貴乃花親方自作自演失脚事件考その3

 更新日2017(平成29).12.14日

【白鵬が、日馬富士引退発表に「どういう言葉をかければいいか見つからない」】
 12.4日、大相撲の冬巡業が長崎・五島市で行われ、横綱・白鵬が、元横綱・日馬富士関が幕内・貴ノ岩への暴行問題の責任を取って引退発表したことについて「どういう言葉をかければいいか見つからない」と述べた。元横綱が11月29日に引退して以降、白鵬が言及するのは初めて。横綱の土俵入りを終えた白鵬は、椅子から立ち上がってライバルの引退を惜しんだ。「巡業が始まっているしね」と前置きしながら「本人にどういうことを言ったらいいのか、言葉が見つからない。難しい。少し時間をおいて本人に直接、伝えられたらいいね。みなさん(報道陣)を通してああだこうだと言うことはしない」と短い言葉に気持ちを込めた。沈黙を破るには、気持ちを整理する時間が必要だった。元日馬富士関は同じモンゴル出身で、一緒に上を目指してきたライバルであり盟友でもあった。白鵬は今年10月、鳥取市内での日馬富士の暴行事件が起こったラウンジに同席、しかも日本相撲協会の危機管理委員会の中間報告によると、白鵬の貴ノ岩への注意が事件の引き金になった。千秋楽の優勝インタビューでは「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げたいと思います」と発言。さらに観客に万歳三唱を促すなど言動が横綱の品格に関わるとして、11月30日の定例理事会で厳重注意を受けた。その間に鳥取県警や日本相撲協会の危機管理委員会の事情聴取を受け、冬巡業に出てもテレビ局のリポーターにマイクを向けられるなど、相撲以外で騒がれることに嫌気が差していた。五島市で巡業が行われるのは16年ぶり。「私が入門した年ですよ」と白鵬。歩んできた相撲人生の原点の地を踏んで、ふと引退を余儀なくされた盟友に対する思いが湧き上がってきたのかもしれない。(今関 達巳)

【石原慎太郎が白鵬批判】
 12.4日、元東京都知事の石原慎太郎氏(85)がツイッターを更新。大相撲の元横綱日馬富士が平幕貴ノ岩に暴行を加えた問題の責任を取って引退したことに言及した。「これはあくまでも作家としての憶測だが」と前置きした上で、「日馬富士事件の真相は千秋楽の挨拶で見せた白鵬の僭越驕りからして彼が弟分の日馬富士をそそのかしやらせたのではないかと思う」と持論を展開。「最近の白鵬驕った姿勢は鼻持ちならない」と批判した。横綱白鵬(32)は九州場所千秋楽の優勝インタビューの際、「日馬富士関と貴ノ岩関の2人を再び土俵に上げてあげたい」と発言したほか、観客に呼びかけて万歳三唱を行った。暴行問題の結論が出ていない時点で日馬富士と貴ノ岩の土俵復帰を望む発言は軽率で、観客との万歳三唱は横綱の品格を汚す行為と判断され、日本相撲協会から後日、厳重注意を受けた。

【鳥取県警が、日馬富士を一両日中に傷害容疑で書類送検する動き】
 12.5日、鳥取県警が、元横綱の日馬富士を一両日中にも傷害容疑で書類送検することが捜査関係者への取材で分かった。鳥取県警が送検時に付ける意見は起訴など厳しい刑事処分を求める「厳重処分」とする方針。

 負傷程度は軽くなく、貴ノ岩関側の処罰感情も強いことなどから、鳥取地検に捜査書類を送る際に付ける意見は、起訴や略式起訴を求める「厳重処分」にすべきだと判断した。送致を受けた場合、地検は引退するなど社会的制裁を受けている点なども考慮し、処分を決めるとみられる。警察が書類送検時に付ける意見には厳重処分のほか、起訴・不起訴の判断を検察に委ねる「相当処分」、起訴を求めない「しかるべき処分」などがある。

【鏡山危機管理部長が貴ノ岩の診断書提出の件で貴乃花親方に文書で要請】
 2017.12.5日、先月29日に引退した元横綱日馬富士が平幕貴ノ岩を暴行しけがを負わせた問題で、日本相撲協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜)は5日、開催中の冬巡業を休場している貴ノ岩の診断書を提出するよう師匠の貴乃花親方(元横綱)に文書で要請したことを明らかにした。鏡山部長が東京都江東区の貴乃花部屋を訪れたが、貴乃花親方は不在だったため、要請文書を投函した。「(貴乃花親方に)電話してもつながらなかった。何でも書面でといわれているので」と文書で要請した理由を説明した。相撲協会によると、横綱稀勢の里ら冬巡業を休場した関取の中で貴ノ岩の分だけ休む根拠となる診断書が届いていないという。鏡山部長は「(貴乃花親方は)元々は巡業部長で催促する立場。ルールだから」と話した。11月の九州場所を全休した貴ノ岩は「頭蓋底骨折などの疑い」との診断書を公表したが、相撲協会が診断書を作成した医師に確認したところ、九州場所前の11月9日時点で相撲を取ることに支障がなかったとの言質を取っている。

【貴乃花派の“女装カレンダー事件”】
 2017.12.5日付協会や理事を激怒させた 貴乃花親方の“女装カレンダー事件”」参照。
 「週刊女性PRIME」が報じた女装カレンダーがそれで、昨年末、後援者に配布されたという。ある親方が言う。「貴乃花一派の親方11人が本格的にメークして女装している。発覚したのは今年の9月頃。多くの親方衆や理事はア然。「こんなのが出回っては力士のイメージに関わる!」と声を荒らげた親方もいた
 2017.12.4日付2017.12.9日号貴乃花親方の “女装” は理事選への布石!? 発案者は、やっぱりあの人だった」。
左が女装姿の貴乃花親方

 平成の大横綱といわれた現役時代だけでなく、親方としてもまさに“孤高”という言葉がぴったりの貴乃花。だが、彼は昨年末に意外な一面を披露していた。昨年12月26日、東京・渋谷にあるセルリアンタワー東急ホテルで行われた『第1回 貴乃花ファミリー忘年会』。ボールルームに約400人を集め、盛大に行われた。驚いたのは会費が1人3万円だったのにもかかわらず料理がホテルのものでなく仕出し料理だった。から揚げにフライドポテト、焼きそば、チャーハンと出てくるのは高級ホテルに似つかわしくない居酒屋料理ばかり。飲み放題のワインを注文したらプラスチックのデキャンタ。料理にケチがついた。恐らくホテルは場所だけを貸していたのだろう。ウエーターは少なく部屋のおかみさんたちが忙しく働いていた。ここまで大勢が集まったのは、貴乃花一門の親方だけでなく、別の一門の親方も来ていたから。それら部屋ごとの後援者も来ていたことによる。

 初めは親方たちの挨拶や所属力士の紹介、親方衆のカラオケなどがあった。その間、貴乃花親方は各テーブルを回り写真撮影などに応じていた。宴も中盤に差しかかった頃、会場にプロジェクターが3台ほど出され映像が流れ出した。それは親方たちが女性姿に扮するまでを映したメーキングビデオだった。メイクしたりカツラをかぶったりする様子が1時間ほど流れた。一部のファンは喜んでいたが大方の人はドン引き。ビデオのトリが貴乃花親方。映像が終わり彼が30分ほどトークしたが、相撲の話はほとんどせずに女装の話ばかり。“この中でいちばん自分がキレイだ”、“ヘアメイクの人は大変だっただろうね”などと楽しそうに話していた。最後に“あまりに自分が美しかったのでTシャツにしました”と満面の笑みで発表していた。参加者全員におみやげとして配られたのが親方衆の“女装カレンダー”と貴乃花の“女装Tシャツ”。お開きになると、女性の司会者が“女装のことはSNSにあげないでください”と何度もアナウンスしていた。

 貴乃花親方といえば、スーツに長いマフラー、時にはサングラスをする“マフィアファッション”。そんな彼が紫のアイシャドーに真っ赤なルージュ。「この企画を考えたのは、どうも貴乃花部屋のおかみさんである花田景子さんのようですよ。彼女がメイクやスタイリスト、カメラマンまで手配したって聞きました。確かに若い女性ファンなどは喜んだのかもしれませんが、後援者の多くは年配の方。こんなことをすることが相撲改革だとしたら、先行きは思いやられますよ」(相撲協会関係者)。

 時津風一門は8部屋で相撲界では3番目の勢力。12部屋を従える最大派閥の出羽の海一門から山響、玉ノ井の両親方が参加している。4部屋の貴乃花一門にとっては、これ以上ない援軍。

 女装カレンダーは貴乃花から時計回りに 一門の大嶽(元大竜)、千賀ノ浦(元隆三杉)、時津風(元時津海)、錣山(元寺尾)、立浪(元旭豊)、豊真将、玉ノ井(元栃東)、湊富士、大碇、巌雄と思われる(名称は現役時代の四股名)合計11人。

 阿武松(元関脇・益荒雄)、立浪(元小結・旭豊)が貴乃花一門の親方。親貴乃花派の親方が玉ノ井(元大関・栃東)、木瀬(元前頭・肥後ノ海)、立田川(元小結・豊真将)ら。
貴乃花ファミリー忘年会で配られた、11人の親方の女装カレンダー。貴乃花ファミリー忘年会で配られた、11人の親方の女装カレンダー。上段・貴乃花、山響(巌雄)、大嶽(大竜)。中段・玉ノ井(栃東)、湊(湊富士)、陣幕(富士乃真)、千賀ノ浦 (隆三杉)。下段・立田川(豊真将)、立浪(旭豊)、錣山(寺尾)、時津風(時津海)と思われる。甲山(大碇)。
 2017.12.4日付貴乃花 ブログで綴っていた“弟子への思い”が話題再燃」。
 引退した元横綱日馬富士(33)の暴行問題を受け、日本相撲協会の理事会では貴乃花巡業部長(45)が同問題に対応することを理由に担当から外れることとなった。また、暴行を受けた貴乃花親方の弟子である平幕貴ノ岩(27)も冬巡業を休場、一部では現役復帰困難とも言われている。

【白鵬が「MONGOLIAN TEAM(モンゴリアン・チーム)」文字入り青のジャージー着用】
 12.3日、長崎県大村市で行われた冬巡業初日のこの日、朝稽古を終え風呂から出た白鵬は、その背中には「MONGOLIAN TEAM(モンゴリアン・チーム)」の文字がある鮮やかな青のジャージーを着て支度部屋に戻ってきた。白鵬に近い関係者が「あんなのを着ているのは初めて見た」と明かしており、これまでは着ていなかったという。白鵬のこのタイミングでのこの姿が注目されている。巡業では、朝稽古終了から取組開始までの約3時間は休憩時間で、ジャージーを着ている力士も何人かいる。巡業2日目(4日)の長崎県五島市での白鵬はグレー系のスエット姿だった。

 12.4日、白鵬は、日馬富士が暴行問題の責任を取って引退したことについて「巡業中だし、本人にどういう言葉を掛ければいいか見つからない。難しい」と初めて言及した。


【鏡山危機管理部長が冬巡業を休場している貴ノ岩の休場に必要な診断書を提出するよう要請する文書を貴乃花部屋に文書を届ける】
 12.5日、日本相撲協会執行部の鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜、59)が、元横綱・日馬富士関に暴行を受けて冬巡業を休場している幕内・貴ノ岩の休場に必要な診断書を提出するよう要請する文書を、東京・江東区の貴乃花部屋に文書を届けた。

【相撲協会がマスコミの貴乃花親方寄り報道に反撃】
 12.5日、相撲協会が、マスコミの貴乃花親方寄りの報道に危機感から猛反撃。協会広報部が「日馬富士の暴行問題につきまして」という異例の文書を発表、巻き返し策に乗り出した。同文書は、「様々な報道がなされておりますが、明確な誤り等も散見されております」と指摘し、貴乃花親方が鳥取県警に被害届を提出する際に「八角理事長に対して事前に連絡している」と報じていることに対して、「完全に事実とは異なることをご指摘させていただきます。今回の日馬富士の暴行問題につきまして、貴乃花親方から事前に、理事長および協会執行部、事務方に対し、報告・連絡・相談した事実は一切ありません」と強調し、「報道各社におかれましては、くれぐれも正確な報道をしていただけますよう、重ねてお願い申し上げます」とクギを刺した。一方でこの日、貴乃花親方に、冬巡業を休場している幕内貴ノ岩(27)の診断書を提出するよう文書で要求。一気に“攻勢”に出た格好だ。

【鏡山危機管理部長が貴ノ岩の診断書が依然として届いていないと明言】
 12.7日、日本相撲協会の鏡山危機管理部長が、大相撲冬巡業を休場している幕内・貴ノ岩の診断書が依然として届いていないことを明かした。5日に同部長が都内の貴乃花部屋を訪れ、巡業を休む診断書を提出することを文書で要請したが、「何も来ていないよ。(巡業先にも)何もないみたい」と、貴ノ岩サイドからの反応はなし。鳥取県警が元横綱・日馬富士関を書類送検した段階で、貴乃花親方(元横綱)は弟子の貴ノ岩の協会による聴取を許可する意向だが、「聞き取りではなく、そっち(診断書の提出)が先」と同部長は語った。

【元小結旭鷲山が再来日】
 12.6日夜、わざわざモンゴルから来日し、テレビ局ワイドショーに出まくり、散々“かき回した”元小結旭鷲山が再来日した。7日、「バイキング」(フジテレビ系)に出演して早速釈明している。但し、某キー局上層部が「旭鷲山を出すな!」と“出演NG指令”を現場に出している。

 被害者である貴ノ岩の肩を持つ立場で、貴ノ岩から聞いた話としてさまざまなコメントをした。いわく「灰皿やカラオケのリモコンなどで40~50回殴られた」「今も片方の耳がきちんと聞こえない」などなど…。テレビ局関係者も「元旭鷲山はモンゴルで30社前後の会社を束ねる『KYOKUSHUグループ』を立ち上げているので、お金に困っているわけではない。純粋にスポットライトが当たって気持ちよかったのでは?」と話している。ところが、内容に様々な疑義が持ち上がり風向きが変わり始める。日馬富士や横綱白鵬を援護する元横綱朝青龍が“物言い”をつけたばかりか、元旭鷲山の“暴走行為”に日本相撲協会も激怒(本紙既報)。揚げ句の果てには貴乃花親方まで内容に関して「不正確」とバッサリと斬り捨てた。結局、貴ノ岩と会うこともできずに、“総スカン状態”でモンゴルに帰国した。旭鷲山が、うそつき呼ばわりされていることに我慢がならなかったのだろう。6日に再び来日すると、7日の「バイキング」で「モンゴル語で書いているフェイスブックは、各テレビ局が(それぞれの)通訳を使っているので違ってきている。言ってる意味が全然違う」などと釈明に追われた。

 だが、テレビ局の熱はすっかり冷めているという。某キー局の関係者が明かす。「相撲協会からウソを垂れ流すなと抗議もきているし、貴乃花親方から『不正確』の指摘があったから、上層部から『危ないから、使うな!』と指令が出たんです。それにもう話題は日馬富士と貴ノ岩ではなく、白鵬と貴乃花親方に移っているからいらないでしょ」。さらに「もう貴ノ岩とも連絡は取れていないだろうし、新しい話も持っていないと思うから需要ないよ」と冷たい言葉で突き放した。

 元旭鷲山といえば、大統領の非常勤補佐官を解任されたばかり。日本で大統領補佐官の名刺を配り今回の日馬富士の問題に介入したことが問題視されたようだ。「元旭鷲山は辞任したことは認めていますが『クビではない』と主張しているようです。あくまで野党の民主党の役員選挙があるので自分の意思で辞めたと。ただ、モンゴルでビジネスがうまくいったのは、政府の後ろ盾があった側面もありますからね。今後、そちらの方に影響が出てくるかもしれません」(モンゴル事情に詳しい関係者)。

【鏡山危機管理部長が貴乃花部屋を再来訪】
 12.8日、鏡山危機管理部長が、協会執行部の電話に出ず、折り返しの連絡もない貴乃花親方の態度に業を煮やし、「直接持ってきた方が早いから」と再び“督促状”を3日ぶりに持参。冬巡業(17日まで)を休場している貴ノ岩の診断書提出や、協会の危機管理委員会による聴取の協力などを求め都内の部屋を訪ねたが親方(元横綱)との対面に失敗した。チャイムを鳴らして室内に入ったが、会えずに1分ほどで退出した。報告を受けた八角理事長(元横綱・北勝海)も「電話してもかかってこないし、仕方なく行った。(貴乃花親方に)会えたとは聞いていない」。巡業部長を務めながら、無断で弟子を巡業に休場させている貴乃花親方は協会への態度を硬化させたまま。部屋には連日、数十人の報道陣が殺到。この日は防犯カメラが1台増えて4台になるなど、相変わらずピリピリしたムードだった。貴ノ岩を暴行した元横綱・日馬富士関は11日にも傷害容疑で書類送検される見込みだ。

【日本相撲協会がフジテレビに抗議文送付】
 12.9日、日本相撲協会は、元横綱・日馬富士が貴ノ岩への暴行問題に関する報道で、事実と異なる内容があるとして、フジテレビに抗議文を送付したと発表した。抗議文は6日に同局の情報番組「直撃LIVE グッディ!」で放送された内容に対して。貴ノ岩の師匠の貴乃花親方(元横綱)の支援者と名乗る男性のインタビューを放送し、11月15日に貴乃花親方が「完璧にだまされた」と話していたとする証言を紹介した。同親方がそう話した理由をこの男性は推測として、暴行問題の対応をとる約束をかわしながら、九州場所前に対応がないこと、11月11日の臨時理事会で議題に上がらなかったことなどが協会への不信感につながっているとしている。だが協会側は貴乃花親方との間で約束をし、それを破ったために同親方が怒っているというのは事実無根としている。また貴乃花親方に放送された内容を確認したことも明かし、「いずれも心当たりはございません。いずれもマスコミから出ている根拠のない、伝え聞いたような情報である」との回答を得ていることも抗議文では明記している。相撲協会は5日、貴乃花親方が八角理事長(元横綱・北勝海)へ、暴行問題について事前に連絡しているという一部の報道は誤りで、そのような報道を控えてほしいと発表していた。その翌日に協会が否定したものと同趣旨の放送をしたことを、「極めて悪質で、背信的」と主張している。このような形で放送することで、協会の名誉と信用を毀(き)損され、日常業務を混乱されていると抗議。速やかな謝罪、訂正がなければ、放送倫理・番組向上機構に番組の問題点について審議を求める申し立てがあることも抗議文に記していた。

【鳥取県警が日馬富士を傷害容疑で書類送検】
 12.11日、鳥取県警が、大相撲の元横綱日馬富士が幕内貴ノ岩を暴行した問題で、日馬富士関を傷害容疑で書類送検した。被害届が10月29日に県警に出されてから約1カ月余りでの送検となった。捜査のポイントは元横綱が具体的にどのような暴行をしたのかにある。貴ノ岩から当時の状況を聴いた上で、11月17日に両国国技館(東京都墨田区)で元横綱から事情聴取した際には、現場の座席の位置について椅子を使って再現し確認。同席し、暴行を制止したとされる横綱白鵬関からは2度にわたる参考人聴取で暴行に至る経緯を詳しく聴いた。警察幹部は「聴取には協力的で、順調に捜査できた」と話す。書類送検を受けた鳥取地検は、元横綱を改めて事情聴取するとともに、貴ノ岩の処罰感情も確認して起訴・不起訴(起訴猶予)の刑事処分を決めるとみられる。判断の基準は暴行の結果の重大性や悪質性、示談成立の有無などの情状面がポイントとなる。元横綱は責任を取って引退しており、社会的制裁を受けたと判断し、公判を請求せず略式起訴や起訴猶予にする可能性もある。傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金。過去の力士をめぐる暴力事件では2010年、知人男性を暴行し顔に1カ月のけがをさせたとして傷害容疑で書類送検された元横綱朝青龍について、東京地検は示談が成立していることなどから起訴猶予処分とした。(了)

 書類送検の日馬富士は伊勢ケ浜部屋のコーチに 激化する白鵬モンゴル勢vs.貴乃花一門

 引退した元横綱・日馬富士が貴ノ岩(貴乃花部屋)に暴行した問題で、鳥取県警は11日、元横綱を傷害容疑で鳥取地検に書類送検した。硬いカラオケのリモコンで頭部を殴るなどした行為は悪質と判断し、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとされる。

「日馬富士は最初、暗かったけど、弁当を食べて話をしているうちに、いつものようにほがらかになって、元気で帰っていきました」

 こう証言するのは蓮華院金剛寺の木原秀成住職(72)だ。

 日馬富士とは10年来の付き合いがある。12月6日、騒動後はじめて、2人は都内で会って話をした。

「日馬富士は『いろいろご迷惑、ご心配をかけて申し訳ありませんでした』と言ってました。引退表明(11月29日)の翌日には相撲協会と縁がなくなったそうです。健康保険などはすぐに脱退になったらしいです」

 日馬富士は反省し、被害者の貴ノ岩について心配をしていたという。

「彼は『貴ノ岩が心配だ』と言ってました。情報が何も入らないようで、貴ノ岩の傷の状態や復帰について心配していました」(木原住職)

 今後はどうするのか。

「来年9月に引退相撲と断髪式をするそうです。それまでは、コーチのような存在として伊勢ケ浜部屋とかかわるということでした」(同)

 日馬富士は都内でモンゴル人の妻と3人の子どもと暮らしている。将来的にはモンゴルに帰国するのか。

© dot. 九州場所千秋楽の優勝インタビューで観客に「万歳三唱」を促した横綱白鵬 (c)朝日新聞社

「日馬富士が『モンゴルへ帰る』と言ったら、奥さんから『子どもの教育があるから、私は日本にいる。あなたがモンゴルで稼ぎなさいよ』とジョークを言われたそうです」(同)

 鳥取での暴行事件はモンゴル人力士ばかりの中で起きたが、彼らが集う場は実は多々ある。年に1度、東京都練馬区の光が丘公園で、モンゴル人たちが1万人以上集まって開かれるモンゴル祭り「ハワリンバヤル」はその一つ。

「白鵬、日馬富士やほかのモンゴル出身の力士たちばかりではありません。モンゴル本国の力士もはるばる来日し、イベントではモンゴル相撲を見せてくれます」(同)

 ほかにも「白鵬杯」という小中学生のワンパク相撲も毎年冬、東京・国技館で開催されている。

「そのときはモンゴル出身の現役力士が一堂に集まり、日馬富士も貴ノ岩も照ノ富士もみんな来て会場の手伝いをしていました。白鵬は冬巡業で浴衣ではなく、“MONGOLIAN TEAM”と記された青いジャージーを着て批判をされましたが、モンゴル人力士の結束は強いです」(同)

 木原住職はこう懸念を抱いている。

「騒動で角界は貴乃花と白鵬との戦いみたいに報じられています。モンゴル勢を一掃するような世論になりはしないかと心配しています」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日2017年12月22日号より抜粋、加筆


【危機管理部長の鏡山親方が4度目の貴乃花部屋訪問】
 12.11日、日本相撲協会の理事で危機管理部長の鏡山親方が、貴乃花親方宛ての書類を持参し都内の貴乃花部屋を4度目になる訪問をした。この時、貴乃花親方が居たにも拘わらず居留守を使い門前払いした。インターホン越しで部屋の女性はドアを開けもしなかった。

 鏡山親方は、午後12時半過ぎに「貴乃花理事」と表に書かれた封筒を持参。付き添いの三保ヶ関親方(43、元幕内・栃栄)がチャイムを2度、鳴らし、接触を試みたが、インターホン越しで対応した女性スタッフに中に入れてもらえなかった。鏡山親方「日本相撲協会ですが」。女性スタッフ「どのようなご用件でしょうか?」。鏡山親方「親方にちょっと、文書を持ってきました」。女性スタッフ「ファクスでよろしいのに。わざわざ申し訳ないので」。鏡山親方「これ(封筒)、(郵便受に)入れていいでしょうか?」。女性スタッフ「次回からどうぞファクスをお使いくださいませ」と話を打ち切った。ポストに投函(とうかん)し、報道陣には無言で待たせてあった車に乗り込んで、その場を去った。貴乃花親方は2時間後の午後2時40分に部屋から顔を出し、迎えに車に無言で乗り込み部屋を出た。これまで3度の訪問では部屋の中にいるかどうか不明だったが、今回は居留守を使われた格好となった。

 文書は貴ノ岩への聴取協力に加え、休場している冬巡業の診断書提出要請の2種。11月30日の理事会で同親方は元横綱が書類送検されれば聴取協力することを約束していたが、強硬な姿勢は変わらなかった。

 協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、12日以降に貴ノ岩を聴取する意向を示しており「伝えた」と言う。それでも「電話で連絡がつかない。(貴乃花親方に)協会に来てもらいたいんだけどね本当は」と返答がない状態になっている。20日の臨時理事会で一連の問題に関し最終報告としたい意向だが、被害者の聴取が完了しなければ不可能な為、苦悩している。20日には臨時理事会で危機管理委の最終報告、21日には「暴力問題の再発防止について」と題し全協会員を集めて研修会を行う予定にしている。

 日馬富士の師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は、日馬富士の書類送検を受けて、国技館で八角理事長に事情を報告した。約20分間後、取材に応じた親方は次のように述べた。「報告しました。送検されているのでキチンとしないと。元横綱とは常にコミュニケーションは取れている。(改めて謝罪を行うかについては)向こう(貴乃花親方)と連絡が取れていない」。


【貴乃花親方が軟化せず】
 12.11日、貴乃花親方(元横綱)はスポニチ本紙の取材に、貴ノ岩の体調が思わしくないことを明かし、日本相撲協会の危機管理委員会による聴取は地検の判断まで待つ姿勢を示した。貴ノ岩側が鳥取県警に被害届を提出した10月29日から40日余り。元横綱・日馬富士は書類送検された。県警は書類送検時に、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられるが、鳥取地検は略式起訴する方向で検討に入ったという。地検は詰めの捜査を進め、正式な裁判を求める起訴ではなく、罰金を簡易裁判所に求刑する流れになりそうだ。送検により捜査は一つの節目を迎えた。

 日本相撲協会の危機管理委員会は、元横綱以外にも同席していた白鵬、鶴竜の両横綱、関脇・照ノ富士の聞き取り調査を終えている。だが、被害者である貴ノ岩の聴取は、師匠の貴乃花親方の意向で実現していない。この日は、危機管理部長を務める鏡山理事(元関脇・多賀竜)らが東京都江東区の貴乃花部屋を訪れた。だが、4度目の訪問でも貴乃花親方とは接触できず。冬巡業を休場している貴ノ岩の診断書提出を求める文書と、聞き取り調査を求める文書を入れた封筒をポストに投函(とうかん)した。聞き取りに関して希望の日時も伝えたという。

 11月30日の理事会では、県警の捜査終了後、貴乃花親方が危機管理委員会による貴ノ岩の聴取に協力する意向を示したとされる。だが、現時点で貴ノ岩の状態は思わしくなく、聴取に応じられる状況ではないもようだ。貴乃花親方は本紙の取材に応じ、貴ノ岩の具合について「良くないので大変なことになっているんだよ」と答えた。さらに、日馬富士が書類送検されたことに「捜査に協力するのは国民の義務ですから、協力は惜しみません」と話した上で「まだ全てが終わったわけではない」とあくまで地検の判断を待つ姿勢を示した。危機管理委が聴取を要請する文書を出したが、八角理事長は「一番は体調を整えてから。(聴取に)答えられる状況をつくっていかないと」と貴ノ岩の体調を気遣った。危機管理委は20日の横審、臨時理事会までに最終報告を提出したい意向だが、それまでに聴取できるかは微妙な状況だ。世間を揺るがしている暴行問題で、被害者から話を聞かずに最終報告をまとめるのは、あってはならないこと。迅速に問題に対処してきた相撲協会だが、年内決着は厳しい状況となった。

【貴ノ岩の実兄、アディア・ルブサン氏が貴ノ岩が東京都内の病院に入院していることを明かした】
 12.12日、大相撲の元横綱日馬富士(33)から暴行を受けた平幕貴ノ岩(27)の実兄、アディア・ルブサン氏(45)が、フジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」の電話取材に応じ、貴ノ岩が東京都内の病院に入院していることを明かした。ルブサン氏は貴ノ岩が「復帰してもう一度、土俵に上がるために東京の病院でよい治療をさせてもらっている」と説明。「九州場所が終わる前に(福岡から)東京に移動していた」と明かした。退院時期については「12日か13日に退院すると言っていた。親方はちゃんと貴ノ岩を守っている。警察の調査が終わったら、親方も貴ノ岩もちゃんとした説明をする」と弟の師匠、貴乃花親方(元横綱、45)に感謝した。また、鳥取県警が11日、傷害容疑で日馬富士を書類送検したことに、「喜んではいない。貴ノ岩は早く復帰して、よい相撲を取るように。日馬富士はモンゴルに帰ってきてほしい」と事態の沈静化を願った。問題解決が長期化していることには、「最終的に被害を受けているのは私たち家族」と訴えた。

【貴乃花の文書好き評判】

【「必ず殺す」白鵬に脅迫文】
 12.12日、「必ず殺す」白鵬に脅迫文…13日から“厳戒”沖縄巡業。大相撲の横綱白鵬を名指しして「必ず殺す」などと脅迫する封書が届いていたことが捜査関係者への取材で分かった。福岡・北九州市で11日に開かれた冬巡業の会場に送付された。福岡県警は脅迫容疑などで捜査している。日本相撲協会でも報告を受け、春日野巡業部長代理(広報部長、元関脇栃乃和歌、55)らが対応する。白鵬は12日夜、巡業地の沖縄・宮古島に入った。捜査関係者によると、脅迫状は巡業の会場だった北九州市立総合体育館に郵送され、「白鵬を必ず殺す」などと記載されていた。差出人として偽名とみられる男の名前が書かれ、「福岡市天神町」といった不正確な地名も記載されていた。福岡県警は脅迫容疑で封書の指紋を調べるなどして差出人の特定を進めている。協会の鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜、59)はこの日、東京・墨田区の両国国技館で「(報告は)来たが、こちらでは事情が分からない」とした。貴乃花巡業部長(元横綱、45)に代わり冬巡業に帯同している春日野巡業部長代理と警察に対応を任せる考えを示した。

 白鵬は11月の九州場所で通算40度目の優勝を飾った直後のインタビューで、暴行事件が捜査中だったにもかかわらず「真実を話してうみを出し切って。日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてあげたい」と発言。「来年も大相撲をよろしくお願いします」と館内に万歳三唱を促した。また八角理事長(元横綱北勝海、54)が11月末に関取衆を招集して開いた「講話」の最中に「貴乃花巡業部長を(冬巡業から)外してほしい」などと口にした。これらが軽率な言動だったとして後日、理事会に呼び出され厳重注意を受けていた。

 冬巡業は13日から2日間、沖縄・宮古島で行われる。白鵬は12日夜に福岡から宮古島入り。空港の到着ロビーでは出迎えたファンとの写真撮影に応じ、「沖縄はやっぱり暖かいね」と笑顔で話した。だが脅迫状については「それはまた明日」とだけ話して、迎えの車に乗り込んだ。大横綱に対する殺害予告。会場はガードマンの増員など警戒が強化されるのは必至だ。元日馬富士の暴行事件に続く騒動で、沖縄巡業にはさらに重苦しいムードが漂う。


【貴ノ岩の心境憶測】
 貴ノ岩関「親方にはもう従えない」、「他の部屋で相撲を続けたい」。一ヶ月以上の脅迫監禁生活を強いられている貴ノ岩関。貴ノ岩は貴乃花部屋離脱、廃業を懇願しており、心は完全に離れている。それがバレると全てが崩壊する貴乃花親方が、病院にも行かせず、診断書も作成せず、本人を監禁しているのはこの為である。事態は既に暴行監禁事件に発展している。これは完全に詰んだ。貴ノ岩が本当に可哀想である。

【貴乃花親方が日本相撲協会へファクス伝言】
 12.12日、貴乃花親方が、大相撲の元横綱日馬富士による幕内貴ノ岩への傷害事件で、検察の処分が終了するまで協力できないとの意向を日本相撲協会へファクスで伝えた。元横綱は11日に鳥取県警に傷害容疑で書類送検。協会では送検された段階で危機管理委員会の調査に協力することで貴乃花親方と合意した認識でいたが、一転して調和が崩れ、問題は長期化必至となった。鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜、59)はこの日、東京・江東区の貴乃花部屋へ封筒を携えて訪れた。今回が5度目の訪問だ。同部長によれば、前回訪れた際の文書で協会の危機管理委員会(高野利雄委員長=元名古屋高検検事長)による貴ノ岩への聴取をこの日に要請、設定していた。インターホンを3度押したが応答はなかった。鏡山部長は「ファクスというわけにはいかないので、再度来た」と説明。「(貴ノ岩が聴取を受けに)来ないということは、意思表示なんだろう」と表情を硬くした。

 芝田山広報部副部長(元横綱大乃国、55)は「貴乃花親方から貴ノ岩への聴取は拒否された。貴ノ岩が心配だ」と気遣う。鏡山部長がこの日持参した文書には、「貴ノ岩の安否を含め病状をお知らせください」と記されていた。協会では11月30日の理事会で、元横綱の書類送検を警察の捜査終了とし、この時点で貴ノ岩への危機管理委の聴取に協力するとの約束を貴乃花親方から取りつけたとの認識を明らかにしていた。元日馬富士は11日に書類送検され、協会は貴ノ岩の聴取へ進むものと考えていたようだ。ところが、協会の業務が終了した12日夜。貴乃花親方側から協会へファクスが入る。関係者によれば「警察」と「検察」の意味を取り違えていたという旨の内容だったという。検察による起訴可否の判断が下るまで危機管理委には協力できないという主張にかわり、協力の時期が事実上先延ばしされた格好となった。ある協会関係者は、貴乃花親方のこうした非常識ともいえる行為に強い疑問を訴えた。今回の暴行問題が表面化して、ちょうど1カ月。貴乃花親方と協会の軋轢(あつれき)が深まる中、同親方自身が「ファクスは文字が鮮明ではない」として相互間のやりとりを文書で行うよう求めてきたという。鏡山部長が度々、貴乃花部屋へ足を運ぶ理由もここにある。それが前言を翻すように、ファクスで断りを入れる“自己都合”を批判した。2日前の11日に鏡山部長が貴乃花部屋を訪問した際、貴乃花親方は居留守とみられる行動で応対しなかった。部屋関係者の女性がインターホン越しに、文書を持参した鏡山部長に「次回からどうぞファクスを」と要望。これを貴乃花親方側から実行に移した形だ。元日馬富士による暴行が発端だったが、貴乃花親方の言動に対する疑問の声も日ごとに高まっている。鳥取地検は年内にも元日馬富士を略式起訴する方向とされ、協会は20日の臨時理事会で危機管理委の最終報告を受ける。だが、それまでに聴取が実現しなければ問題の長期化は避けられない。

★今後の流れ

 危機管理委は貴ノ岩の聴取ができなくても20日に予定通り、調査報告を行う。11月30日の理事会で公表した報告から進展のない内容となりそうだが、関係者は「貴ノ岩の被害感情が入らないだけ。暴行の状況はほとんど把握できているので、大きな違いはない」と説明した。20日の臨時理事会では処分も検討。協会関係者によると、貴乃花親方は巡業部長として報告義務を怠った点、元日馬富士の師匠、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)には監督責任を問う。

★この日の貴乃花部屋

 東京・江東区の部屋前には報道陣約40人が詰めかけた。郵便物が届いた際には、部屋関係者の女性がドアを開けて対応。若手力士が部屋を出る姿も見かけられた。貴乃花親方の存在は確認できなかったが、午後2時20分過ぎに鏡山部長が部屋を訪れた際、部屋関係者の女性は中にいた可能性が高い。午後3時過ぎに貴乃花親方の景子夫人(53)が部屋に入る姿も見られた。

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【貴乃花が協会にファックス通知】
 12.13日、日本相撲協会の鏡山危機管理部長が、貴ノ岩が同委員会の聴取に現れなかったことに不快感を示した。この日午後に都内の貴乃花部屋を訪問したが、応答はなく用意した書簡をポストに入れて引き返した。国技館に戻ると待ち受けた報道陣に対して、「今日(聴取の日)だった。来なかった、来るのを待っていたけど。来ないのは意思表示でしょ」と怒りをあらわにした。今月5日から貴乃花部屋にはこれで5回目の訪問。前回訪れた11日には部屋関係者からFAXで文書のやり取りを行うことを提案されていたが、「FAXというわけにはいかない」と直接出向いた。しかし対応がなかった。投函した文書は「今日なぜ(聴取に)これなかったのか」という問い合わせの内容だったという。先月30日の理事会で貴ノ岩の聴取は、事件を起こした元横綱・日馬富士関の書類送検後という認識で、相撲協会は解決に向けた手順を進めていた。この日の応対でその約束を破られた形となった。

 相撲協会が求める傷害事件の聞き取り調査に、貴乃花親方は先月の理事会で、「警察の捜査が終わったら協力する」と発言し、日馬富士が書類送検された後に応じる考えを示していた。しかし、11日に書類送検された後、貴乃花親方は、「検察の判断が出るまで協力できない」などとする文書を協会側に送っていたことが、新たにわかった。そして13日午後2時半、東京の貴乃花部屋に動きが。相撲協会の鏡山危機管理部長が13日も文書を持って訪れた。協会側は、貴ノ岩の聴取を13日に行いたいと、貴乃花親方に要望していたという。鏡山危機管理部長「貴ノ岩の聴取をお願いしてたんですけど、来なかったので。ファクスというわけにはいかないので、もう一度、再度来ました。(八角)理事長が何度も電話しているけど出ないので来ました」。

 溝が深まるばかりの貴乃花親方と相撲協会。ある関係者は、貴乃花親方について「あの人のことは信用できない」と語っていて、今月20日の理事会までに貴ノ岩の聴取ができなければ、協会としての調査は事実上打ち切りとなる見通し。
 大相撲の元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題で、被害を受けた幕内・貴ノ岩(27)の師匠・貴乃花親方(元横綱、45)が13日、日本相撲協会の危機管理委員会による貴ノ岩の聴取を拒否した。日馬富士関の書類送検後に応じる姿勢を示し、協会側はこの日に設定して協力を要請していたが、失敗に終わった。20日の臨時理事会で最終報告をまとめる当初の見通しは、不透明となった。11月2日の暴行問題発覚から1か月超。ようやく実現できるはずだった貴ノ岩の聴取は、また延期された。都内の貴乃花部屋から両国国技館に戻った鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)は「来るのを待っていた。来ないのは(拒否の)意思表示でしょう」と不快感を示した。前回、部屋を訪れたのは鳥取県警が傷害容疑で日馬富士関を書類送検した11日。警察の捜査が終わったら危機管理委員会の聴取に協力する―という貴乃花親方の約束に従い、13日に聴取を求める文書を持参していた。何の連絡もないまま午後を迎えた。仕方なく鏡山部長は午後2時23分、貴乃花部屋へ。「(八角)理事長が何度も電話したけど出ないので来た。FAXで(連絡する)というわけにはいかない」。通算5回目の来訪で協会の態度を示したがまた応答はなく、書類をポストに入れた。これを受け、協会は広報部が「貴乃花親方が貴ノ岩の聴取を拒否したのは事実」と公表した。聴取の再設定について、鏡山部長は「(設定は)してない!」と怒り心頭。この日、鏡山部長が持参した文書には「安否を含めて病状をお知らせください」という要望を記したという。聴取が始まらず、所在も病状も不明の貴ノ岩を心配している。貴乃花親方は協力するどころか、鳥取地検による日馬富士関の処分が決まるまで貴ノ岩の聴取には応じない意向を、12日までに文書で協会に送付していた事実も判明した。危機管理委員会関係者は「まだ検察の捜査があるから(捜査は)終わっていないということなのだろう」と推察した。20日の理事会と横綱審議委員会では、最終報告がまとまらない可能性が出てきた。予定通り処分は検討され、協会関係者によると、貴乃花親方は秋巡業中の騒動にもかかわらず、巡業部長として報告義務を怠った点、日馬富士関の師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)には監督責任を問うという。鳥取地検は日馬富士関を年内に略式起訴する方針。協会側は地検の動きを眺めながら、緊急理事会が中間報告に終わったとしても、年内決着の道を探る構えだ。

 ◆鏡山危機管理部長の貴乃花部屋訪問

1回目 12.5日  貴ノ岩の冬巡業休場の診断書提出を求める文書を投函。数十分後に貴乃花親方が帰宅。
2回目 12.8日  チャイムを鳴らして部屋の中に入ったが、文書を手渡して1分ほどで退出した。
3回目 12.9日  チャイムを4回鳴らしても応答なし。書簡をポストに入れた。
4回目 12.11日  日馬富士関の書類送検を受けて訪問。インターホン越しに部屋関係者と話したが、返答は「次回からFAXでお願いします」。文書を投函(とうかん)。2時間後に貴乃花親方が外出。居留守を使われた?
5回目 12.13日  3回チャイムを鳴らしたが、応答なし。貴ノ岩の聴取を予定していたことが明らかに。安否や体調の連絡を求めて文書を投函。
 大相撲の元横綱日馬富士(33)による幕内貴ノ岩(27)への傷害事件で、貴ノ岩の師匠の貴乃花親方(元横綱、45)が検察の処分が終了するまで協力できないとの意向を日本相撲協会へ伝えていたことが13日、分かった。この意向を12日にファクスで送っていた。元横綱は11日に鳥取県警に傷害容疑で書類送検。協会では送検された段階で危機管理委員会の調査に協力することで貴乃花親方と合意した認識でいたが、一転して調和が崩れ、問題は長期化必至となった。

 信頼を礎に成り立っている「紳士協定」が、貴乃花親方からの一通のファクスで覆されようとしている。

 鏡山危機管理部長(元関脇多賀竜、59)はこの日、東京・江東区の貴乃花部屋へ封筒を携えて訪れた。今回が5度目の訪問だ。同部長によれば、前回訪れた際の文書で協会の危機管理委員会(高野利雄委員長=元名古屋高検検事長)による貴ノ岩への聴取をこの日に要請、設定していた。

 インターホンを3度押したが応答はなかった。鏡山部長は「ファクスというわけにはいかないので、再度来た」と説明。「(貴ノ岩が聴取を受けに)来ないということは、意思表示なんだろう」と表情を硬くした。

 芝田山広報部副部長(元横綱大乃国、55)は「貴乃花親方から貴ノ岩への聴取は拒否された。貴ノ岩が心配だ」と気遣う。鏡山部長がこの日持参した文書には、「貴ノ岩の安否を含め病状をお知らせください」と記されていた。

 協会では11月30日の理事会で、元横綱の書類送検を警察の捜査終了とし、この時点で貴ノ岩への危機管理委の聴取に協力するとの約束を貴乃花親方から取りつけたとの認識を明らかにしていた。元日馬富士は11日に書類送検され、協会は貴ノ岩の聴取へ進むものと考えていたようだ。

 ところが、協会の業務が終了した12日夜。貴乃花親方側から協会へファクスが入る。関係者によれば「警察」と「検察」の意味を取り違えていたという旨の内容だったという。検察による起訴可否の判断が下るまで危機管理委には協力できないという主張にかわり、協力の時期が事実上先延ばしされた格好となった。

 ある協会関係者は、貴乃花親方のこうした非常識ともいえる行為に強い疑問を訴えた。今回の暴行問題が表面化して、ちょうど1カ月。貴乃花親方と協会の軋轢(あつれき)が深まる中、同親方自身が「ファクスは文字が鮮明ではない」として相互間のやりとりを文書で行うよう求めてきたという。鏡山部長が度々、貴乃花部屋へ足を運ぶ理由もここにある。それが前言を翻すように、ファクスで断りを入れる“自己都合”を批判した。

 2日前の11日に鏡山部長が貴乃花部屋を訪問した際、貴乃花親方は居留守とみられる行動で応対しなかった。部屋関係者の女性がインターホン越しに、文書を持参した鏡山部長に「次回からどうぞファクスを」と要望。これを貴乃花親方側から実行に移した形だ。元日馬富士による暴行が発端だったが、貴乃花親方の言動に対する疑問の声も日ごとに高まっている。

 鳥取地検は年内にも元日馬富士を略式起訴する方向とされ、協会は20日の臨時理事会で危機管理委の最終報告を受ける。だが、それまでに聴取が実現しなければ問題の長期化は避けられない。

【沖縄・宮古島巡業開幕】
 12.13日、沖縄・宮古島巡業が開幕した。横綱・白鵬や鶴竜が公開稽古を行い、かわいいちびっ子たちの取組も。その巡業を、診断書を出さずに欠場している貴ノ岩。

【日馬富士が貴ノ岩側へ示談を申し入れる文書を発送】
 12.13日、暴行事件の責任を取り、11月29日に引退した大相撲の元横綱日馬富士の弁護士が、けがを負わせた平幕貴ノ岩側へ示談を申し入れる文書を発送していたことを明らかにした。元日馬富士は11日に傷害容疑で書類送検された。弁護士は既に貴ノ岩、師匠の貴乃花親方(元横綱)に謝罪し、慰謝の措置を話し合いたいとするコメントを発表していた。

【貴乃花派の混迷】
 12.13日、「貴乃花一派が崩壊寸前…“泥舟”から逃げ出す親方続出→相撲道のまえに人の道を学んだ方がいいですね」。
 11日に書類送検された元横綱の日馬富士。相撲協会はこれを受けて、危機管理部長の鏡山親方(59=元関脇多賀竜)が貴乃花部屋に出向いたものの、今度は「居留守」を使われた。午後0時半、4度目の貴乃花部屋訪問となった鏡山親方が部屋のインターホンを押すと、スタッフがドア越しに応答。「書類を持ってきました」と話す鏡山親方に、スタッフは「次回からはFAXをお使いください」と返し、最後までドアが開くことはなかった。しかし、その約2時間後、貴乃花親方は澄ました顔で部屋から出てくると、報道陣の問い掛けを一切無視。車に乗り込み、どこかへ出掛けた。11月30日の理事会で、貴乃花親方は日馬富士が書類送検された後なら危機管理委員会による貴ノ岩の事情聴取に応じると約束した。にもかかわらず、協会からの使者を居留守まで使って門前払いした。鏡山親方がこの日、ポストに投函した書類には、貴ノ岩の聴取希望日などが書かれていたという。いよいよ貴乃花親方は逃げられなくなったわけだが、肝心の貴ノ岩の所在もいまだ不明。「京都にいる」といわれるが、存在が確認されたわけではない。協会は今後、20日に臨時理事会を行い、最終調査結果を発表する方針だ。しかし、それも貴乃花親方が貴ノ岩への聴取に応じない限り、危機管理委員会の調査は不十分なままである。八角理事長はこの日、「(20日の理事会で)最終報告が出来ればいいけど、こればかりは……。(貴ノ岩から)話を聞けないとね」と話した。貴乃花親方が今後、民事訴訟に出れば、ますます聴取は先延ばしになる可能性がある。

 ■女装カレンダーに載っていない親方も

 だが、いくらあがいたところで、いたずらに騒動を混乱させるだけ。だからなのか、協会内の「貴乃花一派」は、いまや崩壊寸前だという。いの一番に袂を分かったのは暴行事件の加害者、日馬富士の師匠である伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)だ。前回2016年の理事選で貴乃花親方の助けを借り、現体制と事を構えようとした。見返りに理事長選では貴乃花親方を支持したが、大敗後、関係が悪化。そもそも、この2人は相撲への考え方から何から、まるで違う。一時は利害が一致したものの、決裂は時間の問題だった。続いて貴乃花一派を離れたのが、阿武松親方(元関脇益荒雄)だという。ある親方が言う。「あまりにとっぴで社会性に欠ける貴乃花親方に、愛想を尽かしたというんです。その証拠が昨年末、後援者に配られた『女装カレンダー』。これは貴乃花一派の主要な親方11人が女装したものだが、阿武松親方は載っていない。それどころか、阿武松部屋の部屋付き2人の姿もありません」。それだけではない。現在は錣山親方(元関脇寺尾)、時津風親方(元平幕時津海)の2人も、貴乃花一派とは距離を置くようになったという。「この2人はカレンダーで女装姿を披露していたが、今年に入ってからは貴乃花親方とうまくいっていないようです。副理事の玉ノ井親方(元大関栃東)も貴乃花一派とはいえ、角界では『アイツは風見鶏のような性格。最終的に、どちらにつくかはわからない』と言われている。一派の中でもあまり信頼されていないようです」(前出の親方)。現在、貴乃花一派の理事は自身と山響親方(元平幕巌雄)のみ。別の親方に言わせれば、「貴乃花親方は離反した伊勢ケ浜親方に代わって、九重親方(元大関千代大海)を理事にしようと画策していた」というが、このままでは理事選で3人も当選させるほど票は集まらないとみられている。理由も言わず、かたくなに貴ノ岩の聴取を拒否し続けるのはどうみても道理に合わない。そんな貴乃花親方についていったところで、良いことはひとつもない。そう判断した親方連中が泥舟から逃げ出そうと考えるのは当然。貴乃花親方の周りからクシの歯が欠けるように人が去っていくのも納得だ。


【宗像紀夫弁護士の貴乃花親方擁護弁】
 夕刊フジの独占取材「相撲協会「情報操作」で貴乃花親方“包囲網” 元特捜部長が語る事件の特殊性「親方の行動理解できる」
 元横綱日馬富士(33)の暴行事件に端を発した日本相撲協会の騒動について、元東京地検特捜部長で、相撲協会の外部理事と危機管理委員長も務めた宗像(むなかた)紀夫弁護士(75)が、夕刊フジの独占取材に応じた。被害者である平幕貴ノ岩(27)の師匠、貴乃花親方(45)が危機管理委員会の聴取を拒否し続けていることに協会サイドから批判の声が出ているが、宗像氏は貴乃花親方の行動について、事件の特殊性ゆえの対応だと推測した。 © zakzak 提供 日本相撲協会の初代危機管理委員長を務めた宗像氏は、角界で問題視される貴乃花親方… 「今回の事件は、ある特殊な場所で、特殊なグループの中で起きたものだ。しかも純粋な刑事事件だ。自分のまな弟子が暴行を加えられた貴乃花親方としては、刑事事件として公正、公平に捜査してもらって事実関係を明らかにしてもらい、処罰されるべき人がいれば処罰してもらうというスタンスだろう。それは不合理でないし、理解できる」。宗像氏はこう語った。宗像氏は、リクルート事件で主任検事として同社創業者の江副浩正氏を取り調べ、東京地検特捜部長時代にはゼネコン汚職事件などの捜査を指揮した。名古屋高検検事長を最後に退官した後は、弁護士として活躍している。2012年には、日本相撲協会の外部理事に就任。初代の危機管理委員長を務めた。現在の委員長には、宗像氏と司法修習同期で元名古屋高検検事長の高野利雄氏(74)が就き、事件の調査にあたっている。刑事事件に精通し、協会の外部理事を務めた経歴から角界の事情にも詳しい宗像氏が強調するのは、事件の特殊性だ。暴行事件が起きた後、相撲協会の巡業部長である貴乃花親方がすみやかに協会に報告せずに、鳥取県警に被害届を出したことが批判の対象となっている。

 宗像氏は「(批判は)一般論としては正しい」としながら、貴乃花親方は協会に報告した際のリスクを考えたのではないかと推測する。「実際のところは分からないが、『被害届を取り下げてもらえないか』と言われるかもしれないし、『話し合いで解決してほしい』と言われるかもしれない。そうすると、これだけの事件がなかったことにされかねない」。そのうえで、「今回の事件で、貴乃花親方は(相撲界に)暴力的体質が残っていることを世に知らしめた。協会にとっては大きな打撃になるけれど、大局的に見れば、相撲界でこういった暴力事件が二度と起きないようにという警鐘となっている」と語る。宗像氏はかつて委員長を務めた危機管理委員会の対応に対しても、疑問を投げ掛ける。問題視するのは、委員会が11月に貴ノ岩の診断書を公表したことだ。委員会は診断書を作成した医師から事情を聴き、「病状に現状は問題はなく、相撲が取れる状態にある」との所見を発表した。宗像氏は「あれは簡単にいうと、『大したけがでもないのに重大なけがと称して、貴ノ岩を欠場させて事件を大きくしようとしている』という見方を相撲協会側がしていると表明したのと同じだ。こんな言葉は使いたくないが、『情報操作、世論操作の側面がある』と言われても仕方ないだろう」と語る。

 相撲協会と貴乃花親方の対立は現在も続いている。鳥取県警が今月11日に日馬富士を書類送検した後、危機管理委員会による貴ノ岩の事情聴取時期をめぐって両者の考え方の違いが鮮明になった。書類送検が終了した段階で聴取に応じると認識していた協会サイドに対し、貴乃花親方は、鳥取地検の処分が確定するまで協力しないなどとする文書をファクスで送付したとされる。この見解の相違について、宗像氏は「書類送検で警察の捜査が終わるなんて、法律家は誰も思っていない。書類送検というのは警察が『これだけ捜査した』という区切りのようなものだ。検察はその後、『これが足りない、あれが足りない』『実況見分をやり直してほしい』といくらでも警察に指示ができる」と説明する。そのうえで、「『貴ノ岩が出てこないのはおかしい』といわれているが、相撲社会というのは特殊なヒエラルキーの社会だ。危機管理委員会には貴ノ岩の大先輩がいる。そういったところでしっかりとした調査、供述はできるのか。捜査が終わる前だと影響を受ける恐れがある」と話し、検察の処分終了後の聴取が望ましいとする。協会の外部理事を務めた当時に接した貴乃花親方の印象を聞くと、「非常に純粋で、正しいものは正しい、間違っているものは間違っているとはっきりさせないとおさまらない人だ」と宗像氏は話す。

 外部理事を務めていた2016年3月、宗像氏は週刊誌上で、八角理事長による「協会私物化」を批判した。このためなのか、今回の騒動で「貴乃花親方のアドバイザーをしている」との噂もあるが、宗像氏は明確に否定。現在の立場を「中立」であるとし、こう話した。「私は協会と貴乃花親方に仲良くしてもらいたいと思っている」。初代危機管理委員長の直言に、相撲協会はどう応えるのか。


  2017.12.14日、日刊ゲンダイ記事「聴取の約束無視 貴乃花親方はもはや相撲協会に居場所なし」。
 こうなった以上、貴乃花親方(45)に残された道は、ひとつしかないのではないか。12日発売のスポーツニッポンで、日馬富士暴行事件について「まだすべてが終わったわけではない」とコメントしたのだ。貴乃花親方は11月30日の理事会で、日馬富士の書類送検後、危機管理委員会による弟子の貴ノ岩の聴取に応じる約束をしている。そしてさる11日、日馬富士が実際に書類送検された。にもかかわらず「すべてが終わったわけじゃない」とはどういうことか。スポーツニッポンによれば、貴乃花親方は貴ノ岩の具合について「よくないので大変なことになっているんだよ」と答えている。

 書類送検後の聴取という約束をほごにする事情が生じたのであれば、メディアより先に協会に説明すべきなのに、それをしないばかりか、これでは約束自体を無視しているようなものだ。相撲協会という組織に所属、巡業部長の要職にありながら、巡業中のトラブルに関する報告は後回し。貴ノ岩の事情聴取に協力してもらいたいという再三の要請に対しても「拒否します」の一点張り。何度連絡しても電話に出ず、用件は書面を通じて欲しいと要求。書面をわざわざ貴乃花部屋に持参した危機管理部長に対しては、次からファクスでいいと居留守まで使って会おうとすらしなかった。昨12日、八角理事長は貴ノ岩の聴取に協力するよう求めている件で、貴乃花親方が要請に応じていないことを明らかにした。「いまのところ、協力するとは(連絡を)もらっていない」とは八角理事長だ。協会に対する不信感があるにせよ、貴乃花親方の言動はもはや常軌を逸している。そこまで相撲協会が気に入らないのであれば、これはもう、組織を出て行くしかないのではないか。

 ■1932年の春秋園事件

 角界には2団体に分裂した歴史がある。相撲協会がまだ「大日本相撲協会」という名称だった1932年のこと。通称「春秋園事件」と呼ばれる力士たちのストライキがそれだ。事件を主導したのは当時、関脇だった天竜三郎。1月場所の番付発表後、所属する出羽海一門の力士らを都内の中華料理屋「春秋園」に集め、決起集会を行った。目的は力士の待遇改善や協会の財政改革を訴えること。それらを10項目にまとめた要求書を協会に提出、改革を迫った。しかし、天竜らの訴えは通らず、交渉は決裂。天竜の同志だった大関大ノ里をはじめ、関取48人、幕下数人が一度に協会を脱退したことで、協会は1月場所の延期を余儀なくされた(2月場所として翌月開催)。脱退力士は「新興力士団」(のちに「大日本相撲連盟」に改称)を名乗り、大日本相撲協会とは別に都内で独自の興行を行った。だが、内部分裂により協会に帰参する力士もおり、天竜らは大阪に本拠地を移し、「関西角力協会」を設立。東西に協会が2つという、異例の事態となった。その後、先細りする関西角力協会に対し、東の大日本相撲協会は横綱玉錦、双葉山らの活躍もあり、人気が回復。関西角力協会は分裂から5年後の1937年に解散となり、多くの所属力士は引退、あるいは大日本相撲協会に帰参した。

 ■「社会人としての道を外れている」

 角界では春秋園事件以外にも、正面から協会に改革を迫った例がある。明治時代の「高砂改正組事件」「新橋倶楽部事件」、大正時代の「三河島事件」がそれだ。春秋園事件では協会が分裂することになったが、それだけ当時の力士らの不満が大きかったということでもある。貴乃花親方に改革の意思があるならば先達に倣い、協会を2つに割る覚悟で出て行くべきではないか。

 相撲ファンの吉川潮氏(作家)が言う。「いや、貴乃花がそうしたところで、誰もついてこないでしょう。そもそも、貴乃花に改革の意思なんてあるのでしょうか? どうも一連の騒動を見ていると、貴乃花は理事長選で負けたとか、ちっぽけなこだわりで駄々をこねているようにしか見えない。しゃべらないし、協会の使者にも会わない。部屋に閉じこもっている登校拒否の子供さながらです。仮に大義があるならば、もっとさっそうとした態度で、自分の意見を言うはず。今の貴乃花のやっていることは大人の対応ではない。明らかに社会人としての道を外れています」。貴乃花親方はよく「改革」だの「相撲道」といった言葉を使うが、好角家たちはその中身を疑問視している。現在の執行部は信用できない、話してもムダというスタンスなのだから、本当に大義があるならばさっさと出て行くべき。実際、協会内部にもそんな声があるという。それをしないのは協会を出て行く覚悟も度胸もないからだとみられても仕方がない。


【鳥取県警による貴の岩聴取の際の貴の岩の弁】
 2017.12.15日、日刊ゲンダイ記事 「【相撲】貴ノ岩に被害者感情なし 貴乃花親方「弟子を守る」のウソ」。 

 ソース/日刊ゲンダイ
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/219492
 依然として貴ノ岩(27)の聴取を拒否している貴乃花親方(45)。その裏側でとんでもない情報が飛び込んできた。

 警察関係者が声をひそめてこう言う。 「今回の騒動は貴ノ岩が日馬富士に殴られて、師匠である貴乃花親方が鳥取県警に被害届を提出したことから始まった。貴乃花親方の怒りはすさまじく、県警にも『何を言われようが弟子を守る』と憤っていた。ところが、県警が貴ノ岩を聴取したところ、どうも話が噛み合わないというんです。貴ノ岩は被害者のはずなのに、日馬富士に対する恨みつらみはほとんど聞かれなかったとか。捜査員も、少なくとも本人に被害者感情はなさそうだと思ったらしく、貴乃花親方との温度差に困惑したと聞きます」。

 ■言動すべて矛盾
 貴乃花親方は13日も相撲協会からの出頭要請に応じず、危機管理部長の鏡山親方(元関脇多賀竜)の訪問も無視。当初は警察の捜査後なら貴ノ岩の聴取に応じることに同意しながら、協会側に「警察と検察を聞き間違えた」と伝えるなど、まるで子供のような言い訳で逃げ回っている。それもこれも、貴ノ岩に被害者感情がないとすれば、すべて腑に落ちる。そもそも、貴ノ岩と日馬富士の関係は良好。事件直後の鳥取巡業で両者が握手をしていたのは、多くの力士や関係者が目撃している。貴ノ岩自身も師匠の方針とは裏腹に、あくまでモンゴルコミュニティーの一員という意識が強いという。警察の聴取に「恨みつらみを言ってない」ということは、それらがすべて事実だという裏付けになる。もし、貴ノ岩が協会の聴取に本心を明かせばどうなるか。これまで貴乃花親方は散々、被害者だ、公正な裁きを、と主張し、「弟子を守る」とも言ってきた。だが、フタを開けてみれば拳を振り上げているのは師匠だけ。それどころか、貴ノ岩を師匠とモンゴル勢の間で板ばさみに追い込み、苦しめているのは貴乃花親方自身ということになる。これまでの言動すべてに矛盾が生じるのだ。だからこそ、貴乃花親方は弟子の聴取をかたくなに拒否している。貴ノ岩には「同郷の横綱に殴られ、今もなお、心身ともに苦しんでいる被害者」でいてもらわなければ、都合が悪いのだ。

 ■結局は私利私欲

 「要するに、貴乃花親方は今回の事件を、自身の野望のために利用したことになる」と、ある親方が、こう言った。「来年2月に理事選、3月に理事長選があるが、貴乃花親方はただでさえ劣勢。前回2016年の理事長選では8票中2票しか集められなかった。しかも、その1票を投じた伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)とは、すでにたもとを分かっている。仲間の理事が山響親方(元平幕巌雄)ひとりでは、戦いにすらならないからね。そんな絶望的な状況の中、たまたま今回の事件が起こった。日馬富士をきっかけにモンゴル勢の頂点に君臨する白鵬のスキャンダルを暴くことで、現執行部にダメージを与える。そうやって執行部にダメージを与えて形勢逆転をもくろんだ。世論を味方に付ければ理事長のイスも狙えると踏んだんだよ」。現在、冬巡業を休場している貴ノ岩だが、その理由はいまだ明らかになっていない。仮に医師の診断書を得られない事情があるとするならば、せめて休場理由くらい報告できるだろう。臆測が飛び交えば飛び交うほど、迷惑を被るのは貴ノ岩なのだ。貴乃花親方は口を開けば「大義」「改革」と言い、11月26日の千秋楽パーティーでは「角道の精華」という言葉も使っている。弟子を自身の野望を実現するための駒に使うことは、果たして相撲道にかなっているのか。「大義」や「改革」とやらも、つまるところ私利私欲としか思えないのだ。

 12.16日、「貴乃花親方はトラブルメーカー?性格を筆跡で分析してみた」。

 12.18日、元横綱・日馬富士の傷害事件で、関係者の聴取などを行っている日本相撲協会の危機管理委員会が、20日に開かれる臨時理事会で元横綱への処分は「引退勧告相当」と提案する方針であることが分かった。元横綱は既に引退して協会員ではない。だが、協会関係者は「横綱だったことを重く見て、横綱がこれだけのことをやったら、この処分が相当というものを残したい」としている。

 危機管理委は先月の九州場所中から事件が発生した酒席に同席した力士らに事情聴取を進め、11月30日の理事会では中間報告を行った。今月20日の臨時理事会では当初、最終報告とする予定だったが、被害者の前頭・貴ノ岩関(貴乃花部屋)への聴取が実現していないため、同日は現段階での調査内容を報告する一方、関係者の処分案も提案する方針だ。協会の現行の懲罰規定には、けん責▽報酬減額▽出場停止▽業務停止▽降格▽引退勧告▽懲戒解雇--がある。各力士の模範となる横綱が傷害事件を起こしたことを重く見て、危機管理委は処分をするなら2番目に重い「引退勧告」相当と判断したと見られる。【飯山太郎】


時津風一門が来期の理事に現職の鏡山理事(元関脇・多賀竜)、副理事候補に井筒親方(元関脇・逆鉾)を擁立する方針を確認
 12.18日、大相撲の時津風一門は、東京・両国国技館で会合を開き、来年1月の初場所後に実施される2年に1度の役員候補選挙に現職の鏡山理事(元関脇・多賀竜)、副理事候補に井筒親方(元関脇・逆鉾)を擁立する方針を確認した。鏡山理事は日本相撲協会の危機管理部長を務め、元横綱・日馬富士関の暴行事件では危機管理委員会に入っている。井筒親方は前回の2016年にも副理事候補選挙に出馬したが、落選した。

 12.19日、「暴行現場同席の横綱・白鵬と鶴竜への処分案…横審が理事会に提言へ 」。日本相撲協会は、日馬富士による貴ノ岩への暴行事件で、明日の20日、臨時の横綱審議委員会(横審)と理事会を開き、協会の危機管理委員会による報告を受けて関係者の処分を検討する。貴ノ岩の師匠の貴乃花親方、日馬富士の師匠の伊勢ケ浜親方らのほか、横審は暴行現場に同席した白鵬と鶴竜の両横綱の処分案を理事会に提言する見通しだ。協会の意思決定機関、理事会が実態解明の過程を踏めないまま、そのときを迎える。臨時理事会では関係者の処分も議題となる。貴乃花、伊勢ケ浜両親方、当事者の貴ノ岩に加え、暴行現場に同席した白鵬、鶴竜、関脇照ノ富士(26)、十両石浦(27)も検討の対象となりそうだ。横綱に関する案件を審議する協会の諮問機関・横審は、白鵬と鶴竜が現場で暴行を止められなかった責任を問う見通し。臨時理事会に先立ち開かれる横審の臨時会合に、両横綱の出席を要請する案も浮上している。横審は両横綱への処分案を臨時理事会に提言するとみられる。ただ一部委員から「危機管理委員会の最終報告が出ていない段階では性急だ」と慎重な意見も出ている。理事会では、最も重い「懲戒解雇」から最も軽い「けん責」の懲戒処分に該当するかを検討。貴ノ岩に対しては、冬巡業休場に伴う診断書を提出しなかったことについて提出義務を理解していたと判断されれば、懲戒処分ではなく、被害者に対して異例の「厳重注意」となる可能性がある。貴乃花親方は、巡業部長としての監督責任が問われる。秋巡業中に起きた事件について、協会への報告を行わなかった。貴ノ岩の診断書提出についても危機管理委側から再三にわたり要請を受けたが、同親方は対応しなかった。これは11月30日の理事会で「日馬富士暴行問題に関する決議」を受け、危機管理委の命令に従うことを義務づけた「リスク管理規程」を運用。協会員に調査への協力を呼び掛ける規程に抵触するという。傷害容疑で書類送検された元日馬富士の師匠だった伊勢ケ浜親方には、管理責任が問われる。危機管理委は理事会で調査報告は行うが、貴ノ岩の聴取ができておらず“最終”報告は困難な情勢。問題決着には時間がかかりそうだ。

 ★日本相撲協会の処分

 一般企業の定款に相当する寄付行為施行細則で年寄や力士ら協会員に対する賞罰を規定。「懲戒解雇」「引退勧告」「降格」「業務停止」「出場停止」「報酬減額」、最も軽い「けん責」と続く。別の条項で解雇より重い「除名」処分もあり、評議員会で特別決議が必要。除名の場合は退職金(養老金)を支給しない。解雇の場合にも退職金の支給可否や減額の規定を設けている。


【貴乃花親方一門忘年会の様子】
 12.18日夜、大相撲の貴乃花一門が都内のホテルで忘年会を開催した。貴乃花部屋の関係者や所属力士、他の部屋の親方など合計100人以上が参加し盛況だった。フランス料理を食べて楽しんだという。昨年お土産の“女装カレンダー”に登場した時津風親方が今年の忘年会にはいなかった。

 貴乃花親方が、石原裕次郎の「勇者たち」を熱唱。「散るも咲くも同じ道…」と堪え忍んで最後に勝利する心情を歌に乗せて披露した。不知火親方(33、小結・若荒雄)が「ロンリー・チャップリン」、小野川親方(35、幕内・大道)もカラオケで歌ったことを伝えた。そして貴乃花親方は「私の思いはいま、2人の若手親方が歌ってくれましたけれども、諸先輩方、一門の千賀ノ浦親方、大嶽親方、立浪親方、阿武松親方、散るも咲くも同じ道をゆくという気持ちしかございません」と述べ「そして(不知火)匡也、(小野川)健二、そしてまた阿武咲、うちの貴景勝、貴ノ岩、これらに後を継いでいくという思いでおります。相撲界の紋章は桜。靖国神社も桜」と一門関係者や支援者らを前に話した。

 師匠・貴乃花親方は会の最後のあいさつで貴ノ岩について言及し、「貴ノ岩もおかげさまで順調に回復の道を進んでおります。貴ノ岩の今回のことに関しましても、長年私を個人的に支えてくださっている、ご参席くださっている皆様方のお力添えで回復に至っております。慌てずに復帰をさせて備えておりますが、社会復帰、心の傷まで癒やしてあげたい。私の大きな大役としては、今回のようなことが残らないこと。現役を、土俵に上がりたいという気持ちを純粋に持っている力士たちを何不自由なく舞台に上げてあげることが私の大役だと思っております。今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました」と語った。ある親方は「貴乃花親方が理事長になるまで一生懸命応援します」と宣言した。
 貴乃花一門は、貴乃花親方自身のほか、阿武松親方(関脇益荒雄)、大嶽親方(大竜)、千賀ノ浦親方(小結隆三杉)、立浪親方(小結旭豊)の5人。さらに阿武松部屋付きの不知火親方(小結若荒雄)と小野川親方(幕内大道)。千賀ノ浦部屋付きの常盤山親方(関脇舛田山)、貴乃花部屋付きの音羽山親方(光法)を合わせ9人の親方が顔をそろえた。参加しなかった親方もいた。同日に時津風一門も総会を行っていたので、時津風親方(時津海)、錣山親方(寺尾)、湊親方(湊富士)らは欠席。貴乃花親方に近いと云われていた出羽海一門の山響親方(巌雄)の姿はみえなかった。
 日本サッカー協会の川淵三郎最高顧問(81)が18日夜に都内ホテルで行われた大相撲・貴乃花一門の総会(忘年会)で、乾杯のあいさつを行った。TBS系「ゴゴスマ~GOGO!Smile!」(月~金曜・後1時55分)が伝えた。「ゴゴスマ」は出席者の話として川淵氏が「今日またみなさん深刻な顔をしていらっしゃるのではと心配していました。意外と明るい顔をしているので、安心しました」と述べたことを紹介した。元々、忘年会として企画されていた総会には一門の親方や支援者が出席。貴乃花親方がカラオケで石原裕次郎の「勇者たち」を熱唱する音声を紹介していた。

【日本相撲協会危機管理委員会が貴ノ岩に事情聴取】
 12.19日、貴乃花親方はこれまで調査を拒否していたが、この日曜、検察の聴取が終わったことを理由に聞き取りに応じる旨の連絡をして来た。これを受けて、危機管理委員会の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)が貴ノ岩の入院先を訪れ、弁護士立会いの下で午後7時から凡そ2時間にわたって聞き取り調査を行ったという。場所は明らかにされていない。12.20日、臨時理事会後、協会が明らかにした。

 問題の発覚後、危機管理委は日馬富士や現場に同席していた白鵬、鶴竜の両横綱らからは事情を聴いていたが、貴ノ岩からは聞けていなかった。貴ノ岩の師匠の貴乃花親方はこれまで、鳥取地検の処分が出てから聴取を受けさせる意向を示していたが、処分前に応じた。危機管理委の報告によると、貴ノ岩は次のように述べたと云う。貴ノ岩は、精神的にまいっている様子だったものの、受け答えははっきりしていた、頭に傷はあったが傷口をふさぐ医療用のホチキスはすでに取れていたと云う。

 「(日馬富士の暴行について)自分に対する説教が終わったあと、白鵬や日馬富士が別の話をしていた際に、ラインを受信したに過ぎず、特に礼を失する行為をしたわけではない。暴行を受け傷害を負わされる理由は全くない。日馬富士がどうしてこのような仕打ちをするのか理解できなかった。その場にいた者がもっと早く制止してくれればよいのに、なぜ誰も止めてくれないのかと思っていた。他の力士や地元高校の関係者らの面前で、一方的に多数回にわたり暴行をうけたので恥ずかしかった。日馬富士の引退については、望んでいたわけではなかった。事件の翌日、日馬富士に謝罪したのは、地元の高校関係者から助言されたことが理由で、納得していなかった。当初は師匠の貴乃花親方に頭部のけがのことを「酒を飲んで階段から落ちた」と報告していたが、騒ぎを大きくしたくないと考え、また告げ口することが「男らしくない」と考えたからだった。(日馬富士側は示談を求めていることに対し)示談に応じる気持ちになれない」云々。

【貴乃花親方が協会との雇用関係などを定めた誓約書を提出】
 12.19日、貴乃花親方が、協会との雇用関係などを定めた部屋の力士たちの誓約書を提出した。部屋持ちの師匠ではただ一人、出していなかった。誓約書は、過去に貴乃花部屋で起こった問題を機に協会が作成したものだった。

 その問題とは、2014年に貴乃花部屋の幕下力士が引退させられ、それを不服として裁判を起こした件。現在も係争中だ。当時は明確なルールがなく、師匠の一存で力士を引退させることが可能だったため問題となるケースもあった。そのため、1年ほど前から提出が義務付けられた誓約書の第27項に「土俵内外における態度や能力の発揮状況等を総合的に勘案した結果として師匠により現役力士として不適正と判断された場合、師匠が協会に引退届を提出し、自身の進退が協会と師匠の協議に委ねられることについて同意し、これに異議を述べないこと」と明記された。言ってみれば、「貴乃花親方を守るためのルール」。ある理事会メンバーは「それを今まで拒んできたんだから意味が分からない」と首をひねった。各部屋の師匠や親方衆は協会と「人材育成業務の委託契約」を結んでいる。貴乃花親方も2014年の公益法人移行後にすでに契約済みだが、誓約書の提出は拒否し続けてきた。どこに納得がいかなかったのか、本人が口を開かない限り謎が残る。




(私論.私見)