本四公団整理統合考

 (最新見直し2006.12.10日) 


Re:れんだいこのカンテラ時評388 れんだいこ 2008/04/04
【本四架橋財務問題不作為考】

 2008.4.4日付毎日新聞1面トップが、「本四架橋利払い1兆円」と題して貴重な情報を提供している。それによると、「本四架橋財務問題」が深刻度を深めつつある。現下の体制的政治がこれを乗り切る処方箋を持っているだろうか。これを考察する。

 本四架橋は3ルート有る。東京からするデスク頭脳では3ルート不要論がかまびすしい。しかし、現地では明らかに経済圏が違っており、それぞれが競い合うように陳情し、竣工に漕ぎ着けたという経緯がある。その3ルートとは次の通り。総事業費は計2兆8700億円(3兆3700億円)。

 1、瀬戸大橋(岡山県早島町−香川県坂出市間の37.3キロ、1988.4月開通、総事業費6700億円)
 2、明石海峡大橋(兵庫県神戸市−淡路市−徳島県鳴門市間の89.0キロ。1985.6月、大鳴門橋開通、1998.4月、明石海峡大橋開通、総事業費1兆4700億円)
 3、瀬戸内しまなみ海道(広島県尾道市−愛媛県今治市間の46.6キロ。1999.5月開通、総事業費7300億円)。

 建設されたものの通行料金が馬鹿高くて地元民の利用が伸びず、却ってそっぽを向かれている事は衆知の通りである。通行料実績は、相変わらず計画の半分程度で推移しており年630−750億円の横ばい。2006年度は一日平均計約3万8千台。景気の低迷もあり、瀬戸大橋開通前の予測の半分程度。

 旧本四連絡橋公団の債務はふくらみ、利払いのための新たな借入金も増え、国は、2001年度から無利子貸付で計2600億円、2003年度から道路特定財源1兆4700億円を投入し支援した。

 こうした事情を背景として、2005.10月、本州四国連絡橋公団など道路関係4公団が民営化され日本高速道路機構が設立され、4公団の債務を引き継いだ。小泉政権時代のことである。民営化で何か変わったかと云うと、単にマジック的に機構を変えただけに過ぎない。

 その高速道路機構の債務返還機構が、4.5日に最後の本州と四国を結ぶ架橋となった明石海峡大橋の開通10周年を迎え、次のことを明らかにした。2008年当初の債務残高は2兆100億円。うち有利子借入金は1兆7600億円で、毎年250億円から1000億返済する。別に借入金に対する支払利息もあり、今後12年間で年400億円前後支払う。

 借入金の完済期限の2050.3月までの42年間に元本利子合計が3兆円必要であり、今後の利子が総額1兆1000億円に上る。同機構は、国と関係自治体10府県市に今後15年間で計1兆2000億円の新たな出資を求めているが各自治体は態度を保留している。2012年度まで国と地方が毎年計800億円を負担せざるを得なくなっており、延長協議が必要な局面に至っている。

 このことから何を窺うべきか。要するに、信じられないことだが政府も与野党も官僚も何も対処策を講ぜず無為に時日を費やしているということだろう。本来ならどうすべきか。れんだいこが提言しておく。

 まず、民営化しようがしまいが何の解決策にもならない。このことを申し上げておく。今頃、3ルートが掛け過ぎだった論も何の役にも立たない。掛かった以上は活用しかない。このことも申し上げておく。

 かような赤字経営を維持している以上、架橋関係者の給与その他は極限まで節約せねばならない。冗費を削らねばならない。上から手本を示すべきだろう。同時並行的に待望の料金見直しに向かわねばならない。現行料金は、距離換算で一般の高速道路の2.2−3.7倍に設定されている。

 れんだいこは、瀬戸大橋の場合片道1500円、往復3000円にすべしと思っている。そうすれば、讃岐うどんを食いに出かける者も増えよう。四国からどっと繰り出して来よう。こうして経済が活性化するのではなかろうか。回り回って潤うのではなかろうか。他のルートもこれにならえばよい。

 現行通行料の3分の1になるが「通行料金3分の1、通行量5倍化」で却って利益が出ると思っている。なぜこうしないのかが解せない。高速道路機構は、「値下げで交通量が増えても収入減になる。新たな財源が担保されないと大幅な値下げはできない」としているが、「値下げで交通量が増えても収入減になる」とはこれ如何に。何の根拠で、そう断定できるのだろうか。「通行料金3分の1、通行量5倍化」は、やってみないと分からないだろうが。

 倉敷市長と坂出市長、岡山県と全四国の知事が陳情団を組織しお上りすれば良いのに。宝の持ち腐れほど不経済な事は無い。当局が受け入れないのなら、税金補填の道を閉ざせばよい。日本高速道路機構の連中も、これには参るだろう。ということは、やる気さえあれば必ずできるということになる。

 やる気さえあれば出来るのにしないということは、互いがやる気が無いということになる。しからば、このやる気の無さはどこから来るのだろう。ここを議論せねばならないのではなかろうか。こういうやる気の無さ、見て見ぬふりをするところからくる不首尾は他にも幾らでも有ろう。れんだいこは、有効な処方箋の無さが諸病の元だと思っている。有効な処方箋があるのにやらせない者が居るとしたら叩き出す以外に無い。こういう政治的緊張こそが真に望まれているのではなかろうか。

 2008.4.4日、4.5日再編集 れんだいこ拝





(私論.私見)