その1−5 | 戦略・戦術論 |
マルクス主義的革命運動には「戦略・戦術論」が必須である。これを概略する。戦略とは、次の革命の性質を規定し(例えば、ブルジョア民主主義革命か社会主義革命か、独立革命かを廻って大綱を決定する)、その為に倒すべき国家権力の階級性を把握し(例えば、国家権力の特質はどのようなものなのか、どの階級が権力を握っているか、その階級と他の階級の位置関係)、倒す側の運動方針を策定し(支配階級を倒すのはどの階級か、その階級と同盟軍になり得るのはどの階級か、共同戦線は如何に構築されるべきか等々)、これらを総合的に見極めるのが革命戦略である。戦術とは、革命戦略に従属し、戦略を実現するための戦闘技芸であり、個々の闘争方針を生むもの、と心得れば良い。 |
「我々の軍事原則は次の通りである。(中略)2・先に小都市、中都市及び広大な農村を取り、それから大都市を取る。(中略)5・準備の無い戦闘はせず、勝算の無い戦闘はしない。どの戦闘でも、極力、準備を整え、極力、敵味方の条件を比較して勝算を掴むようにする」(毛沢東、1947.12)
「事物発展の根本原因は、事物の外部にあるのではなく事物の内部にあり、事物内部の矛盾性にある。いかなる事物の内部であれ、この矛盾性があり、そのため事物の運動と発展を引き起こす。事物内部のこの矛盾性が、事物発展の根本原因であり、ある事物と他の事物との相互関連及び相互影響が、事物発展の二次的な原因である」(毛沢東、1937.8)。
「レーニンは具体的状況を具体的に分析することが、『マルクス主義の真髄であり、且つ生きた魂である』といっている。我々の同志の中には分析的な頭脳を欠き、複雑な事物に対して、反復し、掘り下げた分析と研究を加えようとせず、絶対的肯定あるいは絶対的否定の単純な結論を出したがる者が多い。−−−今後はこのような状況を改善しなければならない」(毛沢東、1944.4)。
「これらの同志が問題を見る方法は間違っている。彼らは問題の本質的な面、主流の面を見ようとしないで、これら本質的でない面、主流でない面のものを強調している。本質的でない、主流でない面の問題も粗略にすることなく、一つ一つ解決していかなければならない。しかし、これらの問題を本質的な、主流の問題とみなして、自己の方向を見失ってはならないのだ」(毛沢東、1955.7)。
「対象を真に認識するには、対象のあらゆる側面、あらゆる関連と『媒介』関係とを把握し、研究しなければならない。これを完全にやれるはずは無いが、全面性を要求することによって、誤りを防ぎ、思考の老化を防ぐことができるだろう」(レーニン)。というレーニンの言葉を引用しながら、「我々は彼の言葉を銘記すべきである。表面性となると、矛盾の全体をも矛盾の各側面の特質をも見ようとせず、事物内部を掘り下げて矛盾の特質を詳細に研究する必要を否定し、ただ遠くから眺めても大雑把に矛盾の様相を見ただけでさっさと矛盾解決(問題への解答、紛争の解決、仕事の処理、戦争の指揮)に取り掛かろうとする。このようなやり方では、ゴタゴタを引き起こさずにはいない」(毛沢東、1937.8)
「随時、活動の進行状態を把握し、経験を交流し、誤りを是正すべきであって、数ヶ月、半年、一年経ってから、やっと総括の会を開き、総決算をし、まとめて是正するようではいけない。これでは、損失があまりに大きい。随時、是正すれば、損失は比較的に少ない」(毛沢東、1948.2)。
「君はその問題を解決できないのか。それならその問題の現状と歴史を調査したまえ。完全に調査できれば、その問題について解決の方法が生まれる。結論はすべて状況を調査した最後に生まれるのもので、調査する前には無い。愚か者だけが、彼一人で、あるいは大勢の仲間をかき集めて、調査も行わずに、『方法を考え』、『考えを決め』ようとして、苦心して瞑想にふける。これでは絶対に、良い方法は思いつかないし、良い意見は立てられないことを知るべきである」(毛沢東、1930.5)。
「調査は『十か月懐妊』のようなも、問題の解決は『一朝にして分娩す』のようなものだ。調査とは問題の解決である」(毛沢東、1930.5)。
「問題が山積し、ゴタゴタがたくさん発生してから、解決しようとするのではいけない。死闘は、運動の先を進むべきであり、後になるべきではない」(毛沢東、1955.)。
「指揮員の正しい兵力の配置は、正しい決心から生まれ、正しい決心は正しい判断から生まれ、正しい判断は周到で必要な偵察、及び各種の偵察資料をつないだ思索から生まれる。指揮員は、必要且つ可能な、あらゆる偵察手段を使い、偵察してえた敵側の状況に関する各種の材料について、滓を捨てて粋を取り、まぎらわしいものを捨てて真実を残し、一つのものから他のものへ、表面から内面へという思索を加えた後、味方の状況を加えて、双方の対比と相互の関係を研究し、それによって判断を作り上げ、決心を下し、計画を立てる。−これが、一つの戦略、戦役、戦闘の計画を立てるに先立つ軍事家の状況認識の全過程である」(毛沢東、1936.12)。
(私論.私見)