アイヌ民族存在論争考

 更新日/2017.4.3日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、アイヌ民族存在論争を確認しておく。

 2017.4.3日 れんだいこ拝


アイヌ民族存在論争考
 2015/2/ 9日、漫画家の小林よしのり-精神科医の香山リカが、月刊誌「創」15年1・2月合併号で、「アイヌ民族存在論とヘイトスピーチ」を廻って、小林氏はアイヌ民族存在論に否定的、香山氏は肯定的な立場から対談している(「アイヌ論争とヘイトスピーチ」、「小林よしのりVS香山リカのきわどい論戦」、「月刊『創』 2015年3月号、小林よしのり×香山リカ アイヌと差別をめぐる対決対談)。これを確認しておく。
 小林氏が「ゴーマニズム宣言」でアイヌを取り上げたのは2008年。同年6月に国会で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で可決された。小林氏がその決議に対して真っ向からの異論を掲げた。北海道を取材して書かれたそのアイヌ論は『わしズム 日本国民としてのアイヌ』(小学館)や『ゴーマニズム宣言NEO2 日本のタブー』(小学館)にまとめられた。2014年8月半ば、札幌の金子快之市議(当時)のアイヌに関するツイッター発言があり、11月には東京のヘイトスピーチデモでアイヌへの攻撃が行われるといった騒動に発展した。アイヌの特権、利権を許すなというヘイトスピーチを行う側が論拠としたひとつが、小林氏が展開してきた「アイヌ民族は存在しない」という主張だった。北海道出身の香山氏は、こうした状況に関心を持ちツイッターなどでも発言するようになっした。小林氏は11月13日のブログで「純粋アイヌはいない。果たして『アイヌ民族』というほどの集団がいるのか?」と書き、「この問いに、香山リカ、中島岳志は答えなさい」と名指しで呼びかけを行った。1月15日、小林vs香山対決対談。小林氏自身は、ヘイトスピーチやネット右翼のアイヌへの差別を容認しているわけではない言明している。対する香山氏は、ブックレットの後書きで「小林よしのり氏との対談は、私にとってはとても大きなできごとであった」と書いている。この対談は2時間の予定が3時間を超えるほどの議論になった。双方の応酬はその後ツイッターなどを通じて激しく行われた。小林、香山のそれぞれの支持者をも巻き込んで結構大きな議論になっている。
 先住民と認める国会決議

 衆参両院は2008年6月6日の本会議で、アイヌ民族を先住民族と認め、地位向上などに向け総合的な施策に取り組むことを政府に求める決議を全会一致で採択した。衆参事務局によると、アイヌに関する国会決議は初めて。町村信孝官房長官(当時)は衆参本会議で、アイヌに関し「先住民族」との認識を政府として初めて表明。午後の記者会見で「独自の言語、文化、宗教があり、素直に言えば先住民族であると政府として考えているということだ」と述べ、アイヌの位置付けや施策を議論する有識者懇談会の設置を盛り込んだ談話を発表した。
 国会決議は「わが国の近代化の過程で、多数のアイヌが差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、厳粛に受け止めなければならない」と明記。政府に対し、アイヌを独自の言語、宗教や文化を有する先住民族と認めることや、有識者の意見を聴きながらアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組むことを求めた。超党派の北海道関係国会議員でつくる「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」は、昨年の国連宣言が日本も賛成して採択されたことを重視。先月から断続的に世話人会を開き、決議をまとめた。今回の決議などを受け、アイヌ関係者団体の代表者らは同日、国会内で記者会見。北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は「感謝の気持ちでいっぱいだ。アイヌとして誇りを持って生きられる社会を実現したい」と強調。秋辺得平副理事長も「先祖たちの苦難を良い方向で受け継いでいく。アイヌの歴史の中でもこれほど重要な一ページはない」と感慨深げに語った。(産経新聞 2008年6月7日)
 論争の発端となったツイート

 元札幌市議の金子快之氏が2014年8月、短文投稿サイト「ツイッター」に「アイヌ民族なんて、いまはもういない」と書き込んで物議を醸した。民族差別への批判はその後も広がり、同年9月には所属会派の自民党札幌支部連から除名処分を受けた。自民党は08年に衆参両院が決定したアイヌを先住民族と認める国会決議に賛同しており、金子氏の発言は党議違反に該当すると判断した。札幌市議会も金子氏に対する議員辞職勧告決議を賛成多数で可決したが、決議後の会見で金子氏は「発言を撤回する考えはない。タブーを恐れず発信を続ける」と主張。今年4月の札幌市議選に出馬するも落選した。

漫画家の小林よしのり-精神科医の香山リカのアイヌ民族存在論争対談考
札幌・金子市議のアイヌ発言
香山
 小林さんはブログで「『アイヌは出て行け』とか『アイヌは死ね』とか、差別しているわけではない」、そして「“既得権益バッシング”でもない」ということをおっしゃっていますね。差別意識はないという上で「アイヌ民族はいない」と言っています。しかし厄介なのは、ご存知のように2014年8月11日に札幌の金子快之市議(当時)がツイッターでこうつぶやいた。「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」。それに対して質問も殺到したのですが、金子市議はその後「アイヌは自己申告制ですからね」、「私も選挙に落ちたら、○○○になろうかな」など(○○○とはアイヌのことですよね)、先の発言を撤回するどころか、むしろさらにエスカレートさせました。差別的発言だとして市議会からは辞職勧告がありましたが、その後も自ら辞職はしませんでした。同時に彼を応援するということで北海道議会の小野寺まさる議員(当時)も「アイヌが先住民族かどうかは非常に疑念がある。グレーのまま政策が進んでいることに危機感を持っている」と発言しています。今非常に問題なのは、ツイッターなどでアイヌに関するいろんな言葉が飛び交っているのですが、その中には明らかなデマ、たとえば「アイヌは利権を得るためになりすましている」といった話までがあちこちで語られています。「ザイヌ」という言葉、ご存知ですか?
小林  なんだそれ?
香山  在日アイヌ? 在日朝鮮人・韓国人がアイヌになりすましているということらしいです(苦笑)。ほかにも「アイヌはみんな不正を働いている」とか、「とんでもないお金をもらっているんじゃないか」といった言葉が飛び交っています。 2014年11月には、ヘイトスピーチデモがアイヌにも矛先を向けた。アイヌを自認する人に対してもツイッターで「お前もなりすましているんだろう」とか「おいしい思いしやがって」「税金泥棒」「帰れ」といった言葉が投げつけられています。ヘイトスピーチがアイヌに対しても攻撃を拡大している。そういった人たちが拠り所にしているのが、小林さんなんです。
小林  なんでわしが(笑)。
香山
 ご本人にそのつもりはなくても、いわゆる小林チルドレン、小林グランドチルドレンといったような人たちがあふれ返っています。「従軍慰安婦」や在日朝鮮人などの問題と同じように、日本の誇りを傷つけている原因がここにあるんじゃないか、あるいは特権を享受して不正を働いている、その資格もない人までがなりすましているといったような特権妄想ですね。そうした排外主義の対象がアイヌになっているといった印象です。そうした現状を鑑みると、私としては小林さんには、「アイヌは民族である」そして「先住民族である」ということを認めていただかない限り、今日は帰れません。
小林  ムチャクチャなこと言うなあ(笑)。
香山  私は今日、それを認めていただくために来ました。そうしないとこの騒動は収まらない。
小林  どういう話の回路なわけ?(笑)
香山
 逆に聞きたいのですが、なぜアイヌが民族であると問題なのですか? もちろん日本国民であるという前提で、なおかつアイヌ民族であり、先住民族であるということで、何の不都合があるのでしょうか?
小林  わしも元々はアイヌ民族っているかと思ってたのよ。で、アイヌ協会(元ウタリ協会。2009年に名称変更)にインタビューの依頼をしたのよ。「誇りあるアイヌ」っていうタイトルにするつもりだから話を聞かせてくれと。
香山  小林さんがアイヌに関心をもったきっかけは、2008年の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議」ですよね。
小林  それよりもっと前に、中曽根康弘が「日本は単一民族だ」と発言して、非難を受けて発言を撤回させられている。だから多民族国家なのかなあと思っていた。 アイヌだという人たちがいるんだったらその生活を見ておくべきだし、知っておかなければならないと、わしは思ったのよ。それでアイヌ協会に取材を依頼したんだけど……。
 『わしズム』、『日本のタブー』で描いたアイヌ
香山  ちょっと確認したいのですが、『わしズム』や『日本のタブー』によると、国会決議を受けて、「これは特権が発生するのでは」と思って北海道に行ったと書かれているのですが。
小林  そういう順番で書いてた?
香山  そうですよ。国会で満場一致で議決された。そこで「特権が発生するのだろうか」と疑問をもって調べるようになり、北海道に行った、となっています。
小林  漫画は取材の後に書いているからそう書いたのかもしれないけれど、最初の時点では特権のことなんてわからなかったよね。でも、国会決議をさせるということは、「(アイヌ民族は)いる」と言うことによって、それなりのお金が出されるわけでしょ? 何かの予算をつけるという話になるんだろうな、と。
香山  「いる」というか、これは「先住民族である」ということを認めたわけですけどね。それはさておき、国会決議に対して、どちらかというと否定的に疑問を持たれたということですね?
小林  それは思うね。
香山  どうしてそう思われたんですか?
小林  国会議員が、アイヌっているのかいないのか、知ってるはずがない。明確にそれを論理で説明できる人間がいるわけがない。だから偽善だということはわかった。
香山  でも国会決議の前年に、国連で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が出されましたよね。だから国会議員も何も知らないわけではないと思いますが、でも小林さんとしては、ちょっとにおったわけですね?
小林  におったね。何かおかしい、偽善っぽいなと思った。ただ、それでもアイヌ民族がいるならば「誇りあるアイヌ」として、国民の中で容認していく方法を考えようと思って、アイヌ協会に取材を依頼したんだけど。で、事前に向こうから渡されたテキストも読んで「さあ」という時に、向こうから断ってきたんですよ。「小林よしのりに対する不信のため」という理由で、取材を受けないと。
香山  私はアイヌ協会の回し者でも何でもないですが、ひとつ私が思うのは、『ゴーマニズム宣言』や『戦争論』などを出された小林さんが、もし私が勤めている精神科の病院に取材に来たいとおっしゃったとしますよね。 そしたら、ちょっと私は警戒すると思うんです。今度は何か精神病に関する不正があるとか書こうとしているんじゃないかな、とか。小林さんだけでなく、これまでも先住民族のことを熱心に研究されてきた方も一緒に来るということであれば、「まあどうぞ」となったかもしれないですが。
小林  アイヌ協会というのは公的な機関でしょ。わしに対して何か疑問があったとしても、わしを説得しなきゃだめなんじゃないの?
香山  もちろん取材を受けた方が良かったとは思うけれど、小林さんを警戒した、及び腰になった気持ちは、わからなくもないです。
小林  だったらもう、わしがどのような発言をしようと、後で抗議して潰すということもできないよね。あるいは本を出した時点でも、反論はできたはずだよね。
香山  それは自分も反省しています。今こうやって言うんだったらその時に反論していればって。
小林
 だからね、経緯をまとめるとこういうこと。わしのスタッフの時浦君は北海道出身だけど「アイヌの人に会ったことがあるか」と訊いたら全然ないという。会ったこともない、見たこともない、何も知らないのに、国会決議までされている。これは何なんだ、だったらわしが北海道に行って取材しよう、その結果を漫画に描こうとなるわけだよね。ところが先方が取材を拒否したために「これはヤバいことがあるのか」と、当然こっちも猜疑心がわいてしまう。で、実際に北海道に行った。アイヌの血が混じっているという人にも会った。でも実際には、誰もアイヌ語はしゃべれない。アイヌ語でものを考えているわけでもない。親のどちらかがアイヌ系であるというだけ。それも、ハーフやクオーターどころではない。もっと血は薄まっていると。まあそれはそうだよな。アイヌの絶対数が少ないんだから、アイヌという民族が純血で保てるわけがない。和人との混血を重ねていけば、もう何百分の一しかアイヌの血は残らない。それでもアイヌ民族だと言い張る。これは一体何なんだろうと思ったわけですよ。アイヌ民族っていうのは何なんだろうと。「ない」と結論せざるをえない。
 「民族とは何か」というそもそもの問題
香山
 経緯はわかりましたが、これはそもそも、「民族とはなにか」という話になっていくと思うんです。
小林  うん、そうだね。
香山  小林さんは民族というものを、ご著書に描かれているような、髭をたくわえて昔ながらの真正さとでも言うのかな、昔から変わらぬ姿でずっと暮らしている、すごく確立された共同体で、言葉もアイヌ語だけというようなものだけを民族と定義されていると思うのですが。
小林  わしはそもそも民族主義というものが嫌いなのね。それを言い始めたら「わしは熊襲じゃない?」とか「いや、隼人じゃない?」「朝鮮系かもしれない」とかキリがない。でもそれは今、全部和人に包摂されているわけでしょ? 何で括るかといったら「国民」しかないのよ。それなのに「自分は和人ではない、アイヌ民族だ」と言うからには、何をもってそう言うのか? もはや姿も違う、風習も違う、アイヌ語もしゃべれないのに。
香山
 佐藤知己氏の論文「アイヌ語の現状と復興」には、「アイヌ語話者の正確な人数を知ることは極めて困難である」とあります。なぜ出てこないかというと、差別されるから隠している方が多いんです。
小林  あなた、アイヌ語をしゃべれる人に会ったことあるの?
香山  ありますよ。
小林  アイヌ語でしゃべってたの?
香山  日常会話はアイヌ語ではしないですよ。でもバイリンガルというか、アイヌ語も話せるという人です。秘伝じゃないですけど、ずっとアイヌ語を大事にしてきたという方はいますよ。
小林  「います」って、それをちゃんと証明してもらわなきゃ困るわけよ。じゃあ、知里真志保って人知ってる?
香山  もちろん知ってますよ。
小林   天才的な言語学者ですよ、アイヌ系のね。彼が1930年代にすでに「アイヌはいない」と言ってるよね。
香山
 「いない」ではなく「アイヌ系日本人」ですが、知里真志保がどういう文脈でそれを発したかを考えていただきたいんです。私は知里真志保さんの他の文章や、古いNHKの番組でそうした発言をされている映像を見せてもらったことがあるんです。 当時アイヌは非常に差別されていました。アイヌの生活や文化を向上させたい、アイヌだから劣等だということを否定したい――そういう趣旨だったと思います。歌人の違星北斗もまさにそうで、書簡などを研究している人によると、「アイヌだから」とけなされたりすることに対抗して「同化しかない」「アイヌはいない」などと言っている。いわば地位向上のためのニュアンスであって、単純に「アイヌなんてもういないんですよ」という感じとはずいぶん違うと思うのですが。
小林
 いや、それは違うんじゃない? 知里真志保が『アイヌ民譚集』の中で書いた文章を読むと、全くそのようには書かれてないよ。「生活の凡ゆる部門に亘つて、『コタンの生活』は完全に滅びたと云つてよい。四十歳以下の男女は勿論のこと、五十歳以上の男子と雖も、詩曲・聖伝の如き古文辞を伝へ得る者は殆ど無い。纔かに残つてゐる数人の老媼たちですら、今では全く日本化してしまつて、其の或者は七十歳を過ぎて十呂盤を弾き、帳面を附け、或者はモダン婆の綽名で呼ばれる程にモダン化し、或婆さんは英語すらも読み書くほどの物凄さである」。こう書いてあるのね。あなたね、歴史のことを考える時には第一次史料、第二次史料、第三次史料っていう形で、ちゃんと紐解かなきゃいけないの。
香山
 もちろんそうですよ。
小林
 あなたが言ってるのは一次史料でもない、二次史料でもない。単なる噂話を言ってるだけ。
香山  私だって元の史料を読みましたよ。当たり前じゃないですか。 私が言いたいのはその背景に、差別に対して、あるいは自分たちの生活水準が低いことに対するひとつのレジスタンスがあるのではないかということです。
小林  勝手に解釈したわけね。
香山  勝手にじゃないですよ。知里は、「過去のアイヌ」は本来のアイヌ文化を背負っていたのに、「現在のアイヌ」には「侮蔑と屈辱」がつきまとっている、と言い、差別に警告を発しています。 民族かどうかの認定を何によって行うか。
小林  差別は実際、ずっとあったんだよ。けれども民族の話は別でしょ。クオーターからさらに何分の一、何分の一ってなっていったときに、民族って成立する?
香山
 民族の学術的な考え方は、そういうふうに血が何割入っているというような考え方をすると複雑になるし危険なので、客観的な判定と、本人の帰属意識という主観的な判定と、双方を見るということです。
小林 自分がアイヌと言ったらアイヌなら、わしもアイヌということになってしまう。
香山
 それは違います。極端な政治学者なんかは、主観的な帰属意識だけでよいと言っている人もいます。しかしそれではあまりにも曖昧なので、客観性と主観性両方で判定するんです。
小林  じゃあ客観性って何なの?
香山  アイヌ協会に自己申告して認められるのもそのひとつですよね。
 何だそれ! アイヌ協会がポンと判を押して「アイヌだ」と言ったらアイヌなの?
香山  違います。最後まで聞いてくださいよ。アイヌ協会の定款によると、本人の入会申込書をもとに理事会での決議で決まります。戸籍を含めての審査と聞いています。主観性と客観性ですね。この両方で判定します。
小林
 戸籍が客観性なのね?
香山  それしかないですからね、今のところ。昔は、彼らのネットワークがありますので、そういう噂なんかも判断材料にしたこともあったようです。「あの人は違うよ」とか「あの人は確かにこの集落にいた」とかですね。それも参考にしつつ、ということです。「誰もあの人知らないよ」というような場合は認めない。
小林
 戸籍が客観性だというのはきわめておかしいですよ。戸籍を遡っていくとなったら、わしだって隼人かもしれない。
香山
 ご存知のようにアイヌの場合は「旧土人」と戸籍に記されていたわけです。
小林
 じゃあ客観性というのは戸籍であったり、「あの人あの辺に住んでいたよ」とか、「あの人アイヌ系だよ」といった噂とか、その程度っていうわけだな。あと自分がアイヌだと言えばアイヌになると。
香山  アイヌ協会の会員になるということです。アイヌ協会の会員になるということとアイヌであることは必ずしもイコールではないと思いますよ。協会員じゃなくても自分はアイヌ民族だと思ってる人もいると思います。
小林
 うん、協会員じゃなくてもアイヌ系だと思ってる人はいるよ。
香山  それはアイヌ民族ではないんですか?
小林  民族じゃないね。砂澤陣っていうわしの知り合いがいる。砂澤ビッキというアイヌの美術家の息子なんだけど、彼は自分のことをアイヌ民族だとは言わない。
香山 
 でもそれはアイヌの人たちの総意ではないですよね? アイヌ民族だというアイデンティティを持っている人に、私は会ったことがありますよ。「言えない」とか「これは誰にも言ってない」という方もいます。
小林
 なんでそこで、血が100分の1になろうと自分はアイヌ民族だと言い張るの?
香山
 それはアイデンティティなんだから、こちらが決めることではないんじゃないですか?
小林
 自分が決めればいいというだけの話?
香山  主観的な帰属意識を大事にしようというのが、民族というものに対する今の世界的な定義ですね。
小林
 そんな主観的な話で日本は多民族国家だとか言ったって、どうにもならないよね? もう同化していてアイヌの血が100分の1になっていても、まだアイヌ民族だというアイデンティティを維持したいと思う人間の心理って何なんだろう。そこが問題だよ。
(以下、興味ある人はブックレット『対決対談!「アイヌ論争」とヘイトスピーチ』をご覧下さい)

 2014.11.13、「アイヌは日本国民である」。
 アイヌ語でモノを考え、アイヌ語で会話する人たちはいない。日本語で思考し、日本語で会話しているのに、自分を「アイヌ」だとアイデンティファイしている人ならいる。 だが血脈を辿っても、和人との混血が進みすぎていて、純粋アイヌ人はいない。 果たして「アイヌ民族」というほどの集団がいるのか? この問いに、香山リカ、中島岳志は答えなさい。 これは在特会のような「既得権益バッシング」ではない。 「アイヌは出て行け」とか「アイヌは死ね」とか、差別しているわけでもない。 「今もアイヌ民族がいる」と思い込んで、応援しようとしていたわしが、実態を調べ、学術的に勉強し、自分で考えた上での結論である。国連が認めたとか、自民党が認めたとかは関係ない。真実にしか興味がない。この件で、運動する気もない。アイヌを自称したい者たちは、勝手にアイヌと主張しながら、今後も和人と混血していればよい。和人と混血するしかないのだから。アイヌと自称する人たちは、日本国民である。わしは日本民族という言葉を、便利だから使う時はあるが、民族主義者ではないので、「国民」という言葉を主として使うことにしている。言論・思想を封じるのではなく、思想し続けたいわしに対して、香山リカと中島岳志は答えよ! 「わしズム」でアイヌの特集をしている。 左翼の反応は知っているが、今のところ全く納得していない。わしは納得すれば考えを変えることが出来る。思想を止めた者は人間ではないと思っているから。






(私論.私見)