アメリカ対英独立史

(最新見直し2005.6.12日)

 (れんだいこのショートメッセージ)


【ニューイングランド植民地の成立】
 (「アメリカ建国神話となったイギリス人清教徒巡礼 メイフラワー号」参照)
成立年代  植民地名  事項
1620年
プリスマ
 プリスマ会社により建設。1691年マサチューセッツに合併。
1630年  
マサチューセッツ
 マサチューセッツ湾会社により建設。1685年~1688年及び1691年から王領となる。
1631年
コネチカット
 マサチューセッツから分離。短期の王領を除き自治植民地。
1636年
ロード・アイランド
 マサチューセッツから分離。短期の王領を除き自治植民地。
1638年
ニュー・ハンプシャー
 マサチューセッツから分離。短期の王領を除き自治植民地。
1640年
メイン
 マサチューセッツから分離。短期の王領を除き自治植民地。1668年マサチューセッツに合併。



■アメリカ独立戦争(1775-1783)

1775年4月19日,ボストンのアメリカ駐留軍総司令官が派遣した武器押収のための部隊が植民地人と武力衝突を起こし,独立戦争が勃発した.植民地人がボストン近くの丘に進出してき,正規軍はバンカーヒルの戦いによりこれを追い払ったものの,未熟な民兵相手に甚大な損害を強いられた.
アメリカ人は大陸会議のもとに団結し,ジョージ・ワシントンを大陸軍総司令官に任命した.ワシントンはボストン包囲に着手し,1776年3月,イギリス軍はボストンを放棄した.
このころからアメリカ人の間で独立に向けた動きが見られるようになり,1776年7月4日,大陸会議の本会議はトマス・ジェファソンらの起草した独立宣言を採択した.
しかし,ちょうどそのころ,ニューヨークにはイギリス軍の大艦隊が現われていた.アメリカ駐留軍総司令官となったハウ将軍指揮するイギリス軍はロングアイランドの戦いでワシントンを破ってマンハッタンに上陸した.ホワイトプレーンズの戦いでも敗れたワシントンはニュージャージーに逃走した.
独立戦争もこれまでかと思われたが,1776年12月,ワシントンはトレントンの戦いで冬営中のイギリス側の部隊に奇襲攻撃をしかけ,起死回生の勝利を手にした.
1777年,イギリス軍はカナダ方面から部隊を南下させる壮大な作戦を実行に移したが,バーゴイン将軍麾下のイギリス軍は10月,サラトガ村でアメリカ軍に降伏することになった.その間,ハウの軍はアメリカの中心地フィラデルフィアを占領していたが,サラトガでの降伏で反乱の早期鎮圧はもはや不可能となった.
アメリカ軍の勇戦を見たフランスは1778年2月,アメリカと同盟し,イギリス軍はせっかく手にしたフィラデルフィアも放棄した.
1780年,アメリカ駐留軍総司令官を引き継いだクリントン将軍は南部に対する攻勢に出,チャールストン攻略に成功した.その後,イギリス軍は南部で優勢のうちに戦いを進めるが,コーンウォリス将軍が北上してヴァージニア方面に進軍すると,グリーン将軍麾下のアメリカ軍はたちまちにして南部における勢力を挽回した.
1781年,ワシントンはフランス軍と共同してイギリス軍の不意をついてヨークタウンのコーンウォリスを包囲することに成功.1781年10月,ヨークタウンのイギリス軍は降伏した.
イギリス側はなおもニューヨーク,チャールストン,サヴァンナを有していたものの,独立戦争はこれをもって事実上終結した.その後,イギリスとフランスの間で西インド諸島を中心にした戦闘が繰り広げられたが,1783年9月,講和条約が調印され,アメリカの独立は正式に認められた.



アメリカ独立宣言・全訳

               『アメリカ独立戦争』(上・下)(学研M文庫)著者のページ

「人の営みにおいて,ある人民にとって,他の人民と結びつけてきた政治的な絆を解消し,自然の法や自然の神の法によってその資格を与えられている独立した,対等の地位を地上の各国のうちに得ることが必要となるとき,人類の意見をしかるべく尊重するならば,その人民をして分離へと駆り立てた原因を宣言することが必要とされるだろう.
我らは以下の諸事実を自明なものと見なす.すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.これらの権利を確実なものとするために,人は政府という機関をもつ.その正当な権力は被統治者の同意に基づいている.いかなる形態であれ政府がこれらの目的にとって破壊的となるときには,それを改めまたは廃止し,新たな政府を設立し,人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方でその政府の基礎を据え,その権力を組織することは,人民の権利である.確かに分別に従えば,長く根を下ろしてきた政府を一時の原因によって軽々に変えるべきでないということになるだろう.事実,あらゆる経験の示すところによれば,人類は害悪が忍びうるものである限り,慣れ親しんだ形を廃することによって非を正そうとするよりは,堪え忍ぼうとする傾向がある.しかし,常に変わらず同じ目標を追及しての権力乱用と権利侵害が度重なり,人民を絶対専制のもとに帰せしめようとする企図が明らかとなるとき,そのような政府をなげうち,自らの将来の安全を守る新たな備えをすることは,人民にとっての権利であり,義務である.―これら植民地が堪え忍んできた苦難はそうした域に達しており,植民地をしてこれまでの統治形態の変更を目指すことを余儀なくさせる必要性もまたしかりである.今日のグレートブリテン国王の歴史は,繰り返された侮辱と権利侵害の歴史であり,その事例はすべてこれらの諸邦に絶対君主制を樹立することを直接の目的としている.それを証明すべく,偏見のない世界に向かって一連の事実を提示しよう.
公共の利益のために最も穏当かつ必要な法律に裁可を与えることを拒否した.
緊急かつ切迫した要のある法律を通過させることを総督に禁じ,総督をして国王の裁可が得られるまでその権能において保留させることを課し,そのようにして保留させた上で(裁可すべき)法を全く閑却した.
広範な地域の人民のための他の法を通過させることを拒み,その人民に本国の立法府において代表される権利を放棄することを求めた.そのような権利は人民にとってかけがえのないものであり,これを恐れるは専制君主のみである.
立法府を普通でない,公文書の保管所からも離れた不便な地に召集した.疲弊させることにより本国の施策に従わせんとするためである.
人民の権利の侵害に対し断固とした雄々しい決意をもって反対した代議院をたびたび解散した.
そのような解散ののち,長きにわたって新たな代議員が選出されるようにはからうことを拒否した.これにより,消滅することのない立法権限は人民全体にその行使が返還されたのである.その間もその邦は外からの侵略,内なる騒乱のあらゆる危険にさらされていたのである.
これら諸邦の人口を抑制せんと努めた.その目的のために外国人帰化諸法を妨害し,この地への移民を促進する他の諸法の通過を拒み,新たな土地の割り当ての条件をつり上げた.
司法権を確立させる諸法への裁可を拒否することにより,司法の執行を妨害した.
判事を,その地位,俸給額,俸給の支払いについて,己の意志にのみ依存せしめた.
おびただしい数の新たな官職を創設し,この地へ官吏の大群を送って我らが人民を悩ませ,我らが物資を蚕食した.
平時において我らのうちに,我らの立法府の同意なく常備軍を駐留させた.
軍部を文民権力から独立させ,それに優越させようと努めた.
我らを,我らが国制にとって異質で我らが法によって認められていない権限のもとにおくべく(本国議会と)共謀し,本来の権能を逸脱した立法府の下記の目的の諸法に裁可を与えた.
 我らのうちに大規模な軍を宿営させる
 その兵がこれら諸邦の住民に対して殺人を犯しても,みせかけばかりの裁判をすることによって処罰を免れさせる
 世界各地と我らの通商を遮断する
 我らの同意なく我らに税を課する
 多くの場合において陪審に基づく裁判の恩恵を奪う
 でっちあげの罪状によって我らを海の向こうへ移送して裁く
 隣接する植民地(カナダ)において英国法の自由な体制を廃し,そこに専横的な政府を設立し,その境界を広げることによって,その地を我らが植民地にも同様の専制支配を導入するための先例とし,格好の道具とする
 我らの特許状を取り上げ,我らの貴重この上ない法を廃し,我らの政府の形態を根本的に変更する
 我ら自身の立法権限を停止し,いかなる場合においても我らに代わって立法する権限が自分たち(本国議会)にあると宣言した
我らを国王の保護の外にあると宣言し,我らに戦争をしかけることによって我らの統治を放棄した.
我らの領海を収奪し,沿岸を荒らし,町を焼き,人民の命を奪った.
現在も外国人傭兵の大軍を送ってくるところで,それにより,最も野蛮な時代にさえその比をみない,およそ文明国の元首の名に値しない残虐と不実の状況を伴って始められた死と荒廃と専制を完成させようとしている.
公海において捕らえられた我らが同胞たる市民に祖国に対して武器を取らせ,その友人兄弟を処刑するか,さもなくばその手にかかって自らが命を落とすようにしている.
我らのうちに内乱をひき起こし,我らが辺境の住人に対し情け知らずのインディアンをけしかけようと努めた.インディアンの戦い方が,年齢,性別,社会的地位に関わりなく無差別に殺害するものであることはよく知られている.
これらの抑圧のあらゆる段階において,我らは最も謙虚な言葉をもって改善を請願してきた.我らの度重なる請願は,度重なる侮辱によって応えられたのみだった.このように専制君主の定義となりうるあらゆる行動によって特徴づけられる資質をもった君主は,自由な人民の統治者たるに不適当である.
我らは英国の同胞に対しても注意を怠ってきたわけではない.折に触れては英国の立法府が不当な権限を我らに対して及ぼそうとしていることを警告してきた.我らが祖国を出,この地に落ち着いた事情を想起させてきた.同胞たちの生来の正義心と度量に訴え,共通の血が流れる絆により,彼らがこれら,我らのつながりと交渉を必ずや絶ち切ることになる権利侵害を非とすることを懇請してきた.同胞らもまた正義と血縁の声に耳を傾けなかった.したがって,我らは我らの分離を宣言する必要性を認めざるをえず,祖国の同胞は他の人類と同様,戦時にあっては敵,平時にあっては友とみなさざるをえない.
ゆえに我らアメリカの連合諸邦(the united States of America)の代表は連合会議に集い,世界の至上なる審判者に対し我らが意図の正当性を訴えて,これら植民地のよき人民の名と権威において,厳粛に公に宣言する.これら連合植民地(United Colonies)は自由にして独立な国家であり,またそうであるべきものである.英国王に対する忠誠はいっさいこれなく,グレートブリテンとの間の政治的なつながりは完全に解消されており,またそうあるべきものである.諸邦は,自由にして独立な国家として,戦争を行ない,講和を締結し,同盟を結び,通商を確立し,その他独立国家が当然の権利として行ないうるあらゆる行為をなす完全な権限をもつものである.この宣言を支えるため,神の摂理への堅い信頼とともに,我らは相互にその生命,財産,そして神聖なる名誉を捧げあうことを約するものである.」




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独立宣言

katokt訳 (katoukui@yahoo.co.jp)

© 2002 katokt プロジェクト杉田玄白正式参加作品 (http://www.genpaku.org/)
本翻訳は、この版権表示を残す限りにおいて、訳者および著者にたいして許可をとったり使用料を支払ったりすることいっさいなしに、商業利用を含むあらゆる形で自由に利用・複製が認められる。(「この版権表示を残す」んだから、「禁無断複製」とかいうのはダメだね、もちろん)

人類の歴史のなかで、ある国民と他の国民を結びつけてきた政治的なつながりを解消し、世界の国々のなかで自然の法則と神の法則が与えてくれる、独立した対等な立場をとることが必要になる場合がある。その際に人類のいろいろな意見にきちんとした敬意をはらうには、分離へと駆りたてられる原因を述べなければならないだろう。

われわれは、以下の事実を自明のことと考えている。つまりすべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より侵されざるべき権利を与えられている、その権利には、生命、自由、そして幸福の追求が含まれている。その権利を保障するものとして、政府が国民のあいだに打ち立てられ、統治されるものの同意がその正当な力の根源となる。そしていかなる政府といえどもその目的に反するときには、その政府を変更したり、廃したりして、新しい政府を打ちたてる国民としての権利をもつ。新しい政府は、国民の安全と幸福が最大となるような原則の基盤の上に打ちたてられ、また国民の安全と幸福が最大となるような形の権力の組織化を図らなければならない。実際には分別を働かせれば、長いあいだ確立されてきた政府は、軽々しい一時的な理由で取って代わられるべきではないということはわかるだろう。従って今までの経験では、人類は不満がある政府を廃止して誤りを正すよりは、その弊害が耐えられる限りは耐える傾向にあるのだ。しかし権力の乱用や強奪が長くつづき、絶対専制支配の下に置こうとする意図が明らかで、その同じ目的をずっと追求しようとしているときには、そんな政府をなげすて、自分たちの将来の安全を新たに防護してくれる政府を求めるのが義務である。これこそが、この植民地が耐えしのんできたことである。そしてこのような必要性に迫られて、現在の政府を変えなければならなくなったのだ。現在の英国国王による歴史は、傷つけ、奪ってきたことの繰り返しであり、その直接の目的は、これらの州への絶対専制を打ちたてることである。これを証明するために、偏見のない世界へ事実を知らせたい。

国王は、もっとも健全かつ公共の福祉に必要な法律に異議をとなえてきた。

国王は、自分が承認するまでその執行をさしとめなければ、緊急かつ差し迫った重要性をもつ法律を植民地の総督が通過するのを禁じた。さしとめておいて、法律に注意をはらわず完全に無視してきたのである。

国王は、国民が立法府における代議権を放棄しなければ、その国民の広大な地域を調整する法律を通すことも拒否してきた。その権利は国民にとっては大事なものであり、専制君主のみにとって問題となるものである。

国王は、国民が根負けし、自分の政策を守るようにする目的だけのために、いつもとは違った不便で公文書の保管場所からも離れたところで立法府を召集した。

国王は、国民の権利を侵害するのに断固として反対したという理由で、下院を何回も解散してきた。

国王は、解散の後で、立法府を廃止することはできないので、その行使を一般の人々に戻すことによって、選挙を行うことを長い間拒否してきた。合衆国はそのあいだ、外国の侵攻や国内の動乱の危険にさらされてきた。

国王は、合衆国の人口の増加をなんとか押さえようとしてきた。そのために外国人の帰化の法律に反対し、合衆国への移民を奨励する法律が通過することを拒否し、新たに土地を取得する条件を厳しくした。

国王は、司法権を確立する法律へ異議をとなえることで、司法の執行を妨害してきた。

国王は、在職期間や給与の額や支払方法で、司法を自分の意のままになるようにしてきた。

国王は、多くの官職を設け、多くの役人をわれわれ国民をこまらせるために派遣してきており、その財産を食いつぶしている。

国王は、平時でさえ、立法府の同意なしにわれわれのところに軍隊を駐留させている。

国王は、軍隊に文民統制から独立し、優越した力を与えるようにしてきた。

国王は共謀して、憲法が及ばない、法律によっても認められないような司法権にわれわれを従わせるようにしてきた。そしてうわべだけの立法行為による、次のような法律に承諾を与えたのだ。

大規模な軍隊がわれわれのところに駐留する法律

州の住民に対して犯した殺人の罪から、模擬裁判で軍隊を保護する法律

世界中とのすべての地域との貿易を遮断する法律

われわれの同意なしに課税をする法律

われわれから多くの事件において、陪審による裁判をうける利益を奪う法律

みせかけの罪で裁判にかけるために、海を越えてわれわれを移動させる法律

アメリカに隣接した地域でイギリスの法律が自由に執行されるのを廃し、そこに独裁的な政府を樹立し、その政府がこのアメリカの植民地にも同じような独裁制を導入しようとする例に、また格好の手段となるように、国境を拡大しようとする法律

われわれの憲章を奪い、もっとも大事な法律を廃止し、根本から政府の形をかえる法律

われわれアメリカの立法府の活動を一時停止させ、みずからが今後すべてのケースにおいて立法権をもつとした法律

国王はアメリカが保護対象外だと宣言し、宣戦布告することでアメリカの統治を放棄した。

国王はアメリカの海を略奪し、沿岸地域を荒し、町を焼き払い、多くのわれわれアメリカ国民を殺した。

国王は、現在大規模な外人傭兵部隊を派遣し、死と破壊と暴政を全うしている。それらは、野蛮な時代の残虐さや裏切りにも匹敵するほどの状況の中で始まっていて、十分に文明化した国の指導者としてはふさわしくないことである。

国王は、公海上で捕虜にしたアメリカ市民たちに武器をとって、アメリカと戦い友人や同朋の死刑執行人になるのか、自分で自分の命を絶つのかを強制してきた。

国王はアメリカで内乱が起こるように扇動し、辺境の地に住む人々や残酷な野蛮人のインディアンを育成しようとしてきた。彼らのよく知られた戦いの掟は、年齢や性別や状態に関わらず無差別に殺すというものである。

このような圧制のあらゆる段階で、われわれはできる限り丁寧な言葉で、それらが取消されることを嘆願してきた。われわれがくりかえし嘆願してきたことは、ただくりかえし傷つけられることでしか報いられなかった。専制者であるかのような全ての行為により、その性格が特徴づけられる国王は、自由な人々の統治者としてはふさわしくない。

われわれは同胞のイギリス国民が注意をはらってくれることを望んでいるだけではなく、イギリスの立法府がわれわれに不当な司法権をかざそうとするのを折にふれ警告してきた。われわれは、イギリス国民にわれわれが移民して、ここに移住した状況を思い起こさせてきた。われわれは彼らの正義心、そして度量の大きさに訴えかけてきて、われわれの間のつながりや交流を断ち切ってしまうようなこれらの略奪行為をやめるように、血縁の結びつきをつかって思い起こさせてきた。しかしイギリス国民もまた、正義と血縁関係にもとづく声に耳を傾けてはこなかった。だから、われわれは分離を宣言し、イギリス国民に対しても、世界の他の国々と同様に、戦時には敵に、平和時には味方になる必要性に従わざる得ない。

だから、われわれはアメリカ合衆国を代表して、大陸会議を召集し、われわれの意図が間違ってないことを世界のすぐれた司法にアピールし、アメリカ植民地の善良な国民の名前と権威において、厳粛に次のことを出版し宣言する。アメリカ植民地は自由で独立した国家で、また権利として自由で独立した国家であるべきである。アメリカ植民地は、イギリス国王に対するあらゆる忠誠の義務を免れる。アメリカ植民地と英国との全ての政治的なつながりは完全に解消し、また解消されるべきである。そして自由で独立した国として、戦争をはじめ、平和を締結し、同盟をむすび、通商を開く全ての権利と、独立した国家が当然行う権利をもつ全ての物事を実施する権利をもつ。この宣言を支持するために、神の摂理による加護を強く信じて、われわれはお互いの生命と財産、そして名誉にかけて相互に誓いをたてる。

あとがき

なんでまた独立宣言を訳したのかって疑問はもちろんあるわけで、どうしてなんでしょう?(結城さんのお奨めも間接的な理由です、感謝)

そう、自由な文書を集めているプロジェクトの最初の文書はなんでしょう? という疑問とこれは重なるわけだ。

まず日本のコモンズのトップランナー青空文庫 <http://aozora.gr.jp/>。はっきりとはしないけど、1997年2月から5月あたりが開始時期で、5つのブック(中島敦『山月記』他)が最初の文書らしい。経緯は<http://www.aozora.gr.jp/soramoyou1997.html>あたりで。

じゃあ、やっぱりプロジェクト杉田玄白 <http://www.genpaku.org/>? これは山形浩生35才記念 <http://www.post1.com/home/hiyori13/jindex.html> だから、<http://ruitomo.com/~rayna/hiroo/profile.html>あたりから計算すると、1999年3月あたりが開始時期で、ざっと正式登録文書から見るとレイモンド、エリック・S 『伽藍とバザール』あたりが最初の文書の代表かなと(訳自体は1998年1月になっているし)

で、独立宣言はそう、 プロジェクトグーデンベルグ<http://promo.net/pg/> の最初の登録文書なわけだ。それはなんと1971年のこと。ここらへんにアメリカのインターネットの奥深さを知る思いだね。当時、ネットでの自由な文書に注目した人なんてアメリカ以外にいたんだろうか、いやいなかったろうな。とにかくその時の最初の文書がこの独立宣言なわけだ。

その経緯は<http://promo.net/pg/history.html#beginning>に詳しい。

で翻訳の話題を含めたグーデンベルグの話を少し。グーデンベルグはテキストの配布に厳密な条件をつけている。

You may distribute copies of this etext electronically, or by
disk, book or any other medium if you either delete this
"Small Print!" and all other references to Project Gutenberg, or:


「はいはい英文を配布する時ね」なんて安易に読み飛ばしている場合ではなく、翻訳も良く考えてみれば(考えなくてもか)、英文のコピーということで最後の”or”以降の条件も守らない場合は、英文が存在するサイトへのリファレンスは全て削除しなければならない。そこで往々にして原文が「どこに」あるかを示していないことがあるわけだ。

もちろんこの条件は、グーデンベルグとしてのテキストの品質を保証するためであり、これを回避するためには、グーデンベルグへのリファレンスをなくし、ヘッダーをとった英文を自分のサイトに載せればいい。(もちろんアメリカと日本、その他の国々で著作権法が食い違うため、この方法が適用できないケースもあることに注意!)

よくメールで聞かれたり、他の翻訳でもリファレンスがあったりするので、注意がてらこの後書きを書いてみました。

えっ、この独立宣言はどうなんだって? 安心してください。
手元のヘンな枠線がある古文書みたいな紙の独立宣言を訳しました。それにしてもひさびさに筆記体をみたな。

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The Unanimous Declaration of the thirteen United States of America
The Declaration of Independence Declaration of Independence

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Declaration text | Rough Draft | Congress's Draft | Dunlap Broadside | Image | Scan

IN CONGRESS, JULY 4, 1776
The unanimous Declaration of the thirteen united States of America

When in the Course of human events it becomes necessary for one people to dissolve the political bands which have connected them with another and to assume among the powers of the earth, the separate and equal station to which the Laws of Nature and of Nature's God entitle them, a decent respect to the opinions of mankind requires that they should declare the causes which impel them to the separation.

We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness. — That to secure these rights, Governments are instituted among Men, deriving their just powers from the consent of the governed, — That whenever any Form of Government becomes destructive of these ends, it is the Right of the People to alter or to abolish it, and to institute new Government, laying its foundation on such principles and organizing its powers in such form, as to them shall seem most likely to effect their Safety and Happiness. Prudence, indeed, will dictate that Governments long established should not be changed for light and transient causes; and accordingly all experience hath shewn that mankind are more disposed to suffer, while evils are sufferable than to right themselves by abolishing the forms to which they are accustomed. But when a long train of abuses and usurpations, pursuing invariably the same Object evinces a design to reduce them under absolute Despotism, it is their right, it is their duty, to throw off such Government, and to provide new Guards for their future security. — Such has been the patient sufferance of these Colonies; and such is now the necessity which constrains them to alter their former Systems of Government. The history of the present King of Great Britain is a history of repeated injuries and usurpations, all having in direct object the establishment of an absolute Tyranny over these States. To prove this, let Facts be submitted to a candid world.

He has refused his Assent to Laws, the most wholesome and necessary for the public good.

He has forbidden his Governors to pass Laws of immediate and pressing importance, unless suspended in their operation till his Assent should be obtained; and when so suspended, he has utterly neglected to attend to them.

He has refused to pass other Laws for the accommodation of large districts of people, unless those people would relinquish the right of Representation in the Legislature, a right inestimable to them and formidable to tyrants only.

He has called together legislative bodies at places unusual, uncomfortable, and distant from the depository of their Public Records, for the sole purpose of fatiguing them into compliance with his measures.

He has dissolved Representative Houses repeatedly, for opposing with manly firmness his invasions on the rights of the people.

He has refused for a long time, after such dissolutions, to cause others to be elected, whereby the Legislative Powers, incapable of Annihilation, have returned to the People at large for their exercise; the State remaining in the mean time exposed to all the dangers of invasion from without, and convulsions within.

He has endeavoured to prevent the population of these States; for that purpose obstructing the Laws for Naturalization of Foreigners; refusing to pass others to encourage their migrations hither, and raising the conditions of new Appropriations of Lands.

He has obstructed the Administration of Justice by refusing his Assent to Laws for establishing Judiciary Powers.

He has made Judges dependent on his Will alone for the tenure of their offices, and the amount and payment of their salaries.

He has erected a multitude of New Offices, and sent hither swarms of Officers to harass our people and eat out their substance.

He has kept among us, in times of peace, Standing Armies without the Consent of our legislatures.

He has affected to render the Military independent of and superior to the Civil Power.

He has combined with others to subject us to a jurisdiction foreign to our constitution, and unacknowledged by our laws; giving his Assent to their Acts of pretended Legislation:

For quartering large bodies of armed troops among us:

For protecting them, by a mock Trial from punishment for any Murders which they should commit on the Inhabitants of these States:

For cutting off our Trade with all parts of the world:

For imposing Taxes on us without our Consent:

For depriving us in many cases, of the benefit of Trial by Jury:

For transporting us beyond Seas to be tried for pretended offences:

For abolishing the free System of English Laws in a neighbouring Province, establishing therein an Arbitrary government, and enlarging its Boundaries so as to render it at once an example and fit instrument for introducing the same absolute rule into these Colonies

For taking away our Charters, abolishing our most valuable Laws and altering fundamentally the Forms of our Governments:

For suspending our own Legislatures, and declaring themselves invested with power to legislate for us in all cases whatsoever.

He has abdicated Government here, by declaring us out of his Protection and waging War against us.

He has plundered our seas, ravaged our coasts, burnt our towns, and destroyed the lives of our people.

He is at this time transporting large Armies of foreign Mercenaries to compleat the works of death, desolation, and tyranny, already begun with circumstances of Cruelty & Perfidy scarcely paralleled in the most barbarous ages, and totally unworthy the Head of a civilized nation.

He has constrained our fellow Citizens taken Captive on the high Seas to bear Arms against their Country, to become the executioners of their friends and Brethren, or to fall themselves by their Hands.

He has excited domestic insurrections amongst us, and has endeavoured to bring on the inhabitants of our frontiers, the merciless Indian Savages whose known rule of warfare, is an undistinguished destruction of all ages, sexes and conditions.

In every stage of these Oppressions We have Petitioned for Redress in the most humble terms: Our repeated Petitions have been answered only by repeated injury. A Prince, whose character is thus marked by every act which may define a Tyrant, is unfit to be the ruler of a free people.

Nor have We been wanting in attentions to our British brethren. We have warned them from time to time of attempts by their legislature to extend an unwarrantable jurisdiction over us. We have reminded them of the circumstances of our emigration and settlement here. We have appealed to their native justice and magnanimity, and we have conjured them by the ties of our common kindred. to disavow these usurpations, which would inevitably interrupt our connections and correspondence. They too have been deaf to the voice of justice and of consanguinity. We must, therefore, acquiesce in the necessity, which denounces our Separation, and hold them, as we hold the rest of mankind, Enemies in War, in Peace Friends.

We, therefore, the Representatives of the united States of America, in General Congress, Assembled, appealing to the Supreme Judge of the world for the rectitude of our intentions, do, in the Name, and by Authority of the good People of these Colonies, solemnly publish and declare, That these united Colonies are, and of Right ought to be Free and Independent States, that they are Absolved from all Allegiance to the British Crown, and that all political connection between them and the State of Great Britain, is and ought to be totally dissolved; and that as Free and Independent States, they have full Power to levy War, conclude Peace contract Alliances, establish Commerce, and to do all other Acts and Things which Independent States may of right do. — And for the support of this Declaration, with a firm reliance on the protection of Divine Providence, we mutually pledge to each other our Lives, our Fortunes and our sacred Honor.

John Hancock

New Hampshire:
Josiah Bartlett, William Whipple, Matthew Thornton

Massachusetts:
John Hancock, Samuel Adams, John Adams, Robert Treat Paine, Elbridge Gerry

Rhode Island:
Stephen Hopkins, William Ellery

Connecticut:
Roger Sherman, Samuel Huntington, William Williams, Oliver Wolcott

New York:
William Floyd, Philip Livingston, Francis Lewis, Lewis Morris

New Jersey:
Richard Stockton, John Witherspoon, Francis Hopkinson, John Hart, Abraham Clark

Pennsylvania:
Robert Morris, Benjamin Rush, Benjamin Franklin, John Morton, George Clymer, James Smith, George Taylor, James Wilson, George Ross

Delaware:
Caesar Rodney, George Read, Thomas McKean

Maryland:
Samuel Chase, William Paca, Thomas Stone, Charles Carroll of Carrollton

Virginia:

トマス・ペインは、『コモンセンス』の中で、『手頃な木の下を公会堂に見立てて、公共の問題を討議することにこそ民主主義の精神は宿る』と論じた。アメリカは、トマス・モアがユートピアを構想した新大陸において、『自由のかがり火』と同時に『人類の避難所』を世界に与え、アレクシス・ド・トクヴィルが驚嘆した平等と民主主義の聖地として発展した。多様な民族を受け入れ、国家として能力も高く、人類に対して特別の使命を抱いているという立場で、右派・左派を問わず見られる認識であると著者は指摘する。(五十嵐武士「覇権国アメリカの再編」)日経2001.9.23日「読書」欄・上智大学教授・猪口邦子)

 1776年に東部13州で独立したアメリカは、西へ西へと領土を拡げて、以後200年の間に星の数を50にまで拡大した。1846年、カナダとの国境を確定してオレゴン州を獲得。これにより、太平洋岸まで領土を拡大した。同年5月、メキシコと戦端を開き、メキシコ市を陥落させ、48年の講和でカリフォルニア、ニューメキシコの両地方を割譲させた。1897年、ハワイ王国を奪取した。


 ジェファーソン(1743―1826)
 33歳の若さで「独立宣言」起草。独立戦争時にはフランス公使となり、初代大統領ワシントンの下で国務長官を務める。1800年大統領に就任。アメリカ民主主義研究の上で欠かせない人物である。





(私論.私見)






(私論.私見)


 1776年に東部13州で独立したアメリカは、西へ西へと領土を拡げて、以後200年の間に星の数を50にまで拡大した。1846年、カナダとの国境を確定してオレゴン州を獲得。これにより、太平洋岸まで領土を拡大した。同年5月、メキシコと戦端を開き、メキシコ市を陥落させ、48年の講和でカリフォルニア、ニューメキシコの両地方を割譲させた。1897年、ハワイ王国を奪取した。