444−235 国会議員及び秘書の憲法規定と在り方、秘書給与の流用考
「政策秘書制度」
 国費で賄う二人の公設秘書に加えて一人増員。衆院議長の諮問機関「国会議員の秘書に関する調査会」で審議され、1994年に創設された。その際、新たに第三秘書の増設は世間の理解を得ることが難しいと判断され、議員の政策立法能力を高めるという大義名分で「政策立案秘書」として制度化された。しかし、その後の実態は理念は形骸化、給与流用の抜け道になっている。

 調査会で決まった政策秘書の基準は、当初は@・独自の資格試験の合格者、A・国家公務員1種試験など公的試験に合格した者であったが、次に「公設秘書としてまの在職経験が10年以上の者」を加え、スタートした。2003.7.19日現在衆参計664名、本来の資格試験をパスした者は69名。ほぼ9割が公設秘書からの「看板掛け替え組」。「形だけの研修と面接をパスするだけ。政策秘書になるのは運転免許を取るより簡単」との声もある。他の二人の公設秘書よりも給与が高く、名義だけの秘書や親族を置き給与を受け取るケースも見られる。

 「議員から通帳と印鑑を渡せと云われて従う」秘書も多い。


4月25日 15:02

辻元清美氏:警視庁が刑事責任追及へ 秘書給与疑惑で

 辻元清美・社民党前衆院議員(41)が、政策秘書の給与の大半を事務所経費などに充てていたとされる問題で、捜査当局は25日までに、こうした行為が国を被害者とする詐欺や、無届けの寄付による政治資金規正法違反の疑いがあるとみて、刑事責任追及に乗り出す方針を固めた。連休明けにも関係者の聴取に乗り出し、国から支給された給与の流れを分析し、立件が可能かどうか判断する。

 辻元氏の政策秘書だった佐々木美枝(96年10月〜97年3月)、辺見真佐子(97年4月〜98年12月)両氏の給与振り込みなどに関する書類は、警視庁が既に衆院事務局から任意提出を受けている。

 政策秘書の給与は、経験年数によって、年額で約780万〜1200万円。辻元氏の説明や社民党の報告によると、毎月、佐々木氏には7万7000円、辺見氏には5万円が支払われていたが、それ以外は他の秘書の人件費を含む事務所経費に充てたとされる。

 捜査当局によると、辻元事務所での勤務実態がなければ、2人に支払われた「給与」分が、少なくとも「名義借り」に当たり詐欺の疑いが強まる。勤務実態があって、支給給与が2人の管理下にあっても、事務所に流れた金については、寄付(献金)の報告は一切ないため、捜査当局は政治資金規正法に抵触する疑いが強いとみている(佐々木氏分は既に時効=5年=が成立)。

[毎日新聞4月25日] ( 2002-04-25-15:01 )


 2002年4月政局で、社民党辻本清美衆院議員の秘書給与流用をきっかけに、秘書制度の在り方がクローズアップされてきた。どうやら問題のありかは次の点にあるようだ。@・「名義狩り」及びそれに伴う秘書給与の流用、A・「親族採用」による実質議員の第二給与化、B・「政党のピン撥ね」及びそのことによる政党の国費流用、C・「秘書の議員及び政党への適正寄付問題」、D・「二重在籍秘書問題」、E・「腰掛け秘書問題」。

 これらは、政治家の資質レベルの問題として済ませられるものと、政治活動に伴う財政逼迫による転嫁問題として根が深いものと、秘書身分の不安定さがもたらす捻れ問題とに分岐しているように思われる。なお、それぞれが程度の軽いものと重症のものとがあるようである。

 最低限これらの識別をせずに、政治家訴追運動で正義ぶるのは馬鹿馬鹿し過ぎはしないだろうか。




(私論.私見)



2002年11月12日付公明新聞「兵本達吉氏(元日本共産党国会議員秘書)の講演から」
>秘書給与を「国会活動に使った」はウソ
 【質問】拉致問題とは直接的なかかわりはないが、共産党には秘書給与を党本部が巻き上げ、別の目的に流用しているとの疑惑がある。事実か。
 【答え】この問題については、私は東京地検特捜部にすでに告発している。そのうち捜査してくれるだろうと思う。この前も検察庁に呼ばれ、事情の説明に行ってきたが、今回は取り上げてくれるだろうと思う。そもそも国会議員には立法調査費、文書通信費など必要な経費が全部ある。
 つまり、国会議員として活動するために必要な経費は国から支給されているわけで、定かではないが、1カ月で百数十万円があるのではないか。しかし、私どもの事務所ではせいぜい1カ月に30〜40万円を使っていたかどうかだ。秘書から給与を半分召し上げて、それを国会活動に使っていたというのは全くウソでしょう。そんなことは調べたらすぐ分かる。だから検察庁に調べてくれ、といってある。