極東条項考

 日米安保条約第6条は、在日米軍の駐留目的について次のように記している。
 日本の安全に寄与し、極東に於ける国際の平和と安全の維持に寄与するため、米国はその陸軍・空軍・海軍が日本に於いて施設・区域を使用されることを許される。

 この極東の範囲に関して、1960年の政府統一見解は、「フィリピン以北、日本及びその周辺地域で、韓国、台湾地域を含む」と既定した。但し、但し書きで、「この区域の安全が周辺地域で起った事情のため脅威されるような場合、米国がとることのある行動の範囲は、必ずしも前記の区域に局限される訳ではない」と付記している。つまり、在日米軍の行動は、必ずしも極東地域に限定されないとの認識を示している。

 1996年の日米安保共同宣言では、「日米安保条約を基礎とする両国間の安全保障面の関係が、アジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続ける」と明記。つまり、日米安保体制をアジア太平洋地域の安定装置と位置づけ、極東条項の制約のある日米安保条約から更に歩を進めた。

 極東条項の周辺の範囲の特定について、小渕恵三首相は次のように述べている。「中東とかインド洋とか、ましてや地球の裏側は考えられない」。






(私論.私見)