引退した元横綱・日馬富士が貴ノ岩(貴乃花部屋)に暴行した問題で、鳥取県警は11日、元横綱を傷害容疑で鳥取地検に書類送検した。硬いカラオケのリモコンで頭部を殴るなどした行為は悪質と判断し、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとされる。
「日馬富士は最初、暗かったけど、弁当を食べて話をしているうちに、いつものようにほがらかになって、元気で帰っていきました」
こう証言するのは蓮華院金剛寺の木原秀成住職(72)だ。
日馬富士とは10年来の付き合いがある。12月6日、騒動後はじめて、2人は都内で会って話をした。
「日馬富士は『いろいろご迷惑、ご心配をかけて申し訳ありませんでした』と言ってました。引退表明(11月29日)の翌日には相撲協会と縁がなくなったそうです。健康保険などはすぐに脱退になったらしいです」
日馬富士は反省し、被害者の貴ノ岩について心配をしていたという。
「彼は『貴ノ岩が心配だ』と言ってました。情報が何も入らないようで、貴ノ岩の傷の状態や復帰について心配していました」(木原住職)
今後はどうするのか。
「来年9月に引退相撲と断髪式をするそうです。それまでは、コーチのような存在として伊勢ケ浜部屋とかかわるということでした」(同)
日馬富士は都内でモンゴル人の妻と3人の子どもと暮らしている。将来的にはモンゴルに帰国するのか。
© dot. 九州場所千秋楽の優勝インタビューで観客に「万歳三唱」を促した横綱白鵬 (c)朝日新聞社「日馬富士が『モンゴルへ帰る』と言ったら、奥さんから『子どもの教育があるから、私は日本にいる。あなたがモンゴルで稼ぎなさいよ』とジョークを言われたそうです」(同)
鳥取での暴行事件はモンゴル人力士ばかりの中で起きたが、彼らが集う場は実は多々ある。年に1度、東京都練馬区の光が丘公園で、モンゴル人たちが1万人以上集まって開かれるモンゴル祭り「ハワリンバヤル」はその一つ。
「白鵬、日馬富士やほかのモンゴル出身の力士たちばかりではありません。モンゴル本国の力士もはるばる来日し、イベントではモンゴル相撲を見せてくれます」(同)
ほかにも「白鵬杯」という小中学生のワンパク相撲も毎年冬、東京・国技館で開催されている。
「そのときはモンゴル出身の現役力士が一堂に集まり、日馬富士も貴ノ岩も照ノ富士もみんな来て会場の手伝いをしていました。白鵬は冬巡業で浴衣ではなく、“MONGOLIAN TEAM”と記された青いジャージーを着て批判をされましたが、モンゴル人力士の結束は強いです」(同)
木原住職はこう懸念を抱いている。
「騒動で角界は貴乃花と白鵬との戦いみたいに報じられています。モンゴル勢を一掃するような世論になりはしないかと心配しています」
(本誌・上田耕司)
※週刊朝日2017年12月22日号より抜粋、加筆