選挙結果の総評
 「2003.4月の一斉地方選挙」の総括を廻っての、公明党と共産党のロジックを検討する。公明党は、2003.4.30日付け「統一地方選後半戦 市区町村議選の結果分析」で次のように述べている。
 公明党2003年4月30日付
 第15回統一地方選挙は、後半戦である4月27日投票の一般市、東京特別区、町村の各首長選・議員選をもってすべて終了した。公明党は、この後半戦の議員選挙に計1797人の候補(推薦12人含む)を立てて戦い、前半戦の道府県議選・政令市議選に引き続いて連続完勝。公明党の結党以来初めての、前後半戦を通じての「統一選完勝」という輝く金字塔を打ち立てた。その一方で、共産党は前半戦の歴史的敗北に続いて、後半戦でも記録的な惨敗を喫した。ここでは、市区町村議選の結果について分析した。


後半戦の特徴
公明、初の統一選完勝
ウソ・デマ共産は大敗北 市・区議選で109人減

 27日に行われた第15回統一地方選挙後半戦で、公明党は一般市議選、東京特別区議選、町村議選で全員当選を果たし、前半戦(道府県・政令市議選)と合わせ、結党以来初の快挙となる「統一地方選完全勝利」の歴史的な金字塔を打ち立てた。
 総務省の集計によると、後半戦の平均投票率は市議選が56.74%(前回60.76%)、区議選が43.23%(同47.36%)、町村議選が77.72%(同82.05%)と、各種選挙で過去最低を更新した。
 前半戦と同様、「無党派」「脱政党」を名乗る候補者が目立ち、「政党の存在感」が問われた中で、公明党が完勝を果たしたことは極めて注目される。そのことは、市議選の報道について、選挙翌日付のマスコミ各紙が「公明1140人全員当選」(読売新聞)などの見出しを付けて報じ、「自民、社民、共産各党の低落が顕著な一方で、公明党が着実に勢力を拡大している姿が浮かび上がる」(東京新聞)と分析していることからもうかがえる。
 市議選に着目すると、公明党は1991年以来4回連続の全員当選を勝ち取るとともに、政党別当選者数において前回の1118人(推薦1を含む)を22人上回り、3回連続でトップの座を守り抜いた。
 これに対し、日本共産党は前回に比べ91人も減らし、1000人台を割り込んで940人にとどまった。公明党は「共産党に二百人の差をつけ『公・共対決』に決着をつけた」(東京新聞)形となり、共産党は前半戦に続く大敗北を喫した。
 これは、住民を惑わそうとするウソ・デマ、デッチ上げを常とう手段とし、また違法なビラを大量にまき散らす非常識な戦術や朝から晩まで他党の悪口・他党ののしりだけの独善的で排他的な体質、異常な政治手法が多くの有権者から反発を買い、厳しい審判が下されたものだ。共産党の惨敗は区議選でも顕著であり、前回より当選者数が18人減。町村議選でも空白区を増やし議席を減らしており、各級すべての選挙で大きく後退した。
 この結果、共産党は2000年衆院選、01年参院選、同年東京都議選に続く4大選挙すべてに大惨敗し、同党の衰退は決定的となった。そのことは同党の政策・路線・運動等に対し、有権者が強い疑問符を突きつけていることを裏付けているもので、同党執行部の責任が厳しく問われよう。
 一方、女性の当選者は市議選全体で前回比152人増の1236人と初めて1200人台に乗り、このうち公明党は305人を占めた。区議選、町村議選を含めた後半戦全体における公明党の女性当選者は前回より100人以上も多い496人となった。これによって、党所属の議員数に占める女性の割合は25.25%となり、「女性の世紀」を切り開く確固とした勢力を築いた。


一般市議選
当選者数3回連続トップ

 公明党は378市に現職847人、新人293人の計1140人を擁立し、前回に比べ22議席増で全員当選(無投票当選19人を含む)を勝ち取った。政党別の当選者数では、公明党は前々回に自民党を抜いて以来、3回連続でトップに輝いた。市長選で政党の推薦や支持を受けない無党派候補が当選者の過半数を占めるなど“脱政党”傾向が指摘される中、政党として真正面から政策を掲げ、有権者の信任を得た意義は大きい。
 今回は、北海道で公明が候補を擁立した26市のうち20で定数が削減されるなど、自治体の行財政改革の一環として定数減が目立ったが、公明は多くの市議会で議席増や議席回復を勝ち取った。特に定数4減の北海道岩見沢市では3議席への回復を果たした。同じく4減した愛媛県新居浜市では過去最高得票で4議席回復を達成している。
 東京屈指の激戦区だった国立、昭島の両市では過去最高の得票数で現有議席を死守。さらに茨城県牛久市、埼玉県鶴ケ島市、富山市、香川県高松市、福岡県大野城市などで議席を増加させて躍進した。24年ぶりに議席を回復した新潟県糸魚川市をはじめ、埼玉県鴻巣市、大阪府池田市、長崎県佐世保市などで議席を回復させている。
 一方、共産党は、前半戦の「道府県議・政令市議選に続く敗北」(読売新聞)となった。山形県鶴岡市や神奈川県藤沢市でそれぞれ5人擁立して3人が落選するなど、全国で91議席も減らす大惨敗だった。


東京特別区議選
9回連続完全勝利果たす

 東京特別区議選が行われた21区で公明党は、12区で定数減となる中、港、文京、板橋、練馬の4区で各1人増の172人を擁立。すべての区で得票率を増やし、9回連続の全員当選を果たした。
 そのうち文京区では定数4減の中、改選時4議席から2増の6人を擁立。前回票を35.8%増やした。中央区でも前回票を20.9%増やした。
 このほか定数6減の新宿、定数4減の渋谷、杉並、定数3減の世田谷、定数2減の墨田、中野、豊島、北、荒川、江戸川の各区でも全員当選を果たした。
 今回の選挙の結果、23区の全939議席中、公明党の議席数は199となり、議席占有率は21.2%にアップ。江戸川区が28.3%となったほか、23区のうち13区が20%を上回った。
 一方、共産党は21区で153人を擁立したが、前回から当選者数を18人減らして130人の惨敗。豊島、世田谷の両区で議席を半減させた。23区全体でも165議席から149議席に減らし、議席占有率は17.0%から15.9%に低下した。


町村議選
各地で大幅得票増の躍進

 町村議選で公明党は、422町村に485人(現職369、新人115、元職1)=推薦12人含む=を擁立し、全員当選を果たした。
 奈良県榛原町で前回比78.3%増の得票増を果たすなど各地で大幅得票増が相次ぎ、党勢拡大が浮き彫りになった。
 初挑戦の山梨県増穂町、三重県伊賀町などで初議席を獲得。北海道当別町、長野県軽井沢町などで1議席から2議席に。
 茨城県江戸崎町、愛知県西春町ではそれぞれ1増を果たし3議席を獲得した。埼玉県大井町では4年ぶりに4議席を回復した。
 京都府美山町、大分県玖珠町、鹿児島県中種子町はそれぞれ12年ぶりに議席を回復。定数6減の広島県上下町も議席を死守した。


今後の課題
衆・参院選へ 拡大のうねりさらに

 今回の統一選を公明党は、「三段跳びのホップ、ステップ、ジャンプの『ホップ』に当たる選挙」(神崎武法代表)と位置付け、次期衆院選と来夏の参院選に連動しゆく戦いを展開した。その意味で、ホップの戦いを歴史的勝利で飾ったことはステップとジャンプ、すなわち国政選挙での大飛躍に向けた大きな足掛かりを得たことになる。“次の戦い”はすでに始まっているとの自覚で、日常活動に一段と力を注ぎ、党勢拡大の流れをさらに加速させていきたい。
 また、今回の大勝利の要因の一つに政権与党としての確かな実績があったことに鑑み、選挙戦で公約した政策の実現に全力を注がなければならないことも当然だ。「政治とは情熱と観察力とを同時にもって、堅い板に力をこめて徐々に穴をあけてゆくこと」(マックス・ウェーバー『職業としての政治』)である以上、公明党は景気・雇用や安全保障など山積する難題の克服に向けて、ひたすら汗する決意である。


公明党の議席占有率が20%以上の議会
議会名
当選
定数
占有率
大阪・門真市
28
28.6%
東京・武蔵村山市
*6
21
28.6%
東京・江戸川区
13
†46
28.3%
大阪・豊中市
10
†36
27.8%
大阪・守口市
30
26.7%
大阪・堺市
*13
52
25.0%
東京・江東区
11
44
25.0%
東京・八王子市
*10
40
25.0%
大阪・寝屋川市
†32
25.0%
東京・昭島市
24
25.0%
東京・大田区
12
50
24.0%
東京・板橋区
*12
50
24.0%
東京・練馬区
*12
50
24.0%
東京・新宿区
†38
23.7%
大阪・四條畷市
†17
23.5%
東京・東村山市
26
23.1%
東京・北区
10
†44
22.7%
東京・東大和市
22
22.7%
大阪・枚方市
36
22.2%
大阪・高槻市
36
22.2%
大阪・泉大津市
†18
22.2%
東京・中野区
†42
21.4%
東京・小平市
*6
†28
◎21.4%
大阪・岸和田市
28
21.4%
東京・世田谷区
11
†52
21.2%
東京・豊島区
†38
21.1%
東京・東久留米市
24
20.8%
東京・清瀬市
†24
◎20.8%
東京・墨田区
†34
◎20.6%
大阪・八尾市
34
20.6%
埼玉・川口市
†44
20.5%
高知・高知市
40
20.0%
東京・羽村市
20
20.0%
◎は今回占有率が増えて20%以上になった議会
*は公明が当選者数を増やした議会。†は定数減。
※他に統一地方選前半戦の2政令市議会(川崎、大阪)と1府議会(大阪)、統一外の15市議会、2区議会で占有率20%以上


統一選後半戦の党派別候補者・当選者数
 
一般市議選
東京特別区議選
町村議選
候補者数
当選者数
候補者数
当選者数
候補者数
当選者数
候補者数
当選者数
公明
1140
1140
172
172
485
485
1797
1797
自民
869
814
325
267
90
86
1284
1167
民主
326
292
91
75
50
47
467
414
自由
18
11
22
11
41
22
共産
1108
940
153
130
1056
939
2317
2009
社民
270
239
26
19
72
65
368
323
保守新
諸派
126
92
49
34
19
16
194
142
無所属
8204
6718
262
127
17525
15906
25991
22751
合計
12061
10246
1102
837
19298
17544
32461
28627
※町村議選の公明候補・当選者数には、推薦12人を含む

第15回統一地方選 前半戦の結果分析(2003年4月16日付
公明、95年以来の完勝
「生活与党」への期待示す 共産、社民は大惨敗

 第15回統一地方選挙の前半戦となる44道府県議選、12政令市議選、10都道県知事選、1政令市長選が終わった。このうち道府県議選と政令市議選で公明党は、合わせて324人の候補を擁立、見事に前々回の統一地方選挙以来の全員当選を勝ち取り、公明党への国民の期待感の高まりを示した。その一方で共産、社民両党は大きく議席を減らした。ここでは、公明党の戦いを中心に前半戦の結果を分析した。
道府県議選の公明党の選挙区別得票はこちら

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政令市議選の公明党の選挙区別得票はこちら

政令市議選の党派別当選者数はこちら



 統一地方選挙の前半戦である44道府県・12政令指定都市の議会選挙は13日、投開票が行われ、公明党は324人の公認候補が全員当選(うち10人は無投票当選)を果たし、1995年以来の完全勝利を収めた。
 今回の選挙は、21世紀初頭の日本の政治の針路を足元から問う選挙戦となり、また次期衆院選や2004年夏の参院選への前哨戦と位置付けられ、各党とも総力を挙げた。公明党は道府県議選に178人、政令市議選に146人を立てて戦った。
 この結果、公明党は道府県議選で前回比10人増、政令市議選で同3人増(今回から政令市となったさいたま市の11議席は含まず)をそれぞれ果たし、完勝した。今回の結果は、生活者の目線で政策を実現する「生活与党・公明党」に対する期待の広がりを示し、地方政治改革をリードする基盤を確保するとともに、国政においても公明党の存在感が大きく高まることになる。
 道府県議選を党派別で見ると、全体的には「与党3党が堅調だった一方、共産、社民両党の公認候補と無所属候補の議席が減少したのが目立つ」(読売新聞 14日付)結果となり、共産、社民両党の退潮傾向が際立った。
 自民党は道府県議選で1309人、政令市議選で252人となった。民主党は道府県議選で205人、政令市議選で126人に。自由党は道府県議選で25人、政令市議選で5人を確保した。保守新党は道府県議選で4人が当選した。
 これに対し、共産党は道府県議選で前回より45人も少ない107人となり、約3分の1を失う大惨敗を喫した。政令市議選でも、さいたま市(8議席)を除くと24議席の減となった。
 社民党は道府県議選で前回より21人下回って2割以上減らし、過去最低の73人に。政令市議選でも同2人減の13人で過去最少だった。
 一方、知事選では、北海道、福井、島根、福岡、大分の5道県で公明党が支持・推薦した候補が当選したほか、東京は都本部が支持した候補が圧勝した。神奈川は公明推薦の候補が健闘したが、次点となった。


道府県議選
「定数2」17選挙区を制す
各地で議席増、奪還、初議席

 東京、茨城、沖縄を除く44道府県議選で、公認候補178人が全員当選(無投票当選6人含む)を果たし、前回当選者168人(推薦2含む)を10議席上回る大勝利を飾った。148選挙区のうちトップ当選は65選挙区。公明候補の総得票数も299万5329票と前回を約28万票上回る躍進を遂げた。
 公明党の勝利を端的に示すのは「定数2の壁」に挑んだ17選挙区での完勝。中でも、前回44票差で惜敗した神戸市兵庫区で雪辱を果たしたほか、大阪府和泉市では12年ぶりに議席を回復した。さいたま市北区、北九州市門司区では定数減による激戦を見事に突破した。
 このほか、埼玉県新座市、川崎市幸区、神戸市長田区、大阪府議選の大阪市西成区、住吉区、東住吉区、東淀川区、淀川区、守口市、門真市、大東市、松原市、岸和田市で定数2の激戦を突破し、議席を死守した。
 さらに「議席増」に挑んだ選挙区では、千葉県松戸市、埼玉県川口市、神奈川県相模原市、新潟市で初の2議席獲得を果たしたほか、和歌山市、鹿児島市区でそれぞれ1議席増を勝ち取った。28年ぶりの挑戦となった静岡県富士市、初挑戦の仙台市宮城野区では悲願の初議席を獲得した。
 一方、山口県徳山市・都濃郡では23年ぶりに議席回復を果たしたほか、同県防府市佐波郡、大分県別府市では16年ぶり、福岡市中央区では12年ぶり、神奈川県平塚市では4年ぶりにそれぞれ議席回復。札幌市白石区でも議席奪還を果たした。
 このほか、山梨県甲府市、長野県長野市、同松本市、三重県四日市市、兵庫県尼崎市、北九州市小倉北区、長崎市でも定数減の激戦を突破した。


政令市議選
約半数の選挙区でトップ当選

 公明党は、北九州市を除く12政令市議選の117選挙区に146人を擁立し、全員当選(4人が無投票当選)を達成した。政令市議選の総得票数は、今回初の選挙となったさいたま市を除き、前回より6万4776票増加し、126万7141票を獲得している。今回の結果に統一外選挙の北九州市の現有11議席を加えると、政令市議会における公明の陣容は、157議席へと躍進した。
 今回、「定数2」の壁に挑んだ唯一の選挙区となった横浜市西区では、公明現職が次点と458票差で勝利をもぎとった。4年前に154票差で悔し涙をのんだ大阪市大正区では、前回票から2302票伸ばし、公明新人がトップ当選で雪辱を果たしている。同区を含め大阪市は、公明候補を擁立した18選挙区で14人がトップ当選。全体としても公明が挑戦した選挙区の半数に迫る54選挙区でトップ当選を飾った。
 今回、定数1減になった15選挙区のうち、12選挙区で前回票に上積みして完勝している。なかでも定数1減の中、1議席増に挑んだ川崎市川崎区は、前回票から5096票伸ばす執念の押し上げで3議席を勝ち取った。同じく1議席増をめざした同市幸区でも前回票に3023票、名古屋市中川区は6351票と、それぞれ大幅に上積みして2議席へ躍進。福岡市東区でも2議席から3議席へと議席増を達成した。


デマ体質に厳しい審判
共産党 6県会で議席ゼロに

 日本共産党は、統一地方選前半戦で地滑り的大敗を喫した。国民を欺く同党のデマ宣伝や朝から晩まで他党の悪口だけの常軌を逸した排他・独善の異常体質などに有権者の厳しい審判が下ったといえる。
 44道府県議選のうち、共産党の議席がゼロになったのが栃木、愛知、三重、鳥取、佐賀、宮崎の6県。また埼玉は前回11から4、兵庫でも同15から8へと大後退した。
 神奈川県川崎市議選でも共産党は前回14から7へと半減したが、同川崎区では同党は3現職のうち2人が落選、得票数も前回比で2965票減らした。
 同区は、共産党が無関係を装うものの同党の集票マシンとなっている民医連(全日本民主医療機関連合会)所属病院の川崎協同病院を抱える選挙区。同病院は、筋弛緩剤の大量投与で患者を死亡させた事件の舞台となったところ。患者への医療活動そっちのけで病院関係者が選挙活動に狂奔する実態も浮き彫りになっており、それが市民から厳しく批判された形だ。
 共産党惨敗の背景事情として、このほか、日常の議会活動でも“何でも反対”の同党が、選挙中はハイエナさながらに「これはわが党の実績」などと、大量のチラシでデマ宣伝戦術に明け暮れていることや、だれもが心を痛めているイラク問題さえも他党攻撃の道具に利用して使ったものの、「『反戦』訴え各地で苦戦」(14日付・東京新聞)と指摘されているように、同党の底意が見透かされ、有権者の反発を買ったのだろう。28年ぶりに県内の共産党議席がゼロになった愛知県議選の結果について14日付「中日新聞」では、同党が掲げた「戦争の賛否」は「有権者の心はとらえられなかった」と分析している。