【「マスコミ第四権力論」考】 |
(最新見直し2006.4.1日)
(れんだいこのショートメッセージ) | ||||
民主主義国家イデーでは、立法、行政(執行)、司法が三権分立で相互にチェックアンドバランスの中で権力を行使するのが理想であるとされている。ところが、近代から現代への過程で第四権力的マスコミが登場し始めた。米国建国の立役者トーマス・ジェファーソンが、「新聞のない政府か政府のない新聞、どちらかを選ばなければならないならば、迷わず後者を選ぶだろう」と云ったほど、メディアの役割は重要視されている。この第四権力は、米国大統領ニクソンをウォーターゲート事件で、田中角栄をロッキード事件で失脚させた。 「ニクソン大統領を告発した謎の男の正体判明」は次のように述べている。
マスコミがこのように利用されていることが判明しつつある現在、今のところこの第四権力をチェックアンドバランスする法理論が産み出されていない。これは第一級の政治思想的課題となっている。法理論欠如の為にマスコミは放縦な権力腐敗さえ漂わせつつある。あるいは、この第四権力が時の権力者と気脈を通じ、表からプロパガンダ、裏から政敵追放に向かい始めており、これが無規制という野蛮性の中に有る。 マスコミ第四権力を規制するにもその仕方が難しいことは事実であろう。とはいえ、自立させ、自律する観点からの理論が産み出されなければならないのも事実である。 マスコミの見識を疑わせる事例の一つに、誤報処理能力の欠如がある。岩崎定夢氏は、「角さんの功績、真の実力この魅力」の中で次のように述べている。
これに関連して、木村愛二氏が、「読売新聞・歴史検証」の中で、面白く次のように述べている。
2004.3.31日 れんだいこ拝 |
【中曽根―ナベツネ連合の阿吽の悪行考】 | ||
魚住昭氏の「渡辺恒雄 メディアと権力」に次のような秘話が記されている。中曽根が首相となって以来その在任中、NHK会長・島桂次氏は二ヶ月に一度くらいの割合で公邸に呼びつけられた。「シマゲジ風雲録 放送と権力・40年」は次のように記している。
だが、その中曽根が手放しで誉めた報道機関が有る。言わずと知れた読売新聞だ。島・氏は、ナベツネの「中曽根内閣ができたと時の喜びようはひとしおだったようだ」と述べた上でこう書いている。
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【メジャーマスコミの系列図】 | ||||||||||
新聞大手五社(読売、朝日、毎日、日経、産経)はテレビ局を系列化している。次のようになっている。
という系列化が厳として存在することは間違いない。資本構成をみても人事をみても、(経営状態のよくない新聞を除いて)新聞によるテレビ支配が進んでいることは確かである。但し、テレビにはNHKという公営企業が有るが、これに見合う新聞社は無い。 以下、経営陣の人事相関図を書き記しておく(只今資料検索中) 2004.3.31日 れんだいこ拝 |
【森田氏の指摘】 |
政治評論家の森田氏は、2005.9.13日付け「森田実政治日誌335」の中で次のように述べている。 |
改革の大合唱と平成版翼賛選挙で自民圧勝
「歴史は絶えざる繰り返しである」(古代ギリシアの歴史家・ツキジデス) 自民・公明の連立与党の大勝に終わった2005年9月11日の第44回総選挙は、63年前の1942(昭和17)年4月30日に行われた第21回総選挙(いわゆる翼賛選挙)に酷似した総選挙だった。時の東條内閣は、各界代表者に翼賛政治体制協議会を結成させ、衆議院定数と同じ数の推薦候補を選定させた。東條内閣は推薦候補を有利に導くため全マスメディアを支配し、内務省などの国家機関とくに官憲による露骨な選挙干渉を行った。この結果、推薦者が381名当選(議席率82%)。非推薦当選者は85名(議席率18%)にすぎなかった。 今回の総選挙においては、テレビ・新聞などのマスメディアが全面的に小泉内閣の側に立った。その上、経済界と宗教団体など諸々の社会組織が積極的に自公連立側の選挙運動に参戦した。これにより「平成版翼賛体制」というべき強力な政治体制が確立し、民主党などの野党勢力を圧倒した。 現代社会においてマスメディアの影響力は決定的だ。とくに政治権力と全マスメディアが合体したときはオールマイティになる。ナポレオンは「私は百万の銃剣よりも、三枚の新聞紙をもっと恐れる」と言ったが、これは、新聞が政治権力と対立することを前提にしている。新聞が政治権力の味方になったとき政治権力は無敵だ。 小泉内閣は全テレビ局と全大新聞を味方にして巨大権力となった。テレビ・新聞が小泉マジックをつくり上げた。マスメディアを支配したことが、小泉内閣の最大の勝因である。自民党は、メディアの協力を得て、郵政民営化法案に反対した民主党と自民党反対派に「反改革派」のレッテルを貼ることに成功し、圧倒した。 自民党は大規模な企業選挙を展開した。70年代、80年代よりもはるかに大規模な企業選挙だった。これは大きな効果を発揮した。これに対し、岡田民主党は「政権交代」と「年金・子育て」で対抗したが、反改革派のイメージを払拭することはできず、小泉政権・マスメディア連合軍に圧倒された。 岡田民主党の失敗は、小泉政権の弱点を突き、厳しい批判を行うことを避けたことにある。この結果、小泉政治4年半の失政は不問に付された。民主党は大敗を喫した。だが、亀井静香氏らはしぶとく生き残った。 小泉自公連立政権は衆議院で3分の2以上を獲得した。これにより法律制定において参議院の存在はほとんど無意味になった。小泉首相は自らの地位を国会の上におくことに成功し、大権力者になった。平成版大政翼賛体制が確立した。 【以上は9月12日発売の『夕刊フジ』(9月13日号)に掲載された小論です】 |
2005.9.14(その1) 2005年森田実政治日誌[337] 小泉マジックの正体
私は、「小泉・民営化・自民党」への順風の正体の一つは、米国巨大ファンドからの巨額の広告費による巨大な広告、それも日本国民の意識そのものを変えてしまうような宣伝だと考えている。米国政府と米国巨大ファンドによる日本国民洗脳作戦のための巨額の広告費の投入が噂されているが、これはあり得ることである。この巨大な広告が日本国民の意識に強い影響を及ぼし、日本国民を洗脳した。 米国側の狙いは大きく、壮大である。340兆円の郵貯・簡保資金を自由化させるためには、日本人の意識を変えればよい、日本人の頭脳を「民営化=善」にしてしまえばよい、というのである。この巨額の広告費は、日本の巨大広告独占資本を通じてテレビ局と大新聞社を動かした。すべての民放テレビ局と新聞社が、広告費のために政治報道における「不偏不党」の原則を放棄し、自民・公明両党の応援団になった。 長期間にわたって、米国巨大ファンド・日本の広告独占資本・テレビ局・大新聞社による日本国民洗脳作戦が展開された。この大作戦は2001年4月の小泉政権の発足とともに始まり、今日まで4年半、ずっと行われてきた。それが衆院解散(8月8日)以後、一段と熱が入った。この結果、日本国民は、米国政府・小泉政権・テレビ局・大新聞社の大連合体によって、マインドコントロールされるようになったのではないか。 「小泉マジック」「小泉催眠術」などとテレビ局がいうのは、自らが米国ファンドに動かされていることを覆い隠すための言葉のトリックなのである。テレビ局は小泉マジックに騙されたのではない。小泉マジックを使って国民を騙したのだ。騙されたのは国民のほうである。 これが「小泉台風の正体」である。 テレビ局は、小泉政権登場以来、小泉首相を神格化するための報道を繰り返しつづけてきた。この報道の蓄積が根強い小泉人気の基礎にある。大テレビ局が4年半にわたって積み上げてきた小泉神格化の成果が、今回の総選挙に老いて発揮されたのである。 日本国民が、テレビ局が中立的な存在であるとの幻想を持ちつづけている限り、テレビ局による国民騙しのマジックは効果的である。しかし国民が、テレビ局が小泉政権の手先にすぎないことを見破った時、マジックの効果はなくなる。テレビ局が政治権力の国民マインドコントロールの道具にすぎないと悟った時、国民は催眠術から醒めるだろう。 小泉マジックの最大の狙いは、「米国隠し」にあった。郵政民営化は米国政府の要求である。郵政民営化は、1995年版の「米国政府の日本政府に対する年次改革要望書」の中で、米国政府が正式に要求してきたことである。これを隠したことが小泉政権の成功につながった。小泉政権はごまかしで勝ったのである。 |
(私論.私見)