http://www.asyura2.com/10/senkyo102/msg/121.html
http://tamekiyo.com/documents/W_Engdahl/wikileaks.html
ウィキリークス:壮大にして危険な米国政府の詐欺
Wikileaks: A Big Dangerous US Government Con
Job
F・ウィリアム・イングドール
(http://engdahl.oilgeopolitics.net/)
何を漏洩するかを独占的に判断する新聞として、アサンジは、ニューヨークタイムズ、ロンドンのガーディアン、ドイツのデア・シュピーゲルを選んだ。ニューヨークタイムズは、サダム・フセインに対する虚偽のプロパガンダを展開し、イラク戦争に導いたこともある新聞であり、その種の「サービス」では実績がある。アサンジは、あまりに膨大なページ数のため、自ら精査する暇がなく、信頼できる編集者に任せたと言っている。それで既成権力側(エスタブリッシュメント)のメディアの編集者に、何を公表すべきかの判断を任せたわけである。何とも「反・既成権力」なことだ。ニューヨークタイムズは、上層部の一人、デーヴィッド・E・サンガー(David E. Sanger)を、ウィキリークスの資料発表の担当に任命してさえいる。サンガーは、既成権力の外側にいる人間ではない。彼は、エリート組織のCFR(外交問題評議会)のメンバーであり、コンドリーザ・ライス、ウィリアム・ペリー元国防長官、ジョン・ドイチェCIA長官、ロバート・ゼーリック世界銀行総裁(元国務副長官)たちと一緒にアスペン研究所の戦略グループの一員でもあった。
「反・既成権力」を自称する人間としては、実に奇妙な報道メディアを選択したものである。だが、さらにアサンジは、911に関して米国政府の公式見解を信じているとも言っており、ビルダーバーグ会議は普通の会議だとも言っている。極めて既成権力寄りの考え方である。
それほど機密の通信ではない
世界中の米国・国務省の大使館からワシントンに送信された文書と言われている最近のセンセーショナルなウィキリークスの文書は、ヒラリー・クリントンが言うように「アメリカの外交政策の利益に対する攻撃であり、無実の人々を危機に陥れている」ものでは、間違いなくありえない。そして、イタリアの外務大臣が言うように「世界外交の911」に相当するものでもない。イギリス政府は、国家安全保障に対する脅威だと言っており、カナダの首相の側近は、CIAにアサンジを暗殺するよう要請している。頭のいかれた自称米国大統領候補者のサラ・ペイリンも同じだ。
何よりも重要なのは、25万件の通信文書は、我々が思わされているような「最高機密」ではないことである。2~3百万人の米国政府の職員が閲覧許可を与えられているレベルの「機密」文書である。[1] また、この通信文書が保存されていたSIPRネット(機密インターネット・プロトコル・ネットワーク)には、世界中で約50万人がアクセス可能である。SIPRネットは、最高機密情報の配布の用途には推奨されていない。今回の文書の内、たった6%(15000ページ)が、最高機密より一段階下の機密に分類されている。40%が最も機密度の低い「部外秘(confidential)」であり、その他は機密扱いになっていない。要するに、すべてが秘密文書なわけではないのだ。[2]
これまでのところ、大部分の暴露はぱっとしない内容である。ドイツでは、暴露によって、著名なFDP(自由民主党)の若手政治家が免職になっている。彼は、米国大使館の相手方に対して口が軽すぎたGuido Westerwelleと親密だった。ロシアの政治に関する暴露では、米国大使館の職員が、プーチンとメドベージェフのことを「バットマンとロビン」だと言ったことが明らかになっているが、これなどは、ロシアの内政というよりは、現在の米国・国務省の職員の文化レベルを伝えるに過ぎない。
だが、諜報活動やディスインフォメーション(撹乱情報)の技術を研究したことがある人ならば、ウィキリークスのドラマには明確なパターンを見出すことができるはずだ。その焦点は、特定の米国の地政学目標に置かれている。それは、ヒラリー・クリントンの「イランに対する米国の制裁を正当化するため」という発言に現れている。米国・国務省の要請にもかかわらず、中国が朝鮮の船舶の自由通行を認め、北朝鮮がイランに危険なミサイルを輸送したと、彼らは主張している。サウジアラビアの病めるアブドゥラー国王は、イランの大統領のことをヒトラーと呼んだそうである。