貴乃花親方自作自演失脚事件考その4

 更新日/2017(平成29).12.28日

 12.20日、大相撲の元横綱日馬富士関の暴行問題で、日本相撲協会の臨時理事会が東京・両国国技館で開かれ、危機管理委員会の調査結果報告を受けて、関係者の処分について協議し、理事会後の記者会見で八角理事長(元横綱北勝海)が処分内容を明らかにした。
元横綱日馬富士は「引退勧告相当」。
現場にいながら暴行を止められなかった横綱白鵬は「来年1月の給与不支給、2月の給与減額50%」。「最高位の横綱でありながら、目の前で起きた同じ横綱の暴力を防ぐことができなかったことにあります。白鵬は第一人者でありながら、暴力を防げず、大相撲の信用失墜を招きました。その責任は軽くないと考えました」。
同じく横綱鶴竜は「1月の給与不支給」。「責任の程度は若干軽いと言えるので処分に差をつけた」。
 同じく現場にいた力士のうち照ノ富士、石浦については、鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)から注意。
元横綱の師匠で理事の伊勢ヶ浜親方は、理事を辞任。1階級降格の役員待遇委員にする。
八角理事長は自ら「問題全体の責任がある。理事長の残り任期の3か月間の報酬を全額返上する」。
秋巡業中の出来事ながら巡業部長としての報告義務を怠った貴乃花親方については、本人の聴取ができておらず、この日の処分を先送りとし、28日に臨時の理事会と評議員会を開催して処分などを協議する。
 貴乃花親方が、「巡業部長としてきちんと対応していたので、批判されることはない」との内容の文書を配った。しかし、再発防止策について、高野危機管理委員長が全員に意見を求めたところ、貴乃花親方は何も答えなかった。
 また、協会危機管理委員会(高野利雄委員長=元名古屋高検検事長)の調査報告には、被害者の平幕貴ノ岩関の聴取を終えたことが明記された。高野委員長は貴乃花親方の聴取についても「なるべく早い時期に日程を合わせてやると双方で合意している」と述べた。相撲協会は、28日の臨時理事会までに貴乃花親方の聞き取り調査を行ったうえで処分を検討することにしている。なお、相撲協会は21日午後、協会員全員を集め、暴力問題の再発防止についての研修会を開く。
 幕内貴ノ岩について、来年初場所(1月14日初日、東京・両国国技館)を全休しても、診断書を出せば例外的に十両の最下位にとどめる救済措置を取ることを決めた。貴ノ岩は11月の九州場所を全休し、来年初場所の番付では十両に転落することが確実。2場所連続で全休となれば、通例なら3月の春場所では幕下まで落ちる。鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)は、「貴ノ岩は現在入院中で、暴力被害の後遺症があるということ。一方的な暴力を受けた被害者なので、協会全体として守るべき力士だと理事会で確認した」と語った。
 12.21日放送のフジテレビ系「とくダネ!」で大相撲の元横綱・日馬富士の貴ノ岩への暴行問題を受け、開かれた日本相撲協会の臨時理事会を特集した。相撲取材歴30年の横野レイコリポーター(55)の取材によると、貴乃花親方が自らが作成した150ページの報告書が日本相撲協会危機管理委員会が提出した報告書の下に重ねて配布されたという。これを見た八角理事長は「これ何ですか」と聞くと、貴乃花親方は「これです。ここに書いてあります」と発言したという。報告書には「貴ノ岩の病状とか気持ちが書いてあった」、「『(自分が)批判されることはない。巡業部長としての責任を果たしている』といった弁解書のような内容が記されていた」。会議中に全員目を通す時間が設けられ、終了後に回収された。

 八角理事長が「再発防止策についてみんなで意見を出し合おう」と提案し、理事全員に防止策を尋ねたが「貴乃花親方は?」と聞くと「何もないです」と話したという。

 このやり取りを横野リポーターは「今回のことで暴力はいけないと立ち上がった親方が何もないですと言ったのは私もビックリしました」と指摘していた。この発言に笠井信輔アナウンサー(54)は「貴乃花親方はまだ納得いっていないことがあって。本当に怒っている人って口を開かないじゃないですか。自分に求められて自分が答えたことで、じゃぁそれで行きましょうって、そういう話じゃない、あなたたちが考えてくださいと…」と見解を示すと、横野リポータが「それは違うんじゃないですか」と割って入り、「協会の理事として、これから全体で再発防止を一丸となってやっていかないといけない。意見を出しましょうってアイデアを出しているんですよ。そこで理事なのに意見を言わないのは処分うんぬんの問題じゃないと思います」と反論した。これに笠井アナは「恐らく自分が被害を受けた被害者側の親方であるので、みなさんで話し合ってもらいたい」と返すと、横野リポーターは「それは話し合ったじゃないですか」と再び反論した。笠井アナは「そこで自分が何もないっていうのは、自分がしゃべることで自分がしゃべった方向で物が進むこと。そういう簡単なものではないんじゃないかっていうものがあるんだと思う」と示した。2人の激論にスタジオは緊迫。小倉智昭キャスター(70)は「ただ、一番の当事者であることは間違いないんで、その親方が何も話さないのはどうなのかということ」とまとめていた。

龍神総宮社祭主、辻本公俊氏の貴乃花親方論
 龍神総宮社(京都府宇治市)の祭主、辻本公俊(よしとし)氏の貴乃花親方論」。
 元横綱日馬富士(33)による暴行事件発覚以降、日本相撲協会は再三、被害者の貴ノ岩(27)への聴取を要望しているが、断固拒否し続けているのが師匠の貴乃花親方(45)=元横綱。同親方の心境を、有力支援者である龍神総宮社(京都府宇治市)の祭主、辻本公俊(よしとし)氏(65)が解き明かす。 (聞き手・山戸英州)

 --貴乃花親方の人柄は

 「ええ人柄。ただ、相撲道1本の人やから、不器用。器用な人間やったら、こんなならへんて」

 --協会に非協力的な姿勢を貫いている裏には、昨年3月の理事長選に出馬した際、現理事長の八角親方(元横綱北勝海)に敗れ、それ以降あつれき、不信感があるといわれている

 「賢い人間やったら、暴行事件も『理事長、こんなことありましたけど、どうしましょ?』言うて“貸し”をつくるよ。協会の引いた線に乗って(穏便に収める)。理事長選に敗れてから、執行部から外れて巡業部長になって“蚊帳の外”でしょ。まな弟子(貴ノ岩)がこうなって、ある意味でチャンスや。ワシやったら(鳥取県警に)届けへんわ」

 --角界の改革派であり少数派でもある貴乃花親方は、理事の中でも孤立気味といわれる

 「普段の理事会でも、(貴乃花)親方が意見言っても、なしのつぶてですよ。その事情を見とるやつも言うとるしね、『かなわんな、いかんな』って。協会側がそういう姿勢やから、親方が黙して語らずでも、しゃあないでしょ。とりあえず刑事問題が起訴、不起訴が出るまでは」

 --白鵬を頂点とするモンゴル勢との考え方の違い、あつれきもある

 「相撲道がだんだん緩まって、何でもありになっとるもん。そういう相撲界になってること自体、僕らは貴乃花親方を含めてね、嘆いてますよ。場所中、いや巡業中といえどもさ、人目につくところでジャージーはあかんでしょ。浴衣って決まっとるもんやろ、昔から、相撲取りは。ジャージーを許しとること自体おかしい。部屋で着るのはかめへん。人目につくところは絶対ダメですよ。特に横綱は。それを(白鵬らがジャージーの背中に)『MONGOLIAN TEAM(モンゴリアン・チーム)』って書いて。調子に乗りすぎたね。白鵬を筆頭に。だから貴乃花親方との確執とか言われるんですよ。角道があるのや。それを崩さへんから伝統芸能は100年、200年と続くんですよ。崩したら続きませんよ。角界の伝統をちゃんと守らな。『いや、いま風にしよう』とか、しょうもないことテレビがいうとったけどね、バカちゃうかなと思う」

 --貴乃花親方は

 「親方は武士道と変わらんよ。もののふと同じ様なつもりで『やっぱり協会をようせなアカン。相撲好きやからみんなに親しまれる、いい相撲にならなアカン』って一生懸命頑張ってるんですよ。だから僕は変わらず応援していくし春場所のときはここ(龍神総宮社)に宿舎を提供します。こんな素晴らしい親方いいひんもん。そこにほれてワシはファンになっとるんやから」。


【協会と親方と力士の三者関係論】
 12/20日付八幡 和郎「貴ノ岩を雇用しているのは貴乃花でなく相撲協会だ」参照。

 力士、親方、協会の三者関係の法的考察が必要であることを喚起している。力士を雇用しているのは相撲協会であり懲戒権も持っている。この契約の法的性格が労働契約なのか準委任契約なのかについては争いがある。八百長問題で解雇された力士が解雇の効力を争った裁判などでは、力士は、「役務提供契約の法的性質は労働契約であって、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず無効である」と主張し、日本相撲協会側は、「準委任契約である」、「民法の定めに基づき、いつでも原告との契約を解除することができる」と主張した。この裁判では、法的性格について明確な判断を示さずに、どっちにしても解雇は有効だとしている。ならば親方の権限如何。親方とはなんなのかというと、はっきりしない。タニマチからの援助は親方を通じて入って、力士との取り分で紛争も絶えない。力士の居場所も分からない、場所にも巡業にも出られないほどの怪我なのかノイローゼなのか分からないとしたら、これに責任があるのは親方なのか協会なのか。治療の必要があるのに、それが受けられないとすれば、それを受けさせる義務がある。所在を把握するために場合によっては警察に捜査願いを出す義務もある。こういう議論を、マスコミがしていないのも、監督官庁たるスポーツ庁がしどうしていないのも不思議で職務怠慢だと思う。

【日本相撲協会が暴力根絶研修会開催】
 12.21日、八角理事長「何げない気持ちでやった暴力が組織揺るがす」 研修会で根絶訴え。日本相撲協会が、大相撲の元横綱日馬富士の暴行事件を受け、両国国技館で再発防止に向けた研修会を開き暴力根絶へ意思統一を図った。八角理事長(元横綱北勝海)は「何げない気持ちでやった暴力が、組織を揺るがすようなはめになってしまう」と厳しく指摘し、自覚ある行動を訴えた。非公開の発言を春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)が明らかにした。研修会は力士、親方ら全協会員が対象で、約1000人が参加。公開された冒頭部分で理事長は「こういう問題が起こってしまったことについて大変申し訳なく思っている」と謝罪した。横綱稀勢の里は「自覚を持って、社会人としてしっかりした行動をしていかないといけない」と表情を引き締めた。白鵬と同じく同席して減給処分を受けた横綱鶴竜や、事件の被害者である平幕貴ノ岩の師匠、貴乃花親方(元横綱)も出席した。白鵬は、研修会終了後に取材に応じ、「改めて暴力はいけないという認識を、私自身もそうですし、若い力士も持ったんじゃないか。頑張っていくだけです」と述べた。

【錣山親方(寺尾)と湊親方(湊富士)、立田川親方(豊真将)が時津風一門離脱表明】
 12.21日、大相撲の錣山親方(元関脇寺尾)と湊親方(元幕内湊富士)が、所属する時津風一門を離れることが分かった。18日に開かれた同一門会で意向を伝えていた。両親方は、一門外の貴乃花親方(元横綱)を支持してきた。錣山親方の弟子の立田川親方(元小結豊真将)も行動を共にする。

【藤田紀子毒舌】
 12.21日、フジテレビ系「バイキング」で、大相撲の元横綱・日馬富士の貴ノ岩への暴行問題を受け、開かれた日本相撲協会の臨時理事会を特集。その中で、肘をぶつけるような「かち上げ」「激しい張り手」などを多用する横綱・白鵬の取り口に苦言が多数寄せられていることが紹介された。MCの坂上忍(50)が「“横綱の品格”といいながら、白鵬の取り口を(相撲協会は)容認、放任してきた」と指摘すると、藤田紀子(70)は「取組だけではない、“奥にあるもの”も相撲協会は一切注意しない。そういう方(白鵬)を選んだ横綱審議委員会はどうかと思う。品格・力量だって数字で出ますけど、その数字が果たして本物かどうか見て欲しい」と厳しく意見した。元関取の維新力浩司(56)は「白鵬のかち上げはまさしくエルボー。横綱としては見苦しい。どんと受けて、どこからでもかかってこいというのが横綱相撲。張り差し、だめ押しもどうかな」と分析した。坂上から「“奥にあるもの”というのはなんなのですか」と問われた維新力氏が答えに窮すると、藤田は「みんな言えないんです。すべての方(相撲関係者)が知っている」と言及。曜日MCのフットボールアワー・後藤輝基(43)が「そんなに言えないことだらけですか」と驚くと、藤田は「そうじゃないですか。私が言ったら大変なことになるからがまんします」と語った。

【能町みね子が貴乃花親方の思想について「ちょっと危ない」】
 12.21日、「能町みね子氏、貴乃花親方の思想について「ちょっと危ない」」。
 ざっくり言うと、能町みね子氏が16日放送のラジオで、貴乃花親方について語った。協会と対立する貴乃花親方の思想について「ちょっと危ない」とコメント。貴乃花部屋の一部力士が右傾化していることなどを訴えた。

 能町みね子、貴乃花部屋の「右傾化」主張 親方のメールは「大日本帝国みたいな感じ」

 相撲愛好家として知られるコラムニストの能町みね子さんが、週刊誌のコラムやラジオ番組などで、日本相撲協会執行部との対立が表面化している貴乃花親方(45)の「思想」について繰り返し言及している。能町さんは2017年12月16日放送のラジオ番組「TOKYOナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ)に出演。「貴乃花親方はちょっと危ない」と切り出し、貴乃花部屋の一部力士が右傾化しているなどと訴えた。

 初場所休場は「貴ノ岩のためなのか」

 このラジオで能町さんはまず、元横綱日馬富士による暴行事件の被害者・貴ノ岩の休場が続いていることを疑問視。貴乃花親方が18年1月の初場所を全休させる意向だと報じられている点について、「復帰させる気がないのかって。それは貴ノ岩のためなのか」とコメントした。その上で能町さんは、週刊朝日(17年12月22日号)が報じた、貴乃花親方が11月末に支援者に送ったとされるメールについて、「これがちょっととんでもないシロモノで。以前から私が危惧していたことが明らかに書いてあって」と切り出した。週刊朝日が全文を掲載したメールの中で、貴乃花親方は相撲協会のことを「陛下のお言葉をこの胸に国体を担う団体」と表現。また、「角道、報道、日本を取り戻すことのみ私の大義であり大道であります」との一文もあった。こうしたメールの内容について能町さんは、「大日本帝国みたいな感じになっていて、軍隊とか、もう昭和の戦中のような文章」だと指摘。続けて、「(貴乃花親方が)個人の考えとして思っている分には責めようがないですけど、弟子を預かる親方がこういうことを言っているとなると、弟子にも当然影響するわけですよね。実際、影響受けてるんですよハッキリ言って」とも訴えた。一部の弟子が貴乃花部屋に入った後、ツイッターのプロフィール写真を「旭日旗」に変えたり、「かなり極右に近い人」の投稿をリツイート(拡散)するようになった、と明らかにしたのだ。

 「絵に描いたように右傾化してしまい...」

 能町さんは、貴乃花親方から思想的な影響を受けた力士について、週刊文春(12月14日号)のコラムの中でより詳細な事情を明かしている。双子力士の兄・貴公俊(20、幕下)と弟・貴源治(20、十両)の2人が、「右傾化した」などと指摘しているのだ。コラムによれば、14年頃までは2人のツイッターでの発言は「ふつうの明るい若者という感じ」だった。しかしその後、投稿の内容は一変し、旭日旗の画像や「日本人としての誇り」などの言葉が目立つようになったという。特に、弟の貴源治のツイートについては、「絵に描いたように右傾化してしまいました」と振り返っている。こうした貴乃花親方による弟子への思想的影響の可能性を挙げた上で、能町さんはコラムを次のような文章で終えている。「貴乃花親方はどうか有望な弟子を変な方向へ導かないでほしい。親方は弟子にとって父親なんですから......」。なお、上述してきたラジオ番組で能町さんは、番組MCのお笑いコンビ「ナイツ」の土屋伸之さんの「この先、貴乃花親方は弟子たちをどうしていきたいんでしょうか」という質問に答える形で、「こうなってくると、結構民族主義みたいな感じじゃないですか。日本第一みたいな。そうなると、なおさら貴ノ岩ってモンゴル出身だから、はたしてどう思っているの?というのがすごく不安になってくる」と心配の言葉も口にしていた。そのほかにも能町さんは、ツイッターでも貴乃花親方の思想を否定的に捉えるツイートを何度も繰り返している。こうした貴乃花親方の思想をめぐる能町さんの一連の主張について、ツイッターやネット掲示板では、「能町の懸念は正しい」と共感するような意見が出る一方、「個人の思想が傷害事件に何の関係があるのかわからん」と否定的な見方も出ている。


【貴乃花親方“角道”の行き着く先は土俵利権】
 12.21日付月刊ゲンダイ「処分持ち越しも 貴乃花親方“角道”の行き着く先は土俵利権」。
 日馬富士暴行事件の貴乃花親方(45)への処分は、20日に国技館で行われた理事会でも決まらなかった。巡業部長である貴乃花親方が今回の冬巡業に帯同しなかったのは、事件への対処を優先するためだった。にもかかわらず、執行部からの電話に出ないばかりか、居留守まで使って協会との接触を拒んだ。18日には都内で一門会を開催。一門の士気を高めたといわれるその会合も含め、何かというとクチにするのが「大役」「大義」「角道」「改革」といった言葉だ。しかし、これまでの貴乃花親方の言動を振り返ると、それらの単語も薄っぺらなものに聞こえてくる。

 「土俵利権ってのはスゴいんですよ」。貴乃花親方はかつて親しい人に、目をギラギラさせながらこう言ったそうだ。相撲協会の要職に伴う利権がいかにデカいかということを言いたかったのだろう。一昨年12月、八角理事長がまだ、理事長代行だったときの話だ。それまで協会内部の事務方を一手に仕切り、パチンコ業者との契約の際に500万円の裏金を受け取った裏金顧問が、ある会社の債券を70億円分購入しようと画策。「法律で決められたこと。内部留保がこんなにあると受け取られてしまう。内閣府にもスポーツ庁にも指導されている」とウソまでついて、八角理事長代行に持ち掛けた事件があった。「このとき裏金顧問と一緒になって債券を購入すべきだと主張したのが貴乃花親方だった。その年の12月18日の理事会で債券を買うべきだと強く訴えたのです。もちろん八角理事長代行は阻止しましたが、債券購入に積極的だったのは裏金顧問よりむしろ貴乃花親方の方だったと聞いています」とは、ある親方。この親方によれば「貴乃花親方は本来、入札で業者が選定されるべき事業を、自分の太いタニマチに請け負わせようと動いたこともあった」そうだ。

 ■裏金顧問と一緒に

 貴乃花親方が今回、執行部に対して露骨に刃を向けているのには理由がある。暴行事件を利用して執行部にダメージを与え、協会内部のパワーバランスを逆転させて理事長のイスを狙うともっぱら。それもこれも「土俵利権」が目当てだとすれば納得がいく。19日現在、貴乃花親方の自宅には極度額1億8000万円の根抵当権と計2億円の抵当権が設定されている。貴乃花部屋は昨年6月に中野区から江東区に移転した。中野にあった部屋は、地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで、先代師匠、つまり実父から引き継いだものだ。これは08年の時点で、不動産会社に売却している。そういった背景があるだけに、貴乃花親方は金銭的に決して楽ではないといわれる。そんな貴乃花親方といまだに密接な関係にあるのが、くだんの裏金顧問だ。今年10月に川崎大師で行われた故・北の湖理事長の三回忌法要でも親しげに話し込んでいる姿が目撃されている。

 法要に出席した別の親方が言う。「法要後の食事会で、貴乃花親方と裏金顧問、山響親方(元平幕巌雄)の3人がゴソゴソやってましたよ。山響親方は体制派の出羽海一門でありながら、前回の理事長選で貴乃花親方に1票を投じた人物。食事会が始まってから終わるまで、ずっと3人で話し込んでいましたから」。昨年1月に相撲協会を解雇された裏金顧問は、もっか地位保全の裁判で協会と係争中。だからこそ反体制派の貴乃花親方を担いで頂点に君臨させ、自身も協会に復職して北の湖理事長時代のように事務方を仕切りたい。そんな裏金顧問を利用して、貴乃花親方自身も協会のトップに上り詰めたい。要するに持ちつ持たれつで、利権が一致しているのだ。いずれにせよ理事としての仕事を放棄、真相解明の協力すら拒んだだけに、遅かれ早かれ重い処分が下るのは確実だろう。今後、理事として再起を図れる保証はない。


【貴乃花親方が弁護士同伴で聴取を受ける可能性】
 12.22日、貴乃花親方が、弁護士同伴で日本相撲協会の危機管理委員会から聴取を受ける可能性が浮上した。同親方は先月14日の問題発覚から貫いてきた強硬姿勢を軟化させ、自ら聴取を受けることを20日の臨時理事会で同委員会と合意。19日に聴取を受けた貴ノ岩同様に証言を裏づける第三者を立ち会わせて、納得いく形で事情を説明する模様だ。暴行事件の関係者で最後に話を聞かれる貴乃花親方が、聴取の場に弁護士を同席する可能性が浮上した。「聞き取りを拒否しているわけじゃない。(同席の)可能性はあるよね」と協会関係者。所在が不明だった貴ノ岩が19日に入院先で“電撃的”に聴取を受けた際にも弁護士を伴っており、立ち会うのはそのときと同じ人物が有力だ。弁護士を同席させることは、密室で行われることの証人とする意図がある。自らの発言を隠蔽されたり、発言していないことを公表されることを防ぎたい考えがあるようだ。今回の危機管理委の聴取は、巡業部長として協会に事件を報告しなかったことなどに対する処分の根拠とするため。当初は20日の臨時理事会で処分が決まるとみられていたが、高野利雄・危機管理委員長(元名古屋高検検事長)は理事会後の会見で「処分を決めるには本人の弁明が必要」と語り、28日の次回理事会へと先送りした。同親方はこれまでも記録が残る手法を選択してきた。今月5日から合計5回も都内の貴乃花部屋を訪れた鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)は「やり取りは文書ですることになっているから」と語っていた。一連の行動は、今回の弁護士のアドバイスがあるとも言われている。注目の聴取を控える貴乃花親方はこの日、午前11時半に部屋を出て午後5時に戻ってきた。「恐らく弁護士と事前の打ち合わせをしてるのでしょう」と語る関係者も。最後のヤマ場に向けて準備が整いつつある。

 ◆若狭勝氏の見解

 元東京地検特捜部検事で弁護士の若狭勝氏は、貴乃花親方が弁護士を同席させる理由について「貴ノ岩関に聴取しないままに行った(先月30日の)中間報告は、勇み足的なところがあった。貴乃花親方が相当な不信感を抱いている可能性があり、その流れで同席になったのでは」と推測。さらに「答え方で悩ましいところがあれば、すぐに相談できる」などのメリットを語った。貴乃花親方サイドとしては、弁護士がいることでしっかりとした事実認定ができる利点があり、協会側から見ても同じことが言えるという。双方にとって“言った言わない”の水掛け論にならずに済むと指摘した。


【貴乃花一門の盛衰】
 12.23日、来年初場所(1月14日初日・両国国技館)後の役員候補選挙で、貴乃花一門を支持する時津風一門の親方の数が前回の選挙から半減していることが分かった。18日の時津風一門の会合では、錣山(しころやま)親方(元関脇・寺尾)、湊親方(元幕内・湊富士)、立田川親方(元小結・豊真将)が離脱を表明したが、2年前は時津風一門から最低6人の親方が貴乃花一門を支持していたことを踏まえると、今回は3人にとどまったことになる。現在、貴乃花一門の親方は9人。離脱した3人の親方は貴乃花親方(元横綱)とその派閥の立候補者を支持する方向。貴乃花一門の票数は最低でも12票となり、勢力が拡大した印象を受けるが実は逆。2年前と比べると、一門の枠を超えて貴乃花親方の考えを支持する親方の数は減ったことになる。

 「(貴乃花一門の)支持をやめた彼らは一門外を支援することをためらっていた。貴乃花さんの言動を見て気持ちを変えたんだろう」と心変わりの理由を関係者は説明。角界改革の志に共感して同親方を支持してきたが、元日馬富士関の暴行問題への対応で、組織を混乱させていることも考えを改める決め手になったとの声もある。離脱した3人の親方は初場所後の選挙では無所属となる。時津風一門の親方によると、「無所属というよりも一門外。今回は一門全体と考えが違うというだけ」と将来的には復帰する可能性も示唆。28日の臨時理事会で暴行問題に対する処分が下される貴乃花親方だが、選挙でも暗雲が漂ってきた。

【時津風一門離脱の3親方の去就】
 12.24日、時津風一門離脱の3親方、貴乃花親方支持せず。大相撲の時津風一門を離脱した錣山親方(元関脇・寺尾)ら3人の親方が、来年初場所(1月14日初日・両国国技館)後に行われる役員候補選挙で貴乃花親方(元横綱)に投票しない意向であることが、関係者の話で分かった。18日の会合で錣山親方、湊親方(元幕内・湊富士)、立田川親方(元小結・豊真将)の3人は時津風一門からの離脱を表明。無所属の立場で2年前の選挙同様に貴乃花親方への支持に回ると思われていた。だが関係者によると、離れた理由は「(時津風一門内で)考え方が違うから」で、今回の選挙では同親方には投票しない意向だという。前回の役員候補選挙では時津風一門から、6人以上が貴乃花親方と同親方を支持する候補者に投票した。現在9人いる貴乃花一門の親方と合わせると最低でも15票あったが、離脱した3人に加え時津風一門にとどまっている3人も今回は支持しない方向。10票が当選ラインとされており、同親方の支持者は大幅に減ったことになる。また元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題に関する貴乃花親方への聴取は、24日も行われず25日以降に持ち越された。同親方の処分は28日の理事会で決まる。

【相撲協会が貴乃花親方を約2時間にわたって事情聴取】
 12.25日、相撲協会が、元横綱・日馬富士の傷害事件をめぐって、処分が出ていなかった被害者の師匠、貴乃花親方を約2時間にわたって事情聴取した。相撲協会の春日野広報部長によると、聴取の日時は25日当日に決まり、貴乃花親方が都内のホテルを指定したという。約2時間行われた聴取には貴乃花親方の代理人弁護士も同席し、高野利雄・危機管理委員長(元名古屋高検検事長)と鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)が聞き取りした。

 相撲協会は、10月の秋巡業中に起きた傷害事件で、貴乃花親方が警察に被害届を提出しながら巡業部長として報告を行わなかったことを重視。11月30日の理事会で警察の捜査終了(書類送検)後に貴ノ岩の聴取に協力すると確約しながら、18日まで聴取の要請を拒否したことも重く見ている。貴乃花親方は、先週の理事会で、「警察から協会に事情を伝えた方が、より正確だ」、「巡業部長としてやれることは全てやった」などとする文書を提出していて、25日も同じような主張をしたとみられる。協会関係者によると、貴乃花親方は自らの正当性や貴ノ岩の主張などを述べたという。これについて協会関係者は、「そんな話は世の中に通じないだろう」と述べ、巡業部長としての責任を果たしていないとの認識を示した。危機管理委関係者によると、聴取は今回限りという。これで協会は調査を全て終了し、28日の臨時理事会で貴乃花親方の処分を決める方針。鏡山危機管理部長は「終わったよ」とヤマ場の終了を明言。危機管理委関係者によると聴取は今回限りだという。春日野広報部長は「高野先生から(情報は)入ってない。一生懸命まとめていると思う」と高野委員長が臨時理事会で下す処分を精査している段階だと語った。


 12.20日の臨時理事会では、聴取ができていないという理由で貴乃花親方だけが処分を見送られた。春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)も「今日ここ(協会)に来るまで知らなかった」と話したように、25日に急展開を見せた。同親方は約6時間後に部屋へ戻った際も無言を貫いた。
 12.26日、フジテレビ系「とくダネ!」の番組MCの小倉智昭キャスター(70)が、「事情聴取される側がある種リーダーシップを取って、『どうぞ、この日にここで聴いて下さい』というのは、ちょっと妙な感じがしますよね」とコメント。相撲取材歴30年の横野レイコリポーター(55)は、「協会も大慌てだったよう」、「春日野(広報)部長が『やっと協力いただいたので』と言うのは、この一連の騒動で貴乃花親方にかなり怒っているというか、呆れていらっしゃる部分がありますので、イヤミの意味を込めておっしゃったんだと思いますけれどね」と語った。
 この日、両国国技館で待機していた八角理事長(元横綱北勝海)や尾車事業部長(元大関琴風)ら協会執行部は、対応を協議した。八角理事長は「何とも(言えない)」と話すにとどめた。これまで貴乃花親方に予想外の行動が多かっただけに、協会の仕事納めの28日に、本当に決着するのか注目される。

 ◆日本相撲協会の処分 賞罰規程の第3章「懲戒」に定められている。親方、力士ら協会員への処分は軽い順にけん責(将来を戒める)、報酬減額、出場停止、業務停止(協会事業への従事を停止する)、降格、引退勧告、解雇の7項目。引退勧告後、速やかに引退届を提出しない場合は解雇に準じて取り扱う。最近の解雇は15年10月、マネジャーの男性を暴行して傷害罪で起訴された熊ケ谷親方(元十両金親)。旧規程で最も重い除名は、公益財団法人移行後の現行規程からなくなった。


【相撲協会が貴乃花親方を約2時間にわたって事情聴取】
 「「白鵬は別のガチンコ力士もぶっ壊した」 貴乃花親方がタニマチに激白」その他参照。

 12.25日、貴乃花親方はついに都内のホテルで協会の事情聴取に応じたが、この経緯について厳しい視線が注がれている。貴乃花親方が国技館に来ればいいのにホテルに協会側を呼びつけている。弁護士を同席させている。貴乃花親方の主張は先日の理事会で配ったペーパーの内容と同じ。協会の調査に協力していたと云う。協会に暴行の連絡をしなかったのは、日馬富士の師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)からするという認識だったと言う。巡業部長の役目もキチンと果たしたと言う。12.28日の臨時理事会での貴乃花親方に対する処分の質が注目されている。10人いる理事のうち、現在、貴乃花一門出身の理事は貴乃花親方一人のみ。これを2人にして、理事選後に新理事の互選で行われる新理事長選を有利に運ぼうという思惑があるという。時津風一門に所属する錣山親方(元関脇寺尾)、湊親方(元幕内湊富士)、立田川親方(元小結豊真将)の3人が一門を離脱した。「貴乃花ファミリー」の忘年会で配られたカレンダーで貴乃花親方と共に女装姿を披露するなど貴乃花親方と親交がある。理事選に向けて貴乃花親方を支持する動きにも見えたのだが、25日のスポーツ報知が、3人は理事選で「貴乃花親方に投票しない意向」と報じるなど情報が錯綜している。

 貴乃花派のある親方は3人の離脱について、「錣山親方が、2人(湊親方と立田川親方)引き連れて一門から出てくれて、これで3票追加のようなもの。隠れ貴乃花派は他の一門にも7-8人いるし今も切り崩している。事実、貴乃花親方に協力すると言っている他の一門の親方もいる。理事選で貴乃花一門から2人を当選させたい。出羽海一門から出ている4人の理事のうち1人(山響親方)は貴乃花派で、もう一人を落選させれば向こう(八角理事長派)は実質2人になる。こうなれば理事長選も勝負になる」。28日に貴乃花親方に下るであろう処分は多分に政治的な意味合いを帯びてくる。仮に貴乃花親方にきつい処分が下るなら、民事訴訟だけでなく、白鵬を暴行の共犯として刑事告訴することもあり得る。貴乃花親方はそれくらい覚悟しているだろうと周囲は見ている。

 相撲協会が貴乃花親方に対する事情聴取を行ったのは昨年12月25日。場所は帝国ホテルで、貴乃花親方側は親方本人と親方の弁護士。協会側からは高野利雄・危機管理委員長と、危機管理委員のヤメ検弁護士などが出席した。貴乃花親方はこの日の様子について、先のタニマチにこう「激白」した。〈聴取が始まると、危機管理委員のヤメ検弁護士が高圧的に私を攻めたてた。犯罪者の取調べのように「暴行事件のことを当日から知っていたんだろ」「日にちをかせいで、コトを大きくしたかったんだろ」などと言ってくる。私は「事件のことは当初は知らなかった」と答えたが、ヤメ検弁護士は「そんなのはおかしい」と決めつけてくる〉。そのヤメ検弁護士のあまりに不遜な態度に、貴乃花親方が“なぜそんなに高圧的に言われなくてはいけないのか”と苦言を呈する場面もあったという。〈ヤメ検弁護士は私に「巡業部長としての落ち度は認めるのか」とも言ってきた。私は「どんな落ち度があるのか」と返したが、ヤメ検弁護士は「いや、あったでしょう」と決めてかかる。私はその態度に呆れ、言い返すのを止めた。ただ、私は自分の落ち度を認めるような発言はしていない〉。

 その後、ヤメ検弁護士に代わって質問を始めたのは高野委員長。彼が取った戦術は「老獪」なものだった。〈高野氏は「今となってはいろいろと思うでしょう」とか「あの時、こうすれば良かった、といった思いがあるでしょう」などと聞いてくる。私が「いえ、私は別に悪いことはしていません」と返すと、「そうではなくて、あの時はこうだったな、と思うところもあるでしょう」と言ってくる。つまり私に「こうするべきでした」と言わせたかったのでしょう。私はそれには一切応じませんでした〉


12.25日、相撲協会が、元協会顧問/小林慶彦に対し約1億6500万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に提訴
 「“キーマン”元顧問と相撲協会「泥沼訴訟合戦」 貴乃花親方と八角理事長の確執は北の湖前理事長の死去から始まった」(2018.14.10日配信)。
 【貴乃花親方 反逆の真実】

 元横綱日馬富士の暴行事件をきっかけに明白になった、貴乃花親方(45)=元横綱=と八角理事長(54)ら日本相撲協会執行部との深刻な確執。きっかけは平成27(2015)年11月20日、北の湖前理事長(享年62)の死去にあった。そのキーマンが元協会顧問、小林慶彦氏(62)である。小林氏は、24年2月から28年1月まで協会の危機管理に関する業務などを取り仕切り、北の湖前理事長の厚い信頼を受けていた。しかし昨年12月25日、小林氏は協会から約1億6500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こされた。小林氏自身と同氏が代表取締役を務めたコンサルティング会社が在職中に、裏金を受け取るなど背任的行為で協会に損害を与えたという。

 訴状によると、小林氏は顧問の立場を悪用し、両国国技館の改修工事などをめぐり、施工業者から8000万円を受け取ったと指摘されている。また、パチンコメーカーとのしこ名などの利用許諾契約をめぐり、仲介業者から裏金を受領した映像がインターネット上で流され、相撲協会の信用を失墜させたという。一方、小林氏も28年の解雇を無効として、同年2月に地位確認を求める訴訟を起こし、協会と係争中。両者が泥沼の訴訟合戦を繰り広げている。小林氏が起こした訴訟の準備書面のやりとりの中には、貴乃花親方と八角理事長の対立が生々しく描かれている部分がある。小林氏側は、週刊誌報道なども証拠として引用しながら、貴乃花親方について次のように記している(要旨)。「北の湖理事長は平成25年末に腸閉塞で入院し、26年1月には場所を初日から7日目まで休むことになった。このため、九重理事長代行(元横綱千代の富士=28年7月死去)となったが、北の湖理事長は同代行の能力を評価していなかった。北の湖理事長は、貴乃花親方を後継者と考えていたが、まだ若かったため、一時的なつなぎ役として八角親方を据えて、自らの影響力を維持して、貴乃花親方につがせるつもりだった」(昨年9月19日付原告準備書面)。この北の湖前理事長の意向により、八角親方が協会ナンバー2、貴乃花親方がナンバー3という理事会での序列ができあがったという。「平成26年4月の理事会で、八角親方がナンバー2の事業部長となり、貴乃花親方がナンバー3の総合企画部長に就任することになった。ところが平成27年11月に北の湖理事長が急逝。八角親方が理事長代行となり、平成27年12月18日の理事会で、コンプライアンスを無視する議事進行で、二所ノ関一門の尾車親方(元大関琴風)とともに強引に議事を進行し、八角親方が理事長に就任した」(同準備書面)。北の湖前理事長が生前描いた思惑とは違う方向に、角界の歴史は進んだということなのだろうか。=つづく

【貴乃花親方処分推理】
 12.26日、日本相撲協会が28日の臨時理事会では貴乃花親方に業務停止か理事からの降格という厳罰が下される可能性があり、一連の問題は年内決着が濃厚となった。

 貴乃花親方は巡業部長でありながら事件発生を協会執行部へ報告せず、聴取の要請も合計で10回拒否した。協会関係者によると20日の臨時理事会前時点で貴乃花親方への処分は、懲罰規定で4番目に重い「業務停止」だったという。親方衆は協会と弟子の育成に関する業務委託契約を結んでおり、業務停止なら一定期間は稽古の指導も禁止される。八角理事長(元横綱・北勝海)に3か月の報酬全額返上の処分が下されるなど、今回の問題に関しては“厳罰化”の傾向。28日の臨時理事会後には理事の選任と解任の権限を持つ評議員会が開催予定で、業務停止より重い「降格」の処分が下される可能性もある。

 貴乃花親方は警察及び検察の捜査終了を待つことを理由に、11月14日の事件発覚以降は協会の聴取を断り続けてきた。聴取の実現は問題解決に向けた大きな一歩で、春日野広報部長は「やっと協力をいただいた」と話した。幕内・貴景勝が部屋初の三役力士となる26日の番付発表直前に師匠自らケジメをつけたことで、年内決着が見えてきた。

 ◆評議員会 定数は5人以上7人以内で、総数の過半数は外部有識者で構成される相撲協会の最高議決機関。理事の選任、解任という強い権限があり、年寄(親方)が務める場合は年寄名跡を持ったまま任期(4年)内は本名で番付などに記載される。現在の議長は池坊保子氏(元文部科学副大臣)で年寄出身者は湊川親方(元小結・大徹)、大嶽親方(元十両・大竜)、二子山親方(元大関・雅山)の3人。

 12.26日、日本相撲協会は、来年1月の大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表し、東小結には貴景勝(21=貴乃花)が名を連ね、貴乃花部屋初の新三役となった。これを受けて貴景勝は両国国技館で会見。師匠の貴乃花親方(45=元横綱)は同席せず、詰めかけた大勢の報道陣に1人で対応した。11月の九州場所では西前頭筆頭で2横綱1大関を破って11勝4敗の好成績を収め、殊勲賞にも輝いていた。会見の冒頭では小結に名を連ねた番付を指さし、記念撮影に応じたが、緊張気味で笑顔はなかった。それでも新番付を見た印象について「力士をやっている以上、三役にいきたいというのは、みんなが思っていること。うれしい」と話し始めると、徐々に緊張もほぐれ、時折笑顔も見せた。師匠からは「普段の生活が大事と普段から言われている」と明かした。続けて「星数にこだわらないようにしてきた」と、勝敗のことよりも突き、押しを主体とした自分の相撲を取りきることを心がけた結果が、新三役につながったと分析した。貴乃花部屋初の三役については「アドバイスしてくれる部屋の兄弟子もいる」ことも成長の要因と話し「貴乃花部屋の恥にならないように頑張りたい」と意気込みを語った。今後の目標については「次は関脇に上がりたい。1歩1歩」と、堂々と話した。

 12.26日付月刊ゲンダイ「無所属3人は援軍にあらず 貴乃花派“勢力激減”の自業自得」。
 貴乃花親方(45)に援軍が加わったと、一部スポーツマスコミが騒いでいる。去る18日、錣山親方(54=元関脇寺尾)、湊親方(49=元前頭湊富士)、立田川親方(36=元小結豊真将)の3人が時津風一門を離脱、今後はどこの一門にも属さない無所属となることになった。3人は前回の理事選で、時津風一門の枠を超えて貴乃花親方を支持。来年初場所後に行われる理事選でも貴乃花一派を支持する目的で時津風一門を離れたといわれるが、真相は逆だという。「3人は来年の理事選で貴乃花一門を支持しないと聞いた。それでも時津風一門を離れるのは、前回の選挙で貴乃花一門を支持したみそぎ、けじめだというんだな」と、ある親方がこう続ける。「貴乃花一派の親方11人が女装したカレンダーが一派の後援者に配られていたことが協会内で発覚、問題視されたのが今年の9月ごろ。錣山親方や湊親方の気持ちは今回の騒動もあってすでに、貴乃花一門から離れていたのですが、女装カレンダーに出たこともあって時津風一門に対する負い目のようなものが膨らんだのだろう。来年の理事選をにらんだ今回の一門会で、いったんは派閥を離脱して無所属になることが責任を取ることだと判断した。この3親方に加え、前回の理事選で貴乃花一派を支持した時津風親方(44=元前頭時津海)以下の3親方もすでに離反、時津風一門からは計6人が貴乃花親方から離れることになります」。

 ■山響親方は理事選で落選濃厚

 いまだ貴乃花親方を支持しているのは、もともと貴乃花一派に籍を置く立浪親方(49=元小結旭豊)や阿武松親方(56=元関脇益荒雄)らほんのひと握り。一門外の離脱者は後を絶たない。日馬富士の師匠で、前回の理事長選では貴乃花親方に票を投じた伊勢ケ浜親方(57=元横綱旭富士)にしても事件が起きる以前からたもとを分かっているし、すでに理事を辞任。貴乃花親方は来年の理事選で、その伊勢ケ浜親方の代わりに九重親方(41=元大関千代大海)を理事にして勢力拡大をもくろんでいたが、勢力は拡大どころか減少の一途をたどっているという。「貴乃花親方を支持する理事は本人も含めて3人だったが、今度の選挙では理事は本人ひとりになる可能性も出てきた。山響親方(47=元前頭巌雄)も出羽海一門の支持は得られずに落選するともっぱらさ」とは別の親方だ。

 とはいえ、こうなったのも自業自得ではないか。貴乃花親方が20日に行われた理事会の直前になって突然、バタバタしたのは保身目的以外の何物でもない。貴乃花親方はこれまで、弟子の貴ノ岩も含めて協会の聴取をかたくなに拒んできた。それが理事会前日の19日になって急きょ、聴取に応じると言ってきた。第三者による公正な裁きを望んでいたというが、協会の聴取に応じたからといって、警察や検察の捜査がどうにかなるものではない。これまで親方の中で、ただひとり拒んでいた誓約書も19日に提出。公益財団法人への移行に伴って力士の法的身分などを制定、協会と師匠が人材育成業務委託契約を結ぶことが明記されたものだ。それを、わざわざこのタイミングで提出したのは、理事としての義務や責任への追及から逃れるためだろう。とどめは20日の理事会で配布された言い訳と責任逃れの弁明書だ。貴乃花親方はこの中で、自分は巡業部長としての職務をまっとう、批判されるいわれはないと主張している。貴乃花親方の一連の変節は、このままでは理事職を失いかねないと危機感を覚えたからだ。協会は信用できない、改革のために断固闘うとの気概があれば、一貫して聴取に応じず、誓約書提出の要請を無視し続けることもできた。まして「自分は職務を果たしている」なんて弁明する必要などなかったはずだ。シンパが続々と離反しているのは、貴乃花親方の掲げる「改革」とやらの正体が結局、保身であり、私利私欲だと看破されたからにほかならない。前出の親方の票読みによれば、次回の選挙で一派から理事になるのは貴乃花親方ひとりだが、そもそもこのまま理事でいられる保証はどこにもない――。
 12.26日、錣山親方、時津風一門離脱の理由に言及 「どっかとの密約もない」。

 大相撲の錣山(しころやま)親方(元関脇寺尾)が26日、湊親方(元幕内湊富士)、立田川(元小結豊真将)とともに時津風一門を離脱したことに関して言及した。この日は初場所(来年1月14日初日、両国国技館)の番付発表があり、弟子の阿炎(23)が新入幕を果たし、会見に同席した。会見の最後に一門を離れた理由に質問が飛ぶと、堂々と応じた。「まず一つ間違いない事実は私が湊親方、立田川親方と3人で一門を離脱したことは間違いない」と認めた。ただあくまで“無所属”を強調した。2年前の理事選では一門の枠を超えて、貴乃花一門を支持したとされるが、現段階では白紙。「それ以上、私は何も発信していない。この先のことは考えていない。同じ日の新聞に(支持する相手を)こっちに行く、こっちに行かないと出ていたけど全く考えていない。自由に意見を言える立場でいたいと思ったことが今回の行動につながった。協会のルールの中で協会が良くなるようにしたい。これ以上のことは全くありません。どっかとの密約もない」と断言した。


 12.26日、「衝撃!貴ノ岩にも暴行容疑 元貴乃花部屋力士の訴訟で発覚「逃げ回る力士にエアガン」」。
 元横綱日馬富士(33)に暴行を受けた十両貴ノ岩(27)が、逆に“暴行疑惑”で昨年12月27日に東京地裁へ証人として出廷していたことが26日、わかった。引退した貴乃花部屋の元幕下力士が日本相撲協会を訴えている民事訴訟で、3人の元力士が貴乃花部屋で行われていた暴力の実態などを証言。貴乃花親方(45)と花田景子夫人(53)も貴ノ岩と同日に証人尋問で出廷した。訴訟は現在も東京高裁で争われている。相撲協会を訴えているのは、十両目前の幕下3枚目だった2014年九州場所限りで引退した元貴斗志(27)。貴乃花親方に引退届を出されたことから15年3月、相撲協会を相手取り「地位確認等請求」、「報酬の支払い」などを求めて東京地裁に提訴。今年3月に請求を棄却されたものの、控訴して現在は東京高裁で係争中だ。

 裁判記録によると、元貴斗志は14年10月18日の朝稽古中、貴乃花親方から「不良みたいな態度を取りやがって。荷物をまとめて出ていけ」などと何度も怒鳴られ、貴乃花部屋から追い出されたという。貴乃花親方は元貴斗志について、「起伏の激しいところがあり、精神が乱れることが多々あった」、「やる気がなく、更生することはない。力士の模範になることはありえない」と判断し、20日に引退届を提出した。

 この裁判記録で驚かされるのは、貴乃花部屋内の暴力問題だ。元貴斗志は、09年初場所でともに初土俵を踏んだ“同期”で、当時すでに幕内の関取だった貴ノ岩と暴力騒ぎを起こしている。元貴斗志の主張によると、14年4月に番付上位の貴ノ岩が「お前、あいさつもしないのか」と絡んできたため、「すみません」と謝ると、「お前何様のつもりだ」と平手で3発殴られたという。しかし貴ノ岩は法廷で「元貴斗志が『あんたの若い衆(付き人)ではない』と殴りかかってきて、喧嘩ではなく一方的に暴力をふるわれたのが真実」と反論している。元貴斗志はその際に「格上である関取に手を出してしまった反省として、けじめをつけなければいけない」と一旦は引退の意向を示し、断髪式も予定されたが、相撲への強い思いから撤回。その半年後に師匠から追放されたことになる。

 また昨年秋場所で引退した元古関(31)は、「貴ノ岩が新弟子の頃から雑用などをせず、出世すると、逃げ回る力士を笑いながらエアガンで撃つことが何度もあった」と証言。さらに、「朝起こしに行くと貴ノ岩は『師匠いる?』と聞き、貴乃花親方が稽古場に来ていないと、二度寝をして稽古の終わった食事の時間になると現れた」とも話している。

 大相撲はいま元日馬富士による暴力事件で大揺れだが、被害者側の貴乃花部屋で当時、毎日のように暴行が繰り広げられていたとすれば驚きだ。

 裁判記録には、かつて貴ノ岩の付き人で14年名古屋場所を最後に引退した元貴翔馬(36)の次のような証言もある。「貴ノ岩は私には暴力を振るうことはなかったが、他の力士には先輩、後輩関係なしに暴力を振るったり、新弟子時代から先輩力士に対して聞く耳を持たなかったり、いじめていたのはよく知っています」。

 さらに「4、5年前、九州場所の宿舎で嵐望(らんぼー、現世話人)は貴神龍(今年の名古屋場所で引退)の頭をビールケースで殴り、貴神龍は頭から血を流し、顔の半分を真っ赤に染めた」、「古関の頭をまな板で何度も殴り、まな板が衝撃で6分割ぐらいになった」と明かしている。また、貴ノ岩が元貴斗志との暴行騒ぎの際に「『鉄アレーを持ってこい』と叫んだと聞いたことがある」と元貴翔馬は付け加えている。

 貴乃花親方は元貴翔馬が引退に至った経緯について、貴ノ岩の印鑑を使って、協会の経理に巡業手当を取りに行き着服していたためと証言。「問いただしたところ答えないので『答えないではすまないぞ』と言いました。そのあと出て行きました」と説明している。

 元弟子から訴えられた格好の貴乃花親方は、元古関によると「ウチを辞めていったオキ(元貴斗志)が裁判をかけてきている。あいつはカネをふんだくりたくて、裁判をかけてきてるんだ。同じ釜の飯を食った仲間なのに。そんなヤツに俺は負けたくない。若い衆、力を貸してくれ。証言してくれ。オキの悪いところを知っているやつは全部俺に教えろ」と力士たちに協力を求めたという。

 同訴訟について夕刊フジの取材に対し、元貴斗志の代理人は「今回の取材に関しまして、ご協力致しかねるとの結論となりました」と話している。相撲協会、同協会の代理人、貴乃花部屋からは26日までに返事はなかった。

 貴乃花親方は、日馬富士の暴行事件では、真相の徹底究明を求めて協会と対立し、民事訴訟に持ち込む可能性も指摘されている。


 「朝青龍がモンゴルのテレビで白鵬に“八百長陳情”!? 」。
 日馬富士暴行騒動以来、メディアに登場する機会の増えた元横綱・朝青龍(37)。実は、事件が発覚する約2週間前の10月31日にモンゴルで放送されたテレビ番組「モンゴル民族の100人の偉人」において、問題発言をしていることがわかった。「この番組はモンゴルの偉人を紹介する国民的人気ドキュメンタリーで、この回は、白鵬がとりあげられ、放送時間は3時間半に及んだ。その中で、今年5月に収録された朝青龍と白鵬の対談が放送されたのです」(現地記者)

 番組の中で、朝青龍は白鵬にこう語りかけている。「チャンスがあるなら(日本人ではなく)別のモンゴル人を成功させるんだぞ。モンゴルの仲間に可能性を開いてあげるんだ」。さらにこう続けた。「“他人の犬を育てるよりは、自分の犬を育てろ”と言うだろう」。この後、2人はがっちりと握手を交わしている。元モンゴル力士が顔をしかめる。「モンゴルの諺(ことわざ)だね。要は身内を利する行動をとれという意味。他のモンゴル力士に優勝のチャンスを与えるよう“八百長”を促したと受け取られかねない」。12月27日(水)発売の「週刊文春」では、今回の騒動における朝青龍の言動の他にも、貴乃花親方の激白など、貴ノ岩暴行事件の全真相に総力取材で迫っている。また「週刊文春デジタル」では同日朝5時、朝青龍の発言場面などを動画で配信する。


 元横綱日馬富士(33)による暴行事件をきっかけに相撲界の改革を目指す貴乃花親方(45)=元横綱=に追い風が吹いている。個人的に親しい錣山親方(54)=元関脇寺尾=ら3人が所属していた時津風一門を離脱、無所属を宣言して共同歩調を取りやすい状況となったのに続き、今度は同期入門の浅香山親方(45)=元大関魁皇=も同調する意向があるとの情報が浮上した。来年の初場所後の理事選に向け、多数派工作が激化する可能性がある。

 “同期の桜”も、貴乃花一門に同調することになるのか。

 「現時点では理事選について口を閉ざしていますが、貴乃花一門以外でも貴乃花親方支持に回るのではないかと思われている親方がいます。その筆頭が浅香山親方でしょうね。この事件を我がことのように心配しているそうです。場合によっては大きな決断をする可能性があると思われます」(大相撲関係者)

 魁皇だ。現役時代に5回優勝しながら横綱になれなかった“悲運の大関”は、浅香山親方として2014(平成26)年に部屋持ちの師匠として独立した。

 現役時代、貴乃花と1988(昭和63)年春場所初土俵の同期。その他にも曙、若乃花(ともに元横綱)らきら星のごとく輝いた力士たちがいる。「花の63年組」として正々堂々とした相撲で一時代を作った力士たちばかりだ。

 貴乃花親方は17歳2カ月で新十両へ。しかし浅香山親方が関取になるには、それからさらに2年ほどかかった。その間、陰ながら後押ししたのが貴乃花親方だった。現役時代、父で師匠の二子山親方(元大関貴ノ花)は“出げいこ”を禁止していた。貴乃花親方は二所ノ関、浅香山親方は伊勢ヶ浜一門で、稽古をともにすることができなかった。

 しかし、地方巡業に出れば別だ。東北から北海道を回る「夏巡業」で、2人は筆舌に尽くしがたい猛稽古に取り組んだ。貴乃花親方はまだ幕下だった浅香山親方(当時しこなは本名の古賀)を徹底して“かわいがり”。暴力こそ振るわなかったが、しごきにしごいた。それも通常のけいこが始まる早朝5時前から、けいこ場に鍵をかけてやっていた。当時の古賀は泣きながら、強い同期の貴乃花親方の胸にぶつかる毎日だった。

 だからこそ2人の絆は同期の中でも最も固い。浅香山親方は2011(平成23)年名古屋場所引退。その時、貴乃花親方は「魁皇関は横綱みたいな大関だった。同期として一番尊敬する力士です」と感無量の表情でその労をねぎらった。

 また貴乃花部屋の部屋付きだった故音羽山親方(元大関貴ノ浪)が2015年6月20日43歳で急死。この時、貴乃花親方以上に浅香山親方が悲嘆にくれていた。

 「音羽山親方とはこれから相撲協会のために頑張ろうと思っていた矢先だった…」と肩を落としていたのだ。

© zakzak 提供 貴乃花親方支持派と見られる顔ぶれ

 また今年の名古屋場所。今や犬猿の間柄となった横綱白鵬が浅香山親方が現役時代に挙げた歴代通算最多記録の1047勝に並んだ。このとき、貴乃花親方は白鵬への賛辞はなく、浅香山親方の現役時代をなつかしみ「(浅香山親方は)実に謙虚な力士でした。常に受けて立つ。左四つ、右上手という立派な形が確立されていた」とたたえた。

 貴乃花親方と浅香山親方の間に強い「絆」が存在することは、親方衆の中でも周知の事実だ。

 少数派といわれた貴乃花親方を支持するグループに膨張の気配が漂っている。まず、昨年“女装カレンダー”製作に興じたことで、図らずも結束の固さが白日の下にさらされた(?)11人。貴乃花親方自身を筆頭に、錣山、山響(元幕内巌雄)、玉ノ井(元大関栃東)、大嶽(元十両大竜)、湊(元幕内湊富士)、甲山(元幕内大碇)、千賀ノ浦(元小結隆三杉)、立田川(元小結豊真将)、立浪(元小結旭豊)、時津風(元幕内時津海)の各親方である。

 さらに阿武松親方(元関脇益荒雄)は盟友。これに、貴乃花部屋付きの音羽山(元幕内光法)、阿武松部屋付きの不知火(元小結若荒雄)、同じく小野川(元幕内大道)、千賀ノ浦部屋付きの常磐山(元関脇舛田山)の4親方が加われば計16人にふくれあがる。

 さらに、浅香山親方が加われば17人となり、浅香山親方は角界屈指の人望の厚さで知られるだけにその影響は計り知れない。約100人の親方が投票する初場所後の理事選(当選10人)では9-10票が当確ラインだけに、あと一歩で貴乃花派だけで2理事を誕生させられそうなところまで勢力を拡大している。

 当の貴乃花親方は25日、相撲協会の危機管理委の聴取を代理人の弁護士同席のもと受けた。21日に行われた「暴力問題の再発防止について」と題した研修会で、評議員会の池坊保子議長(元文部科学副大臣)は「どうか皆様方、八角理事長を信じ、心を1つにして協力しあっていただきたい」と貴乃花親方へのあてつけとも取れる発言をしているが、貴乃花親方の反乱の影響はじわじわと広がり、大相撲に入った大きな亀裂は広がるばかりである。


 貴乃花親方の処遇は…28日に臨時理事会 事態混乱させた? 被害者側を考慮? 協会内、割れる意見

 元日馬富士による貴ノ岩への暴行事件で、日本相撲協会の臨時理事会と評議員会が28日に東京都墨田区の両国国技館で開かれる。協議されるのは、巡業部長であり貴ノ岩の師匠でもある貴乃花親方の処遇だ。

 26日の番付発表では、弟子の貴景勝が部屋初の新小結へ昇進したが、混乱を避けるため、会見は貴乃花部屋ではなく国技館内で行われる異例の対応となった。

 同親方は姿を見せなかった。弟子の昇進会見は新十両の時だけ同席する従来の方針を貫き、「一人で行ってこい」と貴景勝を送り出したという。会見前には記者クラブ幹事社から「晴れの場なので節度のある質問を」との申し入れがあった。

 貴乃花親方は巡業部長を務めながら秋巡業中に起こった事件を協会に報告せず、貴ノ岩への聴取要請を何度も拒否したことが問題視されている。

 同親方に対する処分について協会内で意見が割れている。事態を混乱させているとして理事降格を求める厳しい意見や、被害者側であることなどを考慮し、譴責(けんせき)にとどめるべきだとの声が挙がっている。協会の懲戒には軽い順から譴責、報酬減額、出場停止、業務停止、降格、引退勧告、解雇がある。

 関係者によると、20日の臨時理事会で貴乃花親方は、巡業部長として正当な行動を取ったなどとする趣旨で独自にまとめた十数ページの報告書を用意。25日に行われた協会危機管理委員会による聴取でも、ほぼ同じ内容の意見を述べたという。


 高砂一門が、来年1月の初場所後に実施される協会理事候補選挙で現理事長の八角親方(元横綱北勝海)を擁立することが26日、複数の親方の話で分かった。同日に都内で一門会を開き、ある出席者は「八角さんを推すことになりました。(一門会の)皆さんで頑張ります」と話した。

 12.27日、鳥取地検は、大相撲の元横綱・日馬富士が貴ノ岩に暴行を加えて負傷させた事件で、28日にも元横綱を傷害罪で略式起訴する方針を固めた。地検は、貴ノ岩関側が示談に応じず強い処罰感情がある一方、元横綱は既に引退して社会的制裁を受けた点などを考慮。正式な裁判を求める起訴か、公判を経ず罰金を科す略式起訴とするかなどを慎重に検討していた。捜査関係者によると、元横綱は秋巡業中の10月25日、鳥取市内のラウンジであった酒席の2次会に参加。同席した横綱・白鵬関(32)から説教を受けていた貴ノ岩関がスマートフォンを触るなどしたことに激高し、貴ノ岩関を素手やカラオケのリモコンで複数回殴り、頭部に全治10日程度の裂傷を負わせたとされる。貴ノ岩関側は10月29日に鳥取県警に被害届を提出。県警は元横綱に任意で事情聴取を2度行い、白鵬関や横綱・鶴竜関(32)ら同席者にも参考人として話を聴いた。その上で起訴を求める「厳重処分」の意見を付け、今月11日に元横綱を傷害容疑で書類送検していた。事件を巡って日本相撲協会は12月20日に臨時の理事会を開催。同日の横綱審議委員会の議論を踏まえて元横綱を「引退勧告相当」とし、功労金の減額を検討する方針を示した。白鵬関と鶴竜関も減給の処分を受けた。【園部仁史】



 12.27日、元横綱日馬富士(33)に暴行を受けた十両貴ノ岩(27)が、逆に“暴行疑惑”で東京地裁へ証人として出廷した。引退した貴乃花部屋の元幕下力士が日本相撲協会を訴えている民事訴訟で、3人の元力士が貴乃花部屋で行われていた暴力の実態などを証言。貴乃花親方(45)と花田景子夫人(53)も貴ノ岩と同日に証人尋問で出廷した。訴訟は現在も東京高裁で争われている。 相撲協会を訴えているのは、十両目前の幕下3枚目だった2014年九州場所限りで引退した元貴斗志(27)。貴乃花親方に引退届を出されたことから15年3月、相撲協会を相手取り「地位確認等請求」、「報酬の支払い」などを求めて東京地裁に提訴。今年3月に請求を棄却されたものの、控訴して現在は東京高裁で係争中だ。

 裁判記録によると、元貴斗志は14年10月18日の朝稽古中、貴乃花親方から「不良みたいな態度を取りやがって。荷物をまとめて出ていけ」などと何度も怒鳴られ、貴乃花部屋から追い出されたという。貴乃花親方は元貴斗志について、「起伏の激しいところがあり、精神が乱れることが多々あった」、「やる気がなく、更生することはない。力士の模範になることはありえない」と判断し、20日に引退届を提出した。(以下省略)

 元貴斗志の主張によると、14年4月に番付上位の貴ノ岩が「お前、あいさつもしないのか」と絡んできたため、「すみません」と謝ると、「お前何様のつもりだ」と平手で3発殴られたという。しかし貴ノ岩は法廷で「元貴斗志が『あんたの若い衆(付き人)ではない』と殴りかかってきて、喧嘩ではなく一方的に暴力をふるわれたのが真実」と反論している。元貴斗志はその際に「格上である関取に手を出してしまった反省として、けじめをつけなければいけない」と一旦は引退の意向を示し、断髪式も予定されたが、相撲への強い思いから撤回。その半年後に師匠から追放されたことになる。貴乃花親方は元貴翔馬が引退に至った経緯について、貴ノ岩の印鑑を使って、協会の経理に巡業手当を取りに行き着服していたためと証言。「問いただしたところ答えないので『答えないではすまないぞ』と言いました。そのあと出て行きました」と説明している。  

 誓 約 書

 私、   は、平成24年1月、貴乃花部屋に自分の意志で入門し、以来、貴乃花部屋において、いじめや問題となる行為を何ら受けることはなく、 問題なく過ごしてまいりました。 しかし、自分の勝手な行動で部屋に一切の断りなく、友人の車で実家に帰り、 師匠始め部屋の皆さんに大変なご心配とご迷惑をお掛けしました。 つきましては、この度自己都合により力士廃業を決め、師匠より3月8日(木)付けで、日本相撲協会への廃業届けを提出して頂きました。 今後は、師匠貴乃花親方始めお世話になった部屋の皆さん、関係者の皆さんに決して迷惑が掛からないよう、社会人として責任を持って行動することをお約束します。 以上、この書面を持って全ての事実を確認、承認することを誓約致します。平成24年3月8日

 12.27日、協会が、東京・両国国技館で約100人の親方衆を集めた「年寄総会」を開き、八角理事長による今年一年の総括などを行った。理事長は席上、「みなさんのおかげで(年6場所)90日間満員御礼にすることができた」と感謝の意を伝え、元日馬富士による暴行問題の早期解決への決意と協力を要請した。処分を待つ貴乃花親方を含め、意見や異論は出なかったという。貴乃花親方は対立を深めてきた八角理事長(元横綱北勝海)ら執行部と対面したが沈黙のまま国技館を後にした。午後2時52分、貴乃花親方は上目遣いで詰めかけた報道陣の前を悠々と歩いた。その2分後、八角理事長(元横綱北勝海)が険しい表情で年寄総会を行う会場へと入った。事件発生から2カ月がたち、協会の仕事納めとなる28日に異例の開催となった臨時理事会。その決着を前に両者が顔を合わせた。総会では理事長が暴力問題に関し「信頼回復へ協力をお願いします」と、全親方に訴えた。理事長は「何かないか?」と問うたものの、意見はなく散会。貴乃花親方は、他の理事とは別の出口から会場を後にし、沈黙を貫いた。最終決戦を前にした対面は静かに終わった。議論の応酬が予想された年寄総会は、わずか30分で幕を閉じた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「自分の思っていることを伝えた。今、思っていることをね」と話し、足早に引き揚げた。発言はなかったようで、貴乃花親方は入室時とは逆の出口から無言で迎えの車に乗り込んだ。八角理事長が伝えた「思い」とは、角界への不信感を拭い、再出発する強い姿勢。協会広報部によると、「きちんと早急に解決し、信頼回復に努めていく」などと表明し、協力を呼び掛けたという。ほかには暴行問題の経緯を説明。来季の事業計画が示され、21年ぶりに90日間全て満員御礼を達成したことに、「協会員のおかげ」と感謝を述べた。最後の質疑応答では、一部親方がリハビリ施設の使用に対して質問しただけ。ある親方が「意外だった」と苦笑いするほどの静けさだったが、裏を返せば理事会への緊張感が高まっている状況をうかがわせる。

 
明日の28日、危機管理委員会の報告を受けた臨時理事会で、大相撲の元横綱日馬富士が貴ノ岩を暴行した事件の事件関係者で唯一、処分が先送りとなっていた貴ノ岩の師匠・貴乃花親方の処分が検討される。一連の問題が表面化した11月以降、協会の調査に非協力的な姿勢をみせてきた。20日の臨時理事会で貴乃花親方は、15ページに及ぶ独自の文面を用意し「批判されるようなことはない」などと自らの正当性を訴えた。20日の臨時理事会では理事長の報酬返上、横綱白鵬らの給与減額など厳しい処分が下されたが、聴取が終わっていなかった貴乃花親方だけが、聴取が間に合わなかったとして処分先送りになった。25日になって危機管理委による聴取に応じた。貴乃花親方氏弁護士を伴い弁明した。

 協会の懲戒処分は理事会の決議により、重い「懲戒解雇」から「引退勧告」、「降格(※親方の場合)」、「業務停止」、「出場停止」、「報酬減額」、「けん責」。理事会後には評議員会も開かれる。理事の選任、解任は評議員会の専権事項で「降格」以上ならば、それを協議する。だが、評議員会は決議を受けてから議題を定め最低1週間をあけて招集される規定がある。仮に降格処分とされても、正式決定は来年になる。

 業務停止、理事降格など厳罰処分の可能性は高い。理事のなかで、強硬な立場とみられるのは「業務停止」を求める意見。一方で「報酬減額」でとどめようとする見方もある。業務停止は「一定期間」協会に携わる一切の業務が禁止され、師匠として指導もできない。この間の給与(144万8000円)や手当てもストップされる。ただ、危機管理委関係者は「(貴乃花親方は)処分を受け入れないだろう。自分は間違ったことはしていないと言うのだから」と臨時理事会が紛糾するとも予想する。


 すべての聴取が出そろい、処分がついに決まる。元横綱日馬富士の師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は理事を辞任し、2階級降格処分を受けた。協会の定める懲罰では4番目に重い業務停止、その上の理事降格の可能性がある。

 (1)降格 責任を認めて辞任した伊勢ケ浜親方と異なり、貴乃花親方は自身の正当性を主張している。20日も巡業部長の責任は果たしたという内容の文書を持参し、理事会出席者全員に配布した。辞任を選ばず仮に「降格」となった場合、事実上の理事解任となる。これまで強制的に理事職を外された前例はない。解任となれば規定で、1週間以上空けた評議員会でしか処分は確定せず、完全決着は越年となる。ただし約1カ月後の役員候補選挙で出馬すれば復権は確実。事実上、約1カ月しか効力はない。

 (2)業務停止 本来は「降格」よりも軽い。だが役員候補選挙を間近に控える現在は、異なる意味を持つ。協会の行事にかかわることができない「業務停止」に2カ月以上など期間が長引けば、選挙に出馬できない。前例がないため処分の詳細は不透明だが、この先約2年は理事職に就けない可能性が出てくる。

懲戒解雇
引退勧告
理事降格 漫画家/やくみつる、リポーター/横野レイコ
業務停止 相撲取材歴50年/大見信昭
出場停止
報酬減額 元力士/維新力、リポーター/横野レイコ
けん責 元力士/維新力
処分なし 弁護士/宗像紀夫、弁護士/若狭勝
 理事の処遇については、理事会を受けて相撲協会の最高議決機関である評議員会で協議する。池坊保子議長が「そのまま受け止めて、その通りに―というようには、ならないかもしれない」と指摘するように、処分が甘ければ理事会の決定が差し戻される場合もある。協会の覚悟が示される。

 ◆評議員会 定数は5人以上7人以内で、過半数を外部有識者で構成しなければならない。相撲協会の最高議決機関で理事の選任、解任という強い権限があり、年寄(親方)が務める場合は年寄名跡を持ったまま任期(4年)内は本名で番付などに記載される。


 12.27日、10月に千葉・船橋市の路上で倒れ、頭部の手術を受けて入院中の二所ノ関親方(60)=元大関・若嶋津=の症状について、部屋付きの湊川親方(元小結・大徹)が27日、意思疎通ができる程度まで回復していると明かした。既に意識を取り戻し、リハビリを進めている状態。言葉は話せないが、元歌手のみづえ夫人(57)に、手を動かして意思を伝えているという。年寄総会後、湊川親方は「だいぶ良くなってきた。九州場所が終わった頃から、だいぶ元気になったようだ」と、印象を語った。「どんどん努力しながら、そのうち皆さんの前で(姿を見せる)というのを願っている」と説明。11月下旬から復帰に向けて回復傾向にあることを強調した。二所ノ関親方は10月19日にサウナから自転車で部屋に戻る途中に倒れ、頭部を強打。船橋市内の病院で約4時間半の開頭手術を受けた。一時は意識不明の重体で、集中治療室で治療を受けていた。相撲協会の理事で審判部長を担当。所属する二所ノ関一門は回復を優先し、初場所後の役員候補選挙の立候補者選出を保留している。

 「日馬富士の引退で 「力士会」新会長に横綱・鶴竜関 」。

 力士会会長に鶴竜が就任「今回は自分の番」…元日馬富士の引退で。元日馬富士関の引退で空席だった力士会の会長は、横綱・鶴竜(井筒)が引き継ぐことになった。会の進行役となる議長は大関・豪栄道(境川)が務める。力士会はわずか6分で終了。鶴竜は昨年4月まで会長を務めた横綱・白鵬(宮城野)の推薦を承諾した。「順番でやっている。今回は自分の番だから」と説明し、全関取衆の前であいさつした。土俵では4場所連続休場中で進退がかかっている。

 12.28日、貴乃花一派から離反者続…裏切る親方衆はこんな面々。

 「どっかとの密約はありません」。26日、報道陣にこう言ったのは時津風一門を離脱した錣山親方(元関脇寺尾)。同じく一門を離れた立田川親方(元小結豊真将)と湊親方(元前頭湊富士)を含めた3親方、さらに一門内の3親方の計6人は前回理事選で貴乃花親方(45)の一派に票を投じたといわれる。それだけに「どこかとの密約」とは貴乃花一派との関係を指しているのは想像に難くない。錣山親方は「協会のルールの中で、協会がよくなるようにしたい」とも言った。暴行事件に関して一致団結して協力するという決め事を無視、執行部や危機管理委員会に刃を向け続ける貴乃花親方にはこれ以上、賛同しかねるという意思表示とみるべきだ。周囲の親方の話を総合すると「(前回の理事選で貴乃花一派に協力した)6人とも来年の理事選では貴乃花一派に票を入れない意向を固めている」という。貴乃花一派は前回の理事選で計29票を集め、貴乃花親方、山響親方(元前頭巌雄)、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の3人が理事になった。そこから6人の票がなくなるだけでも大打撃だが、貴乃花一派からの離反者は彼らにとどまらない。

 ■理事選は惨めな結果か

 すでに伊勢ケ浜親方が貴乃花親方とたもとを分かったうえ、伊勢ケ浜親方に同調する親方もいるという。「今年1月に二所ノ関一門から伊勢ケ浜一門に移籍した朝日山親方(元関脇琴錦)ですよ。前回の選挙では貴乃花一派から票を回してもらった伊勢ケ浜親方を支持したとみられ、次の選挙も体制派に鞍替えした伊勢ケ浜親方と足並みをそろえるはずです」とはある親方。さらに別の親方は「出羽海一門の山響親方、それに玉ノ井親方(元大関栃東)も次回の理事選では貴乃花一派に協力しないと聞きました」とこう続ける。「このままいけば貴乃花一派の支配できる票は10票ちょっと。貴乃花親方ひとりが理事になるのがやっとですからね。山響親方は理事選に出ても当選する見込みがないだけに立候補を見送るだろうし、所属する出羽海一門の意向を優先するようです。前回の選挙で副理事になった玉ノ井親方にしても、貴乃花一派の力を借りたからであって、一派の勢力がそがれたいま、協力する意味がないと考えている。そもそも、あっちにもこっちにもいい顔をするタイプですから」。仮に貴乃花親方が来年の初場所後の理事選に立候補したとしても、みじめな結果に終わりそうだ。


【臨時理事会開催で、貴乃花親方の理事解任を全会一致で決議】
 12.28日、大相撲の元横綱日馬富士が秋巡業中の10月下旬に起こした傷害事件で、日本相撲協会はこの日、東京・両国国技館で臨時理事会を開いた。日本相撲協会理事会の席順は、貴乃花親方が八角親方の真正面の席。八角理事長のすぐ右に座ったのが読売新聞グループ本社社長の山口寿一理事。すぐ左隣りに座ったのが広岡勲理事補佐。広岡氏は松井秀喜がメジャーリーグで活躍したときインタビューの際いつも隣りにいて通訳をしていた人で、現在は江戸川大学社会学部教授、読売巨人軍球団代表付アドバイザー。要するに、現在の日本相撲協会の理事会に読売新聞が深く関わっていることが見て取れる。

 貴乃花親方(元横綱)の理事解任を評議員会に提案することを全会一致で決議した。貴乃花親方は統率者の巡業部長でありながら協会へ事案の報告を怠り、忠実義務違反に著しく反するとした。
理事会出席者によると、貴乃花親方に理事辞任を促す意見があったものの、同親方にその意思がなく、解任を提案する決議に至った。公益財団法人の相撲協会では、理事解任の権限は評議員会にある。同親方への処分は来年1月4日に臨時評議員会を開催して決める。28日の臨時理事会後に開かれた評議員会では、貴乃花親方への処分は議題ではなかったため検討されなかった。池坊保子議長は次回会合について「皆さんの意見を聞き、決議されるものと思う。開かれる前に個人の意見は差し控えたい」と語った。

 貴乃花親方が解任された場合、役員待遇委員へと降格するが、1月の初場所後に行われる理事候補選への立候補は妨げず、部屋の師匠として力士の指導はできる。過去に協会理事が解任された例はない。貴乃花親方は、元日馬富士に殴られて負傷した貴ノ岩の師匠。協会の危機管理委員会は、被害者側の立場にあることを勘案しても、速やかな報告を怠ったほか、調査に協力すべき義務があった中、貴ノ岩と自身に対する再三の聴取要請を拒否し続けた責任は重いとした。相撲協会は20日に開いた臨時理事会で、既に引責引退した元日馬富士を「引退勧告相当」とし、師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は理事を辞任して役員待遇委員に降格。現場にいながら暴行を防ぐことができなかった白鵬、鶴竜には報酬減額の処分を科し、八角理事長(元横綱北勝海)は3カ月分の給与返上を決めた。臨時理事会は、正午過ぎに終了した。午後1時30分に会見が行われる予定。

 12.29日、大相撲の貴乃花親方が史上初めて理事解任を決議された。28日、東京・両国国技館で行われた日本相撲協会の臨時理事会で、役員待遇委員への2階級降格となる理事解任を、評議員会に諮ることが決まった。元横綱日馬富士関による弟子の貴ノ岩への暴行事件に際し、一連の対応などで責任を問われた。辞任の意思はなく、理事職を強制的に外される事態となった。それでも来年2月の役員候補選挙への出馬は可能。当選は確実で、解任の効力は小さい。来年1月4日の評議員会で正式に処分が決まる。大相撲の歴史上、初の理事解任という汚名が残るかもしれない土俵際でも、貴乃花親方は動じなかった。約1時間行われた理事会の冒頭で、外部理事から「辞任する意思はありますか」と迫られたが断った。弁明もしなかった。その後、2階級降格となる理事解任が決議された。妥協して「辞任」するより、汚名を残しても「解任」を選んだ。会見した八角理事長(元横綱北勝海)は、「貴乃花理事の行為は、理事の忠実義務に著しく反するものと言わざるを得ない」と説明した。解任理由は「報告義務の懈怠(けたい)及び協力拒否」だった。巡業部長でありながら、秋巡業中に起きた暴行事件を報告せず、危機管理委による貴ノ岩への聴取の協力要請を何度も拒否。危機管理委の高野委員長は「極めて不誠実な対応」などと語気を強めた。2階級降格は、加害者である元日馬富士関の監督責任を問われ、辞任した伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と同等となった。それでも高野委員長は「結果としては同じですが、いきさつの認定事実が違う。矛盾はない」と話した。来年1月4日の臨時評議員会で、正式に処分が決まる。

 理事降格は重い処分だが、事実上の影響は約1カ月にとどまる。八角理事長は「理事(役員候補)選挙に立候補することは可能」と話した。来年2月の役員候補選に出馬すれば復権は確実だが、一連の混乱による影響は避けられない。貴乃花親方は協会側への不審を行動で表し、理事長の指導力を問うかたちになった一方、自身への風当たりも強まった。貴乃花親方の弟子を守る姿に、さらなる支援を誓った一門の親方衆もいるが、揺らいだ親方もいるという。貴乃花一門以外のある親方は「かえって一門の結束力が高まった」とも証言した。理事会中、貴乃花親方は八角理事長から「今回のような職務怠慢がないように」と、注意を受けた。この日も部屋を出てから戻るまで無言を貫いた。かたくなまでの独特な正義感は、今のところ協会の体制を覆すほどの支持は得られていない。現役時代の名誉に影を落とす形となった。

 【全文】「貴乃花親方の責任について」は次の通り。
 日本相撲協会は臨時理事会で、元日馬富士による傷害事件への対応をめぐり、貴乃花親方を理事解任に値するとして2018年1月4日の臨時評議員会に諮ることを決めた。理事会後、その根拠として危機管理委員会(高野利雄委員長)が公表した資料の全文は次の通り。

一 事実関係
 事実関係の詳細については、平成29年12月20日付け危機管理委員会(以下「委員会」という。)作成の元日馬富士関に係る傷害事案(以下「本件傷害事件」という。)に関する調査結果報告書のとおりであるが、貴乃花親方の責任の検討に当たりポイントとなる事実を以下列挙する。

 事実の概要
 10月26日 未明、本件傷害事件が発生。
 同日  貴ノ岩が鳥取市内の病院で受診し、頭部裂傷の縫合等の治療。
 同日  貴ノ岩が貴乃花親方に「酔っ払って転んだ。」旨報告。
10月28日 貴ノ岩が広島市内の病院で受診。
同月29日 貴ノ岩が貴乃花親方と共に鳥取県警に行き、本件傷害事件の被害届を提出。
同月30日 貴ノ岩が福岡県内の病院に通院(11月4日まで)。
11月1日 鳥取県警から日本相撲協会に捜査協力要請等の連絡。
同月2日 協会の定例会で鳥取県警からの上記連絡が報告され、同日の横綱会で貴乃花親方に事実確認をしようとしたが、同親方は欠席。
同月3日 鏡山危機管理部長が事情を尋ねたが、貴乃花親方は「貴ノ岩が怪我をし、被害届を出したようだが、具体的なことは知らない。」旨答える。
同月5-9日 貴ノ岩が済生会福岡総合病院に入院。
同月11日 定款変更等を目的とする臨時理事会。本件傷害の報告はなし。
同月12日 11月場所初日
同月14日 スポーツニッポン社が本件傷害を報道。
 同日  委員会において本件傷害を調査することが決定。
同月17-25日 5回にわたり貴ノ岩及び貴乃花親方の聴取を要請したが、同親方はいずれも拒否。
同月30日 定例理事会において、貴乃花親方が送検後であれば、委員会による貴ノ岩に対する聴取等に応じる旨確約。日馬富士の暴行問題に関し、全ての協会員が結束して協力していくことを決議。
12月11日 鳥取県警が鳥取地検に対し本件傷害を事件送致。
同日-13日 3回にわたり貴ノ岩の聴取等を要請したが、貴乃花親方はいずれも拒否。
同月19日 貴乃花親方が貴ノ岩の聴取に応じてもよい旨を連絡。

 報告義務の懈怠

 ニ 本件における貴乃花親方の報告義務の懈怠及び協力拒否について

 1 報告義務の懈怠

(1)結論
 本件傷害事件は、巡業部長である貴乃花親方が統率する巡業中に発生したのであるから、貴乃花親方は、理事・巡業部長として、貴ノ岩の受傷を把握した直後か被害届の提出前、遅くとも被害届の提出後には速やかに公益財団法人日本相撲協会(以下「協会」という。)へ報告すべき義務があったにもかかわらず怠った。貴乃花親方が被害者側の立場にあることを勘案してもその責任は重い。

(2)理由
 貴乃花親方は、理事として職務執行に当たり協会に対する忠実義務を負っており、協会に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに監事に報告する義務を負っていた。

 そして、本件との関連では、貴乃花親方は、協会員として、誠実、公正かつ能率的に職務を遂行すべき義務を負い、巡業部長として、理事長を補佐し、巡業部の事務を掌り、所属する協会員を指揮監督する職責を有し、同部の所掌事務の一つとして、「地方巡業に参加する協会員の保護、監督及び指導に関すること」が掲げられていた。また、貴乃花親方が、協会運営上の緊急事態の発生を認識した場合には、事業部長を通じて理事長に通報すべきこととされ、さらに、通報に当たっては、迅速さを最優先し、正確な情報を待つために通報が遅れることがあってはならないとされていた。

 本件においては、地方巡業に参加していた協会員である貴ノ岩が受傷し、怪我の程度も軽くなく、かつ、第三者を巻き込んだ虞のある事件性を認識したというのであるから(協会運営上の緊急事態にも該当する可能性が濃厚であった。)、貴乃花親方としては、まず、貴ノ岩の受傷を把握した直後に協会執行部に把握した内容を速やかに報告すべきであったといえる。

 この点に関し、貴乃花親方は、「当初は貴ノ岩から『酔っ払って転んだ。』旨の説明を受けたが、傷の状況から判断すれば、事件性が疑われ、同人が何かトラブルか事故に巻き込まれ、場合によっては一般人を巻き込んでいる可能性もないとはいえず、仮に同人に話せない事情があるとしても、警察に相談した方がよいと考え、10月29日になって、貴ノ岩と共に鳥取県警(以下「県警」という。)を訪ね、同日県警へ被害届を提出するに至った。」旨弁明している。これによれば、貴乃花親方は、同月26日には、本件傷害事件が第三者を巻き込んだ事件の可能性があると判断したことを意味しており、そうであれば、巡業部長として、そうした深刻な緊急事態の発生を認識した以上、まずは、協会に対して「詳細は不明であるが、貴ノ岩が大怪我をした。第三者を巻き込んだ虞れのある事件の可能性もある」旨の第一報をすべきであったことは論をまたない。貴乃花親方は、「貴ノ岩ではなく、別の部屋のカ士であったら報告したかもしれないが、自分の弟子のことだから調べようと思い、直ぐには報告しなかった。」「事態の把握をしなければ協会には報告のしようもなかった。」旨の弁解に終始しているが、怪我をした者が自己の相撲部屋に所属するかどうかはおよそ理由とはなり得ない上に、事態を把握した後の報告は、上記の第一報後に追加して対応すべき事柄である。それにもかかわらず、貴乃花親方は、上記のとおり、10月26日に事件発生を知り、その後、県警に被害届を提出するに至る同月29日までの間、結局、何らの事情も把握できないまま事態を放置し、このことが本件をここまで長期化させ、深刻化させた大きな原因の一つとなったのであって、理事・巡業部長ないし協会員としての緊急事態発生の報告を懈怠したことの責任は大きいといわなければならない。このことは、巡業部長としての危機管理能力を問われる問題でもある。

 忠実義務に著しく違反

 なお、貴乃花親方によれば、自ら事情を把握できなかったことについて、「貴ノ岩が私に話せない事情があったのではないか。親方としては、弟子の言うことは信じてやらなければならないと思った。」旨弁明しているが、師匠と弟子の間にあって、問題が発生した際に、師匠が弟子に対し事情を問い質せないという関係は本来あり得ない。これは、弟子に対する指導監督の責任を果たし得ないということを意味しており、それ自体、協会員の指導育成を委託している協会としては看過できない問題である。

 また、貴乃花親方が本件をこのような深刻な事態であると認識していた以上は、警察に相談する前に、協会に対し「本件は第三者が関与した可能性もある深刻な事件であるので、県警に相談に行く。」旨の報告をすべき義務があったことも、理事・巡業部長としては当然である。貴乃花親方によれば、貴ノ岩から事情を聞くこともしないまま、県警に相談に行き、貴ノ岩が被害届を提出した直後に県警担当者から被害届の提出を聞いて知ったというのであるが、上記のとおり、師匠と弟子の立場を考えれば到底理解のできない対応というべきである。もちろん、貴ノ岩が被害届を提出した後であっても、その事実を自ら協会に報告すべきであったことは論をまたない。

 それにもかかわらず、貴乃花親方が、10月26日から同月29日に至るまで貴ノ岩に詳細な確認をすることもなく放置し、事情を知らないまま、県警に相談に行ったということ自体、およそ巡業部長としての責務を果たしていたとはいえない上、前記のとおり、被害届の提出後も、自らは協会執行部への報告を一切しようとしなかった。なお、同親方は、11月3日、鏡山危機管理部長と電話で話した際に、同部長から問われて被害届の提出事実を認めたとのことであるが、積極的に自ら報告に及んだわけではない。

 ところで、貴乃花親方は、県警に持ち込んだ後は、県警から協会に連絡すると聞き、県警へ報告を依頼し、3日後に県警から協会に連絡されたので、巡業部長としての報告義務は尽くしていた旨弁明している。しかしながら、貴乃花親方が県警に行った直後に協会に報告しなかったため、協会は、その3日後に初めて県警からその事実を聞かされているのであり、これが極めて異常な事態であることは明らかであって、協会としてのガバナンスを問われかねない由々しき問題が発生していたことを勘案すれば、県警から報告されるので報告義務が解除されたとの主張は、理事・巡業部長として貴乃花親方の立場からは到底納得のいく説明とはいえない。さらに、新聞報道後も、同親方は、本件について、自らは何らの報告にも及んでおらず、およそ理事・巡業部長として誠実な職務執行を果たしていたとはいえず、このような報告懈怠は、理事としての忠実義務に著しく違反する。

 調査への協力拒否

 2 危機管理委員会による調査への協力拒否

(1)結論
 委員会による調査は協会執行部の決定に基づくものであり、理事・巡業部長ないし協会員としては、同調査に協力すべき義務があったにもかかわらず、貴乃花親方は、正当な理由がないのに、委員会による貴ノ岩及び貴乃花親方に対する再三の聴取要請を拒否し続け、さらに、11月30日の協会の定例理事会において、警察の捜査が終了した後は貴ノ岩の聴取に協力すると確約し、さらに、全会一致で、日馬富士の暴行問題に関して全ての理事、監事、協会員などが結束して協力していくことを決議したにもかかわらず、12月18日まで委員会による貴ノ岩等への聴取要請も拒否してその義務を怠った。貴乃花親方が被害者側の立場にあることを勘案してもその責任は重い。

(2)理由
 リスク管理規程16条によれば、緊急事態が発生した場合、「理事長は、危機管理委員会に緊急事態の対策について諮問する」とされており、同条に基づき、委員会が本件傷害に関する調査を行うことが決定されたものである。委員会は、緊急事態に関する情報の収集、確認及び分析、原因の究明及び対策基本方針の決定等を所掌し、また、必要と認められるときは、協会員等に対し一定の行動を指示又は命令することができ、指示又は命令を受けた協会員等はこれに従って行動しなければならない。

 委員会は、これらの条項に基づき、貴乃花親方に対し、再三にわたり、貴ノ岩の聴取のための協力要請をしてきたが、貴乃花親方は「警察捜査を優先する」「捜査の結果を待つ」などを理由として、これをことごとく拒否してきた。貴乃花親方によれば 「危機管理委員会が貴ノ岩の聴取をすることは、警察捜査に支障を来すことになる」という。しかしながら、警察捜査に支障をきたすという判断は、県警の指示ではなく、貴乃花親方本人の判断であり、これは極めて不可解な弁明である。すなわち、委員会は、貴ノ岩を聴取することの可否について県警に事前に問い合わせて「協会の判断に任せる」との了解を取った上で聴取要請をしたものであり、このことは貴乃花親方も承知していたはずである。しかも、11月30日の貴乃花親方も出席していた理事会の席上で、県警に「貴ノ岩の聴取は協会に任せる」こと、つまり貴ノ岩の聴取に支障がないことを確認し、貴乃花親方も県警から「貴乃花親方の判断に任せる」旨を告げられたのである。そうであれば、警察捜査に支障がないことは明らかになったのであり、貴乃花親方が委員会からの要請を拒否する理由はどこにもなかったことは明白である。

 拒否に合理的理由なし

 貴乃花親方は、その後、11月30日の理事会では、警察捜査が終了した段階で貴ノ岩の聴取の応じるとの返答をしたが、それは、警察捜査の後に検察の捜査があることを知らなかったからであるという。しかし、この日の論点は、理事会が開かれた11月30日時点で捜査に支障があるか否かであって、この点を上記のとおり、県害に確認したところ、事実上捜査に支障がないと言っていたのであるから、後に検察捜査があるか否かは問題ではないことは明らかである。それでも頑なに拒否する合理的な理由は全くない。

 当日の理事会において、前記のとおり、「協会員は一致してこの問題解決に向けて協力することを確認」して決議したのであるから、貴乃花親方に協会理事として誠実に同決議に沿って調査に協力する意図があれば、自ら県警に「危機管理委員会から貴ノ岩の聴取を求められているが、これに応じることが捜査に支障がないか」と確認すれば足りるはずであるところ、これをしていない。これは、理事として極めて不誠実な対応というべきである。また、委員会による貴ノ岩の聴取要請を拒否した理由につき、協会から示談を勧められることを危惧したからか、と尋ねるとそういうことは考えていなかったというのである。そうであれば、委員会からの聴取要請を拒否する合理的理由は全くなく、協会員としての前記義務に違反すると同時に、理事としての忠実義務にも違反していたことは明らかである。

 また、委員会は貴乃花親方の聴取も要請してきたが、貴乃花親方はこれも拒否し続けた。貴乃花親方は、「弟子である貴ノ岩と一体だと考えていたので、ニ人一緒に協カすればよいと考えていた。」旨弁解するが、貴乃花親方は事件には直接関係しておらず、貴ノ岩とは事情が全く異なるのであって、要するに、委員会の聴取には応じないと貴乃花親方が自分で決めたというにすぎず、合理的理由はない。貴乃花親方が自身の聴取要請を拒否し続けたことも、協会員としての前記義務に違反すると同時に、理事としての忠実義務にも達反していたものである。

 「「白鵬は別のガチンコ力士もぶっ壊した」 貴乃花親方がタニマチに激白」その他参照。 

 相撲協会の臨時理事会が開かれたのは、貴乃花親方への聴取の3日後の12月28日。ほとんどの新聞は、その場で、理事解任という貴乃花親方への処分案が「全会一致」で決議された、と報じたが、
「理事会では、貴乃花親方の解任についてではなく、解任するための評議員会を開催することについて、八角理事長が“みなさん、よろしいですね”と声掛けをしただけ。これに誰も何も言わなかったから了承されたに過ぎず、採決を受けての全会一致とは言えない」 と、貴乃花親方の支援者は指摘する。 「そもそも理事会では、高野危機管理委員長が“貴乃花親方の責任について”という報告書を読み上げただけで、親方の処分について全く議論されていない。参加者の1人からそれを指摘する声が出たのに、協会側は全く取り合わなかった」

 貴乃花親方はこの臨時理事会について、タニマチ(前出)にこう話した。〈私は協会側に対して、処分理由の説明を求めた。しかし、周囲の理事から「今更そんなことを聞いてどうする」、「なんでそんなことを聞く必要があるんだ」と横やりが入った。そんな状況に呆れてしまい、「もういいです」と言った〉。


 12.28日、日本相撲協会が、東京・国技館での臨時理事会後に記者会見を開き、貴乃花親方(元横綱)のコメントが掲載された週刊誌報道についても触れた。報道陣から「週刊新潮や週刊文春に貴乃花親方のコメントがあり、調査に関する内容もあったと認識していますが、調べているのでしょうか?」と問われた協会の危機管理委員長の高野利雄氏(元名古屋高検検事長)は、次のように答えた。「貴乃花親方から聴取をしたときに、協会に対する報告はない一方、貴乃花さんの意見だというようなことで、いろんな人が語っていました。ご本人がしゃべらないで、そういう人にしゃべらせるのはいかがなものか、という視点でお聞きしましたが、親方は『自分は一切、そういう人に話したことはないし、話すよう指示したこともない。週刊誌の取材を受けたこともない』という話がありましたので、昨日の週刊誌に、貴乃花親方が自ら発言されたような趣旨の記載がありましたので、委員会でのお話と違うのではないかと思いまして、改めて確認しましたが、『取材に応じたことはない』という風におっしゃっておられました」。今週発売の週刊新潮には「腹を割って全本音4時間! 貴乃花が本誌に激白」、週刊文春にも「貴乃花激白」のタイトルで特集が組まれ、貴乃花親方が取材に応じた形になっている。
 12.29日付け日刊スポーツ記事「貴乃花親方「激白」否定も文春「掲載したとおり」」。
 12.29日、日本相撲協会の高野利雄危機管理委員長(元名古屋高検検事長)が28日の会見で、27日発売の週刊文春と週刊新潮に掲載された「貴乃花親方の激白」記事について、わざわざ貴乃花親方(元横綱)に確認し、親方の言葉で報道を否定した。一方で両週刊誌編集部は「記事に掲載した通り」として双方が食い違う。貴ノ岩への暴行事件に際して、事件の“番外”でも、相撲協会と貴乃花親方の間にはちぐはぐさが目立った。互いの間にある温度差が、目に見えずとも、肌で感じられる1コマだった。今もかたくなに沈黙を貫く貴乃花親方の「激白」が掲載されたのは、ともに27日に発売された2つの週刊誌。週刊文春に語った言葉は長く、「相撲協会は私の責任を問うかたちにもっていきたいのでしょうけども、それはかまいません」、「一貫して捜査が最優先と伝えてきましたし、貴ノ岩が鳥取地検の聴取を終えた時点で、約束通り、すぐに協会の危機管理委員会の聴取にも協力させました」、「私が事を荒立てたかのように言われますが、ウヤムヤにすることこそ、大ごとです(中略)私はこのままで終わるつもりはありません」(原文まま)などと記された。週刊新潮でも、「未来に夢や希望を乗せてこれから力士を志す者たちへ学べる角界であるべきと考えています」(同)などと心情を語り、支援者に語ったという親方の証言も掲載された。2つの記事いずれも自らの正当性と、協会執行部への不信感がつづられていた。

 危機管理委員会も以前から、協会の聴取には協力しないのに貴乃花親方の「考え」が表に出ることに不信感を抱いていた。25日の同親方への聴取の際には「本人が話さず、周囲に話させるのはいかがなものか」と問いただした。そこで親方は「一切、そういう人に話したことはないし、話すよう指示したこともない。週刊誌の取材を受けたこともない」と否定したという。だが、直後に発売された週刊誌では、周囲どころか自らの発言までが報じられた。再び確認を強いられた危機管理委員会。高野委員長は、「委員会(の聴取)での話と違うと思い、改めて確認しましたが『取材に応じたことはない』という風におっしゃっておられました」と説明し、貴乃花親方の言葉を用いて記事を懸命に否定する事態となった。こうした会見を受けた週刊文春編集部は「記事に掲載したとおりです」とコメントを発表。週刊新潮編集部も「記事に書いた通りです。それ以上でもそれ以下でもありません」とした。相撲協会と同親方がかみ合っていないことは、事件の“番外”でも露呈されてしまった。

 12.28日、貴乃花親方の母親の藤田紀子が、テレビ朝日系「ワイド!スクランブル」に生出演し、本来、被害者側であるはずの貴乃花親方が処分される流れに「どうしてこういう親方を処分までしなければいけないか」と異議を唱えた。元横綱日馬富士が貴乃花親方の弟子・貴ノ岩を暴行したことが発端だったはずが、巡業部長、理事としての貴乃花親方が責任を問われる流れに変わっていった今回の騒動。藤田は「この2カ月間見てますと、どうして貴乃花親方を処分するべきだという形に流れになったのか、本当に分からなくて。これ、暴行問題をどなたかが口に出さないと、さも貴乃花が何かやったような形になってくるんですけれども」と、貴乃花親方が悪者にされている流れに異議。貴乃花親方の行動を「必要があってしたことで、全部理由がある」と擁護し、「最初から変わらないのは、不退転の覚悟でね、決意で、信念を曲げていないんですよ。グラついていないんですよ。どうしてこういう親方を処分までしなければいけないかという、私は不満を持っております」と、日本相撲協会を厳しく批判した。

 12.28日直前の頃、1月5日発売のFRIDAY最新号が、貴乃花親方による「爆弾発言」を詳しく報じている。 都内のホテルに姿を現した貴乃花親方(45)が、「秘密会合」の場で次のように心境を吐露している。 「こんな相撲協会なら、なくなってもかまわない。潰して新しく作るべきだと思っています」。「いま一番心配しているのは貴ノ岩の将来。ちゃんと相撲界に戻れるのか、絶対に守ってあげないといけない。私はマスコミに追われ、病院にも思うように行けない」。




(私論.私見)