全体として、登録自体の拒否を基本に据え、行政闘争を行っている。また、この登録反対運動には、旧朝連の財産奪遠も含まれ、一部の県で朝連の看板の掲揚がみられた。篠崎『在日朝鮮人運動』によると、初期段階の闘争に変化があったとみている。九月末、民戦中央はこの運動を登録更新のための写真代獲得.一括申請.朝鮮人代表の立会い等を要求する条件闘争として始めたが、一○月初めになって全面的に拒否闘争に転換したとなっている。その原因も日共民対の批判によるといわれている。『解放新聞」の社説「外国人登録証更新を反対する」(9.27)はこの登録更新反対を破防法反対にまで高めていくことを提唱している。
のちにも、この運動への批判がなされており、戦術上の混乱がみられる。概要「運動のもっとも大きな欠陥は同胞達が広範に動員されているのに比ベ、運動が大衆自体の運動になっていなことである。このため一部大衆の中には『どうせ、登録更新をするようになるのだから犠牲を出す必要がない』と落伍する現象があらわれている」、「第二に運動自体が同胞達の生活と密接に関連した運動として展開することなく、単純に『登録更新をするのかしないのか』という運動として展開されることに起因する欠陥である」(同、10.18日付け社説「登録更新反対運動を前進させよう」)とある。
次の社説も「条件闘争」の動きに対して牽制を加えている。 「一部同胞の中には闘争を条件獲得にだけおさえようとする傾向とそれと反対に自他 の力量及実際情況をかえりみずに、最後決戦するような傾向がある」(同、10.25日付け「再度、登 録更新拒否闘争に対して」)。このあたりの議論は実際の運動に即して深める必要があろう。特に「強制追放」への大衆の危機感を背景にしながら、生活擁護の要求をどのように具現化していくのか、日本の再軍備反対、朝鮮の統一独立とどう結節するのか、理論の問題でなく具体的な運動の像を描き出すことであろう。
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