2005.9.11総選挙の選挙結果の総評

 (最新見直し2005.10.29日)

Re:れんだいこのカンテラ時評その98 れんだいこ 2005/09/12
 【2005.9.11選挙戦について】

 2005.9.11総選挙が終わった。れんだいこの事前予想は全く外れ、各新聞社の予想が正確ということになった。穴があったら入りたい、貝になりたいとはこのことだ。れんだいこ予想は、参院での郵政法案否決までは当たったが、小泉総辞職が外れ総選挙突入となり、以来狂いっぱなしになった。思えば、選挙となると選挙制度のリアリズム分析から始めなければならなかったのかも知れない。

 造反ブームに手踊りし、事態の推移を冷静に分析すべきところを情緒で見始めたようだ。造反派出現による政界地殻変動を期待し過ぎたのだろう。それと、無党派層に対するれんだいこの見立てが狂っているのだろう。選挙に行かないのは与党政治に対する間接的ノンの印しと理解していたので、あるいは若いときはとかく批判派になりがちという先入観を持っており、政権与党乗りの無党派層という新たな世代が出現していることに無自覚すぎた。そういう意味で、政治的リアリズムに立ち返らねばならないと自戒させられる結果となった。

 後付け分析によって見えてきたことを記しておく。れんだいこは、小選挙区制の怖さについて改めて教えられた。候補を一本化するという与党自公の戦略戦術こそが理に叶っており、野党が、一人しか当選しないにも拘わらず分立立候補する手法では到底勝てない。互いに足を引っ張り合うだけのことで、これでは永久に勝てないということをまざまざと教えられた。

 最大野党民主党の単独政権構想は有り得ない。社共、造反派を相手せずでは結局こたびのようになる。造反派が二党発生したけれども、互いが連携しないようでは結局こたびのようになる。これは普通に算数で分かる話であった。実際には相乗効果というものがあろうから、与党は一本化でより強化され、野党は乱立でより弱くなるという仕掛けになっている。誰かが高等数学で分析すれば、こういう闘い方では政権移動が有り得ない話だと云うことが証明されよう。道理で、政権与党が気前良く党首討論会に臨み、少数政党にも発言の機会を等しく与えるという鷹揚さの意図も分かった。政権与党に取って、野党各党が互いに分裂的に票を分け合うことほど望ましいことは無い訳だ。

 れんだいこは、小選挙区制が必ずしも悪いとは思わない。小選挙区制になっても、従来の中選挙区制時の頭で対応しようとしている野党各党の対応が悪いと思っている。いつもの定番では有るが、日共批判をしておきたい。同党・志位委員長の「国会共闘はすれども政権共闘、その為の選挙共闘はしない」という戦略戦術ほど政権与党を有利にさせる手法は無い。「本物の野党」なるコマーシャルで選挙区に分け入り、野党間をかき混ぜているが、悪質と断定すべきではなかろうか。自公のように「小選挙区共闘、比例区分かち合い」まで行かなくても、「小選挙区共闘、比例区競合」という戦術がありそうなところ、それに向わない同党指導部の意図はナヘンにありや。

 もっとも、民主党・岡田代表の対応も変調過ぎた。ポーズとしては懸命に闘っているように見受けたが、肝心なところでいつもズッコケていた。最初のズッコケは、参院で郵政民営化法案が否決された時、直ちに内閣不信任決議案をお膳立てしていたところに認められる。あの時点では、内閣総辞職の選択肢も十分に有った訳で、与党内のゴタゴタを引き出すべきだった。あの時、衆院解散をお膳立てする内閣不信任決議案を提出したそのシナリオは誰が作ったのか。

 そういう訳だから、小泉政権が衆院解散を宣言した時も、違憲の動議を出すことさえなかった。むしろ逆に、小泉首相が「自公過半数取れなければ総辞職する」という選挙戦突入の際の責任数値を明らかにしたのに対し、岡田代表も「政権交代できなければ辞任する」と応じ選挙戦ムードを高めていった。違憲的違法解散を問わねばならない時に、この対応は果たして是認し得ることだっただろうか。 

 第二のズッコケは、早々に単独政権論をぶち上げ、刺客騒動に揺れている造反派を見殺しにしたことだった。これは間接的に小泉政権の造反派テロルを追認していたことになろう。本来であれば、互いに提携し、自公戦略戦術の如く「小選挙区共闘、比例区分かち合い」の道があった筈である。そういう機敏な対応をすれば民主党の政権取りブームが生まれる可能性があったところ、その芽を潰した。

 第三のズッコケは、「本物の野党」を歌い文句に、立候補しただけ戦術に固執する日共の場合は止むを得ないとしても、社民党との場合には「小選挙区共闘、比例区分かち合い」の道があった筈である。現に選挙後半戦ではそういう動きが自然発生的に生まれていた。願うらくは、選挙前の協議を持つべきではなかったか。そういう機敏な対応により、民主党の政権取りブームが生まれる可能性があったところ、その芽を潰した。

 第四のズッコケは、これは民主党の党是に関わってくるが、同党が「自衛隊のサモアからの撤退」を力強く打ち出せなかったところに限界が認められるように思われる。小泉政権との際立つ違いは、この争点によってこそ浮き上がるところこれを争点にせず、何やら小難しい「改革本物論争」に引き込まれ、却って訳の分からない争点ボケ現象が生まれてしまった。

 第五のズッコケは、マニュフェストを掲げたものの、郵貯金限度額段階的引き下げ論、年金対策増税論などという、凡そ反発を買うような政策を矢継ぎ早に出すに至っては、何をしているのかといいたくなった。マニュフェスト論争により余計にちまちました論争の道に分け入り、為に小泉首相の郵政民営化一本槍路線、即ち改革を止めるな論への共感の下地を醸成した。

 以上、5つの要因で、民主党・岡田代表はわざとではないかとみなしたくもなるような下手な選挙闘争を繰り広げることになった。そして、結果は、ボーダーライン上の競り負けを相次がせることになった。早々と代表辞任を声明する破目となったが致し方ないと云うべきだろう。

 他にも考察せねばならないことが有る。最近のヤング世代の政治感覚が分からない。れんだいことはよほどずれている。マスメディアの言論大砲的役割ももっと注意されるべきだ。公正な大衆メディアを創出しない限り今後もヤラレ続けるだろう。天木氏の何の功もない小泉選挙区出馬も理解できない。社共系以外の左派系党派の沈黙と傍観も理解できない。

 れんだいこは、よしんば仮に新党を立ち上げるにしても、前途が容易でないことを痛いほど教えられることになった。もはや議会闘争に対する失望を育むべきだろうか。いろんな意味で貴重な示唆の多い選挙結果となった。

 2005.9.12日 れんだいこ拝

【各党獲得議席数】
政党 前議席 新議席 増減 小選挙区 比例区 女性
自民 212 296 +84 219 77 26
公明 34 31 −3 23
与党総計 246 327 +81
民主 177 113 −64 52 61
共産
社民 +2 1
野党総計 191 129 −62
国民新党
新党日本 −2
大地 +1
諸派
無所属 32 18 −14 18
同郵政反対派 30 13 −17 13
合計 477 480

Re:れんだいこのカンテラ時評その103 れんだいこ 2005/09/23
 【首相指名選挙で見えたことー与野党実数考】

 2005.9.21日の首相指名選挙で与野党の実数が判明した。次のような表になる。「2005.9.11総選挙結果」( senkyo_syugiin_result2005co.htm)

衆院 参院 合計
小泉 340 134 474
綿貫
前原 114 84 198
志位 18
福島 13
徳田
無効 2
合計 479 236 715

 これによると、「自公」は「衆院340、参院134、合計474」。これに民主党の前原派を合わせた総計が親シオニズムとみなせられ、先の民主党総裁選での前原票が194のうち96票、管が94票(首相指名選挙では、無所属からの前原票が4票入っている)であったことを踏まえると、自公+民主前原派の親シオニズム勢力は、最小値でも「474+96=570」。

 これに対し、憲法護持派はどうだろう。最大値は、「共産18+社民13+民主管派94+綿貫派9=134」。つまり、「570対134」となり、親シオニズム勢力の議席占有率は、715分の570で約79%。護憲派は715分の134で約18%。憲法改正に必要な3分の2は66%だから、親シオニズム勢力の79%は、必要数値を大きく上回っていることになる。

 なお、民主管派94のうちの半数47が条件付改憲派であるとみなせば、「570+47=617」で議席占有率は実に86%になる。つまり今や、親シオニズム派はやろうと思えば何でもやれる局面を得ていることになる。

 これが、旧社共が善戦総括した2005.9.11総選挙の舞台裏の仕掛けである。日本人民大衆は、失望せよ。怒れ。それを通り越して新たな左派運動を創造せよ。思えば、日本左派運動の決定的な欠陥は、軍師を持たないことにあるのではなかろうか。評論インテリの烏合の衆と云わた通りに動く肉体派の合作でしかなく、闘争につきものの戦略戦術に対してあまりにおぼこなのではなかろうか。

 加えて、れんだいこが指摘しているように、旧社会党も共産党も労組もその上層部は本質体制派で、日共の場合は生粋のスパイ派によって党中央が占拠され続けている。このスパイ派は昔は特高奥の院と気脈通じていたが、今では何と親シオニズムの一員となっている。野坂ー不破理論はその典型である。これについては別途論証していく予定である。

 この貧困を如何にせんか、今それが問われている。軍師を出でよ。その前に少なくとも自律的なメディア空間を立ち上げねばならない。今や多チャンネル時代である。党派及びリベラル市民運動は、一刻も早く自前の放送局を持つ必要があろう。これをさせない規制の網を打ち破れ。ジャーナル精神の灯があるうちに。れんだいこはそう思う。

 朝から昼から晩まで愚民化テレビに漬けられているので、テレビ病者の頭の中がヤラレテシマッテイル。今や、テレビを見ない運動まで視野に入れねばならない。しかし既に習慣化されているのでどこかのチャンネルに合わさねばならない。こうなると、それに足りるチャンネルがいるということになるだろう。早く、よりましな政権さ拵(こしら)えて少しはましなメディアに触れてみたい。

 2005.9.23日 れんだいこ拝

【各党獲得得票数】
政党 小選挙区得票数 比率 前回比率 比例区得票数 比率 前回比率
自民 32.518.203 47.08 43.85 25.848.552 38.17 34.96
公明 981.105 1.44 1.49 8.981.958 13.26 14.78
与党総計
民主 24.804.141 36.44 36.66 21.013.981 31.03 37.39
共産 4.937.223 7.25 8.13 4.912.652 7.25 7.76
社民 995.808 1.46 2.87 3.708.811 5.48 5.12
旧野党総計
国民新党 432.679 0.64 1.182.034 1.75
日本 137.172 0.20 1.638.966 2.42
大地 16.698 0.02 433.938 0.64
諸派 1.557 0.00 2.42
無所属 3.240.256 4.76 4.58
合計 68.064.844 100.00 100.00

【A級造反派(反対派)選挙結果】
ブロック 議員名 所属 選挙区 自民 民主
北海道 山下貴史 × 北海道10区 飯島夕雁 小平忠正
東北 津島恭一 × 国民新党 青森4区 木村太郎 渋谷修
野呂田芳成 秋田2区 小野貴樹 佐々木重人
北関東 小泉龍司 × 埼玉11区 新井悦二 八木昭次
東京 小林興起 × 新党日本 東京10区 小池百合子 鮫島宗明
八代英太 × 東京12区 太田昭宏(公明党) 藤田幸久
南関東 堀内光雄 山梨2区 長崎幸太郎 坂口岳洋
保坂武 山梨3区 小野次郎 後藤斎
北信越 綿貫民輔(78) 国民新党 富山3区 萩山教厳 向井英二
松宮勲 × 福井1区 稲田朋美 笹木竜三
東海 野田聖子 岐阜1区 佐藤ゆかり 柴橋正直
藤井孝男 × 岐阜4区 金子一義 熊谷正慶
古屋圭司 岐阜5区 和仁隆明 阿知波吉信
城内実 × 静岡7区 片山さつき 阿部卓也
青山丘 × 新党日本 愛知7区 鈴木淳司 小林憲司
近畿 小西理 × 滋賀2区 藤井泰宏 田島一成
田中英夫 × 京都4区 中川泰宏 北神圭朗
左藤章 × 大阪2区 川条志嘉 荻原仁
森岡正宏 × 奈良1区 鍵田忠兵衛 馬淵澄夫
滝実 × 新党日本 奈良2区 高市早苗 中村哲治
中国 川上義博 × 鳥取2区 赤沢亮正 山内おさむ
亀井久興 × 国民新党 島根2区 竹下亘 小室寿明
平沼赳夫 岡山3区 阿部俊子 中村徹夫
亀井静香 国民新党 広島6区 堀江貴文 佐藤公治
四国 山口俊一 徳島2区 七条明 高井美穂
九州 自見庄三郎 × 福岡10区 西川京子 城井崇
武田良太 福岡11区 山本幸三 稲富修二
今村雅弘 佐賀2区 土屋千昭 大串博志
保利耕輔 佐賀3区

広津素子

衛藤晟一 × 大分1区 佐藤錬 吉良州司
江藤拓 宮崎2区 上杉光弘 黒木健司
古川禎久 宮崎3区 持水哲志 外山斎
松下忠洋 × 鹿児島3区 宮路和明 野間健
森山裕 鹿児島5区 米正剛

【逆刺客選挙区事情1(2005.8.20日現在)】
石川錬治郎 国民新党 × 秋田1区 元秋田市長。
斎藤勁(つよし) 民主党 × 神奈川11区 小泉純一郎首相
天木直人 無所属 × 神奈川11区 元駐レバノン大使 小泉純一郎首相
宮本一三 新党日本 × 兵庫9区 元衆議院議員

【その他注目面白見どころ選挙区総まとめ】
新潟 比○ 吉田六左エ門
新潟5区 田中真紀子 米山隆一
茨城7区 永岡桂子 比○ 中村喜四郎
東京1区 海江田万里 × 与謝野馨
東京4区 中西一善
神奈川11区 小泉純一郎
京都4区 田中英夫 ×
大阪10区 辻元清美 比○
兵庫6区 木挽司
兵庫8区 室井邦彦 冬柴鉄三
和歌山1区 岸本周平
福岡2区 山崎拓

Re:れんだいこのカンテラ時評その99 れんだいこ 2005/09/15
 【2005第44回衆院選総括】

 2005.9.11日、第44回衆院選が行われた。全国300の小選挙区と11ブロックの比例区(総定数180)で投票が行われ、即日開票された。投票率は67.52%(小選挙区が67.51%、比例代表が67.46%)。前回2003総選の59.86%(小選挙区59.86%、比例代表59.81%)を7.66ポイント上回っており、有権者の関心の高さを裏付けた。1996年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、計4回の衆院選で最高の投票率となった。

 衆院選では3回目となる比例代表選挙だけ投票できる在外投票の投票率は25.84%で、前回の15.93%を9.91ポイント上回った。当日有権者数は1億298万5213人。在外投票有権者数を含めると1億306万7957人だった。

 小選挙区の男女別投票率は、男性が66.80%(前回比7.12ポイント増)、女性が68.18%(同8.15ポイント増)。都道府県別で投票率が最も高かったのは島根の75.81%で、次いで山形、鳥取の順。最低は沖縄の62.35%で、高知、茨城の順。沖縄は台風15号など悪天候の影響もあったとみられる。

 選挙結果の総評は、「政府与党の自公が解散前の246議席から327議席を獲得し、歴史的勝利を収めた」ということになる。300小選挙区の内訳は自民219、民主52、公明8、国民新党2、社民1、無所属18議席、共産党0議席。自民党議席の衆院定数に占める割合は61・7%で、過去2番目に高かった。比例代表では、全国11ブロック合計で自民党は77議席を獲得、比例第一党となった。これに対し民主党は前回の72議席から61議席に後退した。公明は前回議席を確保できず23議席。共産は横ばい、社民はおこぼれの1議席増だった。

 これを各党ごとに分析する。

 自民党は、各地で地滑り的勝利を収め、単独での絶対安定多数(269議席)を上回る296議席を獲得した。目標責任数値としていた自公での独過半数(241議席)どころか、定数の3分の2となる320議席を超える327議席を占めるという空前の大勝利となった。自民党が衆院で単独過半数(241議席)を回復したのは15年ぶりで、中曽根内閣時の86年衆参同日選挙での300議席(定数512)に次ぐ記録となった。小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降4回の衆院選では初めての事態である。

 小選挙区の都市部で軒並み議席を奪還した。特に、東京、埼玉、千葉、神奈川4都県の小選挙区71のうち63対5と民主党に圧勝し圧倒的な強さをみせた。東京では25選挙区中23で自民党候補が当選しており、比例東京ブロックでは名簿登載候補全員が当選し、復活当選させる候補者が不足する異例の事態となった。さらに1議席を確保する得票だったが、登載候補がいないため、公職選挙法の規定で社民党に議席が回った。

 小選挙区での自民と民主の議席数は219対52で、直接対決した280選挙区では214対52と4倍以上の差をつけた。自民党は都道府県庁所在地があり、無党派層が多いとみられる「1区」で32対13と大きく勝ち越した。前回は民主党に26対19と7議席差に迫られたが、今回は東京や静岡、滋賀、佐賀などで取り返した。自民は青森、群馬、栃木、石川、島根、愛媛など13県で小選挙区を独占した。 

 公明党は、小選挙区候補を前職9人に絞る守りの選挙に徹したが、沖縄1区で敗れ、公示前の34議席を維持でず31議席を獲得の3議席減となった。手堅く候補を絞り込み全員当選方式で完勝してきた経緯から見ると限界値が見えてきたとも云え、今後の自公体制の成り行きが注目される。

 前自民党議員らが結成した国民新党は、小選挙区の綿貫民輔代表(富山3区)と亀井静香氏(広島6区)のほか、比例北信越、中国両ブロックでも議席を獲得した。新党日本は近畿ブロックで議席を得た。新党大地は、鈴木宗男氏(新党大地)が比例北海道ブロックで当選した。

 郵政「反対組」27名のうち、15名が当選。国民新党の綿貫民輔氏(富山3区)、亀井静香氏(広島6区)、無所属の野呂田芳成氏(秋田2区)、野田聖子氏(岐阜1区)、平沼赳夫氏(岡山3区)、保利耕輔氏(佐賀3区)らが勝った。自民党は小池環境相(東京10区)、片山さつき氏(静岡7区)、西川京子氏(福岡10区)ら13名が勝った。

 恐るべきは、自民党系無所属及び造反派政党及び大地党を含めると与党で350議席を越す結果となった。民主党のうち自民党系譜のものを含めると全480議席中の450議席に至ると思われ、戦後60年を経て遂に「国策政治」が完了したことになる。

 これを逆に云うと、日本左派運動は、街頭闘争を封じ込まれ、団体闘争を空洞化させ、議会闘争でも全くの無力に追い込まれ、総じて破産させられたことになろう。「2005.9.11総選挙」は、このことを象徴する選挙となったように思われる。

 民主党は、政権取りを目指して闘ったが、解散時勢力(175議席)から議席を大幅に減らし(64議席減)、113議席にとどまった。96年の結党以来、国政選挙ごとに議席を伸ばしてきた同党としては、初めて議席を減らす結果となった。政権取り構想は大きく後退し、浪速の夢と消えた。

 民主党は政権交代を目指したが、「牙城」だったはずの首都圏の小選挙区が総崩れとなり、東京(25選挙区)で1議席、神奈川(18選挙区)でゼロ、千葉(13選挙区)で1議席、大阪(19選挙区)で2議席となるなど、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県での獲得議席数が前回の36から5に激減。小選挙区全体で前回の105議席から52議席に半減させた。比例代表では前回、自民党を3議席上回る72議席で「比例第1党」となったが、今回は61議席にとどまった。藤井裕久党代表代行らが落選した。

 敗北を受けて民主党の岡田克也代表は12日未明、記者会見で「私は民主党代表を辞職する。すみやかに次のリーダーを選定してほしい」と代表辞任を正式に表明した。後任の代表選びが難航する可能性もあり、正念場を迎えている。 

 共産党は、公示前の9議席を確保し、公示前勢力を維持した。志位執行部は、自公、民主が責任数値を明らかにして選挙戦に臨んだが、その作法を踏まぬまま「本物の野党」を打ち出して闘った。別途考察するが、こたびの選挙結果に対して、「ジリ貧を踏み止めた実質上の勝利」なる珍見解を披瀝している。

 社民党は、沖縄2区で小選挙区唯一の議席を維持したほか、秘書給与詐取事件で議員辞職した辻元清美氏が比例近畿ブロックで当選するなど、公示前の5議席を上回る7議席を得た。実質フロックの1議席増で僅かに上向いた。比例区に単独立候補した社民党の土井たか子元衆院議長は落選した。福島執行部も、責任数値を明らかにせぬまま選挙に臨み、護憲政党色を打ち出して闘った。選挙結果に対して、「比例選挙区では前回得票数を20%上回る約360万票を獲得」なる善戦見解を披瀝している。

 さて、かように分析できるが、我々はどう受け止めるべきだろうか。れんだいこは、日本左派運動の合法的壊死と見立てる。今回の与党圧勝は、日共、社民の党中央声明に明らかな如く、こたびのような結果に対しても「善戦」的総括しか為し得ない無茶苦茶な指導部の裏協力によって可能になったと考える。

 左からかように体制翼賛運動を組織する指導部が鎮座する限り、日本左派運動は永久にうだつが上がらないだろう。議会闘争は、政府与党のオールマイティーを演出する為の合法的芝居として今後も演じ続けられるだけであろう。

 ならば、我々は如何に対処すべきか。政治情勢の窮迫化を歓迎する左派運動もあるだろう。だがしかし、れんだいこは、あれもやりなはれそれもやりなはれで何らおかしくないと観る。闘争の道を一本に絞ることは右からのそれであれ左からのそれであれ胡散臭いと観る。故に、共同戦線理論で下から盛り上げる戦略戦術に基づく日本左派運動のルネサンス的再建に着手する絶好機会と観る。戦後60年の緩慢運動でスッテンテンになったと認識し、「一からの出直し」に向かえ。これが手向けの言葉となる。

 2005.9.15日 れんだいこ拝

【小泉首相選挙区でも完勝】
 注目されていた小泉首相のお膝元の神奈川11区では、小泉首相が19万7037票を獲得し、1996年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降の当選者で最高となった。これまでの最高得票数は1996年の綿貫民輔氏の18万2185票だった。小泉首相は今回も地元に入らずままに12回目の当選となった。

【自民党派閥の変動、森派が最大派閥に】

 衆院選での自民党の圧勝を受け、党内の派閥勢力図は次のように変動した。小泉首相の出身派閥である森派が旧橋本派を抜き、最大派閥に躍り出た。公示前勢力の51名からから2人増の53名が当選した。参院議員26名を含めると計79名となった。解散時、党内第1派閥だった旧橋本派は、16名が郵政民営化関連法案に反対し、非公認になったため、公示前勢力は35名。選挙で1人増やしたものの、参院議員を含めても計70名にとどまった。第2派閥に転落したことになる元会長の綿貫民輔氏の離党や藤井孝男氏の落選、会長不在の長期化も相まって、党内での影響力低下は避けられない。

 派閥会長が郵政民営化関連法案に反対し、辞任した旧堀内派や旧亀井派は苦戦を強いられた。旧堀内派と小里グループは各1議席減らし32名。旧亀井派は、派閥会長だった亀井氏の離党が響き、28名から16名へと大幅に減らし両院でも33名に。派内に総裁候補もいなくなり、同派の求心力低下も必至だ。

 山崎派25名、高村派13名、河野グループ11名で各1人を増やした。党の選挙実務を担当する二階俊博総務局長が率いる二階グループが8人となった。一方、無派閥の当選者は93名にも上り、その中には、小泉首相の要請を受けて出馬、当選した“小泉チルドレン”も多い。2001年4月の小泉内閣発足後、強まっていた派閥弱体化の流れが一段と進んだ形だ。

【自民党派閥別勢力表】

 (2005.9.24日現在)
派閥 衆院 増減 参院 合計  備考
56 +4 26 82  最大派閥に躍進、更に増える見込み。
旧橋本 35 −16 34 69  会長橋本氏の引退、元会長の綿貫氏の離党、藤井氏の落選で第二派閥に転落。
旧堀内 32 −2 15 47
旧亀井 16 −12 17 33  会長の亀井氏の離党などで激減。
山崎 26 31
小里 12 16
高村 13 +1 15
河野 10 +1 11
二階 +4
無派閥 88 +67 95  「小泉チルドレン」参入により大幅増加。

【日共の選挙総括考】
 日共は、「総選挙の結果について(2005年9月12日 日本共産党中央委員会常任幹部会)」を発表した。これを歴史的文書として転載しておき、コメントつけておく。

   (一)

 今回の総選挙で、日本共産党は、改選前の9議席を確保しました。比例代表選挙で、得票率を若干減らしたものの、得票数を伸ばし、492万票を獲得しました。この結果は、善戦・健闘といえるものです。常任幹部会は、ご支持をいただいた有権者のみなさん、猛暑のなかで奮闘された支持者、後援会員、党員のみなさんに心からお礼を申し上げます。

   (二)

 今度の総選挙は、小泉首相が周到な計画をもって奇襲的に仕掛けてきた選挙であり、"小泉突風”がふきすさぶ難しい条件のもとでのたたかいでした。

 わが党は、8月3日、19日に開いた全国会議および総選挙全国決起集会でいち早く政治的・組織的方針を鮮明にし、これに正面からたちむかいました。「二大政党制づくり」の動きのなかで後退した最近2回の国政選挙の教訓を生かして、現実の政治のなかでの日本共産党の役割をより鮮明にするため、「野党としての公約」をうちだすとともに、いまの政治には「たしかな野党が必要です」と国民のみなさんに訴えました。わが党が選挙戦で訴えた論戦の内容は、国民の気持ちにかみあった的確なものであり、大きな力を発揮しました。

 全国の党組織と党員、後援会員は、「何としても勝ちたい」との思いで、短期決戦のたたかいで、この間の国政選挙時を上回る力量を発揮し、果敢に奮闘しました。

 わが党が、難しい条件のもとでの選挙に正面からたちむかい、「政権交代」を呼号した民主党が議席を大きく失うなかで、得票を増やし現有議席を確保したことは、この間の国政選挙での連続的な後退を押し返したものであり、今後の本格的な前進を築くうえで重要な土台となるものだと考えます。

   (三)

 郵政民営化の是非を唯一の争点にし、「改革を止めるな」と絶叫した小泉自民党のキャンペーンは、国民がいだいている政治への閉塞感を打破するかのような、漠然とした期待を広範な有権者に広げました。その結果、自民党は多くの議席を獲得しましたが、国民いじめの小泉「改革」がさらに進行するなかで、また外交のゆきづまりが深刻化するなかで、国民との矛盾は今後鋭くならざるをえません。

 唯一の争点に仕立て上げた郵政民営化問題それ自体でも、小泉首相は、国民に真実を語らず、ウソとごまかしに終始しました。首相は、選挙戦のなかで消費税・所得税などの庶民大増税、憲法九条の改定の問題などを隠しつづける態度をとりましたが、これらは、いやがおうにも新しい国会で問われてくる国政上の重大問題になります。

 情勢は、「たしかな野党」としての日本共産党の奮闘を求めています。わが党は、新しい国会で、郵政民営化に真っ向から反対をつらぬき、庶民大増税、憲法改悪を許さず、国民のくらし・平和の守り手として、「野党としての公約」を実行するために全力を尽くします。

   (四)

 総選挙で、わが党は、「すべての比例代表ブロックでの議席の獲得・前進」を目標として奮闘しました。この目標が達成できなかったことについて、党内外のみなさんのご意見もいただきながら、中央委員会として、またそれぞれの都道府県委員会、比例代表ブロックとして、総括をすすめ、教訓を明らかにし、つぎの選挙では、本格的な前進と飛躍を期したいと決意しています。

 日本共産党は4月の第3回中央委員会総会で、どんな情勢のもとでの国政選挙でもかならず前進できる、質量ともに強大な党をつくるために、来年1月の党大会に向けた「党勢拡大の大運動」を提起し、これにとりくんできました。そのさなかの総選挙でした。今度の選挙結果は、党の実力をつけることの意義──「大運動」の重要性をいっそう痛切に裏付けるものでした。

 再来年のいっせい地方選挙、参議院議員選挙での前進をめざし、「たしかな野党」の力を存分に発揮して国民のくらしと平和をまもるために献身しつつ、どんな激動の情勢でも、主体的にきりひらく実力をもつ党を築くため、「大運動」の成功に全力を尽くす決意です。

(私論.私見) 日共の選挙総括について

Re:れんだいこのカンテラ時評その100 れんだいこ 2005/09/15
 【日共の2005第44回衆院選総括考】

 日共は、「総選挙の結果について(2005年9月12日 日本共産党中央委員会常任幹部会)」(http://www.jcp.or.jp/giin/senkyo/2005_syuin/20050912_com.html)を発表した。これを歴史的文書として転載しておき、コメントつけておく。  

 れんだいこは、こたびの日共の選挙総括ほど「らしさ」を如実に示している文書はないと考え、これを永久保存しておくことにする。日本左派運動の盛り上げに対する真性の敵対者としての姿を確認することができよう。しかも、史実から何も学ぼうとせず、反革命言辞を平然と連ねているところに重症を見て取れよう。

 こたびの選挙戦は、政府与党自公が旧与党系無所属、旧与党系造反派政党も含めれば480議席中の350議席を越す歴史的圧勝という結果になった。民主党も又自民党出自を過半とすることを考えれば、自民党系が480議席中の450議席を越すのではなかろうかと推定し得る。

 この事態に対して痛苦に受け止めるべきところ、日共は何とノー天気にも手前の党の議席数の増減だけを問題にし、現状維持だった結果を踏まえ「善戦・健闘」などと総括している。実際には、改選前の9議席維持、比例代表選挙で得票率減、得票数増という誇るほどのものではないにも拘わらず、政治情勢全般の配慮なき党利党略のみの総括で事勿れしている。執行部延命の為の口実づくり的総括でしかないかような総括をして恥じない日共党中央の醜態が白日の下に晒されている。

 こたびのように自民党内が大揺れに揺れ、政権与党が背水の陣から始まった選挙でさえ、「"小泉突風”がふきすさぶ難しい条件のもとでのたたかいでした」と云う。一体、どういう条件が揃えば、この党中央にとって順風なのだろうか。甘えるのもエエカゲンにして欲しい。この歪んだ観点はナヘンから生まれるのだろう。正気ではない。

 更に、「今の政治にはたしかな野党が必要です」と訴えたことを自画自賛し、「政権交代を呼号した民主党が議席を大きく失うなかで、得票を増やし現有議席を確保したことは、この間の国政選挙での連続的な後退を押し返したものであり、今後の本格的な前進を築くうえで重要な土台となるものだと考えます」との見解を披瀝している。見よ!聞け!この総括を。

 政権与党自公をどう切り崩したのかではなく、「自民党は多くの議席を獲得しました」と客観論評しており、それに対して野党最大の民主党が「議席を大きく失う」ことに好転的関心を披瀝している。小選挙区制下で引き続き野党分裂選挙を仕掛ける従来戦術を是として、「どんな激動の情勢でも、主体的にきりひらく実力をもつ党を築くため、大運動の成功に全力を尽くす決意です」で結んでいる。

 マルクス・エンゲルスが「共産主義者の宣言」で指針させた概要「党利党略を排して階級情勢全体の左傾化の為に粉骨砕身努力せよ」という姿勢は微塵もなく、我が党の成長こそが全て式独善主義を再指針させている。この間判明しているようにその分裂選挙手法により、結果が政府与党をいくら利そうと我関せずの見地を披瀝している。

 容易に透けて見えてくることであるが、表から公明党が、裏から日共が体制安泰を支えていることになる。表見的な対立に幻惑されて日共をそれなりの左派とみなして支持する者も依然多いが、もう食傷すべきではなかろうか。

 日共の現下の執行部の反革命戦略戦術が続く限り、この仕掛けから抜けださない限り日本左派運動の進展は無い。そこまで云うかと怯む向きもあろうが、戦前戦後の党運動を検証してきたれんだいこの観点では、明らかに異分子が闖入していると断定する。彼らは驚くことに根っからの反共主義者ですらある。決して単なる凡庸という問題ではない。この観点を共有したい。

 れんだいこがこの間指摘し続けているように、現下日共党中央は体制が送り込んだスパイ系列によって支配されている。宮顕を見よ! 「敗北の文学」で文壇デビューしたものの日本左派運動に貢献したものは何も無い。むしろ逆に、左からの鎮圧者として悪行の限りをしてきた御仁でしかない。「戦前党中央委員小畑査問致死事件」の実相を知れ。

 不破を見よ! 「国際派東大細胞内の査問・リンチ事件」の実相を知れ。かの時の不破は明らかに挙動が変調である。その後奇しくも宮顕に登用されたが、不破は宮顕路線を忠実に敷設し、その悪行は大衆運動、団体運動の盛り上がりに水を差し続け、議会専一運動に流し込んできただけであり、その結果がこたびのような政府自民党派の究極の圧勝を呼び水したきただけの口舌詐欺師でしかない。志位の「東大院生支部の宮顕勇退勧告鎮圧事件」の実相を知れ。志位は宮顕ー不破系列の小判でしかない。

 よりによって宮顕も不破も志位も大衆運動を成功裏に指導した経験が何一つ無いという書斎派系の指導者である。共産党という思想、主義、運動に於いては有り得てならない現象ではなかろうか。このことが疑われていないがもっと疑惑せねばならない。その論調も長大饒舌、すり替え、詭弁、偽造、歪曲話法に満ち満ちた悪文を特徴としている。左からいつも絶えず体制にとって人畜無害の恭順論法と社会主義への幻滅を説き続けている。れんだいこは、近時の青年の保守化に過半の責任が有ると思っている。

 この連中が党中央を占拠し続ける限り日本左派運動は如何ともし難い。そういう意味で、れんだいこは、日共反革命と断乎として闘い抜くことを改めて決意する。「2005.9.11総選挙の地平」を見据え、日本左派運動の一からの出直しに着手しよう。小手先改良策では如何ともし難い、これがこたびの選挙戦の教訓である。

 2005.9.13日 れんだいこ拝

 「2005.9.11総選挙の選挙結果の総評」( senkyo_syugiin_result2005co.htm)
 2005.10.10日、日共は、党本部で第4回中央委員会総会を開き、志位委員長は冒頭の幹部会報告の中で、先の衆院選で解散時の9議席を維持した選挙結果について、「退潮傾向に一定の歯止めがかかった」として「小泉突風に正面から対抗し、自力で風を起こして積み上げたものだ。善戦健闘という結果を全党の深い確信としたい」と総括した。この日の中央委総会では、党大会を来年1月11日から4日間の日程で開くことも正式決定した。

【社民の選挙総括考】
 社民も、幹事長・又市征治氏の「第44回衆議院総選挙の結果について(談話)」を発表した。これを歴史的文書として転載しておき、コメントつけておく。

 2005年9月12日

 社民党は今回の総選挙で、格差拡大社会をもたらした小泉改革の方向が誤っていることを指摘し、この4年5ヵ月にわたり、小泉内閣と与党によって壊されてきた「平和と暮らし」の建て直しを争点に掲げ、党の全力を挙げて戦ってまいりました。

 結果は、目標とする前回獲得議席の倍増には届かなかったものの、前回獲得議席に1議席上積みし、比例選挙区では前回得票数を20%上回る約360万票を獲得することができました。党にご支持をしてくださった有権者の皆さんには心からお礼申し上げると同時に、360万の方々の期待に応え、さらにご支持の輪を広げていけるよう国会の内外で全力をあげる決意です。

 この選挙戦、小泉首相と与党は郵政民営化の是非を問う国民投票だとして、空洞化する年金制度の将来、サラリーマン増税や消費税の値上げ、そして憲法改悪などの重要課題を争点から隠し通してきました。唯一の争点とした郵政民営化についても、公社職員には税金が投入されていないにもかかわらず、職員を民間人にしなければ「重税国家」になるなどの「マヤカシ」を押し通してきました。与党が過半数を大幅に上回る議席を得る結果になりましたが、社会保障の破壊、増税や憲法改悪などの重要問題を徹底的に隠してきた小泉内閣の政治が、有権者の皆さんから手放しで信任されたとは考えておりません。

 過去最大に広がった所得格差の上に、増税と負担増で次々と暮らしを疲弊させていく政治。雇用や社会保障制度を壊し、将来不安を募らせるだけの政治。そして米国に言われるがままに自衛隊を海外に派遣し、やがて武力行使を可能とする憲法9条の改悪を目論む政治。これら小泉内閣と自公連立政権による「平和と暮らし」の破壊を何としてもストップさせるため、社民党は国会の内外で、さらに奮闘していきます。そして、今回の選挙結果を土台に、党の活動、政策を全面的に点検し、次の選挙戦で有権者のご期待に一層応えられるよう、党の改革を進めてまいります。

 最後に、貴重な1票を社民党と党公認候補者に投じてくださった有権者の皆さんに改めて感謝申し上げ、お礼のごあいさつとさせていただきます。

(私論.私見) 社民の選挙総括について

 社民も日共と同じで、手前の党の近視眼的総括で全体の総括に切り替えている。かっての勢威を思えば、360万票獲得に小躍りする感性がオカシイ。「自公の究極的大勝」に一言もしない総括なぞ論評にも値しない。

 2005.9.15日 れんだいこ拝

(私論.私見) 【日共の供託金没収の経理を公開させよ】
 これについてはれんだいこもうすうす関心を持っているが、こたびはっきりさせておこうと思う。日共は、「この間の供託金没収の全顛末」を公開せよ。テレビコマーシャル、新聞広告等に費やした選挙費用の明細を公開せよ。れんだいこには解せないことが有り確認したい。

 2005.9.16日 れんだいこ拝

Re:れんだいこのカンテラ時評その101 れんだいこ 2005/09/16
 【自民も民主も外資系選挙請負PR会社に広報委託考】

 こたびの選挙戦が何と、自民も民主も外資系選挙請負PR会社に広報委託していた事実が漏洩されている。自民も民主も連中がが作成した選挙シナリオに基づいて選挙戦を演出していたことになる。これを仮に「外資の二大政党コントロール事件」と命名することにする。

 日本を代表する二大政党がこぞって外資の頭脳に身を委ねており、国政選挙も又操作されているというのだから、これは本来スクープであろう。が、日本政界はこういう事実を知らされても無痛のようで何とも傷ましい。これは由々しき事態であるのでノートしておく。

 思えば、こたびの選挙戦の数々の場面で違和感を感じるものがあり、れんだいこのアンテナが作動していた。そのことには十分な根拠があったということになる。こたびの選挙戦は劇場型と云われたが、まさに作られた芝居を見ているようなな気がしてならなかった。彼らの想定通りに、政治おぼこの「女、子供、老人、ヤング」が狙われ、うまく操られたのではなかったか。

 憲法にはこういうことの規制はないから憲法違反にはならないのかも知れない。しかし、規定が無いということは想定外ということであり、それだけ事態が異常という風に受け止めるべきではなかろうか。この国の右翼よ、君達は何とも感じないのか。米英ユにはダンマリで北朝鮮と中国とロシアに対してのみキャンキャン云うばかりの右翼でしかないのか。

 れんだいこは、国と民族と人々を愛する沽券にかけて、「外資の政党コントロール禁止法案」を提起する。民主党の新代表が誰になるにせよ、その最初の仕事は、このぶち上げから始まらねばならない。これができないような代表ならツマラン。しかし、岡田も胡散臭い奴であることよ。常識外である。小泉の場合は想定済みで、身も心もとろけているので云わん。何か似たような臭いがしてならなかったがそういうことか。

 こたびの選挙では、苦戦する筈のあるいは小泉政権立ち往生必死と見えたのが、蓋を開けてみれば史上空前の小泉政権完勝に終わった要因は何か。一体どのような手品が仕掛けられていたのか。思いつくままに追想してみる。

 衆院で郵政民営化法案が可決されるも造反派が出現し、5票差の際どい通過となった。造反派には綿貫、亀井、平沼という自民党実力者が含まれており、自民党内の内ゲバが開始された。小泉政権は参院採決に当たり問答無用の締め付けを開始した。それにも拘わらず造反組が更に増え、同法案は参院で否決された。

 小泉政権は窮地に陥り、内閣総辞職が点灯した。遮二無二衆院解散に打って出ようとしたが、云うところの首相専権論は違憲の恐れが強い。この時、民主が、助け舟とも思われる内閣不信任決議案を提出している。これは誰がシナリオしたのか。外資系選挙請負PR会社の悪智恵がそうさせたと思えばよい。あまり問題にされていないが、れんだいこは拘りたい。

 民主の内閣不信任決議案提出が衆院解散了承の合図となり、小泉首相は提出された内閣不信任決議案を審議することもなく勇躍解散に踏み切った。案の定、異議の動議も出されなかった。小泉首相は最大のピンチの山を越えた。小泉首相は、衆院解散をぶち上げるや、執行部信任の責任数値を表明した。民主の岡田代表も同じく責任数値を発表した。これにより、一挙に選挙戦モードへ突入した。この流れに外資系選挙請負PR会社の仕掛けがあったと想定すれば良い。

 こうして、後は、次第に小泉ブームが演出されていくことになる。小泉首相は、ワンフレーズ型の分かりやすいコマーシャルをぶち上げ、殺されても良い、断乎として改革に邁進するとの首相の美談決意が流されていく。対して、岡田代表の方は煮え切らないモードで放映される。偶然ではなく故意に変調だった気がする。反対派への刺客送り込みが始まり、ニュース番組とワイドショーが面白おかしく取り上げていく。新聞・テレビ・雑誌メディアが総動員され、多数の御用評論家が登場し始める。殆どが、刺客に対する好意的報道、造反派に対する批判報道に終始し、小泉政権の暴挙が隠蔽される。

 この時の岡田の対応もナンセンスであった。単独政権論をぶち上げたが、それは造反派見殺しを示唆していた。続いて、郵貯限度額の段階的引き下げ政策を発表する。民営化推進か反対かについてもロジックの切れが悪く、この時点で、民主への国民的期待は色褪せていった。こうして小泉側の攻勢が更に強まった。

 岡田は、劣勢挽回とばかりに二党首討論を呼びかけ、マニュフェスト論争が始まり、各党党首討論会へと移行する。記者団質問は、小泉首相の弁明を長めに上手く引き出し、岡田の弁明は野党間の足の引っ張り合いによりかすむ。これも仕掛けられた罠であったような気がしてならない。もとより岡田自身の変調がそうさせた面もあろう。

 地方県連と党本部の対立が報ぜられるが、地方県連のほうが悪代官にされる。各社新聞が一斉に世論調査を発表し、小泉ムードと与党圧勝気運の盛り上げを企む。海外からの小泉首相べた褒め提灯記事が報道され、「海外の意見」に弱い世論が大きく小泉信任に傾く。新聞とテレビが数次にわたって世論調査を発表し、勝ち馬ブームを演出する等々。こうして、「史上空前の小泉政権完勝劇」が完結した。

 それでも日本人民は賢いと信じたれんだいこは甘かった。してやられた。このクツゾコは晴らさで済むものかは。唯一救いは、何が幸いするか祟りかは後でないと分からないということか。

 この劇を裏方で企画進行させたのが外資系選挙請負PR会社であり、自民党側がプラップジャパン、民主党側がフライシュマン・ヒラード・ジャパンであった、と云う。プラップジャパンとフライシュマン・ヒラード・ジャパンが真に対決したのならまだしも、裏でつるんでいたならどうなるか。それと、そういう外資系選挙請負PR会社が議員個人の身上調査を引き受け、下半身行状録は無論のこと生殺与奪権を握ったらどうなるのか。政治の機密事項が全て筒抜けになったらどうなるのか。

 ここで冷静に考えてみよう。政党が自前の選挙対応能力を持たず、外注するなどという事態が許されることだろうか。しかも外資系選挙請負PR会社などに。それは恐らく例のユダヤ系だろう。その外資系選挙請負PR会社がCIAと有無通じているとしたらどういうことになるのだ。

 今や世は民営化ブームで、軍隊の民営化として民間警備会社が登場している。「各国での選挙介入と政権操作」を専門にしてきたCIAの民営化が外資系選挙請負PR会社だとしたらどうなるのか。


 「長周新聞」は「民意を表さない自民圧勝、衆院選・アメリカの選挙介入、メディアと選挙会社の選挙」は次のように記している。
 「『各国での選挙介入と政権操作』は、アメリカ(というよりユダヤ)の得意わざだ。ウクライナ大統領選も『勝つまでジャンケン』をやった。親ロシア的な候補がとおったら『選挙違反』と騒いで、反乱を起こさせ、勝手に臨時政府をでっち上げる。そしてアメリカが『経済制裁する』と脅して、選挙をやり直させ親米政府をつくった。グルジアやリトアニアやセルビアなどでも同じ調子だ」。

 
こういう事実が漏洩されても、今や我が政界は馬耳東風の如くある。れんだいこは、民営化論の行き着く先を見た思いがする。民営化とは、恐らく親ネオ・シオニズム系外資であろうその頭脳が日本を調理する一連の政策を云うのだろう。そのお先棒を担いで、シナリオ通りに弁舌をよく為しえる者が勝ち上がり生き延びていく社会づくりなのだろう。
 (補足)

 プラップジャパンは、在日米国商工会議所に所属する選挙PR会社で、独立系のPR会社としては国内最大規模を誇っている。マスコミへの情報提供を行う「コミュニケーション・サービス」、広報に係わるクリエイティブな活動を行う「クリエイティブ・サービス」、企業トップのマスコミ対応法や危機管理法をアドバイスする「トレーニング・サービス」等々を行っている。2005.1月、自民党と契約を結んだ。2005.7月にジャスダックに上場。

 自民党が電通のような広告会社ではなく、PRを専門とする企業を使うのは初めて。当然、外資系の選挙請負PR会社に外注するのも初めて。自民党が同社の起用を決めたのは、03年の衆院選、04年の参院選で、民主党の攻勢にあって期待した結果を残せなかった反省から、「プロの知恵を借りたい」(党幹部)という理由から外資頭脳の活用に踏み切った。 同社は、「立党50年プロジェクト」、「候補者公募」などのほか、党内のさまざまな広報活動を請負い、影の指南役を務めている。

 民主党は、自民党より早く外資系選挙請負PR会社に外注している。フライシュマン・ヒラード・ジャパンと提携し、同社は既に過去2度の選挙で民主党の躍進を支えた実績を持つ。世論調査などマーケティング手法を取り入れたメディア戦略がうまいと評判だ。04年参院選で岡田克也代表の“頑固さ”を売り出したのも同社の手法だった。岡田代表のテレビ出演では、限られた時間内で収まるメッセージをつくり、併せて話し方も指導。化粧もするというきめ細かさだ。「党が決めた方針を具体的なカタチにするのが彼らの仕事。キャッチフレーズやコピーなどイメージづくりに長けている」(民主党関係者)。

 
2005.9.16日 れんだいこ拝

【郵政民営化法案衆院通過考】
 2005.10.11日、7月の通常国会で5票差の衆院通過だった郵政民営化法案が、院本会議で採決された。この日の本会議ではまず、民主党が与党案の対案として提出した郵政改革法案の採決が行われた。与党と共産、社民両党が反対し、起立採決の結果、反対多数で否決された。

 続いて、与党案の郵政民営化関連法案を記名投票で採決した。 賛成338、反対138、欠席・棄権3票で200票の大差を付けて可決、参院に送付された。10.12日から参院で審議入りし、与党は同14日の参院本会議でのスピード成立を目指す。「巨大与党」を象徴する採決結果となった。 

 通常国会の衆院採決では自民党の37人が反対票を投じ、14人が棄権・欠席して計51人が「造反」した。総選挙では反対組から17人、棄権・欠席組から11人の計28人が当選しているが、うち22人が賛成、棄権・欠席した古賀誠元幹事長、高村正彦元外相ら11人は全員が賛成したことになる。当選した「自民系無所属」のうち今回も反対を貫いた議員は平沼赳夫前経済産業相わずか1人、残り12人は11人が賛成に転じたことになる。野呂田芳成氏は欠席し、このほかの反対者は国民新党(綿貫民輔、亀井久興、亀井静香)、新党日本(滝実)の4人にとどまった。

【郵政民営化法案参院通過考】
 2005.10.14日、 今国会に再提出され10.11日に衆院で可決されていた郵政民営化関連法案は参院でも可決された。衆参それぞれ3日間の審議でのスピード成立となった。これにより、、昨年9月の基本方針決定以来続いた同法案をめぐる政争が決着したことになる。

 午前中、参院郵政民営化特別委員会が開かれ付帯決議をつけて可決した。付帯決議の内容は、郵便局網が維持され、郵便局で郵便の他、貯金、保険のサービスが確実に提供されることなどを政府に求めている。午後、参院本会議が開かれ、記名投票採決で賛成134、反対100の34票差で可決、成立した。

 先の通常国会の参院本会議採決では、自民党議員の中から反対22、欠席・棄権8の30名の造反組が出現したことにより否決されたが、今回はそのほとんどが転向したことになる。亀井郁夫氏が議場を退席し、棄権した他は、離党して「国民新党」、「新党日本の会」に向った2名のみが反対という結果となった。郵政法成立後、小泉純一郎首相は記者団に「(成立は)小泉を支持してくれた国民のおかげだ」と指摘。その上で「改革に終わりはない。これからますます改革を進めなければならない」と強調した。

 成立した6法は、郵政民営化、日本郵政会社、郵便事業会社、郵便局会社、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構、郵政民営化関係法整備の各法で、2007.10.1日に民営化が開始、国営の日本郵政公社は解散)となる。スケジュールが半年遅れた以外は8月に参院本会議で否決された法案と同じ内容が可決された。

 郵便、郵便貯金、簡易保険の郵政3事業は、民営化した政府出資の持ち株会社「日本郵政会社」の下に郵便局(窓口)、郵便事業、郵便貯金銀行、郵便保険の4事業会社を設立し、2017.99月末までに持ち株会社が保有する郵貯銀行、保険会社の金融2社の全株式を処分し、完全民営化を実現する。

 同関連法は、郵便局の設置基準について「あまねく全国で利用」できる配置にすると明記し、過疎地については総務省令により、現行の郵便局網の水準を維持することを規定した。また、金融の全国均一サービス維持などのため、日本郵政会社に社会・地域貢献基金を創設し、郵便局会社に赤字の補てんなどをするとしている。このほか、内容証明郵便などを扱う新たな国家資格「郵便認証司」を創設するとしている。

【造反派に対する第一次除名処分】
 2005.10.21日、自民党党紀委員会(委員長=森山真弓・元法相)は、造反派にして離党、新党結成組の綿貫民輔(元衆院議長)、亀井静香(元建設相)ら9氏を除名処分とすることを全会一致で決めた。森山委員長は除名の理由として、1・党の方針に反して郵政民営化関連法案に反対した。2・別の党を結成して衆院選で自民党の公認候補の選挙を妨害したことを挙げた。郵政民営化問題をめぐり、自民党が党議拘束違反者に対して出した処分はこれが初めて。党紀委では引き続き、造反派にして現在無所属の衆院議員、自民党籍の参院議員ら50名の処分を検討しており、次回28日の会合で決定する。

 除名処分となった9名の内訳は、国民新党5、新党日本4。衆院議員は綿貫、亀井静香、亀井久興、滝実の4名。参院議員は荒井広幸、長谷川憲正の2名。また、衆院選で落選した前衆院議員の小林興起、津島恭一、青山丘の3名も除名となった。9名は、いずれも衆院選公示前に離党届を提出していたが、党紀委員会ではこれを受理せず、除名処分とした。

【造反派に対する第二次除名処分】
 2005.10.28日、自民党党紀委員会(森山真弓委員長)は、先の通常国会で党議拘束に反して郵政民営化関連法案に反対票を投じた59名のうち、処分未決定だった50名(衆院30、参院20)の造反派の第二次処分を発表し、一連の騒動を決着させた。処分は全会一致で決まった。同委員会は処分審査の中で、(1)郵政法案への反対投票(2)自民党公認候補のいる衆院選選挙区への出馬(3)反対派候補の参院議員の応援行動−−を反党行為と認定した。

 郵政民営化問題をめぐる除名・離党勧告処分は、21日に除名が決まった綿貫民輔・元衆院議長ら新党組9名と合わせ、計37名になった。これほど大量の除名・離党勧告処分は自民党史上初めてである。造反者処分は、反対派切り崩しの材料として7月5日の衆院採決前から執行部が喧伝(けんでん)し、約4カ月かかってようやく決着をつけたことになる。

 衆院造反派では、野呂田芳成(元農水相、防衛長官)一人の除名となった。野呂田氏は、先の衆院選に無所属で出馬し当選し、今国会の首相指名選挙で国民新党の綿貫民輔代表に一票を投じ、同党と同じ会派に参加したことが最も重い除名処分の理由となった。綿貫民輔元衆院議長らに続き郵政民営化をめぐっての除名処分は計10名となった。

 今特別国会でも法案に反対した注目の平沼赳夫元経済産業相は、特別国会で賛成に回った野田聖子元郵政相らと共に次に重い離党勧告となった。離党勧告処分を受けたのは26名。衆院選に出馬しなかった熊代昭彦・前衆院議員ら3名は戒告にとどまった。

 参院反対派では、衆院選で他党候補を応援、今国会の採決も棄権した亀井郁夫氏だけが離党勧告処分となり、同様に他党候補を応援した中川義雄と田中直紀の2名は党員資格停止1年(処分執行を2年間猶予)。中曽根弘文元文相ら賛成に転じた17名は党役職停止1年にとどまり、亀井氏以外は2年間処分の執行を猶予される。

 今回離党勧告された議員が十日以内に離党届を提出しない場合は除名される。古屋圭司氏ら14名は既に離党届を出しており、同日付で受理された。残り13名の離党届の成り行きが注目される。

 同日、武部勤幹事長は党紀委の処分にあわせ職権で、党紀委の審査対象ではない、先の通常国会での郵政民営化法案採決にあたり、棄権・欠席した古賀誠元幹事長、高村正彦元外相ら衆院議員12名(落選1名含む)、大仁田厚氏ら参院議員8名の計20名を戒告処分とすることを決めた。

 自民党が除名十人をはじめ「造反議員」に厳しい処分を決めたことで、小泉純一郎首相と郵政民営化反対派との攻防は首相の圧勝で幕を閉じた。首相は28日夜、処分について「結構だと思う」と述べた。除名処分を受けた野呂田芳成元農相は「政治家が信念と見識で政策や法案への賛否を決めるのは当然。権力で無理やり否定するのは反民主的なやりかただ」と強調、当面は無所属で活動する考えを示した。 平沼赳夫元経産相は、「「離党届を粛々と出し、無所属議員として全力でこれまでの経験を生かして頑張っていく」と述べた。野田聖子元郵政相は「厳粛に受け止め、適切に対応していく」とのコメントを文書で発表、近く離党届を出す方向だ。


 処分は、参院に甘く衆院に厳しい内容となった。森山真弓・党紀委員長は、「賛成したから(軽い処分)、反対したから(重い処分)ということではない」と述べ、郵政法案への賛否が主たる要因でないことを認めた。「衆院の場合は候補者として出馬したが、参院は出たわけではない」と述べ、衆参で処分内容に差が出た理由を説明した。





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