32438 | シュティルナー |
「唯一者とその所有」
フォイエルバッハ批判
「人間は人間にとって神なりという。しかし、これでは述語と主語が入れ替わっただけで、有体の諸個人とは別の「人間の本質」なるものが「神」の座にすげかえられたに過ぎぬ。かって神の述語であった「全能」「愛」「世界の創造者」等々が、今や「人間」の述語とされ、人間こそ全能者なり、人間こそ化成して自然になるもの=世界の創造者なり、とされる。有体の諸個人は、依然、人間の本質とやらに拝跪させられる。シュティルナーは、これを批判し、我々は身体髪膚を具え、飲み且つ食わねばならぬ個人としての個人に定位せねばならぬ、-と主張する。
エンゲルス言う。概要「シュティルナーは、フォイエルバッハの『人間』を退ける点で、正しい。『人間』は確かにまだ神学的な後光を背負っている。僕らは、経験的な、身体を具えた個人から出発しなければならない。僕らは、普遍を個別から導出しなければならないのであって、それ自身から、ヘーゲル式にルフト(宙空)から導出してはならない。手短に言えば、僕らは経験論・唯物論から出発しなければならない」。