(三) 革命戦争の基本的特徴
プロレタリア暴力革命論に基礎をもつ革命戦争は、プロレタリアート人民の一斉武装蜂起とプロレタリア独裁の樹立の政治の特殊な継続であり、また、革命的内乱期におけるプロレタリア階級闘争の爆発の特殊な継続である。要約的にいうならば「階級闘争から生じて、革命的諸階級によって遂行され、直接の革命的意義をもつような戦争」(レーニン)である。
(1) 世界革命と人民の正義の目的
革命戦争の第一の特徴は、世界革命とプロレタリア独裁の目的、人民の正義の要求を達成するための戦争であり、帝国主義と反革命の完全な打倒をめざす戦争である。
マルクス主義の見地から見て、戦争をどう評価すべきか、戦争にたいしてどういう態度をとるか、を検討する場合の基本的問題は、なにが原因でこの戦争がおこなわれているか、それを準備し指導したのはどの階級か、という点である。戦争を自然災害のようにみなして絶対的に反対する小ブル平和主義の立場とは異なり、マルクス主義者は、戦争を階級闘争とそこにおける諸階級の政治の継続として評価するのであり、革命を政治目的とするものと反革命を政治目的とするもの、被抑圧民族の防御と解放をめざす正義の戦争と帝国主義の攻撃と侵略のための不正義の戦争とを明確に区別するのである。
革命戦争は、国際階級闘争とその特殊な総括である国際政治の情勢によって促進もされ、抑制もされるであろう。革命戦争を推進する階級の現状、それと対峙する帝国主義と反革命の勢力との具体的な力関係に照応して、革命戦争が爆発的な進展をとげる場合も、また講和をふくめ戦争状態が停止あるいは鎮静する場合もあるであろう。しかし、どのような交戦=平和の状態をとろうとも、プロレタリアート人民の革命戦争は、敵の完全な打倒、征服するか屈服するか、という絶対戦争の雄大な政治目的を堅持し、その達成までどんな困難をものりこえて前進するのである。それゆえ、革命戦争は、世界革命の利益に従属した高度に政治的な戦争である。それは、プロレタリア独裁の国家のもとにプロレタリアート人民をあらゆる形式で動員し武装し、全人民が心を一つにしてたたかう戦争であるばかりか、敵戦闘力をせん滅し、政治宣伝と政治動員で敵を包囲し、敵の政治目的と民衆的基礎を徹底的に解体し、あらたな人民的反乱と国際主義的団結をつくりだして敵の完全な打倒をめざしてたたかう戦争である。
(2) 内乱としての政治的・軍事的性格
第二に特徴は、プロレタリアート人民の国際主義的な団結の思想と展望をもった階級戦争であり、国際的・国内的内乱としての性格をもった戦争である。
革命戦争の規模が、主として国内的内乱の様相をとるか、国家間の戦争をふくむ国際的内乱の様相をとるかは、国際階級闘争とその特殊な総括である国際政治の情勢に照応して決定されるであろう。しかし、国内戦争であろうと国際戦争であろうと、革命戦争は、階級と階級の戦争、プロレタリア独裁国家(とそれを求める人民)とブルジョア独裁国家との戦争という国際的内乱の性格をもって発展せざるをえない。対立する二つの階級的諸国家体系のあいだの衝突、対立する二つの階級的諸軍隊体系のあいだの衝突こそ、革命戦争の本質である。
もちろん、プロレタリアート人民によるブルジョア国家の打倒とプロレタリア独裁国家の樹立は、多くの場合、個々の国家の統治規模に対応するものとして進行する。それは、本質的には国家というものの地方的限定性に照応するものであり、プロレタリアートの解放の事業が、さしあたって自分を政治的支配階級にたかめることによって政治的国家支配の死滅の条件を準備する、という弁証法的構造をとることに照応しているのである。プロレタリア階級闘争の戦略問題が、個々の国家の打倒と、そのための蜂起の準備に結びついて提起されねばならない事実を観念的に捨象して、世界革命戦略と具体的な戦略問題との同一性と区別性を混同することは、小ブル的幻想いがいのなにものでもないのである。それゆえ一国に生起した革命が、巨大な世界的衝撃をもたらし、国際階級闘争の偉大な高揚の口火としての役割を確固としてはたしながらも、国際政治の一定の均衡の結果、干渉戦争の野望が成功せず、帝国主義と革命国家との一時的な並存状態が生ずることは十分にありうることである。しかし、このような不安定な均衡が、革命の側の主導権のもとであれ反革命の側の主導権のもとであれ、やがて崩壊し、かわって両者の激烈な衝突がひきおこされることもまた、疑いのないところである。
ロシア革命にたいする帝国主義の干渉戦争と、それを契機として爆発した革命戦争について、レーニンは『ロシア共産党の綱領草案』においてつぎのようにのべている。
帝国主義戦争は、われわれの目のまえで不可避的に、プロレタリアートを先頭とする被搾取勤労大衆の、搾取者にたいする、ブルジョアジーにたいする内乱に転化したし、また転化しつつある。
プロレタリアートの攻撃が増大するにつれて増大し、とくに個々の国ぐにでプロレタリアートが勝利した結果強まっている搾取者の反抗も、またブルジョアジーの国際的連帯と国際的組織性も、すべては、個々の国の内部における内乱を、プロレタリア諸国と資本の支配を守護しようとするブルジョア諸国とのあいだの革命戦争に結びつける結果となっている。……われわれの目のまえで展開している、また一九一九年末以来とくに急速に展開している、国際的内乱のこの発展過程は、総じて、資本主義のもとでの階級闘争の合法則的な産物であって、国際プロレタリア革命の勝利にいたる合法則的な一段階である。
帝国主義の侵略戦争の攻撃に抵抗し、個々の国ぐににおいてこれを内乱に転化し、ブルジョア独裁国家にかえてプロレタリア国際国家を樹立するプロレタリアート人民の偉大な闘争は、遅かれ早かれ、帝国主義諸国家体系との衝突に発展せざるをえないが、このような革命戦争の勝利を確固として獲得していくためには、階級闘争の見地、国際的内乱の見とおしが必要であることを、レーニンはここで教えているのである。帝国主義の軍隊にたいし革命の軍隊を対峙するとともに、革命の軍隊を徹底した政治的軍隊として鍛えあげ、革命の軍隊を支える巨大な政治的基礎をつくりあげるためには、この革命戦争と個々の国ぐにの階級闘争とを具体的に結びつけ、帝国主義戦争に反対する種々の集会、行進や政治的ストライキの段階から全人民的内乱、権力樹立と革命戦争への合流の段階までの全過程を、内乱的対立を深化し、一斉武装蜂起を準備する戦略的見地にたって、低いものから高いものへと具体的に発展させることが重要なのである。革命戦争を内乱の内容をもって強化すること、この見地をもって個々の国ぐにの階級闘争を発展させ、国際的内乱に永続的に結びつけていくこと、これが革命戦争の勝利の道である。
(3) 全人民の動員とその武装
第三の特徴は、暴力革命の思想、全人民の武装、全人民の政治動員とその軍事的武装を基礎とした戦争であり、相対的に劣勢な革命勢力が、相対的に優勢な帝国主義勢力とたたかって、しだいに勢力を強化し、やがて敵を完全に打倒していく人民の勝利の戦争である。
すでにのべたように、帝国主義の崩壊の全過程、社会主義社会の誕生には、暴力が不可避的にともなうこと、大衆の暴力の爆発こそが歴史の転形の決定的な力であることは、プロレタリア革命の根本的問題である。帝国主義の時代から社会主義の時代への世界史的な過渡の時代にあっては、プロレタリアートとブルジョアジー、革命と反革命の対立は、絶対的な敵対関係、大量の暴力的・軍事的解決なしには決着しえない政治的対立としての性格をおびている。階級闘争における諸階級の政治は、その継続として暴力的、軍事的衝突に発展せざるをえない。プロレタリア階級闘争の諸勢力は、権力と反革命に屈服してその体制内の適当な位置を与えられて奴隷頭としての裏切りの道を選ぶか、それとも、奴隷の鉄鎖を断ちきって内乱と蜂起の準備の道を選ぶのか、ひとしく問われるであろう。共産主義から逃亡し、反革命との共存と連合を求める諸君の道は前者であり、共産主義を堅持し、革命の勝利に未来と生死をかける戦士の道は後者である。革命的前衛党を先頭とするプロレタリアート人民の雄大な革命的目的、団結と暴力への不抜の努力だけが、後者の道をまもり、後者の道の勝利を約束しているのである。
もとより資本主義、帝国主義の国家権力、それと結合した反革命の諸勢力は強大である。かれらは、社会の物質的生産力の圧倒的部分を握っており、巨大な軍事力、警察力によって武装し援助されている。そのうえ、資本主義の諸関係、帝国主義の諸機構を基礎としてイデオロギー的諸傾向を資本と権力の支配下に結びつけているのである。他方、プロレタリアート人民の革命勢力の側は、自分たちの生活を細々と維持していくための微々たる手段(そまつな家やアパートの一室、ほんのすこしの家庭用具とわずかな貨幣など)を除いては、なにひとつ富をもっていないのであり、しかも、権力と反革命によって日常的に分断され、監視され、徹底的な武装解除の危険のもとにさらされているのである。プロレタリアート人民とその革命勢力は、まさに、このような圧倒的な劣勢から出発するのである。工場や職場、生活点や学園における小さな、しかし永続的戦闘、政治的・経済的な対立をめぐる局地的な、また全社会的な動揺と闘争への参加、マルクス主義の学習とプロレタリア革命の確信の形成、こうしたさまざまな過程をとおして萌芽的な団結の諸形態を、党の建設とその指導のもとでプロレタリア階級闘争の戦略的大前進運動に不断に結びつけ、プロレタリアート人民の革命性、全人民の暴力、全人民の武装の絶対的勝利性への不動の確信をもって、内乱と蜂起の準備を計画的、系統的に推進するのである。個々の国ぐににおける階級闘争の発展の合法則性、内乱と蜂起の準備の計画性、系統性こそ、革命戦争の絶対的な基礎なのである。
個々の国ぐにの階級闘争においてプロレタリアート人民が、党の指導のもとに烈々たる革命的確信をもって団結し、国家権力や反革命との永続的な闘争をとおして闘争の高揚と革命勢力の建設と強化を不断にかちとり、圧倒的に劣勢な革命勢力で圧倒的に優勢な権力と反革命の勢力に対抗し、権力の弾圧や反革命の襲撃をはねかえして全人民の動員とその武装を前進させ、しだいに力関係を変化させ、内乱と蜂起の準備を完遂させていったように、革命戦争もまた、敵味方の客観的な力関係にふまえて戦争の有利な形式と戦闘の時点と形態を主導的に敵に強制し、戦争によって戦争を養い、戦争によって戦士を増やし、戦争によって武装を強化し、戦争によって労働者人民を教育し、戦争によって革命的目的を高揚させ、かくして相対的に劣勢な革命勢力が強大で優秀な物質力で武装した優勢な反革命の武装勢力を打倒していく過程である。まさにこのような、弱者が強者に対抗し勝利していく革命戦争の基礎は、全人民の武装であり、大衆の暴力の高揚である。党の指導のもとにプロレタリアート人民の革命への確信と情熱を高揚させ、全人民を戦争の政治目的にむかって動員し教育し、プロレタリア民兵制を基礎に中央主力軍、地方軍を三要素とする革命的武装勢力を建設強化し、その政治的基礎を強化し、党、政治勢力・政治的基礎、軍の三位一体的な団結をかちとること、まさにこの過程にこそ、全人民の武装をかちとる唯一の道があるのである。
〔注〕 もとよりすべての革命戦争が、劣勢な革命勢力が優勢な反革命に対抗し、戦争をもって戦争を養う指導原則をもってかならず勝利するというものではない。そうではなしに、この合法則的な指導原則に立脚し、この合法則的な指導原則を実践した革命戦争だけが勝利しうるのである。
(4) 戦争を消滅する戦争
第四の特徴は、帝国主義の不正義な利益のために人類の荒廃と惨禍をもたらしている帝国義の戦争をなくし、社会主義を準備することによって戦争そのものの消滅をめざす戦争である。
周知のように、革命的な共産主義者は、帝国主義の戦争に反対し、その野蛮で残忍な戦禍と荒廃を激しく非難する。しかし、小ブル平和主義者と異なり、革命的な共産主義者は、(1)戦争が別の手段による政治の継続であること、戦争にさきだつ各国の政治、各階級の政治、それと不可分の経済的・歴史的事情との結びつきをもっていること、(2)人類の階級分裂をなくし、人間による人間の搾取をなくし、ある民族による他の民族の抑圧をことごとくなくし、社会主義をうちたてなくては戦争をなくすることはできないこと、(3)正義の戦争と不正義の戦争をはっきりと区別し、帝国主義の抑圧と侵略にたいする被抑圧民族の戦争、帝国主義ブルジョアジーにたいするプロレタリアート人民の内乱と革命戦争の正当性、進歩製、必然性を完全に認めること、の三原則にたって戦争を評価し、それにたいする態度を決定するのである。
帝国主義の戦争は、戦争にさきだつ政治、戦争前にいわゆる「平和的な」手段で目的を達していた帝国主義の階級支配の継続であり、植民地にたいする抑圧と皆殺し戦争の継続である。帝国主義の平和なるものは、労働者人民のブルジョアジーへの内乱的闘争を鎮圧し、幾億の植民地人民への恒常的な戦争、凶暴な殺りく、武器をもたない人民の皆殺し、というもはや戦争といえないような戦争をおこなうことによって維持されてきたのである。帝国主義の世界戦争は、帝国主義の「平和な」時代における労働者人民、植民地人民への抑圧と殺りくのやり方が帝国主義どうしの対立にもちこまれただけのことである。それゆえ、帝国主義の戦争は、植民地人民の抑圧のための戦争であろうと、プロレタリアート人民の革命を鎮圧し絶滅するための戦争であろうと、また世界支配のための帝国主義諸国間の戦争であろうと、すべて不正義と反動の戦争である。
これにたいし、プロレタリアート人民の革命戦争は、プロレタリア階級闘争から生じ、革命的な諸階級によって遂行され、世界革命と人民の正義を政治目的とした、直接の革命的意義をもつような戦争である。それは、少数の搾取者、抑圧者を敵とするプロレタリアート人民の民主主義的に組織された戦争であり、帝国主義の支配と搾取、階級支配と民族抑圧をなくし、帝国主義の利害に従属し、カースト的な支配機構と過酷な軍規によってのみ保持されている帝国主義の軍隊を解体し、かわりに全人民の武装という全人民が実際に自由を享受できる制度にかえる戦争である。
以上の点によって、まさに革命戦争は、正当性、進歩性、必然性をもっているのであるが、しかし、革命戦争のもっとも偉大な意義は、社会主義を達成し、人類の解放をかちとる準備としてそれが遂行されることであり、戦争をなくす戦争、軍備をなくす武装という人類史上かつて例を見ない決定的意義をもったものである、ということである。全人民の武装は、過渡期の労働者国家、プロレタリア独裁国家に照応した制度であり、反革命の抵抗と反革命の干渉戦争を粉砕し、プロレタリア世界革命を遂行する武装力であり、社会主義にむかっての生産手段と労働力の社会的配分と管理、生産物の管理と配分、ブルジョア家族制度の解体と新しい生殖関係の形成を保障する暴力的保障であるばかりでなく、同時に、反革命のせん滅、人民の自己改造をとおして暴力を共同意志の形成と自己規制という完全に人間的な力にたかめていく決定的水路としての意義を有しているのである。
(5) 党の指導する戦争
第五の特徴は、革命的前衛党の指導のもとに結集したプロレタリアート人民の戦争であり、革命的前衛党の革命戦略と軍事思想、戦争遂行勢力の建設、政治闘争と武装闘争を結合した高度の戦争指導の計画的、系統的な強化によって発展していく戦争である。
すでにのべてきたように、革命戦争の強力な性格は、基本的には、(1)革命的目的の正しさ、人民の正義の要求にもとづいた戦争であること、(2)階級闘争と内乱の戦略をもった戦争であること、(3)暴力革命の思想、全人民の動員とその武装をもって劣勢な革命勢力が優勢な反革命勢力に勝利していく戦争であること、(4)戦争をなくす戦争、軍備をなくす武装であることにあるが、このような雄大な目的をもちながら多大な形式をもって発展する戦争を統一的に指導するには、(5)党に指導され党の指導によって発展する戦争、という性格が絶対的に付与されなくてはならないのである。
まず第一には、革命的前衛党が全人民を動員し戦争に決起させていくよう正しい革命戦略と戦略的総路線、すなわち、世界革命の目的と人民の正義の目的にもとづき、内乱と蜂起を準備し、革命戦争の勝利の基礎を建設できるような革命戦争と軍事思想を確立することが重要である。このような戦略的総路線を確定する基礎は、国際的な階級闘争の普遍的な教訓、内乱と蜂起、革命戦争の合法則性と、個々の国ぐにの階級闘争の特殊的な経験、内乱と蜂起、革命戦争の特殊的な合法則性とを結合することにある。それはただ党の目的意識的な活動の結果として可能である。
第二には、革命的前衛党が全人民をたたかいに動員する政治闘争において、人民の優位性と強大な政治力量をかちとることに成功することが重要である。正しい戦略戦術に立脚した政治闘争の激化と政治的緊張の異常なたかまりのなかで、内乱と蜂起、革命戦争のための政治勢力、政治的基礎の建設、革命的武装勢力の建設を確固として達成することである。強大な政治的力量の建設の敗北を軍事的冒険でのりきろうとするものは、国際的な階級闘争の経験、内乱と蜂起、革命戦争の合法則性をふみにじるものである。
第三には、革命的前衛党が個々の国ぐにの階級闘争の現実を出発点として、低いところから高いところにむかって計画的・系統的に内乱と蜂起の準備、革命戦争の準備をすすめることが重要である。内乱と蜂起、革命戦争の問題は、ブルジョア独裁権力を打倒し、プロレタリア独裁権力を樹立し、それを維持していく最高の闘争形態である。それはただ、自然発生的傾向ときびしくたたかい、極度に目的意識的な指導の系統があってはじめて可能なのである。
第四には、革命的前衛党が政治闘争と武装闘争を結合し、合法と非合法、公然と非公然の活動を結合し、主力軍の戦争と遊撃隊の戦争を結合し、ありとあらゆる形式でもって全人民を動員し、武装し、敵の制圧しえない時間と空間をすべて革命の戦線にくみかえてしまうことが重要である。いいかえるならば、戦線の重層的構造化をもって、たえず革命勢力の主導権のもとにもっとも有利な闘争の形式をつかみとり、その勝利を戦略的大前進運動に結びつけていくことである。
第五には、革命的前衛党が大衆のすぐれた部分をたえず党に組織し、党員を「幹部」に教育養成し、党の指導組織系統を建設し、闘争での党の全面的・集中的・統一的な指導の実行をつくりだすことが重要である。『第二インターナショナルの崩壊』という有名な論文のなかで、レーニンは、帝国主義戦争の時代の階級闘争の新しい形態のすぐれた見本として軍隊をあげ、「この組織のすぐれているのは、ただそれが、柔軟であると同時に、幾百万という人々に統一的な意志を与えることができるかである」と指摘し、「一つの目的のために、一つの意志によって鼓舞された幾百万という人びとが、情勢の変化と闘争の要請に応じて、その交通形態や行動形態を変え、活動の場所や方法を変え、器材や兵器を変える場合、それが組織と呼ばれるのである。同じことはブルジョアジーにたいする労働者階級の闘争にもあてはまる」とのべている。軍隊の組織性をプロレタリア運動の基礎のうえに革命的目的と高い政治的内容をもって発展させたものこそ、革命的前衛党である。党の建設と党指導の強化の問題は、革命勢力の建設と発展の要であり、プロレタリアート人民の革命戦争の勝利の保障である。相対的に劣勢な革命勢力が雄大な目的をもって相対的に優勢な反革命勢力と対峙し、敵の目的と態勢、その強さと弱さ、味方の目的と態勢、その強さと弱さの客観的な認識にふまえ、味方の弱点を防衛し敵の弱点を攻撃し、有利な時点と有利な形式で主導的に戦闘を展開し、あらゆる形式で全人民の動員とその武装をかちとり、その前進する基礎のうえに戦争をもって戦争を養い、戦争をもって政治目的と革命精神の高揚をはかるという原則を貫徹し、もって相対的に劣勢であった革命勢力が発展強化し、相対的に優勢であった反革命勢力を追いつめ、それを完全に打倒していてことこそ、革命戦争の基本的特徴をなすものであるが、まさに、このような革命戦争の特徴を積極的に貫徹する根本の基礎は、党の建設、指導の強化なのである。
(一九七二年六月)
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