和式の利点はないのだろうか。「トイレ学大事典」に「和式便器と洋式便器の人間工学的検討」と題した論文を掲載した上野義雪・元千葉工業大教授は「人間工学的には和式、洋式ともよさと欠点がある」と話す。和式の利点の一つに「力みやすさ」をあげ、「和式の姿勢では腹部と大腿部が近くなり、それによって腹部の内圧を高め、スムーズに排便できる。これに対し、洋式の姿勢では腹部に力を入れにくい」と指摘する。立ち座りのしやすさでは、洋式に軍配があがる。上野元教授は和式便器離れの原因として、日本人がしゃがみ姿勢をとれなくなっていることをあげている。日本では、しゃがみ式便器を和式と呼んでいるが、日本トイレ協会の佐竹事務局長は「欧米は腰掛け式だが、世界のそれ以外の地域は本来大部分がしゃがみ式。和式というのは適切な表現でないかもしれない」と話した。