「ユーチューブ&グーグルのJASRAC著作権包括利用許諾契約」考

 (最新見直し2008.10.24日)

【ユーチューブとJASRACが楽曲利用で合意】

 2008.10.23日、動画投稿サイト「ユーチューブ」(YouTube)を傘下に持つ米グーグルは、日本音楽著作権協会(JASRAC、東京都渋谷区)と、音楽著作権に関する包括利用許諾契約を結んだと発表した。JASRACとは昨年2月から交渉を進めていた。ユーチューブには、著作権者の許可を得ないまま、有名歌手やミュージシャンらの楽曲を演奏したり、歌ったりする様子を録画した映像が投稿されており、問題視されていた。括利用許諾契約を結ぶ著作権団体としては、国内3位のジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)、2位のイー・ライセンス(e-License)に続いて3番目の契約となった。包括契約を結んだ理由について、ユーチューブ日本版の広報担当者は、「利用者が著作権を気にせず、自由に投稿できるようになる。ユーチューブの利用者が増えれば、広告収入の増加が見込める」と説明している。

 JASRACは約700万曲を管理する国内最大の著作権管理団体。今回の契約で、JASRACの管理楽曲を持つレコード会社がPR用にユーチューブ上で楽曲を流したり、視聴者が自ら楽曲を演奏した様子を撮影した動画を投稿できるようになる。但し、CD音源やプロモーションビデオをそのままアップロードすることはできない。グーグルは今後、楽曲が利用された場合、一定の金額を著作権料として一括してJASRAC側に支払う。


 2008.4月、「ニコニコ動画」(「ニコ動」)を運営するニワンゴが、JASRACと同様の契約を結んだことを発表しており、ユーチューブの対応が注目されていた。ニワンゴは「ニコ動」収入の1,875%をJASRACに支払う契約だが、今回のユーチューブが結んだ契約については、グーグル日本法人は、詳細については明らかにしていない。

 但し、テレビの音楽番組や音楽DVD、CDは、テレビ局やレコード会社も著作権などを保有している。そのため、テレビ局やレコード会社の許諾を得ずに音楽番組などを投稿すれば著作権法違反になる。


2007.2.6日、ユーチューブが「違法投稿禁止呼びかけを日本語で表示」を約束
 「ユーチューブ、違法投稿の禁止呼びかけを日本語で表示へ」を参照する。

 2007.2.6日、日本音楽著作権協会(JASRAC)やNHKなど著作物を管理する日本の23団体・事業者は、来日中の米ユーチューブのチャド・ハーレーCEO(最高経営責任者)らと会談し、ユーチューブのサイトに日本のテレビ番組などが投稿されている問題について協議した。

 ユーチューブ側は、利用者がファイルを投稿する際、「違法なコンテンツをアップロードしないよう」にと画面に日本語で表示することを約束した。さらに親会社の米グーグルの協力を得て、著作権に侵害しているファイルを投稿できない技術を開発することも表明した。但し、技術が完成する具体的な時期などの明示がなく、当面は従来通りにユーチューブのサイト上で違法コンテンツを発見次第、JASRACなどが削除要請を行うことになる。

 日本民間放送連盟の植井理行氏は、会見で、「100%満足する結果が得られたわけではないが、協議できたことに意義がある。ユーチューブ側がどう継続的に検討して、新たな提案、説明をしてくれるのか期待したい」と述べた。

 ユーチューブのサイトには、日本からテレビ番組の映像や音楽などが無断で多数投稿されている。ユーチューブは昨年10月、23団体・事業者の要請に応じ、著作権を侵害している約3万件のファイルを削除した。2006.12月、23団体・事業者は、著作権侵害のファイル投稿を事前に防ぐ手段を講じるよう、ユーチューブに文書で要請していた。





(私論.私見)