2022.4.26日、週刊文春編集部「自民党・高木宏壽(ひろひさ)衆院議員公設第一秘書/村上太一」

 更新日/2022(平成31.5.1栄和改元/栄和4).2.4日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここに「自民党・高木宏壽(ひろひさ)衆院議員公設第一秘書/村上太一】」サイトを設け総合的検証することにする。

 2004.5.13日 れんだいこ拝


 「彼に頼めば、新型コロナの特別融資がすぐに下りるという話でした。それで紹介されたのが、村上さんという方です。半信半疑でしたが、実際に……」。そう語るのは、都内在住の中小企業経営者のA氏だ。「村上さん」とは、村上太一氏。自民党・高木宏壽(ひろひさ)衆院議員(62)の公設第一秘書である。

 サーファーのように1年中日焼け、秘書では異色の存在

 2012年に北海道3区から初当選した高木氏。15年には内閣府政務官兼復興政務官に就任した。17年の衆院選で落選したものの、昨年10月の衆院選で3回目の当選を果たしている。「高木氏は米国の大学でMBAを取得。北海道拓殖銀行などを経て、朝日監査法人に入社しました。こうした経歴を生かし、現在は党金融調査会事務局長代行を務めています」(自民党秘書)。その高木氏の政治活動を側近秘書として支えてきたのが、村上氏だ。初当選から落選するまで、そして国政復帰した昨年10月以降も公設第一秘書として勤務。民主党政権時代は、中井洽国家公安委員長(当時)の秘書も務めていたとされる。「ただ、村上氏はサーファーのように1年中日焼けしていて、秘書では異色の存在でした」(同前)。実際、村上氏には“別の顔”があった。

 元俳優の押尾学氏との交友関係

 「“銀座の皇帝”こと村上と申します」。これは、昨年6月に配信された銀座情報がテーマのYouTube動画の一幕。タレントの熊田曜子らを相手に、ホストのような風貌でそう挨拶したのが、村上氏だ。別のYouTube動画でも銀座の高級クラブを訪問。世界一高価なワインと言われる「ロマネコンティ」を開封し、村上氏は「お会計は(1本)1000万円でございます」と明かしていた。公設第一秘書の給与は
在職年数にもよるが、年700万円前後。にもかかわらず、なぜ“皇帝”として銀座で豪遊できるのか。「実は村上氏は秘書稼業の傍ら、飲食やコンサルなど様々な“ビジネス”を行う会社を複数立ち上げてきました」(村上氏の知人)。その中の一社が、公設第一秘書だった17年3月に設立された「TMグループホールディングス」だ。村上氏は同年4月に代表取締役に就任。さらに、昨年4月からは取締役として意外な人物が名を連ねていた。元俳優の押尾学氏だ。「押尾氏は06年に女優の矢田亜希子と結婚した。ところが09年、合成麻薬を一緒に服用した女性の容体が急変。適切な処置を取らず、女性は死亡した。12年、保護責任者遺棄罪などで実刑判決を受けました。矢田とは離婚し、服役後、再婚しています」(同前)。押尾氏のSNS(昨年4月6日付)には、村上氏との2ショットも投稿されている。そんな交友関係を誇る村上氏が、コロナの流行を機に力を注ぐようになったのが“貸金業”だった。

 「私を通してくれれば、すぐに融資が下りますよ」。冒頭のA氏が振り返る。「村上氏とビルの一室で初めて会ったのは、20年初夏のことでした」。まず村上氏はこう自慢気に経歴を披露したという。「永田町で20年以上働いてきた。大臣政務官の秘書官もやったし、政府系金融機関にコネがある。国家公安委員長の秘書もやったので、警察にも人脈があります」。そして、話題は本題へと入っていく。「私を通してくれれば、すぐに融資が下りますよ」。そう語る村上氏から示されたのは、〈新型コロナウイルス感染症特別貸付について〉と題された資料だった。安倍政権は20年3月上旬、コロナの影響で売上が減少した事業者向けに日本政策金融公庫(公庫)などを通じ、実質無利子の特別な融資制度を創設。いわゆる“コロナ貸付金”だ。資料にはその説明に加え、以下のような記載がある。〈融資が実行された場合のみ成功報酬として、融資額の5%プラス消費税をお支払い頂きます〉 末尾に明記されていたのは、〈TMoneトラストホールディングス株式会社 代表取締役社長 村上太一〉。この会社が商号変更したのが、前出のTM社だ。A氏が続ける。「彼の言葉を信じ、公庫に申請したところ、2週間程度で1000万円弱の融資が下りた。その5%を村上氏の会社に支払いました」。社名や村上氏の名前、押印がある請求書を入手。村上氏の力を借りたのは、A氏だけではない。20年夏に、公庫から融資を受けたB氏が証言する。「村上氏の会社関係者から電話で、支店担当者を紹介されました。指定日時にビルへ行くと、2階の個室へ通された。若い男性職員が『先生からお話はお伺いしています』と切り出すので、数千万円の融資を申請したんです。当時、公庫の融資は全国の事業者から申請が殺到し、手続きが滞っていた。ところが、通常なら2カ月かかる融資が僅か1週間で下りた。すぐに5%の手数料を支払いました」。さらに20年7月、村上氏を通じて融資を受けたC氏もこう語るのだ。「知人から村上氏の会社を紹介されました。公庫での面談は30分程度。1カ月足らずで3000万円の融資が下りた。5%分の150万円を支払いました」。「週刊文春」は彼らの証言に加え、TMone社からの請求書も入手。社名や村上氏の名前、押印があった。実際にTMone社に振り込んだ通帳記録も確認している。

 本人に話を聞くと…

 昨年の衆院選前、村上氏はこう吹聴していたという。「このビジネスでお金を稼いでいきたい。月に20件、30件。永田町では皆やっているから」。しかし、同じ“コロナ貸付金”を巡って、先日、有罪判決を受けた元公明党議員がいる。無登録で繰り返し公庫の融資を仲介し、貸金業法違反の罪に問われた遠山清彦氏だ。村上氏はどうか。東京都に本社を置くTMone社は都か関東財務局に貸金業の登録をする必要があるが、「都にも財務局にも登録はない」(都担当者)。元東京地検特捜部検事の若狭勝弁護士が言う。「無登録で様々な人を相手に商売のように繰り返し仲介業を営んでいれば、貸金業法違反の恐れがある。その場合、10年以下の懲役もしくは罰金3000万円以下の罰則です。政府系金融機関は与党議員に弱い。その公設秘書なら、公庫に一定の影響力はあるでしょう」。

 果たして、当の村上氏はどう答えるのか。4月4日、本人に対面で話を聞いた。
――新型コロナ特別融資の仲介業を無登録で営んだ?
「直接やったことはないです。僕はいい人ですから、名前を使われたということがあるかもしれない」。
――貸金業の登録はない?
「ええ、ないですね」。
――仲介手数料5%は?
「全く記憶にないですね」。
――押尾氏が取締役だ。
「友達ですから。音楽やりたいって言ってたけど」。
 だが、取材翌日の4月5日、村上氏は公設第一秘書を辞職。そこで8日、電話で改めて見解を尋ねた。
「私はもう一般人ですから」。
――なぜ辞職した?
「事実無根の話で高木先生に迷惑をかけるから」。
――請求書もある。
「もういいです。色々な事を言っている人がいるのでしょう。でもボーナスも年収1000万も全部捨てた。切腹した。もう十分でしょ」。
――銀座で羽振りがいい。
「豪遊して、とか幾ら書いて頂いてもいいですが、私はもう一般人ですから」。

 高木議員の回答。「会社を経営していることは承知していましたが、その内容について報告を受けていたわけでもなく関知しておりません」。HPで、政治への信頼を取り戻すことを掲げる高木氏。公設第一秘書が“違法な口利き”で商売していたことを「知らなかった」では、信頼は取り戻せない。





(私論.私見)