安倍政権の組閣人事

 (最新見直し2006.11.23日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 

 2006.11.29日再編集 れんだいこ拝


【安倍政権の組閣人事】
 2006.9.26日、自民党総裁に選出されていた安倍晋三が衆参両院の多数を得て首相に選出され、直ちに組閣に着手し安倍政権が誕生した。布陣は次の通りとなった。

総理 安倍晋三 森派
官房 塩崎恭久 丹羽・古賀派
拉致 塩崎恭久 丹羽・古賀派
幹事長 中川秀直 森派
幹事長代理 石原伸晃 森派
総務会長 丹羽雄哉 丹羽・古賀派
政務調査会長 中川昭一 伊吹派
国会対策委員長 二階俊博 二階派
総務 菅義偉 丹羽・古賀派
郵政民営化 菅義偉 丹羽・古賀派
法務 長勢甚遠 森派
外務 麻生太郎 河野グループ
財務 尾身幸次 森派
文部科学 伊吹文明 伊吹派
厚生労働 柳沢伯夫 丹羽・古賀派
農林水産 松岡利勝 伊吹派
経済産業 甘利明 山崎派
国土交通 冬柴鉄三 公明党
環境 若林正俊 森派
国家公安 溝手顕正 丹羽・古賀派
防衛 久間章生 津島派
沖縄・北方 高市早苗 森派
金融・再チャレンジ 山本有二 高村派
経済財政 大田弘子 民間
行政改革 佐田玄一郎 津島派

【安倍政権組閣人事考】
 この政権を論評するのはやや早いが、早速手掛けた人事と所信表明についてコメントしておく。森田実・氏は、「森田実の言わねばならぬ」の「日本の危機はつづく――嘘をつきつづけた小泉(前)首相の退陣と極右安倍新首相の登場。露骨な純化路線人事」で、「党・内閣人事は露骨な論功行賞とマスコミからいわれるほどのオソマツ人事である」と記している。

 官房長官・塩崎恭久については未知数である。

 幹事長・中川秀直となるとコメントせざるを得ない。総理総裁と幹事長を同一派閥からは出さないというしきたりを破った小泉流人事を踏襲していることが分かる。これは、小泉流を引き継ぐという内外へのメッセージであろう。衆院広島4区選出で当選9回。自民党森派の重鎮で森内閣で官房長官を務め、小泉内閣で自民党国会対策委員長に就任、その後政調会長に転じていた。安倍新総裁の下でも司令塔的役割を果たすとみられる。

 総務会長・丹羽雄哉については未知数である。但し、総裁選での論功報償との見方がなされている。むしろ、第二派閥津島派の当て馬として登用された気配がある。これも、旧田中ー竹下ー橋本派の流れを徹底的に弾圧するという小泉流を踏襲するという内外へのメッセージであろう。
衆院茨城6区選出で当選10回。旧宮沢派から分かれた丹羽・古賀派の共同代表の1人で社会保障政策に精通している。同派は小泉内閣では厚遇されてこなかったが、今回の総裁選では安倍氏支持を打ち出した。その論功行賞的起用となった。

 政務調査会長・中川昭一(前農林水産大臣)については、これが唯一の安倍流人事らしさであろう。よほどウマが合うのだろう。思えば、エビジョンイル失脚事件を仕掛けた盟友であり、今後もこの盟友関係が続いていくと思われる。衆院北海道11区選出で当選8回、伊吹派。故中川一郎・元農水相の長男で早くから要職につき、小泉内閣では経済産業相、農水相を歴任し、重用されていた。

 幹事長代理・石原伸晃となると、この人事が如何に不真面目にされているかが判明する。国交相大臣の際のアホさ加減は満天下に晒したばかりであろうに。衆院東京8区選出で当選6回。石原慎太郎東京都知事の長男で、小泉内閣では国土交通相を務めた。安倍総裁とは当選回数が少ないころから政策研究などの面で親しく、塩崎恭久外務副大臣らとともに安倍新体制の重要なポストに抜てきされた。

 国会対策委員長・二階俊博(前経済産業大臣)となると、小沢民主党対策であろう。議院運営委員長・逢沢一郎となると、機を見て敏な習性が評価され、小間使いとして重宝されたのだろう。二階氏は、衆院和歌山3区、当選8回。旧新進党時代は小沢民主党代表の側近で、小沢氏の戦略・戦術のあり方を熟知しており、民主党との激突が予想される臨時国会や来年の予算審議がメーンの通常国会での活躍が期待されたとみられる。

 弁護士紀藤正樹氏は、「祝電事件、これでは統一協会問題を放置したのは、自民党ではないか!」、「総理安倍晋三様 これでは統一協会=統一教会擁護内閣ではないか!」で、「安倍氏と自民幹事長の中川秀直氏は、統一協会祝電コンビ、法務大臣の長勢甚遠氏を入れれば、祝電トリオ」と記している。

 次に、大臣の顔ぶれを見る。先の総裁選を争った麻生太郎の外相は良いとして、谷垣を排除したのは幼稚感情丸出しであることが判明する。要するに、その昔の「角栄ー大平同盟」系譜の徹底イジメであることが判明する。津島派のただ独りの大臣となった久間章生を防衛庁長官に据えたのも、DNAハト派をしてタカ派政策に当らせるという策略であろう。

 後の大臣はどれも良く分からない。分かっているのは、オール利権派シオニスタンということである。今や利権派シオニスタンが国会に巣食ってしまい、本来の意味での議会制民主主義の良さはない。誰がシナリオを書いたのかそこに興味がある。安倍ならではの権限で登用できた者が何人いるのだろうか。

 こたびの組閣について、立花隆があてこすりにもならないのんびり評論しているようであるが、今日の事態の笛吹童子が何をバ云うか。その点、森田実の方が「嘘をつきつづけた小泉(前)首相の退陣と極右安倍新首相の登場。露骨な純化路線人事」と要所を衝いている。「党・内閣人事は露骨な論功行賞とマスコミからいわれるほどのオソマツ人事である。自公連立政権は自滅に向かって進み始めた」と断定している。

 「退陣した小泉首相は、第二次大戦後の、最低・最悪の首相だった」とも評している。「安倍新内閣は、この小泉前内閣の政策を継承する」と警鐘した上で、次のように指摘している。
 「検察・警察の力が強まり、にらまれたら最後、容赦なく逮捕され起訴されてしまう。これにマスコミが加わり、強大な権力が完成している。日本においては三権分立はない。三権一体だ。これに「第四権力」といわれてきたマスコミが加わっている。マスコミはもはや「第一権力」といわれるほど強大な権力となった」。
 「安倍新内閣は、この小泉路線を継承する。より純化させる方向へ進もうとしている。安倍新内閣の人事は『小泉在庫一部処理内閣』といいうるほどの小泉路線継承内閣である」。




(私論.私見)