エイベックスがジャスラック(JASRAC)から離脱考

 更新日/2017(平成29).6.24日

 2015年10月19日、「著作権独占が崩壊か エイベックスがジャスラック(JASRAC)から離脱」。
 JASRACは不透明な部分があり、独占の弊害が指摘されている。日本の音楽著作権管理を独占しているジャスラックから、大手レコード会社のエイベックスが離脱すると報道されています。ジャスラックは音楽価格を高値で維持して高い印税を払っていた一方で、競争が働かず停滞させたとも指摘されています。

 音楽業界の異常な慣習

 ジャスラック(JASRAC)は著作権者に代わって事務手続きを行い、ミュージシャンなどの負担を軽減する役割りだった。しかし今では「唯一の支配者」として著作権者や消費者、レコード会社より上位に君臨し、好き勝手に振舞っています。著作権者はそれぞれの音楽家などの筈だが、まるでジャスラック自身が権力者のように振る舞い、トラブルに発展している場合もある。そのジャスラックからエイベックスが離脱すると報じられ、支配体制が崩壊するかも知れないと言われています。エイベックス・グループ・ホールディングスがジャスラックに任せていた著作権は約10万曲にも及んでいて、大きな打撃を受けるとされている。エイベックスは1988年設立のレコード輸入会社だったが、ディスコブームや小室ファミリーが大ヒットし、日本最大のレコード会社に成長しました。ジャスラックから見てエイベックスは大きな得意先だった筈だが、これを逆さにして見ると、エイベックスが得るべき利益をジャスラックに食われていた事になります。エイベックスは独自の著作権管理会社を立ち上げて、レコード会社や放送局から徴収する使用料などの獲得を目指している。著作権管理会社はジャスラックだけが巨大で他は小さな団体だけであり、競争が働かない典型的な悪い業界になっていました。例えば音楽家が著作権管理を依頼するにはジャスラック以外の選択肢が無く、望まない条件でも飲まざるを得ませんでした。先ほど書いた小室ファミリーの小室哲哉は、1990年代に大ヒットを連発し、多額の資産を築いたと思われていました。だが2006年に著作権詐欺事件を起こした時分かったのは、小室自身は著作権を持っておらず「無一文」という事実でした。彼は著作権を管理会社に譲渡して印税だけを受け取っていて、過去に稼いだ分は投資で失敗して無くしたと言われています。小室が著作権を譲渡したのはエイベックスだったが、本来の権利者に不利な条件を押し付けるのが、日本の慣習になっている。音楽家が著作権の譲渡を拒否すると、脅迫紛いの行為をされたり、音楽活動の妨害をされる事もある、という噂を聞く事があります。

 著作権管理会社の傍若無人

 CDなどの音楽商品の売上、カラオケで歌った売上の一部に音楽使用料金が発生し、著作権管理会社に支払われます。レコード会社や放送局、カラオケ店、飲食店などの全ての音楽売上の著作権を管理し、国内の著作権市場を独占しています。CD売上の6%、放送の1.5%の金額が著作権管理会社に入り、管理会社から音楽家などに支払われています。ジャスラックが著作権市場を独占した結果、レコード会社、配信会社、放送局、カラオケ企業などは不利な条件を飲まされていると言われている。そのコストは結局消費者が支払っているわけで、「日本のCDなどの値段が高すぎる」とされた最大の原因にもなっていました。
日本のCDや音楽配信の値段は、外国に比べて2倍から5倍にもなっていますが、販売店が値下げしたくても、管理会社の条件を飲まないと販売出来ない。エイベックスの管理会社はエイベックス・ミュージック・パブリッシング(AMP)といい、全ての著作権管理をここに一元化するようです。エイベックスのAMP自身は著作権管理をしないので、ジャスラック以外の著作権管理会社に委託する。管理会社はやはりエイベックス傘下のイーライセンス(東京・渋谷)に委託すると見られています。浜崎あゆみ、EXILE(エグザイル)、安室奈美恵などエイベックスの人気ミュージシャン多数が含まれているので、影響は大きい。他のレコード会社もエイベックスに倣ってジャスラックから離脱する可能性は高く、離脱を食い止めるために好条件を提示する可能性もある。CDの著作権管理手数料が、イーライセンスは5%でジャスラックの6%より安いので、比較するとジャスラックは不利になります。ジャスラックが管理している楽曲は300万曲なので、エイベックスの10万曲が抜けても圧倒的な支配力は維持しています。だがその支配力を巡ってジャスラックは音楽ファンを敵に回したり、トラブルを起こしている場合がある。小さなコンサートや店舗で流す曲の使用料金を一方的に吊り上げたり、商業利用でない使用でも支払い不可能な金額を要求するとも言われている。著作権管理会社が圧倒的に強大な力を持って、音楽家や消費者を支配している日本の音楽業界が、少しは変わっていくのだろうか。

 2017年06月23日、「JASRACのバックは文部省 あらゆる組織は腐敗する」。
   文部省(文化庁)は利権の見返りにJASRACの申請を必ず認めている政府がついているのでこれだけ居丈高になれる。

 あらゆる権力は腐敗する

 JASRACは日本の音楽著作権団体で他を圧倒する9割超のシェアを持っていて、独占禁止法も無視して強大な権力を行使している。人は金儲けや悪い事には敏感だが、一見「良い事」だと特定の勢力の独占を気に掛けない。例えばユニセフという組織は世界の募金ビジネスを独占しているが、「良い事」なので多くの人は気にしない。 世界の募金利権を一手に独占して配分や報酬で巨額の金が動いているが、「良い事」だから使い道や報酬すら誰も気にしない。音楽著作権団体も「良い事」をしているように見えたので、誰も気にしなかったが、いつの間にか音楽の支配者になっている。「全ての権力は等しく腐敗する」と言ったのはマルクスだった気がするが、どんなに「良い組織」であっても青年が中年になる頃には腐敗します。WHO世界保健機関という国連組織があり、事務局長や総長が製薬会社から賄賂をもらって効果が無い薬を加盟国に売り込んでいると言う噂が絶えない。例の子宮頸がんワクチンも、効果が不明なまま国連が世界に売りつけた薬で、ただの噂ではなく事実だと思います。一方でWHOはアフリカの伝染病を撲滅するなど「良い事」もしているので、WHOを批判するのはタブーになっている。JASRACをこのように強大にしたのは文部省と文化庁だと言われていて、表向きの目的は音楽の振興だが、本当の目的はJASRACに集金される巨額収入だと思われる。

 JASRACと文部省

 JASRACを監督しているのは文化庁で、文化庁は文部科学省に所属していて、監督や許認可権を握っています。銀行が金融庁や財務省から利権を得るのと同じく、JASRACは文化庁・文部省と深く癒着している。JASRACの前身は大日本音楽著作権協会といい、内務省が主導して創設した著作権管理団体だった。内務省が廃止されて文化庁(文部省)に権限が移り、名前をJASRACに変えて民間組織のように活動している。内務省がJASRACを創設したきっかけは、悪質な著作権管理団体がコンサートや音楽利用に法外な料金を請求し、社会問題になったからだった。1931年(昭和6年)にドイツ人のプラーゲが、音楽著作権を請求するビジネスを思いつき、日本で著作権管理団体を設立した。欧州の著作権管理団体の代理人という触れ込みだが、当時は国際電話も飛行機もないので、本当に権利を持って居たのか確認する手段がなかった。プラーゲはNHKに月額1,500円の音楽利用料を請求し、日本政府はNHKを守るために、著作権管理団体はほぼJASRACのみとしプラーゲを排除した。当時のサラリーマン年収が700円台なので、月額1,500円は現代の月額900万円、年間1億800万円に相当します。比較すると悪質とされたプラーゲのほうが、現代のジャスラックよりよほど「良心的」であり、JASRACは排除すべき悪質組織という事になります。因みにJASRAC、NHK、電通、共同通信、JR、JRAはどれも、戦前に日本軍や日本帝国が戦争遂行のために1社独占とした国策企業が起源です。これらのどれもが中央省庁の官僚と利権で結びついていると言われ、規制で新規参入者を排除してもらっている。





(私論.私見)