◆西川氏続投は、ゴールドマン・サックスの郵政資金収奪プロジェクトの中心にある!! 6月12日 信州の泉
○巨大な見返りを見込んだ5000億円増資
ゴールドマン・サックスと言えば世界最大級の投資銀行である。そこの最高経営責任者が、西川氏といくら長い親交があったとは言え、非人間性を常とする地獄の国際金融業界(ビジネス)において、西川氏の人柄を見込んで5000億円の増資に応じるなどという話があるはずがない。5000億円と言えば0.5兆円だ。この時期に、そのような大金をアメリカの国際金融資本が融資するはずがない。2003年の3月と言えば、3月危機と言われ、日経平均株価が8000円を割り込んだ時期であり、りそなショックが至近距離に近づいた時期でもある。
その最悪の株式市況で、世界最大の国際金融資本が何の目算もなく5000億円の投資をするはずがない。この融資には、その数十倍、数百倍の見返りを確実に見込んだ裏の計画が進行していたことは明白だ。
ではその巨大な見返りとは何だろうか。それこそが日本の郵政民営化であり、340兆円のゆうちょ・かんぽ資金の市場開放プロジェクトであった。ここで、竹中平蔵氏の存在が重要になってくる。これ以降は私の推測であるが、「竹中平蔵・三井住友銀行・ゴールドマン・サックスのトップ二者」の密談では、西川善文氏を日本郵政株式会社のトップに据え、四分社化によるゆうちょ株式会社と、かんぽ生命の株式上場までの道のりを整えて置くことが話し合われたに違いない。
ここで竹中平蔵氏の役割は、2007年の4月に四分社化を実現して、郵政民営化を無事にスタートさせることであった(実際は生田正治氏の抵抗によって10月に延びたが)。一方、西川善文・三井住友銀行頭取の役割は、分割民営化された郵政事業を統括する日本郵政のトップに収まり、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式をそれぞれ半分以上、つまりゴールドマン・サックスが経営支配権を持つまで買わせる計画ではないだろうか。それまではその計画が円滑に行くように、西川氏が日本郵政の舵取りをする必要があるのだろう。
2002年夏から、2003年1月にかけて行われた、西川氏とゴールドマン・サックス二名の三者の会談、及びそれに竹名平蔵氏を加担させた四者の会談では、四分社化と株式上場までの基本計画がじっくりと話し合われたと思う。郵政三事業を、いったんバラバラにしたうえで、アメリカの垂涎の的である郵貯と簡保は、全株を市場に放出する形に持って行く必要があったわけである。
○日本郵政に巣食う売国プロジェクト・チーム
参考までに、「岸田コラム」というブログを見ると、2004年当時、小泉純一郎氏に四分社化を迫ったのは、竹中平蔵氏と経済財政諮問会議の四人の民間議員だったと言う。詳細はそのサイトをご覧になってもらいたいが、その四人は経済財政諮問会議の民間議員である、牛尾治郎(ウシオ電機会長)、奥田碩(トヨタ自動車会長)、本間正明(大阪大大学院教授)、吉川洋(東大大学院教授)である。この四人は小泉政権の終焉とともに退陣したが、この中から二人は日本郵政の役員になっている。それは牛尾治郎氏と奥田碩氏だ。
となると、牛尾氏と奥田氏は、2004年当時、竹中氏とともに四分社化を小泉元首相に強く進言しているから、西川善文氏と気脈を通じる売国プロジェクト・チームのメンバーと考えて間違いないだろう。これに取締役兼代表執行役副社長の高木祥吉氏が加わる。日本郵政の役員の中には、まだゴールドマン・サックスの走狗がいると思われるが、彼らを統括しているのが西川善文氏と考えて間違いないだろう。
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu193.htm
竹中氏は、田原総一郎氏などのマスコミ人の代弁者と言う位置付けである。小淵政権に80点を付けた翌年には10点を付け、「IT」関係ではNTTの分割を主張する。また金融では、不振銀行の国有化と不振企業の退場であり、いわゆるハードランディング路線の推進である。つまりこれら全ては田原総一郎氏達の主張であり、その時々のマスコミの主張である(これらの主張がしばしば間違っている。しかし間違いとはっきり分って来ると、とたんにそれらの話題を避けるばかりで、自分達の誤りを認めようとしない。)。とにかく彼等が描いたシナリオ通りに振舞ってくれる竹中氏を批難するはずがないのである。
ようするに、端的に言えば彼等はテレビタレントなのである。そしてテレビタレントを経済財政担当相、そして金融担当相に指名した小泉首相の方がおかしいのである。ところでサンデープロジェクトの、ソフトランディング路線の前柳沢金融担当相への攻撃はすごかった。しかし筆者には、田原氏がどう言う意図で、このようなハードランディング路線を支持しているのか不明である。
もっとも竹中氏にはもっと複雑な要素がありそうである。つまりこの人物の背景には、田原総一郎氏などのマスコミ人以外の人々の陰を感じるのである。しかし世間の人々もそんなにばかではない。閣僚となったため、これ以上竹中氏も発言を「コロコロ」変えることはできなくなっている。バックに誰がいようとも、新たに金融担当相となってしまった以上、本人が窮地に立っているのは事実である。たとえば就任当初の株価の下落を見ていると、とてもハードランディング路線を貫くことは無理である。
竹中氏、木村氏、田中氏、そして民主党や自民党の若手を並べると不思議と共通点が見えてくる。一つは彼等が異常な「マニュアル(教科書とか受験参考書)の信奉者」と言うことであり、もう一つは「何の実績もないがどう言うわけか要職(大臣、県知事そして国会議員)に就いている」ことである。そして筆者には、特に竹中、木村、田中の三氏と民主党の若手は、唐突に思われるかもしれないが、どうしても「受験生」の印象がある。彼等は、いまだに受験勉強の「トラウマ」を引きずっていると思われて仕方が無いのである。つまり知事や国会議員、そして党の役職などの要職につくこと自体が究極の目標であり(偏差値のより高い学校の入学試験に合格することと同じ)、「一般の国民や県民がどうなるか」と言うことには興味がないのである。これについては、また別の機会に触れたい。
小淵政権が取りかかった積極財政によるデフレ対策を、腰砕けにした犯人こそが、まさに竹中氏達が属しているグループである。これによって、地価の下落は止まらなくなり、株価も下落し、不良債権の処理も困難になった。そもそも不良債権を急ぐことによって、企業は、保有土地の売却を進め、地価の下落に拍車をかけることになった。さらに危機管理状況の日本で、急ぐ必要のない時価会計の導入にすることによって、資産の売り急ぎが起って、土地や株などの資産価格はさらに下落することになった。一連の政策で一体誰が一番喜んでいるのかが問題である。
経済戦略会議のメンバーに選ばれた頃、竹中氏はテレビ朝日系のサンデープロジェクトに出演し、小淵政権には80点の点数を付けていた。ところが翌年同じ番組に登場し、驚くことに今度は小淵政権に10点と言う点数を付けていた。たった一年しか経っていないのにどうしてこのような評価になるのか、筆者は、本当に不思議に思った。竹中氏は「積極財政はもう良いから、そろそろ緊縮財政への転換が必要」と言って小淵政権を批難していた。しかし12年度予算規模は、11年度とほとんど変わらず、とても積極財政と呼べないものであった。
たしかにこの時分は、公明党の連立参加や自由党の連立離脱を想定した動きがあり、小淵内閣の支持率が低下していた頃である。しかし経済も少し上向き、とても80点が10点になる状況ではなかった。筆者は、この時この竹中平蔵と言う人物が実に怪しい存在に思われた。信じられないくらい言動が突飛なのである。これ以来、筆者には、この人物のバックには何かがあるとずっと感じていたのである。これについては、別の機会に取上げることにする。
小淵政権の元で経済は多少上向き、株価も上昇したが、銀行の不良債権はまだかなりあり、まだまだ積極財政を続ける必要があった時期である。しかし小淵政権は積極財政から中立的な財政に移したのである。ところが竹中氏達は、「もっと緊縮的な財政にしろ」と言っていたのである。その後、森、小泉政権と緊縮財政が続き、倒産と銀行の不良債権は増え、税収は減り、株価は下落を続けているのである。
この人物のいい加減な主張は色々あるが、ペイオフ解禁をめぐる発言もその一つである。亀井前政調会長は2年間の「ペイオフ解禁」を延期したが、これに対して各方面から批難が続いた。筆者は、特に強く「ペイオフ解禁の延期」を批難していた三人の人物が印象に残っている。日経新聞の編集委員の藤井良広氏、評論家の田中直毅氏、そしてこの竹中平蔵氏である。詳しくは00/2/7(第149号)「ペイオフ延期騒動と日経新聞」を参照願いたい。この中でK大学のT教授とはもちろん慶大の竹中教授のことである。
ところがこの人物が、金融担当相を兼務するなり、「ペイオフ全面解禁」を2年先送りを決めたのである。しかし何の弁明もなかった。2年半前には、あれだけ強烈に「ペイオフ解禁」を主張していたのは何だったのであろうか。
また数年前は「IT」によって何百万人もの雇用を創出できるとさかんに言っていた。そして日本のIT化推進にとって障害になっているのがNTTとまで断言していた。NTTさえなんとかすれば、日本のIT産業は発展し、景気も良くなると言っていたのである。しかし一旦、米国でITバブルが崩壊すると、「ITバブルの崩壊と言う現象は始めてであり、今後のことは予想がつかない」と言っている。最近ではITに関した発言が全くない。ようするに竹中氏が「IT」と言っていた頃が「ITブーム」の頂点だったのである。
「IT」に関して竹中氏の問題は、その供給サイド重視の発想である。規制緩和で「IT」が伸びれば、景気がよくなり、財政による需要政策は不要であり、むしろ邪魔になると言う考え方である。しかし「IT」が伸び、パソコンや携帯電話が売れても、他の消費がその分減れば、総需要は変わらない。本誌はずっと、「IT」産業は基幹産業の一つになるが、当時のブームは「おまけ」みたいなものであると主張して来た。そしてデフレ経済の日本においては、財政による需要政策は重要と言ってきたのである。したがって筆者は、今日の銀行の不良債権問題や失業問題の深刻化は、竹中氏みたいな極めていい加減な論者達(陰に誰かいると思われるが)に、経済政策の足を引張られてきたことが大きな原因と見ている。
weekly・ポスト・ドットコム 2002年9月6日号
小泉改革の成果はなかなか見えてこない。「成果が見えないどころか、日本はますますひどくなる一方です。小泉首相がやっていることは全部逆。まず資産デフレを止めることを考えなければいけないのにそれはやらない。こんな状態なら、首相が自ら辞任するか、内閣を改造するのが当然でしょう。私はやはり小泉首相の責任が一番重いと思います」。
――経済政策のどこが一番問題か。
「全部ミスですよ。何か成功したことがありますか? 私はないと思いますが、あったら教えてもらいたい。だからこそ、小泉首相だけでなく、竹中平蔵経済 財政相も柳沢伯夫金融相もしかり、塩ジイ(塩川正十郎財務相)もまたしかり。 日本経済をどんどん悪くしてしまった責任者たちが、よくも堂々と政権に残っているなと感じます」。
――小泉政権がアメリカン・スタンダードにこだわるのはなぜだと思うか。
「私は、現在の不況をアメリカによってもたらされた『アングロサクソン・リセッション』 と呼んでいます。これはイコール『竹中不況』といってもいい。彼は、小渕内閣以来、経済ブレーンとして日本の政策の中枢部門にいるが、この2年間の彼の言動を検証してみると、いたずらにアメリカに追随するだけで、主張にも一貫性がない」。
――アメリカに振り回されている?
「一番わかりやすい例を出すと、彼は一時期、IT革命を謳って、“500万人の雇用が新たに創出される”といいましたね。そうしてITバブルを起こしたが、結局は夢にすぎなかった。
竹中氏は市場原理主義者といいますか、要するにアメリカかぶれした人です。すぐに“マーケットに聞け”とか、“ハイリスク・ハイリターンの時代が到来した”などと口にしますが、彼のいう通りにやってきた結果、日本の経済は傷んでしまった。これはもう国賊でしょう。しかも、確固たるポリシーがあるわけでもなく、トレンドを追いかけているにすぎません」。
http://www.weeklypost.com/jp/020906jp/edit/edit_1.html
植草さんが竹中のことを↓のように罵っていた。「竹中三原則ってのがありまして…間違いを認めない。節操がない。そして、自画自賛する」。一同爆笑。竹中平蔵のずる賢い所は、出る番組を選ぶことです。NHKには出たがりません。これは、NHKの解説委員は東大出が多くしかも自分のアンチが出ることが多いので極力出ないわけです。ところが、田原総一郎の様な”同業者”(田原は孫正義のエ−ジェント)に取っては竹中と意見を同じくすることが良いビジネスになるわけです。
竹中を知る大学関係者は、彼は学者ではないと言います。理由は簡単で、理論も何もないからです。ただ、ファンドの言うことを自分が言ったように見せかけているだけで 中身は何もありません。
森内閣の時に、森喜郎と言う人がこれ以上はないミ−ハ−だったおかげで芸能人脈を作ってしまいました。その子息が六本木人脈と言われている遊び人グル−プを作っていてモデルやタレントの女の子を通じて、業界人の○グル−プを関係が深くなった。そこで、テレビ関係で殖財をしている連中とも親しくなり結果、竹中は
政治家を儲けさせてやることでより政界の中枢に出入りできるようになった。政治家の子息、テレビ局、芸能界、そして金持ちの子息・・・・ さらにその親たち・・・全ては竹中のクライアントなのです。批判できるわけがありません。
テレビ局が毎年、新卒を入れるときに○政とか○芸とか○文とか言う符丁で 呼ぶ人々がいます。
これは、その父親が政治家、芸能プロか芸能人、文部省の役人と言う意味ですがこの連中は局内で集まり派閥を作る傾向があります。この派閥の特徴は、とにかく金回りが良いこと。車も外車が当たり前だし別荘にクル−ザ−、休みには海外旅行・・・
殆ど仕事もせずにテレビ局の名詞を悪用して遊び回っているわけです。
竹中は慶応の教授時代から金持ちの子弟には必ずと言って良いほど声を掛けて自分の子分である、外資系のコンサルを紹介してはマ−ジンを裏で稼いでいましたフェルドマンなんかはその頃からの腐れ縁です。同時にメディアに出るようになってからは、関係者をコンサルに紹介して良いエ−ジェント稼業に勤しんでいたのです。芸プロの社長、タレント、もちろんテレビ局の財務部門・・・その連中を儲けさせたのでエ−ジェント竹中は評判が極めて良くなったのです。
テレビ局というのは、裏金としてどのくらいの現金を撒くかで出演が決まり結果ギャラに反映するわけです。裏金以上に稼げばよいわけですから、稼ごうと思えばそれだけ裏金も必要になります。しかしそれは、普通の方法では稼げません。
脱税も良いでしょうが、それはリスクが伴います。 竹中はケイマン諸島に本拠地を置くファンドが付いていると言われますが そのようなファンドを上手く使って金を儲けさせてやる。結果、竹中情報は=金そのものでありテレビ関係者にとって竹中を出してやることは=金作りになったのです。
では、竹中がテレビに出るメリットは何でしょうか?それは、彼のサイドビジネス・・・つまり、ファンドに金持ちを紹介するためには テレビで自分を宣伝する必要があった。の有名な竹中教授です・・・で、一回の講演料は安くてもその後のパ−ティでは名刺を交換する金持ち連中が引きも切らなかったそうです。
日比谷にアピシウスというレストランがあります。そこで食事をすると一人5万円は当たり前に掛かる 。中はそこの常連で、いつもファンドとそういった金持ちの子弟を連れて 食事をする 。の後は、最近は麻布のクラブでファンド達を入れて情報交換している。竹中は女性には興味がないようです。
ひたすら、ファンド達と企業や金融機関買収を話し合っている。木村も、同席することがあり他には楽天の三木谷等が入ることもある 。近では、上海閥とおぼしき連中が入り日本企業の買収を如何に進めるか
。れをよく話し合っている
アルゼンチン経済を破綻に導いた前大統領は、「構造改革」を唱えていたせいか、経済の状態が相当悪くなっても、不思議とかなり高い支持率を維持していた。経済の調子が悪いのも「構造改革が進んでいないからだ」と必ず言い訳をする。
「悪いのは改革を邪魔する抵抗勢力」と言っておれば大衆は簡単にだまされるのである。 「改革」唱えながらの経済運営では、経済は低迷する。すると必ず「改革」派の人々は、犯人捜しを始める。悪いのは「銀行の経営者」「建設・土木業者やこれらに支援を受けている政治家」「道路公団」「金融庁」「大企業の経営者」等、きりがない。しかし彼等が悪いかどうか知らないが、たとえ彼等を懲らしめたからと言って、日本経済が上向くと言うものではなかろう
おそらく次には彼等は「精神」の問題と言い始める気がする。日本人の「精神」が悪くなり、何でも人に頼るようになったから、経済が上向かないと言うのである。日経新聞には、既にその徴候が現れている。「科学性」が否定され、「精神主義」が花盛りになる。まさに戦前と同じ構図を辿っている。
http://www.adpweb.com/eco/eco265.html
竹中平蔵氏(慶応大学教授)が、公明党の機関誌『公明』八月号の特集「日本復活に何が必要か」のなかで、巻頭論文「改革止めれば日本は衰退」を寄稿しています。
周知のとおり竹中氏といえば、小泉内閣の金融、経済財政、郵政民営化などの担当大臣を歴任し、「新自由主義」構造改革路線の旗振り役を務めた人物です。その竹中氏がいまどんな「日本復活」の処方せんを提案しているのか、いささか興味をそそられました。
が、一読して、そのあまりにも無反省な「改革」論に、正直言ってあきれてしまいました。「改革」が進まないから消費が低迷しているというが… 竹中氏は、まず「日本経済の現状が厳しいのはなぜでしょうか?」と問いかけ、その原因は、次の三つだと言います。
(1)「改革が進まなくなっている」との不安から「期待成長率が下がって、消費も投資も減少」。
(2)「コンプライアンス(法令遵守)不況」。
(3)ドル安による円高で「外需が減少」。
第一の、「改革が進まない」↓「期待成長率が下がる」↓「消費も投資も減少」という三段論法についていえば、いま消費が 低迷しているのは、そんなことが原因ではありません。小泉「構造改革」による貧困の拡大、家計の負担増、物価高こそ、消費低迷の最大の原因であり、そのために「新自由主義改革」路線は国民の批判をあびて頓挫したのです。
第二に、竹中氏の言う「コンプライアンス(法令遵守)不況」とは建築偽装や食品偽装にたいして規制を強化したから「一気に売上げが落ちて(不況になった)」、つまり「法令遵守」が不況の原因という“珍説”です。
第三に、円高による外需減少をドル安のせいにしますが、問題にすべきは外需頼みのゆがんだ経済成長のあり方です。
経済構造を内需型に改革することこそ大事ですが、竹中氏はそのことにはまったくふれません。
総じて、竹中氏の現状認識には、現在の世界と日本の資本主義が直面する深刻な矛盾を客観的に分析する立場が感じられません。
今日の資本主義では、大企業中心の新自由主義的な資本蓄積のために、富が大企業、大金持ちに集中し、それが巨額な金融資産(過剰な貨幣資本)として金融危機を起こし、また投機マネーとなって原油や穀物を暴騰させています。
一方に膨大なワーキングプアと貧困、他方に法外な富の累積という異常な資本蓄積のあり方―ここに現代の新自由主義的資本主義の矛盾の根源があります。しかし、こういう現状認識を竹中氏に求めるのは、どだい無理な話かもしれません。お手本だった米国流の「新自由主義改革」がこけてしまって…
続いて竹中氏は、「日本復活」の処方せんとして、次の三つの「ナショナルプロジェクト」をあげています。 (1)「羽田空港の拡充」。 (2)「法人税の引き下げができるスーパー特区」。
(3)「東大の民営化」。最初の「羽田空港の拡充」では、「キャパシティーを3倍にする」などと提案しています。一昔前の田中角栄流の「土建国家」を思わせるような大型開発プランです。
次の「法人税の引き下げ」は、財界が渇望している要求です。竹中プランは、それを「特区」にして、地方を法人税切り下げ競争に巻き込むことで実現しようというわけです。それは財界・大企業にとっては願ってもない提案だとしても、地域経済にとっては、さらなる格差を拡大するだけでしょう。
「東大の民営化」についていえば、小泉内閣の「郵政民営化」に続いて“柳の下のどじょう”をねらっているのかもしれません。しかし、東大を「世界のトップ5」の大学に押し上げるための民営化といっても、あまりにも論理が飛躍しているといわざるをえません。
竹中氏は、こうした三つのプロジェクトで「日本を強くし、地域を活性化できる」と約束しますが、その理論的根拠は不明です。もともと、竹中氏が旗を振った小泉「構造改革」には、独自の経済理論の裏付けがあったわけではありません。たかだか「市場に任せればすべてうまくいく」という「新自由主義」派の経済学をメインストリーム(主流)などと称して、米国流の「新自由主義改革」をお手本にしたものにすぎませんでした。
いま、そのお手本の米国がサブプライムローン(低信用者向け住宅ローン)の破たんで深刻な金融危機に見舞われています。その惨たんたる状況が世界中で明らかになりつつあるときに、「改革止めれば日本は衰退」などと叫んで、「羽田空港の拡充」や「東大の民営化」を提案しても、説得力はありません。 「改革」のお手本だった米国がこけてしまったのに、それでも懲りずに「改革」続行の旗を振り続けているというのが実態でしょう。 それにしても、連立政権与党の機関誌が、いまだに、こうした無反省な「日本復活論」を巻頭にかかげているとは、少しお粗末すぎるのではないでしょうか。(友寄英隆)
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