その10 政治、左派運動考察

 更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6)年.2.24日

【「伝記の重要さ」】

 「戦後日本の宰相たち」(渡辺昭夫編、中央公論社、1995年)

 「時代を創るのは所詮、人物である。良き伝記の伝統を持たないのが日本文化の大きな欠点である。良質の政治評論が育たないのも、その結果である」。 

【「他人事(ごと)主義の非」】
 ナチスに抵抗した牧師のマルチン・ニーメラの有名な言葉。
 「共産党が弾圧された。私は共産党員ではないので黙っていた。社会党が弾圧された。私は社会党員ではないので黙っていた。組合や学校が閉鎖された。私は不安だったが、関係ないので黙っていた。教会が弾圧された。私は牧師なので立ち上がった。そのときはもう遅かった」。
(私論.私見) 
 マルチン・ニーメラの指摘は「他人事(ごと)主義の非」をうまく表現している。しかし、ナチスを意識してのみ適用すべきではなかろう。ユダヤ原理主義のそれこそ真性陰謀主義的圧政であろうから。れんだいこがもじり歌する。
 「共産党が政権を取った。私は共産党シンパだったので黙っていた。そのうち内ゲバが始まった。私は当事者ではないので黙っていた。粛清が始まった。その波は党の地方組織や大衆団体にも広がった。私は不安だったが関係ないので黙っていた。言論が弾圧された。私は評論家なので立ち上がった。そのときはもう遅かった」。

【「近眼的組織主義の非」】

 19世紀末のイギリスの歴史学者、バーカー(J.E.Barker)が国の興亡について語っている(安岡正篤著「活眼活学」)。
 「…殊に問題は国民精神である。これの旺盛な国民は必ず、どんなに困ってもまた勃興する。航海に例を採れば、よく規律あり訓練ある乗組員であれば荒波をくぐりぬけることもできるが、秩序の乱れた精神のこもらぬ船員共では沈没の危険があるのと同じである。その意味において政党政治は非常に注意を要する。国あることを知らず、ただ党あるを知り、その党よりも実は己の利を図るばかりというように、政党が堕落してオランダも衰退してしまった。だからどうしても、己よりも党、党より国家という精神に燃えた政党員を作らなければ、到底、政党政治というものも国民のために危うい」。


【「教本字面読みの非」】
 教本は単に字面を読んだだけでは真意が分からない。文書は行間を読まなければ本当の意味は分からない。

【マックス・ヴェーバー「職業としての政治」の名言】
 マックス・ヴェーバー「職業としての政治」の名言。
 「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である」。
 「現実の世の中が―自分の立場からみて―どんなに愚かであり卑俗であっても断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への天職を持つ」。

【日本に棲みつく正体不明の謎の鳥】
 日本に正体不明の謎の鳥が棲みついている。
 その鳥を、中国から見れば、カモに見える。
 アメリカから見れば、チキンに見える。
 欧州から見れば、アホウドリに見える。
 日本の有権者から見れば、サギに見える。
 当の鳥たちは、ハトだと云う。
 私には、あの鳥たちがガンに見える。




(私論.私見)