「海老沢会長失脚事件」考 |
(最新見直し2013.03.15日)
(れんだいこのショートメッセージ) |
「2005.1月の海老沢NHK会長失脚事件」はそんなに目出度いことだろうか。れんだいこが異論を唱える。海老沢会長失脚を賛辞するなら、それ以前の会長と比しての反動性を指摘せねばならぬ。果たして、そう断ずる根拠があるだろうか。商業新聞、民放テレビがそれを云うのはおこがましいほどにもほどがあろう。公平に見て、現時点に於いては、甚だ不十分ながらも商業新聞、民放テレビよりも「まだしも良心」を保持しているのではなかろうか。徒なNHK批判は、その良心の灯を消す恐れがある、とれんだいこは観ている。この事件の過程で、誰がほくそえんでいるのか考えれば分かることだ。安逸な正義派はいつも下手な立ち回りを演じさせられている。これが、「2005.1月の海老沢NHK会長失脚事件」に関するれんだいこの観点である。 畏兄・木村愛二氏は、「朝日【NHK海老沢氏、辞任後に全職員へ激励メール 】とわが論評」の中で、「今回の抗争の背後には、一般の理解を遙かに超えるNHKと朝日新聞の両者のメディア政治権力の主導権争いが潜んでいる」と見立てているが、それはコップの中の話であり、もっと大仕掛けに「タカ派と国際金融資本の連携によるNHK乗っ取り策動」が仕掛けられており、、彼らはお調子もんの正義派を使っていとも安上りに初期目的を達成した、と見るべきではなかろうか。 2005.1.29日 れんだいこ拝 |
Re:れんだいこのカンテラ時評その9 | れんだいこ | 2005/01/18 |
NHK会長海老沢をもじってのエビジョンイル進退問題が喧しい。れんだいこには解せないことがあるので一言しておく。れんだいこは、エビジョンイルその人の政治的立ち回り史については知らないのでコメントを鋭角的に為せないが、なぜ突如エビジョンイル問題が勃発したのかにつき疑惑があるのでそれを記す。 れんだいこの知るところ、エビジョンイル問題勃発前に問われていたのはナベツネ問題であった。エビジョンイル騒動によっていつのまにかナベツネ問題が消えている。オカシイではないか。そういう風に見るべきではないのか。ナベツネは、有価証券法違反で決定的に追い詰められようとしていた。「たかが選手発言」が怒りを呼び、氏の経歴のイカガワシサが詮索され始め、氏の金権問題にまで発展しつつあった。読売新聞の不買運動が広がり始めていた。付随して日テレ問題も再燃し始めていた。いつのまにかそのナベツネ問題が消え、そっくりそのままエビジョンイルへすりかえられている。読売新聞の不買運動のNHK受信料不払い運動への巧みな転換ではないかとさえ思える。 よしんば、エビジョンイルの立ち回りに認められる政治権力への屈服をあげつらうにしても、ならばそれ以前のNHK会長で評価される人物は誰だったのか、明らかにして欲しい。シマゲジとエビジョンイルの間を繋いだ会長はお手本的な会長足りえていたのか。それを証明しなければお話にならない。れんだいこが思うのは、エビジョンイル更迭それも良し。しかしながら問題は、その後釜に誰が座るのかであろう。エビジョンイルに代わって露骨な小泉ー安倍系茶坊主が登場する危険のほうが高いのではないのか。れんだいこはそう睨んでいる。新聞、テレビがエビジョンイル体制下のNHK報道の御用性ぶりを批判するのはちゃんちゃらオカシイ。読売ー産経ー朝日ー毎日のどの一社たりともNHKよりもずっと御用性報道にたけているではないか。何のかんばせありてそのような正義づらを楽しむのか。 れんだいこはテレビを見ない。見ないし見る時間もないしというのが実際だが、それでも昔楽しみに毎回見たのはNHKの「歴史その時」であり「プロジェクトX」である。特に、「プロジェクトX」は、戦後日本にかって存在した働き者たちの地上の星たちを描き出しており、とてもよい企画だと評価している。あれはハト派系時代への郷愁であり、間接的に今のタカ派政治を風刺している。 この番組を生み出しているエビジョンイル体制のNHKに不満はない。れんだいこは、そのエビジョンイルがなぜ退陣を迫られているのか、ということを考える。むしろ、エビジョンイル退陣運動は、「プロジェクトX」を容認しているエビジョンイルに対する責任追及として為されているのではないかと疑っている。してみれば、本質的に米英ユ同盟に拝跪するタカ派系からの指弾運動ではないかと思っている。 確かに受信料は少し高過ぎ、衛星放送まで含めると毎月が非常に高くなるのが不満だが、受信料は積極的に払おうと思っている。よって、私も受信料払ってないよと吹聴し相槌を求める左派風のお調子ノリには馴染めない。 エビジョンイルが実はナベツネの一統であり、こんなにワルだよというのであれば、その実態を教えて欲しい。れんだいこにはそうは思えない。シマゲジ問題も然りだった。中曽根ーナベツネ連合に痛めつけられた訳だが、いわばハト派系政治にシンパシーを持つマスコミの最後の大物だった。そのシマゲジを強引に引き摺り下ろし、こたびエビジョンイルも同じく更迭させようとしている訳だが、後釜の方に興味が湧かざるをえない。 以上が、エビジョンイル問題に対するれんだいこ見解である。世の見解と違うと思われるのでこの局面に一石投じておく。 2005・1・18日 れんだいこ 拝 |
【海老沢会長の履歴】 |
「NHKのドン 海老沢勝二会長とは?」その他を参照する。 1934年、茨城県潮来町に生まれ。父親は佐藤内閣時に官房長官をして いた、「橋本登美三郎」氏の後援会長をしていた。 故橋本氏は、NHK設立に尽力し、NHKの生みの親ともいわれた人物。この橋本氏 との出会いが海老沢氏に大きな影響を与えたという。 1957年、早稲田大学卒業後、NHKに入局。地方局勤務の後、政治部に 配属。間もなく橋本登美三郎氏が所属する佐藤派の担当になる。当時、時事通信記者として海老沢会長と仕事仲間だった増山栄太郎氏は、「特ダネを抜くというタイプではなく、腰が低く挨拶の時も笑顔を絶やさず、好感の持て る感じがしていた」と当時の印象を振り返る。 この頃、橋本夫妻の仲人で、佐藤栄作夫人の姪と結婚。 1964年、佐藤内閣誕生。親交のあった橋本氏は官房長官に就任、海老沢氏は、縁の深い、橋本氏の番記者となった。 これが海老沢氏の転機となった。増山氏は「橋本さんを通じて自民党の郵政族の人脈を広げていった。NHKの中で出 世コースへの糸口になったんじゃないか」と言う。事実、時の最大派閥、佐藤派、そ の流れを汲む田中派の中で、海老沢氏は太く強靭な人脈を築きあげて行く。 1989 年、NHK理事に就任。 当時のNHK会長は、海老沢氏の政治部直属の上司だった、故・島桂次氏。 元同僚は「島さんは海老沢さんの政治力を評価していた。島さんは海老沢さんの協力を得て会長になったが、会長になった後、海老沢さんはいらなくなった」。政治力を恐れられたのか、海老沢氏は突然、理事職を終われ、関連会社に異動。しか し、異動から3ヵ月後、島会長が放送衛星打ち上げ事故に際し国会虚偽答弁により引 責辞任。まもなく海老沢氏は理事に復帰する。 1997年、会長に就任。以来、7年間、 三期に渡り、NHKのトップの座に君臨し続ける。 海老沢氏を取材してきたジャーナリスト・上杉隆氏は、現体制の問題点を指摘する。 「側近は情報を上げる仕事しかしていない。よい情報は上げるが悪い情報はあげない。 島さんの恐怖政治を見てきているので、自分を守る裏切らない人間を集めている」。 元紅白プロデューサーを内部告発した人は、関連会社へ異動。 他にも不正を告発した後、退職した人もいるという。 元同僚は「こんな事しちゃいけない、と言った人は、今、NHKにいない」と、現状 の問題点を指摘する。 |
[今回のNHK不祥事の経緯(2004年)] 7.20 関根昭義放送総局長が緊急会見。 チーフプロデューサー磯野克巳の番組制作費着服を発表。 23 海老沢勝二会長が緊急会見、磯野の懲戒免職処分を発表。 着服額は4840万円で、紅白歌合戦担当時も着服してい たため、芸能番組センター長らを解任。 28 編成局のプロジェクト「宇宙新時代」のプロデューサー2 人がカラ出張で約317万円を支出させ、厳重注意処分と なっていたことが発覚。 8.03 岡山放送局元放送部長が架空の飲食代90万円を不正請求、 懲戒免職となっていたことが発覚。 9.02 海老沢会長が定例会見で、平成9〜13年の間、職員4人 が総額970万円の着服・流用で懲戒免職になったことを 公表。 07 海老沢会長が経理処理総点検の最終報告を発表。 約4400万円の水増し請求をしたソウル支局長を 停職6カ月。 09 衆院総務委員会が海老沢会長を招致、不祥事問題を審議。 「NHKは生中継せず」、批判殺到! 11 1時間の「謝罪番組」を放送。 衆院総務委の模様はダイジェストで放送????? 10.07 海老沢会長が定例会見で、9月末までの受信料支払い拒否・ 留保が約3万1000件に上ると発表。 26 放送技術局制作技術センターの音響デザイン担当職員が約 1240万円を不正請求し着服、懲戒免職処分したと発表。 30 日本放送労働組合(日放労)が海老沢会長らに辞任を要求 する秋季闘争方針案を決議。 12.02 受信料支払い拒否・留保が約11万3000件に増えたこ とが明らかになる。(11月末時点) 04 磯野容疑者が詐欺容疑で逮捕 19 特別番組放送
【海老沢会長辞任表明】 | |
2005.1.26日、NHKの海老沢会長(70歳)は、7年半にわたる長期政権を築いてきたが、一連の不祥事と急増した受信料不払いによる経営責任をとって、辞任した。退職金約1億2444万円。最初の不祥事(芸能プロデューサーによる詐欺事件)から6ヶ月。新聞社各社は「遅すぎる引退」論調を書いている。 海老沢会長は、退任に当たって、「外部には任せられない。後任は内部昇格しかない」と漏らしている。海老沢氏は25日の辞任会見で、「48年間の経験を生かし、今後は人材育成とNHKの海外への文化普及にかかわる仕事をしたい」と語った。 NHKの海老沢勝二・前会長は辞任表明後の25日夜、全職員約1万2000人に対して「若い力に期待する」と題したメッセージを電子メールで送った。A4用紙6枚分の長文で、概要次のような述べている。
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NHKの番組制作の最高責任者である放送総局長・専務理事の関根昭義氏も海老沢氏とともに辞任、後任に出田幸彦理事(57)に代行させることを決めた。出田理事は01年6月に番組制作局長に、03年4月に理事に就任した。 出田理事は今後、代行として定例の放送総局長会見に臨むことになる。 |
【新会長に橋本元一専務理事が就任】 | |
海老沢会長の後任に専務理事の橋本元一(61歳)氏が選出された。橋本氏は技術系のプリンス。報道畑でも番組制作畑でもなく、技術畑の技師長。副会長には初の女性となる永井多恵子氏が就任した。 法律的には経営委員会に任命権があり、政府や国会の手続きは不要。但し、国会で予算案を成立させねばならないため、慣習として放送関係に関わる自民党族議員の実力者でつくる「インナーサークル」の了解が暗黙の前提となっている。 橋本新会長の就任声明は次の通り。
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【海老沢前会長らがNHK顧問に就任】 |
1.26日、NHK会長に就任したばかりの橋本元一氏はこの日、海老沢前会長(70)、笠井鉄夫・前副会長、関根昭義・前専務理事の三名を同日付でNHK顧問とすると発表した。 |
【海老沢前会長らがNHK顧問を辞任】 |
「海老沢前会長らがNHK顧問に就任」に抗議が殺到し、1.28日、海老沢勝二・前会長、笠井鉄夫・前副会長、関根昭義・前専務理事の三人がNHK顧問を辞任した。僅か三日の出来事となった。 |
【NHKの新人事が焦点となる】 |
現在、NHKには8人の理事がおり、昨年9月に就任した三宅誠・理事(57)を除く7人が今春の4月24日で任期切れを迎える。新人事での海老沢前会長の影響力がどこまで残るかが焦点となった。 |
(私論.私見)