428953 | 各党の反応と取り組みアラカルト |
【各党の対応と論拠】
憲法記念日での各党の声明 | ||||
自民党 | 法案賛成 | 改憲 | 国際的貢献は、経済的分野のみならず軍事的分野にも及んでいる。憲法改正によってすっきりさせる。 | |
公明党 | 法案賛成 | 論憲 | 性急な改憲論でもなく、かたくなな護憲論でもなく、護るべきものを明確にし時代を直視した論議を推し進める。 | |
保守党 | 法案賛成 | 改憲 | 憲法が現実とますます乖離している。自衛隊の位置付けと緊急事態対応型の危機管理を模索すべきである。 | |
民主党 | ノーコメント | 論憲 | 新しい時代により相応しい憲法論議を進めていく重要性を再確認する。 | |
自由党 | ノーコメント | 改憲 | 新しい憲法を作り、自由で創造性溢れる自立国家日本を目指す。現行憲法の基本原理を継承・発展させる。 | |
共産党 | 法案阻止 | ノーコメント | (憲法原則を踏みにじり蹂躙する有事関連法案阻止に全力を挙げる) | |
社民党 | 法案阻止 | ノーコメント | (有事関連法案は事実上の改憲であり、これを阻止するため全力で闘う) |
有事3法案、閣議決定 民主党、対応決まらず−−党内対立を再び懸念
有事法制関連3法案の閣議決定を受け、国会審議がいよいよ本格化する。野党では共産、社民両党が「憲法に反する」と反対を示し、自由党も「有事法制の名に値しない」と別の立場から政府案を否定しているのに対し、推進派と慎重派の双方を抱える民主党は「現時点で賛成でも反対でもない」(岡田克也政調会長)と軸足を定められずにいる。一方、与党・自民党内にも有力議員の間に慎重審議を求める声があり、国会論戦は激しいものになりそうだ。
焦点の民主党は16日の役員会で、菅直人幹事長が「閣議決定は今夜だ。早急に党の対応をとりまとめる必要がある」と岡田政調会長に指示した。しかし、岡田氏は慎重な姿勢を崩さず、22日にも開く役員会で有事法制の議論を始めることを確認しただけ。「スピードが遅い」(幹部)との批判が党内にも出ているが、テロ対策支援法など安保関連法案の審議のたびに露呈した党内対立再燃を懸念してのことだった。
同党は先月まとめた基本方針で、有事法制そのものの必要性については確認している。しかし、全面的な対案を提出するか、修正案を出して与党側と法案修正の協議を行うか、具体的な対応については決めかねている。同党政調幹部は「これだけの大法律だ。短期間で審議しないといけない状況ではない」と慎重審議を強調する。
同党は政府案について、「『武力攻撃事態』の定義があいまいで、基本的人権の保護がどう確保されるのか明確でない」などと問題点を指摘している。しかし、党内では保守派グループが有事法制制定に前向きな姿勢を示す一方、旧社会党系議員が多い横路孝弘前副代表のグループは国民生活の統制につながりかねない法案の内容に対して敏感に反応しており、党内事情は相変わらず複雑だ。
自由党は政府案に対しては「安全保障の基本原則がなおざりのまま細かい議論をしても、現場の暴走を招くだけ」と批判。対案を提出する方向だ。
一方、共産党は「戦争に協力しないことを犯罪者とみなす法案。一番の違憲性が端的に出ている」と批判。社民党も憲法に反するとの立場から反対の姿勢だ。
◇与党内部、慎重論も
16日の自民党総務会では、有事法制に一貫して慎重な野中広務氏が一時、法案への態度を留保したが、堀内光雄総務会長が「2年間で指摘の問題に積極的に取り組む」と引き取り、全会一致による了承の形をとった。
党内の消極論の多くは「国内の景気対策を優先すべきだ」(外相経験者)という“比較論”。保守党の二階俊博幹事長が16日の与党国対委員長会談で「景気対策なしの会期延長には反対」と有事法制だけを前提とする延長論を否定したのも、こうした意見への配慮からだ。
党執行部は「野中氏も有事法制自体は否定していない」とし、成立への支障にはならないとみる。
ただ、会期内成立を表向き掲げる公明党も「論点を浮き彫りにし、慎重に議論すればいい」(幹部)との立場だ。公明党には昨年のテロ対策支援法の時のように、与党だけでなく野党の賛成も得たい小泉首相が民主党に傾斜することへの警戒感もあって、安易な修正協議には応じない構えだ。
(毎日新聞2002年4月17日東京朝刊から)
2002/4/22
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武力攻撃事態対処 法整備は国家の責務 |
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公明党の北側一雄政務調査会長は21日午前、NHK番組「日曜討論」に各党の政策責任者とともに生出演し、政府が17日に国会提出した武力攻撃事態平和安全確保法案など武力攻撃事態(い![]() この中で北側氏は、法整備の必要性について、「万一に備えた法整備をきちんとしておくことは、法治国家としての大事な責任であり、緊急事態の時にどう人権と民主主義を守っていくかだ」と述べ、超法規的に無用の人権制限などが行われる事態を避けるための法整備の意義を指摘した。 また、武力攻撃の発生(またはそのおそれ、予測)に備えた今回の法制と、テロ、不審船対策の関連について、北側氏は「(テロ、不審船対処は)警察と自衛隊との連携をいかに強化するか、装備をどう充実するかなど(現行法の)運用改善でできることが多い。武力攻撃事態法制の対象は警察活動ではなく、あくまで防衛活動であり、両者は立て分けて議論すべきだ」と指摘した。 一方、北側氏は、法案には武力攻撃事態における国民保護(避難、誘導など)に関する個別法の整備期間が「2年以内を目標」と明記されたことについて、「(住民保護に直接かかわる)地方公共団体や指定公共機関などとも早急に協議し、できれば来年の通常国会に(法案提出が)間に合うよう政府に要請している」と述べた。さらに、3法案の今国会成立に関しては、「(与党と)民主党とは認識や考え方にそれほど違いはない。国民の理解を得ることが非常に大切な法案なので、審議の段階で、法案を改善できることがあればすればいいのではないか」との考えを示した。 |
2002年4月17日(水)「しんぶん赤旗」
小泉内閣は十六日、有事法制三法案を閣議決定しました。日本共産党は同日、有事法制に反対するアピール「アメリカの戦争に国民を強制動員する『戦争国家法案』を断固阻止しよう」を発表しました。全文は次の通りです。
小泉内閣は、本日十六日、「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の有事法制三法案を閣議決定しました。
有事法制は、戦後、日米軍事同盟のもとで、憲法をふみにじって自衛隊が創設されていらい、アメリカと自民党政府がいっかんしてめざしてきた野望ともいうべきものです。アメリカがアジアに介入戦争をおこない、自衛隊を従えた共同作戦を遂行しようとするとき、この作戦を全面的に支える国家体制をつくろう、国民総動員の体制をつくろうとするところに、戦後の有事法制策動のねらいがありました。
三年前に「戦争法(周辺事態法)」が強行され、同法にもとづくアジアでの戦争シナリオ・日米共同作戦計画も、すでにつくられてきました。この日米共同作戦に国民をどうやって動員するかが、日米両国政府のつぎの課題となり、有事法制の準備が加速されました。とりわけいま、アメリカがテロ問題への対処を口実に、「悪の枢軸」論をかかげ、無法な戦争と軍事介入の政策をつよめています。閣議決定された法案は、戦後準備されてきた有事法制の到達のうえに、こうしたアメリカの戦略に日本がいっそう深くかかわっていくため、具体化されたものです。
私たち日本国民は、この半世紀以上にわたり、日本を二度と戦争を起こす国にしてはならないと、固く誓ってきました。人権抑圧が戦争にむすびついた戦前の痛苦の教訓のうえにたって、国民一人ひとりの人権、自由が大切にされる社会をつくることを、共通の理想としてめざしてきました。
アメリカいいなりで日米軍事同盟を最優先させる自民党政治のもとでも、戦後、日本が曲がりなりにも戦争をしかける国にならなかったこと、人権と自由の考えが日本社会に定着してきたことは、こうした国民の努力の貴重な成果です。そして、この国民の努力を励まし、支えてきたのが、ほかならぬ日本国憲法です。戦争の放棄を高らかにうたい、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と宣言した憲法を力に、国民のたたかいは前進してきたのです。
こうした国民の努力に逆行し、有事法制が国会提出されるもとで、いま国民には、国づくりの根本にかかわる問題が問われています。この日本を憲法の諸原則にたった国にするのか、それともアメリカがおこなう戦争に協力し、戦争を最優先する国家体制をつくるのかという問題です。
日本共産党は、戦争国家づくりへの道を断固として拒否します。そのために、すべての国民のみなさんがたちあがることを、心からよびかけます。
今回の法案は、戦争を放棄した憲法第九条をじゅうりんすることを、大前提にしています。戦争することが最優先だという立場にたって、人権や自由、議会制民主主義、国民主権、地方自治など憲法の民主的な諸原則を踏みにじることを、当然のこととしています。まさに「戦争国家法案」とでもよぶべきものです。
広範な国民を意思に反して戦争に強制動員することが、法案の基本的な中身です。
法案では、すべての国民に戦争協力の義務のあることが、はっきりと明記されています。とりわけ、保有している土地、家屋等を差し出すこと、自衛隊が使う物資を保管し、提出すること、医療・輸送・建築・土木などの従事者が協力すべきことは、欠かすことのできない義務とされています。
それだけではありません。政府が指定する民間企業も戦争協力が義務づけられます。道路公団や空港公団、JR各社など運輸関係、電力十社やガス会社などのエネルギー関係はもちろん、NHK、NTTなど言論や通信にかかわる企業、日本銀行や日本赤十字社も対象となる予定です。まさに生活の全分野で国民を動員するのです。
しかも法案は、戦争に際しては「自由と権利」に「制限が加えられる」ことを、平然と宣言しています。国民の権利を無視して強制動員しようというのです。権利の制限は戦争に対処するため「必要最小限」にするといいますが、戦争の必要が大きくなれば、権利の制限も大きくなるということです。どういう人権をどれくらい制限するのか、何の歯止めもありません。
重大なことは、自衛隊が必要とする物資の保管命令に民間人が従わない場合、さらに自衛隊による立ち入り検査を民間人が拒んだ場合、罰則をあたえると明記されたことです。これは、戦争への非協力、反戦平和の立場にたつことを国家が犯罪だとみなすということです。戦争協力が国民の義務であり、非協力は犯罪だ、これが法案の精神なのです。
今回の法案は、戦争を効果的に遂行することを最優先に、国の仕組みまで変えようとしています。
法案によれば、戦争に際して有事法制の発動を決定するのが首相ならば、自治体や民間をどのように動員するのかという「対処基本方針」を決定するのも首相です。この「基本方針」は安全保障会議に諮られますが、その議長は首相であり、「基本方針」にもとづき自治体や民間を統制する「対策本部」の本部長も首相です。文字通り首相に全権を集中する体制がつくられるのです。動員される側の自治体や民間は、これらの決定と異なる独自の判断をすることは認められず、意見をのべることさえ許されません。国民一人ひとりの生命、権利にかかわることなのに、政府が有無をいわさず強行する仕組みがつくられるのです。
さらに、今回の法案は、それぞれ独立の性格をもっていた国と自治体の関係をも、大きく変えるものです。自治体や公益事業にかかわる民間企業などにたいし、首相の「指示権」なるものを明記し、強制的に従わせようとしています。従わない場合、政府が代わって強制執行し、あくまで戦争遂行を優先させるのです。
今回の法案の以上の条項は、いずれも憲法の平和的、民主的な原則と密接にかかわるものです。しかも、憲法が明示的に否定した戦争遂行のための法案です。政府が独断ですすめてよいようなものではありません。ところが、法案によれば、首相が「基本方針」を決定するだけで、有事法制は発動されるのです。国権の最高機関であるはずの国会は、事後に、その承認を求められるだけです。国の仕組みが、国会を脇に置いて政府が独断専行する方向へと、大きく変わるのです。
国民を強制動員する問題でも、国の仕組みを変える問題でも、その口実となっているのは、戦争がいちばん大事だという考えです。国民の人権も国会の機能も、戦争を遂行するためには軽くあつかっていいのだというのが、政府・与党の基本思想なのです。戦争放棄の憲法をもつわが国で、戦争することが何よりも優先される、まさに「戦争国家法案」だといわざるをえません。
ひとたびこのような法律がつくられれば、有事にしっかりと発動できるようにすることを目的に、平時から戦争国家体制づくりが開始されることは明白です。戦時に協力できるか否かで思想チェックがおこなわれる職場づくり、避難訓練のたびに軍事力の大切さが教えられる学校づくり、隣近所で戦時の備えを確かめあう地域づくり――こんな日本をつくらせてよいのでしょうか。
小泉内閣は、日本を外国の侵略から防衛するためだということを、「戦争国家法案」の口実としています。国民の生命がいちばん大事なのだから、人権や自由は制約されてもよいというのです。
しかし、「戦争国家法案」がアメリカのアジア介入戦争のためのものであることは、提出された法案条文によって明白になりました。法案によれば、日本が武力攻撃される「おそれ」のある段階はもちろん、それが「予測」されるだけの段階であっても、国民動員条項が発動されることになっています。一方、三年前の「戦争法(周辺事態法)」でも、アメリカが戦争する際に日本が支援をおこなうのは、日本への武力攻撃に至る「おそれ」があるからだということが口実にされています(同法第一条)。有事法制が発動される事態は、周辺事態法が発動される事態と、重なり合っているのです。
中谷防衛庁長官も、日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員の質問にたいし、「周辺事態のケースはこの(有事法制の発動対象の)一つ」と、断言しています。周辺事態法が発動され、米軍と自衛隊が共同でアジア諸国に軍事介入するとき、有事法制によって国民を強制的に総動員する――「戦争国家法案」のねらいはまさにここにあります。テロや不審船の問題を有事法制の口実にする議論もありますが、これらは海上保安庁をふくむ警察力でとりしまり、法の裁きをくだすべき問題であり、まったく次元が異なるものです。
三年前に戦争法がつくられましたが、自治体や民間を強制動員する条項がないことに、アメリカでは不満が強まりました。アーミテージ現国務副長官らは、一年半前に発表した報告のなかで、日本が集団的自衛権の行使を認めること、新ガイドライン・戦争法の実施のために有事法制をつくることを、平然と要求しました。今回提出される「戦争国家法案」は、こうしたアメリカの要求に全面的にこたえようとするものです。
そのアメリカは、いま、世界で横暴の限りをつくしています。テロには法による裁きをという国際社会の努力をふみにじり、戦争をしかけてアフガニスタンの多くの無辜(むこ)の人々の命を奪いました。中東では、イスラエルによるパレスチナ侵略を容認してきたのがアメリカです。また、アメリカは、核兵器をなくそうという国際社会の努力をあざけり、核兵器を使う戦争を現実のシナリオにしようとしています。
「戦争国家法案」とは、こんなアメリカの無法な戦争に協力するために、日本国民を総動員するためのものです。日本を戦争優先の国家にしてしまうことです。こんなたくらみは、絶対に許すことはできません。
小泉首相らは、「備えあれば憂いなし」ともっともらしくいいます。しかし、日本の戦前の歴史をみても、「備えあれば」として有事法制をつくったことが、侵略と抑圧の原動力になりました。シベリア出兵とともに「軍需工業動員法」がつくられたこと、「国家総動員法」が中国への全面侵略に際して成立したことも、有事法制が果たす役割を雄弁にものがたっています。この歴史の再現を許してはなりません。
今国会に提出される法案は、政府が考える有事法制の一部です。この一、二年のうちに、電波規制や空域・海域統制、民間防衛、有事版の対米物品役務提供協定(ACSA)関連法など、国民の戦争動員、米軍支援のための新しい法案が、つぎつぎと国会に提出される予定です。しかも、そのつぎには、言論統制や戒厳令など、今回は対象としないが将来の検討課題とされたものが、待ち受けているのです。憲法を守りぬくためにも、日本を戦争国家にしないためにも、いまたたかいにたちあがり、たたかいをひろげることが、どうしても必要です。
すでに、「戦争国家法案」の阻止にむけて、広範な諸団体による共同の輪がひろがりつつあります。国会では、多くの市民団体とともに、日本共産党、社民党、そして民主党の一部も含む共同の集会が開かれています。共同の輪をさらにひろげ、「戦争国家法案」を阻止する大きな流れをつくりあげましょう。
日本共産党は、戦前、侵略戦争に反対してたたかった唯一の政党です。戦争を支えた絶対主義天皇制の国家体制に抗し、自由と民主主義のためにたたかいぬいた政党です。この歴史と伝統を受けつぎ、国民的なたたかいの先頭にたって全力をつくす決意です。
「戦争国家法案」を阻止し、日本の進歩的な未来をきずくために、憲法の平和的、民主的な原則を守りぬくために、ともにたたかいにたちあがろうではありませんか。
2002年4月19日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十八日、国会内で定例の記者会見をおこない、後半国会にのぞむ基本的立場を述べました。このなかで、「戦争国家法案」(武力攻撃事態法案など有事三法)を二十六日にも審議入りさせ、今国会で一気に強行・成立させようとしている政府・与党の動きを批判。同法案について憲法と絶対に相いれない違憲立法であり、断固阻止する立場を強調するとともに、「この間の国会審議の経過にてらしても、『戦争国家法案』を二十六日に審議入り、強行・成立させるなどというのは言語道断のやり方だ」と厳しく批判しました。
志位氏はその理由について、(1)鈴木・加藤疑惑(2)機密費疑惑という二つの重大疑惑で「真相と責任を糾明する大きな仕事がまだ途上であり、残されている」と指摘しました。
鈴木・加藤疑惑は、国民の税金を食い物にした利権疑惑だけでなく、とくに鈴木疑惑は日ロ領土交渉をロシアに迎合する方向でゆがめたという国益を損なう疑惑であり、日本外交の信頼性を根本から損なうような深刻な疑惑です。
機密費疑惑について志位氏は、「『国家機密』の名にかくれて党略的・私的に血税を流用していたという疑惑で、その疑惑の当事者は首相官邸自身だ。疑惑を解明し、明らかにする義務を負っているのは首相自身だ」と強調。この点で十八日に四野党が共同で、小泉純一郎首相と福田康夫官房長官に機密費の実態を明らかにし、政府自らの手や委員会の質疑で真相解明が十分にすすむまでは機密費の執行停止を行うよう申し入れたことは、「たいへん重要な大きな意義をもつ」と指摘しました。
小泉首相と政府が疑惑究明に背を向ける態度をとりつづけていることについては、「一方は外交の信頼を損なう疑惑、もう一方は首相官邸の重大疑惑があるもとで、首相に戦争遂行の独裁的な権限を与えるような『戦争国家法案』を強行することは、この点からも、許されるものではない。こういう法案を国会に提出し、審議を求める資格そのものが首相、政府にはない」と強調。いま国会が最優先してやるべきことは、「二つの重大疑惑」の徹底糾明と、不況にあえぐ国民生活を守るための緊急措置をどのようにとるかの真剣な審議だと述べました。
2002年4月22日(月)「しんぶん赤旗」
二十一日放送のNHK「日曜討論」で、日本共産党の筆坂秀世政策委員長は、小泉内閣が提出した「戦争国家法案」(有事三法案)をめぐり、各党の政策責任者と討論しました。他党の出席者は、自民党・久間章生政調会長代理、公明党・北側一雄政調会長、保守党・井上喜一政調会長、民主党・岡田克也政調会長、自由党・藤井裕久政調会長、社民党・大脇雅子政審会長代行。司会は影山日出夫NHK解説委員。
筆坂氏は冒頭、有事三法案の問題点についてのべました。
筆坂 よく「備えあれば憂いなし」ということが言われます。しかし、こと軍隊となりますと「攻撃は最大の防御」という言葉があるように、古今東西、有事法制がどういう役割を果たしてきたか。戦後の例をみても、フランスでは有事法制が発動されたのは植民地の独立運動を制圧するため。イギリスでは戦時の部分は発動されたことはないですね、侵略されたことがないですから。結局、国内弾圧に使われる。つまり、人権抑圧と侵略と干渉の道具になってきた。
日本でも戦前は「国家総動員法」がそうでしょう。中国への全面侵略とはまさに一体のもので、国民の生命・財産を守るというのが大義名分だったわけです。
今度の法案は、国民の自由と権利を包括的に制限するということが入っています。罰則も科す、自治体や民間企業も動員するというわけですから、まさに戦争国家体制づくりの法案です。われわれとしては断固阻止したいと考えています。
討論では、司会者に「なぜこの法制が必要なのか」と問われ、久間氏は「自衛隊法ができたときに完備していなければならなかった。今、米ソの対立がなくなって、にわかに日本が武力攻撃がされることはないのかもしれないが、平時においてそういう法制は完備しておこうという議論ができる雰囲気になってきた」とのべました。岡田氏は「有事についての法制が必要であると党として確認している」としながら、「(法案には)かなり不備がある。問題点は国会で議論し、その結果をみて賛否を決める」と発言。
北側氏は「万一に備えた法整備は国の大事な責任だ」とのべました。藤井氏は対案を出すことを改めて表明しました。
司会者から「政府の議論の進め方をどうみるか」と問われた筆坂氏はこう発言しました。
筆坂 この法案が想定しているのは、要するに「周辺事態」です。これも(武力攻撃事態と)重なるということを中谷防衛庁長官がはっきり言いました。(自民党の)山崎拓幹事長はもっと率直に言っています。日米安保条約の六条、いわゆる「極東有事」といわれるものです。「日本有事」とまったく別です。「周辺事態法」がこれに対応するものだと言っています、いままでの政府説明と違いますが。つまり、アジアでアメリカが介入戦争をやる、それが日本に波及してくる恐れがある、それは「武力攻撃事態」だというので、この法律が動き出して、国民が動員されるというしかけをつくろうというところに一番の問題がある。
よく「超法規的」というけれど、人権については「永久に侵すことのできない権利」と憲法に明記してある。それを制限しちゃうわけでしょう。「超法規はいけない」ということに名を借りて、超憲法的な法律をつくろうとしている。
テーマは、有事法案が国民の人権を制限し、義務を課す問題点に移りました。岡田氏は「権利乱用の可能性は政治としては考えなければならない」と発言。北側氏は「必要最小限で制約されることはやむを得ない」とのべました。筆坂氏は、こうのべました。
筆坂 仮に本当に日本に武力攻撃があったときには、国民は罰則なんか科さなくても、自らの命を守る、兄弟を守る、財産を守るために立ちあがる。当たり前の話です。(今回の有事法案が)なぜ、こんな罰則かけてまでこんなことをやらなきゃいけないかといえば、想定されている戦争が、道理のない戦争、つまりアメリカへの協力という側面があるからですよ。
討論では、武力攻撃事態法案に書き込まれた今後二年以内に整備する法制に「国民の生命、身体及び財産を保護するため」の法制があげられていることにかかわって、議論が交されました。
久間氏は「たとえばたくさん(民間の)船が並んでいるところに、有事の場合に接岸させようとすると、それを排除して接岸させます。(だが、新法を整備しないと)一方的に(民間船を)どけろとはいえない」とのべ、国民の権利制限にかかわるものであることを明らかにしました。筆坂氏は次のように批判しました。
筆坂 この法律の全体の体系は、憲法で戦争放棄した日本が、国民が戦争に協力しなければ犯罪者にされてしまうというところにあります。(今後、整備する法制について)内閣官房から説明を受けました。たとえば、その中に「社会秩序の維持に関する措置」というのがありますね。この中に夜間外出禁止令が入るのかときくと、“当然、入ります”と。「国民の生活の安定に関する措置」は何かといえば、たとえば価格統制とか物資の統制とかの経済統制ですよね。文字通り戦時体制をつくって外出禁止令もやる、物資や物価の統制もやる、これがその中身ですよ。自衛隊=軍隊が街中にでてくるということです。
討論は、「有事」とは何か、「武力攻撃事態」と「周辺事態」の関係などについて議論が移り、筆坂氏はこうのべました。
筆坂 文字通り二つ並べると、よくわかります。「周辺事態」は「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」、武力攻撃事態というのは「武力攻撃が発生した、あるいはそのおそれのある、あるいは予測される事態」ですから、定義としてはほとんどいっしょですよ。
山崎さんが、最近の記者会見で、周辺事態法は安保条約六条の「極東有事」への対応なんだといっている。そのときに周辺事態法が動くと。その周辺事態法と武力攻撃事態法はオーバーラップするわけです。そのときに当然、日本国内でも「武力攻撃事態」に備えた有事法制が動き出していくことになる。
「おそれ」と「予測」というのはまったく恣意(しい)的な判断でしょう。なにが客観的に見て「おそれ」とか「予測」というのか、その判断基準なんか何もないわけです。首相が、「おそれ」がある、あるいは「予測される」といえば、「武力攻撃事態」になってしまう。
その恣意的判断で有事法制が動いちゃうというところに、この法案の非常に恐ろしいところがあると思います。
久間氏は「周辺事態と武力攻撃事態とがオーバーラップするケースもある」と認め、北側氏も「周辺事態が、武力攻撃事態というものと並存する場合は想定される」とのべました。
今後の国会論戦、日程に議論が移り、久間氏は「こういう全体の大枠づくりの法律くらいは早く仕上げてもらいたい」と主張。筆坂氏はこう反論しました。
筆坂 戦後、自衛隊ができて四十八年。その間、有事法制をつくらなくても、なんの不都合もなかったわけでしょう。当時は、政府は公式には認めないけれども、仮想敵はソ連だといっていたわけです。そのソ連が崩壊したというときに、なぜ時代錯誤のこういうものをつくるのか。
今の国際情勢をみても、アジアで、一番の軍事費大国は日本ですよ。ASEAN(東南アジア諸国連合)十カ国合わせたより日本は大きな軍事力を持っているんですよ。
こんな有事法制をつくるより、アジアとの平和と友好の道を進んでいく(ことだ大事だ)。憲法九条を「備え」にしようと戦後の出発点で誓ったわけですから。
![]() ![]() 民主党、有事法案に修正案を検討 民主党は24日の拡大役員会で、有事関連3法案への対応を協議し、「政府案に無条件で賛成はできない」との認識で一致した。そのうえで、法案反対を前提とした対案作りはせず、政府の答弁を見極め、修正案の作成などを検討する方針を確認した。 拡大役員会には鳩山代表や衆院武力攻撃事態対処特別委員会の伊藤英成理事らが出席した。政府案について、〈1〉住民の避難誘導や被害復旧など、国民の生命、財産の保護についての関連法整備が2年以内を目標に行うとして先送りされた〈2〉現実性の高い大規模テロや、不審船への対処が含まれていない――の2点が重要な問題との指摘が出された。 岡田政調会長は、「この2点は賛否を考える大きな要素だが、これが満たされていないから入り口から『ノー』という議論は避けてほしい」と述べ、了承された。今後、政府・与党の出方次第で、法案の修正協議にも応じる構えだ。 有事関連三法案をめぐっては、すでに自由、共産、社民の野党三党が政府案に反対する方針を明確にしており、特別委員会での審議内容に応じて賛否を決める立場を崩していない民主党と対応が分かれている。 民主党内には、旧社会党系を中心に法案への反対論が根強い一方、保守系議員からは「賛成を前提に修正協議に臨むべきだ」との声も上がっている。 24日の役員会後の記者会見で、岡田氏は「私自身、賛否を決めかねている」と語った。 (読売4月24日22:51) |
菅氏、有事法制修正しても賛成せず
民主党の菅直人幹事長は26日の記者会見で、有事法制関連法案について「根本的にほとんど抜け落ちている問題があり、技術的には新しい法案をつくるくらい大変だ。そう簡単に修正すればいいとか悪いとか言えるような種類の法案ではない」と述べ、修正したうえで賛成に回るのは困難との認識を示した。
日経4.26日
民主党の鳩山由紀夫代表は3日、長野県軽井沢町の自分の別荘に自由党の小沢一郎党首らを招き、小泉政権打倒に向けた政局談義を交わした。選挙協力で連携を強める両党の親ぼくの一環で、国会終盤での解散の実現や、新政権の受け皿つくりで意見交換したとみられる。
鳩山氏の幸夫人の手料理を囲んだ夕食会で、小沢氏は別荘の庭に広がる楓の林を散策した後、リビングに入り、ビールで乾杯をした。連休明けの国会で両党は鈴木宗男衆院議員の議員辞職勧告決議案の本会議採決や、鈴木氏と井上裕前参院議長の証人喚問を求め、政府与党との対決姿勢を一層強める構えだ。7日の野党国対委員長会談を控え、小沢氏は重要法案の審議拒否も辞さない姿勢で連携すべきだと、鳩山氏に働きかけたと見られる。
両党は幹部は2月下旬、小泉政権打倒で戦略的に協力する「薩長連合」(菅直人民主党幹事長)を確認。先月末の参院新潟補選、衆院和歌山2区にも統一候補で共闘し、連携を強めてきた。 【堀山明子】[毎日新聞5月3日] ( 2002-05-03-19:26 )
民主党の鳩山由紀夫代表と自由党の小沢一郎党首は3日、長野県軽井沢町の鳩山氏の別荘で夕食をとりながら会談し、政権交代への結集を訴えた「小泉内閣倒閣への呼びかけ」の文書に署名した。また、両氏は政権交代後の両党の連立を視野に、有事法制関連3法案の対応を含めた安全保障政策に関する勉強会を始めて、安保政策での大筋合意を目指すことを確認した。
会談後、共同で記者会見した小沢氏は「安保政策で大筋に一致することが、国民に理解と安心感を与える」と述べ、両党連立をにらみ安保政策で一致する必要性を強調。鳩山氏は「有事3法案に民主党は対案か修正案かもまだ十分に議論できていないが、自由党の対案を勉強した方がいいと思う」と語った。
ただ、近く自由党が提出する有事3法案の対案に民主党として同調する可能性については「今はその環境にない」と述べた。
連休明けの国会で野党側が強く求める鈴木宗男衆院議員への議員辞職勧告決議案の本会議採決や証人喚問に関連して、鳩山氏は「厳しい姿勢で臨む」と語ったが、審議拒否まで踏み込むかについては議題にならなかったという。 【堀山明子】[毎日新聞5月3日] ( 2002-05-03-22:09 )