神道、仏教と大麻の深い関係考

 更新日/2017.1.25日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、大麻考その1をものしておく。「日本の仏教・神道における大麻」その他を参照する。

 2017.1.25日 れんだいこ拝


【神道、仏教と大麻の深い関係考】
 
※長吉秀夫著「大麻入門」(幻冬舎新書) より抜粋
 本書はこちらで紹介してあります

 日本で大麻を衣服や釣り糸や食用として使用した痕跡は、縄文時代に遡る。福井県の鳥浜遺跡からは1万年前の大麻の種が発掘されている。縄文土器の縄目は大麻の縄で付けられたものも多い。鳥浜遺跡からは大麻で作られた縄も発掘されているが、これは、大麻で作られた遺物としては世界最古のものである。

 …中略…大麻は天皇一族にとって、稲と並んで重要な植物であった。それは、強い生命力は魂の象徴であり、神の依り代と見られていたからである。大麻が神の依り代とされている神話の一つに、「天照大神の天岩戸隠れ」がある。ある日、素盞鳴尊(スサノオウノミコト)が暴れ回ったために、怒った天照大神は天岩戸に隠れてしまう。すると、世界中が真っ暗闇になってしまった。困った神々は、天照大神の気を引こうと、岩戸の前で詔を唱えたり、踊りを踊ったりする。その中の一神に、忌部氏の祖である天太玉命(あまのふとだまのみこと)がいた。天太玉命は、天照大神の気を引くために、大麻の先にいくつもの勾玉を綺麗に飾り付けて捧げ持っていた。岩戸の前に集まっていた神々によるパフォーマンスが最高潮に達し、まさに岩戸が開かれようとしたその時、天太玉命が捧げもっていた大麻の先に、一羽の鳥が舞い降りた。神々は、これを吉兆と見て大変喜んだ。そして、この鳥は天日鷲命(あめのひわしのみこと)という神となったのである。

 …中略…江戸時代。鷲神社の周辺では、ちり紙にも使われた浅草紙が大量に生産された。多くの紙すき業者たちは、紙の原料の一部でもある大麻と関係が深かった天日鷲命を祀り、自分たちの守護神とした。そして、この神社から、開運と商売繁盛の象徴である熊手を縁起物とする「酉の市」が始まったのである。

 …中略…大麻が神道で神の象徴であるという例の一つに、伊勢神宮のお札がある。このお札は「神宮大麻」という名で、現在は紙のお札であるが、その昔は大麻草が使用されていた。大正五年に神宮奉斎会本部が発行した『神宮大麻と国民性』によると、「大麻は之を仰ぎ崇敬の念を致すべき御神徳の標章」であると記している。また、家庭においても大麻を奉安し、朝夕家族で拝むことは、子供たちの教育上も多大な効果があるとしている。大麻を神棚に安置し、家族で拝するとは、現在では信じられない光景である。当時、神事の中で大麻を吸引していたか否かは定かではないが、基本的に神道における大麻の使用は、その美しい繊維の束を棒の先にくくりつけ、参拝する者の頭上や特定の場所などの穢れを祓う大麻(おおぬさ)や御幣(ごへい)であったり、聖域を囲む結界のための麻紐であったり、注連縄や神殿に吊るしてある鈴の縄として、現在も使用されている。神道では、「清浄」を重視しており、大麻は穢れを拭い去る力を持つ繊維とされている。

 …中略…神事として成立してきた相撲の横綱力士の綱も、神社の注連縄同様に大麻が使用されている。日本の国技である相撲は、現在ではスポーツとして捉えられているが、本来は神に捧げる行為であった。

 …中略…日本の仏教はインド伝来のヒンドゥー教の影響も強く受けている。例えば、シヴァ神は大黒天、ブラフマー神は梵天などとなって、日本でも深く信仰の対象となっている。インドからも度々日本へ僧侶が訪れていたようであり、彼らは神事の中で大麻を使用していたと考えられる。

 …中略…日本の仏教や神道や様々な祭りや伝統の中にも、大麻は深く関わっているのだ。一説によると、GHQが大麻規制のメモランダムを発行した背景には、大日本帝国の根幹である国家神道と大麻の関連性を重視し、精神的に日本人を矯正しようという考えがあったといわれている。軍国主義的なナショナリズムは歓迎しないが、日本人と日本文化を再認識するために、大麻についてもう一度見つめなおすことは大切ではないだろうか。
 2013/10/5、「「日本麻フェスティバルin吉野川」を見てきました 」。
 栃木での第1回目に続き第2回として徳島で開催された「日本麻フェスティバル」に行ってきました。隣接する鴨島町体育館と公民館で展示会と「日本麻文化フォーラム」と題して講演とパネルディスカッションが行われました。

 なぜ、徳島か?は、もちろん阿波忌部氏が麻文化の主役だったからです。現在、麻の栽培は法律の問題があり無許可でできないんですが、なにせ阿波は大嘗祭と麁服のために大麻が必需品なのですから、その国家的歴史的技術伝承のために、まず一定の規制を設けた上であっても栽培を再開継続する必要があります。そのへんは知事の政治力に期待したいところですが、まあ現段階では無理でしょうね。


 パネラーは、飯泉嘉門・徳島県知事、 木村悟・阿波スピンドル会長、中谷比佐子・きもの文化研究家大森由久・日本麻振興会会長、篠崎茂雄・栃木県立博物館学芸員、稲井瑛理香・高知大学学生、の各氏。知事は官僚の作文っぽい(元官僚)そつのない話の展開とまとめ方で優秀で無難な知事の姿を演出され、木村会長は一企業の代表の立場を超えて郷土史を深く解説され、大森氏も農業家をはるかに超えた活動と展望を示され、見るからに学芸員というルックスの篠崎氏は見事な学芸オタクぶりを展開され、たどたどしく初々しい稲井さんはまあ可愛いから良しとし、私的には中谷先生のお話がいわゆる経済活動の絡むニオイがしないピュアな文化と忌部の思想を教えていただいた点で満足度の高いものでした。今回のフェスが動画等で紹介されるかどうか分かりませんが、第一回での講演などはYouTubeで検索するとヒットしますから興味のある方はご覧下さい。







(私論.私見)