倉山満の政論に対するれんだいこ批判

 (最新見直し2015.04.03日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで倉山満の政論を確認し、れんだいこが批判しておく。

 2014.5.11日 れんだいこ拝



【倉山満プロフィール】
 憲政史研究者。中央大学大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、同大学で日本国憲法を教え現在に至る。
 1973年、香川県生まれ。
 1996年(平成8年)、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業。
 1998年(平成10年)、中央大学文学研究科日本史学専攻修士課程修了。
 1999年(平成11年)、国士舘大学政教研究所非常勤研究員を務める。
 2006年(平成18年)、中央大学文学研究科日本史学専攻博士課程単位取得満期退学。
 2011年(平成23年)、9月より、チャンネルAJERに定期的に出演
 2012年(平成24年)、8月より、倉山塾開講。帝国憲法講義の配信等を行う。
               11月より、日本文化チャンネル桜のキャスターに就任。また、シダックス創業者・志太勤が創立した               一般財団法人希望日本投票者の会のシンクタンク・希望日本研究所の所長となった
 2013年(平成25年)、4月29日より、チャンネルグランドストラテジーにて『じっくり学ぼう!日本近現代史』配信開始
               10月3日、水島総・三橋貴明らとの消費増税の反対運動の方針の違いを巡ってチャンネル桜のキ                ャスターを突如自ら降板。10月11日より、「チャンネルくらら」を開局。12月3日、『嘘だらけの日韓近               現代史』を刊行。2014年3月現在8万部ほど売れている
 2014年(平成26年)、4月10日、『増税と政局・暗闘50年史』を刊行。4月15日、同書の刊行に際し、倉山及びイースト・プレ               スに対して経済評論家の三橋貴明から名誉毀損・損害賠償などの主旨の「内容証明」が送付され               、訴訟を提起される。 

 著書に『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)、『検証 財務省の近現代史』(光文社)。シリーズ累計20万部を突破したベストセラー『嘘だらけの日米近現代史』『嘘だらけの日中近現代史』『嘘だらけの日韓近現代史』に続いて、『保守の心得』を3月1日に発売 。5月1日に『帝国憲法の真実』を発売。HP「倉山満の砦(http://www.kurayama.jp/)」「倉山塾(https://kurayama.cd-pf.net/)」を主宰。

 「倉山満「保守を自任するなら、帝国憲法について語れ」(2014.03.03)」を転載しておく。
 前回、「帝国憲法をタブーから解き放つ(http://nikkan-spa.jp/588543)」と宣言した憲政史家の倉山満氏。そもそも現行の日本国憲法と明治22年2月11日(1889年)に公布された大日本帝国憲法は何が違うのか? そして、帝国憲法はなぜタブーになったのか? 新刊『保守の心得』を上梓した倉山満氏に聞いた。

 「明治時代、日本が生き残るために必要だったのは、西欧の人々が納得するような憲法や法体系でした。憲法がなければ、不平等条約も改正できず、西欧に伍することはありないからです。そこで伊藤博文らが、西欧のサル真似ではなく、日本の歴史、文化、伝統に則りながら、西欧をも凌駕するような気概で作ったのが大日本帝国憲法でした。日本古来よりある十七条憲法と五箇条の御誓文から『古事記』『日本書紀』までを徹底的に研究し、たとえば、議会制民主主義は『孝徳天皇や天智天皇のころよりから日本は話し合いで政治をやってきた、天皇が臣下と相談せずに物事を進めるという伝統は我が国にはない』というふうに解釈し解説書を著しました。西欧の流儀を取り入れつつも、日本の伝統には則る。変わりゆく伝統のなかで歴史を紡ぐことを決意したのです。帝国憲法に書かれている国家観は『日本は天皇の国である』という一言に尽きます。これまでの日本は天皇によって統治されてきたことを条文で定めるのではなく、改めて『確認する』という内容になっています」。

 伊藤博文らは10年近くもの時間をかけて、伝統と国益が両立する憲法を作りあげた、と。一方の日本国憲法はマッカーサーの落書きをもとに素人が1週間で書き上げてものだと言われていいます。

 「かけた労力もさることながら、両者の最大の違いを端的に言えば、有事を想定していないことにあります。日本人が本当の意味で天皇を必要とするのは、『いざ』という有事です。有事とは国家事変、戦争、天災の三つで、これらが起こったとき、天皇は日本の中心となって、国を滅亡から救う役割が求められるのです。たとえば、国家事変の典型は二・二六事件ですが、クーデターによって内閣がなくなったとき、反乱軍討伐の方針を示したのは昭和天皇でした。帝国憲法では、『いざ』というときに日本国の本来の持ち主として、天皇は麻痺した政府機能を回復する役割を担っているのです」。

 東日本大震災で菅直人首相が右往左往するなか、米軍は自由に動き回っていた現在とはまるで様相が違います。

 「マッカーサーは日本を奴隷化するために、『いざ』というときの文言をわざと入れなかった。現在の日本は、平和憲法という名の占領憲法と日米安保条約によって、『いざ』というときの役割を米軍に委ねてしまっています。米軍がいなければ、有事を切り抜けられないような現状を『滅亡』と考えるか、それとも首の皮一枚でつながっていると考えるのか。戦後生まれの日本人にとっては当たり前の日常ですが、本当にいまのままでいいのでしょうか? そう言うと、70年間も日本国憲法をありがたく奉ってきた世代の思いはどうなるのか!と怒り出す人がいるのですが、知ったことではありません。若い世代ははっきり言えばいいのです。現行憲法を後生大事にしているから、若者が不幸になるのだと。日本という国を真剣に考えて作られたのは帝国憲法です。帝国憲法どころか、憲法改正を口にするだけでも、アジア近隣諸国の顔色をうかがわなければならないなど、日本は本当に独立国なのでしょうか。政治家に圧力がかかるなら、国民が力を結集すべきでしょう」。

 日本が敗戦国のままでいることによって利益を得ている勢力がいる限り、憲法の見直しは進まないだろう。だからこそ、倉山氏は「日本は好きだけど何をしたらいいのかわからない」という人に「成熟した保守になれ! 帝国憲法はタブーではない!」と提言している。倉山氏の新刊『保守の心得』は言論界に一石を投じる書になりそうだ。<取材・文/犬飼孝司 写真/本多 誠>

 「『日本国憲法はデタラメ』憲政史研究者・倉山満」を転載しておく。

 憲政史研究者・倉山満  「日本国憲法に「誤植」が放置されている理由とは?」を転載する。
 本日、5月3日は「憲法記念日」。言うまでもなく、1947年に日本国憲法が施行された日である。「平和」「人権」「民主主義」を謳った正しく美しい憲法というイメージを、日本国憲法に対して抱いている人は少なくないだろう。昨年、その全文を掲載した『日本国憲法』(小学館)が約20年ぶりに改版され、コンビニを中心にベストセラーになったのは記憶に新しい。Amazonのレビューにも「美しい前文に涙しました」などの賛辞が並ぶが……。

 「とんでもない! 日本国憲法の前文ほど、ゴミみたいにひどい日本語はありませんよ」。

 真っ向からこき下ろすのは、憲政史家の倉山氏。「ためしに音読してみてください。読みにくいことこのうえなく、リズムも絶望的に悪い。美的センス皆無です。とくにひどいのが、『われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、~~と信ずる』という第三段落。いったい『~~』の中にいくつ主語があるんでしょうか。『SPA!』のライターがこんな文章を書いたら即、クビですね!」。

 日本国憲法の前文が日本語として読みにくいのも道理で、なんとなれば「英語の原文をほぼ直訳しただけ」のものなのである。問題の第三段落も、英語で読めば格段にわかりやすくなるのだ。

 このへたくそな文章は、当時の日本政府が後世に残した“暗号”だ――と倉山氏は見立てる。

 「マッカーサーから大日本帝国憲法の改正を示唆され、政府は後に『松本案』(憲法担当大臣・松本烝治法学博士が審議を担当)と呼ばれる改正案を提出します。ですが、その内容は、日本の国家体制を破壊し、自立を許さず、永遠に敗戦国として飼い慣らそうと目論むアメリカにとって満足のいくものではなかった。そこで、マッカーサーはオリジナルの憲法草案をたったの1週間で作成するのです。この『マッカーサーノート』と呼ばれるラクガキこそが、今日の日本国憲法の原案。当然、日本政府も抵抗するのですが、最終的には占領軍の圧力に屈して受け入れざるを得なかった。当時の新憲法審議の記録には、前文を『あえて直訳調にする』と決定する過程がハッキリ残っていますが、その心は『この憲法は日本人の手によるものではなく、アメリカ人が押し付けてきたので、日本人は嫌々受け入れているのだ』という本音にあるのです」

 日本国憲法の中身のおそまつさは、過去記事日本国憲法はデタラメ(http://nikkan-spa.jp/630898)に詳しい。そんな憲法をありがたがるのもバカげた話だが、いつしか日本国民には、日本国憲法が最高の法であるかのような刷り込みが浸透していった。今や、日本国憲法を一言一句であれ変更することは戦後民主主義への冒涜である――と主張する強固な「護憲派」も少なくない。だが、そんな日本国憲法に「誤植」があることは、あまり知られていないだろう

 「天皇の国事行為について規定した〈第七条第四号〉に、次のようなくだりがあります。『議員の総選挙の施行を公示すること』。ですが、参議院選挙のときに衆議院総選挙が重なっても、参議院の半分は非改選ですから『国会議員の総選挙』はあり得ません。『総』の一文字は誤植なのです」

 日本国憲法の審議を担当したのは、当時の法律のプロたちであり、条文に誤植などないよう目を光らせるのが仕事である。そんな彼らが誤植を見逃した……という事実をどう見るべきか。

 「誤植にかこつけて、いずれ憲法を改正しようとしていた……あるいはもっと単純に、まさかこんなに長く日本国憲法が維持されるとは思ってもいなかった、というところでしょう。マッカーサーの手下にケージスという弁護士がいまして、この人は日本にとって不利な条文を日本国憲法に多数盛り込んだ悪玉なんですが、昨今の憲法改正論議の高まりを受けて、あろうことかこのケージス本人に『日本国憲法はこれからどうすればいいんでしょうか』と聞きに行ったバカがいるんです。そのときのケージスの返答がふるっていて『あんなバカな憲法、まだ使ってたの?』と」。

 本来、憲法(Constitution)とは、その国の歴史や文化や伝統に則った「国柄」そのものを指す言葉である――と倉山氏は言う。憲法とは、その国にとって何が正しいのかを考える、いわば“哲学”なのだ。憲法を語るには、歴史の検証や諸外国との比較は欠かせず、当然その過程で条文も適宜アップデートされるべきものである。70年近くにわたって日本国憲法が一度も変えられていない…… という事実は、あたかも美談であるように語られているが、まっとうに考えればきわめて不健全な話なのだ。

 「とはいえ、自民党の改憲案のように日本国憲法の文面をちょっとイジるだけでは、なんら根本的な解決にはなりません。繰り返すように、日本国憲法そのものが、日本を永遠に敗戦国に留め置くためにつくられた憲法だからです。日本の国柄を真に体現する憲法とは何なのか……それを考えることこそ、本物の“憲法論議”なのではないでしょうか」。

 倉山氏の新刊帝国憲法の真実(小社刊)は、戦後「日本を亡国にいたらしめた悪の憲法」としてタブー視されてきた帝国憲法(明治憲法)を、日本の歴史・文化・伝統に則ったまっとうな憲法として見つめなおす一冊だ。「日本国憲法が正義」という捏造されたファンタジーから脱却し、真剣に日本の未来を考えたいという人は、ぜひ一読を! <取材・文/日刊SPA!編集部>

 憲政史研究者・倉山満「今の憲法改正論議は、レベルの低い“お遊び”」を転載する。
 「去る5月3日は「憲法記念日」であった。この日に向けて憲法改正論議が盛り上がるのは、このところ毎年の恒例行事となっている。だが、憲政史家の倉山満氏は、昨今の憲法論議は、護憲派も改憲派も、本質論から程遠い「お遊び」に終始している――と一刀両断!

 まずは「護憲派」の矛盾から解説してもらおう。

「とにかく日本国憲法を一字一句変えたくないというカルト宗教の信者みたいな護憲派は、『人権の実現』に固執するんですが、人権を本当に実現したいんだったら、護憲なんて言ってられないはずなんですよ。例えば選挙での“1票の価値”を問う裁判でも、最高裁判所では何度も憲法違反の見解を示しているのに、判決は“警告”どまり。延々、警告を出し続けるだけで何の強制力もありゃしない。現状の日本国憲法は、単なる“人権カタログ”に過ぎません」

 目下、憲法論議の争点となっている「集団的自衛権の解釈変更」に関するスタンスでも、護憲派のトンチキぶりが目につく。

「彼らは『これまで積み上げてきた議論を、時の政権の意向で左右してよいものか』というのを決まり文句にするんですが、これまで議論を積み上げてきたのが誰かといえば、内閣法制局ですよ。つまり、選挙で選ばれていない官僚です。選挙で選ばれた総理大臣より、法制局長官のほうが偉いとでも言うのでしょうか。護憲派の皆さんは、民主主義を完璧に捨ててますよね」

 一方で、自民党の改憲案にもまったく感心はできないと倉山氏は嘆息する。

「ひとつの厳然たる事実として、自衛隊は国を守るにはあまりにも脆弱です。正規軍、予備役合わせても、同じ島国で日本より領土が小さい台湾の兵力を大きく下回っており、東アジアの中だけでも完全に“戦力外通告”。こんなことになっている理由は簡単で、軍隊を持つか持たないかで国としての合意がないからです。そんな国が日本以外のどこにあるというのでしょう? 大半の国では『持つ』という合意があり、一部にはバチカンみたいに『持たない』という国もある。あるいはコスタリカみたいに、軍隊を廃止するかわりに有事には全国民が民兵として戦うという国もある。その議論を経ずに、憲法の条文で自衛隊の名前を国防軍に変えただけで、“軍隊”になるわけがない

 条文の一字一句に拘泥する今の憲法論議では、まともな“国防”など望むべくもないのだ。

「安倍内閣について、実は増税以上の失政だと思っているのが、北朝鮮拉致被害者を自衛隊によって取り返すのは憲法上の制約で不可能だと判断し、米軍に奪還を要請したこと。自国民が拉致されているのを自力で取り返すことを許さない日本国憲法というのは、憲法典自体が立派な憲法違反ですよ。自国民を取り返せない日本国憲法そのものが異常です」

 そもそも、日本国憲法の条文を変えるかどうかで争っていること自体がおかしい――と倉山氏は強調する。

「本来、憲法(Constitution)とは、その国の歴史や文化や伝統に則った『国柄』そのものを指します。これを戦前は『国体』と呼んでいました。その中から、あえて確認のために文字にした部分が“法としての憲法”、すなわち憲法典(Constitutional code)であり、戦前の『帝国憲法』だったのです。一方の日本国憲法は、日本の国体を破壊し、日本を敗戦国のままに留めておくためにつくられたもの(詳しくは過去記事日本国憲法はデタラメ参照)。そんなゴミのような憲法をどんなに頑張って変えても、現実論なんて出てくるわけがありません。帝国憲法の改正憲法が実現したときにこそ、はじめて日本は戦後レジームから脱却できるのです
日本国憲法はデタラメ http://nikkan-spa.jp/630898

 倉山氏の新刊『帝国憲法の真実』(扶桑社刊)は、戦後「日本を亡国にいたらしめた悪の憲法」としてタブー視されてきた帝国憲法(明治憲法)を、日本の歴史・文化・伝統に則ったまっとうな憲法として見つめなおす一冊だ。憲法のあり方、政治と軍事の関係、宗教との向き合い方――という3つのテーマで、新旧憲法を丹念に比較している。「お遊び」から脱却して、本物の憲法論議を始めたい人はぜひ一読を!」。
 「倉山満「歴史に学ぶことができない日本人へ」」を転載する。
 「日本人が信じている「教科書的近現代史」を根こそぎ引っくり返し、正しい歴史認識を提示する人気シリーズ『嘘だらけの○○近現代史』(扶桑社刊)。『日米』『日中』に続き、最新刊の『嘘だらけの日韓近現代史』も大ヒット中だ。

倉山満氏

このシリーズでやりたかったのは“通史”を描くこと。日本の歴史学者は総じて、過剰に細分化された専門分野の研究にのみ耽溺する、平たく言えばただのオタクです。通史を語れる人間がいないんですよ。というより、学会では通史を語るヤツなんて淫祠邪教で火炙りの刑レベルの異端者(苦笑)。ならば自分が書いてやろうと思ったわけです」と語るのは、著者の倉山満氏。

 加えて、本シリーズによって“通史”に触れることで、歴史を見るときの“大局観”を身につけてほしい……というのが倉山氏の願いだ。確かに、暗記科目として歴史を学んできたわれわれ日本人の大半は、歴史を見るときの大局観を決定的に欠いている。

「榎本武揚、陸奥宗光、小村寿太郎、石井菊次郎らの時代には、日本人もきっちり大局を見ていたんです。『外国に負けたら殺される』という凄まじい緊張感の中で、世界情勢や歴史の研究を怠らなかった。それが、日露戦争に勝った瞬間に平和ボケしてしまうんですね。海軍が発行していた雑誌をひもといても、日露戦争前にはイギリスの海軍史に関する研究がたくさん出てきます。フランシス・ドレークや七年戦争なんかについて、当時の海軍関係者が拙いなりに一生懸命研究しているんですが、それが戦争に勝ったのを機にぴたりと止まるんです。以後ずっと、日本人は“目の前のこと”しか見ようとしていません

 その結果、日米開戦、および敗戦という悲劇が起きた。

「昭和初期の海軍の不勉強ぶりときたら目も当てられません。フランクリン・ルーズベルトは、『アメリカ国外での戦闘には参加しない』と選挙で公約しているので自分から弾は打てない。さらに当時の厭戦気分(パシフィズム)も考えると、何がどうなってもアメリカは1年以上は戦えないというのがわかるはずなのに、なんでわざわざハワイを攻めてヤツらに火をつけちゃうの?という話です。アメリカと戦う是非はさておき、攻めるんならなぜマニラじゃなくてハワイなの?と」

 当時の海軍は、アメリカの社会すら研究していなかったわけである。

「ところが、歴史学者の中でも学歴コンプレックスがもっとも強い軍事マニアの人たちは、『当時の偉い人たちが決めたんだから、何か理由があったんだろう』と言うんですよ。当時の一次史料を持ってきて『こういう理由があったんだ!』とドヤ顔をするわけですが、理由があったのはわかるとして、なぜそれが正当だと言えるのでしょう? くだらないことをやらかす背景には、くだらない理由しかないのに、そこで無理やり合理的な説明をつけようとするから意味不明になる。普通の考え方なら、山本五十六ってただのバカでしょ?バカじゃなきゃスパイでしょ?となるわけですが、それを言うと、軍事マニアは『後知恵はよくない』と怒るんですよね(苦笑)」

 かくして「歴史に学ぶ」というあるべき態度は葬り去られ、「目の前のことしか見ない」という悪習は、われわれ日本人に戦後も延々と受け継がれているのである。

「日本人にとって、ちょっと前の首相なんて、もう歴史上の人物じゃないですか。小泉さんは最近また出てきたので“今の人”になりましたが、小渕さんとか竹下さんなんて、ほとんど聖徳太子と変わらない(笑)。ですが、今、目の前で起きていることを正しく認識するには、歴史を顧みることが不可欠なんです

 例えば、東京都知事選で「なぜ、小泉は細川を担いだのか?」という素朴な疑問。

「歴史を知らないと『小泉さんは何考えてるんだろう』となるでしょう。しかし、小泉さんのこれまでの手口を振り返れば想像がつく。小泉内閣時代、石原新党が立ち上がるという話がありましたが、そこへ“バスに乗り遅れるな!”とばかりに石原慎太郎さんに寄っていった亀井静香や野中広務ら(小泉)反対派は皆、見事に轢き殺されました(笑)。そのパート2が、安倍さんと福田(康夫)さんの関係です。反安倍派が福田さんのところに集まったら、福田さんが全員蹴落として安倍内閣ができた。そして今回がパート3。細川さんのもとに、鳩山、菅、小沢、その他もろもろの有象無象が群がっていることを考えると『またしても皆殺しか……』と思いますよね。もちろん、すべては推測ですが、『三番煎じをやろうとしているのか? あるいは今回は違うのか?』と、『何がやりたいのかわからない』では、思考の出発点が違います」

 歴史に対して無知だと、自分に不利な主張に対しても抵抗する術がない。例えば「増税による財政再建は、大蔵省の伝統だ」という主張。そう聞けば「消費税アップも仕方ないのか」と思ってしまいがちだが……。

増税は大蔵省の伝統、なんてのはまったくのウソ。田中角栄時代のバラまきによって植えつけられたトラウマで、たかだか40年の歴史しかありません。増税を支持する御用学者も、増税はけしからんというリフレ派も、立場は逆なのにこの間違った事実を共有しているのだから困ったものです。財務省史上、増税と絡めてもっとも話題に上る井上準之助だって、本人は一度も増税なんて言っていない。昭和初期の史料を見ればわかることですよ。中山恭子さん(’66年大蔵省入省)にインタビューしたときも、『私たちの頃は(増税路線とは)違いましたよ』とハッキリおっしゃってました」

 今を生き延びるために必要な“大局観”を養うためにも、ぜひ『嘘だらけ』シリーズをご一読いただきたい。

 また、倉山氏の待望の新刊保守の心得(扶桑社刊)が、現在amazonで予約受付中。米中韓に振り回されない日本のつくり方を指南した「学校では教えてくれない保守入門の書」である。こちらにも、乞うご期待だ」。

 憲政史研究者・倉山満「嫌韓派の人たちほど、実は韓国に甘えている」 を転載する。
 「
日本人が信じている「教科書的近現代史」を根こそぎ引っくり返し、正しい歴史認識を提示する大ヒットシリーズ『嘘だらけの○○近現代史』(扶桑社刊)。

日米』『日中』に続き、最新刊の『嘘だらけの日韓近現代史』もベストセラー街道を驀進中だが、著者の倉山満氏は「アメリカや中国と比べて、韓国はあまりにも語る価値がないので執筆が辛かった(苦笑)」と、本音を明かす。

「本書を楽しんでくださった読者は、ぜひあわせて『日米』と『日中』も読んでください。シリーズ3冊通して読むと、韓国という国の取るに足りなさがよくわかるはずです

 そんな倉山氏の突き放した思いとは裏腹に、日本国内における「嫌韓・反韓ムード」はますますホットになる一方だが……。

韓国人を叩くのは簡単ですが、それは“絶対評価”でしかないんです。皆が大嫌いなパク・クネ大統領にしても、今、彼女よりマシな人材が韓国にいるのかという点を考えるべきでしょう。大統領選では、本選でも与党内の予備選においても、彼女が唯一の『親中反日』派でした。ライバルは全員『親北反日』。あの国では、パク・クネよりマシな人なんて出てきようがないんですよ。父親のパク・チョンヒだって、批判材料はいくらでもありますが、少なくとも韓国2000年の歴史において、日本にとっても韓国にとってもいちばんマシな指導者だったと言えるでしょう」

 良いか悪いかのみを論じる“絶対評価”はアホでもできる。付き合いを避けて通れない以上、一番マシな人間を相手にするにこしたことはないのに、それを叩きまくってどうするという話である。

「パク・クネを絶対評価で叩くのは、“もっとマトモな国になれるはず”という韓国への期待の裏返しに他ならない。マトモになんてなれっこないという絶望的な現実を受け入れられていないんです。実は嫌韓派の人たちが、いちばん韓国に甘えているんですよ

 韓国人に対しては“相対評価”で臨むべき。また、嫌韓一辺倒ではなく、したたかな外交術を身につけるべき……と倉山氏は言う。

「アフリカで孤立した韓国軍が、日本からの弾薬供給を受けられなかったという一件がありましたが、ああいうときこそ普段ヘイトスピーチをやってるような人たちの出番なんです。在特会あたりが官邸に乗り込んで行って、今回は韓国が何を言おうが弾薬を受け取らせるべきだ、なんなら俺がソウルに乗り込む!と気勢を上げるべきだった。日本でいちばんヘイトスピーチをやってる連中が弾薬を送ると言っているのに、それを韓国政府が断ったとしたら、それがひいては韓国の真人間を育てることに繋がり、反日政府への打撃ともなります。万一、国防軍がクーデターを起こしたときには取引もできる。そういう恩義は、韓国人といえども絶対忘れませんから。特に軍人とはそういうものです。また、第三者へのアピールになる。歴史問題で日本は圧倒的に不利な状態なのですから、韓国をどうするか以上に第三者にアピールできるパフォーマンスが重要なのです

 ヘイトスピーチも使いようなのである。

「愛国者を自称する人たちは、韓国の反日を“解決”しよう、尖閣問題を“解決”しようと考えているフシがありますが、“歴史問題は解決しない”という認識が必要です。嫌韓活動に血道を上げても、尖閣諸島をウロウロしても、相手を刺激するだけで何の意味もありません。国家間の問題に対しては、弥縫(びほう)策を取り続けるのが正解なのです。日本人は、どうせ、向こうの方が先に亡ぶ、という自信を持ちましょう

 いたずらに相手を叩く原理主義者こそ国益を損なう。そんな彼らに倉山氏が鉄槌を下す新刊保守の心得(扶桑社刊)が、現在amazonで予約受付中。こちらにも、ぜひご期待いただきたい」。

 憲政史研究者・倉山満「韓国人の歴史観はすべてファンタジー」 を転載する。

倉山 満氏

「韓国人の歴史観はすべてファンタジー」と斬り捨てるのは、待望の新刊『嘘だらけの日韓近現代史』を脱稿したばかりの憲政史家・倉山満氏。中でも“最も笑える妄言”を3つ挙げてほしいと乞うたところ、次のようなミもフタもない回答が(笑)。

◆笑止!倉山氏が選ぶ「韓国の妄言」ワースト3

1.独立国だと思っていること

「韓国が自立しようとしたのは、’70年代の朴正煕政権時の1度きりです。現実的な思考ができる軍事政権下でのみ韓国は正気を保てるのですが、文官政権になると元の木阿弥」

2.文明国だと思っていること

「朝鮮国王という特権階級は、漢字が読めない自国民を見下し、話の通じる中華帝国のほうこそ同属と考えていた。そんなヤツらを文明国と呼んでいいものでしょうか」

3.大国だと思っていること

「ワールドカップで4位になったから『世界経済のトップ4になろう』みたいな発想の飛躍はお手の物。スポーツにかこつけて大国を気取る困ったクセがある」


「韓国という国は、2000年の歴史の中で常に『中華帝国の第一の子分である』ということにのみアイデンティティを置き、自助努力で独立しようという意思も能力も見せることがなかった。日韓併合が許せないと言いますが、それでは当時、現実的にどんな選択肢があったのかと聞けば『アメリカの植民地になりたかった!』と力説したりしますからね(笑)。独自の王朝を持ってはいても、独立国家の要件をまるで満たしていない。国というより単なる地名です」

 それゆえに、日本には倭の時代から「中国への通り道」と見なされ、中国からは「単なる一部」扱い。そのコンプレックスが誇大妄想を生み出しているのだ。

「『大国であってほしい』と『大国である』の区別がつかない哀れな人たちなので、言うことにいちいち腹を立てても意味がありません。それに、日本と韓国の仲が悪くなっても中国と北朝鮮を喜ばせるだけ。ネットの嫌韓派には、韓国憎しのあまり『韓国を南朝鮮と呼ぼう』なんて人もいますが、韓国を南朝鮮と呼ぶのは北朝鮮の公式見解。アナタは北の回し者ですか?と問いたいですね」

 とはいえ、厄介な隣人である韓国に事あるごとに難癖をつけられる日々に、いい加減ウンザリしている日本人も多いだろう。このままヤラれっぱなしというのもシャクにさわる。

「『反日』は韓国の国是ですが、戦前、例えば、日韓併合が進んだ昭和19年には、日本の戦勝映画が流れると映画館中が大喜びするほど朝鮮人は親日になっていました。あたり前です。一緒に戦争を戦っていたわけですから。そのために、敗戦後に『反日』を出発点に国づくりを行うしかなかったというジレンマがあるのです」

 韓国人は「反日お国自慢歴史観」で学ぶほど、その矛盾が露呈するという。

「そもそも抗日闘争を建国の理念とすれば、スターリンが指導していた抗日パルチザンである金日成を英雄視するしかありません。テロリズムを賛美し、北朝鮮という敵国の指導者が自分たちを正統に支配する権利を持っていることになる。一方の韓国初代大統領である李承晩はアメリカで独立運動と称してカンパを集めて遊んでいただけです。連合国に参加したわけでも自力で戦ってソウルを解放したわけでない。何ひとつ英雄らしい行動をとっていないのです」

 これこそが「韓国が抱える闇の深奥」である、と新刊『嘘だらけの日韓近現代史』でも指摘されています。

「韓国が反日なのは仕方がありません。そういう人たちだと思って付き合うしかない。しかし、隣国だから仲良くしよう、好きになる努力をしようなんてのも間違い。ASEAN諸国のように、普段は仲が悪くても、中国という共通の敵が現れると『大嫌いなアイツとも手を組まねばならない』と一致できる。韓国が反日である状況を喜ぶ国があることも考えねばなりません」

 格下の韓国を叩くだけの幼稚なナショナリズムに耽溺せず、中国やアメリカにも毅然と立ち向かう――これぞ、真の国士たるものの態度なのかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/岡戸雅樹>

 憲政史研究者・倉山満「朝鮮はしょせん中国史の一部」 を転載する。
 「前回の記事(http://nikkan-spa.jp/534592)で「韓国人の歴史観はすべてファンタジー」と切り捨てた憲政史研究者の倉山満氏だが、意外なことに「研究者として朝鮮半島はまったく視界に入っていませんでした。なんの関心を持たなくても、まったく差し障りがなかったからです」と、衝撃的な告白をする。そもそも氏の専門は憲政史であり、史学では政治外交史に分類されるが、当然、周辺諸国のことも知らねばならないはずだ。なぜなのか?

「朝鮮は常に『場』(Theater)であっても、『主体』(Actor)ではなかったからです。例えば、琉球という『場』で日本と中国という二つの『国』(Actor)が争うことはあっても、琉球が『主体』でなないことと同じ構図です。朝鮮には独自の文化こそあれど、常に『中華様』の属国であり、独立した国ではなかった。日本の東洋史学界でも、朝鮮はしょせん中国史の一部。常に小国で主体性のある『国』ではなく、周辺諸国に蹂躙される『場』でしかなかったからです」

 倉山氏はその端的な事例として「豊臣秀吉の朝鮮出兵」を挙げる。

「戦国時代を統一した秀吉は海外進出を考えます。ポルトガルやスペインの来訪によって大航海時代の実態を知ったからです。そこで手始めに『唐陣』つまり中国征伐を開始するのですが、その際に朝鮮はただの通り道でしかありませんでした。秀吉には『朝鮮出兵』を行ったという自覚はなく、本人の意識はあくまで対明征伐であり、朝鮮を対等の敵とは見做していないのです。『明』を宗主国と仰ぐ朝鮮は抵抗して城に立て籠もりますが、軍事大国である当時の日本軍は二時間で落とし、一か月後には首都漢城(ソウル)を攻略しています。その後、朝鮮と明は約二十四万人を動員しますが、総戦死者数は十数万人にのぼります。よく『朝鮮侵略』と言われますが、『秀吉の殺戮』と言い直したほうがいいでしょう」

 朝鮮はその後、満州族が建てた「清」を宗主国と仰ぎ従属するが、欧米帝国主義の波が東アジアにも押し寄せ、明治初期には日本と清が「1874年の台湾出兵」「1875年の江華島事件(日本と朝鮮による武力衝突)」という二つの事件によって対立する。ここでも「場」こそ「台湾」と「朝鮮」だが、主体はあくまで「日本」と「清」の二か国だったという。

「当時の日本としては安全保障上、朝鮮にはまともな独立国になってもらいたい。いつロシアが南下するとも知れず、早く半島ごと防壁になってほしいのです。そこで、日本は宗主国を名乗る清国に事あるごとに『朝鮮や台湾のやることに責任を持てるのか?』と突きつけてきたわけです。清は『朝鮮は我々の属国ではあるが、独自の内政外交を行っているので、責任は負えない』と逃げてしまう。そこで清には朝鮮が独立国だと認めさせる布石にしつつ、現実の朝鮮には力関係を思い知らせる両睨みの交渉として、日朝修好条規という不平等条約を押し付けたわけです」

 日本は朝鮮を「主体」に引き上げようとする。しかし、当の朝鮮宮廷は大国に媚びては政敵を倒し、自派を拡充するという内紛に明け暮れ、主張も思想も入れ替わるため、結局「主体」にはなれず、常に日清・日露の代理戦争の「場」でしかなかったという。

「日清戦争で清が退場するとロシアに媚びるのですが、そのロシアも日露戦争で退場します。朝鮮宮廷はパニックになり、安重根の伊藤博文暗殺が引き金となって日本に併合されます。そもそも日本の事情としては、韓国の併合には慎重でした。なぜなら植民地化すれば経済や軍事の負担は重く、日本経済が破綻しかねません。しかし、大韓帝国総理大臣である李完用の政権は心もとなく、親日派は日本への併合を望む団体をつくってまで媚びてきます。その一方ではテロが収まる気配もない。そんな緊張関係のなかかで伊藤が即時併合論を抑えていたのに、安重根が伊藤を暗殺し、すべてをぶち壊してしまったのです。安重根が大韓帝国の愛国者であったことは否定しませんが、政治はすべて結果責任です。後先を考えない行動は愚行でしかないのです」

 倉山氏の新刊『嘘だらけの日韓近現代史』では、「『日清戦争は朝鮮の約束違反が招いた』『日露戦争はロシアに媚びた朝鮮が招いた』」と分析し、またその後、日本による韓国の植民地支配が「お人よしすぎたがために、大日本帝国は滅亡してしまう」という実に興味深い指摘をしている。その詳細についてはぜひ、本書で確認していただきたい。 <取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/岡戸雅樹>

シリーズ15万部突破記念!
「倉山満祭り」開催決定!!

●第一弾 「ニコニコ生放送」 11月26日(火)21時~
ニコSPA!政策論壇チャンネル拡大版『朝鮮史はウソだらけ!? 厄介な隣人[韓国&中国]につける薬とは?』を放送。 http://live.nicovideo.jp/watch/lv159900777

竹島や尖閣諸島をはじめ日韓・日中の関係はいまだ緊張関係にある。この“厄介”な2か国に日本はどう対応すべきなのか? 倉山満(憲政史研究者)、宮脇淳子(歴史学者)、上念司(経済評論家)が語りまくる!」。

 憲政史研究者・倉山満 「朝鮮人を人間扱いしたから大日本帝国は滅びた」 2013.11.22 を転載する。
 「前回の記事(http://nikkan-spa.jp/538293)で憲政史研究者の倉山満氏は「日本の植民地支配が『お人よしすぎた』ために大日本帝国を滅ぼした」と示唆しています。その本意はどこにあるのか? 倉山氏に直撃した。

「安重根が伊藤博文を愚かにも暗殺したことが日韓併合の引き金になったのですが、そもそも日本は植民地を持つ資格がなかったのです。なぜか? それは日本人が朝鮮人を人間扱いするほど『甘かった』からです。朝鮮を植民地にしたのなら、人間扱いをしてはならなかった。この言葉をもって、『こんなことを言うヤツは差別主義者だ』『右翼・民族主義の過激派だ』などと思った方は当時の世界の常識を知らないと、自白していることになります。そもそも植民地とは何かというと、搾取する土地です。朝鮮半島に搾り取る資源があったのかというと、何もありませんでした。そんな土地を生真面目な日本人は『貨幣経済を浸透させよう』『文明化しなければならない』『インフラを整えよう』と使命感に燃え、やりとげてしまった」

 確かに、当時の価値観からすれば、ヨーロッパ人が行った搾取とは一線を画している。むしろ、大日本帝国憲法を適用し、正確に言えば、植民地ではなく「海外領」として扱ったと言ったほうがいいのかもしれない。

「イギリスでいえば、インドは植民地ですが、カナダは海外領になります。そして日本は朝鮮に急速に文明化をもたらします。当時、満洲では朝鮮人と漢民族の対立が激化し、日本への侮日行為や居住権の侵害が繰り返され、朝鮮人農民が被害を受けます。そこで日本人はハタと『半島と大陸は陸続きだ』と気づくのです。日本人の悪い癖に『問題を解決しなければならない病』があります。日本は帝国臣民である朝鮮人の権利を守るため、中華民国と対峙することになり、満洲事変、支那事変と戦線を拡大し、大陸経営へと深入りして破滅していったのです。日本というのはどこまでお人よしなのでしょうか。どこの国が植民地のために世界中を敵に回すでしょうか? イギリスがアイルランドのために、アメリカがフィリピンのために、いったい何をしたというのでしょうか?」

 昭和6年から昭和20年まで、朝鮮人が「反中親日」になった「唯一の時代」だったと倉山氏は指摘する。「宗主国の日本が朝鮮のために世界中を敵に回してまで自分をイジめた中国を叩きのめしてくれたのです。当たり前でしょう」とも。

「今となっては、そんな恩を韓国人はすっかり忘れ去っています。前々回の記事(http://nikkan-spa.jp/534592)でも指摘したとおり、『やってもいない抗日闘争』を建国の理念にしたことによって、歴史が矛盾だらけになり、歴史観がファンタジーだと笑われるのです。もう一度言っておきましょう。韓国はやってもない抗日闘争を建国の理念とすれば、スターリンが指導していた抗日パルチザンである金日成を英雄視するしかありません。テロリズムを賛美し、北朝鮮という敵国の指導者が自分たちを正統に支配する権利を持っていることになる。一方の韓国初代大統領である李承晩はアメリカで独立運動と称してカンパを集めて遊んでいただけです。連合国に参加したわけでも自力で戦ってソウルを解放したわけでない。何ひとつ英雄らしい行動をとっていません。韓国人はいい加減、『反日お国自慢歴史観』を卒業すべきでしょう」

 倉山氏は新刊『嘘だらけの日韓近現代史』のなかで、「朝鮮半島の歴史を読み解くうえで重要な三法則ある」とも指摘している。その三法則とは以下のとおりだ。

【韓国の三法則】
一、頭の中身がファンタジー
ニ、軍国主義でないと正気が保てない
三、反日を言ってないと親日になってしまう

 詳細はぜひ本書で確かめてほしい。」。

 憲政史研究者・倉山満 「中国の仕掛けに屈するな」憲政史研究者・倉山満 2013.07.05 

 6月4日、八重洲ブックセンターにて『嘘だらけの日中近現代史』を上梓した倉山満氏の新刊発売記念講演が行われた。その模様をダイジェストでお伝えする。

 ⇒【前回の記事】はこちら『中国の手先だった日銀は討った』
 http://nikkan-spa.jp/461503


 「中国のプロパガンダは見え透いているので打つ手はいくらでもあります」  「前回、日銀を手中にしたのは核武装と同じ効果がある、という話をしました。これには先例があります。1985年に『プラザ合意』があり、米ソ冷戦最末期に、レーガン大統領がイギリスとフランスを誘って、西ドイツと日本からカネを引き出そうとしました。その言い分は『我々が必死になってソ連と命がけで戦っているときに、お前らだけがいい思いをしているのは何事だ。カネを出せ』というものです。そんな言いがかりをつけて西ドイツと日本に強制的に通貨高の圧力をかけてきました。日本は何をやったかというと、1年間ほったらかしました。1ドル=235円が150円台まで円高になりました。日本銀行というところには、それくらい根深い問題があるんです」。

 ――しかし、そのとき大蔵省には大場智満財務官がいた。

 「大場智満財務官が『日銀なんとかしろ』と、大蔵省全体を通じて圧力をかけ、金融緩和をやった。当時の公定歩合5%から2.5%も下げるという、要するに2倍の金融緩和です。そしたらあっという間に1年経たずに景気が回復して、そのままバブルになっちゃった(笑)。アメリカとしては、一体何をやってるんだという話で、FRB議長ポール・ボルガーは敗戦責任を問われてクーデターで放逐されています。その後の日本はバブルになって調子に乗りすぎるのですが、アメリカはほぼ降伏に近い状態になった。日銀を正しく使いこなせるというのは、核武装しているようなものだということがおわかりになったかと思います」。

 ――前回、今後の中国の仕掛けとして、チャイナ系ヘッジファンドが株価操作することについても危惧されています。

 「小泉内閣時代にも大胆な為替の市場介入をやっていますが、日銀が本気を出せばヘッジファンドなんかに負けません。当時は、伝説のヘッジファンド撃墜『日銀バズーカ・日銀砲』と言われていますが、一日でヘッジファンド100社が倒産したとも言われています。それくらい強い。金融というのはほぼ国をつぶせるぐらい強い武器です。だから、黒田さんが中国のスパイだったら……もうお手上げですね(笑)。でも、安倍さんはオバマさんを立ち会いにさせて黒田さんを日銀総裁にしたわけですから、ちょっと考えにくい。日銀がアベ・クロ体制であるかぎり、大丈夫です。また、岩田規久男さんという最初からリフレを唱えていたような人が副総裁にいるかぎり大丈夫だと思います。いろいろ不安定要因はあるのですが、総理大臣が死ぬ気で戦ってるときに逆らえる日銀マンなどいませんから」。

 ――中国の二つ目の仕掛けである『プロパガンダ』についてはいかがでしょうか?

 「彼らの超絶な得意技ですが、手口は意外と簡単です。夫婦喧嘩に例えると、日本人であれば、『夫婦喧嘩は犬も食わぬ』といって家の中でやります。まともな大人だったら、『子供には見せないようにしよう』とか。しかし、中国は違う。家の外へ出ていって、第三者にどっちが正しいか聞いてもらう。しかも、旦那と裸の奥さんと間男が外へ出ていって誰が正しいかって、第三者を煽り始める。そしたら間男が『私がいちばん正しい!』みたいな。『恥の文化』ではなく、中国は『面子の文化』です。似てもいないし非なるもの。ときどき、『同じ漢字を使うから仲間だ』とか訳がわからない人がいるのですが、いま世界で漢字を使っているのは、日本と台湾だけです。台湾は繁体字(はんたいじ)といって日本と同じような漢字ですが、中国は簡体字といって別の文字です。王朝交代ごとに文字を変え、発音も変えてしまっています。台湾人は繁体字を正体字(せいたいじ)と言っているので、繁体字という言葉を撲滅して、正体字という言葉を広めればいい。中国は嫌がるでしょう。話がそれましたが、中国のプロパガンダの手口は三つあって、簡単にいうと、『1、第三者に訴える』『2、事実はどうでもいい』『3、ひたすら力のかぎり叫ぶ』。こんなアホなものに騙される人がいるのかと思うのですが、いるんです。それが日本人です」。

 ――満洲事変以降、日本が負け続けている理由がわかったような気がします。

 「中国が勝っているんじゃなくて、日本人が勝手に負けている。いっそのことキャッチコピーを優秀なアメリカの広告会社に発注すればいい。例えば、バルカン紛争のときの『エスニック・クレンジング』というコピーをクロアチアは使いました。これは『セルビア人は民族浄化をやっている』と言って、セルビア人政治家のミロシェヴィッチをヒトラーに例えたわけです。アメリカのPR会社を使ったボスニアとクロアチアはすごい。クロアチア人は自分たちがヒトラーの肖像画を飾ってるような国なのに、『あいつらこそヒトラーだ』だと宣伝しまくったわけです。それがプロパガンダの世界です。しかし、ボスニア人もクロアチア人も、そのPR会社の代金を踏み倒したので、暴露本が出てバレちゃった(笑)。国際政治って、そういうものです」

 ――日本人である以上、代金は払わなければならない、と思いたいです(笑)。

 「それが普通の資本主義なんですけどね。『中国に10億の市場がある』と言います。本当にマーケットなの? バザールじゃないの? と。資本主義の大前提が何かと言えば、『1、約束を守る』『2、約束を破ったやつをちゃんと制裁する裁判所がある』ということです。その前提がありますか、中国に。中国のエリートってジョン・スチュワート・ミルとかを一生懸命読んで、『約束を守る』ってどういうこと? 『法の精神』って? 『リーガル・マインド』って?? ということを必死になって考えて悩んで、ついぞわからなかった人たちです(笑)。日本人であれば、人治主義と法治主義は別の定義です。法治主義であれば、どんな偉い人も法には従わなければならない。偉い人は法に従わなくていい、といった北朝鮮とは違うという意識がある。しかし、中国の漢人の法治主義と人治主義は一緒。漢人の法治主義の『法』というのは、君主の命令です。いかに君主が威力のある命令――威令を出せるかということに腐心しているのが中国の法治主義です」

 ――やはり中国にかかわってはいけない、ということがよくわかりました。今後も尖閣の挑発に決して乗らず、プロパガンダを見抜くために目を養っていきたいです。

 「中国のプロパガンダなんて、見え透いているので打つ手はいくらでもあります。こっちがちゃんとして相手にしなければ、勝手に滅びていきます。我々は一度大日本帝国を滅ぼされるというひどい目に遭ったわけです。だからこそ、ちゃんと歴史に学びましょう。まったく同じ手口でもう一回滅ぼされそうになったことを忘れてはいけません(笑)。この絶好の機会を生かすために、『嘘だらけの日中近現代史』を読んで学んで、これを人に広めて、7月に中国をどうやって滅ぼせるかなということを考えていただければなと思います。だから真実は探るものではなく、起こすものです。ちなみに、私の言う真実は『いんぼう』と読みます、と最後に付け加えておきます」

 倉山満氏の舌鋒は鋭さを増すばかり……。次回「質疑応答編」もご期待ください。


 憲政史研究者・倉山満 倉山満「エセ保守、ビジネス保守をあぶり出せ」 2014.02.24 

 前回、「『自称保守』にいま一度、覚悟を問い直したい(http://nikkan-spa.jp/587712)」と語った憲政史家の倉山満氏。「成熟した保守」の確立を目指し、新刊『保守の心得』を上梓した。では、そもそも「成熟した保守」とは何だろうか?

 「日本を根本から立て直すためには、自ら能動的に考える『成熟した保守』が必要なのですが、現在、旧来的な『保守』と『革新』といった対立はもはや存在していません。右派と左派という二区分では説明がつかず、少なくとも四区分は必要になっています。まず一つ目を紹介しましょう。本物の左派、つまりは共産主義者です。日本という国が嫌いで、日本政府も大嫌いな人たち。彼らはソ連が滅んでからはさすがに少数派になりました。次に、日本という国は大嫌いなくせに、日本政府は大好きという困った人たちです。戦後日本では最大派閥でしょう。たとえば、東大憲法学、官僚ら組織の利益を国益だと言い張り、権威、権力、栄誉、勲章の類いに目がない。古くは、東京大学で教鞭を執っていた横田喜三郎という人です。彼は『天皇制は廃止すべきだ』という本を書いていたにもかかわらず、勲章をもらえるとわかった途端、古本屋も含めて回収してまわったというエピソードを持つ人物です。彼の小型版は現在でも大勢います」。

 これらの二つの勢力の特徴は敗戦の影響を過大に受けていることでしょうか。その一方で戦後教育を中心とした価値観に違和感を覚える人たちも増えてきています。

 「大正デモクラシーの旗手と呼ばれた吉野作造という人がいます。彼は、日本という国を愛するがゆえに、日本政府を命がけで批判してきました。大正デモクラシー以降の『保守』とは本来この立場であり、私が言う『成熟した保守』もこの区分になります。吉野は、官僚が国家への忠誠を政府への忠誠へとすり替えることを徹底的に糾弾しています。ぜひ、『保守』を自任するのであれば、こういった視線を持ってほしいと思います。最後は、日本という国が好きで、日本政府を簡単に正当化してしまう人たちです。たとえば、ネット右翼と呼ばれる人たちは自らの頭で考えず、何でも素直に受け入れてしまいます。『特攻隊は尊敬すべき人たちだから、特攻を命令した人たちの責任も問わない』というのは飛躍です。重要な点は、『国家と政府は違う』という当たり前の事実に気づいているかどうかです。自称・保守という人に限って、『財務省や日銀は頭のいい人たちが集まっているのだから、批判している人こそ考えが足りないのだ』『財務省が増税を推進し、日銀が頑なにお札を刷らなかったのには、きっと理由があるはずだ』と考えてしまいます。しかし、実際は何もなかった。要するに、思考が停止しているのです」。

 「成熟した保守」を目指すうえで、日本人の憲法観についても重要視されています。国家を愛するも政府批判を辞さない態度を標榜する倉山さんにとって、安倍首相の掲げる改憲案はどう映るのでしょうか?

 「戦後レジームの象徴である日本国憲法は避けて通れない問題です。安倍首相は改憲案を掲げていますが、こればかりは、いくら安倍支持者である私も批判せざるをえません。自民党改憲案は単なる日本国憲法の焼き直しです。現行の日本国憲法は、我が国が培ってきた二千年の歴史を断絶させ、昭和二十年八月十五日を新たな建国記念日にしようという八月革命思想の憲法です。敗戦前の帝国憲法を無視し、しょせんはマッカーサーの落書きにすぎない日本国憲法を改正したところで、敗戦国から抜け出すことなど不可能なのです」

 帝国憲法について私たちはまったく教育を受けていません。憲法といえば現行憲法であり、「平和、人権、民主主義」です。日本国憲法は不可侵というイメージがあります。

 「今年は、『帝国憲法をタブーから解き放つ』と本気で考えています。そもそも憲法とは制定するものではなく、確認するものです。いま現実に起こっている事態を確認する。条文を書き込んでしまえば、現実に実現する、というものではありません。この点を勘違いしている人が非常に多い……そういったことも新刊『保守の心得』で指摘していますので、日本を守りたいと考えている人にはぜひ読んでほしいと思います。政治家や官僚や、そのほか偉い人たちがどんなに日本を弄んでも、日本国民が守るべきものを守れば、日本は亡びないのです」。

 倉山氏の新刊『保守の心得』は「学校では教えてくれない『保守入門の書』」を掲げている。「日本は好きだけど何をしたらいいのかわからない」という方は必読だろう。右でも左でもない「保守」を求める日本社会に一石を投じそうだ。 

 憲政史研究者・倉山満「“自称・保守”にいま一度、覚悟を問い直したい」 2014.02.17 

 平成25年10月1日、安倍晋三首相がデフレ下での増税を発表した日に、改めて「保守とは何か、世に問う」と決心したという憲政史家の倉山満氏。昨年の増税騒動において何を感じたのか? 

 「デフレ化での増税がアベノミクスに反することは子供でもわかる話です。加えて政権の命綱である政策にキズがつけば、即、政局です。安倍内閣が幸いなことにまだ続いているのは、相手が劣化して弱っているからであり、三角大福の時代であれば、即死でした。実際、増税を呑んだことによって公明党の山口那津男代表には釘を刺され、例大祭には行けなくなりました。たかが増税ひとつを阻止できずに、何が『戦後レジームからの脱却』か、と思ったのです」。

 ――保守政治家として期待される安倍首相の限界を感じた、ということでしょうか?

 「私が標榜する保守とは『成熟した保守』です。学術用語で言うところの『保守』ではなく、一言で語るならば大局観を持った態度のことです。『韓国人が嫌いだ』とか、『安倍晋三首相がやることはすべて正しい』といったような、脊椎反射のような貧しい愛国心のことではありません。広い視野と深い見識を養い、日本を『滅亡』から救うことのできる態度を指します。私は今でも安倍首相こそ日本の指導者にふさわしいと信じています。ほかに比肩しうる保守政治家が今の永田町にはいないからです。いわゆる保守色の強い安倍首相があえて、『まずは経済』と宣言した。この事実には間違いなく、大きな意味があったはずなのです」

 ――しかし残念ながら、安倍首相は財務省を中心とした日本のエスタブリッシュメントが推進する増税という同調圧力に屈してしまいました。

 「日本中の企業が4月から6月までは景気が悪化するから備えなければ、と躍起になっています。推進派も含めて『増税すれば景気は悪くなる』と認めている。誰より、安倍首相本人がそれをわかっています。しかし、そんな安倍首相ですら同調圧力に負け、増税を止められなかった。日本人が『保守』と言う場合、いったい何を『保ち守って』いるのか。具体的に何をすれば我々は日本を『保ち守った』 ことになるのか。いま一度、整理して考えたくなったのです」。

 ――新刊『保守の心得』では、増税政局における倉山さんの忸怩たる思いが伝わってきます。「日本はすでに滅んでいる」という指摘もじつに刺激的です。

 「『保守の実現』を何とするかは、一言では回答できないのですが、保守の反対を『滅亡』だと定義してみました。国が滅亡しなければ、少なくとも日本は保たれていると仮定するわけです。滅亡とは具体的にどんな状態か。八通り例を挙げてみました。

一、民族殲滅…………タスマニア
二、国家灰燼…………カルタゴ、満洲
三、民族奴隷化………チベット
四、国家解体…………旧ユーゴスラビア
五、衛星国化…………東欧諸国(冷戦期)
六、内戦直前状態……ドイツ・ワイマール共和国、スペイン(フランコ登場期)
七、国内代理戦争……スウェーデン(ナポレオン戦争期)
八、ニュートラル……三島由紀夫の定義した日本

 滅亡は一様ではなく段階があります。タスマニアのように民族ごと最後の一人に至るまでイギリスに滅ぼされてしまう例もあれば、満洲のようにいつの間にか国が失われている、という滅亡もあります。最初に現実を突きつけますと、今の日本はすでに滅んでいます。なぜかというと、七の『国内代理戦争』状態にあるからです。しかし、完全に滅んでいるわけではない。では、愛する日本を完全な滅亡から救うにはどうすればいいか、それを考えてほしいと思うのです」。

 ――敗戦から70年、外国の軍隊が駐留し、事実上はアメリカの属国です。滅亡状態にある日本を自らの手で正常な状態に戻すことが「成熟した保守」の目指すべき道だと説いています。日本が敗戦国から脱却するための方法として、昭和天皇のお言葉を掲げて解説していらっしゃいます。

 「昭和戦中期に昭和天皇は『明治大帝の遺訓である憲法を遵守すること、財界を安定させること、外交で無理をしないこと』と毎年のように交代する内閣に必ず申し渡したそうです。大日本帝国は陛下の意思を実行できずに滅亡しました。憲法、財政、外交。この三つの分野だけは、絶対に道を誤ってはいけないのです。もし、踏み外せば、国家の滅亡が待っています。まず、憲法で大事なことは、日本の歴史を見直すこと。日本国憲法を改正するという考えをやめ、帝国憲法をもとに作り直していくべきです。財政とは、正しい経済学の知見に基づくことです。財務官僚がでっち上げたデマに惑わされるなど論外です。役人や御用学者たちの方便に騙されてはいけません。 外交については、マトモな軍隊を持って初めて発言力があるのだと自覚しましょう。自衛隊はアメリカの軍楽隊より弱い、といえば、ほとんどの日本人にとって衝撃でしょう。しかし、現実を見据えないと、正しい議論はできないのです」。

 倉山氏の新刊『保守の心得』は「学校では教えてくれない『保守入門の書』」を掲げている。「日本は好きだけど何をしたらいいのかわからない」という方は必読だろう。左によった価値観が支配している日本社会に一石を投じる書となりそうだ。


 憲政史研究者・倉山満「中国の手先だった日銀は討った」(2013.07.01  )  
 「 『田中角栄という政治家が何をしたのか? しっかり考えなければなりません』。6月4日、八重洲ブックセンターにて『嘘だらけの日中近現代史』を上梓した倉山満氏の新刊発売記念講演が行われた。その模様をダイジェストでお伝えする」。

 ⇒【前回の記事】はこちら
 『憲政史研究者・倉山満が「中国の嘘」をさらす』 http://nikkan-spa.jp/455075


 「まず中国を懲らしめる方法についてお話ししたいと思います。これはもう簡単で、『無視する』――これに限ります(笑)。基本的に日本は、ああいう人たちとはかかわっちゃいけなかった。だから、聖徳太子以来つとめてかかわりを避けてきたわけです。昔の人は偉いですね。歴史書をひも解いても、『漢書』地理志以来、『宋書』倭国伝ぐらいで、基本的にはかかわらない。これだけなのですが、今回は『無視する』に加えて『滅ぼす』もお話ししたいと思います」
 ――そもそも、敗戦後になぜ日本は中国とかかわることになったのでしょうか?

 「おじさん世代には絶大な人気のある政治家に田中角栄という人がいます。確かに、自民党の幹事長時代や大蔵大臣、通産大臣時代には実行力があった。貧乏人から出世する処世術とか、それは凄まじいものがあったわけです。しかし、1972年7月に総理になって何をやったかというと、日中共同声明です。たった3か月という短期間で国交正常化なるふざけたことをやってしまった。そもそも『正常化』ってなんでしょうか? 日本は昭和27年(1952年)に中華民国と平和条約を締結しています。中華民国とはちゃんと正常な国交があったわけです。それを、中華人民共和国が『あいつらは偽物だ』と言い張って、それに付き合ってしまった。中華人民共和国の都合に合わせて、中華民国との国交は『不正常』だから、改めて正常化しようと中華人民共和国と国交を結んでしまったのが運の尽きです」
(私論.私見)
 ここの下りの角栄評で、倉山満の地頭の粗脳ぶりが分かる。「たった3か月という短期間で国交正常化なるふざけたことをやってしまった」は「たった1週間という短期間で戦後日本憲法を作るというふざけたことをやってしまった」なる論と通低するが、両者ともに言えることだが、それ以前の準備工作抜きで短期間でやり遂げたと思える頭脳なら、手前がそう思う程度なら構わないが人様に説教するのは止した方が良い。

 後段の「中華民国と平和条約あった論」も、それがどしたという反論必至であり、当時の日中国交回復交渉の是非につき何ら論理的に論証できていない。中華民国と平和条約があろうがなかろうが、1970年代初頭当時に於いて近々台頭する子戸が予見される中国とどう門戸を開けるのかが国際政治のテーマになりつつあった。俄かに米国、西欧諸国の国交の動きが強まりつつあり、佐藤内閣が無策であったのに比して田中内閣が果敢に日中国交回復交渉に挑み成功裏に纏めた。この流れに対して、「中華民国と平和条約あった論」が如何にピンボケ論なことだろうか。

 2015.4.3日 れんだいこ拝
 ――この昭和47年(1972年)は昭和20年に次ぐ転機だったとも仰っています。

 「昭和20年8月15日は、日本国が国ではなくてアメリカの持ち物になった日です。昭和47年は、中国がその持ち物にちょっかいを出してきた日になります。前著『嘘だらけの日米近現代史』では、敗戦国のままアメリカの悪口を言ってもしょうがないと書きました。アメリカがむかつくのはわかる。でも、その前にやることがあるだろう、と。昔、自民党は『アメリカの妾』と言われました。当時の佐藤栄作総理に向かって青島幸男という人が、『あんたはアメリカと財界の妾だ』と罵ったら、『バカ野郎、俺は本妻だ』と言ったとか言わなかったとか。そんな情けない時代から、昭和47年はより一層ひどくなりました。中国に援助交際で貢がされる時代の到来です。何なんだこれは、という状態。その後の日本には闇将軍がいっぱい現れます。田中角栄、竹下登に白川方明……政治も経済も自民党親中派に乗っ取られてしまいました」。
(私論.私見)
 「そんな情けない時代から、昭和47年はより一層ひどくなりました。中国に援助交際で貢がされる時代の到来です。何なんだこれは、という状態。その後の日本には闇将軍がいっぱい現れます。田中角栄、竹下登に白川方明……政治も経済も自民党親中派に乗っ取られてしまいました」なる言はクルクルパーなものである。もう論評をやめとく。暇を見て叩くことにする。要するに国際ユダ屋論が全く欠如しており、否と云うより国際ユダ屋に援交しまくり論となっている。アホラシイ汚らわしい。

 2015.4.3日 れんだいこ拝
 ――米ソ冷戦時代はそれでもよかったのかもしれません。

 「自民党はCIA、社会党はKGBからお金をもらって八百長政治で済んでいた。面白いのは、ソ連の侵略を防いだのは社会党だったことです。なぜなら、ソ連が『こいつら本気で共産主義を信じてる』とバカにしていたからです。社会党はソ連が望まないような破壊工作をやってしまうので、誰も本気で取り合わなかったという(笑)。政治はそんな感じで、自民党と社会党が米ソからお金をもらって融通し合う八百長談合体制だった。自民党は絶対に政権に居たい政党です。社会党は政権をとるのは怖いんだけれども、憲法改正だけは反対したい。自民党は衆議院で51%欲しくて、社会党は衆参どっちでもいいから1/3以上の34%が欲しい。すると、両方で90%近く占めちゃうから八百長が成立するんです」。

 ――社会党の存在そのものが日本の民主主義を腐らせた、と言える一方で、冷戦を乗り切るにはこんないい体制はなかった、と。

 「ところが、問題は冷戦の後半です。アメリカとソ連が張り合っているなかで、中国はソ連連営にいるのかと思っていたら、中ソ論争が起きた。社会主義の正しい在り方について論争をやるのですが、中身は『ツァーリと皇帝どっちが偉いか』みたいな話です。毛沢東とフルシチョフが『俺は皇帝なのに、あのツァーが威張ってるのは許せない』みたいなレベルの争いを始めました。すると、アメリカはチャンスだから中国と仲良くしようと。その結果、米・中・日対ソ連という構図になるわけです。この昭和47年の自民党総裁選というのがターニングポイントで、田中角栄が最終的に勝つんですけど、自民党内に親中派と親米派が生まれる。ソ連は自民党に入り込めないけど、中国はすいすいと入り込めちゃった」。

 ――そもそも、アメリカは日本のことを持ち物だと思っています。だから、その持ち物に中国が入ってきてもあまり気にしなかったと。

 「平成に入ってからさらにひどくなったのは、日本銀行がデフレ政策をやりました。これは日銀を独立させて、総理大臣よりも強い地位、裁判官並みの身分保障があって、しかも関東軍よりも独走ができるというレベルの存在に日銀がなりました。それをやったのが竹下登という名うての親中派です。陣頭指揮をとったのはこれまた名うての親中派の野中広務と橋本龍太郎。ちなみに、野中さんは最近また中国へ行ったらしいですね。もう正体バレバレという。ちなみに最近『赤旗』を見てると、加藤紘一さんと古賀誠さんが出ていました。もうカミングアウトしちゃったんですね(笑)」。

 ――なぜ日銀は中国の言いなりになっていたのでしょうか?

 「日銀はなぜデフレ円高誘導をしてきたのか。白川さんを始め、その前の福井俊彦さん、さらにその前の速水優さんはとにかく頑なにお札を刷らなかった。デフレ脱却議連が民主党政権に抵抗して『白川、お札刷れ!』と言っても、そのたびに中国人民銀行の周小川(しゅうそうせん)総裁が『お札するなよ』と命令をしてくるので、実行しない。『日本の金融緩和は許せない』って、なんであんたに言われなきゃいけないんだって。冷静に考えたら白川さんの上司だったのでしょう。上司が部下に言うんだったらしょうがない(笑)。日本銀行は日本の銀行じゃなかった、ということです。反対に日銀がお札を刷らないことによって、中国はいくらお札を刷っても大丈夫な状態になりました。デフレ円高によってほぼ固定相場制のごとく元安が約束されますから、中国は元安で貿易黒字が続きます。日本に工場があると、同じものをつくっても高くなるので売れない。産業が空洞化します。それを一気に逆転する方法が安部さんの『日銀をとるのは天王山』だったわけです。日銀が中国の手先だとわかった以上は、軍事的でなく戦うしかない。金融というのは非常に重要で、日銀を動かすことができれば、これは核武装したのを同じくらい威力があるわけです。だから安倍さんは日銀にこだわった。日銀を手中にすれば、中国を『滅ぼす』ことは容易なんです(笑)」。

 ――日銀は中国の手先だったことが誰の目にも明らかになりました。

 「15年間デフレで安倍さんが日銀にお札を刷れと言った瞬間、景気が回復軌道に入りました。東京から10大都市に向けて順々に派遣やフリーターの時給が上がり始めた。誰がデフレ不況の元凶だったかは明らかです。安倍さんが前の日銀総裁の白川方明さんに『お札刷れ!』と言ったら、なぜか、あくまでなぜかですよ。尖閣諸島に戦闘機とか軍艦が押し寄せてきました。しかし、いまや中国バブルは崩壊寸前です」。

 ――日銀が文字通り日本の銀行になったことで中国は別の手を打ってくるのでしょうか?

 「中国が打つ手は三つあります。一つはチャイナ系ヘッジファンドが株価の操作を試みることです。アベノミクスそのものをひっくり返そうとすることです。いまも疑わしき状況があって、円安要因しかない局面でなぜか円高株安に触れています。日本が滅んで得する国は中国、韓国、ドイツくらいのものですが、ドイツも韓国も自由主義国ですから、やはり中国、中国、中国、北朝鮮になるでしょう(笑)。もう一つは、尖閣抱きつき作戦です。中国の得意技にプロパガンダがあります。特に歴史問題を持ち出すのが大得意。だから尖閣でさんざん日本を挑発して、日本が殴ったら、『ああ、日本に殴られた。昔と同じようにいじめられた』みたいなことを世界中にプロパガンダして、『歴史問題、頑張るアルヨ』とばかりに、バカなアメリカ人を騙して、他人の力を使って日本を制裁させるといシナリオです。日本は尖閣に関して絶対に挑発に乗ってはダメです。三つ目の作戦としては、安倍晋三の暗殺です。これは本気でやりかねません。中国の理想的なシナリオ、これは中国に限らず、日本を滅ぼしたい勢力の理想は、参議院選挙で安倍さんがボロ勝ちして『自民党は盤石政権』だと言ったあとに安倍さんが死ぬことなんです。なぜなら、安倍さんがいなくなれば、自民党はアホばっかりですから。いかようにでもなる。これは本当に困ります。チャイナ系ヘッジファンドの株価操作、尖閣抱きつき作戦、三つ目はちょっと特殊な話ですけど、これらに対して打つ手はいくらでもあります。結論からいうと、安倍さんが生きているかぎり大丈夫なんです」。倉山満氏の舌鋒は鋭さを増すばかり……。次回もご期待ください」。





(私論.私見)