| 347 | 男女性差の諸影響 |
「性が人間存在の根幹と存続に関する」という認識。
目次
男女の脳の使い方の違いが注目されている。ネズミの実験でも確認されている。先天的なものかどうかまでは不明であるが、性差に差はあるようである。
(実験例)見知らぬ土地での特定の場所探し
ドイツのウルム大学チームの研究結果が米科学誌「ネイチャー.ニューロサイエンス」4月号で発表された。
男女それぞれ12名に、コンピューターと映像技術を駆使して作った仮想迷路を抜け出す競争をさせた。迷路を脱するのに要した平均時間は男性が2分22秒で、女性は3分16秒だつた。脳の内部を透視する装置で、どの部分が使われたかを調べたところ、男性は、左右の側頭葉にある海馬と呼ばれる部分を療法とも働かせていた。女性は右側の海馬しか使っていなかった。女性はその代わりに頭頂部と前頭葉右側の皮質部分を使っていた。その他研究成果として、女性は具体的な目印を頼る事が多く、男性は地図を頭に思い浮かべ、推理力傾向が強いということが分かった。
「『クーリッジ効果』男女の浮気願望」
1920年代の第30代のカルビン・クーリッジ大統領夫妻の逸話。ある時夫妻は大きな養鶏場を視察した。先に鶏舎に案内された夫人は、強くてとても精力的な一羽の雄鳥を見つけ、「一日に何回、雌鳥と交尾するのか」と尋ねた。係りの者は「一日に12回以上」と答えた。「このことを大統領に話してあげて」と説明者に頼んで去った。その後大統領がやって来て、やはりこの強い雄鳥について同じ質問をした。担当者が夫人の時と同じ説明をすると、大統領は「同じ雌鳥とかい」と重ねて尋ねた。その答えは、「いいえ。雌鳥は毎回、違った雌鳥とし交尾します」。大統領は暫く考えて「大統領夫人にこのことを伝えて」と言い残した。
これが、雄の行動原理を端的に表わす言葉の由来で、事実、鶏以外に、牛やチンパンジーなど他の動物実験でも、同じ効果が報告されている。例えば、雌牛と同じ小屋に入れられた雄牛は、1−2回交尾すると、その後は興味を示さなくなる。交尾できなくなったのかと言うと、そうなことはない。その証拠に、別の雌牛に取り換えるとまた交尾し始め、これを繰り返すと、雄牛は一日に10回以上交尾する。次の交尾にかかる時間には個体差もあるだろうが、新たな相手が出現するたびに交尾できることは、自分の種を残そうという生物の戦略上、もっともなことだと言える。
雄ばかりでなく雌の側にも同じような行動があることが見つかっている。雌のチンパンジーは、5−6週間ごとに6日間、発情する。この期間の雌チンパンジーは、群れの全ての雄チンパンジーと交尾することに、一日の大部分の時間を費やしている。この競い合いの中から、強い雄の精子を獲するためと考えられている。
クーリッジ効果は、多くの動物に見られるということである。ヒトが浮気を抑制するのは、社会的理由によってであり、生物学的には怪しい。