小沢パッシング考その11、東京第5検察審査会の「起訴議決」後の流動

 (最新見直し2010.10.15日)

 (れんだいこのショートメッセージ)
 

 2010.10.4日 れんだいこ拝


東京第5検察審査会(検審)が、小沢氏に対して「起訴議決」を公表】

 2010.10.4日、東京第5検察審査会(検審)が、民主党の小沢元幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、東京都の市民団体から政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で告発され、嫌疑不十分で不起訴処分となっていた小沢氏について、「起訴議決」を出したことを公表した。この議決は、民主党代表選当日の9.14日に行われたという。4.27日に「起訴相当」議決が出されており、「起訴議決」が出されたことで、小沢氏は今後、改正検察審査会法に基づき、東京地裁が指定する弁護士によって政治資金規正法違反(虚偽記入)で強制的に起訴される。検察審査会法の規定では、第2段階の審査で11人中8人以上が「起訴すべきだ」と判断した場合に、審査対象者は強制的に起訴される。

 最高裁などによると、昨年5月の改正検察審査会法施行後、「起訴議決」はこれまでに兵庫県明石市の歩道橋事故とJR福知山線の脱線事故などで少なくとも3件あるが、国会議員が強制起訴されるのは初めて。

 東京第5検察審査会から2度目の起訴議決を受けたことを受け、民主党の牧野聖修国会対策委員長代理は、小沢一郎元代表の進退について、国会内で記者団に「自ら身を引くべきだ。それが出来ないなら、公党としてけじめを付け、離党勧告なり、除名になっていくだろう」と語った。民主党の三井辨雄国土交通副大臣は、国交省での記者会見で、「冷静に見守りたい。詳しいことは何も聞いていないので、離党などの問題については性急にコメントする時期ではないと思っている」と語った。起訴議決の判断については「なぜこの時期なのかなという思いもある」と述べた。三井氏は党内で小沢氏を支持するグループに属している。民主党の輿石東参院議員会長は、「今初めて聞いたことだからコメントしない」と語った。党の対応については「慌てることはない」と述べた。民主党の小沢元代表が強制的に起訴されることになったことについて、民主党の生方幸夫衆議院議員はNHKの取材に対し、「小沢氏が代表選挙で勝っていなくてよかった。総理大臣になっていたら、また大問題だった。政治とカネの問題について、きれいにしなければいけないということが、政権交代の一つの目的でもあったので、代表選挙に立候補した人が強制起訴される事態になったことは、非常に重く受け止めなければいけない。結果は裁判で白黒はっきりするだろうが、起訴されたことの政治的な責任はきわめて大きく、小沢氏は政治活動を自粛するのが筋だ」と述べた。横粂勝仁衆院議員は「民意がそう判断された以上、しっかりと裁判で事実解明をすべきだ。事件の国民への説明が不十分だった感はぬぐえない。以前からきちんと説明していれば、こうした事態には至らなかったのではないか」。元検事の山尾志桜里(しおり)衆院議員は「推定無罪の原則があり、今回の起訴が即、離党勧告や出処進退の問題に必ずしも直結するものとは思わない」。

 田中美絵子衆院議員は、「推移を見守りたい」と一言。小沢氏の秘書を務めたこともある青木愛衆院議員の事務所は「特にコメントはありません」。谷亮子参院議員の後援会も「特にコメントはありません」。福田衣里子衆院議員は「事実関係をよく聞いていないので、なんとも言えないと思います」。三宅雪子衆院議員は、「政治家として希有(けう)な存在であり、(強制起訴が)今後の政治活動に支障をきたすのであれば残念」、「検察審査会というシステムがある以上、判断は判断として受け止めなければならないが、私が無実を信じる気持ちに変わりはない」。有田芳生参院議員は「裁判になっても新しい証拠が出てくるはずはなく無罪で終わる」、「検察はいいかげんだという風潮が強まり、(強制起訴の)ハードルが下がったのでは」。

 鈴木宗男氏は、「ムネオ日記」で「私の事件でも多くの国民は、「ムネオハウス」「北方四島人道支援のディーゼル」「アフリカODA」で事件になり、裁判の結果実刑判決と思っている人が多い。私の場合、マスコミで取り上げられた件で何一つ事件にはなっていないが、正しくない報道を国民も鵜呑みにしてしまうのである。こうした事を考えると民主主義の危機だという認識を国会議員等しくもたなければ、狙われれば明日は我が身なのである。今、日本に公平、公正があるか真にフェアーな社会と言えるか、読者の皆さんも考えて戴きたい。小沢一郎先生は意気軒昂で、堂々と裁判で真実を明らかにすると言う姿勢なので安心した」。

 国民新党の亀井静香代表は4日夜、BS11の番組で、小沢一郎民主党元幹事長に対する検察審査会の議決が同党代表選の投票日に行われながら、20日後の公表となったことについて「ふに落ちない。何か事情があったのか」と疑問を呈した。小沢氏の対応については、「一貫して潔白だと主張してきたわけだから、そういう立場で行動していくと思う」と語った。また、「証拠判断の訓練も受けず、法律判断をしたことのない人の判断は情緒的に流れやすくなる。制度論として検討の余地がある」と述べ、強制起訴制度を見直す必要があるとの考えを示した。

【東京第5検察審査会の議決書全文】
 東京第5検察審査会の議決書全文」がサイトアップされているので転載しておく。
平成22年東京第五検察審査会審査事件(申立)第10号
申立書記載罪名 政治資金規正法違反
検察官裁定罪名 政治資金規正法違反
議決年月日   平成22年9月14日
議決書作成日  平成22年10月4日

議決の要旨
審査申立人 (氏名) 甲
被疑者   (氏名) 小沢一郎こと 小 澤 一 郎
不起訴処分をした検察官 (官職氏名)東京地方検察庁 検察官検事  斉 藤 隆 博
議決書の作成を補助した審査補助員 弁護士 吉 田 繁 寛
当検察審査会は、上記被疑者に対する政治資金規正法違反被疑事件(東京地検平成22年検11022号)につき、平成22年5月21日上記検察官がした再度の不起訴処分の当否に関し、検察審査会法第41条の2第1項により審査を行い、次のとおり議決する。

 議決の趣旨

 別紙犯罪事実につき、起訴すべきである。

 第1 被疑事実の要旨

 小沢氏は、資金管理団体である陸山会の代表者であるが、真実は陸山会において平成16年10月に代金合計3億4264万円を支払い、東京都世田谷区の土地2筆(以下「本件土地」という)を取得したのに

 1 陸山会会計責任者の大久保隆規被告とその職務を補佐する元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告と共謀の上、平成17年3月ころ、東京都選挙管理委員会において、平成16年分の陸山会の収支報告書に、本件土地代金の支払いを支出として、本件土地を資産としてそれぞれ記載しないまま、総務大臣に提出した

 2 大久保被告とその職務を補佐する元私設秘書の池田光智被告と共謀の上、平成18年3月ころ、東京都選挙管理委員会において、平成17年分の陸山会の収支報告書に、本件土地代金分過大の4億1525万4243円を事務所費として支出した旨、資産として本件土地を平成17年1月7日に取得した旨それぞれ虚偽の記入をした上、総務大臣に提出したものである。

 第2 検察官の再度の不起訴処分

 嫌疑不十分

 第3 検察審査会の判断

 1 再捜査について

 検察官は再捜査において、小沢氏、大久保被告、石川被告、池田被告を再度取り調べているが、いずれも形式的な取り調べの域を出ておらず、本件を解明するために、十分な再捜査が行われたとは言い難い。

 2 石川被告供述の信用性

 (1)石川被告の供述について、4億円の出所や土地取得資金の記載を翌年にずらした偽装工作の動機に関する供述に不合理・不自然な点もみられるが、4億円の出所、偽装工作の動機に関する供述は真の動機を明らかにできないことから、苦し紛れの説明をせざるを得なかったもので、小沢氏に報告・相談などしたことに関する供述とは局面を異にする。そして、石川被告は小沢氏を尊敬し、師として仰いでおり、石川被告が小沢氏の関与を実際より強める方向で虚偽の供述に及ぶことや小沢氏を罪に陥れるための虚偽の供述をすることはおよそ考え難い。さらに再捜査において、検察官から小沢氏に不利となる報告・相談などを認める供述をした理由を聞かれ、合理的に説明し再捜査前の供述を維持していることなどから、前記石川被告の供述には信用性が認められる。

 (2)石川被告の小沢氏に報告・相談などしたとの供述について、小沢氏の了解を得たとする場面での具体的なやりとりがなく、迫真性があるものとまで言えないとして、また、石川被告の説明に対する小沢氏の反応も受け身のものであるとして、石川被告の供述の信用性を消極的に評価することは適切ではない。石川被告が取り調べを受けたのは、小沢氏に説明・相談し、了承を得たときから5年ほどの時点である上、石川被告にとって、日常的な業務の場所である小沢氏事務所で、用意した資料に基づいて報告・説明したのであるから、そのときのやりとりや状況に特に記憶に残るものがなかったとして、何ら不自然、不合理ではなく、本件では、細かな事項や情景が浮かぶようないわゆる具体的、迫真的な供述がなされている方が、むしろ、作為性を感じ、違和感を覚えることになるものと思われる。

 3池田被告供述の信用性

 池田被告は、「平成17年分の収支報告書を提出する前に、小沢氏に土地代金を計上することを報告し、了解を得た」旨の供述をしていたが、再捜査において、この供述を翻し、これを完全に否定するに至っている。

 (1)池田被告の小沢氏に報告し了承を得たとの供述について、石川被告からの会計補助事務の引き継ぎにおいて、本件土地代金の収支報告書での処理に関する方針についても引き継ぎがなされていることは、石川被告の供述と符号するものである。そして、池田被告も石川被告と同様に、小沢氏を尊敬し、師として仰いでおり、池田被告が小沢氏の関与を実際より強める方向で虚偽の供述に及ぶことや小沢氏を罪に陥れるための虚偽の供述をすることはおよそ考え難いことなどから、池田被告の変遷前の供述には信用性が認められる。

 (2)池田被告の供述について、石川被告の供述と同様に、小沢氏の了解を得たとする場面での具体的なやりとりがなく、迫真性があるものとまで言えないとして、また、池田被告の説明に対する小沢氏の反応も受け身のものであるとして、池田被告の供述の信用性を消極的に評価することは適切ではない。その理由は既に石川被告の供述について述べたとおりである。

 (3)池田被告は再捜査において、小沢氏に報告し了解を得た供述を翻し、これを否定しているが、その理由として、池田被告は、前供述当時から明確な記憶があったわけではなく、あいまいな記憶に基づいて話してしまったが、冷静になって記憶を呼び戻した結果、はっきりなかったと思い至ったというほかない旨の説明をしているが、池田被告は逮捕前から、大久保被告への報告を否定しつつ、小沢氏への報告、了承を供述しており、記憶に従って供述していたことが認められることから、不合理な説明である。そして、再捜査における取り調べにおいては自らの供述が小沢氏の刑事処分に影響を及ぼしかねないことをおそれていることが明らかであることなどから、池田被告の変遷後の供述は信用できない。

 4小沢氏供述の信用性

 (1)小沢氏の本件土地購入資金4億円の出所について、小沢氏の当初の説明は著しく不合理なものであって、到底信用することができないものである上、その後、説明を変えているが、変更後の説明も著しく不合理なものであって、到底信用することができないものである。小沢氏が本件4億円の出所について明らかにしようとしないことは、小沢氏に収支報告書の不記載、虚偽記入に係る動機があったことを示している。

 (2)小沢氏は本件土地購入の原資を偽装するために、銀行から陸山会の定期預金4億円を担保に小沢氏個人が4億円を借り入れるに際して、融資申込書や約束手形に署名・押印したことに関し、「(元私設秘書で衆院議員の)石川知裕被告から特に説明を受けることなく、求められるままに署名した」旨の供述をしている。しかし、小沢氏は本件土地購入資金として4億円を自己の手持ち資金から出したと供述しており、そうであれば、本件土地購入資金として銀行から4億円を借り入れる必要は全くなかったわけであるから、年間約450万円もの金利負担を伴う4億円もの債務負担行為の趣旨・目的を理解しないまま、その融資申込書や約束手形に署名押印したとの点については、極めて不合理・不自然である。また本件土地購入資金の原資を隠すために偽装工作として、4億円の銀行借入を行ったのであれば、原資の4億円については収支報告書に記載されないことになり、その偽装工作のために収支報告書の不記載・虚偽記入がなされることは当然であって、このような銀行借入を行うことを了承して自ら融資申込書などに署名・押印している以上、当然に不記載・虚偽記入についても了承していたものと認められることになる。

 5状況証拠

 前記の定期預金担保貸し付けが行われた際に、小沢氏が融資申込書や約束手形に署名・押印していることのほか、4月27日付検察審査会議決において指摘されているように、平成16年10月29日に売買代金を支払い取得した土地の本登記を平成17年1月7日にずらすための合意書を取り交わし、合意書通りに本登記手続きを同年1月7日に行うなど、土地取得の経緯や資金についてマスコミなどに追及されないようにするための偽装工作をしている。また、小沢氏と石川被告、陸山会会計責任者だった大久保隆規被告、元私設秘書の池田光智被告の間には強い上下関係があり、小沢氏に無断で石川被告、大久保被告、池田被告が隠蔽(いんぺい)工作をする必要も理由もない。

 さらに小沢氏は平成19年2月20日に事務所費や資産などを公開するための記者会見を開くにあたり、同年2月中旬ごろ、池田被告に指示し、本件土地の所有権移転登記が小沢氏個人の名義になっていることから、本件土地が小沢氏個人の財産ではなく、陸山会の財産である旨の確認書を平成17年1月7日付で作成させ、記者会見の場において、小沢氏自らこの偽装した確認書を示して説明を行っている。この確認書の作成年月日の偽装は事後的なものであるが、収支報告書の不記載・虚偽記入について小沢氏の関与を強くうかがわせるものである。

 6まとめ

 以上の直接証拠と状況証拠に照らし、検察官が小沢氏と大久保被告、石川被告、池田被告との共謀を認めるに足りる証拠が存するとは言い難く、結局、本件は嫌疑不十分に帰するとして、不起訴処分としたことに疑問がある。

 検察官は起訴するためには、的確な証拠により有罪判決を得られる高度の見込みがあること、すなわち、刑事裁判において合理的な疑いの余地がない証明ができるだけの証拠が必要になると説明しているが、検察官が説明した起訴基準に照らしても、本件において嫌疑不十分として不起訴処分とした検察官の判断は首肯し難い。

 検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって本当に無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして、嫌疑不十分として検察官が起訴に躊躇(ちゅうちょ)した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる。

 よって、上記趣旨の通り議決する。

 東京第五検察審査会

 別紙

 犯罪事実

 被疑者は、資金管理団体である陸山会の代表者、大久保被告は、被疑者の資金管理団体である陸山会の会計責任者であった者、石川被告及び池田被告は、陸山会の会計責任者の職務を補佐していた者であるが、被疑者は、

 第1 石川被告及び大久保被告と共謀の上、平成17年3月31日ころ、東京都新宿区西新宿2丁目8番1号所在の東京都選挙管理委員会において、陸山会が、平成16年10月初めころから同月27日ころまでの間に、被疑者から合計4億円の借入れをしたのに、平成16年分の収支報告書にこれらを収入として記載せず、同収支報告書の「本年の収入額」欄に、過小の5億8002万4645万であった旨の虚偽を記入し、更に、陸山会が、平成16年10月5日及び同月29日、土地取得費等として合計3億5261万6788円を支払ったのに、同収支報告書にこれらを支出として記載せず、同収支報告書の「支出総額」欄に、真実の「支出総額」が4億7281万9519円であったのに3億5261万6788円過小の1億2120万2731円であった旨の虚偽を記入し、また、同月29日、東京都世田谷区の土地2筆を取得したのに、同収支報告書にこれを資産として記載せずして、同収支報告書を総務大臣に提出した。

 第2 池田被告と大久保被告と共謀の上、平成18年3月28日ころ、前記東京都選挙管委員会において、真実は、陸山会が、平成17年1月7日に土地取得費用等として合計3億5261万6788円を支払っていないのに、平成17年分の収支報告書にこれらを支出として記載して、「支出総額」欄に、真実の「支出総額」が3億2734万7401円であったのに3億5261万6788円過大の6億7996万4189円であった旨の虚偽を記入し、また、同収支報告書に東京都世田谷区の土地を資産として記載し、「資産等の内訳」欄に、真実の取得が平成16年10月29日であったのに平成17年1月7日に取得した旨の虚偽を記入して、同収支報告書を総務大臣に提出したものである。
編集部 ( 2010/10/04 17:17 )

【起訴議決の諸問題考】

 本事件は、東京地検特捜部による、小沢元代表の資金管理団体が土地の購入資金に充てた4億円をめぐり、平成16年と17年、19年分の収支報告書にうその記載をしたとして捜査したところから始まる。結果、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の罪で元秘書ら3人を起訴する一方、小沢氏本人については不起訴にした。これに対し、東京第5検察審査会が設置され、2010.4月、平成16年と17年分について小沢氏を「起訴すべきだ」と1回目の議決をした。ところが、特捜部が再び不起訴にしたため2回目の審査が進められ、その結果、9.14日付けで審査員11人のうち8人以上の賛成で、小沢氏を「起訴すべきだ」とあらためて議決した。

 これが、10.4日に公表された。東京第5検察審査会の議決書は次のように述べている。「(収支報告書を提出する前に、小沢氏に報告・相談したという元秘書で衆議院議員の石川知裕被告(37)の捜査段階の供述について)特捜部の再捜査でも同じ供述をしており、信用できる」と指摘した。また「小沢氏に土地代金を計上することを報告し、了承を得た」という元秘書の池田光智被告(33)の捜査段階の供述についても、「師として仰いでいる小沢氏の関与を、実際より強める方向で、うその供述をするとは考えがたく、信用できる」と指摘した。小沢氏の供述については「土地の購入資金に充てた4億円の出どころについての小沢氏の説明は、不合理で到底信用できない。その後、説明を変えているが、変更後の説明も、到底、信用することができないものである。小沢氏は4億円を自分の手持ち資金から出したと供述しているが、それならば銀行から4億円を借り入れる必要はまったくない。銀行からの融資を了承し、みずから署名・押印した以上、当然、うその記載についても了承していたと認められる。小沢氏が4億円の出どころを明らかにしようとしないことは小沢氏に収支報告書に記載しなかったことなどにかかわる動機があったことを示している」、「検察官は再捜査で小沢氏や3人の元秘書を再度取り調べているが、いずれも形式的な取り調べの域を出ておらず、本件を解明するために十分な再捜査が行われたとは言い難い。検察官が本件を不起訴処分にしたことには疑問がある。検察官は起訴するためには的確な証拠によって有罪判決を得られる高度の見込みがあることが必要だと説明しているが、この起訴基準に照らしても本件を嫌疑不十分として不起訴にした検察官の判断は認めがたい」。

 議決書の論の中身以前の問題として、検察審査会制度及び権能について確認しておく。東京第5検察審査会は次のように述べている。「検察審査会の制度は有罪の可能性があるのに検察官の判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって、ほんとうに無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。検察が起訴する基準に照らしても検察の判断は肯定できない。検察審査会の制度は、そして嫌疑不十分として検察官が起訴をちゅうちょした場合に、いわば国民の責任において公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度である」。

 この観点は正当だろうか。 もともと検察審議会の制度はGHQが日本政府に「検察の民主化」を指示して1948年にできたものである。当時、強制起訴の権限がなかった。ところが、裁判員制度と同じ2009年5月21日から二度の起訴相当の判断が下れば自動的に強制起訴することができるように改定された。魔女狩り的な冤罪を生む検察審査会の強制起訴制度に道が開かれたことになる。

 検察審査会法は、1条において「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため」としている。しかし、それ以上の権利や制度ではないとすべきではなかろうか。検察審査会にそれ以上の権利を認めると、日本国憲法第17条の規定に齟齬する可能性が生まれる。日本国憲法第17条は次のように記している。「日本国憲法第17条  何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる」。日本国憲法第第40条は次のように記している。「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる」。

 この問題につき、最高裁判例(最判昭和53年10月20日判決民集32巻7号1367頁)は次のよう判示している。概要「検察官の行為も(憲法17条に基づく)国家賠償法1条の対象となる。但し、1・逮捕・勾留は、その時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められる限りは適法である。2・起訴・公訴追行時の検察官の心証は、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば適法といえるとしている」(桜井=橋本「行政法」(第2版)(弘文堂、平成21年)380頁以下)。

 この判例に拠れば、長年刑事裁判での事実認定を行ってきたという検察官というプロによって「各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑」があれば適法となる。検察という組織は、有罪にできると判断すれば必ず起訴する(秋山賢三・元裁判官の発言)。しかし、これを逆に云えば、有罪の見込みがないのに強制起訴となれば違法な起訴と判断され国家賠償責任が生じる。国家賠償責任が発生することが確実といえる違法な起訴は憲法17条に反するものであって認めるわけはいかないと云うことになろう。憲法40条は不当に拘禁された者を救済する規定である。これによれば、検察庁の起訴乱用は憲法40条に反することになる。刑事裁判は、「黒か白か」を決めるのではなく、「黒か黒でないか」を決める場所であるというのが、法治国家における訴訟理念(合理的な「疑い」があれば罰しない、「疑わしきは」被告人の利益に判断する)である(田宮裕「刑事訴訟法(新版)」429頁)。「刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などという検査審査会の考えは、法治国家において共通する訴訟理念を否定するものである。

 本事件は、検察官が「何が何でも小沢逮捕」を旗印に、総勢200名以上の優秀な検察官を集め、小沢事務所、陸山会、鹿島など一斉家宅捜査を行い、1年にもわたって起訴しようと画策したのにも関わらず、検察が描いたゼネコン贈収賄斡旋疑獄ストーリーを補強する有罪の証拠がなく、不起訴に終わった案件である。検察はメンツを保つために、ザル法の政治資金規正法で三人の秘書を起訴に持ち込んだが、かなり無理筋な起訴と評されている。それを、選任された弁護士が検察となって有罪を立証するのは極めて困難と云える。今後、指定された弁護士が捜査を指揮することについて、「検察官が専従で捜査してもたいへんな事件であり、ほかの仕事も抱える弁護士が低い報酬で密度の濃い立証をできるのか。制約が多いなかで十分な立証をするのは難しいだろう」と云うことになる。検察があきらめたものを、同じ証拠で素人が起訴しても共謀の立証→有罪判決どころか公判維持もできないことが予想される。

 郷原信郎(元・検事)は、議決書に添付されている別紙犯罪事実に、検察の不起訴処分の対象になっていない収入面の虚偽記入の事実が含まれていることを指摘し、検察の公訴権独占の例外として検察審査会議決による起訴強制が認められている趣旨に照らして、不起訴処分の対象事実を逸脱した被疑事実で起訴相当議決を行うことは許されない。今回の起訴相当議決は無効であり、強制起訴手続をとることはできないとしている。

 検察審査会法第41条の7は、「検察審査会は、起訴議決をしたときは、議決書に、その認定した犯罪事実を記載しなければならない。この場合において、検察審査会は、できる限り日時、場所及び方法をもつて犯罪を構成する事実を特定しなければならない」としている。これによると、今回の議決は無効性が強いことになる。検察が不起訴にした以外の事実での起訴を求める議決により小沢の強制起訴は公訴棄却だという見方が出ている。裁判が始まる前に無罪となる。検察が不起訴にした公訴事実以外を「起訴」したなら不告不理の大原則(当事者主義の訴訟構造)真向から違反して起訴そのものが無効で公訴棄却だろう。検察審査会は検察が不起訴にした判断について(のみ)検察審査会がその是非を審査する(ルールとなっている)。

 検察審査会法39条の5には「検察官の公訴を提起しない処分の当否に関し」となっている。「不起訴処分の対象事実を逸脱した被疑事実で起訴相当議決を行うことは許されない」。審査会の補助弁護士の責任が問われることになる。背後で行為を教唆した人物があり、その議決によって政治的な利益を得る目的があったとするならば、その人物の違法行為も処罰されるべきだろう。何れにせよ今回の検察審査会の議決は無効であるとされなければならない。検事総長は違法行為の有無を調べる義務があると思う。 

 ジャーナリストの江川紹子さんは次のように述べている。「とても驚いている。大阪地検の証拠改ざん事件で特捜部の捜査が問題になっているさなかで、検察審査会はもっと慎重な対応をすると思っていた」、「(今回の議決については)供述の信用性について審査員の想像で判断したとみられる部分が含まれ、厳密に証拠を評価したとは思えない。審査員は、報道などで伝えられる小沢氏のイメージによって判断した可能性もある。検察が総力をあげて起訴できなかったものが、裁判で有罪になる可能性は非常に低いと思う」、「検察審査会が、今回のように政治的に利用される可能性がある事件を審査することは、想定されていなかったのではないか。審査会は強大な権限を持ったのに、議論が明らかにされない不透明さがあり、新たなシステムをつくる必要がある」。 


Re::れんだいこのカンテラ時評819 れんだいこ 2010/10/06
 【東京第5検察審査会決定無効論】

 2010.10.6日付け読売新聞は、「代表選当日の小沢氏審査、『議論煮詰まり』議決」記事を発信している。これは読売のヒットである。朝日ばかりにスクープされたのでは口惜しいと云う気持ちがあるのだろう。こうなると、それにしても毎日がアカンな。テレビに出て調子こいて満足と云う手あいばかりが上にいたらオワと云うことだな。
 (ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101006-00000087-yom-soci)

 それによれば、こたびの東京第5検察審査会による小沢どん起訴議決の裏で、審査補助員を務めた吉田繁実弁護士が結論をリードしたんだと。小沢どんの容疑は、「政治資金規制法」に絡む政治資金収支報告書の「虚偽記載」であるが、吉田弁護士は、11人の市民審査員が法律に疎いことに乗じて、刑事事件である暴力団組長が組員の銃砲刀剣類所持に絡んで責任を問われた事件を例にして「小沢どん有責」議決へ誘導したと云う。第一回「起訴相当」議決を担当した審査補助員・米澤敏雄弁護士も同様の誘導を図り批判されている。性懲りもなく吉田繁実弁護士も同じ手を使ったことになる。闇勢力が何としてでも「小沢どんの政治的威力を殺ぐ狙いを持って」次から次へと執拗に工作していることが分かる。

 こういうところで「共謀罪」が登場していることに注目せねばなるまい。既に暴力団対策として部分的に採り入れられているが、全面的な採用までには至っていない。小泉政権時代、個人情報保護法案と共に導入されようとしていた経緯がある。「共謀罪」が独り歩きし始めると、「暴力団の次に政治家、政治家の次に誰それ、その次に国民」がターゲットにされるとして成立しなかった。こたびの経緯を見れば、成立していようがいまいが適用されていることになる。「著作権の独り歩き」と同じである。ドイツのように法の番人が健全であれば無効とするところであろうが上から法破りする例を見せ続けている折柄、正論は通らない。

 読売記事によると、東京第5検察審査会が小沢氏を「起訴すべきだ」と議決するまでの経緯は次の通りである。11人の審査員たちは、お盆休みのある8月中は隔週でしか集まれなかったが、9月に入ってからは、平日に頻繁に集まり審査を行った。9月上旬、検察官の意見聴取を行った。意見聴取では、東京地検特捜部の斎藤隆博副部長が「元秘書らの供述だけでは、小沢氏と元秘書らとの共謀の成立を認めるのは難しい。有罪を取るには、慎重に証拠を検討することが必要です」などと述べ法治主義の原則を説いた。

 これに対し、審査員に法律的な助言をする審査補助員を務めた吉田繁実弁護士は、11人の審査員に対して、小沢どんを暴力団の組長と同じに見立てて、配下の組員が銃器を不法に所持した場合でも、使用者責任で「共謀」容疑で逮捕・起訴・有罪にした事例を示し、「暴力団や政治家という違いは考えずに、上下関係で判断して下さい」と結論を誘導した。これが効いたのか元々反小沢で雇われている腹に一物持つ審査員故にか、起訴議決を採決した。

 この日は、よりによって民主党代表選当日の9月14日だった。第5審査会の定例の審査日は毎週火曜日で、民主党代表選日が偶然にも審査日にあたっていた。この日に議決を出すことが予定されていたわけではなかったが、議長役を務める審査会長が審査中に「議決を取りますか。それとも先に延ばしますか」と提案した。審査員らから「議論は煮詰まった」との声が上がり議決を出すことになった。多数決の結果、起訴議決が出たのは午後3時頃。代表選で開票の結果、小沢氏 の落選が決まったのは、その約30分後だった。

 こういう経緯のものであれば、共産党が健全であれば、この動きを阻止する為の論陣を張るのが筋であろう。だがイケナイ。衆知の通り共産党は日共に変質しており、その日共はかってのように冤罪支援するのではなく、検察側に与して容疑者を逸早く犯人扱いし、刑事被告人として訴追運動することを得手とし始めている。既に現代世界を牛耳る国際金融資本帝国主義に裏から奉仕するサヨ政党化している。従って、商業新聞(昔はブル新と云ったものだが)と口を揃えて政局の節目節目でエージェントとして暗躍することになる。角栄がヤラレ、真紀子がヤラレ、宗男がヤラレ、小沢どんがヤラレようとしている。その他その他の例を挙げればキリがない。皆、日本政治上有能な日本思いの政治家であったことで共通している。

 れんだいこは、十年前から「共産党の変質問題」を指摘し、その根本原因として「戦前党中央委委員査問致死事件」(いわゆるリンチ殺人事件)に於ける居直りがガンになっていることを解析している。本にして出版すれば良いのだが、まだオファーが来ていない。引き受け手がないのだろうか。そのうち自費出版しようと思う。それはともかく、今日なお日共弁明を信じて「査問致死されたのはスパイ」、「死因は急性心臓マヒ」、「事件は解決済み」としている者が多い。真相は違う。真実は、「査問致死させられたのは党内最後の労働者派の中央委員であり、摘発した宮顕派こそ真正のスパイグループ」、「死因は抑え込みによる圧殺死であり、主犯は柔道技で抑え込んだ宮顕」、「事件は解決済みどころか応急的な不問措置に過ぎず、解明の日が待たれている」、「殺された小畑氏及び遺族に対して冤罪証明せねばならない党的責任を抱えている」。

 共産党が真っ当なら、これが採るべき態度である。事実、戦後直後の共産党を指導した徳球は、この事件に関して「やり過ぎ」であり、日本左派運動には無縁な査問手法であり、第一殺された小畑がスパイであったとする証拠がどこにあるとして宮顕派を批判している。史実は、こういう観点を持つ徳球派が、「50年代武装闘争の失敗責任」を取らされる形で失脚させられ、党中央が宮顕派に奪権され、以降、この系の党中央が今日まで続いている。同一系執行部が延々と1955年以来今日まで何と50年にわたって党中央のイスを温めている。しかも汚い手を使って。

 こんな党はどこにもありはしない。これを独裁と云わずして何と言おうか。この間、似せようとしても似つかぬ共産党即ち日共ができあがり、そのことを認めた部分から順に人民大衆の支持を失い今日の衰退に至っている。先だっての参院選ではあらゆる指標で後退し、得意の詭弁も使うに使えなかった。これを真摯に反省することなく、相変わらず政局の肝心なところで決まって反革命に勤しんでいる。日本人民大衆の不幸がここにある。

 これを打破する左派運動として新左翼が生まれたが今日ある通りであり無力のまま推移している。それもその筈で、「徳球対宮顕の共産党内政変」に於いて宮顕を支持する系譜の者が新左翼を創出していると云う因果関係がある。彼らは宮顕を批判するが、徳球となるともっと悪しざまに態度を硬化させる。そういう能力では所詮今日的なものにしかなるまい、と云うのがれんだいこの見立てだ。日本左派運動には、こういう課題が横たわっている。誰かもつれた糸を紐解き、共に出藍せんか。

 2010.10.5日 れんだいこ拝

 審査員11人中8人以上が「起訴すべし」と結論づけた今回の検察審査会は議事録も開催日程もベールに包まれた“秘密裁判”だったが、審査員11人の平均年齢30.9歳、大半は20代と云う事が明らかになった。審査員は全国の自治体の選挙人名簿からくじで選ばれる。つまり、20歳以上で選挙権のある有権者が対象で不自然すぎる。05年のJR福知山線脱線事故では審査員の平均年齢は53歳だったし、01年の明石歩道橋事故は42歳でした。一方、小沢氏のケースでは1回目の検察審も平均34歳。偶然にしては信じられない確率です」(司法関係者)。仮に今回の審査員に50代が3人でも交じっていた場合、残り8人はみんな20代前半という計算になってしまう。しかも、議決を出したメンバーの半数は今夏入れ替わったばかり。今回の審査は9月に入って本格化し、結論を出したのはわずか2週間後の14日。たぶん実質2、3日の“勉強”に過ぎないだろう。そんなスピード審査の中、プロの検察官が20代ばかりの法律のシロウト集団相手に専門用語ばかりで説明したことになる。こんなデタラメが許されていいわけがない。民主党は東京地裁の責任者と事務担当者を国会に呼んで追及すべきだ。

 検察審査会から2度目の「起訴相当」議決が出された小沢一郎元幹事長に対し、野党はさっそく「議員辞職だ」「証人喚問だ」と騒いでいる。民主党内からも牧野聖修みたいなバカが「離党勧告か除名」などと吠えていたが、この議決にはゾッとする。策略のにおいがプンプンするからだ。世間には囂々(ごうごう)たる検察批判が渦巻いている。そんな中、シロウト集団がよくぞ、「起訴議決」を出せたものだと思ったら、議決は先月14日に行われ、しかし、発表を20日間も伏せていた。


【小沢弁明考】
 10.4日、小沢一郎・元民主党代表は、「起訴議決」となったことを受けて次のような談話を発表している。
 「この度の私の政治資金団体に関る問題で、お騒がせしておりますことに心からお詫び申し上げます。私は、これまで検察庁に対して、私が知る限りのことは全てお話をし、二度にわたり不起訴処分となっており本日の検察審査会の議決は、誠に残念であります。今後は、裁判の場で私が無実であることが必ず明らかになるものと確信しております。衆議院議員 小沢一郎 」。

 小沢元代表の弁護士は次のように述べている。
 「議決は、まことに遺憾だ。あれだけのキャリアのある人を起訴すべき事案なのか、議決書を読んでも、どこにも理由は書いていない。小沢氏本人も事情聴取に応じて、きちんと説明してきており、意外だと感じているようだ」、「(議決書の中で、元秘書が小沢氏に報告や相談をしたとする供述は信用できると指摘したことについて、)検察官の取り調べのあり方が問題となっているこのご時世で、調書の信用性は大丈夫なのか疑問に思う」。
 10.7日、小沢どんが、衆院議員会館で記者会見に応じ、東京第5検察審査会の議決により自らが強制起訴されることについて、「大変残念な結論だ。皆さんにご迷惑を掛け、申し訳なく思う」と述べるとともに、「正式の捜査機関である検察で不正がないことが明白になり、不起訴になった」とした上で、司法の場で潔白を訴えていく考えを明らかにした。証人喚問や衆院政治倫理審査会での弁明に関しては「国会の決定に従う」とする一方、「司法の場に移っているので、きちんと事実関係を明らかにし、何の不正な問題もないという結論を得るように全力を尽くしたい」と強調した。また、離党や議員辞職について「そのような意思は持っていない」と否定、「政治活動はわたしが必要とされる限り続ける」と述べた。離党を勧告された場合の対応については「その時にまた判断する」としつつ、「検察で不起訴になったことなので、党の皆さんも十分理解していただけると信じている」と語った。

 「小沢一郎記者会見声明全文」は次の通り。 小沢氏会見詳報「党のみなさんも理解してくれると信じている」を転載する。
 (http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101007/stt1010071624004-n1.htm

 小沢一郎・民主党元幹事長「えー、それでは最初に私から一言申し上げます。このたびの、私の政治団体に関連することにつきまして、昨年から多くの同志のみなさん、また、国民のみなさんにたいへんご迷惑をおかけし、ご心配をおかけいたしましたことをこの機会にあらためておわびを申し上げます」

 「昨年の3月ですか、政治団体の担当の秘書から、強制捜査が、検察の強制捜査が始まりまして、ほぼ1年余にわたって捜査が続けられたと思います。その1年っちゅうのは、まあ担当の秘書にとっても、私も含めてもたいへん厳しい辛い1年でありましたけども、それ以上に、善意の献金をしてくれたみなさんにも調査が及んだりまして、本当にみなさんにご迷惑をおかけしたと。ということで申し訳なく思っております」

 「ただ、結果として国の正式の捜査機関である検察において、1年余にわたる強制捜査においても、私どもが、そして私自身が、起訴に値するような不正な行為はなかったということが結果として、不起訴という形で明らかになりましたので、その点からいえば、みんなに迷惑はかけましたけども、良かったなあと、そう思っているところでございます」

 「その後、検察審査会の方で、起訴という議決がなされました。うーん、私としましてはたいへん残念な結論でございますが、正式の捜査機関である検察で不正がないということ、明白になり、不起訴になったというその捜査の中身について十分な理解が得られなかったのかなあと。まあ、そう思って残念に思います」

 「2度の議決がありましたけども、先日の議決の中でも例えば、最初の議決の起訴の理由としてまったくなかったものが突然、今回、新たにその理由として付け加えられて、議決書に述べられていると聞いております。私も詳しく議決書を全部読んだわけではありませんけども、例えば、土地の購入についての、私から政治団体への貸し付け、この借り入れ等についての報告がないということが付け加えられておるそうでございますけども、この点につきましては、担当者はもちろん、きちんと主張していると思いますが、私自身の事情聴取の場合も、ほとんどこの問題については、事情を聴かれたということはなかったように記憶しておりまして、こういうことも例えばですが、今回の議決の中に突然理由としてあげられておるということ等々ありまして、たいへん残念な結論でございますけども、それはそれとして、検察審査会という制度の中で、決められたことでございます」

 「もちろんこれは、11人の委員ということと、平均年齢30歳ということしかわかりませんで、全くの秘密のベールの中に閉ざされておるものでございます。どういう議論がなされ、どういうことでそういう結論がなされたのかということは私にも、また一般の国民のみなさんにも全くわからない、知り得ないということでございますが、その意味でも、今回のような起訴という方向の議決がなされたことについては、まったく驚いておりますし、残念に思っております」

 「ただ、議決がなされた以上、これは代表選の時も申し上げました通り、代表選の結果がどうであれ、自分としては逃げ隠れはしませんと、正々と対応しますと、そう申し上げたはずであります。従いまして、その姿勢は、気持ちは今も変わっておりません。以上です」

 −−議決は残念とのことだが、離党や議員辞職はないということか

 「今話した通り、国の正式な捜査機関である検察当局の1年余に及ぶ強制捜査の中で、起訴するような不正な事実はないということが明らかになったわけでありますので、私としてはそのような意思は持っておりません。淡々として、政治活動は、私が必要とされる限り続けてまいります」

 −−党から離党勧告が出たらどう対応するのか

 「それもまだ、事実として出てませんので、もしそういうことがあったときには、そのときにまた、どういう理由でどういうことでということで判断を致しますが、今言ったように、検察当局で不起訴となったことでありますので、同志のみなさんも党のみなさんもそのことは十分理解していただけるものと信じております」

 −−菅直人首相は証人喚問について小沢さんが判断するべきという趣旨のことを言っているが。証人喚問、政倫審への出席はどう考えるのか

 「それは国会の、憲法上最高機関、さらに委員会とか、政倫審はその国会の中の機関ですから、国会で決めた決定に私はいつでも従います。ただ、みなさんも、ちょっと考えていただければわかるように、検察審査会で裁判の場で、法廷で事実関係を改めて明らかにしろということで、司法の場に移っておりますので、その意味では、その場できちんと事実関係を明らかにして、何の不正な問題もないという結論を得るように全力を尽くしたいと思います。ただ、最初に言ったように、国会でもしそういう決定がなされれば、国会の決定には従います」

 −−これまで透明性を強調してきたが、検察審査会の話の中で平均年齢30歳、秘密のベールと言ったが、検察審査会のあり方ももう少し考えるべきということなのか

 「いえ、そのことを言っているわけではありません。単なる事実関係を申し上げた。あなたも知らなんでしょ?知ってる?知らないでしょ?事実関係を申し上げているだけです。これは、いずれにしても法廷でということで、とにかく自分の身の潔白をきちんと決めてもらいたい、そう思っております」  


【小沢事件関連法規考】
 基本的に、公訴の提起(起訴)は、検察官の専決事項(刑事訴訟法第247条)であるが、不起訴とされた件に対して、検察審査会で「起訴相当」が2回議決された場合は、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって起訴(強制起訴)する(検察審査会法第41条の9、第41条の10)

 政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪の公訴時効は5年で、2004年分については2010年3月末に時効が完成するが、2010年2月4日、本件の時効の進行は、3被告の起訴により停止した(刑事訴訟法第254条)

 小沢氏については市民団体からの告発。その市民団体が検察官の不起訴処分に不服があるときは、検察審査会にその処分の当否の審査の申立てをすることができる(検察審査会法第30条)

 政治資金規正法第25条
政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪。5年以下の禁錮、100万円以下の罰金。

 政治資金規正法第29条。
虚偽記入の罪について 政治資金規正法では、報告書の真実性の確保のため、政治資金収支報告書を提出する者には、真実の記載がされていることを誓う旨の文書の添付を義務付けている()。よって、政治資金収支報告書については、内容が真実になるように何度もチェックし記載する必要がある。不記載には、記載し忘れの事務的ミス(過失)の場合もあるが、あくまで小額な額面で起こりうることで、億単位という高額な場合は、政治団体の収支に与える影響が大きく且つ記載をチェックしてるため、記載し忘れの事務的ミスは通常起こり得ない。虚偽記入は、報告書提出者が、真実の記載を誓う旨の文書を添付してるのにも関わらず、虚偽の記入をしたことになるため、単純な事務的ミスではなく意図的な故意による行為になる。

【小沢氏元秘書起訴以降の経過】
日 付 摘 要
2004年 10月 小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」は約3億4000万円で東京都世田谷区の土地を購入。購入直前、小沢氏の政治団体の口座からの移し替えなどにより、原資のわからない4億円以上の資金が入金されていた。資金の移動はその年の政治資金収支報告書に収入として記載されておらず、翌年に記載。
2009年 3月3日 小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」が、西松建設OBが代表を務める政治団体「新政治問題研究会」「未来産業研究会」から受けた献金が「西松建設」からの企業献金だとして、小沢氏の公設秘書で「陸山会」の会計責任者ら3人を政治資金規正法違反の疑いで逮捕した。
12月18日 第一審 東京地裁(登石郁朗裁判長)初公判。冒頭陳述)検察側:冒頭陳述要旨、弁護側:冒頭陳述要旨。公判詳報:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)
2010年 1月13日 第2回公判。(証人尋問)寄付ルート「毎年、被告と打ち合わせた」 西松元総務部長が証言。公判詳報:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
1月15日 東京地検特捜部は政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で、「陸山会」の会計事務担当だった元私設秘書の衆院議員石川容疑者36歳と、後任の会計事務担当だった元私設秘書池田容疑者32歳を逮捕。
1月16日 元会計責任者で公設第1秘書大久保容疑者48歳を逮捕。
2月4日 東京地検特捜部は、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で3人を東京地裁に起訴。
東京地検特捜部は、政治資金規正法違反(虚偽記入)で告発されていた小沢氏を嫌疑不十分で不起訴。
2月5日 東京地裁は、政治資金規正法違反罪で起訴された3被告について、保釈を認める決定。保釈保証金は石川被告が1200万円、大久保被告が700万円、池田被告が300万円。3被告は、保釈保証金を現金で即日納付。夕、拘置先の東京拘置所から保釈された
2月7日 地元の北海道第11区総支部から「離党や議員辞職の必要はない」との見解を伝えられ、衆院議員石川被告が、応じる意向を示した
2月8日 小沢氏が説明責任について「これ以上の説明はないのではないかと思っている」
2月9日 LEFT「離党や議員辞職はせず、職責を果たしたい」「水谷建設から現金を受領したことはなく、意図的に虚偽の収支報告をしたこともない」
2月10日 石川議員は「収支報告書に不適切な記載をしたことについては深く反省する」とのコメントを発表
2月11日 石川議員が離党届を提出。議員辞職は否定。石川議員が記者会見。会見詳報:(1)(2)
2月12日 小沢氏を政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で告発していた東京都内の市民団体が、東京地検特捜部が不起訴処分としたのは不当として、東京第5検察審査会に申し立て
2月15日 民主党は常任幹事会で石川議員の離党を正式に承認。同党は石川議員の会派離脱届を衆院事務局に提出。石川議員は無所属に。
2月21日 石川議員は進退に関して「司法の判断が出るまでは議員として職責を全うしたい」
2月23日 東京地検特捜部は、告発されていた2007年分の政治資金収支報告書の虚偽記入について、「会計責任者らとの共謀の事実を認めるに足る証拠がない」として小沢氏を不起訴
4月2日 元会計責任者の大久保被告が、公設第1秘書を辞任
4月5日 小沢氏、勝どきの土地・ビル不記載 3年分の報告書訂正
4月6日 捜査を担当した東京地検特捜部の検事が東京第5検察審査会に出向いて説明
4月14日までに 「1億円以上提供」と水谷建設元最高幹部が資金提供を証言。石川被告は「もらった事実はない」、小沢事務所は「ご指摘のような事実はありません」と回答
4月27日 不起訴処分となった小沢氏について、東京第5検察審査会は、「起訴相当」と議決「適切に対処したい」東京地検次席東京第5検察審査会の議決要旨小沢氏の発言要旨
5月12日 東京地検特捜部は、小沢氏と石川衆院議員ら元秘書3人に再聴取を要請
5月15日 東京地検特捜部は、東京都千代田区のホテルで、小沢氏の3回目の事情聴取(約4時間半)。
5月17日 東京地検特捜部が会計事務担当だった元私設秘書の石川議員の事情聴取
5月18日 東京地検特捜部は元公設第1秘書の大久保被告と元私設秘書の池田被告の事情聴取
池田被告が東京地検特捜部の再聴取に対し、「小沢氏に報告し、了承を得た」と改めて供述
5月21日 東京地検特捜部は、小沢氏を再度嫌疑不十分で不起訴。検察審査会で再審査へ 検察審査会の審査員は、選挙人名簿(一般国民)からくじで選ばれた有権者(検察審査会法第5条〜第13条)で構成される。小沢氏の起訴については、再度、一般国民の判断に委ねられた形に。
5月21日 大久保元秘書の訴因変更を決定=陸山会事件を追加−東京地裁
5月30日 民主党・辻副幹事長が検察審査会事務局に接触を図ったことが分かる
6月2日 鳩山首相は臨時両院議員総会で退陣表明。小沢氏も党幹事長辞任
6月18日 大久保被告側の特別抗告を棄却
7月5日 小沢氏の代理人弁護士は、東京第5検察審査会に上申書を提出
7月15日 不起訴処分となった小沢氏の2007年分の政治資金規正法違反について、東京第1検察審査会は、8日付で小沢氏への再捜査を求める「不起訴不当」を議決
7月27日 小沢氏は4回目の聴取「応じる」と東京地検に回答
9月18日 小沢氏の4回目の事情聴取
9月24日 公判前整理手続き 第1回協議
9月30日 2007年分の収支報告書への虚偽記載について、東京地検特捜部は、小沢氏を再び嫌疑不十分で不起訴処分
10月4日 小沢氏、強制起訴へ=検察審が2回目議決―陸山会規正法違反事件
11月30日 公判前整理手続き 第8回協議

Re::れんだいこのカンテラ時評817 れんだいこ 2010/10/05
 【検察審査会決定に対する異議訴訟考】

 2010.10.4日、東京第5検察審査会(検審)の「起訴議決」が公表され、小沢氏に対する強制起訴が決まった。この議決は既に民主党代表選当日の9.14日に行われていたという。それを10.4日に公表した理由は何なのだろうか。不自然に明朗ではない。

 思えば、検察審査会は疑惑まみれである。どういう人選で、どういう審査が行われ、採決されたのか、その経緯が一切明らかにされない。政局がらみでの利用性で際立つ押尾事件の大アマに比して小沢事件のしつこさが際立つ。検察審査会制、裁判員制の悪用は、検察機構の腐敗と並んで「もう一つの司法危機」ではなかろうか。

 れんだいこは、両制度運用に於ける異議申し立て制を考案しなければ魔女狩りの危険性が強いと考える。こたびの東京第5検察審査会(検審)の起訴議決に対する異議訴訟ができるのだろうか。できないのであれば検察審査会の存立に関わる制度的欠陥と云わざるを得ない。できるのであれば誰か直ぐにでも訴訟して欲しい。東京第5検察審査会の不正が忽ちのうちに晒されよう。

 さて、現代の稀なる有能政治家「小沢どん」に対する執拗なイヤガラセが続いている。これをどう処理すべきか。れんだいこは、この間の小沢氏に対する政治訴追の動きを「小沢訴追政変」と命名したい。ロッキード事件と構図が相似しているので「小沢キード事件」とも云い換えることもできよう。例によって自民党から共産党までの翼参体制、マスコミメディアの言論大砲が敷かれている。次第に誰の目にも粗暴さを際立たせつつあり却って滑稽でさえある。ロッキード事件以降、この連中が日本政界を牛耳っており、彼らが牛耳って以来の日本は国運的に奈落の底へ転がりつつある。今日では中国はおろか韓国にも馬鹿にされつつある。ワシントンの腰巾着政治に耽り続けるサガのもたらしたものでありトガであろう。

 ところで、「10.4東京第5検察審査会(検審)の起訴議決公表日の怪」を考察せねばなるまい。れんだいこは、目下進行しつつある大阪地検特捜部の前田、大坪、佐賀検事の週明けからの本格取り調べに対する牽制ではなかろうかと推理している。検察は今、長年のウミを出そうとしている。トカゲの尻尾切りに終わるのか更に上層部まで及ぶのかは別にして不退転の取組みを開始している。

 これは当然、「小沢訴追政変」に対する不正義性解明にも向かうことになる。前田検事が当時の小沢秘書の石川衆議員の取り調べに当たっており、検察スト―リ―調書を取っていることでも明らかである。東京第5検察審査会(検審)の起訴議決の「「10.4公表」は、この流れに対する牽制、ドウカツではなかろうか。この裏に、現代世界を牛耳る国際金融資本帝国主義の圧力がある。通りで前田、大坪、佐賀検事が威猛々しい筈である。してみれば、最高検はシンドイ闘いに挑んでいることになる。しかしながら、こたびは明々白々たる証拠物改竄であり、法の正義の観点から押し切れる筈である。何を臆することがあろう。

 れんだいこはもう敵の暴挙に対する逐一批判には飽いた。キリがない。逆攻勢で、こちら側の論理論法見たてを常時プロパガンダして行きたい。そういうメディアの創出に向かわない限り批判が批判に止まってしまう。誰かウェブテレビ、新聞、政論誌を開設発刊して貰えないだろうか。何度も発信しているが、この空間、磁場に四六時中浸りたい。我々の日々の労働意欲にも関係しよう。朝夕のツマラナイクダラナイ、テレビ評論聞かなくて済む。うちのカミさんなどは、れんだいこの評論の方がいつも面白いと聞いてくれてる。これをお茶の間に届けたい届けさせてくれ。

 今日の新聞社説のように各社一斉の同調文を読むのは辛い。何とまぁソックリさんであることか。こうなると共通の下敷き原稿があるとしか考えられない。これを確認しておく。

 読売新聞の大見出しは、検察審再議決 小沢氏「起訴」の結論は重い。小見出しは、検察の捜査は「不十分」、説明責任も果たさず、民主の自浄能力に疑問。毎日新聞の大見出しは、検審「起訴議決」 小沢氏は自ら身を引け。小見出しは、「市民」の疑問の表れ、党の自浄能力問われる。産経新聞の大見出しは、小沢氏強制起訴へ 潔く議員辞職すべきだ 「形式捜査」検察はどう応える。小見出しは、重い「市民」の判断、民主は自浄能力示せ。朝日新聞の大見出しは、小沢氏起訴へ―自ら議員辞職の決断を。日経新聞の大見出しは、検察の特別扱い疑った検察審査会。東京新聞の大見出しは、小沢氏強制起訴 法廷判断を求めた市民。

 どうだろう。1・小沢の議員辞職、2・市民判断を尊重せよ、3・民主の自浄能力に期待するの三点セットになっている。こういう方向以外には書いてはいけないと云う達しでもあるのだろう。れんだいこは、これに手を染めた社説士の論説責任を問いたい。1・退職、2・釈明、3・各新聞社の自浄能力に期待したい。

 2010.10.5日 れんだいこ拝

「東京第五検察審査会の疑惑」

 第五検察審査会の奇怪さが暴露されつつある。これを確認する。1・補助弁護士は仙谷由人、乃至は宇都宮人権派弁護士の働きで選ばれた。2・その補助員弁護士が選ばれたのが9月7日と云う説があり、9月1日からの審査は事務局がリードして審査員を誘導した。仮に9月7日に補助員が就任したとなると、今回の審査は補助員不在で審査され、本来の審査は行われず、第一回議決を踏襲しただけと云うことになる。3・11人の審査員の平均年齢が何故か30.9歳という異様な若年者に集中している。4・議決日が民主党代表選と同日の9月14日であることの意味。5・11人の選挙人名簿からクジ引きで選ぶ審査員は100人程度の審査員候補者であり、検察審査会事務局(法務省と裁判所の関係者で構成)が最終的に面接した上で「恣意的に選択」するので、決して「クジ引き」とは言えない。審査会は「超密室の会」なので、11人の審査員自体存在しない可能性もある。このような多くの事実は将来的に検察審査会の存在について疑義として浮上する。

 小沢起訴議決により、東京地裁が検察官役となる弁護士(審査会の補助員弁護士とは同一人とは限らないが横滑りすることが多い)を1〜2週間で指定することになる。明石歩道橋議決の初公判の期日は10カ月を経ても未だに決まっていない。つまり、意図的故意に公判が先延べされる。1、2年経っても初公判が開かれない可能性の方が高い。この間、小沢どんは刑事被告人としてハガイジメされる。これが狙いであるように思われる。

 検察審査会の議決だが、そもそもその審査を請求した連中が正体不明で中には逮捕された連中もいるらしいし、審査会に参加しているいわゆる“市民”にしても選出経過から正体などすべてが不明。検察の手先同様の中身しかない者がそもそも政治に関わる判断をすること自体が問題で、選挙制度を無意味にする。東京第5検察審査会の新メンバーは8月に活動を始め、8月は隔週1回しか集まれなかったと朝日の5日夕刊に出ている。その代り9月は「頻繁」に集まったというが、月半ばの14日にはもう議決だ。平均年齢30・9歳という。週2回か3回だったとして9月は14日を入れても5回程度、8月に3回だったとして、計8回ほどの審査で、わずか1カ月半で1000ページにも及ぶという小沢一郎の政治資金関係の膨大な資料に目を通し、その内容を理解し、理非曲直を明らかにできるとはとても思えない。朝日によると、審査員らは「吉田弁護士に折に触れて助言を求めた」という。当然だろう。吉田弁護士は「誘導にならないよう…慎重に線引きした」と言っているが、それを信じるのは難しい。言い方や資料の提示方法などで、審査員らの結論はどうにでも誘導できる。そんなことは吉田弁護士が一番よく承知しているはずだ。

 「小沢氏強制起訴を結論付けた検察審査会の問題点の指摘に参戦!〜掲示遅れは違法「議決後7日間」が貴重な指摘をしている。これによると、.東京第5検察審査会の2回目の議決が長らく公示されなかったのは検察審査会法40条の規定に違反反している。同法40条は次のような規定となっている。【第40条 検察審査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該検察官を指揮監督する検事正及び検察官適格審査会に送付し、その議決後7日間当該検察審査会事務局の掲示場に議決の要旨を掲示し、且つ、第30条の規定による申立をした者があるときは、その申立にかかる事件についての議決の要旨をこれに通知しなければならない。

 つまり、議決をした日から7日間掲示場に議決の要旨を掲げなければならないことになっている。しかし、第2回議決は9月14日になされたにもかかわらず10月4日になってようやく掲示された。20日間の遅れとなっている。これは明らかな検察審査会法40条違反である。ほかの審査会の決定は、議決された当日に掲示されているし、小沢氏に関する東京第5検察審査会の1回目の決定も4月27日当日、掲示されている。なぜ、こたびの東京第5検察審査会は掲示されなかったのか。その理由は定かではないが、何から何まで異例づくめであることが確かである。しかしながら、なぜこのような上からの違法をし続けるのか、これが分からない。尋常ではない。


Re::れんだいこのカンテラ時評818 れんだいこ 2010/10/05
 【日共の「小沢訴追政変」対応考】

 
日共の2010.10.5日付け赤旗主張「小沢氏強制起訴 国民参加した検審の重い判断」を論評しておく。
 (ttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-05/2010100501_05_1.html)

 日共は、「小沢氏強制起訴 国民参加した検審の重い判断」の見出し、「疑惑にこたえる責任」、「政治的道義的責任を」の小見出しで次のように述べている。昨日のカンテラ時評817の「検察審査会決定に対する異議訴訟考」で確認したが各新聞社の社説が奇妙に一致しており、何と日共の見解も寸分違わぬものとなっている。これは偶然だろうか。れんだいこには気持が悪い。

 日共は、検察審査会制を手放しで礼賛して次のように述べている。「検察が起訴しなかった事件でも、国民が参加する検察審査会が2回起訴すべきだと決めれば裁判にかけることができる―国民参加が強められた検察審査会の制度を使って、政治資金規正法違反の疑いがもたれた小沢一郎民主党元幹事長の起訴が決まりました。国民が参加した司法の手続きの重い判断です」、「司法改革の一環で、従来起訴するかどうかの権利を独占してきた検察がたとえ不起訴と決めても、一般の有権者が参加する検察審査会が起訴相当と判断し、それでも検察が起訴しない場合は検察審査会が再度起訴相当と決めれば起訴できることになりました。昨年5月の施行以来、これまでに兵庫県明石市の歩道橋事故やJR福知山線の脱線事故で検察審査会の決定により起訴が決まっていますが、小沢氏の起訴は国民の関心の高さからいっても、きわめて重要な意義を持ちます」。

 はたして、検察審査会制をこのように位置づけて良いものだろうか。裁判員制度も然りであるが、あくまでも「検察の手余り」的機能を持つ制度であって、検察並の権力を期待するのは危険とすべきではなかろうか。「免責証言」などもそうであるが、「真実の探求」に向けて機能させるべきものであって「不真実の免責証言」によって政敵追放の道具として使うことなぞ絶対あってはならないとすべきではなかろうか。現実にはそのように使われており、正義の為に使われることなぞ滅多にない。日共論法こそ独裁機関に道を開くご都合主義論法論理ではなかろうか。言葉はですます調で柔らかいが、この党が本質的に何も反省していないことが分かる。

 日共は、小沢どんをどうしても政治訴追したいらしく次のように述べている。「法廷の場で追及されることになった小沢氏には、検察が起訴しなかったから潔白だなどという言い逃れは、もはや通用しません。小沢氏の疑惑を調査してこなかった、民主党の責任も重大です」、「東京地検特捜部は小沢氏を嫌疑不十分で不起訴としたため、東京第5検察審査会はことし4月起訴相当と議決しました。特捜部はそれでも起訴しなかったため、メンバーを一新した審査会が再度、起訴を決めたものです。検察は、元秘書の供述では小沢氏の共謀を立証することが困難としましたが、検察審査会は元秘書らの供述の信用性が認められると判断し、共謀を認めました。犯罪の疑いがある場合、公開の裁判で有罪か無罪か決めるべきだという検察審査会の決定は、国民からみて当然の立場です」。

 こういう日共論法的検察審査会制、裁判員制、免責証言制の三点セットを押し進めれば究極的に人民裁判のようなものなものになり、得手勝手に反革命の烙印を押してはギロチンにかけることができるのではなかろうか。この党が本質的に何も反省していないことが分かる。

 日共は、説明責任ありとして次のように述べている。「検察審査会で起訴が決まった以上、小沢氏が裁判を待つまでもなくみずからの疑惑にこたえ、政治的道義的責任を明確にするのは当然です。国会の政治倫理綱領では、疑惑を抱かれた議員はみずから疑惑にこたえ、国民の前に説明するよう求めています。にもかかわらず小沢氏は、みずからにかかわるこの事件について、一度も国会で説明したことがありません」、「まだ逃げ回るなら、小沢氏も小沢氏が所属する民主党も、国民に決定的に追い詰められるのを免れません」。

 日共よ、よくぞ言ってくれた。れんだいこが云い換えておく。「宮顕が裁判を待つまでもなくみずからの疑惑にこたえ、政治的道義的責任を明確にするのは当然です。国会の政治倫理綱領では、疑惑を抱かれた議員はみずから疑惑にこたえ、国民の前に説明するよう求めています。にもかかわらず宮顕は、みずからにかかわるこの事件について、一度も国会で説明したことがありません」、「戦後の共産党のトップとして長らく君臨し続けた宮顕の戦前党中央委員査問致死事件に対して、まだ逃げ回るなら、彼を最高責任者として居座り続けさせて来た共産党も、国民に決定的に追い詰められるのを免れません」。

 2010.10.5日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評820 れんだいこ 2010/10/07
 【日共の当局裏御用路線を弾劾せよ】

 2010.10.6日、日共の機関紙赤旗は、「小沢氏の証人喚問要求 野党6党」と題して、小沢どんの証人喚問を要求する記事を掲載している。それによると、10.5日、日本共産党など野党7党が国会内で国対委員長会談を開き、社民党を除く6党が、検察審査会の起訴議決により強制起訴されることになった小沢元民主党幹事長の証人喚問を要求することで一致した。社民党は党内で結論が出ていないとして留保した。
 (ttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-07/2010100702_01_1.html)

 日共の穀田恵二国対委員長は会談で次のように発言している。「強制起訴されることになったことは極めて重大なことであり、偽証が許されない証人喚問しかない」、「問題の核心は4億円の土地購入原資の疑惑だ。ゼネコンからのヤミ献金ではないか、国民の税金の還流ではないのかという疑いがある。さらに東北地方を中心に公共事業受注に『天の声』を出していたのではないかなど『政治とカネ』をめぐる数々の疑惑がある。しかし、小沢氏は国会で何も語っていない」、「国会には真相究明と政治的道義的責任を明らかにする責任がある」、「民主党の責任は極めて重大だ。証人喚問に対して民主党がどういう態度をとるのかが問われてくる」。

 日共のこの動きを見よ。政権交代前、あらゆる選挙区で供託金没収を意に介せず死に票候補を立て自公政権に裏協力していた正体がまざまざと蘇る話ではなかろうか。日共と自公の親密さは昨日今日に始まったものではない。自公共協定により日本の政治改革は30年遅れた。政権交代後の民主党政権のブザマさを見れば、どうでも良いことのようにも思えるが、小沢政権創出を企図する側から見れば、一貫して執拗な阻止連合が組まれていることになる。誰が味方で敵であるのかが透けて見えてくる。

 れんだいこは、このブログで日共の邪悪な活動の足を止めようと思う。このブログにも拘わらず相変わらず自公共活動に勤しむのなら更に支持を失うことになろう。党中央がどちらを採るのか、党員がどう反応するのか興味を持って見守りたい。れんだいこは既に指摘しているが、小沢どん問題に限らず日共だけには「証人喚問請求」をしてもらいたくない。それを云う資格がない党であるから。それを云うなら、日共はまず自前の問題である「宮顕リンチ致死事件」を解決してからでなければならない。

 れんだいこがこのことを指摘した時点では宮顕は生存していた。今は逝去してしまった。歴史に宿題を残したままとなっている。ならば、宮顕生存中、宮顕を擁護し続けてきた党中央が責任を引き継ぎ、証人喚問に応じて事件を検証すべきであろう。これが筋であろう。この問題を不問にしたまま正義ヅラして「小沢どんの証人喚問」にしゃかりきになっている姿は滑稽では済まされない。断じて許し難いものである。

 この問題は、国会で宙に浮いたまま宿題になって今日に至っている。これを確認しておく。丁度、ロッキード事件が勃発する1976.2月の前年末からロッキード事件勃発の間際まで、国会は「宮顕リンチ致死事件問題」で荒れ揺れていた。ハマコー発言あり、立花研究あり、続々と「宮顕リンチ致死事件問題」に於ける新資料が発表されつつあった。民社党の春日一幸委員長、塚本三郎書記長が国会で鋭く追及し、法務局見解も「宮顕の釈放過程の疑義」に対して不可解として判断留保とするなど、これからの解明が待たれていた。自民党も特別調査委員会を発足させ、この事件の解明に本格的に乗り出そうとしていた。

 このタイミングで、偶然か仕組まれてか判然としないが俄かにロッキード事件が勃発し、国会と世間の喧騒はロッキード事件に移って行った。当の疑惑の本人であった宮顕がしゃしゃり出てきて、音頭を取るようにして田中角栄の政治訴追運動に乗り出して行った。これを訝る者は居なかった。マスコミメディアがこの流れを後押しした。そういう経緯で不自然にも棚上げされたまま今日に至っている。この経緯は、れんだいこが捏造しているのではない歴史を検証すれば分かる本当の話である。

 日共は「宮顕リンチ致死事件」を解決済みとして居直り、返す刀でロッキード事件より以降、国際金融資本が指示する政治家の訴追運動に乗り出して今日に至っている。これを理論的にやるのではない。得体の知れないリーク情報とスキャンダル暴露を得手とする胡散臭い手法で刑事被告人棒を振り回す癖を持つ。これを左からやるので影響力を持つ。専ら、戦後政治の二大抗争軸におけるハト派対タカ派の政争に於いてハト派系政治家叩きに狂奔する。こたび、小沢キード事件と云う順目になっている。

 このふてぶてしさは異様ではなかろうか。れんだいこは、「宮顕リンチ致死事件」の致命的なアキレスけんが政治主義的に利用され、現代世界を牛耳る国際金融資本帝国主義の下僕として働かせられている気がしてならない。日共がロッキード事件、小沢キード事件でしゃかりきになるよう強請(ゆす)られていると見る。実際には元々が同じ穴のムジナとして自ら好んで応じているのであろうが、構図上はそうなる。この不正こそ、早急に解決せねばならない政治問題ではなかろうか。

 要するに日共はニセ左翼であり、こういうものが左翼だとして活動していることにより左翼の信用がなくなり値打ちが毀損させられている。今では毀損させられてしまっている。こういう構図を踏まえねばならないのではなかろうか。日共は政治勢力としては既に小さいので看過してもよさそうではあるが、れんだいこはそうは思わない。戦前来の正義の党としてのイメージが有り、そのイメージによる影響力は小さくないと考える。次第に「現在の共産党は昔の共産党ではない」とする疑惑が広がりつつあるが、まだ一定の影響力を持っている。そういう意味で、党ではなく党中央を叩く為に、草葉の左派人士の霊に応える為に、この一文をものしておく。

 2010.10.7日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評822 れんだいこ 2010/10/11
 【依田九段の政治感性の良さを激賞する】

 依田九段のホームページ「依田塾」の2010.10.8日付けブログ「小沢さんがとてもいい碁を打たれていた」を興味深く読ませて貰った。それによると、依田紀基九段は、10.7日、とあるホテルの囲碁サロンで小沢どんと碁を打ったとのことである。手合割りは小沢どんの先で30目コミもらい。結果は、「僕が2目負けました(白の盤面28目勝ち)」。「小沢さんがとてもいい碁を打たれていたので、うれしく思いました。発想の次元が変わってきた感じです」と評している。

 碁を打たない者には分かるまいが実に味わい深い。小沢どんが目下政界随一の囲碁の打ち手であることは知られている。いつの日だったか、そう昔ではない確か2、3年前、当時の小沢民主党代表は、自民党のbPの与謝野確か財務大臣と手合わせし、小沢どんが勝った。碁好きの間で話題になった。

 その小沢どんの棋力や如何にと云うことになるが、確かバリバリの女性プロ(名前なんだったっけ)と3子で打ち、確か小沢どんが勝っている。記憶が定かでないが、負けたとしても良い内容だったとちょっとした噂になった。

 れんだいこはなぜ興味を持つか。それは、れんだいこが碁が好きだからである。当方の棋力は恐らく5段。ヤフー囲碁の点数で2200――2300辺りに位置している。一度小沢どんと手合わせ願いたいと思っているが、依田九段と「先で30目コミもらい」、「プロと3子の手合い」となると、小沢どんの方がかなり強いと云うことになる。れんだいこなら「プロと4子、5子、6子の手合い」となるからである。或る人に聞くと「プロと4子はきつい」と云うことなので「5子、6子の手合い」になるのかも知れない。甘い、もっとキツイと云われるかも知れない。

 それはさておき、れんだいこが云いたいことは、一事万事の原則で、囲碁に於ける能力はほぼ政治における能力にハーモニーしていると云うことである。と云うことは、小沢どんがアマチュアとしては最高峯に位置している囲碁頭脳で政治を処理していることが分かり、それが嬉しいと云うことになる。これを逆に云えば、囲碁頭脳でヘボいものが政治を牛耳ったり、小沢どんを極悪非道人呼ばわりしている政治屋ばかりが調子こいているのがサブいということになる。

 朝日の例の「口アングリ」社説士が碁を打つのか打たないのか分からないが、恐らく打てても大した棋力ではあるまい。文意で、れんだいこには分かる。一事万事の原則で、他の比較でも良い何か一つでもアマチュアの最高峯的なものを持っているのかと云う問いになるが、恐らく大したものを持つまい。そういう手合いが、小沢どんを訴追して正義ヅラしていることになる。何とも不快である。これが云いたかった。

 もとへ。小沢どんの碁を「小沢さんがとてもいい碁を打たれていたので、うれしく思いました。発想の次元が変わってきた感じです」と褒めた依田九段の言は凄い。プロがこういう表現をする時、これは極上の褒め言葉である。小沢どんの碁の感性を通して政治の感性に信を置いていることになる。両者のこの読み合いが凄いと思う。

 思えば、世が狂うと、プロの歌手がオンチから音楽指導され、横綱が幕下に相撲論を聞かされるハメになる。この狂いを何とかしたいと思っているのが、日本人民大衆の声なき声ではなかろうか。前田検事の証拠物改竄不正を辞職を賭けて告発した検事も、この狂いの是正を求めて許し難しとしたのではなかろうか。こういう声とか力が強まることを願う。これが云いたかった。

 オチは定番の日共批判。こういう狂いを直すのが共産党かと思っていたら、今日びの共産党はこういう狂いをますます強める方向で正義ヅラして猫なで声する。実に気持ちが悪い。領土論も然りで、右翼も顔負けカタナシの全千島返還論を唱えて平然としている。当事国共同統治論を生みだすでもなく、ご都合主義的な論法で日本領土論を聞かせてくれる。共産党と思うから怪しさが見えてこないだけで、本質的に超右翼のサヨだと思ったら解ける。れんだいこは、こういうウソまみれの赤仮面が我慢ならない。生き方として一番下等だと思う。

 2010.10.11日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評825 れんだいこ 2010/10/14
 【小沢どん問題に見せる興味深い日共と社民の姿勢の違い考】

 日本がますます総需要委縮経済化しつつある折柄、国会がこれに有効な処方箋を真剣に議論するのではなく、与野党共々の慣れ合い漫談を続けている。この構図故、れんだいこは国会中継を敢えて見ない。見なくても察しがつくから。他の人に見てもらい、やり取りの概要を後付けで教えてもらうぐらいで結構だ。それぐらい低評価している。その国会で唯一真剣なのが「小沢どんの政治訴追、議員辞職運動」であるらしい。小沢キード事件の虚構が次から次へと暴かれつつあるにも拘わらず執拗にパンチが繰り出されている。

 これに対して、小沢陣営も黙ってはいない。そろそろ堪忍袋の緒が切れたのか、10.15日、小沢氏側は、先の東京第五検察審査会の「起訴議決」について、国を相手取って行政事件訴訟法に基づく無効確認などを求める訴訟を東京地裁に起こす方針を固めた。まもなく郵政事件での前田検事の証拠物改竄不正に匹敵する第五審査会の不当議決の様子が明らかになるであろう。合わせて小沢キード事件の虚構が法廷の場で解明されることになるだろう。

 この間、小沢キード事件を煽りに煽ってきたマスコミメディアのどの社が一抜けたで論説転換するのだろうか。これに興味が湧く。容易に考えられるのは、読売、産経が最期まで「小沢どんの政治訴追、議員辞職運動」の旗を振り続けるのだろう。これに日経、毎日が追随し、朝日がどう出るのか。例の「口アングリ」氏のリタイヤは必定で、次の世代がどう論陣を張るのか張らないのか、この辺りに興味が湧く。週刊誌で云えば、週刊ポストが逸早く小沢キード事件の虚構を暴きつつある。週刊現代は相変わらず小沢叩きに耽っており精彩を欠いている。編集長の更迭以外あるまい。

 それはそうと、日共の執拗な小沢パッシングに辟易させられる。既に何度も指摘したが、この党にだけは「証人喚問」を声高にして貰いたくない。手前の党が戦前戦後政治史上最大の「証人喚問案件」を抱えておきながら、これに口ぬぐいしたまま正義ヅラするのだけは勘弁願いたい。それほど「小沢証人喚問」を云うのなら、いっそのことこの際抱き合わせで「戦前のリンチ致死宮顕事件」をも俎上に乗せてみたらどうだろうか。れんだいこは、このことを強く主張したい。そろそろケジメを付けたらどうだ。日共は政治的決着がついていると云うが法的決着がついていない。つまり、法的決着を不問にしたまま政治主義的に不問にしているだけに過ぎない。この見立てがウソだと云うのなら、ここから議論しても良い。

 日共の穀田が、小沢どんの政治倫理審査会での審査に対して「論外」と批判し、あくまで小沢どんの証人喚問を求めていく考えを強調している。検察が捜査に乗り出した時には検察をエールし、その検察が不起訴を出すや検察審査会に頼り、その検察審査会の審議内容には何の関心も示さず結論だけを鬼の首を取ったかのように後生大事にしてはしゃいでいる。

 仮に小沢どんの逆訴訟で無効が確認されたとしても、小沢どん追撃の手を緩めない。そう、この党は何がどうあっても「小沢どんの政治訴追、議員辞職」に狙いを定めている。これが科学的社会主義のやり方だそうだ。科学的社会主義の底の浅さが割れる話である。その昔の角栄叩き、今日の小沢どん叩きの裏に見えるのは要するに、戦後政治のハト派ライン叩きに興ずる日共と云う構図である。日共はその昔大衆闘争から召還し、議会主義を唱えてここまで来たが、変調ものがやると議会でもろくな仕事をしないことがはっきりしてきた。最近何かと自民党タカ派と姿勢が一致している。自然に仲が疑われることになる。それも気にならないらしい。相当に人民大衆をバカにした話である。

 これに対して、10.13日、社民党の福島党首は、記者会見で、小沢キード事件に対して、「無罪になる確率、可能性が極めて高い事件だ。起訴になったから議員辞職や離党すべきだということには社民党はくみしない」、「野党6党が小沢どんの証人喚問を求めているが、政倫審できちっと説明することを求めていく」と述べたとのことである。福島党首がこう述べた意味は大きい。法律家としての福島氏がよほど丹念に起訴文、判決文を読み、事件を調べ直し冤罪の確信を持ったに違いない。

 しかし、こうなると、日共と社民の両党の姿勢の違いが興味深い。れんだいこに云わせれば、日共が本来の共産党であれば、社民党の見解と同一歩調を取るか、社民党見解の生ぬるさを指摘し、「我が党は、本事件に冤罪の臭いを嗅ぐ。政治主義的な小沢バッシングの為の証人喚問、政倫審釈明等で国会の場を使うべきでない。むしろ小沢バッシングの政治的背景の検証の為の調査委員会を求めるべきだ」と云うところである。徳球系の共産党であれば、そう云う風に主張するであろう。しかしいけない。今は宮顕系党中央だから全てが逆さになる。

 以上、日共の定向進化のなれの果ての腐敗と社民党の相対的健全さに少し言及して見た。確認できることは、日共が社民党より相当右に移行していることである。その程度は、かっての民社党より右に来ているのではなかろうか。この事実を冷厳に確認すべきではなかろうか。

 補足しておけば、目下、真の護憲党がいない。これが日本の政治、経済、文化、精神を奇形化しつつある気がしてならない。日本の戦後は、護憲を基調にしていた間、奇跡の戦後復興と続く高度経済成長の波に乗っていた。改憲派が主流派になって以降の舵取りはそれまでの財産を食い潰し、今や日本の米国売り、中国売り、つい最近では韓国売り説まで出てきている。手前らの権益の為に民族と国を売ることを辞さない卑小な政治家ばかりが与野党問わずタムロした結果である。れんだいこは、この連中をシオニスタンと命名している。キリシタンよりも右のシオニズム被れと云う意味である。これを怒ろう。

 2010.10.13日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評827 れんだいこ 2010/10/16
 【まだ云うか日共産よ恥を知れ!証人喚問狂と化している日共党中央への公開質問状】

 2010.10.13日、日共の穀田恵二国会対策委員長は国会内で記者会見し、小沢どんへの疑惑究明に関して証人喚問を強く要請し、政治倫理審査会での弁明の動きについて次のように述べた。「論外だ。証人喚問を行って政治的道義的責任の追及と真相解明を行うことが国会に求められている」、「政倫審は議事録も出されず傍聴も許されないなど密室でおこなわれることが基本となっている。そのうえに、ウソをついても偽証罪にも問われない」、「(虚偽記載の対象となっている政治資金)4億円の原資が、公共事業に絡んだ国民の税金の還流ではないのかという疑惑が問われている。虚偽記載が問われていることからしても、ウソがつけない場で行う必要があり、証人喚問以外にない」。

 れんだいこが云い換えておく。

 「論外だ。証人喚問を行って政治的道義的責任の追及と真相解明を行うことが国会に求められている」、「政倫審は議事録も出されず傍聴も許されないなど密室でおこなわれることが基本となっている。そのうえに、ウソをついても偽証罪にも問われない」、「共産党の最高指導者として長らく君臨してきた宮顕の戦前の党中央委員査問致死事件の居直りが、政治倫理に絡む国民への最大の不正ではないのかという疑惑が問われている。現下の日共党中央が宮顕の猫ダマシ弁明を擁護し続けていることからしても、ウソがつけない場で行う必要があり、証人喚問以外にない」。

 何だ、殆どそのまま使えるではないか。こうなると、日共は、手前の党の問題である宮顕問題では国会証人喚問不要、他党の問題である小沢問題では必要とする二枚舌論拠について釈明する責任があろう。それにしても日共の証人喚問好き、それも得手勝手さにあきれてしまう。れんだいこには、小沢問題のそもそもは秘書寮の建設問題であり、宮顕問題は殺人罪に絡んでいる。殺人罪の証人喚問の方が数百倍必然性があると思う。これを逆に説く赤仮面正義の化けの皮を剥いでやりたい。

 日共機関紙の10.16日付け赤旗主張は、小沢どん側の行政訴訟提訴を受けて、「小沢氏証人喚問 『密室で弁明』は通用しない」の見出しで次のように反論している。漏洩しつつある検察審査会の経緯、特に審議過程のイカガワシサを何ら言及せぬまま、「検察審査会が小沢氏を起訴すべきだとしたのは当然です」と検察審査会正義論を唱えている。小沢どん側の行政訴訟提訴に対して「悪あがきそのものです」とまで述べている。こうなると、世に云う冤罪被害者は今後どう闘えば良いのだろうか。これはお上の論理論法そのものではなかろうか。

 続いて、近代刑訴法の「推定無罪」の原則に対して次のように述べている。「『推定無罪』の原則を持ち出して小沢氏への追及をかわそうなどというのは通用しません。刑事責任と政治的道義的責任はもともと別の問題であり、国民の選挙で選ばれる国会議員は疑惑がもたれただけでも国民の前に説明する重大な責任を負います」。これも又何と露骨な人民裁判論法であることか。人は法で裁かれるだけでなく、「疑惑がもたれただけで重大な責任を負う」だと。相手が疑惑を持つ持たないにまで責任を持たされるなどと云う恐ろしいことがあって良いものだろうか。これについては末尾で繰り返そう。

 政治倫理審査会と証人喚問について次のように説明している。「昨年問題が発覚して以降小沢氏はただの一度も国会で説明したことはありません。民主党が持ち出そうとしている政治倫理審査会は取材も許さず、記録も残らない『密室』です。議院証言法にもとづく証人喚問なら偽証に対し告発することもできます。国会での小沢氏への追及は『密室』ではなく証人喚問でおこなわれるべきです」。これについても後で触れよう。結びはこうだ。「菅首相と民主党があくまで証人喚問を拒み続けるなら、小沢氏同様、疑惑にふたをするという国民のきびしい批判を免れません」。これについても末尾で触れよう。

 もとへ。宮顕は単に共産党の最高指導者として長らく君臨してきたばかりではない。参議院議員として1977(昭和52).7月の初当選から1989(平成元)年までの2期12年間、れっきとして国会議員を務めている。特に、民社党の春日委員長の参院選時の言及に端を発して以来の1976年初頭前後よりリンチ事件の真相解明を廻って宮顕自身が証人喚問される動きがあった。今にして思えば、なぜこの時期に持ち上がったのか奇妙である。れんだいこは裏に仕掛けが有ったと推理するが、ここでは問わない。そのさ中でロッキード事件が勃発した。それまで守勢の宮顕が突如、角栄徹底追及の旗頭として与野党周旋に乗り出し、その喧噪のさ中でいつの間にかリンチ事件の真相解明が不問にされ今日まで経緯していると云う不自然さがある。

 いずれにせよ、宮顕は、かって殺人罪で逮捕され、それに基づく判決が下され、刑事併合犯で獄中入りしていた。終戦後、他の同志の政治犯特赦ではなく、一足早い生命危篤理由の政治主義的な釈放で刑期満了せぬまま出獄している。その後、「将来に向てその刑の言い渡しを受けざりしものとみなす」という復権証明書を手に入れているが、これはあくまで政治主義的な訴追の免責証文であって、事件の真実が解明された訳ではない。つまり、戦前のリンチ事件の真相は未だに未解明のまま歴史に遺されていることになる。

 日共は、そういうイカガワシイ履歴を持つ人物を12年間に亘って国会議員に送り出していた党としての責任がある。この責任から逃げ回り続けている日共が、角栄パッシング、小沢パッシングに狂奔している姿がオゾマシイ。日共が小沢の証人喚問に首ったけになるのであれば、この際抱き合わせでリンチ事件に対して責任ある回答をしたらどうだろうか。致死せしめられた小畑党中央委員は未だスパイの汚名を着せられている。我々及び小畑氏の遺族は、それを要請する権利があると思う。

 日共よ、小沢どんに対してあらん限りの罪状で責めるなら、その前に自ら宮顕のリンチ事件に対して責任ある事件報告書を提出せよ。まず我が身の潔癖を証明してから人を責めよ。これが真の政治責任、倫理道徳責任のマナーではなかろうか。万一、事件報告書に虚偽ないしはすり替え弁明が確認されたなら、相応の党的責任を問うべきである。穀田国会対策委員長は当然ながら偽証辞職を覚悟せよ。

 外に向けては云いたい放題、内輪のことになると居直りは許されまい。そういう独善作法は法治主義国家では通用すまい。通用させてはなるまい。日共は、本来であれば、この問題を解決しない限り議会制民主主義政党の資質失格に相当する。然るに、これを許され、その代わりに日本の有能政治家の摘発、訴追に加担させられているとしたならイカガワシイこと極まりない。れんだいこは、日共党中央の役割はここにあると見立てている。選挙での自公候補を有利にさせる為の立候補戦略も本質的に同じである。

 さて、最期に日共の物言い通りに云い換えておこう。「『推定無罪』の原則を持ち出して宮顕への追及をかわそうなどというのは通用しません。刑事責任と政治的道義的責任はもともと別の問題であり、国民の選挙で選ばれる国会議員は疑惑がもたれただけでも国民の前に説明する重大な責任を負います」、「問題が発覚して以降、共産党はただの一度も国会で説明したことはありません。政治倫理審査会は取材も許さず、記録も残らない『密室』です。議院証言法にもとづく証人喚問なら偽証に対し告発することもできます。国会での共産党への追及は『密室』ではなく証人喚問でおこなわれるべきです」、「志位委員長と共産党があくまで証人喚問を拒み続けるなら、疑惑にふたをするという国民のきびしい批判を免れません」。

 リンチ事件につき更に知りたい方は次のサイトで学ぶが良かろう。

 別章【小畑中央委員査問リンチ致死事件考】
 (ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/marxismco/nihon/miyakenco/rinchizikenco/rinchizikenco.htm)

 宮地健一氏の「スパイ査問事件と袴田、逸見教授政治的殺人事件」
 (ttp://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/spysamon2.htm)

 2010.10.15日 れんだいこ拝






(私論.私見)