準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が、OBを代表にした政治団体を隠れみのに使い、国会議員などへの企業献金を続けていたことがわかった。
同社は社員を政治団体の会員にして「会費」を納めさせ、その資金を政治団体から議員側に献金させる一方、社員に対しては賞与に上乗せして会費分を補填(ほてん)。仮装献金額は4億円を超え、献金先は同社が指定していた。海外で作った裏金を持ち込んだとされる事件で同社を捜査中の東京地検特捜部も事実を把握。他人名義での献金や政党以外への企業献金を原則禁止している政治資金規正法に抵触する疑いが強い。
献金の隠れみのに使われていた政治団体は、「新政治問題研究会」(1995年設立)と「未来産業研究会」(99年設立)。同社の元幹部2人がそれぞれ代表を務め、2006年末に解散した。
政治資金収支報告書によると、会費収入は設立から解散までで計約5億1500万円。しかし、同社関係者らによると、会費は社員が支払うものの、会社が年2回の賞与に「特別加算金」などとして上乗せし負担していた。会員となる社員は、課長級以上の成績優秀者から、人事部と政治団体の代表者が相談して選抜。会費は1口6万円などで、家族も会員にして4、5口納める社員もいたが、すべて同社が負担していたという。
また、両団体は会費収入以外に「新世紀政経懇談会」などと称するパーティーを開き、計約7310万円の収入を得ていたと収支報告書に記載していた。しかし、こうした催しの参加者は少人数で、同社が両団体に支払っていた。
両団体の収入に関する記載はほとんどが虚偽だった可能性が強く、同社関係者によると、複数の幹部が特捜部の事情聴取に、こうした仮装工作や両団体が同社のダミーだったことを認めているという。
両団体名義で行われた与野党の国会議員などへの献金やパーティー券購入などの総額は、計約4億7800万円に上った。このうち04〜06年には、国会議員6人の資金管理団体に計2600万円を献金しており、多い順で民主党の小沢一郎代表(1400万円)、自民党の尾身幸次元財務相(400万円)、森喜朗元首相(300万円)などだった。
政治資金規正法は、他人名義での献金を禁じており、違反すると3年以下の禁固などの罰則がある。また、政治家の資金管理団体への企業献金も2000年以降、禁じられ、禁固1年以下などの罰則がある。
両団体からの献金について、小沢代表の事務所は「法律に基づいて適正に受領し、収支報告書に記載している」、森氏の代理人弁護士は「法令に基づき、適正に報告している」とし、西松建設からは30日までに回答がなかった。
(2008年12月31日03時05分
読売新聞)
西松建設OB団体の献金先(パーティー券含む)
2004-06年総務省届け出分。単位は円
陸山会(小沢一郎民主代表) 新政治研1100万、未来研300万
新しい波(二階派) 新政治研466万、未来研312万
幸政会(尾身幸次元財務相) 新政治研400万
春風会(森喜朗元首相) 新政治研400万
自民党東京参院比例第11支部(藤野公孝元参院議員) 新政治研400万
民主党参院比例第9総支部(渡辺秀央改革クラブ代表) 新政治研200万
賢友会(山岡賢次民主国対委員長) 新政治研200万
藤井孝男後援会(藤井孝男元運輸相) 新政治研160万、未来研40万
政経創造研究会(山口俊一衆院議員) 新政治研200万
加納時男後援会(加納時男参院議員) 新政治研100万、未来研100万
白鳳会(川崎二郎元運輸相) 新政治研60万、未来研40万
地域政経研究会(山本公一衆院議員) 新政治研60万、未来研40万
平成研究会(旧橋本派) 新政治研60万
陸山会(小沢一郎民主代表) 新政治研1100万、未来研300万
自民党東京参院比例第11支部(藤野公孝元参院議員) 新政治研400万
民主党参院比例第9総支部(渡辺秀央改革クラブ代表) 新政治研200万
藤井孝男後援会(藤井孝男元運輸相) 新政治研160万、未来研40万
加納時男後援会(加納時男参院議員) 新政治研100万、未来研100万