ガラパゴス的進化考

 (最新見直し2010.04..27日)


Re::れんだいこのカンテラ時評667 れんだいこ 2010/02/07
 【日本政界における「ガラパゴス化現象」考】

 最近流行りの政治的道義的責任論、企業・団体献金禁止論、公共事業抑制論等々はガラパゴス化現象であり、その理論なのではなかろうか。以下、これを確認したい。

 「ガラパゴス化現象」とは、直接的には、南米エクアドル沖の西約900キロの南東太平洋上に浮かぶ大小120余りの島や岩礁から成るガラパゴス諸島の孤島的進化を指す。ここでは、イグアナやゾウガメなどがガラパゴス諸島特有の進化を遂げて生息している。それはそれで注目されるべきであろうが、社会学的な意味合いでは評価が変わり、ガラパゴス的進化のように世界標準からかけ離れたところで特殊的に進化し続ける現象を指す。世界標準からかけ離れることが一概に悪いとは云うことにはならないが、狭い視野に基づくタコ壺的営為を揶揄している面もあり、こうなると「井の中の蛙」から脱せよ的裏意味が込められていることになる。いずれにせよ特殊的進化がキーワードである。

 この「ガラパゴス化現象」略して「ガラパゴス」と云う寓意は様々な場面に使われている。「ウィキペディアのガラパゴス化」は、野村総合研究所の「『ガラパゴス化』」する日本」を参照して、パーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルオーディオプレーヤー、デジタルテレビ放送、コンピュータゲーム、カーナビゲーションシステム、IDカードの例に於ける「ガラパゴス」事例を解説している。

 れんだいこは、機械のメカニズムのことは分からないのだが、政治のことなら分かる。「ガラパゴス化現象」は政治の世界でも蔓延していると思う。冒頭の政治的道義的責任論、企業・団体献金禁止論、公共事業抑制論はいずれも日本型「ガラパゴス化現象」に他ならないと思う。それが証拠に、世界標準は日本ほど偏執的にそういう主張をしていない。なぜなら、過度の衛生思想は危険であると弁えているからだと思われる。人の社会的評価は本業のでき不できを問うべきだと心得ているからだと思われる。

 俗に「賢こバカ」と云う言葉がある。過度の衛生理論を唱える論者の大抵は「賢こバカ」なのではなかろうか。この「賢こバカ」が政財官学報司の国家権力中枢六機関を汚染しており、日本をどんどんガラパゴス化へ向かわしめているのではなかろうか。今一度、論の根拠、妥当性を吟味する必要があるのではなかろうか。

 中曽根―小泉式民営化論も然りである。目先の利益性のソロバンを弾き続けた結果、見るも無残に地方が疲弊し、これを再開発するとなると天文学的な再開発費を要することになる。原子力発電も然り。「目先の利益性のソロバン」論理そのものがガラパゴスだったのではなかろうか。今頃気づいても遅いのだが、気づかないとどうしようもないので、まずは気づくべきであろう。

 こうしてみると、今我々に必要なことは、一見正義の美名に隠れたガラパゴス性を見極め、良いものは良い、その中でも漸次改良、悪いものは悪い、その中でも漸次改良と判断して徒にブームの尻馬に乗らないことではなかろうか。「賢こバカ」が世の中を指導すると、世の中が変にギクシャクし始め小難しくなる。そうだ、強権対価式著作権論もこれに当てはまろう。あれをこのまま定向進化させ続けると、終いには著作権士を抱えないとものが言えなくなってしまう。

 我々には、こういう「ガラパゴス化現象」に毅然と立ち向かう新たな知性が要るのではなかろうか。満場一致や一枚岩や抵抗勢力なぞ云い始めたら、臭いと思う習慣を身につけるべきではなかろうか。小沢や朝青竜を止めさせたら世の中が良くなると思っている者は相当にガラパゴス化していることを悟り、勘違い矯正薬を服用すべきだろうふふふ。

 2010.02.07日 れんだいこ拝





(私論.私見)