その74 スパイ戦の不可避性について

【川合貞吉氏の「ある革命家の回想」248P】

 彼(松本慎一)は日本の階級闘争について語った。
 「中国では党はあらゆる層の中に、非合法の組織を持っています。敵の第一線である警察組織の中にまで組織を持っています。日本ではどうですか。敵を知らずして戦はできません。警視庁の内部へも、憲兵隊の中へも、味方の組織を持たねばならないと思いますが」。
 「そうですね。日本では現在のところ基本産業の労働者の中には党の筋金が入っておりますが、遺憾ながら敵の陣営の中まではまだ力が延びていません」。
 「敵はどしどし味方の中へスパイを送り込んで来るのに、味方は敵の中へ何のクサビも打ち込んではいないのですか」。
 「ええ、日本の党はまだまだ力が弱いのです」。
 そんな話をしながら二人はビールを二本ばかりあけて飯を食べた、とある。





(私論.私見)