日共の対応考その2

 (最新見直し2008.8.30日)

Re::れんだいこのカンテラ時評672 れんだいこ 2010/02/14
 【日共改めネチ共のシロ証明要請論を嗤う】

 れんだいこは、日本共産党を日共と表記してきた。これは、ソ共、中共と対比する意味で日共と呼称すると云う意味合いもある。もう一つは、1955年の六全協以来、野坂−宮顕同盟が共産党中央を掌握して以来、共産党が大いに変質し、とても共産党とは呼べなくなったという歴史的経緯から日共と呼称している。

 学生時代、おぼこかったれんだいこは、曲がりなりにも戦前来の共産党の嫡子だろうと思いこみ、日共系学生運動に参画していたが、運動の盛り上げに水を差す指導ぶりと、ロジックの変調に違和感を覚え続けていた。新日和見事件の頃を境にドロップアウトしたのだが、今でもれんだいこの感性の良さを自負している。

 もう四十年近くにもなる以前に見限り、十年前に理論的に総括した日共を論評する必要もないのだが、小沢キード事件での醜悪な立ち働きを見ると、出張らざるを得ない。許せないからである。今も連日続く赤旗紙面に於ける小沢パッシングの執拗さは尋常ではない。これからは当分、日共と云わずにネチ共と云い換えようと思う。れんだいこのネチ共批判の場合にはネチとは云わない。なぜなら常に論証的であるから。

 そのネチ共は、本日2.13日の赤旗紙面でも、「政治とカネ 集中審議 小沢氏団体の疑惑ただす 佐々木議員」記事を載せている。佐々木憲昭議員と云えばムネオハウス質疑で知られているが、外務省の改竄文書を元手にムネオパッシングした非を咎められているのに未だに自己批判一つしていないという道義的責任に欠けた御仁である。よくも恥ずかしくもなく人前に出てこれることよと思う。ムネオが訴訟すれば、お前は必ず被告席に座ることになる。ムネオの度量に甘えるのもエエカゲンニセイ。ムネオが云わないから、代わりに申しつけておく。

 その佐々木ネチ共議員が何を云っているのかと読むと、既に論破され、東京地検特捜部も不起訴にせざるをえなかった虚偽記載とゼネコン裏献金疑惑をバカの一つ覚え見たいに繰り返しているに過ぎない。党中央の指針に唯々諾々しかできない哀れなかごの鳥でしかないので、同じことの繰り返ししか云えないのだろう。目下新鮮なのは、志位委員長が堂々と打ち出している「検察とネチ共の車の両輪論」である。佐々木ネチ共議員にムネオハウス質疑の頃の勢いがあれば、「検察とネチ共の車の両輪論」を得意気に一席ぶつのだろうが、さすがに云い過ぎではないかと思っているのだろう、触れないのがお笑いである。

 もう一つ。主張で「小沢幹事長の責任 元秘書の離党でいよいよ重い 」とぶっている。「問われているのは小沢氏自身の説明責任と政治的・道義的責任です」と述べ、小沢パッシング派の狙いを代行代弁している。次に、話法ペテン士・立花の詭弁が振りまいた「総額21億円余の虚偽記載」が気に入ったらしく繰り返している。思えばロッキード事件の時もそうだった。立花式「諸悪の元凶論」に乗って角栄訴追運動の尖兵役を務めた。

 何とかして「報告書のミスなどで済ますわけにいかない重大な問題」に仕立てたいらしく、「虚偽記載の疑いがもたれているのは総額で21億6900万円にも上る巨額の資金」とフレームアップさせ、「検察不起訴はシロではない」としてひたすら小沢幹事長の責任を問う方向へリードせんとしている。魂胆だけが透けて見えてくる話でしかない。しかし、こうなると、ネチ共論理によれば我々は誰も今後は、シロ証明せねばならないことになりそうだ。

 次に、「公共事業を受注したゼネコンからの裏献金」を持ち出している。東京地検特捜部が新種の「天の声理論」を編み出し、何とかして起訴せんとしたのに不起訴で終わった容疑であることを思うと、ネチ共論法の「天に対するシロ証明論」の執拗さばかりが際立ってくる。懲りないネチ共である。それはともかく、こうなると、雨が降れば降ったで降らねば降らぬで、関わりないことを証明せねばならないから厄介だ。人に云うのは良いが、お前にできるのかよ、そったらこと、と云い返したくもなる。

 締めで、「石川氏とともに小沢氏が証人喚問に応じ、公開の場で真相を明らかにすることが待ったなしの課題」と述べている。れんだいこが逆提案しておく。こたびの小沢キード事件での東京地検特捜部の暴走に対して国会の場で真相を明らかにしておくことは必要である。その検察暴走にエールする形で「車の両輪論」を唱えたネチ共の理論創出過程を検証することも必要である。れんだいこから見て、この理論は異常である。ここまで堕ちたかと云いたくもなる醜悪理論である。

 もとへ。小沢パッシングで質疑した自民党歴々の議員の収支報告書を俎上に載せ、シロ証明させるのも必要である。何人質疑したのか分からないが、ネットでタイムリーに暴かれている。今日は与謝野が槍玉にあがっていた。次に誰が出てくるのか知らないが、清廉潔白、シロ証明に堪える御仁が登場することを祈る。

 小沢キード事件の教訓として、この種の暴走を戒める為にも、「証人喚問に応じ、公開の場で真相を明らかにすることが待ったなしの課題」ではなかろうか。ついでに述べておくが、ロッキード事件の再審も「待ったなしの課題」ではなかろうか。朝日が中曽根疑惑で久しぶりに朝日らしいスクープを飛ばしている。読売、産経の反応を見て見たいふふふ。次に、中央委員同志殺人者・宮顕を参議員にさせたネチ共の、公党としての政治的道義的責任を問うのも「待ったなしの課題」ではなかろうか。志位よ、もぐもぐせずに答えてみ。

 2010.2.13日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評676 れんだいこ 2010/02/24
 【れんだいこのネチ共批判とネチ共の小沢パッシングの等価性考】

 れんだいこが、なぜネチ共批判を続けるのか。それは、ネチ共の小沢パッシングが執拗に続くからである。ここを取り違えてはならない。2.24日の赤旗主張は「『政治とカネ』追及 小沢氏の喚問を実現すべきだ」と題して懲りない主張を続けている。

 もし、れんだいこのネチ共批判に不快の念を持つ者がいたら、ネチ共の執拗な小沢パッシングにも不快の念を持ってほしい。そうすれば話が合う。これを等価と云う。ネチ共の小沢パッシングは正当、れんだいこのネチ共批判はやり過ぎなどと云う者が居たとしたら、拵えられた小沢パッシング劇場に相当被れ過ぎていることに気づくべきだろう。気づかぬ者にはカエルのツラにションペンで処置なしと診断しておこう。

 2.24日赤旗主張は、小沢氏の証人喚問論を繰り返している。鳩山首相に対し「小沢氏に偽証の罪もある証人喚問に応じるよう言うべき」とも述べている。これによると、鳩山のマミー献金不記載問題は解決済み、小沢の秘書寮建設資金記載不記載問題に対しては未解決としていることが分かり興味深い。不記載を免責させ、検察の望むように記載しなかった場合には虚偽記載としてより悪質とする立場に立っていることが分かる。正常の者は頭がおかしくなろう。ここから透けて見えてくるのは、小沢一本にターゲットを絞っている魂胆である。

 ネチ共は同主張で、概要「検察不起訴は潔白証明にならず。自らシロ証明せよ」論をぶっている。補足として、ゼネコンからの“税金還流”につき、「核心となる資金の出所をめぐっても、潔白どころか疑惑は深まる一方」と述べている。「最近の世論調査」を持ち出して、「小沢氏の国会での証言を求める声が圧倒的」として、「鳩山政権が国民の声にこたえるなら、いますぐ小沢氏の証人喚問に応じるべき」で締めくくっている。

 この論理論法は既にどれもこれもが破綻させられていることつにき、敢えて述べるまでもない。簡略に答えておけば、「検察の不起訴」はネチ共が云うほど軽いものではない。東京地検特捜部の総力捜査で「公判維持容易ならず」の判断となり不起訴となったことが検証されている。シロ証明論については無茶な法理論であろう。シロ証明責任論なるものは法的に認められていないし、仕切りが不明で際限がなくなるからして認めてはなるまい。ネチ共が凡そ民主主義の何たるかが分かっていないことを自己暴露している。どうか、ネチ共のせめて党内だけに通用する論にして欲しい。

「ゼネコン還流資金」については冤罪の可能性が強い。贈収賄証言者の虚言常習癖が暴露されている。ロッキード事件の時のようなコーチャンの免責付き証言には信用性が認められない。当然、買収証言は認められないとすへきだろう。「最近の世論調査」については、世論調査は世論操作による面が大きく、公平性が担保された質問形式のもので、且つ無回答率も含めたものでなければ信用できない。それでも錦の御旗とするのは為にする批判でしかない。

 「小沢氏の証人喚問に応じるべき」については、政権与党の首相、幹事長につき乱発するものではなかろう、容疑内容から見て在任中に大騒ぎするほどのことかどうか。付言しておけば、在任中大騒ぎするべき事例がある。それは、かの時、小泉首相が米国訪問の際にプレスリー邸で嬌態を見せた後イスラエルを訪問し、ユダヤ教徒の正装でユダヤ教儀式を執り行ったことである。れんだいこは、靖国神社公式訪問問題なぞ比較できぬ重大事であったとみなす。一国の首相が任期中に外国の宗教形式で宗教行為を執り行うなど許されてよい訳がなかろう。ところが、この時の小泉狂事は見逃された。メディアもネチ共も黙殺した。今に至るまで不問視されている。ネチ共論法を借りれば、即刻小泉を証人喚問せねばなるまい。志位君、市田君、どう思うかね。

 以上を踏まえてかく問わねばならぬ。ネチ共はなぜ執拗に小泉ではなく小沢を叩くのか、その背後事情に何があるのか、と。れんだいこの解は、ネチ共はそういう役目を持って云わされ続けている、云わしているのは現代世界を牛耳る国際金融資本の意を汲むネオシオニスト奥の院であろう、と読む。このれんだいこ解は正解だろうか。ここが議論されねばならぬ。

 興味深いことは、鳩山政権になってみて、野党席に自民、公明、共産と並ぶと以外にこれが何ともサマになっている姿である。これまで政権与党の自公、野党の共産と云う対立の立場に居たのに、もう何十年もコンビを組んでいる自然さが伝わるから不思議だ。この親和性はなぜだろう。れんだいこの解は、国際金融資本の意を汲む表統領の自民、表補佐の公明、裏補佐の共産という構図で80年代以降の日本政治が続いてきたことを示しており、不思議でも何でもない。目下の小沢キード事件追及に於ける自民−公明−共産連合の姿こそ真の正体に他ならぬ、と云うことになる。

 この構図を突き崩すのに最大の功のあった政治家が小沢である。これは延々30年の長征史となった。こたびの小沢キード事件、小沢潰しは、この30年長征史を否定し解体せしめよとの当局奥の院指令に他ならぬ。小沢を落とせば、残党狩りは容易であろう。こうしてロッキード事件以来の大型包囲網が敷かれた。新聞マスコミ各誌が声を合わせてハッスルした。しかしながら、その目論見は潰えた。なぜなら、ロッキード事件の検証を通じて、否その後の政治貧困、日本の国富簒奪、経済力衰退、地方荒廃が重しとなって、大本営発表を眉つばさせた。日本人民大衆は、その手は二度とは食わぬ桑名の焼きハマグリと冷静に対応した。日本人民大衆は既に先の総選挙で投票一揆に立ち上がり、自公を完膚なきまでに叩いている。賢明なる政治的経験を積み始めているということである。

 この局面で、ロッキード事件の時にはあれほどうまく行ったのに、こたびはなかなか重い、重いが仰せだから仕方ないと主張し続けているのが、ネチ共である。誰の為に、何の為に。ここが問われなければなるまい。れんだいこの解は、決して日本人民大衆の為にではない、このことをきっぱりと告げておこう。後は銘々で考えれば良い。知りたくなれば尋ね来るなら云うて聞かそう。

 2010.2.24日 れんだいこ拝

 2010年11月23日(火)「しんぶん赤旗」

 「みんなの党」寺田議員の関連会社 小沢氏側に1000万献金 胆沢ダム工事 17億円を受注


 参院選比例代表に「みんなの党」から立候補、初当選した前秋田県知事、寺田典城氏(70)がかつて社長を務めていた建設会社が、民主党の小沢一郎元代表側に1000万円を超す献金をしていたことが本紙の調べで分かりました。同社は、小沢疑惑の象徴ともいえる胆沢(いさわ)ダムの関連工事をあいついで受注しています。


 この会社は「創和建設」(秋田県横手市、資本金6700万円)。寺田氏は、1967年から横手市長になる91年まで社長を務め、06年までは22・5%の株式を保有する筆頭株主でした。

 政治資金収支報告書によると、同社は、95年〜99年に、小沢氏の資金管理団体「陸山会」に計250万円、2000年〜02年には、小沢氏の秘書が代表だった「自由党衆議院比例区東北第3総支部」に計720万円、02年〜03年には、小沢氏が代表の「自由党岩手県第4区総支部」に計120万円の献金をしています。

 小沢氏の関連政治団体「小沢一郎政経研究会」が03年に開いたパーティー券24万円分も購入しており、小沢氏側への資金提供は計1114万円にのぼります。

 このほか、93年7月の総選挙で、当時、新生党から立候補した小沢氏の選挙運動費用収支報告書によると、創和建設の岩手支店(水沢市、現奥州市)から100万円の寄付を受けています。

 この献金は、公共事業受注企業の選挙に関する献金を禁じた公選法違反の疑いがあるため、小沢氏側は「小沢一郎くらしと政治研究所」への献金だったと訂正しました。

 問題は、一連の献金と、同社の公共事業受注の関係。寺田氏は97年に小沢氏の依頼で知事選に出馬、3期12年にわたり知事を務めました。この間、同社は、胆沢ダムの関連工事をあいついで受注。受注総額は17億円を超えます。

 このなかには、小沢氏側に計1億円を提供したと関係者が証言している水谷建設の下請け工事も2件含まれています。(表参照)

 寺田氏は参院選に当選直後、「連立することが国家のためになるなら、(民主党との連立を)進めるべきだ」と語っていました。

表

 2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」 小沢元3秘書に有罪 水谷「裏献金」受領を認定 陸山会事件


 民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、虚偽記載罪に問われた衆院議員石川知裕被告(38)ら元秘書3人に東京地裁(登石郁朗裁判長)は26日、有罪判決を言い渡しました。判決は、史上最高の立件額となった約21億7000万円の虚偽記載をすべて認定、「規正法の趣旨にもとる、悪質な犯行」と断じました。


 東京地裁判決

 判決は、中堅ゼネコン「水谷建設」からの1億円の裏献金の授受を認め、この隠蔽が土地購入資金をめぐる虚偽記載の動機になったと認定しました。西松建設の違法献金では、元公設第1秘書大久保隆規被告(50)が東北地方の談合の本命業者を決める「天の声」を出していたことも指摘、公共事業を食いものにしてきた小沢氏の政治責任が厳しく問われることになりました。

 言い渡された量刑は、石川被告に禁錮2年、執行猶予3年(求刑禁錮2年)、大久保被告に禁錮3年、執行猶予5年(同禁錮3年6月)、元私設秘書池田光智被告(34)に禁錮1年、執行猶予3年(同禁錮1年)。

 土地取引をめぐる事件で、裁判長は、小沢氏から借り入れた土地購入代金の4億円を、石川被告が複数の口座に分散入金し、その後集約して組んだ定期預金を担保に銀行から融資を受けたことを「隠蔽工作」と指摘。「4億円を隠すため、故意に虚偽記載したのは明らかだ」としました。

 水谷建設からの裏献金については「石川被告と大久保被告に都内のホテルでそれぞれ5000万円ずつ渡した」とした同社元社長の証言は信用できると判断。虚偽記載の動機について、「4億円の原資を追及・詮索され、水谷建設からの資金や、小沢事務所が長年にわたって企業との癒着の下に資金集めを行っていた実態が明るみに出ることを避けようとした」としました。

 「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に公明、公正に行われるようにする」という政治資金規正法の趣旨を踏みにじり、「意図的に数多くの虚偽記入」などを行ったことについて、「政治活動や政治資金の流れに対する国民の不信感を増大させた。まったく反省の姿勢を示していない」と厳しく批判しました。

 公判で地裁は、検察側が請求した供述調書の大半を「威圧的な取り調べや利益誘導があった」として不採用としましたが、判決は、大久保被告が土地の選定や売買契約に深く関与したという状況証拠から起訴内容の一部を除いて、共謀を認めました。

 解説

 三転四転の購入原資

 癒着断罪 小沢氏に責任

 小沢一郎民主党元代表の秘書だった被告全員に有罪判決が言い渡されたことで、小沢氏の責任はいっそう免れないものとなりました。

 判決は、虚偽記載の動機が水谷建設からの裏金1億円を隠すことにあったと指摘。「公共工事を巡る小沢事務所と企業との癒着を背景とするもの」だと断罪しています。

 陸山会事件で虚偽記載として判決で認定された額は21億7000万円。西松建設違法献金事件でも本紙の調べで1億2900万円が小沢氏側に流れています。

 「少し大きな金のことは、先生に報告するのが当然のこと」(元側近)と、元秘書らにとって絶対的存在である小沢氏。その資金集めの手法そのものに問題ありとされたわけですから、小沢氏自身の政治的責任が問われるのは当然のことです。

 小沢氏は、自民党中枢にいた当時からゼネコン裏献金問題など、常に「政治とカネ」の疑惑が指摘されてきました。それを「不当な国策捜査」などと欺瞞(ぎまん)的な言動で問題点をすり替え、自らの疑惑について明確な説明を避けるのが、得意の政治手法です。陸山会事件でも土地購入の原資についての説明を「政治資金」「親の遺産」「知人から預かった金」などと、三転四転させてきました。

 しかし、それが国民の常識とかけ離れていることは、マスコミの世論調査のたびに「小沢氏の説明に納得できない」という声が圧倒的なことにも示されています。今回の元秘書への有罪判決が、こうした批判をいっそう強めることは間違いありません。

 判決は、10月6日から始まる強制起訴された小沢氏本人の公判にも大きな影響を与えます。その結果のいかんにかかわらず、小沢氏と民主党は国民にたいして納得のいく説明をすることが避けられない状況です。(森近茂樹)


 陸山会をめぐる事件 東京地検特捜部は2009年、小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」などが、西松建設から受けた企業献金を、同社のダミー政治団体からの寄付と偽って収支報告書に記載したとして、大久保隆規元公設第1秘書らを逮捕、起訴しました。10年には、陸山会が入手した土地の購入費を同報告書に記載しなかったなどとして、石川知裕衆院議員ら3人を逮捕、起訴し、小沢元代表は嫌疑不十分で不起訴としました。

 土地購入事件を告発した市民団体の申し立てを受けた検察審査会は、小沢元代表を起訴すべきだとする「起訴相当」を議決。特捜部による再度の不起訴処分を受けた再審査で、2回目の議決(起訴議決)をしました。議決を受け、検察官役の指定弁護士は今年1月、小沢元代表を強制的に起訴しました。

 2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」 小沢氏ら証人喚問を 陸山会事件判決 市田書記局長が会見


 日本共産党の市田忠義書記局長は26日、国会内で記者会見し、石川知裕衆院議員ら小沢一郎民主党元代表の元秘書らに対し政治資金規正法違反で有罪判決が出されたことについて、「小沢氏に対する疑惑がますます深まった。石川氏らを含めて国会の場で証人喚問を行い、真相究明と、政治的・道義的責任を明らかにすることが必要だ」と述べました。

 市田氏は、東京地裁の判決が、胆沢(いさわ)ダム工事受注をめぐり、元公設秘書の大久保隆規被告や石川被告に合計1億円を手渡したといわれる水谷建設社長(当時)の証言について「信用できる」と断定し、水谷建設からの裏献金を隠蔽(いんぺい)することが政治資金収支報告書の虚偽記載事件の動機だったと認定したことなどに言及。「公共事業をめぐる税金の還流疑惑がますます深まった。国会で証人喚問を行い、事実を明らかにすべきだ」と強調しました。

 その上で市田氏は、「小沢氏は政権党の元代表だ。野田佳彦代表をはじめとする執行部が、党として自浄作用を発揮し、国民の前に全ぼうを明らかにすることを強く求めたい」と述べました。

 石川氏に対する議員辞職勧告決議に関する対応について問われ、市田氏は「石川氏が有罪判決を受けたことは重大であり、まず何よりも国会の場できちんと事実関係と政治的・道義的責任をただすべきだ。議員辞職したらそれで終わりということではない」と指摘しました。

 2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」 陸山会事件 判決が指摘 「赤旗」スクープ 水谷1億円を認定


 「いずれの事件も長年にわたる公共工事をめぐる小沢事務所と企業との癒着を背景とするもの」―。26日に判決の言い渡しが行われた民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」事件。東京地裁は元秘書の大久保隆規(50)、石川知裕(38)、池田光智(34)の3被告の一連の行為を厳しく批判しました。判決は、自らも同事件で強制起訴された小沢被告が今も明確に語っていない4億円への強い疑問が貫かれています。(矢野昌弘)


 4億円 隠ぺいの意図

 原資の追及を避けるため

 陸山会の2004年分の収支報告書に書かれた「借入先 小澤一郎 4億円 04年10月29日」の記載。

 この「借入金」は、何を指すのかが、公判の大きな争点となっていました。

 行動不可解

 判決は、この記載をりそな銀行からの4億円だと認定。小沢被告からの現金4億円を記載したとする石川被告の主張を「不自然であり、(銀行からの融資を記載した)03年分の収支報告書の記載の体裁ともあわない」と退けました。

 さらに判決は、小沢氏から借りた現金4億円を、石川被告が(1)五つの銀行に入金した後に一つの口座に集約した「分散迂回(うかい)入金」(2)土地の代金を払い終えたのに銀行から預金担保融資を受けたこと(3)土地の登記をあえて05年1月にずらした――不可解な行動を列挙。

 この行動を「04年収支報告書に載ることを回避しようとする強い意思を持って、隠ぺい工作を行ったことが強く推認される」と断罪しました。

 証拠と合致

 判決は、「大久保、石川の両被告に加え、4億円を用立てた小沢自身ですら、原資については明快な説明ができていない」としています。

 「しんぶん赤旗」日曜版が09年11月にスクープした胆沢ダム本体工事の受注をめぐって中堅ゼネコン水谷建設が小沢事務所に計1億円を渡したとする関係者の証言。

 法廷での同社元社長の生々しい現金受け渡しの証言について、「他の水谷建設関係者の証言とも符合し、(受け渡し場所での)レシートなど客観的証拠とも合致しており、信用できる」と認定しました。

 石川被告が隠ぺい工作に走った背景に、判決は、04年10月ごろに報じられた、小沢氏側が胆沢ダムの建設利権をめぐって金を受け取った疑惑があるとする記事にふれました。

 石川被告が同年10月19日ころにこの記事を知り、直後の同月24日ごろに土地の本登記日の繰り延べを相談、さらに28日にりそな銀行に4億円の預金担保融資を申し込んだことを列挙。「マスコミから厳しい追及・せん索を受け、その原資や水谷建設からの献金等の事実が明るみに出る可能性があったため、4億円を隠ぺいしようとしたことが合理的に推認できる」としました。

 共謀と故意

 公判を通じて、大久保被告は陸山会の「名ばかり」の会計責任者だったと収支報告書の作成には関与していないと主張していました。

 しかし判決は「遅くとも大久保被告は、石川被告の依頼に応じて、自ら本登記の繰り延べ交渉を行った時までには、4億円の隠ぺいなど、石川被告と意思を通じ合ったものといえる」と指摘。「明示的にせよ、黙示的にせよ、両被告人が意思を通じていた」と大久保被告の主張を退け、「共同正犯としての責任」を認めました。

 また石川被告と池田被告による収支報告書の不記載や虚偽記載を故意の犯行だと認定しました。

 公判で、石川被告らがたびたび主張した「身内の間におけるやり繰りに過ぎなかった」とする、収支報告書に記載しない、ずさんな資金のやりとり。

 これについて判決は「実際に資金移動があったにもかかわらず、それとは異なる時期に記載することを許せば、政治資金の流れを恣意(しい)的に操作することも可能となりうるのであって、政治資金規正法がかかる解釈を許容しているとは考えられない」と批判しています。


陸山会をめぐる動き

(肩書は当時)

【2009年】

3月3日 西松建設事件で、東京地検特捜部が小沢一郎民主党代表の大久保隆規公設第1秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕

  24日 大久保秘書を起訴

【2010年】

1月15日 石川知裕議員と池田光智元私設秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕

  16日 大久保秘書を同法違反容疑で逮捕

2月4日 石川議員ら3人を起訴。小沢元代表は嫌疑不十分で不起訴

4月27日 東京第5検察審査会、小沢元代表の起訴相当を議決

5月21日 特捜部、小沢元代表を改めて不起訴処分

9月14日 検察審、小沢元代表を起訴議決

10月4日 検察審が議決書を公表

【2011年】

1月31日 指定弁護士が小沢元代表を強制起訴

2月7日 石川議員ら3人、初公判で全面否認

6月30日 東京地裁、石川議員らの供述調書の大半を不採用決定

9月26日 石川議員らに有罪

 2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」 主張 秘書有罪この判決は、限りなく重い


 小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、現職の衆院議員を含む3人の元秘書に有罪判決。この判決は、3人の元秘書はもちろん、小沢氏自身と民主党にとっても、限りなく重いものとなったことは明らかです。

 小沢氏自身の裁判も間もなく始まります。裁判での追及とともに国会での真相解明と政治的道義的責任の追及が免れません。

 国民の監視を逃れるため

 事件は「陸山会」の東京・世田谷区での土地購入をめぐり、4億円の資金の流れが政治資金収支報告書で正しく届けられていなかったというのがきっかけです。政党や国会議員、地方議員などに届け出が義務付けられている政治資金収支報告書は、政治資金の流れを透明にし、その活動について主権者である国民の「不断の監視と批判」の下に置くことが目的です。

 ところが「陸山会」の土地購入は、4億円もの巨額の取引にもかかわらず、小沢氏自身が貸し付けたといわれる資金の出所は不明で、実際の購入と届け出の時期が違うなど、とてもまともに国民の前に真実を明らかにするものではありませんでした。小沢氏自身や逮捕された3人の元秘書は「事務処理上」の問題などといいはり、事件そのものを「形式犯」とわい小化しようとしました。国民の監視を受ける態度とはいえません。

 とくに小沢氏は、一貫して「秘書がやった」と責任を回避し、資金の出所についての説明も「政治献金」「家族の預金」などと二転三転させ、自らは一度も国会で説明しようとしないなど不誠実きわまりない態度を取っています。市民の告発による2度にわたる検察審査会の決定で小沢氏が強制起訴され、国会でも証人としての喚問が求められてきたのは当然です。

 今回の判決は小沢氏に先立ち起訴された3人の元秘書に対するものですが、政治資金規正法でウソを届け出たこと自体を、「規正法の趣旨にもとる悪質な犯行」ときびしく弾劾しています。裁判中には検察の調書を裁判所が「威圧的な取り調べ」などを理由に採用しないといったことがありましたが、調書以外の法廷証言や客観証拠から3人の有罪を判断しました。

 しかも判決が、虚偽の政治資金収支報告書を届け出た動機として、「水谷建設」などゼネコンからの献金を含む資金の出所を「追及・せん索され」、小沢事務所とゼネコンとの長年にわたる「癒着が明るみにでることを避けようとした」と明快に指摘したことは重大です。事件は単なる「形式犯」などでは決してありません。判決をきっかけに小沢氏の責任はもちろん、公共事業をめぐる小沢氏とゼネコンとの醜い癒着に徹底してメスを入れることが不可欠です。

 企業・団体献金禁止こそ

 東北地方で発注される公共事業を中心に、小沢事務所が事実上受注先を決める「天の声」を出し、その見返りとして政治献金を手に入れてきたことはこれまでもたびたび指摘されています。判決は「西松建設」からの「ダミー」を使った違法献金も指弾しています。

 企業や業界団体からの献金が政治腐敗の元凶となっているのは、いよいよ明らかです。事件そのものの徹底究明とともに、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すかどうかが問われます。

 2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」 陸山会事件・西松建設違法献金 東京地裁判決 公共工事で「天の声」 献金主体隠すダミー団体


 「新政研(新政治問題研究会)および未来研(未来産業研究会)は、西松建設がその社名を隠して政治献金を行うための隠れみのにすぎないと評価できるのであって、政治団体としての実体はなかったというべきである」―。民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、26日、東京地裁は元公設第1秘書、大久保隆規被告がかかわった「西松建設」違法献金事件について、こう断じました。また、判決は、大久保被告が東北地方の公共工事で「天の声」を出していたことも認めました。


 新政研、未来研は、西松建設が正体を隠して、政界に献金をするために作ったダミー(隠れみの)政治団体であり、本紙は同社が2団体を通じて政界にばらまいたカネは小沢氏側はじめ、自民党の二階俊博元経済産業相、森喜朗元首相など約20人に対し、約4億8000万円にのぼることを明らかにしてきました。

 小沢氏側には、判明しているだけで、1億2900万円が提供されており、このうち、3500万円分について、大久保被告が起訴されていました。

 判決は、岩手県や秋田県での公共工事受注について、「いわゆる本命業者の選定に関して、小沢事務所の意向が決定的な影響力を持っており、その了解がなければ本命業者になれない状況だった」と指摘。「小沢の秘書から発せられる本命業者とすることの了解は、ゼネコン各社にとっては、いわば『天の声』と受け止められていた」として、2002年、03年ごろから大久保被告が、「天の声」を発出する役割を担うようになったとしました。

 そのうえで、公共工事の談合による受注獲得のために献金している西松建設が、小沢事務所に西松による献金であることを理解してもらわなければ意味がなく、小沢事務所における政治献金の受け入れ窓口であった大久保被告が、「献金の主体が西松であることを理解していなかったことは到底考えられない」と指摘しました。

 判決は、水谷建設の1億円裏献金の事実も認定。国民の税金で行われる公共事業で利益を享受している企業から巨額の資金提供を受け、受注のための「天の声」を出す、という癒着の構図が浮き彫りになりました。

表










(私論.私見)