団法人としての制限を受ける筈であり、その活動実態、経理公開を世間向けにせねばならないのではなかろうか。JASPACはこれを為しているのか。
 「カラオケで歌われる音楽のほとんど全てを管理している」と明記しているが、この名目で高額の著作権使用料を請求している以上、ならば、カラオケ本ないしその映像につき、利用客に対し著作権付きのものかそうでないものかの何らかの表示をする義務があるのではないのか。なぜそれをしないのか。
 「お店の経営者の方は、JASPACに手続きをいただくことで、音楽を適法に利用することができます」とあるが、「できます」とは、行政権的な許可の問題であるのか、自主的な加盟問題であるのか明らかにせよ。
 ここで、「JASRACのカラオケ店に対する課金制の正義」が吐露されているが、論理の飛躍ではなかろうか。そもそも著作権法及び音楽著作権法の趣旨は、著作権者の権利に対する業者規制から発していた。それがいつのまにか利用者規制にまで横滑りさせられていることを怪訝すべきではなかろうか。

 カラオケ店は歌唱機会の提供者ないしは音楽文化の営利的普及者とみなされるべきであり、音楽著作権法上適用されている業者ではない。にも拘らず、何ゆえにカラオケ店経営者に対する課金制が当然の如く認可されたのか。ここに不正があることを嗅ぎ取らなければならない。

 「JASRACのカラオケ店に対する課金制の正義」は、文化庁と族議員とJASRACの三者連携による天下り利権として導入されたものであり、「JASRACのカラオケ店に対する課金制」そのものが不当とみなされねばならない。れんだいこはかく主張する。つまり、「JASRACのカラオケ店に対する課金制」の是非は、原点批判から始めねばならないということになろう。

 著作権法を利用者規制にまで及ぼす愚昧は、次の例示でもあきらかになろう。ある人が学習教材を作ったとする。それを教材会社が引き受け販売したとする。この教材が学習塾で使われたとする。この時、学習教材作成権利者組合が学習塾に対し著作権料を支払えと催促しているのが、音楽界に於けるジャスラック的在り方である。学習教材作成者は果たしてそのような請求をするだろうか。

 次のように例示する事もできる。神社仏閣が参拝者に対し、拝殿前で課金制を敷くだろうか。参拝者は任意に賽銭箱に賽銭しているところ、拝礼前に強制的に課金されるべきであろうか。そのようにしようというのが、音楽界に於けるジャスラック的在り方である。

 しかし、考えても見よう。学習教材作成権利者然り神社仏閣然り、多くの者が利用したり参拝することこそを本望としているのではなかろうか。利用されることによってそこに様々な福利があり、それで良しとするべきではなかろうか。従来そのようにしてきており、それで何ら問題ないところ、ジャスラック的正義を振り回される覚えがあるべきだろうか。かく思案せねばならない。

 2008.1.28日 れんだいこ拝

【JASRACによる「JASRAC契約」の強制について】
 JASRAC(日本音楽著作権協会)」は、同パンフレット文の「カラオケ利用店の経営者の皆様へ」で、「お店でカラオケを利用される場合は、音楽著作権の手続きが必要です」の見出しで次のように記している。
 「音楽は、作詞家や作曲家など著作権者の財産として著作権法で保護されています。著作権者に無断で音楽を利用することはできません。お店でカラオケをご利用の場合は、日本音楽著作権協会JASPACへの著作権手続きが必要となります」。
(私論.私見) 「「JASRACのカラオケ店に対するJASPAC契約の強制」について

 ならば問う。
 「著作権者に無断で音楽を利用することはできません」なる一般的な表現は問題なのではないのか。人が歌を歌うに付き、著作権者に無断で謳うことはできないなどという法理がいつから認められたのか。この書き出しは大いに問題があろう。「利用」と言い換えているところが曲者であるが、「利用してお金を取ることはできません」という意味ならば、お金を取らず無料サービスしているスナックカラオケ店の場合はどうなのか。
 「お店でカラオケをご利用の場合は、日本音楽著作権協会JASRACへの著作権手続きが必要となります」も然りで、単に「お店でカラオケをご利用の場合は」との一般的な表現は問題なのではないのか。「JASRACの管理する著作権付き音楽を有料で利用する店の場合には、JASRACへの著作権手続きが必要となります」となるべきところではないのか。

 無料サービスしているスナックカラオケ店の場合にもJASRAC契約が義務化される法理を明らかにせよ。第一、カラオケ機械メーカーが既にJASRACへ高額の支払いをしているではないか。そのメーカーからリースしている個別店に対する賦課は二重取りではないのか。店は、そのリース料においてカラオケメーカーに著作権料も含めて支払いをしているとみなされるべきではないのか。
 JASRACの文面からすれば、実際にカラオケを利用し唱歌している顧客その人が受益しているのであるから、受益者負担の原則で当の歌っているその人に対してこそ著作権料を請求するべきではないのか。当のその人がなぜ免責されるのか、その法理を明らかにせよ。

 実務上難しいとすれば、仮に法理論的には有効であっても、実務的に解決されるまで実行し難いとすべきではないのか。

【【JASRCの事務所網】】
 JASRACは、設立が1939(昭和14).11.18日で、2007.4.1日現在、本部を/ 東京都渋谷区上原3-6-12に置き、03-3481-2121(代表)で、支部を 全国主要都市に22支部展開している。502名の職員、1万4071名の会員、信託者を数えている。支部は以下の通りである。
   ■日本音楽著作権協会 http://www.jasrac.or.jp/ 
本  部
03-3481-2121
fax.03-3481-2150
北海道支部
011-221-5088
fax.011-221-1311
盛岡支部
019-652-3201
fax.019-652-4010
仙台支部
022-264-2266
fax.022-265-2706
長野支部
026-225-7111
fax.026-223-4767
大宮支部
048-643-5461
fax.048-643-3567
上野支部
03-3832-1033
fax.03-3832-1040
東京支部
03-3562-4455
fax.03-3562-4457
西東京支部
03-3232-8301
fax.03-3232-7798
東京イベントコンサート支部
03-5286-1671
fax.03-3286-1670
立川支部
0425-29-1500
fax.0425-29-1515
横浜支部
045-662-6551
fax.045-662-6548
静岡支部
054-254-2621
fax.054-254-0285
中部支部
052-583-7590
fax.052-583-7594
北陸支部
076-221-3602
fax.076-221-6109
京都支部
075-251-0134
fax.075-251-0414
大阪支部
06-6244-0351
fax.06-6244-1970
神戸支部
078-322-0561
fax.078-322-0975
中国支部
082-249-6362
fax.082-246-4396
四国支部
0878-21-9191
fax.0878-22-5083
九州支部
092-441-2285
fax.092-441-4218
鹿児島支部
099-224-6211
fax.099-224-6106
那覇支部
098-863-1228
fax.098-866-5074

【JASRAC役員一覧】
 JASRAC役員一覧」は次の通リ。
役職  氏名
会長  船村徹
理事長  吉田 茂
常務理事    加藤 衛、斉藤満雄
常任理事  野木武壽、角山由美、菅原瑞夫、 ・
委嘱理事  松下直子、紋谷暢男、矢内 廣
理事
作詞者  荒木とよひさ、岡田冨美子、たかたかし、山田孝雄、湯川れい子
作曲者  川口 真、三枝成彰、鈴木淳、都倉俊一、平尾昌晃、三木たかし
音楽出版者  朝妻一郎[(株)フジパシフィック音楽出版]、大竹健[(株)ソニー・ミュージックパブリッシング]、猿田清[(株)日音]、竹内 一[渡辺音楽出版(株)]、堀一貴[(株)ホリプロ]、松井高俊[(株)ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング]
常勤監事  加藤正彦
監事  伊藤幹翁、大森昭男[(株)オン・アソシエイツ音楽出版]
評議員会議長   湯山昭
評議員会副議長   宮中雲子
評議員
作詞者  茜まさお、荒川利夫、荒木とよひさ、有川正沙子、 永六輔、 丘灯至夫、岡田冨美子、小黒恵子、香山美子、さいとう大三、里村龍一、たかたかし、?畠じゅん子、たきのえいじ、たなかゆきを、中山千夏、仁井谷俊也、 野坂昭如、藤田敏雄、巻上公一、丸山圭子、三浦康照、水木れいじ、宮中雲子、もず唱平、山北由希夫、山田孝雄、湯川れい子
作曲者  有馬礼子、伊藤雪彦、江口浩司、大沢浄二、岡千秋、 叶弦大、 川口真、 国吉良一、 桑原研郎、 弦哲也、越部信義、小林亜星、小六禮次郎、三枝成彰、 櫻田誠一、周防義和、すぎやまこういち、 鈴木淳、都倉俊一、 冨田勲、 羽田健太郎、 平尾昌晃 、穂口雄右、 三木たかし、 望月吾郎、湯山昭、 四方章人、 若草恵、 渡辺宙明
音楽出版者  朝妻一郎 [(株)フジパシフィック音楽出版]、 大竹 健 [(株)ソニー・ミュージックパブリッシング]、 猿田 清 [(株)日音]、 重松英俊 [(株)セブンシーズミュージック]、 是澤宣治 [(株)東海パック]、 竹内 一 [渡辺音楽出版(株)]、 田中紘和 [(株)セントラルミュージック]、 谷口 元 [エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ(株)]、 樋口紀男 [(株)バーニングパブリッシャーズ]、 秀間修一 [(株)シンコーミュージック・エンタテイメント]、 堀 一貴 [(株)ホリプロ] 、松井高俊 [(株)ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング] 、宗像和男 [(株)BMG音楽出版]、 吉岡正敏 [日本テレビ音楽(株)] 
 2007.10.10日現在の「役員一覧」は次の通り。
役職  氏名
会長  船村徹
理事長  加藤衛(←吉田茂)
常務理事    野木武壽、角山由美、菅原瑞夫(←加藤衛、斉藤満雄)
常任理事  川上拓美、小原正幸、近藤正美、浅石道夫(←野木武壽、角山由美、菅原瑞夫)
委嘱理事  松下直子、紋谷暢男、矢内 廣
理事
作詞者  荒木とよひさ、いではく、岡田冨美子、たかたかし、もず唱平、山田孝雄
作曲者  川口真、 小六禮次郎、三枝成彰、鈴木淳、谷口元、恒川 光昭、都倉俊一、 平尾昌晃、三木たかし
音楽出版者  朝妻一郎[(株)フジパシフィック音楽出版]、大竹健[(株)ソニー・ミュージックパブリッシング]、猿田清[(株)日音]、竹内 一[渡辺音楽出版(株)]、堀一貴[(株)ホリプロ]、松井高俊[(株)ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング]
常勤監事  梅津裕(←加藤正彦)
監事  さいとう大三、四方章人(←伊藤幹翁、大森昭男[(株)オン・アソシエイツ音楽出版])
評議員会議長  湯川 れい子(←湯山昭)
評議員会副議長   本田 規[(株)ミュージック・コピーライト・センター](←宮中雲子)
評議員
作詞者  茜まさお、荒木とよひさ、有川正沙子、石原信一、いではく、永六輔、丘灯至夫、岡田冨美子、岡本圭司、片桐和子、岸田采子、喜多條忠、久仁京介、さとうみかこ、里村龍一、たかたかし、畠じゅん子、たきのえいじ、たなかゆきを、中山千夏、仁井谷俊也、日暮真三、藤田敏雄、三浦康照、水木れいじ、宮中雲子、もず唱平、山北由希夫、山田孝雄、湯川れい子
作曲者   有馬礼子、安西史孝、伊藤雪彦、江口浩司、大沢浄二、岡千秋、叶弦大、川口真、弦哲也、小林亜星、小六禮次郎三枝成彰、櫻井順、櫻田誠一、佐藤宣彦、すぎやまこういち、千住明、都倉俊一、冨田勲、中村勝彦、聖川湧、平尾昌晃、穂口雄右、巻上公一、三木たかし、望月吾郎、湯山昭、横山太郎、若草恵、渡辺俊幸
音楽出版者  
朝妻 一郎 [(株)フジパシフィック音楽出版]
新井 健司 [(株)セブンシーズミュージック]
太田 修平 [(株)テレビ東京ミュージック]
大竹 健 [(株)ソニー・ミュージックパブリッシング]
大山 健 [(株)ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング]
草野 夏矢 [(株)シンコーミュージック・エンタテイメント]
竹内 一 [渡辺音楽出版(株)]
谷口 元 [エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ(株)]
玉井 進一 [(株)セントラルミュージック]
堤 孝夫 [ビクター・ミュージックパブリッシング(株)]
恒川 光昭 [(株)日音]
樋口 紀男 [(株)バーニングパブリッシャーズ]
堀 一貴 [(株)ホリプロ]
本田 規 [(株)ミュージック・コピーライト・センター]
吉岡 正敏 [日本テレビ音楽(株)]
(私論.私見) 
 JASRACは、これだけの役員を抱えており、その他全国各地に社員と事務所を抱えている。これら役員は、現行のJASRACの在り方が正当であると思うかどうか返答せよ。その報酬及び給与及びその他経費の内訳を公開せよ。これを曖昧にしたまま独占事業を行うのは不正ではないのか。「著作権者の権利を護りつつ音楽文化の普及発展を目指す」理念の実態が精査されねばならない。

 傍証として、「小野清子氏がJASRAC理事長してた時の年収は、日本道路公団総裁(2,614万円)や日本中央競馬会理事長(3,000万円)を凌ぐ3,565万円であった」なる情報が漏洩している。こうなると、JASRACの利権構造が精査されねばならないであろう。

 2007.2.4日 れんだいこ拝

【JASRACの売上高】
 JASRACは、信託関係収入だけで毎年1500億円前後の売り上げを誇っている。「ジャスラック」の「情報公開」に拠れば次のように推移している。

年度 信託関係総収入 演奏等徴収金額 カラオケ徴収金額
2004 147,805,247,078 20,689,901,000 15,624,140,000
2005 151,110,839,160 20,198,267,000 15,087,026,000
2006 150,862,327,8560 20,348,966,000 14,584,891,000

 これによれば、カラオケ関係の徴収金額が漸減していることになる。

 ちなみに、日本の国技である日本相撲協会の収支や他の団体と比較してみればより鮮明になる。
年度 大相撲事業収入
2003 11,964,000,000
2004 11,165,000,000
2005 13,771,000,000
2006 12,900,000,000
2007 13,602,000,000

 ジャスラックが一桁、二桁突出している事が判明しよう。

【著作権管理事業法施行による民間参入で、現在5社】
 2001.10月、著作権管理事業法が施行され、著作権管理事業が許可制から登録制に変わった。これにより民間参入が相次いだ。現在、著作権管理事業者は5社となっている。


 



(私論.私見)


「作曲家/ヴァイオリニスト 玉木宏樹ホームぺージ 」「音楽著作権とJASRAC問題」