相撲史その9、



  更新日/2021(平成31→5.1栄和改元/栄和3).3.8日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「相撲史その9、」をものしておく。「日本相撲史概略」、「相撲の歴史」その他を参照する。別章【貴乃花光司

 2015.1200.01日 れんだいこ拝


【12代理事長を務める北の湖が逝去】
 2015(平成27)年11月20日、日本相撲協会の第55代横綱で12代理事長を務める北の湖敏満氏(本名小畑敏満=おばた・としみつ)が午後6時55分、福岡市の病院で直腸がんによる多機能不全で死去した。62歳だった。

 「次期理事長選でがっぷり四つ!“バラ撒き”九重親方VS“金欠”貴乃花親方(3)「故・北の湖親方が部屋を継がせたかった現役力士とは?」」。

【八角理事長代行(部長、元横綱北勝海、52歳)の理事長就任】
 2015(平成27).12.18日、相撲協会は、理事会を開いた。理事、副理事、一部の職員以外は立ち入りが許されない「密室」でのやり取りとなった。八角理事長代行(部長、元横綱北勝海、52歳)の理事長就任が提案されたが、貴乃花親方が反発。次のように解説されている。
 「前月に北の湖前理事長が亡くなっていて、次の理事長を決める重要な理事会でした。しかし、初っ端から会は紛糾。相撲協会の小林慶彦顧問(当時)を出席させるかどうかで、貴乃花親方と八角親方が口論を繰り広げています。この内容を見る限り、貴乃花親方が顧問の男性に肩入れしているのがわかります」(角界関係者)。

 理事長を決めるか、代行のままでいいかで、外部理事を含めて、採決がなされた。貴乃花、伊勢ケ浜両親方らが新理事長の選出に反対したが、6−5の僅差で理事長を決めることになり、八角親方が理事長に互選された。ナンバー2の事業部長は尾車巡業部長(元大関琴風、58歳)が兼務する。八角新理事長は記者会見で、「北の湖理事長の思いを後世に残していかないといけない」と言った。
 「アサヒ芸能プラス」の「次期理事長選でがっぷり四つ!“バラ撒き”九重親方VS“金欠”貴乃花親方(1)「八角親方の理事長就任に反対票を投じた貴乃花親方」」。
 人気絶頂の大相撲──。その頂点に立つ次期理事長に選ばれるのははたして誰なのか。春場所後に行われる役員選挙、そしてそれに続く理事長選に今、注目が集まっている。飛び交う裏工作、派閥の談合。角界は手段を選ばぬ伏魔殿と化しているのだ。

 日本相撲協会は昨年12月18日、東京・両国国技館で理事会を開き、11月に亡くなった北の湖理事長の後任に、理事長職を代行していた協会NO2の八角事業部長(52)=元横綱・北勝海=を互選で選んだ。北の湖理事長の残りの任期だった3月の春場所後までの暫定措置だが、これに強硬に異を唱えた親方がいた。相撲協会関係者が語る。

 「集まった理事の無記名投票で6対5と、わずか1票差。かろうじて八角親方を理事長代行から理事長に昇格させることが決まりました。反対票を投じたと見られるのは貴乃花親方(43)=元横綱・貴乃花=と伊勢ヶ浜親方(55)=元横綱・旭富士=などです。貴乃花親方は表向き、八角親方とは仲がいいので今回は譲るのではと見られていましたが、これだけは別なんでしょう。亡き北の湖親方は八角親方が後任の理事長を引き継ぐことを望み、遺言も残していました。それが現実となり、八角親方にしても、一度権力を握ると禅譲するなど考えられない。弱肉強食の世界なんです」

 実は貴乃花親方には、北の湖理事長の懐刀と呼ばれた側近のK氏が接近していた。かつて手がけたパチンコビジネスに絡んで、業者から賄賂を受け取ったと報じられた人物であり、現在は相撲協会顧問の職にある。貴乃花親方は、一門の舵取り役をしていた音羽山親方=元大関・貴ノ浪=が急死して、K氏を頼りにするところがあったようだ。「顧問の立場を利用して相撲協会を私物化しようとするK氏を、八角親方はよく思っていない。そんな事情を知るK氏は八角親方の当選を阻もうと、裏でいろいろ工作していましたが、12月18日の理事会にK氏の席はなかった。K氏の尽力で理事長に昇進するつもりだった貴乃花親方は、かなりショックだったようです。『相撲協会のうさんくさい部分はこの際、クリーンにしたい』──八角理事長はそう明言してK氏を切ったんです。貴乃花親方は理事会でも『どうして外部理事でもあるK氏の出席が認められないのか』と不満タラタラだったそうです」(前出・相撲協会関係者)

 結局、互選の結果、貴乃花親方はこれまでどおりNO3のまま。NO2の事業部長に昇進したのは尾車親方(58)=元大関・琴風=だった。それかあらぬか、貴乃花親方の春場所後の理事長選に向けた意気込みは一段と激しくなったと言われるのだ。

 2018.1.11日、夕刊フジ「北の湖前理事長の死後、激しく言い争った貴乃花親方と八角理事長 顧問の存在をめぐり火花
 【貴乃花親方 反逆の真実】 

 平成27年12月18日に開かれた日本相撲協会の理事会は紛糾した。相撲関係者によると、北の湖前理事長(享年62)が同年11月に急逝した後、“跡目”問題があったからだ。このとき、協会のナンバー2だった八角親方(54)=現理事長、元横綱北勝海=が理事長代行に就いて業務を代行しており、八角派はこの理事会で後任理事長選任を強行し、八角理事長を誕生させる腹づもりだった。後任理事長選任は議題に入っていなかったが、理事会が開会されると、尾車親方(60)=元大関琴風=が発言して動議を出した。

 八角「(理事会を)始めます」。尾車「ちょっと言わせていただいていいですか。(北の湖)理事長が亡くなられた後すぐ、私たち理事が集まったときに、今日理事長を決めるって聞いていたんですが、議題の中に理事長選任がないんですが、これはどういうことなんですかね。決めないんですか」。八角「(そういう)意見があればやりたいです」。尾車「予算の執行ができないって聞いたんですよ。理事長がいないと」。

 尾車理事は八角理事と親しい間柄にある。理事長代行として議事進行をする八角親方と、理事長選任の動議を出した尾車親方のやりとりについて、関係者は「尾車親方の発言は、最初から八角親方の意をくんで予定されていたもので、完全な出来レース。尾車理事の発言は芝居がかっていた」と話している。

 一方、貴乃花親方(45)=元横綱=がこの議事進行に納得するわけがなかった。北の湖前理事長から、後継者とされていたのはほかならぬ自分だったからだ。貴乃花「顧問はどうしたんですか。どうして顧問は(理事会に)出ないんですか」。八角「出席しないです」。貴乃花「なんでなんですか。(北の湖)理事長が決めたことじゃないですか」。八角「まだ決まってないです」。激しく言い争う貴乃花親方と八角親方。冒頭から火花を散らし、2人はともに引かなかった。

 “顧問”とは、元協会顧問の小林慶彦氏(62)を指す。小林氏は平成28年1月に協会を解雇されるまで約4年間にわたり、協会の危機管理に関する業務などを取り仕切っていた。小林氏はコンサルタント会社を経営しており、北の湖前理事長が側近として引き立てた外部の人材で、貴乃花親方とも親交があった。北の湖前理事長は死去する直前の理事会で、小林氏の職権を広げることを提案していた。このため、貴乃花親方は小林氏が理事会に出席するものと思っていたが、出席していなかったことから理事会の運営に異議を唱えたのだ。貴乃花親方は、北の湖親方が信頼してきた小林氏の出席を「八角親方が妨げた」と解釈した。

 一方、八角親方には小林氏に対する大きな不信感があった。どこの誰かわからない人物が、北の湖理事長の威光で好き勝手に振る舞うことに不安、不満があった。小林氏は在職中に顧問の立場を利用して、両国国技館の改修工事やパチンコメーカーとのしこ名の利用許諾をめぐって、裏金を受け取っているなどの疑惑があった(相撲協会は昨年12月25日、小林氏を相手取り1億6500万円の損害賠償請求訴訟を提訴)。

 小林氏は貴乃花親方にとっては尊敬する北の湖前理事長の側近だった。しかし、八角親方にとっては国技を食い物にする悪党だった。

 「「では、いいですね」と押し切り…八角親方の理事長強行就任に貴乃花親方が激怒」。
 【貴乃花親方 反逆の真実】

 北の湖前理事長(享年62)の急逝による“跡目”問題をきっかけに、貴乃花親方(45)=元横綱=と八角親方(54)=現日本相撲協会理事長、元横綱北勝海=の確執は決定的になった。平成27年12月18日に開かれた協会の理事会で、八角派は後任理事長の選任を強行した。貴乃花親方らの反対を押し切り、理事長代行だった八角親方を正式に理事長に就任させたのだが、このときの議事進行に貴乃花親方が激怒し、遺恨を残すことになった。関係者によると、この理事会に後任理事長の選任は議題として予定されていなかったが、八角派が動議を出した。貴乃花親方らがこれに反対し、まず後任理事長を決めるべきか、そうすべきでないかの多数決を取ることになった。理事会には親方の理事以外にも、外部理事が出席している。決を取るのならば全理事で行うという考え方もあったが、八角親方は「外部理事を除いて投票した方がいいのではないか」と主張し、これに固執したという。「外部理事として出席していた徳川康久氏(靖国神社宮司)、宗像紀夫氏(元東京地検特捜部長)は、八角親方の議事運営が強引であるとして眉をひそめていた。外部理事の票は、八角親方にとっては不利になる。八角親方は理事会前にも、宗像理事に直接打診していたが、宗像理事が自分を含む外部理事外しを認めるはずもなく、そのまま理事会が始まっていた」(相撲協会関係者)。もちろん、理事会の中でも、貴乃花親方や外部理事は八角親方の外部理事外しに反対を表明した。「それはおかしい。全理事でやるべきだ」。そして、八角親方を断念させて全理事での投票となったのだ。結果は…。賛成6、反対5で、八角派が多数。後任理事長の選任が行われることが議決された。そして、多数派となった八角派の尾車親方(60)=元大関琴風=が、「では、いいですね、いいですね」と貴乃花親方らを押し切り、八角親方の理事長就任が決定したという。ここに至って、貴乃花親方と八角親方の間には、埋められない大きな溝ができたのだ。年が明けて、平成28年1月21日に行われた評議員会でも、2人がまた激しく衝突したことが週刊誌などで報じられ話題となった。八角親方は、評議員を退任することになった親方の後任として、自分の息のかかった年寄OBを押し込もうと画策。それを知った貴乃花親方が両国国技館の会議室に乗り込み、「おかしいじゃないですか」と詰め寄った。


北の湖前理事長 日本相撲協会葬
 2015.12.22日17時35分 、 「北の湖前理事長 日本相撲協会葬」。
 日本相撲協会の北の湖前理事長の協会葬が国技館で営まれ、2500人の参列者が別れを惜しんだ。東京・両国の国技館には22日昼前、北の湖前理事長の遺骨が遺族に抱えられて到着し、正面玄関で葬儀委員長を務める元横綱・北勝海の八角理事長や横綱・白鵬など親方や力士たちが出迎えた。祭壇には紋付きはかま姿の北の湖前理事長の遺影が掲げられ、各界の関係者が参列した。八角理事長が弔辞を読み上げ、「偉大な昭和の大横綱はすべての力士の目標でした。北の湖理事長のもとで協会運営に携われたことは私にとって一生の財産です」と述べ、横綱としても相撲協会のトップとしても数々の功績を残した前理事長をたたえた。日本相撲協会によると、協会葬が行われたのは平成17年の元大関・貴ノ花の二子山親方以来10年ぶりで、国技館内の別会場で焼香した一般の相撲ファンも含め凡そ2500人が参列して、長年にわたり大相撲を引っ張ってきた前理事長との別れを惜しんだ。

 八角理事長「協会が一丸となって歩んでいく」


 北の湖前理事長の協会葬を葬儀委員長として執り行った元横綱・北勝海の八角理事長は「前理事長が歩んできた道は、多くの苦労があったと思う。それを私たちがしっかり受け止め、協会が一丸となって歩んでいかなければならないと思う」と決意を述べました。そして、「前理事長が目指したのはファンにいい相撲を見せることだった。初場所には力のこもった相撲を展開していきたい。力士たちがいい相撲をとらないと怒られそうな気がする。厳しく、そして優しかった前理事長のように私もなれたらいいと思う」と、来月10日に初日を迎える初場所への抱負を述べた。

 白鵬「少しでも近づけるような相撲を」

 横綱の白鵬は「憎らしいほど強かったと言うファンも多かったと聞いたし、力士のことを常に思ってくれた理事長だった。自分は理事長のように迫力ある立ち合いから一気に持って行く力強い相撲はできないが、少しでも近づけるような相撲をとっていければと思う。一緒に食事したとき、『現役の力士がいるから、われわれもご飯を食べられる』と言ってくれたが、私たちも先輩がいたから、今の自分たちがいると思う」と話し、大相撲史に名を残した大横綱をしのんだ。

 豪栄道「一生懸命いい相撲をとるだけ」

 同じ出羽海一門の大関・豪栄道は「力士を大事に考えてくれている理事長で尊敬していた。直接話す機会は少なかったが、期待してくれているとは聞いていた。これから期待に応えられるように頑張りたい。一生懸命いい相撲をとるだけ」と話した。

 稀勢の里「恩返しできるように頑張りたい」

 大関・稀勢の里は「いろいろレベルの高いアドバイスをいただいたのに、なかなか結果が出せず悔しい。なんとかしっかりと恩返しできるようにこれから頑張りたい。ただ、今は悲しい」と思いを語った。

 弟子の北太樹「厳しさの中にも愛があった」

 弟子で関取の北太樹は「協会葬の場に来て、改めてすごい師匠のもとに弟子として入ったと感じた。北の湖部屋の力士だったという自覚を土俵の上でも外でも忘れず、現役を続けていきたい」と話した。そのうえで、「最初に会ったときは威圧感のある方と感じた。ただ、弟子をみんな下の名前で呼び、自分の子どものように接してくれた。厳しさの中にも愛があったし、思いやりがあった。悲しいというより寂しいが、教えてもらったことを伝えていかなければいけない」と目に涙を浮かべながら亡き師匠をしのんだ。同じく北の湖前理事長の弟子だった北※はり磨は「一歩、部屋を出るとすごい人だったが、部屋に戻ると親子のように接していただいた。やさしい師匠でした」と、しみじみと話した。※「はり」は石に番

 北海道出身の旭大星「強いイメージしかなかった」

 北海道出身で十両の旭大星は「『稽古を頑張れよ』と声をかけていただいていたので寂しい気持ちしかない。目標としていたし、強いイメージしかなかった。亡くなったと聞いたときはびっくりした。北海道の力士みんなで頑張り、関取を増やしたい」と決意を語った。

 中村玉緒さん「大好きでした」

 北の湖前理事長と家族ぐるみのつきあいだったという俳優の中村玉緒さんは「ちょっとてれ屋でやさしい、でも力士の話になると怖い厳しい顔になる。ふだんとのギャップがあった。本当に大好きでした。ただただ安らかに眠っていただきたい」と時折、ことばに詰まりながら話した。

 若松勉さん「いちばんいいスポーツ仲間」

 北の湖前理事長と同じ北海道出身で、40年以上、親交があったというプロ野球・ヤクルトの元監督、若松勉さんは「いちばんいいスポーツ仲間を亡くした。一緒に食事をしたり、神宮に野球を見に来てくれたりした。頭がよく、話し上手で、よく食べる横綱だった。戻ってきてもう1回、相撲を見せてほしいという気持ちもあるけど、安らかに眠ってほしい」と話した。

【北の湖理事長が逝去後の理事選バトル】
 2016.1.17日、夕刊フジ30面「土俵より熱い 理事選バトル」を参照する。

 初場所終了後、2年に1度の日本相撲協会の理事選(役員候補選挙)が行われる。定員10人のところに最大12人が立候補する見込みで、選挙にもつれ込むのが必至。注目は最大派閥で31人の親方を擁する出羽の海一門。この一門に所属する理事は3人。北の湖理事長が逝去し、他の2人も定年の為に退くことになった。2016.1.4日夜に開かれた一門会で、春日野親方(元関脇栃の和歌)、境川親方(元小結両国)、出羽の海親方(元幕内小城の花)、山響親方(元幕内巌雄)の1人増となる4人を擁立する方針を打ち出した。前回、前々回も当選者の最下位票は7票。出羽の海一門の4名擁立で、立候補を予想されている、前回落選して復帰を目指す九重親方(元横綱千代の富士)、友綱親方(元関脇魁鬼)の地盤を引き継ぐ高島親方(元関脇高望山)が煽りを受ける。 

【八角親方(元横綱北勝海)が新理事長に就任】
 「ポスト北の湖の軍配は 相撲協会、3月に新理事長選出」参照。
 北の湖前理事長(元横綱)が昨年11月に急逝した日本相撲協会。同12月に八角親方(元横綱北勝海)が新理事長に就任した。任期はことし3月まで。大相撲初場所後に2年に一度の役員候補選挙(理事選)が予定されており、その後にあらためて新理事長を選ぶため協会トップの座をめぐる攻防がしばらく続く。「ポスト北の湖」体制はどうなるのか。北の湖前理事長という大きな存在を失った今、角界では「ポスト北の湖」体制の行方に注目が集まっている。

 特に今回の理事選は北の湖前理事長の死去に加え、出来山(元関脇出羽の花)理事ら、次の任期内に定年を控える3人は立候補できず、大きな刷新を迎える。北の湖前理事長を失った最大派閥の出羽海一門は3人の理事が総入れ替えで、大幅に若返る。また元理事の九重親方(元横綱千代の富士)の出馬の可能性もある。貴乃花理事(元横綱)には一門外にも信奉者が多い。理事選とその後の新理事長の選出へ向けて、不透明さは残る。番付による上下関係が強い角界では、現役時代の成績、強さがそのまま、親方になってからの影響力、リーダーシップにもつながる。北の湖前理事長の横綱在位最長記録はいまだ破られておらず、優勝24度と現役時の成績は申し分なかった。北の湖前理事長は、大相撲の伝統文化としての性格を重んじ、身内を大きな包容力で守る姿勢で絶大な信頼を得た。弟子の不祥事による3年あまりのブランクを除き、2002年から長く理事長を務めてきた。だが、突然、世を去った。絶対的なリーダーによる指導体制が長かっただけに、協会内でのパワーバランスは一気に崩れる可能性はある。昨年12月、北の湖前理事長の残りの任期である3月までを担う理事長にただ一人推薦された八角親方が選出された。だが、「理事改選までは理事長代行を置いて現体制でやるべきだ」として、新体制の性急な確立に慎重な意見も多かったのも事実。八角新理事長の対抗勢力の存在が浮き彫りとなった。それでも、八角新理事長が大きなアドバンテージを持ち、依然として次期理事長の有力候補とみられる。いずれにしても次期理事長には難しいかじ取りが求められ、今後の相撲界を左右する理事選になるのは間違いない。

 ◆理事就任は一門が左右

 理事長は理事たちが互選で決めるため、誰が理事に入るかが大きな鍵となる。ここからは理事や一門について触れていきたい。理事は2年ごとに改選され、ことしは14年の公益財団法人移行後初の改選となる。理事は元力士の親方10人に外部理事を加える。元力士の理事は11人以上が立候補すると、全親方による選挙になる。親方の総数は100人前後(年寄の空き名跡もあるため、人数は年により違う)で、9票前後の獲得で当選できる。角界には部屋の出自などをもとにした「一門」と呼ばれるグループがある。現在は出羽海一門など六つあり、理事はその代表者という意味合いが強い。各一門が擁立する理事の数は、所属する親方の人数をもとに比例配分されるイメージ。最大の一門で30人ほどの親方を擁する出羽海一門からは3人、20人前後の二所ノ関一門からは2人といった具合だ。他の一門は、親方の数が数人~十数人であるため、選挙では理事一人を擁立した上で、副理事のポストなども絡めた一門同士の協力態勢を取ることもある。2年前の理事選では、出羽海一門から北の湖親方ら3人、二所ノ関一門からは尾車親方(元大関琴風)ら2人が順当に当選。その他、高砂、貴乃花、時津風、伊勢ケ浜の各一門から1人ずつが選ばれた。残り1人は高砂一門の九重親方と伊勢ケ浜一門の友綱親方(元関脇魁輝)が争ったが、他の一門から支援を受けた友綱親方が滑り込んだ。

 北の湖が「遺言」で次期理事長に推挙したとされる名前で波紋」。

 日本相撲協会では、2年ごとに10人の理事(親方が対象)を改選する役員候補選挙(理事選)が行なわれる。立候補者が11人以上になると、年寄名跡(現在は97)を所有する全親方による選挙となる。1月末に行なわれるこの選挙に大きな影響力を持つのが「一門」と呼ばれる角界の派閥だ。一門とは師弟など、密接な関係にある部屋同士で作るグループのこと。元々は稽古や冠婚葬祭などで協力するためのものだったが、いつしか「理事選の票固め」が主要な目的になってきた。各一門は理事選を前に「一門会」を開き、次の選挙では誰を候補者にするかを決定する。いわば理事は各一門の利益代表の意味合いが強い。

 理事の数は一門の勢力の大きさ(親方の数)に応じて比例配分されている。現体制では、出羽海の3を筆頭に、二所ノ関2、伊勢ヶ濱2、高砂1、時津風1、貴乃花1。票数が足りない場合は他の一門との協力態勢を取ることもある。例えば前回の選挙では最後の1枠を巡って、高砂一門の九重親方(元横綱・千代の富士)と、伊勢ヶ濱一門の友綱親方(元関脇・魁輝)が争い、他の一門から支援を受けた友綱親方が当選した。

 あれから2年──再び巡ってきた理事選は、すでに波乱の兆しを見せている。今までの一門制ではコントロール不能の事態となりそうなのだ。きっかけとなる綻びは、意外なところで発生した。今1月場所中、理事選を前に最大派閥・出羽海一門では候補者決定のための「一門会」が開かれた。出羽海一門では昨年11月に前理事長の北の湖親方が急逝。残る出来山親方(元関脇・出羽の花)と千賀ノ浦親方(元関脇・舛田山)は次の任期中に定年を迎えるため出馬しない。つまり理事全員が刷新される。候補として名前が挙がったのが、春日野親方(元関脇・栃乃和歌)、境川親方(元小結・両国)、出羽海親方(元前頭・小城ノ花)。一門会はこの3人の推挙で終わると見られていた。ところがそこに「待った」がかかった。声の主は北の湖部屋を継いでいる山響親方(元前頭・巌雄)だった。「山響が“北の湖さんの遺言だ”といって急に立候補したいといってきた。もちろん他の親方は“そんな遺言など聞いたことがない”“顔じゃない(*注)”として猛反発した。しかし山響は一門の若手親方らを味方につけ、結果的に候補者4人のうち3番目の票を集めた。一門としても認めざるを得ない状況になり、煽りを受けて境川が落選の危機に立たされている」(出羽海一門の古参親方)。

 【*注:角界の隠語で「分不相応」、身分や能力などを考えて相応しくないという意味を指す。また、非礼や不作法などを叱る場合にも使われる】

 しかも山響親方の語る「遺言」が、「単に自分が理事になりたいというものではなかった」(同前)ことが、問題を複雑にしている。「遺言は“貴乃花を次の理事長にせよ”というものだったという。そのために山響が理事になり、互選の際に貴乃花を後押ししたいということだった。若手が山響を支持したのはそのため。若手には貴乃花シンパが多いから……」(後援会関係者)。※週刊ポスト2016年2月5日号


【理事長選の前哨戦】

 相撲協会に新たな火種がくすぶり始めた。年寄総会で、山響親方(元前頭巌雄、45歳)の評議員退任に伴う新たな評議員の選出で、八角理事長が正規の手続きを踏まぬまま同じ高砂一門出身の元親方を提案したところ、総合企画部長を務める協会No・3の貴乃花親方(元横綱)らが猛反発し退けられた。年寄総会では八角理事長(元横綱北勝海)に対して「解任だ」とやじも飛んで騒然としたという。

 相撲協会の最高意思決定機関とも言える評議員会は外部有識者4人と現役親方3人で構成されている。「予算の承認」、「理事の選任や解任」など極めて重要な事案を審議することが役割となっている。その人事案をめぐり、貴乃花親方が八角理事長に真っ向から反発していた。発端は初場所12日目(21日)に行われた評議員会の会合。評議員に加えて理事長、協会の監事らが出席していた。議案は理事候補選挙(29日)に立候補する山響親方(元幕内・巌雄)の評議員退任の1つだけ。退任はすんなりと承認されたが、池坊保子議長が“空いた1枠”に理事長と同じ高砂一門の元親方を新任評議員に入れることを提案。出席者が「新たな議題を提案する場合は理事会の承認を得ないといけない。この場では受け付けられない」と待ったをかけた。北の湖前理事長(元横綱)時代に決めた「評議員及び役員候補者推薦規則」には、外部有識者ではない力士出身者が評議員になる場合「年寄会の推薦が必要」、「過半数が外部有識者でなくてはならない」と明記されているという。<評議員> 定款に基づき、評議員の定数は5人以上7人以内で、総数の過半数は外部有識者と定められている。その結果、年寄から3人が評議員として選出され、番付表にも本名で記載される。理事長は緊急措置として各理事の元を回って新たな議案を承認するよう求めた。それを別室で見て激怒したのが貴乃花親方。即刻、理事長の元へ出向いて反論し、幹部以外の全親方衆が集う年寄総会(28日)での説明を要求した。結局、貴乃花親方の反発によって新任評議員の議案はいったん取り下げとなり年寄総会で諮られることになった。

 スポニチ本紙の取材に対し、貴乃花親方は「公益財団法人としての定款を後世に残すためには、正しい道を進んで協議をしないといけない。密室で行われてはいけない。自分の一門出身のOBを選出しようとしたこと自体に異論があります」と指摘。結局、貴乃花親方の反発によって新任評議員の議案はいったん取り下げとなり、28日に行われる「年寄総会」で諮られることになった。

 ▽日本相撲協会の評議員 14年1月に内閣府から公益財団法人への移行の認定を受け、新たに設けられた協会の最高決定機関。理事の選任や解任など強い権限を持つ。協会の定款には「評議員5名以上7名以内を置く」「総数の過半数を外部有識者とする」と定められている。北の湖理事長時代に「外部有識者4人、力士出身者3人」という枠組みを固め、関係者によるとその枠組みについての内部規則も存在する。親方出身者が評議員に就任する場合は一度、年寄を退任する。


【初場所後の年寄総会の大荒れ】
 1.28日、初場所後、親方衆を集めた年寄総会。八角理事長(元横綱北勝海)の演説があった後、協会運営上の問題について一部の親方から“物言い”の声があがり、会場は騒然となった。この時、ある事件が起きたという。協会幹部が証言する。「貴乃花親方が同調する山響親方(元前頭巌雄)らとともに『どうなっているんだ!』などと声を荒らげるのを、先輩の友綱親方(元関脇魁輝)が『話が飛びすぎだ』と、いさめた。すると、貴乃花親方は激怒した様子で『なに~! 何が飛びすぎだ!』などと言いながら、友綱親方に詰め寄っていった。1メートルくらいの距離まで来てつかみ合いになるのではないかとハラハラしたところで、錣山親方(元関脇寺尾)が貴乃花親方の肘をつかんで制止しました」。貴乃花親方らが怒ったのは、この1週間ほど前、山響親方が理事選に出馬するため、空席となった協会評議員に八角理事長がある協会OBを選任しようとしたことに端を発する。これに対し、貴乃花親方が猛反発していたのだ。協会幹部は貴乃花親方について「これまでも何度か、そういう場面があった。普段は寡黙で他の理事と世間話もしないが、怒った時の勢いはものすごい。普通に議論ができないところがある」と語る(「2016.3.16日付け週刊朝日「パチンコ裏ガネ疑惑」“顧問”との蜜月 貴乃花知られざる素顔」)。

【相撲協会の理事候補と副理事候補選挙の立候補受付開始】
 1.28日、日本相撲協会は、1期2年の任期満了により、理事候補と副理事候補を決める選挙の立候補を受け付ける。理事候補は定数10人を上回る12人の親方が届け出る見込みで、公益財団法人移行前を含めて4期連続で投票に持ち込まれることが確実になった。12人の立候補は過去最多に並び、投票は29日に行われる。6つの一門から理事候補者が擁立され、八角理事長(元横綱北勝海)や貴乃花理事(元横綱)の他、春日野親方(元関脇栃乃和歌)ら5人が初出馬の予定。理事経験者で前回落選の九重親方(元横綱千代の富士)も立候補を表明した。定数3人の副理事候補には、初出馬の藤島親方(元大関武双山)ら4人の立候補者が固まり、こちらも投票となる見通し。選挙では99人の親方全員が投票し、理事候補の当選者は選任権を持つ評議員会の承認を経て、3月の春場所後に就任する。新たな理事メンバーで理事長を互選する。
 日本相撲協会は、東京・両国国技館で役員候補選挙(29日投開票)の立候補を受け付け、定員10人の理事候補に八角理事長(元横綱北勝海)や4期目の当選を目指す貴乃花理事(元横綱)ら11人が届け出た。立候補を表明していた九重親方(元横綱千代の富士)は、同日の年寄総会に出席した後、「出さなかった」と話し、その理由として「(票が)揃わなかったということで」と説明した。九重親方は協会NO・2の事業部長だった前回、最下位5票で落選。「不徳の致すところです」と漏らした。親方99人が投票する今回は当選に10票ほどが必要で、昨夏に早期の膵臓(すいぞう)がんで手術を受けた同親方は、理事復帰を目指してほかの一門との協力を模索していた。2年に1度の役員改選で、今回は4期連続の投票。関係者の話では、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)、高島親方(元関脇高望山)の伊勢ケ浜一門2人と山響親方(元前頭巌雄)の3人で最後の2枠を争うとみられる。定数3人の副理事も4人が届け出て投票となった。当選者は3月28日の評議員会の承認を経て就任する。理事長は、新たな理事の互選で決まる。
【理事/一門順】
出羽海1門 №4/千賀ノ浦名古屋場所部長(元関脇枡田山)、№9/出来山広報部長(元関脇出羽の花)。
二所ノ関一門 №5/尾車巡業部長(元大関琴風、58歳)、№7/二所ノ関福岡場所部長(元大関若嶋津、59歳)。
時津風一門 №3/鏡山大阪場所部長(元関脇多賀竜、57歳)
高砂一門 №1/八角事業部長&理事長(元横綱北勝海、52歳)
立浪&伊勢ヶ浜一門 №6/伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士、55歳)、№8/友綱教習所所長(元関脇魁輝)
貴乃花一門 №2/貴乃花総合企画部長(元横綱貴乃花、43歳)

【相撲協会の理事候補と副理事候補選挙】
 役員改選は2年に1度実施。当選者は、春場所千秋楽翌日の3月28日の評議員会で選任され、同日の新理事会で理事長を互選する。

  1.29日、2年の任期満了に伴う、日本相撲協会のリーダーたちを決める理事候補選挙(定数10、外部を除く)が東京・両国国技館で行われ、定数10名のところ11名が立候補し、2010年から4期連続の投票となり、99人の全親方が投票した。前回落選し、返り咲きを狙っていた九重親方(元横綱千代の富士)が出馬を取りやめるハプニングがあった。99名の全親方による投票後に即日開票された。但し、投票結果が出るまでに実に1時間50分を要した。

 現職理事の八角理事長(元横綱北勝海)、貴乃花親方(元横綱)、伊勢ケ浜(元横綱旭富士)、二所ノ関(元大関若嶋津)、尾車(元大関琴風)、出羽海親方(元前頭・小城ノ花)ら10名が当選した。北の湖前理事長が所属した出羽の海一門が最大派閥で31人の親方がいる。北の湖前理事長(元横綱)から部屋を継承した山響親方(元前頭・巌雄)の初出馬も含め立4名候補し全員が当選した。春日野親方(元関脇・栃乃和歌)は「4人出したのは一門の総意。うまく(票を)振り分けたと思う」と述べた。 伊勢ケ浜一門は基礎票が12票しかなく持ち票では1人しか当選できないところ、現職の伊勢ケ浜に加えて高島親方(元関脇高望山、58歳)が初出馬立候補したが、貴乃花系の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は10票を得たが、高島親方(元関脇高望山)は6票にとどまり当選ラインに3票届かず最下位となり落選した。
高島親方(元関脇・高望山)が落選し、当落線上にいると予想された伊勢ケ浜親方と山響親方(元幕内・巌雄)がトップ当選した。2人はともに“貴乃花派”とされる。

 理事選では原則、投票権を持つ親方が、所属する各一門で推薦された候補者に投票する。ただ票数が足りない場合は一門同士で協力することもあるし、取り決めを破って各自が好きな候補に入れることも可能だ。従来は投票の際、各一門を代表した立会人5人に『記入漏れを防ぐ』という名目で記述内容をチェックされながらの投票だったため“裏切り”はほぼ不可能でした。それが2010年に完全無記名、チェックなしとなったため、票の奪い合いが激しくなった。票集めに苦戦した九重親方(元横綱・千代の富士)が出馬を断念するなど、直前まで混乱したが、目立ったのは貴乃花派の動きだ。票の絶対数を増やすため、弟子を半ば強制的に引退させるケースも出た。例えば12日目(1月21日)には、出羽海一門の北の湖部屋にあった「小野川」株を、貴乃花一門・阿武松部屋の幕下・大道が引退して継承。『週刊ポスト』前号では「貴乃花親方を理事長に」という「北の湖遺言」を持ち出し、出羽海一門の山響親方(元前頭・巌雄。北の湖部屋を継承)が理事選に出馬したことをレポートしたが、彼に投票するための引退と見られる。貴乃花一門と山響親方の関係が裏付けられた形だ。

 そして怒濤の追い込みを見せたのが、形勢不利とされた伊勢ヶ濱一門の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)だ。13日目(1月22日)に時津風部屋(時津風一門)の幕下・土佐豊が引退したが、襲名したのは伊勢ヶ濱部屋の前頭・安美錦が持つ「安治川」株。当然伊勢ヶ濱親方に投票するためだが、「時津風親方は貴乃花一門の後援会パーティに出席するなど、貴乃花親方を応援している。今回の動きは伊勢ヶ濱親方を援助するかわりに、理事長として貴乃花親方を推すことが条件になったようだ。伊勢ヶ濱一門では高島親方(元関脇・高望山)が有利とされたが、彼は理事長選では八角親方(元横綱・北勝海)に1票を投じると見られる。貴乃花理事長誕生のため伊勢ヶ濱親方は不可欠。しかし土壇場で九重親方の不出馬が決まり、最後まで混乱が続いた」(同前)。九重票(5票)で票読みに大きな狂いが生じたのは間違いないようだ。

 当選者は以下の通り。
【理事/票数順】
10票 伊勢ケ浜(元横綱旭富士)、二所ノ関(元大関若嶋津)、山響(元幕内巌雄)。
9票 鏡山(元関脇多賀竜)、春日野(元関脇栃乃和歌)、出羽海(元幕内小城ノ花)、境川(元小結両国)、八角(元横綱北勝海)、尾車(元大関琴風)、貴乃花(元横綱)
6票 高島(元関脇高望山)。
【理事/一門順】
出羽海1門 春日野(元関脇栃乃和歌、53歳)、境川(元小結両国、53歳)、新/出羽海(元幕内小城ノ花、48歳)、山響(元幕内巌雄、45歳)。
二所ノ関一門 二所ノ関福岡場所部長(元大関若嶋津、59歳)、尾車巡業部長(元大関琴風、58歳)
時津風一門 鏡山大阪場所部長№3(元関脇多賀竜、57歳)
高砂一門 八角事業部長&理事長№1(元横綱北勝海、52歳)
立浪&伊勢ヶ浜一門 伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士、55歳)
貴乃花一門 貴乃花総合企画部長№2(元横綱貴乃花、43歳)
 新顔の山響、玉ノ井両親方は貴乃花親方の支援を受けたとされる。“貴派”の勢力拡大が浮き彫りとなった。貴乃花親方の持ち票は一門の7票と、時津風一門からの4票。山響親方には貴乃花一門から2票が流れ、所属する出羽海一門の4票を足しても6票。ここまでは想定内だが、実際にはそれよりも4票多い10票。2人合わせて19票が集まった。ほかの一門、親方衆から賛同が集まったことを意味している。
 当選者は春場所千秋楽翌日の3月28日に開かれる評議員会で正式選任され、承認を経て就任する。その直後の理事会で次期理事長を互選する。八角理事長は北の湖前理事長(元横綱)が昨年11月に急死したことを受け、同12月に就任している。

 理事が決まると今後の焦点は理事長選に絞られる。理事長は3月28日の評議員会を経て、同日の理事会で理事の互選により決まる。「八角派には二所ノ関一門の2人、時津風一門の1人がいる。伊勢ヶ濱の高島親方は八角、伊勢ヶ濱親方は貴乃花に入れる。問題は出羽海の票。理事選後に貴乃花一門へ移籍するとのがある山響は貴乃花に入れると見られ、他の理事が八角か貴乃花かで割れる可能性が高い。主流派の出羽海一門が割れる可能性まで出てきている。(「 週間ポスト2.12日号」参照)

【副理事】
 副理事は定数3のところを出羽海一門からの2人を含む4名が立候補し、芝田山(元横綱大乃国)がまず当選。藤島親方(元大関・武双山)が初当選する一方、現職の井筒親方(元関脇逆鉾)と玉ノ井親方(元大関栃東)が24票の同票となり、決戦投票の末、54票対44票で玉ノ井親方が当選、井筒親方が落選した。出羽の海一門は理事の4名(←3名)に加え、副理事でもこれまでの2名(←1名)にした。

【貴乃花親方と裏金顧問の親密】
 「北の湖理事長が死去 伏魔殿改革のネックは“裏金顧問”の暗躍」。
 日本相撲協会の北の湖理事長(62)が20日、福岡市内の病院で死去した。死因は直腸がんによる多臓器不全。この日朝、貧血で病院に運ばれ、容体は安定していたものの、夕方に急変した。さる親方によれば「周囲は理事長ががんであることを承知していた。今年に入ってから『今回はかなり危ない』というウワサが3回ほど流れたかな。体中にがんが転移して満身創痍だった」そうだ。

 ■八角理事長代行は理事や親方の信頼厚い

 日本相撲協会は年明けに理事選がある。新たな理事が決まった後、互選によって北の湖理事長に代わる新たな理事長が誕生する。それまでは協会のナンバー2である事業部長の八角親方(元横綱北勝海)が理事長代行を務めることが協会から発表された。

 日本相撲協会は「伏魔殿」といわれる。現体制でも「顧問」と呼ばれる人物が北の湖理事長の右腕として暗躍。業者から500万円の裏金をもらい、そのシーンの動画がネット上に出回っても、返したから問題ないと開き直り、いまも内部を牛耳っている。昨年はほとんどの場所で「満員御礼」の垂れ幕が出たにもかかわらず、大幅な赤字を計上。放漫経営も甚だしい、とんでもない公益財団法人は、北の湖理事長の死によって何か変わるのか。前出の親方がこう言った。「親方連中はみな、いまの体制がおかしいと感じている。北の湖理事長の威光をかさに着て、顧問がやりたい放題。歯向かうヤツは片っ端からクビにするか、追い落としてきた。それが嫌で渋々従ってきた連中がほとんどだけど、理事長が亡くなったこれからはそうはいかない。親方や理事のほとんどは、理事長代行を務める八角親方がそのまま理事長に就任すればいいと考えている。八角親方はバランス感覚に優れていて、理事や親方からの信頼も厚い。内部の風通しはよくなるし、赤字体質からも脱却しますよ」。しかし、ネックになるのがくだんの「裏金顧問」だという。「自分の権力を維持するために、ナンバー3の貴乃花親方に擦り寄っているのです。貴乃花親方を理事長に据えることによって、これまで通り、内部を牛耳るつもりなのでしょう。前回の理事選では顧問に刃を向けた九重親方(元横綱千代の富士)が落選。顧問の策略だともっぱらだった。年明けの理事選でも何が起こるかわかりませんよ」(同)。八角親方がそのまま理事長に就任するのがベストでも、まだ波乱含みというのだ。

【裏金顧問解雇される】
 2016.1月下旬、相撲協会とパチンコ業者との契約の際、間に入った代理店関係者から500万円の裏金をフトコロに入れた「裏金顧問」が相撲協会を解雇された。

 「絶対、これ、バレんようにしてくれる? 北の湖に……。中止せな、つぶさなアカンようになるので」の発言が録音されている。札束をわしづかみにしてバッグにしまう現場を動画に撮られている。にも拘らず、「カネは返したから問題ない」と弁明しお咎めなしになった。この代理店関係者は「カネは返してもらっていない」と言っている。裏金顧問は前回の理事長選で、貴乃花親方を理事長にしようともくろんで暗躍した。代理店関係者から裏金を受け取ったばかりか、ウソまでついてある会社の債券を70億円分も購入しようとしていたことなどが露見して協会を追われた。その後、地位保全の裁判を起こして現在も係争中。八角理事長に対しては恨み骨髄。現執行部を吹き飛ばして協会内の勢力図を変えたいという思いは、貴乃花親方と一致している。

 貴乃花親方は裏金顧問が協会をクビになったときも、目の色を変えて執行部に猛抗議し、「なんで彼をクビにするんだ!」、「戻してほしい!」と理事長室に怒鳴り込んだと云われる。その裏金顧問はモンゴルに太いパイプを持っていて、かつてはモンゴル巡業の勧進元を務めたほど。特に元旭鷲山とは親しい関係を築いていた。元旭鷲山がわざわざ来日してペラペラとしゃべったのは、裏金顧問の意を酌んだ可能性もある」。要するに貴乃花親方は裏金顧問と利害関係が一致する同志。一部で改革派の旗手で大義があるなどといわれるが今後、どんなキレイ事を並べ立てたところで結局、裏金顧問と同じ穴のムジナではないか。 

 ところが、クビになったはずの裏金顧問は、その後も隠然たる力を保持。その裏金顧問を擁護する人脈に貴乃花、宗像氏らがいる。宗像氏は昨年冬のボーナスとして750万円もの大金を手にしている。他の理事からそれを批判されると「それだけのことをやった」と居直っている。
 2016.3.5日、「貴乃花理事とグルの“裏金顧問” 相撲協会から解雇されていた」。
 「昨年暮れ、相撲協会の八角理事長(52)がまだ、「理事長代行」だったころの話だ。それまで協会内部の事務方を一手に仕切り、パチンコ業者との契約の際に裏金を受け取った「裏金顧問」が、ある会社の債券を70億円分購入しようとしていたことが露見した。仮に、その企業が倒産しようものなら、債券は紙クズになる。そもそも70億円もの大金を投資につぎ込むこと自体に疑問を抱いていた八角理事長代行は、裏金顧問に説明を求めた。すると裏金顧問は、強い口調でこう言った。「法律で決められていることだ。内部留保がこんなにあると受け取られてしまう。内閣府にもスポーツ庁にも指導されている」。そして、八角理事長代行をせかすように続けた。「12月18日の理事会までに社債を買わなければならない。とにかく早くしないと……」。疑心暗鬼になった八角理事長代行は内閣府とスポーツ庁に出向いて問い合わせたところ、「そんなことは一切、言っておりません。協会が決めることです」と、担当者はかぶりを振った。裏金顧問はつまり、ウソをついて、協会に70億円分の債券を買わせようとしたことになる。八角理事長代行はもちろん、これを阻止した。

 ■ウソ八百を並べ立てて逃げ切りも…

 裏金顧問はパチンコ業者との契約に関してもウソをつきまくっている。4年前、理事をまとめるという名目で、業者との間に入った代理店関係者から500万円を受け取り、後にその事実が週刊誌上を賑わせた。裏金顧問は「カネは返した」と主張。裏金顧問とグルの危機管理委員会・宗像紀夫委員長(74)も「カネは返したから問題ない」と訳の分からない理屈でおとがめなしに。宗像委員長はさらに理事会で「(裏金顧問は代理店関係者に)カネを渡した形をつくりたいから、形だけ預かって後で返して欲しいと言われた」と説明したらしいが、これらは明らかなウソっぱちだ。本紙は現金授受の一部始終を収めたDVDをチェックしたものの、代理店関係者は「後で返して欲しい」とはひと言も言っていない。それどころか裏金顧問は紙袋から帯封のしてある5つの札束を取り出して金額を確認しながら、「絶対、これ、バレんようにしてくれる? 北の湖に……。中止せな、つぶさなアカンようになるので」と、口外しないようクギを刺している。その場で、代理店関係者から期間が足りずに500万円しか用意できなかったと説明を受け、さらなる裏金が必要ですよねと念押しされると、「別に小分けでも構わんですよ」と答えている。「返す」どころか、裏金を歓迎しているのだ。実際、代理店関係者も、日刊ゲンダイ本紙の取材に「(カネは)返してもらっていない」と答えている。

 「裏金顧問のカネに関する話は枚挙にいとまがありません」と、さる親方がこう続ける。「裏金顧問が協会に来てからというもの、必要に迫られていないムダな工事が山ほど行われているのです。例えば国技館の3階まで伸ばしたエレベーターには5000万円がかかったそうですけど、実際に使う人はほとんどいません。さらに正面の木戸、チケット売り場を50センチだけ拡張する工事にも5000万円、これによって防火シャッターを直す工事が必要になって1600万円かかったらしい。国技館地下の貯水設備もなぜか早急に改修が必要と8000万円がつぎ込まれたといいます。南門の小屋を8000万円かけて建て直す計画まであったのですが、八角理事長が阻止したと聞いています」。

 裏金顧問はウソをついて70億円分の債券を購入しようとしたり、親方連中が「ムダ」とクチをそろえる工事に巨額の費用を投じたりする。なにしろ業者から裏金を受け取りながら、ウソ八百を並べ立てて逃げ切った人物だ。巨額の債券を購入しようとしたことや数々のムダな工事も思惑があるとみるのが自然だろう。この裏金顧問と一緒になって相撲協会を牛耳ろうとたくらんでいるのが貴乃花理事(43)だ。前出の親方が言う。「野心の強い貴乃花は一日も早く理事長の椅子に座りたいし、カネも欲しい。莫大な借金を抱え、首が回らないといいますからね。そこへいくと裏金顧問はカネ回りがいい。カネと権力が欲しい貴乃花と、権力を利用してカネ儲けがしたい裏金顧問は、くっつくべくしてくっついた。危機管理委員会の委員長を務める宗像外部理事、1月下旬の理事候補選で理事になった山響親方(45)も彼らとグルです」。年頭の挨拶で相撲協会全職員を前に「協会を破産させる勢力とは断固戦う」と話していた八角理事長は1月下旬、裏金顧問を解雇した」。


【立田川親方(元小結豊真将)の襲名披露】
 1.30日、大相撲の立田川親方(元小結豊真将)の襲名披露が東京・両国国技館で行われ、断髪式では貴乃花親方(元横綱)ら約300人がはさみを入れた。≪豊真将という人柄、息づかいをこれからも大相撲界の領域に遺せてあげる事ができましたならば、私なりの本望と考えておりまさに、日本にあるここにしかない世界唯一の相撲道に栄華をもたらし、全体一致でここに生きる喜びや生き甲斐を共感してゆくことが伝統と伝承になると信じております(略)貴乃花光司≫これは襲名披露後、貴乃花親方がさる有力後援者に送ったメールの一部である。

【貴乃花が一門の後援会パーティーで丸刈り姿で登場】
 3.3日、大阪市内のホテルで開かれた貴乃花一門の後援会パーティーで、頭髪をバッサリ切り落とした丸刈り姿で登場し周囲を驚かせた。司会者から理事長選について話題を振られると、こう語った。「誰が理事長になっても、(相撲という伝統文化を)次の世代に残せればよろしいかと思います」 。泰然としたコメントでけむに巻いたが、この数日前、周囲には頭を丸めた理由について「“気迫”のため」と漏らしたという。貴乃花親方は2月、その“気迫”についてこうもメールに綴っている。≪改めて人生には気迫が必要だと実感いたしました、汗と涙 二つの量は一定で、涙も乾き汗も乾く、気迫を持って腹で涙し腹で汗かき、どうせの人生笑って過ごす!それが富士の山なり嵐なり!≫ 。

 勝負師としての闘争心に火がつきつつあるようだ。実は今、協会トップである理事長の座をめぐり、水面下で激しい火花が散らされている。理事長は春場所後の3月28日に行われる理事会で、10人の理事による互選で決まる。事実上、昨年11月に急逝した北の湖前理事長の後任である八角理事長と、協会ナンバー3の貴乃花親方との一騎打ちになるとみられているのだ。

 前述のパーティーでは、貴乃花親方に同調する若手親方に交じり、特異な“後援者”たちの姿も目を引いた。一人は「ナニワの石油王」の異名を持ち、1990年代に政官界との癒着が問われた「泉井事件」で実刑判決を受けた元石油商の泉井純一氏。現役時代からのタニマチで、貴乃花親方は周囲に「親代わりのような人」と語っているという。 もう一人は協会元顧問で、北の湖前理事長の「右腕」として協会の事務方を取り仕切ってきた50代の経営コンサルタント・K氏。K氏は壇上で激賞のあいさつも行った。K氏について、協会の内情を知る関係者はこう評す。 「2014年の協会の公益財団法人への移行手続きでは、外部との窓口になって中心的な役割を果たした」 。一方で、K氏にはある「疑惑」の渦中に立たされた過去がある。14年1月、「協会公認パチンコ」をめぐるパチンコ業者との契約交渉の中で、K氏が業者側から計1700万円の裏ガネを受け取っていたと週刊ポストが報道。インターネット上には、500万円の現金をK氏がホテルの一室で仲介者から受け取る場面を撮影した動画も流出した。これを受けて調査に乗り出した協会の危機管理委員会(委員長=宗像紀夫・元東京地検特捜部長)は、K氏が後に金銭を返したことなどから「問題なし」と結論づけた。ただ、動画にはK氏が「北の湖にバレると、中止せなあかん」と発言するなど、意味深な会話も収められ、「疑惑」が完全に晴れたとは言い切れないのだ。( 週刊朝日2016年3月25日号より抜粋、本誌取材班)

【貴乃花親方の理事長選決意表明】
 貴乃花は、「立候補は同志の協力があってのこと」、「北の湖前理事長の遺志に応えなければならない」、「これが最初で最後の勝負」などと話している。「同志」の筆頭は、パチンコ業者の代理人関係者から札束を受け取った裏金顧問である。1月下旬、協会を解雇された。貴乃花は再三、裏金顧問を協会に復帰させようとしている。この裏金顧問を「(カネは)返したから問題ない」と「シロ」に結論づけたのが宗像紀夫外部理事。宗像紀夫外部理事は3.25日の週間ポストで、裏金顧問について、「ハメられた」、「裏金を渡した男は最初から脅すつもりで動画を撮っていた」などと話している。パチンコ業者の代理人関係者は、「何かあったときのために録画しておこうと思っただけです。私が顧問に渡したお金は1800万円。顧問は私の会社の従業員に返したと言っているようですが、1円も返ってきていません」。宗像紀夫外部理事は理事会で何度も顧問をフォローする発言をしている。週刊新潮誌上でいきなり八角理事長を批判している。協会№2で事業部長の尾車親方(元大関琴風、58歳)は第一弁護士会に、弁護士でもある宗像紀夫外部理事の懲戒請求する動きを見せている。(日刊ゲンダイの2016.3.26日号「貴乃花親方」記事参照)

【宗像紀夫・相撲協会外部理事(元大阪高検検事長)の奇怪な動き】
 宗像紀夫・相撲協会外部理事(元大阪高検検事長)が週刊新潮(3月17日号。3月10日発売)に登場し、「八角理事長に投票しないと殺すぞ!」との脅迫電話が外部理事にあったことを公言した。これに対し、鈴木宗男元代議士が反応している。3月14日発売の「日刊ゲンダイ」記事(下写真)は、宗像氏は脅迫電話が外部理事にあったというが、そもそも外部理事に投票権はないことが相撲協会の定款で決まっている云々。即ち、投票権のない外部理事を脅迫しても何の利益もないのに、そういう脅迫があったと吹聴するのは、「貴乃花一派が来る理事長選を有利にするために脅迫電話の件をデッチ上げ」たしか考えられない。鈴木氏は発売翌日の3月15日、自身のネット上の日記で、同記事を引用し、「よく『捕らえて見れば我が子なり」という言葉があるが、(貴乃花は)改革派ぶっているが権力を握り私物化を図っているのは実にこの連中ではないかと胸にストンと落ちる話である」と書いている。
 「アサ芸プラス」の「貴乃花親方「クーデター失敗」を招いた暴走裏工作!(1)「疑惑の人物」を後ろ盾に…
  貴乃花親方は今回の選挙に出るにあたり、北の湖前理事長の側近だったK氏と、相撲協会の外部理事である元東京地検特捜部の宗像紀夫氏を頼った。K氏はかつて、相撲協会のパチンコ台ライセンス契約に絡んで、パチンコメーカーから「裏金」を受け取ったとされる「疑惑の人物」だ。前出・元力士が舞台裏を明かす。「北の湖理事長に登用されたK氏は協会顧問として、必要のない国技館のエレベータ工事をやって億の大金を出させた。その他、ピザ、タコ焼き、弁当などでこれまで協会に縁のなかった業者を入れて、甘い汁を吸っていた。晩年の北の湖前理事長もK氏のやりたい放題に『どうしてあんなのを入れてしまったんだ』と後悔していました」。K氏は協会に内部留保されている70億円を使い、ある会社の企業債権を購入する計画も立てていた。相撲協会関係者が憤る。「その企業が倒産しようものなら、債券は紙クズになる。そもそも70億円もの大金を投資につぎ込むこと自体に疑問を抱いていた八角理事長はK氏に説明を求めました。するとK氏は『内部留保がこんなにあると受け取られてしまうので、とにかく早く処理しないと。内閣府にもスポーツ庁にも指導されている』と答えましたが、八角さんは内閣府とスポーツ庁に出向いて問い合わせ、『そんなことは一切、言っておりません』との回答を得た。K氏がウソをついていたことがわかり、解雇したんです」。ところが、クビになったはずのK氏は、その後も隠然たる力を保持。K氏を擁護する宗像氏も昨年冬のボーナスとして750万円もの大金を手にした。他の理事からそれを批判されると「それだけのことをやった」と開き直り、貴乃花親方もこれを擁護。「協会内では、相撲界を食い物にする人物として、強い批判がうずまいていた。貴乃花親方にも憤る親方衆は増えていきました」(前出・相撲協会関係者)。
 アサ芸プラス」の「貴乃花親方「クーデター失敗」を招いた暴走裏工作!(2)巡らされた「謀略」の結末」。
 こうしてK氏と宗像氏を後ろ盾にする貴乃花親方の姿勢を疑問視する親方が続出。さらに理事長選では「謀略」も巡らされた。「週刊新潮」でインタビューを受け、八角理事長批判を繰り広げた宗像氏である。いわく、「八角さんは、私心なく相撲協会を運営しているとはとても思えない。あらゆる重要な物事は理事会の承認手続きを経なければならないというルールは無視され、コンプライアンスはないがしろにされ、ガバナンスもなっていない」。これを読んで「八角理事長はこんな人物だったのか」とショックを受けた人も多かったのではないか。記事はこう続けている。「実は、相撲協会の外部理事の1人の元に殺害予告の電話がかかってきたのです。その外部理事は、すでに警察に被害状況を通報しています」(相撲協会関係者)。殺害予告の電話があったのは2月8日午前11時半。その外部理事は右翼を名乗る男から、「(理事長選で)八角に投票しないと殺すぞ」と、脅迫されたのだ。「殺害予告の話は私の耳にも入っています。『殺すぞ』とはっきり言っているわけですから重大な事件です。理事長選の直前に起こった『異常事態』といっていいでしょう」(宗像氏)。みずからの当選のために卑劣な“恫喝”を画策したとして、八角親方は大いに男を下げた。しかしその後、本当に殺害予告の電話があったのかと、関係者の多くが首をかしげ始めた。「当時の外部理事には海老沢勝二氏(元NHK会長)、徳川康久氏(靖國神社宮司)らがいましたが、誰が脅迫されたのかはっきりしない。結局、協会内では、貴乃花親方を当選させたい宗像さんの自作自演、作り話だったのだろう、となった」(元力士)。さらには春場所中の理事会などで、貴乃花親方が年上の理事に声を荒らげて詰め寄るなど、印象はどんどん悪化していく。元力士が続ける。「純粋に改革派の貴乃花親方を信じて集まった親方の中には、素の姿を見てガッカリした人もいるらしい。

 
都内にある貴乃花親方の自宅は今年3月8日の時点で、計2億円の抵当権が設定されている。しかも実父である先代貴ノ花から相続した中野の貴乃花部屋の土地建物の所有権も、08年に不動産総合商社に売却してしまった。早い話、借金返済のため、貴乃花一門の中心である部屋を売ってしまったわけで、一門の連合稽古は賃貸の部屋で行っていたことになる。長い大相撲の歴史の中で、こういう話は初めて聞きましたよ」。みずからの「勇み足」によって、「クーデター」の雲行きは一気に怪しくなっていったのである。
 アサ芸プラス貴乃花親方「クーデター失敗」を招いた暴走裏工作!(3)「最初で最後の勝負」と公式サイトに記されていたが…」。
 今回の選挙で双方の明暗を分けたのは、出羽一門の3人の親方の票の行方だった。相撲ジャーナリストの中澤潔氏が解説する。「八角理事長は出羽海、春日野、境川の3親方の説得に当たりましたが、彼の主張は具体的で説得力があった。例えば、高校生以下の団体割引を行うとか、ケガ人続出の土俵対策として、国技館の敷地内にリハビリができる施設を建設するというもの。親方衆にとっては魅力的な案でした」。一方、貴乃花親方の出馬声明には北の湖前理事長の相撲道を踏襲するとあるだけで、中身が乏しかった。「これについて春日野親方は『我々は目に見えないものを言われてもしかたない』というようなことを言っている。八角理事長は具体的な施策を公約しているのに対し、貴乃花親方は漠然とした抽象論に終始してつかみどころがない、と」(相撲協会関係者)。

 貴乃花親方の一連の言動に続き、具体的な施策の差。「ついに『(貴乃花親方は)放っておくと何をしでかすかわからない。もうウンザリだ』と話す親方衆も出てきました」(前出・相撲協会関係者)。八角理事長は土俵際から一気に差し返し、逆転勝利。選挙を終えた八角理事長は、遺恨なしを強調した。「それはそれで終わり。これからは、土俵でいい相撲を見せるんだと、一丸とならなければいけない」。


【理事長選。八角理事長と貴乃花親方の一騎打ち】
 2016.3.28日、横綱・白鵬の史上最多となる36回目の優勝で幕を閉じた大阪場所の千秋楽から一夜明けたこの日、日本相撲協会が東京・両国国技館で理事会を開き、今年1月末の役員候補選挙で当選した理事10人を、評議員会で正式に選任した。その後、新しい10人の理事による理事会が開かれ、八角理事長が尾車親方(元大関・琴風)の推薦を受け、貴乃花親方が山響親方(元前頭・巌雄)に推薦された。

 親方の理事10人による互選で、立候補した八角親方(52歳、横綱北勝海)と
貴乃花親方(43歳、横綱貴乃花)の2人を除く8人が挙手による採決を行った結果、6対2で制した八角理事長の再選が決まった。理事長再選はわずか5分で決着し、「最初で最後」で臨んだ貴乃花親方が一敗地にまみれた。高砂一門の八角親方を支持したのは出羽海一門の4親方(春日野親方(関脇・栃乃和歌)、出羽の海親方(前頭・小城ノ花)、境川親方(小結・両国)の3名全員。二所の関一門の二所の関親方(大関・若嶋津)、尾車親方(大関・琴風)の2名。時津風一門の鏡山親方(関脇・多賀竜)の1名。貴乃花親方を支持したのは山響親方(前頭・巌雄)、伊勢ヶ浜一門の伊勢ケ浜(横綱・旭富士)。八角理事長を支持した春日野親方(元関脇・栃乃和歌)は「目に見えることしか信用できない」と語った。

 
八角親方は現役時代に第61代横綱として活躍し、優勝8回。引退後、2012年に理事に初当選。14年から協会ナンバー2である事業部長を務めていた。昨年11月に急逝した北の湖前理事長(元横綱)の代行を務めた後、昨年12月に正式に理事長に就任した。任期満了となる春場所後まで協会運営にあたり、再選を受けて2期目に臨む。任期は2年。相撲協会は29日に理事会と評議員会を開いて3人の新外部理事を選任し、30日に理事の役職や親方衆の職務分担を理事会で決め、八角新体制が本格的にスタートする。

 この日の評議員会では2015年度の決算が報告され、経常黒字が約2億5000万円だった。不祥事を乗り越えて大相撲に人気が戻り、入場料収入が増えた結果が表れた。理事の中では、理事長就任前には事業部長として東京場所運営の責任者だった八角親方の手腕に評価が集まった。

 八角親方は理事会後の記者会見で、「北の湖前理事長の思いを受け継ぎ、土俵の充実を図ることが私の使命です」と所信表明し、併せて「これはこれで終わり。これからは協会が一丸とならなければいけないる」ことを強調した。「江戸時代からずっと続く大相撲で、ちょんまげ文化を守ってきた先輩方を本当に誇りに思います。この文化を後輩につないでいく責任があります。(伝統を)守ることと改革をバランス良く進めたい。土俵でいい相撲を見せるんだ、と一丸にならないといけない。土俵の充実を図っていくのが私の使命です」などと話した。貴乃花親方との一騎打ちとなったことには「それはそれ。もう終わり。一丸にならないといけない」と“ノーサイド”を強調した。

 理事会後は無言だった貴乃花親方は、横綱審議委委員会に出席した後、メディアに対応。「肩の荷が下りました。すがすがしい気持ちです。今日で終わりました。支えてくれる仲間がいるので無念でもありますが、礼に始まり礼に終わる土俵の精神と同じ。決着つきました。これからは(理事長に)与えられた役割をまっとうするだけ。理事長から与えられた役割をまっとうするだけです。仲間たちとこれからの相撲界を支えて、明日を切り開く議論ができたらなと思います。理事職ではありますが、本分は弟子を育てること。日本出身の横綱、大関を1人でも多く輩出することだと思う。そこに集中していきたいです」などと話した。無念さはないか?と問われると「支えてくれる仲間がいるので無念もあるが、礼に始まり礼に終わる土俵に上がる精神と同じ。決着つきました。与えられた役割を全うするだけ。一つの屋台骨として支えていく」と話した。「日本出身力士の横綱、大関を一人でも多く輩出したい。一人でも多くの若者が入ってくれることがあすの相撲界の力になる」。理事の職務を全うしつつ、弟子の育成や相撲道の普及にも重きを置く意向を示した。その一方で、「支えてくれる仲間たちと、明日の相 撲界を切り開いていく議論をしたい」と野心は捨てていない。


【新たな外部理事】
 2016.3.29日、日本相撲協会は、東京・両国国技館で理事会と評議員会を開き、新たな外部理事に高野利雄氏(72)=元名古屋高検検事長、今井環氏(62)=元NHK理事、山口寿一氏(59)=読売新聞東京本社社長=を決めた。

 28日に再任された八角理事長(元横綱北勝海)が候補者を推薦し、評議員会の承認を得た。任期は2年。元文部科学副大臣の池坊保子評議員会議長は「これからの相撲協会とともに大局に立ち、正しい方向に導くことができる方々」と述べた。

 評議員を退いて理事に就任した山響親方(元幕内巌雄)の後任には、二子山親方(元大関雅山)を評議員に選任した。 平成24年から務めた宗像紀夫氏(元東京地検特捜部長)と海老沢勝二氏(元NHK会長)、26年に就いた徳川康久氏(靖国神社宮司)の外部理事3人は任期満了により退任した。

 新たな外部理事を人選 日本相撲協会

 日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で理事会を開き、新たな外部理事の人選を協議し、28日に再任された八角理事長(元横綱北勝海)が候補者を推薦した。評議員会の承認を経て選任される。定数は3人。評議員会では、評議員を退いて理事に就任した山響親方(元幕内巌雄)の後任として、二子山親方(元大関雅山)の就任についても話し合う。2012年から務めた宗像紀夫氏(元東京地検特捜部長)と海老沢勝二氏(元NHK会長)、14年に就いた徳川康久氏(靖国神社宮司)の外部理事3人は任期満了により退任した。

 再選の八角理事長、一枚岩にひびの相撲界まとめられるか

 理事会はわずか5分で終わった。八角親方と貴乃花親方が推され、挙手で決定。6対2で八角理事長が再選された。貴乃花親方を支持したのは伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と山響親方(元幕内巌雄)のみだった。鍵を握るとされた出羽海一門の春日野(元関脇栃乃和歌)、出羽海(元幕内小城乃花)、境川(元小結両国)の3親方は堅実な協会運営を進める八角理事長を支えることを決め大勢が決した。とはいえ、昨年11月に急逝した北の湖理事長はこれまで全会一致で互選されてきた。相撲協会の一枚岩にひびが入りつつあるのが現状だ。今年1月の年寄総会では、貴乃花派の若手親方が新たな評議員の選任をめぐって、激しい口調で八角理事長を非難。年功序列を重んじる相撲界では異例の光景だった。出羽海一門のある中堅親方が「すごい剣幕(けんまく)で逆に冷めてしまった」と漏らしたほどで、八角理事長のあら探しばかりしていると見る向きもあった。貴乃花親方との対立構図をあおられた八角理事長は不本意だったようで「まず土俵ありき、と思って私は頑張ってきた」と語る。3月の春場所中は白熱する優勝争いをよそに、協会内の関心が理事長選に向いてしまったのは残念だった。人気回復が顕著な相撲界を、「八角体制」はどうまとめるか。「一丸となっていい相撲を見せる。土俵の充実がなければお客さんは離れていく」と所信表明した。(藤原翔)

 新理事が多かった今回の人事で目立ちはしなかったが、親方衆の間で話題になったのが3人の副理事の1人、新任の藤島親方(元大関武双山)。従来の審判部副部長は変わらないが、新たに兼務で事業部副部長という肩書が加わり執行部に迎えられた。協会NO・2が事業部長で、副部長とはいえ将来を期待しての抜擢だろう。現役時代は一度も立ち合いに変化しなかったことで知られる。公平、厳格、清廉を兼ね備えた親方として、北の湖前理事長も高く評価していた。今回の理事選で理事になってもおかしくなかったが、本人が「自分はまだ若い。時期尚早」と出羽海一門内の候補選定で固辞したという。同じ昭和47年生まれでも貴乃花親方とは対照的だ。理事長は横綱でなければなれない、という規則はない。大関止まりながら藤島親方は謙虚さもあって、他の一門の若手親方にもファンは多い。52歳と若い八角理事長は、少なくとも3期6年の安定政権が見込まれる。その後は、藤島親方へバトンが渡される可能性も出てきた。(作家・神谷光男)

理事会と年寄総会
 アサ芸プラス貴乃花親方「クーデター失敗」を招いた暴走裏工作!(3)「最初で最後の勝負」と公式サイトに記されていたが…」。
 3月30日、理事会と年寄総会が開かれた。誰もがNO3(総合企画部長、指導普及部長、監察委員長など)の貴乃花親方を執行部から遠ざける「報復人事」を予想したが、八角理事長は貴乃花親方を協会NO3の立場のまま、巡業部長に任命した。前出・中澤氏は、「巡業はいい稽古をお客さんに見せて、大相撲をPRする絶好の機会。巡業部長といえば、かつての執行部ではNO3だった。八角理事長が気を遣っていることがわかります」。さる部屋関係者がこれを補足する。「とはいえ、執行部からは外されたわけで、巡業部長は、今はNO3の立場ではない。飛ばされたというのが正直なところですが、八角理事長としては、この勝負を根に持ってまた変な動きをされてはたまらない。巡業部長は(将来の理事長候補でNO2の)尾車親方と同じ道。理事長の登竜門ですよ、と示しておくポーズが欲しかったのです」。同様に、八角理事長に反旗を翻した伊勢ケ浜親方は、審判部長から大阪場所担当部長に「降格」となった。「山響親方は相撲教習所担当としましたが、残ったポジションがここしかなかったからです。彼はかつて大勢の力士がいる場で、『金のやり取りがない八百長は星の貸し借りで、問題はない』と発言して物議を醸している」(前出・元力士)。結果的に、貴乃花親方支持者は冷や飯を食わされる形となったのである。

 貴乃花親方は部屋の公式サイトに〈これが最初で最後の勝負となります〉と記し、将来的な出馬はないとしているが、「協会の中には『冷や飯を食わされて憤懣がたまり、2年後の理事長選で爆発するんじゃないか』と言う親方もいる。遺恨は消えたわけじゃないですから」(前出・相撲協会関係者)。暴走裏工作で大失敗した教訓は生きるのか──。


舞の海の相撲俵論
更新 【舞の海の相撲俵論】トップに求められる謙虚さ 舞の海秀平氏
 大阪・中之島の川沿いを歩いていると、はかま姿の女子大生と幾人もすれ違った。出立の日を前に心を踊らせているのだろう。みな晴れがましい顔をしている。盛り上がる春場所が終われば、日本相撲協会も次期理事長が選出され、新たなスタートを切る。

 師匠(元横綱佐田の山)が理事長を務めていた頃。ある夜、私は両国のちゃんこ屋に呼ばれた。そこには脚本家の倉本聰さんもいた。「私を叱ってくれる人がいなくなってしまいました。何かあったらどうか叱ってください」。隣に座った師匠を見ると、神妙な顔で倉本さんに頭を下げていた。思わずはっとした。協会トップに君臨してからでも、これほどまでに謙虚な気持ちでいるのか、と。

 われわれ弟子もよく言われていた。「お前たち、お客さんに相撲を見せてやっていると思っているんじゃないのか。見ていただいているんだという気持ちで土俵に上がりなさい」。伝統を守りながらも時代に合った相撲界をつくることを常に考えていた。そこには協会を強固で盤石な組織にして、次世代に受け渡したい思いがあったからだ。

 自身の後任理事長にまだ40代だった北の湖親方(元横綱)が推されそうだと知ると、すぐ動いた。互選される理事会の朝。誰よりも早く協会へ行って北の湖親方を出迎え「もう少し待て。まだ若いんだからいろんな部署を経験した方がいい」と言った。そして、続けた言葉に含蓄がある。「担がれて理事長になっても、いつはしごを外されるかわからないぞ」。伝わるものがあったのだろうか。北の湖親方は自ら身を引いたという。

 パリ公演が行われた平成7年。フランスが核実験を強行し、国技館のまわりではパリ行きに対する反対運動も起こった。それでも理事長は「日本人は約束を守るんだ」と言い切った。当時のシラク大統領がパリ市長時代からの約束だったという。そして、大統領主催の食事会のあいさつで言い放った。「フランスの核実験は残念だ。できるだけ早く止めてもらいたい」と。シラク大統領は苦笑いしながら聞いていたが「佐田の山さんがそう仰るのであればなるべく早く止めましょう」と返礼した。

 のちに聞いた話では、前日に徹夜で文面を練り、自国へ迷惑をかける事態になった場合、即座に理事長の座を退く意思を固めていた、という。大相撲は相撲界だけのものではない。わが国の風土や習慣の中で、時代にもまれながら残してきた英知あふれる日本の宝だ。春場所後に決まる次期理事長には欲望や邪心を捨て、みなをまとめていく覚悟はあるか。(元小結 舞の海秀平)

【「白鵬は帰化すべき」なのか /舞の海秀平
 寛容さではぐくまれてきた日本 「白鵬は帰化すべき」なのか /舞の海秀平氏
 あのとき白鵬を残したからこそいまの相撲界が存続できた、という日がいつか来るかもしれない。1月の初場所は、琴奨菊が日本出身力士として10年ぶりの優勝を果たし、沸きに沸いた。その陰で気になったことがある。勝負どころの14日目、千秋楽と力強さに欠ける相撲で連敗した白鵬だ。これで3場所続けて優勝を逃している。土俵上の勝負に集中し切れていないようにも見えた。以前にも触れたが、今のところ白鵬は日本国籍を取得しておらず、力士名のまま親方になれる「一代年寄」を相撲協会から授与されるめども立っていない。江戸時代から続いてきた横綱というとてつもなく偉大な地位を外国人に授けることを考えたら、断ることのできる一代年寄など、たかがしれたもののようにも思える。おおらかなところが相撲界の魅力でもある。

 新弟子検査で身長が足りないから、と背伸びする受検者を見て見ぬふりをする親方の姿をテレビで見たことのある方も多いのではないか。今では笑ってしまうほどの大胆な改革を断行し、生き延びてきた歴史がある。

 敗戦後、日本相撲協会は興行開催の許可をGHQ(連合国軍総司令部)にもらわなければならなかった。一説によると、その際、先方の理解を得るのが難しいかもしれないと忖度(そんたく)し、それまで十二神だった土俵の神様を三神に変えたとされる。減らされた中には皇室の祖神とされる天照大神も含まれていた。

 また、テレビ中継が始まるのをきっかけに、観戦の邪魔になるとして土俵を支える4本の柱を取り払ってしまった。もともとその柱には神様が宿るとされていたにもかかわらず。つり屋根の四方に4色の房をぶらさげ、代わりとした。

 白鵬の原点はあくまでもモンゴルにある。広漠とした大草原を吹き抜ける風のにおい、手を伸ばせば届きそうな無数の星、生まれた頃から慣れ親しんだ故郷の味-。私たち日本人が異国の歴史あるスポーツで認められ、この世界に骨を埋めようと願ったとき。国籍を変えろといわれたら、簡単に応じられるだろうか。

 初場所前に白鵬と話をする機会があった。「父は一度も帰化に反対したことはないんですよ。ただね、自分が帰化したら、両親が寂しい思いをするんじゃないかと」。「やっぱり帰化しないで親方になりたいでしょ」と問いかけると、「自分の国を愛せない者が他の国を愛せますか」と私の目を見つめた。(元小結 舞の海秀平)


九重親方(元横綱・千代の富士)が膵臓がんで死去
(別章【九重親方(千代の富士)】)
 昭和の大横綱の葬儀で異様な光景が 故九重親方の葬儀が緊迫 「協会の人間の席も花もない!」 」その他参照。 

 2016.7.31日、先代・九重親方(元横綱・千代の富士、本名・秋元貢)が膵臓がんで死去(享年61歳)。

 8.6日、東京・墨田区の九重部屋で通夜が行なわれ2000人、告別式(翌7日)にも1000人が参列した。後援会関係者は、その葬儀で「やはり親方と相撲協会との緊張関係は深刻なものだったのだ」と改めて感じさせられたと語る。「相撲協会からは八角理事長(元横綱・北勝海)のほか、二所ノ関親方(元大関・若嶋津)ら協会理事や関係者も参列したのですが、座る席が設けられたのは八角理事長だけ。他の理事たちは立ったままでした。弔辞も理事長ではなく後援会の副会長が読んだ。土俵のある稽古場に祭壇が設けられ、周囲に数えきれないほどの献花が並んでいたが、そこも部屋の後援会関係者や友人の名前ばかり。聞けば、夫人が協会関係者からの献花はすべて断わったそうです。唯一、飾られていた相撲協会名での献花も一度は断わったと聞きます」(同前)

 昭和の大横綱の葬儀でみられた異様な光景。背景には、先代・九重親方が協会に冷や飯を食わされてきたという事情がある。「2014年の理事選で落選した後には、協会の主流派から異例の“ヒラ委員への三階級降格”という仕打ちを受けた。ご遺族には相当な無念があったのでしょう」(同前)高砂一門の親方の一人は九重部屋を継いだ元・千代大海が、そうした先代の無念を晴らすべく動き出すとみる。「もともと『九重部屋』には複雑な人間関係がある。先々代の九重親方(元横綱・北の富士)と先代の間では、部屋の土地・建物の継承などを巡る諍いがあり、結局、先々代は八角親方に土地・建物を譲り、八角部屋を立ち上げさせた。以来、『先々代&八角vs先代』という対立構図が続いてきた。千代大海はそうした構図の中で先代が苦汁をなめさせられたことをよくわかっている。今後は八角親方と理事長の座を争った貴乃花親方のグループに入り、反八角派として協会理事の席を目指していくようです」ウルフの無念を愛弟子が晴らすか。週刊ポスト2016年9月2日号

 元衆議院議員で、相撲協会評議員会議長の池坊保子さんは“稀代の大横綱”の心中を慮(おもんぱか)り、その死を悼んだ。

 「九重親方は歴史に名を残した方です。しかしながら、晩年は不遇を託(かこ)っていた。何も仰(おっしゃ)らなかったけど、さぞ無念だったのではと思います。ただただ残念です」。
 追悼・千代の富士 正解へ最短距離で生き抜いた稀代の大横綱(2016.08.05)

【貴乃花親方の空疎な千代の富士哀悼文】
 2016.8.3日、「故千代の富士を理事選で標的に 貴乃花親方の空疎な追悼文
」。
 31日、すい臓がんで逝去した日本相撲協会の九重親方(享年61)。現役時代は第58代横綱千代の富士としてさまざまな記録を打ち立てただけに、多くの角界関係者が哀悼の意を表した。貴乃花親方(43=元横綱)も、そのひとりだ。スポーツニッポンに、哀悼文を掲載。「現役時代には胸をお借りし、鋼の肉体に額を恐る恐る当てたことも忘れていません」、「私の心は暗闇に迷い込んだかのようです。むなしく、寂しいです」などと述べているが、何をかいわんや。自らの野望のため、尊敬する大横綱の「悲願」を打ち砕いたのは誰あろう貴乃花親方自身ではないか。九重親方は協会ナンバー2の事業部長だった14年の理事選で落選。これは協会を食いものにしようとした故北の湖理事長の右腕といわれた顧問と貴乃花親方がタッグを組み、九重親方の票をかき集めたからだ。それから2年後、九重親方は今年1月の理事選で理事復帰を図ったが、出馬すらかなわなかった。ある親方は「それも貴乃花親方の存在が大きかった」と、こう続ける。「北の湖理事長亡き後、貴乃花親方は理事長の座を狙った。理事長は理事の互選で決まるため、自分を支持する理事が一人でも多く必要だった。そのため、シンパである山響親方(元平幕巌雄)たちを理事選で当選させる必要があった。再びターゲットにされ、周辺の票を失った九重親方は出馬すら断念せざるを得なかった」。貴乃花親方にとって、九重親方は目の上のタンコブ。仮に理事長のイスを手に入れたとしても、九重親方が理事ならば獅子身中の虫となりかねない。貴乃花親方は何が何でも、ライバルを蹴落とす必要があったのだ。思えば、貴乃花親方は貴花田時代の91年5月場所初日に千代の富士に勝ち、引退のきっかけをつくった。その上、2度の理事選で理事としてもトドメを刺した。その野望に巻き込まれ、あの世に旅立った九重親方は何を思うか……。

【貴乃花親方、山響親方、裏金顧問の密談】
 2016.10月、川崎大師で故北の湖理事長の銅像の除幕式と三回忌の法要があつた。その後の食事会で貴乃花親方は同じ派閥の山響親方、裏金顧問と3人でゴソゴソやっていた。

【白鵬が通算勝ち星が1000勝(207敗48休)達成】
 2016.11.15日、大相撲の横綱白鵬(31)が15日、福岡国際センターで開かれた九州場所3日目で、平幕の魁聖を豪快な上手投げで下し、序ノ口以来の通算勝ち星が1000勝(207敗48休)に達した。1045勝の元横綱千代の富士、1047勝の元大関魁皇に続き史上3人目。外国出身では初の快挙となった。15歳で来日し、2001年夏場所で1勝目を挙げてから15年以上、心身の限界に挑みながら戦ってきた結果だ。花道でファンから次々と花束を贈られ、「(喜びは)ひと味も、ふた味も違う」と笑みを浮かべた。白鵬は「最高です。けがや病気とか色々なことがあった。その積み重ねです」と喜びを語った。2年前の九州場所で大鵬の優勝32度に並び、翌場所で抜いた後は、夢を見失いかけた。再び土俵に立つ意欲に火をつけたのが、1000勝だった。

 今年名古屋場所で13勝を挙げれば達成できたが、場所中のけがもあって10勝止まり。その直後の7月末に元千代の富士の九重親方が急逝した。若い頃に憧れ、繰り返し映像を見た先輩横綱を悼むため、「記録を抜くことが恩返しになる」と思いを強くした。けがが癒えず、秋場所は横綱昇進後で初めての全休に追い込まれた。それでも、休場中に右足親指の手術に踏み切り、土俵に戻ってきた。「苦労して(結果を)手に入れるのは、美しいし、やりがいがある」。今場所前にそう話した横綱は、次の目標を「1001勝」と語った。


【貴乃花親方と白鵬の対立露顕/白鵬・置いてけぼり出発事件】
 2016年の*巡業の際、巡業部長の貴乃花と横綱白鵬が同じバスに乗り合わせ、高速のサービスエリアみたいな場所で最初の休憩を取ったとき、白鵬がバスに戻った際、貴乃花親方が座るはずの席に座ってしまい、後から乗り込んできた貴乃花親方が「なんで俺の席に座っているんだ!」と怒鳴り散らしたことからトラブルになった。白鵬は、足が痛いから伸ばせる席に座ったと言い訳したが怒りは収まらず、以来、二人の関係は最悪のものとなってしまった。次のサービスエリアに立ち寄った際、貴乃花親方が、白鵬がバスに戻っていないのを知りながらバスを発車させている。集合時間5分前だったにも拘らず、多数のファンのサインに応じていた白鵬を置いてけぼりにした。これを「大横綱白鵬・置いてけぼり出発事件」と云う。

【白鵬が通算勝ち星を1047勝として歴代最多の魁皇に並ぶ】
 2017.7.20日、大相撲の東横綱・白鵬(32)(本名ムンフバト・ダバジャルガル、モンゴル出身、宮城野部屋)が愛知県体育館で開かれた名古屋場所12日目で玉鷲を破り、通算勝ち星を1047勝として歴代最多の魁皇に並んだ。
 2017.7.21日、白鵬が、7月名古屋場所13日目で東大関・高安を降し、元大関・魁皇(現浅香山親方)を抜いて前人未到、歴代単独最多の通算1048勝目を挙げた。2001年夏場所の序ノ口での初勝利から97場所での達成となった。初土俵から16年、白鵬が誰よりも速いスピードで駆け抜けてきた道のりは、大相撲の今世紀の歴史とそのまま重なる。通算勝利数2位魁皇、同3位の千代の富士と比べても、白鵬の勝率の高さは歴然としている。白鵬は現在、32歳と4カ月。魁皇が1047勝に到達したのが38歳11カ月、千代の富士の1045勝は35歳11カ月のときだった。今場所の白鵬は同日まで12勝1敗で、自身の最多記録を更新する39回目の幕内優勝に向け、トップを走る。

 白鵬は00年秋に15歳で来日。翌年春場所で初土俵を踏んだ。新大関だった06年夏場所で初優勝し、07年夏場所後に第69代横綱に昇進。15年初場所で元横綱・大鵬(故人)を抜いて単独1位となる33回目の優勝を果たした。全勝優勝13回、年間最多勝利9回も歴代1位。

■白鵬と主な歴代力士の通算成績
1位 白鵬 1048勝219敗58休

勝率79.0%

2位 魁皇  1047勝700敗158休  勝率55.0%
3位 千代の富士 1045勝437敗170休 勝率63.3%
8位 大鵬  872勝182敗136休 勝率73.3%

 大横綱の軌跡を振り返る。2001年5月場所の横綱貴乃花の劇的な優勝。右膝に重傷を抱えながら優勝決定戦で横綱武蔵丸を上手投げで下したこの場所でモンゴル出身の16歳のムンフバト・ダヴァジャルガルという痩せっぽちの少年少年が序ノ口力士として初めて本場所の土俵に上がった。成績は3勝4敗の負け越し。幕下昇進までは2年と比較的早かったものの注目される存在ではなかった。幕下以下では各段優勝がなく持ち前の体の柔らかさとしぶとさでコツコツと番付を上げていった。ホープとして頭角を現してきたのは十両に昇進する2場所前あたりから。03年9月場所から2場所連続で6勝1敗の好成績を挙げ、18歳9カ月で新十両昇進。このあたりから「未来の横綱」として白鵬に大きな期待が寄せられるようになる。十両2場所目に12勝3敗で十両優勝すると、04年5月場所の新入幕場所でも12勝3敗で敢闘賞受賞。立ち合いは左足から大きく踏み込み、左の浅い上手を取る右四つの取り口が確立されると、07年3月場所から連覇で横綱昇進を果たした。朝青龍との対戦成績は13勝12敗(本割のみ)。白鵬の横綱昇進以降は8勝3敗と先輩横綱を圧倒した。武蔵丸が引退した03年11月場所以降、朝青龍の一人横綱時代は3年半にもおよび、4連覇2回と前人未到の7連覇を達成。角界の頂点に君臨するモンゴル出身初の横綱は、優勝回数を重ねていく。この“独裁体制”も白鵬が横綱に昇進すると“覇者交代”を迎えることになる。番付上は“2強時代”到来もこれ以降、朝青龍の連覇はなく、新横綱の場所こそ11勝に終わった白鵬が以後、3連覇2回など驚異的なペースで、モンゴルの先輩横綱に優勝回数で迫っていく。朝青龍が10年1月場所に25回目の優勝を果たし“強制引退”させられるまで、横綱同士としての両者の対戦成績は白鵬の8勝3敗(優勝決定戦は除く)。朝青龍は左、白鵬は右のケンカ四つだけに朝青龍のスピードを封じ込め、右四つに組み止めれば体格で優る白鵬有利な展開となるケースが多く見られた。朝青龍は08年5月場所、引き落としで勝って以降は本割で7連敗と一度も勝利することなく土俵を去った。約3年半続いたモンゴル2横綱時代だったが実質的には白鵬時代だったことは数字が物語っている。


【横綱白鵬が“立ち合い不成立”をアピールして土俵下に1分以上立ち尽くす】
 2017.11.22日、大相撲九州場所・11日目(福岡国際センター)、横綱白鵬が関脇・嘉風に敗れた初日からの連勝が10で止まった。白鵬は、“立ち合い不成立”をアピールして1分以上にわたって土俵上に戻らず、相手の嘉風が勝ち名乗りを受けるのを妨害するという前代未聞の騒動を起こした。

【横綱白鵬が40回目優勝】
 2017.11.25日、大相撲九州場所・14日目(福岡国際センター)、横綱白鵬が13勝目(1敗)を挙げ、自身の持つ最多記録を更新し、前人未到の大台40回目の優勝を果たした。2敗で追っていた平幕の隠岐の海、北勝富士がそろって敗れ、結びの一番で平幕遠藤を押し出して決めた。千秋楽を待たずの優勝も自身の最多記録を更新する18回。今年55勝目を挙げ、2年ぶり年間最多勝を単独で獲得した。横綱日馬富士の暴行問題に大揺れの場所で、ざんげの気持ちを胸に1人横綱の重責を果たした。館内のやや優勢な遠藤コールに白鵬が鬼の形相となった。勝てば優勝の結びの一番。左で張って、必殺の右カチ上げで相手はグロッキー。左のど輪で一気に押し出した。2場所ぶりV40が決まり、大歓声と拍手に包まれた。支度部屋で水を飲み干すと「うまい!」と緊張から解放されたような第一声。「言葉にならないほどうれしい」とかみしめた。異常な日々だった。3日目に日馬富士の暴行問題が勃発し、その酒席には自らも同席していた。16日には「(日馬富士の)殴打にビール瓶は使われていない。馬乗りにもなっていない」と証言。今場所後には参考人として鳥取県警の聴取を受ける予定で、騒動とは無縁ではなかった。初日から10連勝したが11日目に関脇嘉風に敗れた際、土俵下から1分以上も“物言い”をアピール。品位を欠く醜態に大批判を浴びた。崩れなかったのは7年前、どん底だった角界を知るからだ。

 2010年の野球賭博問題でファンが離れ、観客はガラガラだった。「7年前、大変な場所を経験した。こういうことがないようにと思ったけど、本当に申し訳ない」と当時を思いざんげ。それでも15日間大入りだった今場所に、「温かい声援を送ってくれたありがたい」と目をつむり、頭を下げた。先場所は左膝痛で全休。「不安があった」と言うが阿武咲、貴景勝、北勝富士ら台頭する若手を次々とはね返した。出場3場所連続優勝はさすがの勝負師。3横綱が休場し、1人横綱として土俵での話題を盛り上げる責務を果たした。場所前、白鵬は熱弁した。「運という字には『軍』がある。戦わないと運は来ない」。戦い続ける最強横綱は2年ぶり年間最多勝の単独での獲得も決めた。次なる視界はあと31勝に迫る幕内1000勝。貴ノ岩の「あなたたちの時代は終わった」という発言が発端とされる暴行問題だが、白鵬の時代は終わらない。

 11.26日、九州場所14日目に前人未到40回目の優勝を決めた西横綱・白鵬は、千秋楽で東大関・豪栄道(31、境川)を上手投げで下し、優勝に自ら花を添えた。千秋楽で恒例の協会御挨拶が行われた。横綱・日馬富士の暴行問題を八角理事長(元横綱・北勝海)が、「横綱・日馬富士の問題により皆様には多大なるご心配、ご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」と土俵上で述べると、観客は大きな拍手でこたえ、「大丈夫!」の声が飛んだ。その後も、理事長が声をつまらせる場面があり、再び観客が大きな拍手。「頑張れ」とかけ声も飛ぶなど問題解決にあたっている協会トップを支持する雰囲気が充満した。「今後も相撲の発展、土俵の充実に努めてまいります」と最後まで挨拶文を読み上げると、「理事長!」「頑張れ!」という声が降り注がれていた。

 土俵下での優勝インタビューは以下の通り。

 おめでとうございます
 「どうも、ありがとうございます」
 誰も到達していない40回目の優勝を果たしました。今の気持ちをお聞かせください。
 「その前にこの場を借りて、場所中に水を差すようなことになってしまったこと、全国の相撲ファンに力士代表としてお詫びしたいと思います。私は15歳で来日し、62キロの少年がここまでくるとは誰も思ってなかったと思います。相撲の神様、この国の魂に認められたからこそ、40回の大台があんじゃないかと思います。この土俵の横で誓います。場所後に真実を全て話し、膿を出し切って日馬富士関、貴ノ岩関の2人を再びこの土俵に迎え入れたい」。
 今場所を振り返って
 「本当に心と体が疲れました。一番一番、やり遂げました。一年納めの九州場所で皆さんの暖かい応援ありがとうございました」
 昨日優勝が決まって迎えた千秋楽。にらみあいもあった
 「豪栄道が今まで以上に気合いが入っていたので負けないようにやりました」
 八角部屋の2人の力士が追いかけてきた
 「途中から同部屋の力士にやられるんじゃないかと思っていましたけど、よくがんばったと思う」
 2場所休場したが年間最多勝
 「春場所、秋場所を休場して、自分を追い込みいろんなことをやった。断食に励んだりヨガをやったり、稽古は嘘をつかないと改めて思った1年」
 どうしてそこまで追い込めたのか
 「私の父が1964年の東京五輪に来ていますから、2020年の東京五輪まで頑張るという思い」
 今後の目標は
 「幕内1000勝を目指してがんばりたい」
 あと30勝
 「そうですか。がんばります」

 最後に、自ら音頭を取り、前代未聞の表彰式での万歳三唱を促し、会場が総立ちで「バンザイ!バンザイ!バンザイ!」を三唱した。「来年も大相撲をよろしく」と締めくくった。


【「白鵬の異例発言」に対する反応】
 横綱白鵬は表彰式でのインタビューで、横綱日馬富士による暴行問題について触れ、「力士の代表としておわびしたい」とした上で「日馬富士関と(殴られたとされる)貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたいと思う」と発言したことに対して、この問題では、日本相撲協会の危機管理委員会が事実関係を調査中で、現場に居合わせた白鵬自身も事情聴取の対象となっている中での「異例の発言」だとして、八角理事長は、「(問題の調査は)危機管理委員会に任せている」と釘を刺した。

 14日目に前人未到の40回目の優勝を決めた横綱白鵬の千秋楽優勝インタビュー発言に対し、マスコミが批判合唱している。暴行問題に触れ、「この土俵の横で誓う。場所後にすべて真実を話し、膿(うみ)を出し切って、日馬富士関、貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたいと思います」と話したのに対し、「現在、鳥取県警や協会が真相究明を続けており、一力士として異例の問題発言である。自らも暴行の起きた酒席に同席していた立場であり波紋を呼びそうだ」、「白鵬自身、27日以降は参考人として県警、協会の聴取を受ける。にもかかわらず、“越権”が止まらない。

【危機管理委員会が、横綱・白鵬や石浦などに、警察の任意の事情聴取のあと聞き取りを行う方針】
 2017.11.26日、「日馬富士暴行問題 あす以降に白鵬など聞き取りへ」。

 危機管理委員会では、27日以降九州場所に出場していた横綱・白鵬や石浦などについて、警察の任意の事情聴取のあと聞き取りを行う方針です。一方で、危機管理委員会が重視している暴行を受けた当事者の貴ノ岩の聞き取りについては、師匠の貴乃花親方が調査への協力に応じる姿勢を見せていません。危機管理委員会では、貴乃花親方に対して貴ノ岩の聞き取りに応じるよう粘り強く求めて、実態の解明に向け調査を進める方針です。

 相撲の横綱・日馬富士の暴行問題は、九州場所が終わったことを受け、日本相撲協会が27日以降、スポーツ庁や横綱審議委員会に対し、事案の報告を行うなど、調査を進めながら日馬富士の処分や再発防止に向けた動きも本格化します。千秋楽翌日の27日、横綱に関するさまざまな案件について進言する横綱審議委員会の定例の会合が開かれます。この中では、相撲協会の八角理事長から問題の経緯や暴行の状況など危機管理委員会のここまでの調査内容が説明される予定です。また28日には、八角理事長がスポーツ庁を訪れ、鈴木大地長官に対して、この問題の報告を行う予定です。鈴木長官は、相撲界での暴力を根絶するよう要請する見通しです。また28日に八角理事長は、十両以上の力士を集めて冬巡業が始まるのを前に再発防止に向けた講話を行う予定です。さらに今月30日には、相撲協会の理事会が開かれます。理事会では、危機管理委員会からその時点での調査のまとめが報告される見通しです。危機管理委員会では、九州場所に出場していた横綱・白鵬などの聞き取りを27日以降、警察の任意の事情聴取のあとに速やかに行う予定です。一方で、暴行を受けた当事者の貴ノ岩については、師匠の貴乃花親方の協力を得られておらず、貴ノ岩の聞き取りを行えるかが実態を解明するうえでの焦点となります。

【貴ノ岩が診断書を相撲協会に提出せずが判明】
 12.2日、元横綱・日馬富士関による暴行で負傷し、大相撲冬巡業(3~17日)を休場する幕内・貴ノ岩が診断書を相撲協会に提出していないことが分かった。暴行問題への対応で帯同しない貴乃花巡業部長(元横綱)の代理を務める春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)が「2人が診断書を提出していない。貴ノ岩と(十両)大成道。貴ノ岩については何も聞いていない」と明かした。貴ノ岩サイドには、休場の説明も受けていないという。巡業の休場には、けがなど「正当」と判断される診断書が必要。師匠の貴乃花親方は九州場所の終盤に貴ノ岩の体調が悪化したと明かしていた。提出は巡業初日まで猶予が与えられ、内容が注目される。

 貴ノ岩は2種類の診断書を作成していた。1枚目は10月29日に鳥取県警に提出。2枚目は九州場所を休場するために作成し「右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」で全治2週間程度と記されていた。危機管理委員会が医師に作成根拠を確認すると、場所前の時点で相撲がとれる状態だったという事実が判明した。暴行問題を引きずっての巡業になり、春日野部長代理は「注目を集めているわけだから、私生活も含めてね。深夜(遊ぶの)はいただけない」と襟を正す姿勢を強調し、長崎・大村へ向けて福岡市内を出発した。


12.25日、相撲協会が、元協会顧問/小林慶彦に対し約1億6500万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に提訴
 「“キーマン”元顧問と相撲協会「泥沼訴訟合戦」 貴乃花親方と八角理事長の確執は北の湖前理事長の死去から始まった」(2018.1.10日配信)。
 【貴乃花親方 反逆の真実】

 元横綱日馬富士の暴行事件をきっかけに明白になった、貴乃花親方(45)=元横綱=と八角理事長(54)ら日本相撲協会執行部との深刻な確執。きっかけは平成27(2015)年11月20日、北の湖前理事長(享年62)の死去にあった。そのキーマンが元協会顧問、小林慶彦氏(62)である。小林氏は、24年2月から28年1月まで協会の危機管理に関する業務などを取り仕切り、北の湖前理事長の厚い信頼を受けていた。しかし昨年12月25日、小林氏は協会から約1億6500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こされた。小林氏自身と同氏が代表取締役を務めたコンサルティング会社が在職中に、裏金を受け取るなど背任的行為で協会に損害を与えたという。

 訴状によると、小林氏は顧問の立場を悪用し、両国国技館の改修工事などをめぐり、施工業者から8000万円を受け取ったと指摘されている。また、パチンコメーカーとのしこ名などの利用許諾契約をめぐり、仲介業者から裏金を受領した映像がインターネット上で流され、相撲協会の信用を失墜させたという。一方、小林氏も28年の解雇を無効として、同年2月に地位確認を求める訴訟を起こし、協会と係争中。両者が泥沼の訴訟合戦を繰り広げている。小林氏が起こした訴訟の準備書面のやりとりの中には、貴乃花親方と八角理事長の対立が生々しく描かれている部分がある。小林氏側は、週刊誌報道なども証拠として引用しながら、貴乃花親方について次のように記している(要旨)。「北の湖理事長は平成25年末に腸閉塞で入院し、26年1月には場所を初日から7日目まで休むことになった。このため、九重理事長代行(元横綱千代の富士=28年7月死去)となったが、北の湖理事長は同代行の能力を評価していなかった。北の湖理事長は、貴乃花親方を後継者と考えていたが、まだ若かったため、一時的なつなぎ役として八角親方を据えて、自らの影響力を維持して、貴乃花親方につがせるつもりだった」(昨年9月19日付原告準備書面)。この北の湖前理事長の意向により、八角親方が協会ナンバー2、貴乃花親方がナンバー3という理事会での序列ができあがったという。「平成26年4月の理事会で、八角親方がナンバー2の事業部長となり、貴乃花親方がナンバー3の総合企画部長に就任することになった。ところが平成27年11月に北の湖理事長が急逝。八角親方が理事長代行となり、平成27年12月18日の理事会で、コンプライアンスを無視する議事進行で、二所ノ関一門の尾車親方(元大関琴風)とともに強引に議事を進行し、八角親方が理事長に就任した」(同準備書面)。北の湖前理事長が生前描いた思惑とは違う方向に、角界の歴史は進んだということなのだろうか。=つづく
 相撲協会元顧問・小林氏の信じられない背任行為 国技館の改修工事で業者に利益提供要求、協会の発注方針も無視」。
 【貴乃花親方 反逆の真実】

 驚かされるのは、日本相撲協会の元顧問、小林慶彦氏(62)=平成28年1月解雇=が行ったとされる裏金授受などの背任行為の数々だ(小林氏は解雇無効を訴えて東京高裁係争中)。同氏は北の湖前理事長(平成27年11月死去、享年62)の側近だった外部の人材で、約4年間協会の危機管理に関する業務を担当したが、その間に肩書を利用して私腹を肥やしていたという。相撲協会が小林氏を相手取り提訴した損害賠償請求訴訟の訴状には、力士のパチンコ台を作る際に受け取った裏金1700万円など、その行状が並び立てられている。平成24年3月に小林氏が介入したというのが、両国国技館の改修工事の業者選定だ。すでに受注業者は大手ゼネコンO社に決まっていたにもかかわらず、同月に行われた相撲協会の理事会で突然、契約の見直しが提案され、なんと取り消しとなった。この理事会の直前、小林氏は大手ゼネコンK社の営業担当者を呼び出していた。「国技館の改修工事は、これまでの仕切りを一旦ご破算にして、私の仕切りの下で動き出す」、「K社はやりたいか(受注したいか)」、「やりたいんだったら、金かかるで」。 自分が新たな業者選定を取り仕切る旨を伝え、K社に個人的な利益提供を要求したというのだ。

 小林氏は相撲協会の幹部に取り入り、施工業者の選定のやり直しをするように介入した。特定の会社が施工業者として選定されるように不当な働きかけを行い、施工会社の1社からは、2回にわたって8000万円の裏金が小林氏の口座に振り込まれていた。小林氏は相撲協会が決めていた発注方針を無視し、自分が主体となって勝手に工事請負契約の交渉を行った。30億円が予算だったのに、見積額が大きく膨らんで、相撲協会の負担が大きくなるのを顧みず、41億円以上で契約を結んだ。しかも、相撲協会の理事会に諮ることなく、勝手に契約を結んでいたという。相撲協会が求めている損害賠償額は1億6500万円だが、さらに調査は進められており、今後さらに請求は拡大する可能性がある。国技を食い物にする手法には開いた口がふさがらないが、これだけ大胆な不正行為がまかり通っていたこと自体が異常だ。脇が甘いだけでは済まされない。信じられない世界だ。

 
 昨日相撲協会は協会元顧問に損害賠償求め、訴訟を25日に東京地裁に起こしたと発表した。これはマスコミではほとんど報じていないようだ。しかし、これは大いに貴乃花と関連があるのである。

 

時事ドットコム

「元顧問に損害賠償求める=相撲協会

 日本相撲協会は28日、元顧問の男性(62)が立場を悪用して不正に利益を得たとして、この男性に対し、計約1億6500万円の損害賠償を求める訴訟を25日に東京地裁に起こしたと発表した。

 訴状によると、元顧問は2012年2月~16年1月、危機管理に関する業務への助言などを相撲協会に委託されていた。この間に、力士が登場するパチンコ台をめぐる契約締結を主導したり、東京・両国国技館の改修工事に関する契約に介入したりして、業者側から裏金を受け取るなどしたという。」

 

 また、時事ドットコムによれば、「相撲協会は、元顧問が協会内での立場を利用し、背任的行為や利益相反行為を行っていたことが判明したため、東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こしたと発表した。八角理事長と対立して相撲協会を離れた元顧問は、貴乃花親方と近い存在だとされる。」

 

 なお、元顧問の名前は、小林慶彦という。北の湖理事長からの顧問だというがその当時ネットでどのように言われていたのか見て見よう。

 

「その顧問とは小林慶彦・経営コンサルタント(58)といわれるが、経歴不詳である。ただ面の皮が相当厚いことは間違いないようだ。北の湖が理事長に返り咲いたときに顧問として相撲協会に入ったという。曲がりなりにも税制上の優遇処置を受けている団体の幹部だ。業者から裏金を貰ったことが明るみに出た時点で「アウト」。普通の神経の持ち主なら観念して身を引くところだ。

それなのに現在も協会に居座っているどころか、これ迄通り、内部を牛耳っているというから看過できない。協会が裏金顧問の首に鈴をつけるどころか、身内だけの調査で『金は返したのだから問題はない』とおとがめなしで済ませたことが何よりこの顧問の協会内部での影響力の強さを物語っている。

この幹部は北の湖理事長の側近。現体制の誕生と同時に顧問として協会入りし、内部でやりたい放題なのだ。

相撲協会は年明けの今年1月、正式に公益財団法人に移行。再選された北の湖理事長の任期は2年間だ。裏金幹部があと1年半も居座るとは信じがたいが、くだんの幹部はその先も見据えているというからとんでもない話ではないか。

さる親方が声を潜めてこう言った。

「最近、貴乃花理事にべったりというんだな。貴乃花理事は現在総合企画部長など部長職を5つも兼任していて、協会内部では北の湖理事長、八角事業部長に続くナンバー3の位置づけ。人気も知名度も抜群だし、このままいけば、次の次の理事長候補だからね。今のうちに取り込んでおこうという腹じゃないか。あろうことか貴乃花理事もあの顧問にゴマを擦ってるっていうウワサさ」

裏金顧問(パチンコ業界から力士の肖像権を絡めてかなりの金額を受け取り問題になった)の厚顔ぶりにはあきれるばかりだ。」

(引用終り)

 

つまり前回の理事長選は、元顧問の責任追及を厳しくしようとする八角親方と貴乃花を応援する元顧問つまり悪を詳しく暴かれたくないために貴乃花を担ぎ出した勢力の戦いという構図だったようだ。

巷で言われる悪の巣窟、相撲協会を牛耳る八角理事長と正義の味方で協会改革を唱える貴乃花という対立構図は全く逆の可能性が出てくるのだ。

 

もう少しこの間のいきさつを知るためにあるブログから引用する。

ブログ「知識連鎖」より

前に改革派とされる貴乃花親方を無条件で「正義」とする風潮に疑問を持っているということを書きました。それは、「相撲協会「新旧権力闘争」の渦中にキーマン2人が怪死」(ポストセブン2016.7.22) )などの記事が頭にあったためです。

裏金事件そのものは、貴乃花親方は関係ないようなのですが、日刊ゲンダイによると、亡くなった北の湖前政権時代に事務方を一手に仕切り、やりたい放題していた顧問がいました。パチンコ業者の代理店関係者から裏金を受け取り、次々と無駄な工事を発注した他、八角理事長代行(当時)にウソまでついて70億円分もの企業債券を購入しようとしたそうです。

理事長選で完敗…貴乃花親方「最初で最後」の打算と誤算」(日刊ゲンダイ2016.3.30)
…さらに言えば、貴乃花親方は権力志向が強い。記憶に新しいのが10年の理事選だ。当時、貴乃花親方は37歳という若さで、所属していた二所ノ関一門から理事候補選に出馬した。周囲は「一門の慣例というものもある。君は黙っていても将来的に理事になれる。焦る必要はない」とブレーキを踏んだが、聞く耳を持たず立候補。理事に当選したとはいえ、その結果として一門を追われた。
 貴乃花親方は北の湖前理事長を「オヤジ」と慕った。その「オヤジ」が昨年11月場所中に急死。多くの親方衆が八角理事長代行を後釜に推す中、「後継者はオレだ」という野心が再び鎌首をもたげたのだろう。そんな貴乃花親方を盛んにたきつけ、背中を押しまくったのが親方の言う「同志」たち。その筆頭が裏金顧問だ。

北の湖前政権下で事務方を一手に仕切り、やりたい放題。パチンコ業者の代理店関係者から裏金を受け取り、次々と無駄な工事を発注、八角理事長代行(当時)にウソまでついて70億円分もの企業債券を購入しようとした。1月下旬に協会を解雇されて以降も、今回の理事長選に向けて水面下で盛んに動き回っていたという。

  この裏金顧問をフォローしていたのが宗像外部理事(74)だ。「(顧問が受け取った裏金は)返したから問題ない」と結論付け、さる親方によれば「理事会でも再三、裏金顧問を擁護する発言をし、顧問が暮れに協会から受け取った750万円のボーナスの正当性を訴えたと聞いた」そうだ。

  宗像理事は理事会で発言する以前に週刊誌上で八角体制を批判。理事の任期はこの日の評議員会終了時に切れると定款に明記されているにもかかわらず、外部理事に投票権がないのはおかしいと噛みついた。結果として貴乃花理事を利する「同志」と受け取られても仕方がない。

「例えば裏金顧問が指揮を執った国技館正面の木戸の工事には5000万円がかかったのに、工事はそれだけで終わらなかった。木戸の形が変わったことで新たに防火シャッターを直さなければならなくなって、さらに1600万円かかった。無駄な工事の典型で、仮に八角政権になればこれまで露見していないさまざまなことまですべて明るみに出てしまう可能性がある。協会内部の利権を維持したい裏金顧問は、貴乃花を担いで組織の中枢に居続ける以外にない。何が何でも今回、貴乃花に理事長になってもらう必要があったのです」(前出の親方)

(中略)
・裏金顧問の契約解除と事件解明に積極的だった八角理事長
 なぜこれが貴乃花親方と関係してくるのか?というと、理事長となった八角親方の顧問に対する方針のせいだと、NEWSポストセブンでは解説していました。2015年の11月20日に北の湖・前理事長が直腸がんにより急死した後、協会ナンバー2の事業部長を務めていた八角親方が理事長代行、次に理事長となっています。ポイントとなるのは、この八角親方が、「受け取った金銭は返したから問題ない」と不問とされていた裏金問題のK顧問を契約解除を通告した他、不透明の資金の流れを追求する姿勢を見せていたこと。これはK顧問一派にとっては、とても困ることだとわかるでしょう。
 なので、対抗馬となる貴乃花親方はK顧問らにとってはよりマシな選択肢であったわけです。逆に言うと、貴乃花親方の方が事件の全容解明に消極的だったってことでしょうね。「改革派」でクリーンなイメージがある貴乃花親方の方が本来、事件の解明について積極的な発言をしそうなのですが、事実はそうではなかったということです。
 また、K顧問に近い人たちは、選挙戦で貴乃花親方の当選のために動いていました。なので、ひょっとしたらもっと近い関係にあったかもしれません。

・おかしいのは貴乃花親方?裏金顧問と近い床山と外部理事が貴乃花親方を応援
 NEWSポストセブンによると、東関部屋に所属する三等床山(力士の髷を結う役割)は、K顧問と近い関係にある重要な人物でした。また、2016年1月の初場所開催中、理事選について記者が床山を取材した録音テープでは、K顧問や貴乃花親方に協力していたことも同時に証言しています。
「オレは貴乃花グループの選対本部長を命じられてるんだよ。オレは床山だけど、X親方とY親方(取材時は実名)はオレの意向で(票を)入れる。今回は、顧問と組むことになった」
 日刊ゲンダイは、K顧問は貴乃花親方にとっての「同志」だとしていましたが、このK顧問をフォローしていた外部理事もいます。外部理事は「(顧問が受け取った裏金は)返したから問題ない」と結論。「理事会でも再三、裏金顧問を擁護する発言をし、顧問が暮れに協会から受け取った750万円のボーナスの正当性を訴えたと聞いた」と話す親方もいます。

(中略)

選挙で貴乃花親方の多数派工作を行い、協会サイドによる調査の対象となっていると考えられていた床山が急死してしまいます。自殺と見られていますが、タイミングがタイミングだけに憶測を呼びました。 しかも、亡くなったのは床山だけではありません。実はその1か月半前の4月にも、協会職員がやはり亡くなっており、同じく自殺したとされています。元顧問Kに近いといわれた協会の事務職員は3人いて、八角理事長はそうした職員らに、元顧問Kのやってきたことを明らかにするために協力を求めたものの、成果は上がっていませんでした。そのうち2人は退職してしまい、協会に残った最後の1人というのが、このとき亡くなった職員でした。

 ここらへんの「怪死」については飽くまで憶測であり、私は強調しません。ただ、裏金顧問一派の応援を受けてしまうほど、事件の調査に積極的ではなかったというのは、貴乃花親方を「正義」とみなすのを難しくする話だとは思います。

(引用終り)
 

 ドンドン黒い噂に塗(まみ)れる貴乃花。いくら黒くてもマスコミが全面支援しているから貴乃花の闇は容易に暴かれないで済んでいる。マスコミももう少し勉強したらどうなのか。テレ朝の玉川上水さんよ。いつまでも不貞腐れてんじゃねえよ。

 

さて日刊ゲンダイ(12.27)は元顧問と貴乃花の関係を次のように報じる。

「…「28日には臨時理事会だけでなく、評議員会も開催される。危機管理委員会が評議員たちに今回の日馬富士暴行事件の報告をするのですが、評議員たちの貴乃花親方に対する怒りがハンパじゃないのです。理事という要職に就きながら職務を放棄したばかりか、反省のかけらもない。それどころか自分に落ち度はないと開き直っているわけですからね。評議員会はあらかじめ予定されていたこととはいえ、彼らの方が開催に積極的だったともいいます。それだけ怒りは強いのですよ」

・裏金顧問のクビを「戻してほしい」

 評議員たちが貴乃花親方の言動に怒り心頭な理由はそれだけじゃない。北の湖理事長時代、協会の事務方を一手に仕切っていた裏金顧問との関係だ。

 裏金顧問とは、協会とパチンコメーカーとの契約に際し、間に入った代理店関係者から500万円の裏金を受け取った人物のこと。昨年1月に協会を解雇された裏金顧問は現在、地位保全の裁判で協会と係争中だ。そんな人物と貴乃花親方は今年10月、川崎大師で行われた北の湖前理事長の三回忌法要後の食事会で山響親方(元平幕巌雄)も含めた3人でゴソゴソと話し込む姿が目撃されている。貴乃花親方は裏金顧問がクビになると「なぜクビにする!」「戻してほしい!」と理事長室に怒鳴り込んだこともあった。協会を追われ、協会と係争中の人物といまだつながっている事実も、評議員たちの心証を著しく害しているという。」

 

少し前の週刊朝日(2016.3.15)から。

「…協会幹部の発言「小林慶彦顧問は今年1月26日、協会から契約解除通知を受けた。ところが2月中旬、貴乃花親方は国技館の八角理事長の部屋で小林慶彦元顧問について『ずっと一緒にやってきたのに辞めさせるのか。もう一度雇うことはできないのですか』と申し入れたと聞いている。小林慶彦もその場にいた。八角理事長は応じませんでしたが、貴乃花親方は翌日も再び、八角氏に申し入れたそうです。引き続き協会をコントロールしたい小林慶彦に貴乃花親方が利用されているのではないかと心配になります。」

 

裏金顧問小林慶彦の悪行の数々が具体的に書かれている記事だ。これを読めば、貴乃花より八角理事長のほうが相撲協会のために頑張っていることがよくわかる。今週刊新潮も文春も貴乃花ヨイショしかしていないが、こういう金と理事長選にまつわる黒い噂は知らないのか。あるいは知っていて隠蔽しつつ貴乃花を応援しようとしているのか。マスコミは魑魅魍魎の世界。しかし、日刊ゲンダイは頑張っているなあ。

 

日刊ゲンダイ(2016.3.15)より

貴乃花理事とグルの“裏金顧問”相撲協会から解雇されていた

昨年暮れ、相撲協会の八角理事長(52)がまだ、「理事長代行」だったころの話だ。

 それまで協会内部の事務方を一手に仕切り、パチンコ業者との契約の際に裏金を受け取った「裏金顧問」小林慶彦が、ある会社の債券を70億円分購入しようとしていたことが露見した。

 仮に、その企業が倒産しようものなら、債券は紙クズになる。そもそも70億円もの大金を投資につぎ込むこと自体に疑問を抱いていた八角理事長代行は、裏金顧問に説明を求めた。

 すると裏金顧問は、強い口調でこう言った。

「法律で決められていることだ。内部留保がこんなにあると受け取られてしまう。内閣府にもスポーツ庁にも指導されている」

 そして、八角理事長代行をせかすように続けた。

「12月18日の理事会までに社債を買わなければならない。とにかく早くしないと……」

疑心暗鬼になった八角理事長代行は内閣府とスポーツ庁に出向いて問い合わせたところ、「そんなことは一切、言っておりません。協会が決めることです」と、担当者はかぶりを振った。裏金顧問はつまり、ウソをついて、協会に70億円分の債券を買わせようとしたことになる。八角理事長代行はもちろん、これを阻止した。

・ウソ八百を並べ立てて逃げ切りも…

 裏金顧問はパチンコ業者との契約に関してもウソをつきまくっている。

 4年前、理事をまとめるという名目で、業者との間に入った代理店関係者から500万円を受け取り、後にその事実が週刊誌上を賑わせた。裏金顧問は「カネは返した」と主張。裏金顧問とグルの危機管理委員会・宗像紀夫委員長(74)も「カネは返したから問題ない」と訳の分からない理屈でおとがめなしに。宗像委員長はさらに理事会で「(裏金顧問は代理店関係者に)カネを渡した形をつくりたいから、形だけ預かって後で返して欲しいと言われた」と説明したらしいが、これらは明らかなウソっぱちだ。

本紙は現金授受の一部始終を収めたDVDをチェックしたものの、代理店関係者は「後で返して欲しい」とはひと言も言っていない。それどころか裏金顧問は紙袋から帯封のしてある5つの札束を取り出して金額を確認しながら、「絶対、これ、バレんようにしてくれる? 北の湖に……。中止せな、つぶさなアカンようになるので」と、口外しないようクギを刺している。

その場で、代理店関係者から期間が足りずに500万円しか用意できなかったと説明を受け、さらなる裏金が必要ですよねと念押しされると、「別に小分けでも構わんですよ」と答えている。「返す」どころか、裏金を歓迎しているのだ。

 実際、代理店関係者も、日刊ゲンダイ本紙の取材に「(カネは)返してもらっていない」と答えている。

「裏金顧問のカネに関する話は枚挙にいとまがありません」と、さる親方がこう続ける。

「裏金顧問が協会に来てからというもの、必要に迫られていないムダな工事が山ほど行われているのです。例えば国技館の3階まで伸ばしたエレベーターには5000万円がかかったそうですけど、実際に使う人はほとんどいません。さらに正面の木戸、チケット売り場を50センチだけ拡張する工事にも5000万円、これによって防火シャッターを直す工事が必要になって1600万円かかったらしい。国技館地下の貯水設備もなぜか早急に改修が必要と8000万円がつぎ込まれたといいます。南門の小屋を8000万円かけて建て直す計画まであったのですが、八角理事長が阻止したと聞いています」

 裏金顧問はウソをついて70億円分の債券を購入しようとしたり、親方連中が「ムダ」とクチをそろえる工事に巨額の費用を投じたりする。なにしろ業者から裏金を受け取りながら、ウソ八百を並べ立てて逃げ切った人物だ。巨額の債券を購入しようとしたことや数々のムダな工事も思惑があるとみるのが自然だろう。

この裏金顧問と一緒になって相撲協会を牛耳ろうとたくらんでいるのが貴乃花理事(43)だ。前出の親方が言う。

「野心の強い貴乃花は一日も早く理事長の椅子に座りたいし、カネも欲しい。莫大な借金を抱え、首が回らないといいますからね。そこへいくと裏金顧問はカネ回りがいい。カネと権力が欲しい貴乃花と、権力を利用してカネ儲けがしたい裏金顧問は、くっつくべくしてくっついた。危機管理委員会の委員長を務める宗像外部理事、1月下旬の理事候補選で理事になった山響親方(45)も彼らとグルです」

年頭の挨拶で相撲協会全職員を前に「協会を破産させる勢力とは断固戦う」と話していた八角理事長は1月下旬、裏金顧問を解雇した。」

 

もう一つ日刊ゲンダイ(2017.11.28)から。引用に重複が多くて済みません。

「…相撲協会の危機管理委員会による調査で、診断書を作成した医師が相撲を取るのに支障はないと判断したことが明らかになった。リモコンや灰皿などで「50発」も殴られたとすれば、相撲を取るどころか、無事でいられるはずはない。元旭鷲山は貴ノ岩のケガを必要以上に喧伝したことになる。

■福岡で目撃情報

 貴乃花親方は25日、元旭鷲山の話は誤りと言ったらしいが、いくらなんでも大げさに話し過ぎだと思ったのかどうか。貴乃花親方と彼を“援護”した元旭鷲山。2人の間にある人物を加えると、今回の事件の構図がより鮮明になる。

「昨年1月下旬、相撲協会を解雇された裏金顧問ですよ。彼が今回、九州場所の最中、福岡に現れたという目撃情報があるのです。裏金顧問が今回の騒動に関係しているとすれば、一連の騒動も納得です」とは、別の親方だ。

「裏金顧問」とは、かつて相撲協会とパチンコ業者との契約の際、間に入った代理店関係者から500万円の裏金をフトコロに入れた人物のこと。

「絶対、これ、バレんようにしてくれる? 北の湖に……。中止せな、つぶさなアカンようになるので」と、札束をわしづかみにしてバッグにしまう現場を動画に撮られて明らかにされながら、「カネは返したから問題ない」と訳の分からない理屈でおとがめなしになった。この代理店関係者が「カネは返してもらっていない」と言っているにもかかわらずだ。親方がこう続ける。

「裏金顧問は前回の理事長選で、貴乃花親方を理事長にしようともくろんで暗躍。代理店関係者から裏金を受け取ったばかりか、ウソまでついてある会社の債券を70億円分も購入しようとしていたことなどが露見して協会を追われた。その後、地位保全の裁判を起こして現在も係争中だけに、八角理事長に対しては恨み骨髄です。とにかく現執行部を吹き飛ばして協会内の勢力図を変えたいという思いは、貴乃花親方と一致しています。貴乃花親方は裏金顧問が協会をクビになったときも、目の色を変えて執行部に猛抗議したといいますからね。その裏金顧問はモンゴルに太いパイプを持っていて、かつてはモンゴル巡業の勧進元を務めたほど。特に元旭鷲山とは親しい関係を築いていたと聞いています。元旭鷲山がわざわざ来日してペラペラとしゃべったのは、裏金顧問の意を酌んだ可能性もある」

 要するに貴乃花親方は裏金顧問と利害関係が一致する同志。一部で改革派の旗手で大義があるなどといわれるが今後、どんなキレイ事を並べ立てたところで結局、裏金顧問と同じ穴のムジナではないか。」八角理事長頑張れ!











(私論.私見)