○議長(重宗雄三君) 木村君、約束の時間です。 |
○木村禧八郎君(続) これだけです。あなたは物価値上がりによる家計費の負担を減税によってカバーすると言われますが、そんなことができますか。できたら教えていただきたい。たとえば四十年度――本年度ですね、夫婦、子供三人で五十万円の所得の人は、約三千三百円所得税が減税になったのです。ところが、消費者物価が八%上がりまして、三万二千円の家計費の増加になったのです。ですから、国民は、なまじっかの減税をしてもらうよりは物価を安定してもらったほうが、よほど暮らしが楽になるのだということを言っているのであります。ごまかしの減税は、やってもらいたくない。所得税も納められない低所得者の人は、どうするのです。社会保障も受けられないそうした人は、どうするのですか。ただ物価値上がりの負担だけをかぶってしまうのじゃないでしょうか。ごまかしの減税、ごまかしの物価対策は、これは、はっきりやめてもらいたい。ほんとうに国民が納得するような物価対策なり、あるいは減税対策につきまして、政府の責任のある御答弁を求めまして、私の質問を終わる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕 |
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。ただいま各般にわたりまして御意見を拝聴いたしました。また、鋭い御批判もあったようでありますが、これらについての私の批判は省かせていただきます。しかし、具体的の問題についてのお尋ねには私はお答えしたいと思います。まず第一は、補正予算が大事だ、日韓問題をあとにしろと、社会党は、かねて主張しておる、ところが、現に日韓が先に出てきたために補正がおくれたじゃないか。このような御指摘でございます。しかし、私は、臨時国会が七十日、この七十日の間に、ただ一つ日韓だけに終始するというような国会でないと私は思っておる。いままでの国会審議におきましても、同時に各委員会は開会され、重要案件はそれぞれ並行審議されております。ただいま申し上げるように、補正予算の大事なこと、これに十分注意をいたせば、必ず社会党の諸君も並行しての御審議ができたはずだと私は思います。これらの点につきまして、これができなかったことはまことに残念に思います。しかし、今日通常国会が開会されるにあたりまして、前国会の審議等につきましても十分反省もし、国会の正常化に与野党とも話し合いをつけて、そうして今日スタートするのでございます。過去のうしろ向きの議論も、もちろん必要だと思いますが、ただいま申し上げるように、前向きに国会の正常化への一そうの努力をいたしたいと、私も決意いたしておりますので、どうか皆さま方の御協力を得たいと思います。ただいまのお話の中に、申すまでもなく、この補正予算というものは、大事な、民主政治の基本であるという御指摘がございました。私もそのとおりに思います。その意味におきましても、この補正予算がまことに重大であり、また経済の実情等を勘案いたしますると、今日私どもが提案して審議をいただく補正予算は、まことに重大な意義を持つものであります。そういう意味で、たいへん恐縮でございますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いを申し上げます。かような状態でありますから、内閣は総辞職をすべきではないか、あるいは解散すべきではないか、かような御指摘であります。私は考えるのでありますが、この一年、日韓問題等も解決いたしましたが、同時に、経済のいわゆるひずみ、経済の不況を克服するということが、私ども内閣に課せられた一番の課題である。かように思って、過去から今日まで努力いたしておるのであります。この重大なる課題を解決する、かような意味におきまして、さらにがんばるつもりでおりますので、御忠告ではありますが、総辞職などはいたしません。また、解散云々のお話でありますが、私は、もともと各政党の間でその政党がそれぞれの争いをすること、これは、しごくもっともなことである、いろいろ国民のために政治をするのであるから、われわれの争いも国民に迷惑のかからないような方法でやるべきだということが、私の考え方であります。かような観点に立ちますると、ただいまの状況のもとにおきましては、もしも政治が不在になる、一カ月の空白あるいは一カ月半の空白を生ずるということは、国民に多大の迷惑を与えるものだと、かように考えます。私は、そういう意味では解散も考えておりません。このことをはっきりお答えをいたしておきたいと思います。
次に、今回の公債発行についてのいろいろのお尋ねがありました。これは私がしばしば申し上げ、また皆さまからの御了解も得ていると思いますが、いわゆる今日の経済の不況の状態は、私どもが想像した以上にまことに深刻なものでございます。したがいまして、ただいま非常な経済の沈滞、予期以上の沈滞から、大幅な減収を生じ、その対策に、ただいまのように公債を発行するということで御審議を願っておるのであります。しかし、このことについていろいろ御議論が出ております。しかして、もしもいわゆる均衡予算ということを貫くならば、御指摘にもありましたが、増税をするか、あるいは実行予算の支出の削減をするか、こういうことでつじつまを合わせるより以外に方法はないと思います。しかしながら、今日の経済の現状はかようなことは許されない、増税も、また実行予算の削減も、こんなことはできることではございません。木村さんは十分御承知のとおりで、今日の経済の実情には御理解があると思います。今日は、私どもが各方面であらゆるくふうをいたしまして、財源を捻出し――もちろん政府自身も考えてまいり、いろいろくふうをいたしたわけでありますが、手持ち財源、これも、もうはたき、同時にまた、公債を発行して、所要の財源を確保して、そうして支出予算は削減しない、しかし、むだな点は節約をもちろんいたしますから、ただいまの財源捻出には、これらの既定予算にも協力を願っておるわけであります。そうして経済に対して需要を喚起するということが必要なように思いますので、ただいまのように公債を発行するということを決意いたしたわけであります。そこで、何にも効果があがらなかったというおしかりでございますが、私は夏以来、これらの問題に――不況克服に真剣に対処していく、こういうことで取り組んだのであります。少なくとも当時最も心配しておりました、萎縮したその気持ちはなくなったように思います、積極的なムードが起きたと思います。また、各方面におきましても――輸出振興にも特に力を入れた。この輸出についてもいろいろな御批評はございまするが、しかし、今日外貨がだんだんふえてきた。このようなことは、株価の面におきまして、いわゆる株式界の先見性がこの株価に出てきておる。その原因は、やはり国際収支が非常によろしいんだ、こういうことで将来の経済に期待がかけられているからだと、私はかように見ております。かようなことを考え、また、今日、夏以来とってまいりましたそれぞれの対策の効果がだんだん出てくるその時期になっておりますので、これもしばらく時間をかしていただきたいと思います。
また、財政法第四条についての御議論がございましたが、これは大蔵大臣からお答えさすことにいたします。
次に、この財政法第四条について、ただいまこれでやりますことは、どうもやや、むずかしいように考えますので、ただいま御審議をいただく特例法になったわけであります。で、この公債発行のインフレへの危険ということでございますが、これはもちろん保証がない、かように言われれば保証はございませんが、ただ、いまインフレになることは最も心配でありますから、十分の歯どめをする、いわゆる歯どめとしての対策が講ぜられる。このことが木村君の了承のいく保証なりやいなや疑問でございますが、私どもは十分警戒していくつもりであります。いずれ詳しくは大蔵大臣からお答えいたします。この公債問題につきまして、中期経済計画に書いてあるとか、あるいはいろいろな議論をいたされました。これについても批判はありますが、私は、大体、経済、財政の健全性ということはどこまでも貫かなければならない、かように思っております。その健全性というものは、いわゆる均衡ということばとは違うことを、これも木村君は御承知だと思いますが、そのいわゆる規模なりその内容等が適正であり、そうして、そのときの経済の情勢につり合って、そうして経済発展に資するものであれば、これは財政が健全だと、かように私は言い得るのだと、かように思っておりますので、いわゆる均衡予算という、その限られた形にとらわれることはないのではないか、かように思います。
また、その次に、ことしの年頭の記者会見におきまして私の発言したことについての御批判がありました。私もいまなお記憶いたしております。そのとおりであります。この今日当面しております経済問題は構造上の問題である。われわれはあらゆる努力をしてまいりましたが、なかなかすぐ成果があがるようなものでなかった。こういう点につきまして、気の短い向きでは、もう効果が出ていいじゃないか、かように言う方があるようでございます。しかし、なかなか成果が、この問題が深刻なだけに――ことに一例を申せば、三十九年や四十年におきましても六千件以上の倒産者を生じておりまするが、これらの負債総額はたいへんな多額なものになると思います。この倒産者の負債総額、それこそは日本経済自身がしょっておるものだと、かように思いますので、このことを考えれば、この深刻な経済のいたみに対するその対策は、簡単には効果があがらない、かように御了承をいただきたいと思います。次に、物価と減税との問題についてのお話でございますが、この物価は、いずれ詳しく後に説明があると思いますけれども、私自身は、この物価の見方は、いわゆる経済の一現象だと、かように実は考えておるのであります。この点は木村君も十分御承知のとおり、物価問題は経済の現象、経済全体と切り離してそれだけで解決されるものでないことは百も御承知だと思います。こういう意味において、経済を健全化する、安定成長へ乗せるという、これが私どものねらいである、その努力をいたしておるわけであります。ただいまの物価問題だけを抽出いたしまして、そうして議論することは、これは避けたいと思います。しかしながら、国民の生活を圧迫しておる物価、そういう意味のことは政府としても真剣に考えなければならないので、物価に対する対策は、ことに、公共料金の対策などにつきましては、その時期なり、その率等については、国民の生活を圧迫する、そういうことはできるだけ避けられるように、くふうをすることだ、かように私は思います。(拍手) |
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま木村議員の御高説をとくと拝聴したのですが、遺憾ながら多くの点において所見が違うのです。特に、木村議員は公債を罪悪視しておる。私は、公債はこの時点におきましては、わが国の財政運営上、どうしても採用しなければならない唯一の道であるとさえ考えておるのであります。公債をとらないというたてまえは、財政法第四条に書いてあります。しかし、ただ建設的な用途にはこれを使うことができる、かようになっております。私は終戦直後ああいう立法ができて、そうして均衡財政方針が打ち立てられまして、ずっと守られてきた、これはああいう大敗戦のあとで国の再建設をする、その際におきましては、どうしても政府の信用をつげる、そしてインフレの根源を断ち切る、こういう意味においてぜひとも必要なことであったと思うのです。しかし、今日は申すまでもなく、もう日本の国力は相当発展してきております。世界第五の生産をあげる地位まできております。こういう時点において、幾らか政府が借金をした、そういうことは、信用上、私は何の支障もないと思う。(拍手)一方、考えてみますると、政府のささえておる企業、家庭というものは、一体どうであるか。皆さんが御承知のとおり、企業はたいへんな不良経理でございまして、先進各国に比べまして、その財務比率は逆であるというような状態であります。今日、非常に不況が深刻な状態にありますが、その最大の原因は企業に蓄積がない、こういう一点にあると思うのであります。また、家庭の状態はどうであるか、戦後蓄積の取り戻しができない、最も重要であると考えられる住宅はどうだ、まだ数だけそろえるのでも八百万戸も建てなければならないという状態であります。そういうことを考えますときに、私は、ほんとうの経済の安定とは何であるか。これは政府がつじつまを合わしておるという状態じゃない。政府の、そこにあるところの国民、つまり企業と家庭の経済の安定こそが、ほんとうの経済の安定である、こう考えます。今日の時点になって考えますときには、もう企業と家庭の経済の安定のために、政府は犠牲をしょって立つという気概が財政運営に必要である、かように考えます。(拍手)そういうような観点から、政府といたしましては、昭和四十一年度におきましては、財政法第四条のただし書きの精神にのっとり、建設公債を発行いたしまして、そうして、この財政に与えられた今時点の任務を遂行するというたてまえを貫こうという考えでございます。ただ、昭和四十年度におきましては、これは異常事態で、年度の途中に収入が二千六百億近くも落ち込む、こういう事態であります。これは私は異例の事態である。したがって、これは財政法第四条に基づく建設公債というような、こじつけの議論ではいけない、そういう考え方で、建設公債を出せという議論も実はあるんです。私は、それはいかぬと、率直にこの事態を認め、財政法の特例措置を講じて、そして国会の承認を得ることこそが、民主的な行き方であると、かように考えまして、特例法の措置をいたしたのであります。
また木村議員は、公債を発行するとインフレにつながると、こういうことを非常におそれられておるのでありまするが、そもそもインフレは、これは財政の面からも起こる場合もあります。また、金融政策の面から起こる場合もある。要するに、金融の面、財政の面、両面を通じまして、物資、資金、労務あるいは国際収支、この上に不均衡を起こすかどうかという問題です。で、いま問題になっている財政面から考えまするときには、私は、公債政策を活用いたしまして、日本の民間経済が落ち込んでいる、そういう際には、積極的に財政を運用したほうがいい。また、日本の経済界が非常に好況である、そういう際には財政はこれを縮小する。そうして、日本経済全体、つまり財政活動と民間活動との総和が、でこぼこなしに動いていく状態が一番よろしいのである。そういう考え方に立つときには、どうしても公債政策を取り入れることが、これが有力なる手段となってくるのであります。公債政策がその調節弁になるわけであります。そういう見地から、たとえば昭和四十一年度、これを展望いたしますと、民間の設備投資活動が弱い、それは財政が補うべきである。財政が補う手段として公債を採用する。そういう意味合いにおいて公債の額を規定する。そういう財政のワクというものに重点を置き、これを厳重に、適正にきめるということをいたしますれば、決してインフレになる心配はございません。これが第一のかなめであります。
なお、木村議員は、公共事業費の考え方をどうするんだと言いまするが、私は、公債の額をきめる上におきまして、昨日も申し上げましたけれども、これは人件費とか、一般行政費の財源として使わない。会社でいえばこれは経費の財源には使わない。資本的投資の財源に使うんだ。その国民の財産として将来残る支出、つまり国の資本的支出の財源としてしか使わないという考えでございまして、そういう考え方をとりますれば、国の公共事業等のそういう範囲は、おのずから、これは皆さんに明らかにされることと思います。
また、日本銀行が引き受けることになるのじゃないかというお話でございまするが、これは政府の公債ばかりじゃありません。ほかに政府保証債も相当出なければならぬ、あるいは地方債もあります。あるいは社債もある。それらを総合いたしまして、金融政策全体の運営を行ない、すべてが順調にいくように、適正な金融政策をとっていく。日本銀行に、成長率を越えてこれが持ち込まれるというようなことは、いたさない考えでございます。
また、公債の問題につきまして、木村議員は、国民資産の再配分にいろいろ問題を起こしはしないかということを言われますが、これも私は違うんです。公債を発行する、何のために公債を発行するのか、こういう問題であります。つまり私どもが公債を発行しようというゆえんのものは、それによって財源が浮く。そういうために社会保障も進める、あるいは非常におくれているいわゆる社会開発投資、住宅でありますとか、あるいは上下水道、道路、港湾、それらのものが建設されるのであります。また、減税も、その間接的影響として行なわれることに相なるのであります。その減税が一体どうなるのか、あるいは公債を財源として直接間接に国の財政がどういうふうに運用されるか、そこにこそ問題があるのであります。また、公債が租税の先取りだというふうに言われまするけれども、将来これを返さなければならぬ。これはもう租税によることになります。その租税が一体どういう形でこの国民から集められるかという点にこそ、問題があるのでありまして、私は、公債対策は、逆に国民の資産再配分に有効に働くと、逆の考え方を持っているのだということを申し上げるのであります。
また、当面の不況対策と物価問題とが相矛盾するのだ、これは、けしからぬというようなお話でございますが、いま私どもが当面している問題は二つあります。つまり、いまの不況を一刻も早く切り抜けたい、同時に、物価安定を基軸とする安定成長経済の基礎固めをしたい、この二点であります。この二つの問題は緊密に結びついておる、しかし、同時に、これは相矛盾する面があると思うのです。景気を刺激しなければこの不況を脱出できない、その刺激政策は物価対策にマイナスの影響がある、これは率直に認めなければならぬ。しかし、この二つは密接に結びついているのでありますから、物価対策を考えずに不況対策をすることはできない、こういうことを申し上げておるのでありまして、いまの不況を一日も早く切り抜けたいという施策を進めておりますけれども、片時も物価のことは忘れておるわけではない。早く不況を切り抜けて、全面的に物価対策に取り組んでいきたい、そうして国民に安心を与えたいということを、ひとえに念願をしているのだということを申し上げておきます。(拍手) |
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) 木村議員の私に対する御質問は、家計費の負担を減税もしくは社会保障で補足できるかという、こういう御質問であったのでございます。今日の物価の値上がりというものは、私は、構造上からきている問題であると考えておりますので、この構造上の問題を解決してまいるのでなければ、本格的に物価の安定は期し得ないと考えております。したがいまして、物価を安定させますには、若干長期に時間がかかるということを申しておるのでございまして、それの長期にわたる閥に、お話のような家計費の負担というものをどうして見ていくかといえば、できるだけ減税もしくは社会保障でもって補完していくということが必要だ、ということを申しておるのでございまして、減税が、階層によって、全部それでは物価の値上がりだけをカバーするというわけにはいかない場合もあります。また、社会保障というものも、必ずしも社会保障の適用しない範囲はあるじゃないかというお話でございますけれども、まあ、それらのもので補完して、そうして、この物価の値上がりに対して、できるだけ国民に迷惑のかからぬように努力をしてまいるというのが、私の主たる趣意でございます。(拍手) |
○議長(重宗雄三君) 渋谷邦彦君。 〔渋谷邦彦君登壇、拍手〕 |
○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表いたしまして、政府の財政方針について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたすものでございます。まず、本論に入る前に、政府の政治責任としてただしておきたいことは、第五十国会における政府与党の暴挙であります。日韓条約承認案件は、いまさら申し上げるまでもなく、数多くの問題を残しながら、議会運営のルールを踏みにじって強行されたことであります。この異常な事態は、議会史上ぬぐい去ることのできない汚点であり、議会制民主主義の崩壊を意味すると申し上げても過言ではないのであります。貴重な代償を払って、ようやくかちえた民主政治は、この二十年間、成長するどころか、どろにまみれてしまったと言ってもいいのであります。しかも、日韓条約案件は、複雑な要素を含んでいただかりではございません。十四年にわたる、その積み重ねてきた経緯があります。慎重に時間をかけて審議を尽くし、国民の疑問や不安を取り除くに足る、強い、そうして誠意のある説得力が必要であったはずであります。その上、国の進路を明らかにする外交上の重大な案件である以上、たとえば国民に強い反対があったといたしましても、充実した審議や討論の過程がなければならないはずであります。その最も初歩的な議会政治の原理すらも無視した事実は、まさしくファシズムの台頭と言うべきであります。与党の総裁である佐藤総理は、こうした重大な過失に対して、いかに責任を感じ、今後に臨まれようとしておられるのか、あらためて決意のほどを国民の前に明らかにしていただきたいのであります。 今回の日韓案件は、新たなアジア外交の路線を示すものでありますが、特に外交問題は、国の繁栄を左右する役割りを持っております。かかる観点から、政府は、常に国家的利益を大前提として国際政治に立ち向かわなければならないのは当然であります。総理の基本的外交姿勢の一つに、善隣外交の推進ということが言われております。しかしながら、少なくとも日韓審議をめぐって知り得たことは、およそ観念的なものであったということを証明したにすぎなかったのであります。日韓条約の批准に伴い、日本の置かれた立場はきわめて微妙であり、激動するアジア情勢の中にあって、積極的な善隣友好のアジア外交が望まれますときに、政府は、いかなる方策をもって対処されるのか。新たな時点の上に立って所信を述べていただきたいのであります。 さて、次に財政についてでありますが、政府は、戦後十八年間維持してまいりましたところの均衡財政主義を破りまして、四十年度の税源不足を補てんするため、約二千六百億の赤字国債を年度途中に発行しようとしております。税源不足を正当化し、政府の責任をすりかえたこの措置は、国民の納得し得る財政計画に基づいたものではないと思います。佐藤内閣の財政経済政策の失敗によることは明瞭であります。ひいては、来年度予算に対する膨大な公債発行を容易にしようともしております。それがわが国経済にもたらす多くの悪影響を予想いたしますときに、われわれは、公債発行について重大視せざるを得ないのであります。 そこで、質問の第一といたしまして、政府は、みずからの、こうした失政により招いた深刻な不況を克服する手段として、公債を国の財政に導入し、景気の振興に活用しようとしております。しかも、民間公募の原則さえ貫けば、一応歯どめができるから、公債発行が即インフレに結びつくことはないとの見解を持っております。先ほどの大蔵大臣の答弁の中にも、そうしたことが強調されておったようであります。もちろん、財政は単なる経済問題だけではございませんし、それは政治的な問題が含まれていることは言うまでもありません。わが国の政治経済の実情から見まして、安易な赤字公債発行方式による財源調達が認められるということになりますれば、財界をはじめ、圧力団体、特に政治家などによって、予算の規模というものが毎年膨張の一途をたどる、そのため、予算は硬直化することが目に見えております。例をあげて申し上げますれば、昭和七年、日銀引き受けの赤字公債の発行をめぐりまして、財界と軍部――なかんずく軍部であるといわれておりますが――により、雪だるま式に増大し、ついに悪性インフレを招いた例を再現するおそれがなきにしもあらず、このように考えられるのでありますが、先ほどの答弁に引き続きまして、総理並びに大蔵大臣の所見をお伺いしたいのであります。 第二は、公債発行により、公共投資を拡充し、この面からの有効需要を誘発していこうとしておりますが、そうなりますと、民間の在庫投資は増大し、おくれた部分の設備投資は再燃して、そのために、輸出は伸び悩み、あるいは原材料の輸入の増加によって、せっかく好調を続けている貿易収支は、再び赤字基調になる危険も考えられるのであります。したがって、国際収支が悪化すれば、当然、日銀の金融引き締めの操作が必要となります。これが再び財政運営の困難さを加重するようなことになっては、たいへんでございます。加えて、労働力が不足したり、あるいは、今日のように物価高である、あるいは、またもや利潤が低下する、あるいは、税収の伸びがとどまってしまう、そうした財政上の逼迫は、ますます激しさを加えてくると思われますが、そうしたことが要因となって次に訪れる不況というものは、おそらく想像を越えるようなものではないか、このように推測されるのであります。この点について、重ねて総理及び大蔵大臣の考え方を述べていただきたいと思います。 第三点といたしまして、今回の公債発行が、日銀引き受けではなく、市中公募であるから、インフレに向かう心配はない――少々重複するかと思いますが――と言明されております。しかし、市中消化と申しましても、わが国の現状においては、民間資金に十分な余裕もなく、その上に、公社債を引き受ける市場もない。したがって、半強制的に市中銀行に割り当てるということになると思われますが、これでは、公社債を通じて民間資金を吸い上げ、民間資金が窮迫することも考えられるのであります。したがって、オペレーションの操作により、日銀に依存する以外はないのであります。そうなりますと、大蔵大臣の言明にある市中公募も、日銀引き受けと変わりなく、確実な歯どめにならないと思われますが、この点についてお答えをいただきたいのであります。 次に、物価問題について、総理並びに経企庁長官にお尋ねをいたします。 国民大衆は、今日の物価高に対しまして早急に解決することを望んでおりますのは、言うをまたないのであります。ところが、政府は、来年一月一日から、消費者米価の引き上げをすでに決定しております。引き続いて国鉄料金、私鉄料金、あるいは地下鉄運賃、健康保険料、郵便料金というぐあいに、引き上げを決定しております。こうした一連の公共料金の引き上げというものが物価の急上昇を招くということは、火を見るよりも明らかであります。しかも、その急上昇は、約八%以上消費者物価にかかってくる、このように予想されているのでございます。これでは、ますます国民生活を窮地に追い込むことになりまして、見のがすことのできない重大問題になってくるわけであります。昨日の大蔵大臣の演説の中には、物価安定に関する対策は一つも言及されていなかったように記憶しております。ここで、当然、経企庁長官にお尋ねをするわけでありますが、政府といたしまして、根本的に一体どのような物価対策を持っておられるのか。しかも、いままでの物価対策は、あるいは、閣議において決定いたしましても、一向にきめ手となっておりません。そうした事実がございます。それならば、何が安定をはばんでいるのか、証拠を示してお答えをいただきたいと思うのであります。 さらに、立ち入ってお伺いをしたいことは、政府の物価対策に対する姿勢であります。
政府の物価対策は、産業資本奉仕に堕しているのではないかという疑念がございます。すなわち、産業資本が管理価格を設けて、大衆から富を収奪しているのではないかということでございます。需要が一巡し終わった、たとえば電気冷蔵庫であるとか、テレビ、そういう家庭電化製品が、わずかに一部分ではございますが、値下げがございました。しかしながら、そのほかは、供給が需要に比し大きくなっているにもかかわらず、建て値制のために、一向に小売り価格は下がらないという現状でございます。その上、不況カルテルを設けて、値下がりを防止し、大衆に不当な価格を押しつけ、その犠牲によって利益率の低下を防ごうという現状でございます。これに対し、政府は、管理価格を引き下げ、物価対策の一環にすると、かねて表明しておられます。しかしながら、一方では、また、公正取引委員会が反対しているにもかかわらず、政府もまた、そうした表明をしたにもかかわらず、鉄鋼の不況カルテルを認めるなど、まさに相反する行為をとっているのであります。このことは、政府に、管理価格を引き下げる熱意が全くないということを示しているばかりでなく、産業資本第一に奉仕する政府であるという印象を、国民に与えておると思うのでございます。総理は、かかる大衆に背を向けた政治姿勢を正し、断固、管理価格の引き下げ措置をとられるかどうか、また、不況カルテルが価格カルテルになる点をどう改善されるか、あわせてお答えをいただきたいと思うのであります。
いろいろな物価の値上がりにつきまして、最も国民生活に関係の深い消費者米価値上げについて、若干お伺いしたいと思います。政府は、一月一日より八・六%の米価値上げを決定し、すでに補正予算案は、その値上げ決定の線で出ております。私は、ここに問題があると思うのであります。米は、言うまでもなく、国民生活の基本をなすものであり、それだけに、すべての物価の基礎ともなっております。この値上げは、わずかであっても、すべての物価の値上げを招くことは必至であります。政府は、他物価に及ぼす影響は少ないと言うが、国民は、この点については多大の疑問を持っているのであります。その上、米価決定というものが政府の手で一方的にきめられている、こうした事実がございます。そこで、政府に伺いたいことは、第一に、他物価への影響は少ないと言うが、その対策は、若干の生活保護費の増額だけでなく、どうやって国民に与える影響を少なくさせるのか、その施策について伺いたいのであります。第二は、米価決定を、なぜ国会の場において決定しようとしないのか、そのための法改正の意図はないのか、ということをお伺いするものであります。第三に、生産者米価との「逆ざや」を生じたため米価を上げると言うが、現在の農産物価格支持政策というものが、ほとんど米にしかたよれないのでありますから、政府は、財政支出の一割くらいまでを食管会計に注ぎ込んで、生産者米価を維持し、消費者米価をあくまでも据え置きにしておくべきではなかったか、そうしたような考え方は、今後においても、ないのかということを、重ねてお伺いいたします。最後に、公務員給与についてお伺いしたいと思いますが、第一に、政府は今日まで、人事院勧告を尊重すると明言しながら、一度もこれを守ったためしがございません。これは、ただ単に、財政状況にのみよるものではなくして、政府が公務員給与改善に全く熱意がないのではないか、こう思われるのであります。もし熱意があるとするならば、勧告をなぜ忠実に実行されないのか、総理の熱意のほどをお聞かせ願いたいのであります。第二に、五月にさかのぼることができないならば、いままで、どうして五月実施に近づける努力を見せなかったのか。今回の場合で申し上げますれば、何ゆえに八月実施とか、あるいは七月実施とかの措置に踏み切れなかったのか、そうした点を、また今後の具体的な方針と、からませて、お伺いいたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手) |
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
国会の責任についてお尋ねがありましたが、先ほどお答えいたしたとおりであります。ようやく、ただいま各党の話し合いができまして、国会の正常化に踏み出したというばかりのときであります。過去の事柄についての深い反省の結果が、ただいまのような申し合わせになったと思います。どうか、前向きの姿勢で、ひとつこの問題と取り組んでいただきたい。そういう意味で、どこまでも民主政治を守る、民主政治の花形である国会、ここで模範を示すということであってほしい、かように思います。これは、政府、与野党ともに責任があるものだと、かように考えます。
次に、積極的善隣友好関係を展開しろということでありますが、日韓関係は、ようやくスタートしたばかりであります。私は、官民ともに提携して、この成果をあげたいと、かように思います。もうすでに経済関係等におきましても、出かけまして、いろいろ経済協力の具体的方法について話し合っているようであります。私は、今日の実情におきまして、お互いに、日本人がどういうことを考えるべきか、この点をはっきりさせておくことが最も必要なのではないか。戦前あるいは終戦前の日本のあり方が、戦後におきましてすっかり変わってきている。その立場において、私どもも自信をもって新しい生き方に徹したい、かように私は思います。私はしばしば、国会におきましても、平和に徹するということを申してまいりました。もちろん軍国主義でない、帝国主義でない、いわゆる膨張政策をとらない日本、これこそが真の平和に徹する国だと思います。この点を十分に考えていただきたいと思います。
次に、公債の発行についての基本的な考え方でありますが、大蔵大臣からもお答えするだろうと思いますが、公債は何といっても、これは借金であることには間違いがありません。借金をするということは、これは積極的な意味も持ちますが、同時に、将来の負担になる、かように考えますので、積極的なものを持つ意味においての使い方、これは十分考えていただきたいと思いますが、同時に、これが借金だと、こういう意味で、放漫に流れるということは慎しんでもらいたい。もちろん、政府が、チープ・ガバメントといいますか、安い政府であることが望ましいのでありますから、そういう意味におきまして、借金であるという実態を十分認識して、そしてそれが有効に使われる、放漫にならないように努力するのは、これまた当然であります。
その次に、ただいまこういうような公債を発行したら、将来、政府が何かとこれに関与する、経済界に指示するようになるだろう、その危険を言われたのであります。しかし、私どものとっているのは、自由経済そのものであります。ファッショなどでは絶対にありません。したがいまして、この自由経済のもとにおいてそれぞれの施策が行なわれるとすると、ときに行き過ぎがある、ときに間違った方向に行く、そういう際の「かじ」はとりますが、いわゆるファッショ的な動きはいたさない。これが最も大事なことであります。したがって、アメリカ自身におきましても、これはだれもファッショだとは言わぬと思いますが、景気が過熱した、かように考えますと、連銀などは、ちゃんと金利を適正なものにする、こういうことをとっております。この点も、今後の経済のあり方から見ると、いろいろ私どもが、くふうしなければならないことが起こるのではないか。ただいま公債を発行するのも、経済の実情から見まして、今日考え方をひとつ変えてみよう――先ほど来、大蔵大臣がお答えするとおりでございます。
次に、物価安定策についてのお尋ねがありましたが、これは、ただいま公共料金等にも触れられましたが、先ほども木村君にお答えいたしましたように、物価問題だけを抽出して、経済そのものと切り離して、これで対策を立てましても、十分効果があがらない。だから、経済そのもの――不況を克服し、そうして安定成長へ経済自身を乗せることが最も大事なことだ、そのことでこれをやる、しかも、国民生活に最も影響のある消費者米価、その他、運賃、郵便料金等につきましては、その時期なり、その上げる率なり等におきまして、できるだけの、くふうをしていくというのが、今日とっている態度であります。また、管理価格――言われるような管理価格というものが今日経済界にあるかどうか、私はちょっと理解いたしませんが、いわゆる管理価格に近いもの、そういうものについての価格を政府のほうで指導すること、これは、もちろん、お説のとおりやるべきことだと思います。
最後に、人事院の勧告と政府の予算との関係であります。これは、いつも言われておるのでありますが、人事院勧告を尊重すると、かように申しましても、予算の実行途中において人事院勧告が出てくる、こういうことで、たいへんな苦労があるのであります。したがいまして、これについて、基本的に制度そのものを改正することができるかと、いろいろ研究されておるようでありますが、まだ結論が出ておりません。ことしの経済状態から申せば、たいへん困難な経済状態でありますし、そういう意味で、昨年並みに実施することに、たいへんな努力をいたしたのであります。私は別に、政府が特別な考慮を払ったということを自慢するのではありませんし、恩着せするつもりはございません。もっと人事院の勧告が完全に尊重されるように、そういうことでありたい、かように思いますが、そういう際でございますので、私どもは、できるだけの努力をしたのでございます。(拍手) |
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕〔発言する者あり〕
○議長(重宗雄三君) 御静粛に願います。 |
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま、総理大臣からの御答弁で、大体尽きておるようにも思うのでありますが、私が公債発行ということを言い、政府がそういう政策を打ち出しますようになりますと、二つの方面から批判があるのです。一つは、公債なんかやっちゃいかんという、先ほどの木村さんなんかのようなお考え。それからもう一つは、私どもが言っているような程度の額では足らぬ、一兆円も、一兆五千億円も出せ、こういう勇ましい議論がある。しかし、私は、先ほどから申し上げておるとおり、公債発行政策は、どうしても踏み切らなければならぬ時期にきておる、端的に言って、これはまた時勢の要求であるというところまで考えておるわけでございますが、しかし、これが乱に流れてはいけない、守るべき一線は守らなければならぬ、こういうように考えるのであります。
渋谷議員から、ただいま、昭和七年ごろのことを御引用がありましたが、浜口・井上コンビでデフレ政策が強行された。どうもならぬという状態まで日本経済が来て、その脱出という国民的要請を受けまして、高橋大蔵大臣の登場というふうになったかと記憶しておるのです。高橋蔵相は、日本銀行引き受けの形で公債を増発するという政策をとったわけであります。しかし、私は、当時を見ておりまして、高橋さんは、公債政策はとるが、守るべき一線というものは厳重に守っていたと思うのであります。つまり、日本銀行引き受けの形はとりましたけれども、その民間消化ということにつきましては、非常に努力されております。記録によりますと、八割までは民間で消化させております。民間に日本銀行は売り払っておるわけであります。それから、財政の規摸ということについては、特に関心を持たれて、昭和十年の十一月ごろでしたか、十一年度予算の編成の閣議があった。これは、有名な「三十六時間閣議」というのです。この二昼夜ぶつ通しの閣議におきまして、高橋さんは軍部と戦っております。ソ連と争うべきか、争わざるべきか、という問題を中心としての議論であります。そういう戦いを通じて、この財政の守るべき一線、財政のワクというものを守り通しておるのであります。また、その反動も来ております。その翌年の二月二十六日の事件では、高橋さん自身が犠牲になっておりますが、その高橋さんがやられておった時代は、日本経済が、昭和、大正、明治を通じて、比較的安定をしておった時期だと、こういうふうに思うのでありますが、その高橋さんが去られたあとに、この支那事変、また大東亜戦争と、日本経済がインフレ化をいたしておるのでありまして、私は、ただいま御引用になりましたが、昭和七年のあの財政政策の転換は、今日私どもの大いに学ぶところがあるのだというふうに考え、高橋さんが守られた――この公債を発行する、財政を転換して、経済の立て直しをするという考え方はとりまするが、しかし、守るべきところはあくまでも守る、御安心を願いたい、かようなことを言っておるのであります。(拍手) |
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) お答えいたします。物価対策が、現実に閣議その他でいろいろきめているけれども、どうも進まないじゃないかと、こういうような御質問が第一点だと思います。御承知のとおり、物価の問題につきましては、当面の対策と基本的な対策があるわけでございまして、基本的対策は、先ほど木村議員にもお答えしたように、根本的な諸般の経済構造上の問題を解決してまいらなければなりませんので、これについては、若干の時間がかかることはやむを得ないことだと思います。当面の対策につきましては、たとえば緊急輸入をするとか、そういうような対策につきましては、できるだけ措置をいたしておるのでございまして、決してないがしろにいたしているわけではございません。第二に、管理価格の問題は、すでに総理が御答弁になりましたとおりでありまして、不況カルテルの場合は、今日のような産業経済、産業の不況の時代において、一応緊急避難的な措置でございまして、これが長く続いて物価に影響するような結果をもたらすような長期にわたることはないと思っておりますので、緊急避難として考えざるを得ないと思います。 なお、米価につきましては、先ほどお話がございまして、米価が上がったら他の物価にも影響するだろうという御質問でございます。米価自身によりまするCPIに対する影響というものは、配給、非配給を加えて〇・七くらいに、われわれ想定いたしているのでございますが、他の各種のものに、米価が上がりまして、どの程度影響してくるかということは、非常にむずかしい問題でございまして、計算上パーセンテージを出すわけにはまいりません。ただ、米は、何としても国民主食でございます。したがって、これが引き上げによる影響というものは、相当精神的に考えてかからなければならぬので、今後とも、われわれとしては、物価問題を扱う上において慎重に考えてまいりたい、こう思っているのであります。(拍手) |
〔国務大臣安井謙君登壇、拍手〕
○国務大臣(安井謙君) 公務員のベースアップにつきましての人事院の勧告は、御承知のとおり、これを全面的に守るという法律的義務を政府は持っているわけじゃございません。義務のある、なしにかかわらず、これをでき得る限り尊重しようというたてまえで、今日までもまいった次第でございます。今回も、人事院の勧告の内容につきましては全部を採用いたしました。また、国、地方を通じましての非常に財政的に困難な事情でありますにかかわりませず、従来までの最高である、昨年と同様、九月実施に踏み切っているわけであります。今後とも、できるだけ、そういう方向で前向きに進めてまいりたいと思っている次第でございます。(拍手) |
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会 |