4491233 吉田文書考(吉田首相のマッカーサー宛て「在日朝鮮人に対する措置」文書考)

 インターネット・サイト「善隣会館事件」の管理人猛獣文士さんより教示いただいたが、時の首相・吉田茂氏がマッカーサーに宛てた次のような「在日朝鮮人に対する措置」文書(1949.8月末から9月初旬ころのものと推定される)があるとのことである。興味深いので紹介させていただく。れんだいこはこれを仮に、「吉田文書」と命名しておく。

 朝鮮人居住者の問題に関しては、早急に解決をはからなければなりません。彼らは総数100万にちかく、その半数は不法入国であります。私としては、これらすべての朝鮮人がその母国たる半島に帰還するよう期待するものであります。その理由は次の通りであります。
 現在および将来の食糧事情からみて、余分な人口の維持は不可能であります。米国の好意により、日本は大量の食糧を輸入しており、その一部を在日朝鮮人を養うために使用しております。このような輸入は、将来の世代に負担を課すことになります。朝鮮人のために負っている対米負債のこの部分を、将来の世代に負わせることは不公平であると思われます。
 大多数の朝鮮人は、日本経済の復興に全く貢献しておりません。
 さらに悪いことには、朝鮮人の中で犯罪分子が大きな割合を占めております。彼らは、日本の経済法令の常習的違反者であります。彼らの多くは共産主義者ならびにそのシンパで、最も悪辣な政治犯罪を犯す傾向が強く、常時7000名以上が獄中にいるという状態であります。

 戦後の朝鮮人による起訴犯罪事件数は次の通りです[詳細省略、1948年5月末までで、9万1235名の朝鮮人が犯罪に関与したという数字をあげている]。

 さて、朝鮮人の本国送還に関する私の見解は次の通りであります。
 原則として、すべての朝鮮人を日本政府の費用で本国に送還すべきである。
 日本への残留を希望する朝鮮人は、日本政府の許可を受けなければならない。許可は日本の経済復興の貢献する能力を有すると思われる朝鮮人に与えられる。
 
 上述のような見解を、原則的に閣下がご承認くださるならば、私は、朝鮮人の本国帰還に関する予算並びに他の具体的措置を提出するものであります。敬具 吉田 茂(詳細は田中宏「在日外国人」参照)

(私論.私見) 「吉田文書」考

 この文書は恐らく最高度の機密文書ではなかろうか。従って、れんだいこは、この文書の漏洩過程に興味を覚える。

 この文面により、戦前の日帝により労務提供者として在日化させられた朝鮮人が、戦後になると今度は厄介者として本国へ強制送還されようとしていたことが判明する。食糧事情を口実としているが、治安上の問題が本音であったように窺うことができる。

 れんだいこには当局者の思惑が透けて見えて来るが、ご都合主義以外の何ものでもないことこそ指弾されねばならないだろう。歴史はそのようには都合よく動かせない。在日朝鮮人はこの時点で、日本の支配当局者に抗議する歴史的権利を獲得している。そういう意味で、在日朝鮮人がこの権利をどのように行使してプロテストしたのかを検証する必要がある。それが如何なるシナリオで「吉田文書ワールド」へ誘われていったのかを検証する必要がある。

 2005.3.28日 れんだいこ拝




(私論.私見)