日月考

 (最新見直し2012.09.22日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 これから来る君へ」その他を参照する。

 2012.09.22日 れんだいこ拝 


【月論】

 月は、英語で Moon、羅: Lunaルーナ。ちなみに(Lunatic)ルナテックとは気が狂うの意味。

 地球の唯一の衛星(地球を回る天体)である。太陽系の衛星中で2番目に大きい。地球から見て太陽に次いで明るい。古くは太陽に対して太陰とも、また日輪(=太陽)に対して月輪(がちりん)とも言った。
月の直径は(3,474km。木星の衛星ガニメデ (5,262km)、土星の衛星タイタン (5,150km)、木星の衛星カリスト (4,800km)、イオ(3,630km) に次ぎ太陽系の衛星の中で5番目に大きい。惑星に対する衛星の直径比率で言えば、月は地球の約4分の1強であり、ガニメデが木星の約1/14、タイタンが土星の約1/12であるのに比べて桁違いに大きい。従来、地球に対する月は、衛星としては不釣合いに大きいので二重惑星とみなす意見もあった。月の直径は地球の4分の1強、質量でも81分の1に及ぶからである。月と太陽の見た目の大きさ(視直径)はほぼ等しく約0.5度である。したがって、他の惑星の場合とは異なり、太陽が完全に月に覆い隠される皆既日食や、太陽の縁がわずかに隠されずに環状に残る金環日食が起こる。月の形状はほぼ球形だが、厳密にはわずかに西洋梨形をしている。月面の最高点は平均高度より+10.75km、最低点は-9.06kmで、共に裏側にある。質量はおよそ地球の0.0123倍 (1/81)。表面積(3793万km2)は地球の表面積の7.4%に相当し、アフリカ大陸とオーストラリア大陸を合わせた面積よりもわずかに小さい。また、日本の国土面積の約100倍である。

 
月と地球のミニチュアモデル月と地球の間の距離は38万4,400km、これに対し地球の直径は1万2,756km、月の直径は3,474km。アメリカ合衆国のアポロ計画やソ連のルナ計画で月面に設置された反射鏡に地球からレーザー光線を照射し、光が戻ってくるのに要する時間を計れば月までの距離を正確に測定できる。この測定はLLR(Lunar Laser Ranging, 月レーザ測距)と呼ばれ、1969年にアメリカのマクドナルド天文台で初めて行われた。地球中心から月の中心までの平均距離は38万4,403kmであり、地球の赤道半径の約60.27倍である。21世紀に入ってからも各国の天文台で測定が続けられており、月は平均して1年あたり3.8cmの速さで地球から遠ざかっていることが明らかになっている。月は、太陽系の惑星やほとんどの衛星と同じく、天の北極から見て反時計周りの方向に公転している。軌道は円に近い楕円形。自転周期は27.32日で、地球の周りを回る公転周期と完全に同期している(自転と公転の同期)。つまり地球上から月の裏側を直接観測することは永久にできない。これはそれほど珍しい現象ではなく、火星の2衛星、木星のガリレオ衛星であるイオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト、土星の最大の衛星タイタンなどにも見られる。ただし、一致してはいても、月の自転軸が傾いていて軌道離心率が0ではないので、地球から見た月は秤動と呼ばれるゆっくりとした振動運動を行なっており、月面の59%が地上から観測可能である。 


【月の地球に対する影響】

 月の重力は地球に影響を及ぼし、潮の満ち引きを起こす(潮汐作用)。なお、月よりも格段に大きい質量を持つ太陽も潮汐作用を起こし地球に潮汐力を及ぼすが、地球からの距離が月より遠距離にあるため、その影響力は月の力の半分程度である。

 月の潮汐作用により、主に海洋と海底との摩擦(海水同士、地殻同士の摩擦などもある)による熱損失から、地球の自転速度がおよそ10万年に1秒の割合で遅くなっている。また、重力による地殻の変形を介して、地球-月系の角運動量は月に移動しており、これにより、月と地球の距離は年間約3.8cmずつ離れつつある。この角運動量の移動は、地球の自転周期と月の公転周期が一致するまで続くと考えられるが、そこに至るまでにはおよそ50億年を要する。

 逆に言えば、かつて月は現在よりも地球の近くにあり、より強力な重力・潮汐力の影響を及ぼしており、また地球(および月)はより早く回転していた。サンゴの化石の調査によれば、そこに刻まれた日輪(年輪の日版)により、4億年程前には1日は約22時間で、1年は400日程あったとされる。


【月の起源】

 月がどの様につくられ、地球を巡る様になったかについて古くから3つの説が唱えられてきた。

親子説(分裂説・出産説・娘説)
自転による遠心力で、地球の一部が飛び出して月になったとする説。
兄弟説(双子集積説・共成長説)
月と地球は同じガスの塊から、同時に作られたとする説。
他人説(捕獲説・配偶者説)
別の場所で形成された月と地球が偶然接近した際、月が地球の引力に捉えられたとする説。

 いずれの説も現在の月の力学的・物質的な特徴を矛盾なく説明することができなかった。まず、親子説では地球-月系の現在の全角運動量を原始の地球だけが持っていたとは考えにくかったし、他人説では広い宇宙空間を行く月が地球から丁度良い距離に接近して引力に捉えられる可能性が低かった。アポロ計画により採取された月の石の分析結果から地球のマントルと月の石の化学組成や酸素同位体比が似ている事が判明したが、兄弟説や他人説ではそうなる理由を説明できなかった。一方で、月の石の放射性炭素年代測定により、月は約45億5000万年前に誕生し、また35億年前までは小天体の衝突が多発していたことが判明した。それらを踏まえ、有力とされるようになったのが巨大衝突説である。

 巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)
月は地球と他の天体との衝突によって飛散した物質が地球周回軌道上で集積してできたとする説。地球がほぼ現在の大きさになった頃、火星程の大きさの天体 (テイア) が斜めに地球へ衝突し、その衝撃で蒸発・飛散した両天体のマントル物質の一部が地球周回軌道上で集積して月が形成されたとする。最近の研究では、衝突から1ヶ月程度で現在の月が形成されたと考えられている。

 この説を用いると、月の比重 (3.34) が地球の大陸地殻を構成する花崗岩(比重1.7 - 2.8)よりも大きく、海洋地殻を構成する玄武岩(比重2.9 - 3.2)に近いこと、地球と比べて揮発性元素が欠乏していること、地球やテイアのマントルを中心とする軽い物質が集積した月のコアが小さいこと、月の石の酸素同位体比が地球とほとんど同一であること、月の質量が現在程度になること、月と地球の全角運動量が現在程度でも不思議はないことなどについて矛盾なく説明することができる。


【月齢と呼び名】
 地球から見て、太陽と月が同じ方向にある瞬間を、朔(さく)又は新月という。日本や中国の旧暦で用いられた太陰暦・太陰太陽暦では、朔を含む日を月初(第1日)とする。朔からの経過時間を日単位で表した数値を月齢という。朔の瞬間を月齢0として、朔を含む日(朔日)を「1日」とするため、日本で用いられる旧暦の日付は、その日の午前0時の月齢に1を足したものとなる。なお、通常、カレンダー等で示される月齢は、当日正午時点の数値である。例えば、2009年9月19日は日本標準時午前3時44分に朔となるため、この時点が月齢0となり、同日は旧暦8月1日となる。朔から24時間後の同年9月20日午前3時44分には月齢1となる。カレンダー等で示される月齢は、それぞれ正午時点での数値となるため、2009年9月19日は月齢0.3、翌20日の月齢は1.3となる。

 
月には、月相(月の満ち欠け)に応じて、様々な名称がある。まず、天文学的に用いられる名称としては、「朔、上弦、望、下弦」の4つがある。太陽と月の黄経差が、それぞれ0度の状態を朔、90度を上弦、180度を望、270度を下弦と呼ぶ。なお、月相は通常0度から360度までの角度で示されるが、月齢との比較を容易にするため、0度から360度までの角度を0から28までの整数の値に換算して示すことがある。この場合、朔は0、上弦は7、望は14、下弦は21となる。この月相の数値と月齢は必ずしも一致しない(詳細は月相を参照)。

 このほか日本では、旧暦の日付に対応する名称(三日月、十三夜の月、十五夜の月、十六夜の月など)や月が見える時間帯に関する名称(立待月、居待月、寝待月、夕月、有明月など)、形状に対応する名称(満月、弦月、半月、弓張月など)、年中行事に関連する名称(芋名月、栗名月)など、月には多くの名称(月名、げつめい)がある。

 旧暦15日の月(ほぼ満月)は日没頃に昇り、以後数日間も夜間に上るため月見に適しており、特に様々な名称が付された。日没後しばらくしてから上る旧暦16日の月は「いざよい」(ためらう、なかなか進まないの意)、以後、「立待」(立って待っていると出てくる)、「居待」(座って待っていると出てくる)、「寝待」(寝て待っていると出てくる)、「更待」(ふけまち。夜が更けてから出てくる、あるいは更に待つと出てくる)と、月の出が遅くなるごとにふさわしい名称が付けられている。なお、「夕月」は日没前後に見える月の総称であり、「有明の月」は明け方になってもまだ残っている月の総称である。

 月は毎日平均約50分ずつ遅れて出るため、「月の出」がない日や1日に2回起こる日がある。そのため、月の呼び名は、旧暦の日付ではなく朔日を1とする「月の出」の回数(月の出数)によって決められる。そうしないと欠番が出たり、同じ月でも地域により呼び名が異なったりするからである。なお、月の出の時刻が0時前後になる旧暦の24日ごろ以降は、旧暦の日付と月の呼び名が1日ずれるので注意が必要である。「月の出がない日」といっても、その日に「月の出」がないだけで月が見えないわけではない。その日が始まる午前0時には既に月が出ているので、東から月が出る「月の出」がないのである。


 和暦や中国暦の太陰太陽暦では、月の約29.5日の周期を大の月(30日間)と小の月(29日間)で調整する。このため、毎年月ごとの日数が異なり、煩雑で記憶できない。そこで、毎年、暦(大小暦)を作成して参照した。日本では、大小暦に絵を描いたものが、後に浮世絵になった。

 月の初日(1日)は「朔日(ついたち、さくじつ)」と呼び、月の最終日(29日又は30日)は「晦日(みそか、つごもり)」と呼ぶ。「ついたち」とは「月立ち(つきたち)」、「つごもり」は「月隠り(つきこもり)」が音変化した語である。また、一年の最終月の最終日(29日又は30日)は、「大晦日(おおみそか、おおつごもり)」である。

 日本の童謡の「お月さん幾つ、十三ななつ」はこれだけでは意味不明であるが、沖縄民謡の童謡「月ぬかいしゃ」に由来するとの見方がある。そこでは「月ぬかいしゃ、10日3日。みやらびかいしゃ10ななつ」とあり、13日の月、つまり成熟前が美しいとの意とされ、月齢を年齢になぞらえている。


【月の満ち欠けの形とその名称考】
 日に日にその姿を変え、私たちの目を楽しませてくれる月。その「月の満ち欠けの形
とその名称」は次の通り。(「月の満ち欠け図」参照)
月の形 月の名称(よみ)、別名称、解説
旧暦1日の月  旧暦1日の月で、朔日(ついたち)。新月(しんげつ) 、朔(さく)とも云う。太陽と月と地球が一直線上に並び、月の暗い部分が地球に向くためその姿を見ることはできない。
2日  旧暦2日の月で、二日月(ふつかづき)。繊月(せんげつ)とも云う。夕暮れ時、西の空に見えるか見えないかくらいの極細の月。
3日  旧暦2日の月で、三日月(みかづき)。「月の剣」「月の眉」とも云う。夕暮れの西の空に見える月。大きさや傾きは毎月かわる。
4日
5日
6日
7日
8日  旧暦7−8日頃の月で、上弦の月(じょうげんのつき)。半月、弓張月( ゆみはりづき)とも云う。夕暮れ時、真南に右半分が輝いて見える月。
9日
10日
11日  旧暦10−11日頃の月。
12日
13日  旧暦13日の月で、十三夜月(じゅうさんやづき)。旧暦9月13日の月は、この頃収穫される豆や栗を供えて月見をすることから「豆名月」とか「栗名月」とも云う。十五夜の月に次いで美しい月といわれている。これから満ちる縁起のよい月。
14日  旧暦14日の月で、待宵(まつよい)月。小望月(こぼうげつ、こもちづき)とも云う。先人は満月前夜の月にこの名前を付けて愛でた。
15日  旧暦15日の月で、十五夜月(じゅうごやのつき)。満月、望月、望とも云う。夕暮れ時に上るまん丸の月。一晩中、夜道を明るく照らす満月は、昔の人々の大きな助けとなった。十五夜の月と満月は必ずしも一致しないが、月齢からの推測が簡単なため、十五夜の月=満月と呼ぶ。(旧暦15日の月) 太陽と地球と月が一直線上に並んだ時におこる。なかでも旧暦8月15日の月を「中秋の名月」と呼び鑑賞する慣わしがある。ススキや秋の七草を飾り、月見だんごやこの頃収穫される里芋を供えることから芋名月(いもめいげつ)とも云う。
16日  旧暦16日の月で、十六夜月(いざよいづき)。「いざよう」とはためらうという意味で、十五夜よりは少し遅く、ためらいがちに出てくるのでこの名がある。
17日  旧暦17日の月で、立待月(たちまちづき)。十七夜月とも云う。山の端に出る月を「今か今かと立って待つうちに月が出る」の意味。
18日  旧暦18日の月で、居待月(いまちづき)。立待月より月が出るのが少し遅くなるので「居間などに座って待つ」の意味。ゆったりと出迎える風情豊かな月です。
19日  旧暦19日の月で、臥待月(ふしまちづき)。月の出が遅く、寝て待つほどという意味から寝待(ねまち)月とも云う。居待月よりさらに月の出が遅くなって、「臥しながら待つ」の意味。
20日  旧暦20日の月で、更待月(ふけまちづき)。臥待月よりさらに月の出が遅くなって、午後10時頃となるため「夜が更けるのを待つ」の意味。夜更けまで待ってようやく出てくるお月様。十五夜の月以降、十六夜月(いざよいづき)、立待月(たちまちづき)、居待月(いまちづき)、寝待月(ねまちづき)、更待月(ふけまちづき)と1日ごとに月に名前が付けられている。
21日
22日
23日  旧暦22−23日頃の月で下弦の月(かげんのつき)。半月、弓張月、二十三月とも云う。真夜中に東の空から上り左半分が輝いて見える。上弦の月とともに弓張月の名がある。
24日
25日
26日  二十六夜。旧暦26日月。有明の月とも云う。午前1時〜3時頃にようやく出てくる。この月を待つ「月待ち」の慣習があった。これを「二十六夜待」といった
27日
28日
29日
30日  晦日(つごもり)。旧暦30日月。三十日(みそか)とも云う。

【十五夜のお月様考】
 「十五夜のお月様」は毎月15日の月のことを云うので年に12回ある。但し、旧暦の行事なので、現行の太陽暦(グレゴリオ暦)の暦の15日とは違う。1872(明治5)年に太陽暦に改暦されて以来、「中秋の名月」は毎年変化している。そのうち、「旧暦8月15日の十五夜のお月様」が「中秋の名月」、「端正の月」、「芋名月」と呼ばれ、空気が澄んだ中秋の満月中の満月と云われており、相当古くから月を鑑賞する行事が伝わっている。「中秋の名月」は、秋(旧暦7・8・9月)の真ん中(最中、もなか)にあたることから「中秋」と呼ばれている。

 この日の月見の日には、縁側にススキを飾り、おだんごやお餅(中国では月餅)、サトイモなどをお供えして月を眺める。これは「十五夜のお月様はウサギが餅つきをしている」と見られていたことに関係しているように思われる。あるいは月を愛でながら即興で和歌を詠み、その出来を評価しあって酒を飲んで楽しんでいた。月を見ながら飲むお酒のことを月見酒と云う。9月13日にも月見をする風習があり、こちらは「十三夜」、「後の月」、「栗名月」とも呼ばれている。十三夜には、月見団子の他に栗や枝豆をお供えする。

 月を詠んだ名歌は次の通り。
詠み人知らず  月月に 月みる月は おおけれど 月みる月は この月の月
藤原道真
みちざね
 この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば
源順
 池の面に 照る月なみを 数ふれば 今宵ぞ秋の 最中(もなか)なりける
 (読み解き)さざ波立つ水面に映る月が、今晩はひときわ美しい。そう、今宵は中秋の名月なのだった。源順(みなもとのしたごう)は平安時代の歌人で拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)の撰者にして三十六歌仙の一人。
大江千里
 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど
 (読み解き)月を見ていると、あれもこれも悲しくなってくる。私一人に訪れる秋ではないけれど。
左京大夫顕輔
 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ
 (読み解き)秋風に吹かれ流れる雲の隙間から、もれ出る月の光。その澄み切った美しさといったら……。百人一首に詠まれた秋の月の歌。
読み人しらず
 月草に 衣はすらむ 朝露に 濡れての後は うつろひぬとも
 (読み解き)月草の汁で衣を染めましょう。朝露に濡れるとすぐに色が褪せてしまうのですが、それでも私はかまわないのです。月草のように心変わりしやすいあなたでも、愛しています。
紀貫之
 忍ぶれど 恋しきときは あしひきの 山より月の 出でてこそくれ
 (読み解き)我慢できないほどあなたが恋しいときは、山から月が出てくるように、私もあなたのもとを訪れるのです。
芭蕉  名月や  池をめぐりて 夜もすがら 
蕪村  菜の花や 月はひがしに 日はにしに
小林一茶  名月を とつてくれろと 泣く子かな

 「十五夜お月さん(作詞:野口雨情/作曲:本居長世)」は次の通り。
 十五夜お月さん ご機嫌さん 婆やは お暇(いとま)とりました

 十五夜お月さん 妹は田舎へ 貰られてゆきました

 十五夜お月さん 母(かか)さんにも一度 わたしは逢いたいな

 「うさぎ( わらべうた)」は次の通り。
 うさぎ うさぎ なにみてはねる 十五夜お月さま みてはねる

【月齢と人間的事象の関連の有無】

 現代においても、月齢が、人間の生理的、精神的な事象(例えば出産や、自殺、殺人、交通事故の起こりやすさ等)に影響を及ぼしているという説が語られることがある。 これについては議論が多いようである。

 古代ギリシア 古代ギリシアの人々は、月をすでに観察していて、月食が起きるのは満月の時であること、また月食時に月の表面に丸い影が徐々に現れることを観察して、それらのことからその影というのは自分たちの住む地の影で、地は球体であると推定したといい、アリストテレースの時代(紀元前4世紀ころ)には、その知識はギリシア世界では広くゆきわたっていたという。アリストテレースも地球の周りを月、太陽、および他の惑星が回っているという宇宙論を説いた(地球中心説)

 ギリシア神話の月の女神は元々セレーネーであるが、後にアルテミスやヘカテーと同一視され、月が満ちて欠けるように3つの顔を持つ女神とされるようになった。ローマ神話ではルーナがセレーネーと、ディアーナがアルテミスと同一視されたので、ここでも月神は2つの顔を持つとされた。これらの神々は一般にあまり区別されない。ルーナ Luna の名はロマンス語ではそのまま月を表す普通名詞となった。また、英語などではセレーネーから派生した selen-, seleno- という月を表す語根・接頭辞が存在する。元素周期表でテルル(地球)の真上に位置し、あとから発見されたセレンはこの語根から命名された。





(私論.私見)