(私のコメント)
腐敗堕落したエリートが国家や社会を破壊する事を書いてきましたが、一番分かりやすい例が大東亜戦争であり、山本五十六批判は以前から書いてきました。しかし日本では大東亜戦争の反省はほとんど行われず、問題点の追及は行なわれていない。わずかにネット上では山本五十六批判がありましたが、映画や小説によって作り上げられた山本五十六は事実を隠蔽するために作られたものだ。
日中戦争を拡大したのが米内正光なら、アメリカを対日戦争に引きずり込んだ責任は山本五十六にある。真珠湾攻撃は成功の見込みが無く、たとえ成功しても真珠湾は水深が浅くて軍艦は引き上げられて修理されて戦争に復帰している。空母を全滅させなければ真珠湾奇襲の意味はない。
しかし戦争中においても戦後においても真珠湾攻撃は大成功と宣伝されているが、本当は大失敗であった。大失敗だったからこそミッドウェー海戦で大敗北したのですが、戦時中はミッドウェー海戦も大勝利と宣伝されていた。大本営発表は開戦当初から行なわれて事実は隠蔽されてきた。生き残った海軍将兵は本土に上がれず戦地に送られて事実は永久に葬り去られた。
戦後になっても阿川広之といった小説家や海軍出身の作家たちが事実を隠蔽したり歪曲した事実をかいて、山本五十六は小説や映画によって名将として描かれるようになった。本来ならば山本五十六は連合艦隊司令長官なのだから連合艦隊を率いて真珠湾やミッドウェーで戦うべきところを、500キロ後方で将棋をさしていた。
真珠湾攻撃自体が山本元帥の発案であり、海軍軍令部も口出しが出来ず、すべて山本連合艦隊司令長官に一任されてしまった。本来の日本海軍の作戦は後退邀撃でありハワイやガダルカナルまで出かけて戦争をする補給力は無く、絶対国防圏を守る事が戦略だったはずだ。しかしマリアナ諸島を始めとして要塞化は間際までなされなかった。
この事はアメリカにとっては願ったりかなったりの作戦であり、だから私は山本五十六はアメリカのスパイであったのではないかと書いてきました。ミッドウェー海戦も日本海軍が戦力は圧倒的に優勢であり、空母を分散して十分な戦艦による護衛をつけていれば全滅する可能性は全く無かった。空母を密集させて護衛をつけなかったことはわざと全滅するように仕向けたとも考えられる。
ハワイ攻撃においてもイチかバチかの大博打であり、にもかかわらず山本司令長官が空母機動部隊を直接指揮しなかったことは批判されてしかるべきだ。南雲長官がハワイ攻撃を一回攻撃しただけで帰ってきた事も批判されるべきですが、連合艦隊の最高責任者がいなかったからこそ第二回攻撃の決断がつかなかったのだろう。
ミッドウェーの開戦においても旗艦大和では敵空母の存在を掴んでいたが、山本司令官の判断で空母機動部隊に通達される事はなかった。自分の命を惜しんだというよりもわざと負けるように仕組んだと見るべきだろう。連合艦隊の司令官という戦闘部隊の司令官でありながらハワイ攻撃やミッドウェー海戦でも直接指揮を取る事はなかった。まさに腐敗した海軍エリートそのものでありだから戦争に負けたのだ。
ミッドウェー海戦の大敗北でさすがに山本長官への批判が強まって、トラック島に逃げ込んで、戦艦大和は本土とトラック島を往復するばかりで戦闘に加わることは無かった。いったい何の為に戦艦大和を作ったのかわかりませんが、不沈戦艦ならハワイやミッドウェー島の傍まで行って艦砲射撃をしなかったのだろうか?
山本司令長官はラバウルまで行って「い」号作戦を指揮しましたが、最後までガダルカナルを激励に行った事はなかった。そしてアメリカとの消耗戦で航空戦力や艦船を失うばかりでこの作戦も失敗に終わった。山本長官はブーゲンビル島で搭乗機が撃墜されて戦死しましたが、作戦失敗の責任を取った自殺とも言えるだろう。
まさに当時の海軍にも人材は払底して官僚的海軍が出来上がっていた。軍艦を作る事には一生懸命で、現在の天下り団体を作る事に一生懸命な官僚と同じである。しかし軍艦をいくら作っても石油が無ければ軍艦は動かないのであり、巨大になりすぎた海軍は張子の虎になってしまった。
当時の状況からすれば南進政策は無謀であり、海軍が画策して北進から南進に切り替えられましたが、だからアメリカと衝突する事になった。日本には石油が無いのだから防御的な作戦しか海軍は取りえないのであり、インドネシアの石油を確保しても日本に持ってくるまでにタンカーはみんな沈められてしまった。アメリカの潜水艦部隊の戦力を過小評価していたのだ。
このような海軍の南方進出は、満州にある陸軍部隊の引き抜きになり、陸軍部隊は南方に送られて輸送船ごと潜水艦に沈められて消滅して、満州の防衛も空洞化して終戦間際にソ連軍の侵攻で満州の日本軍は消滅した。これもコミンテルンの工作活動が陸海軍部内に行なわれたからだろう。その立役者が瀬島龍三だ。しかし瀬島龍三も小説ではソ連のスパイでもあるにもかかわらず愛国者として描かれた。
瀬島龍三も典型的なエリート官僚であり、95歳の天寿を全うしましたが、証拠は無いがソ連のスパイだったのだろう。このように山本五十六や瀬島龍三のようなスパイがうようよいた軍隊では戦争に勝てるはずも無い。本人にはスパイの自覚は無かったかもしれないが利用されていればスパイなのだ。現代の日本にも自覚なきスパイが沢山いるのであり、そのような彼らを英雄のように小説に書くこともスパイ工作なのだ。 |