449―116 北朝鮮問題に関する小泉外交考

【日朝首脳会談】
 2002(平成14).9.17日、小泉首相が日本の首相として初めて北朝鮮を訪問し、金正日国防委員長と首脳会談を行なった。平壌の順安空港に政府専用機で到着した小泉総理は、金永南・最高人民会議常任委員長らに出迎えられた。その後、百花園で日朝首脳会談が開かれた。会談では、懸案の日本人拉致疑惑問題で、北朝鮮側が拉致したと見られる11人の安否情報が提供され、そのうち蓮池薫さんら4人の生存が確認された。金国防委員長は、これが北朝鮮関係者による事件であることを認めて謝罪し、関係者の処罰と再発防止を表明した。

 また、安全保障問題について、北東アジア地域の平和と安定を維持・強化するために互いに協力していくことを確認し、金国防委員長は、ミサイル発射の凍結措置を2003年以降も延長していく意向を表明した。さらに、過去の植民地支配についても意見を交換しました。これにより国交正常化交渉を再開することが合意され、会談終了後、両首脳により共同宣言に署名が行われた。

 その後の記者会見で小泉総理は「過去の問題、現在の諸懸案、将来の日朝関係の改善を図るためにも交渉再開が適切と判断した」と述べた。この日の夜、小泉総理は帰国の途についた。

【「日朝平壌宣言」】

 
2002.9.17日、史上初の日朝首脳会談(小泉純一郎首相、金正日総書記)が開かれ、2002.10月中の国交正常化交渉の再開で一致。日本側は過去の植民地支配に「痛切な反省と心からのおわび」を表明し、北朝鮮側は日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題の再発防止措置をとることを約束した。さらに「朝鮮半島の核問題解決のため国際合意の順守、関係諸国の対話促進の必要性」なども確認した。

 小泉純一郎日本国総理大臣と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長は、平壌で出会い会談を行った。両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。

 双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。

 双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。

 日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。

 双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。

 双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。

 双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。

 双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。

 双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。

 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。

 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。

 朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。

 双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。

日本国総理大臣 小泉 純一郎 朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長 金 正日
2002年9月17日 平 壌

【日朝首脳会談後の記者会見】

 【小泉総理冒頭発言】

 本日、金正日国防委員長との会談におきまして、拉致問題については安否を確認することができましたが、帰国を果たせず亡くなられた方々のことを思うと、痛恨の極みであります。御家族のお気持ちを思うと、言うべき言葉もありません。私は、本日、このような問題を二度と起こしてはならないとの決意を持って、この地域に安定的な平和を構築する大きな一歩を踏み出すことを望んで平壌にやってまいりました。

 金正日国防委員長とは、率直に会談し意見を交換し合いました。私からは、金正日委員長に対し、特に2つのことを強調しました。第1に、日本は正常化交渉に真剣に取り組む用意があると。しかし、正常化を進めるためには、拉致問題を始め安全保障上の問題など諸懸案に、北朝鮮側が誠意を持って取り組むことが必要であると。

 第2に、北東アジア地域の平和と安定のために、米国及び韓国を始めとする国際社会との間で、対話を更に促進すべきであると。特に拉致問題や安全保障上の問題については、先方の決断を強く促しました。会談の結果は、次のとおりであります。

 拉致問題は、国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、今般、拉致の疑いのある事案に関する情報が提供されましたが、金正日委員長に対し強く抗議しました。同委員長は、過去に北朝鮮の関係者が行ったことを率直に認め、遺憾なことであり、おわびすると述べました。今後、二度とこのような事案が発生しないようにすると述べました。早急に御家族との再会や、本人の意思による帰国を実現させたいと思います。

 私より、不審船事案が繰り返されてはならないと発言し、金正日委員長は、これは軍部の一部が行ったものと思われ、今後更に調査をしたい。このような問題が、一切生じないよう、適切な措置を採る旨発言をされました。

 核開発疑惑は、国際社会の懸念事項であり、今回、金正日委員長は関連するすべての国際的合意を遵守することを明確にしました。重要なことは、北朝鮮がこの約束を行動に移すことであります。

 ミサイル問題は、我が国の安全にとっても重要であります。ミサイル問題につき、対話による解決を確認。金正日委員長は、今後期限なく発射を凍結する旨発言いたしました。

 我が国は、従来より、域内関係国による対話の場が整備されることが重要である旨指摘し、金正日委員長はこれに理解を示しました。

 過去の清算の問題に関しても、これまでの我が国の立場に沿った形で今後協議していくことになりました。

 これで、日朝間の諸懸案が解決したわけではありません。重大な懸念は引き続き存在します。しかし、諸問題の包括的な促進が図られる目処がついたと判断しました。問題解決を確かなものとするためにも、正常化交渉を再開させることといたしました。

 更に、不審船や拉致問題等、日本及び日本国民の安全に関わる問題や、地域の安全保障問題につき、日朝間で安全保障協議を立ち上げたいと思います。国民がより安全な環境の中で生活できるよう、この場を通じ諸懸案の解決を図りたいと思います。

 米朝関係については、金正日委員長より、常に対話の門戸を開いている。日本からもこのことを伝えてほしい旨の発言がありました。

 南北関係については、金正日委員長は協力関係が円滑に進んでいると述べました。

 今後とも、日米韓3か国を始めとする関係諸国が緊密に連絡を取り、朝鮮半島の緊張を緩和し、この地域の大きな平和をつくっていきたいと思います。

 日朝平壌宣言の原則と精神が誠実に守られれば、日朝関係は敵対関係から協調関係に向けて大きな歩みを始めることになると思います。私は、北朝鮮のような近い国との間で懸念を払拭し、互いに脅威を与えない協調的な関係を構築することが日本の国益に資するものであり、政府としての責務であると考えております。今後とも皆さまの御理解と御協力を得たいと思います。
 以上でございます。

 【質疑応答】
【質問】  今回の日朝首脳会談で国交正常化交渉再開で合意しましたが、今後どのような手順で交渉を進めていくのか。交渉再開に至った判断の最大の理由は何か。
 もう一つ、今回、拉致被害者の安否が確認されましたけれども、かなり重要な事案になっておりまして、6人も死亡されていますが、そういう事態をどのように受け止めているのか、その点についてお聞きします。
【小泉総理】  どのような手順で進めていくかということにつきましては、10月中に再開交渉を進めるということに合意いたしましたが、日時、開催場所等につきましては、今後事務当局間、外交当局間で調整したいと思います。
 また、今回の金正日国防委員長との会談におきまして、過去の問題、そして現在の諸懸案の問題、将来における日朝関係の改善を図るためにも、交渉を再開することが適切であると判断したからであります。
 もう一問あったね。
【質問】  拉致被害者の6人死亡というかなり深刻な事態になっていますが、それをどのように受け止めているかということです。
【小泉総理】

 誠に残念な報告であり、私は御家族の方々の気持ちを思うと、何とも言いようがございません。このようなことを二度と起こさないためにも、私は今後日朝関係の改善を図っていく必要があると思いまして、御家族の方々の御心痛いかばかりかと胸が痛む思いでございます。

【質問】  日朝関係は、戦後半世紀にわたりまして不正常な状況が続いてまいりました。これまでも多くの関係者が、その間、両国関係の正常化等の努力をしてきたわけですが、なかなか現実にはならなかったというのが現状であります。
 今日は、ある意味では歴史的な一歩になるのかもしれませんし、国交正常化交渉を再開するというところが本当の意味の到達点であろうかと思いますけれども、今回、直接金正日総書記と会談されまして、金正日総書記の印象と、それからなぜこうした大きな転換をされたというふうに小泉総理大臣としてはお思いになるのか。特に植民地支配に対する謝罪と償いの問題では、今まではかなり開きがありました。
 そういうことを含めまして、総理大臣の印象を伺いたいと思います。お願いします。
【小泉総理】

 先ほどの発言で、私が意見を述べましたとおり、率直な意見交換の中で日本は真剣に正常化交渉に取り組んでいるんだと。そして金正日委員長も誠意ある対応を示してほしいと、くり返し私は総理就任以来、一貫して発言してまいりました。
 そういう全体の会合の中で、拉致問題、安全保障問題、過去の問題、現在の問題、将来にわたって、私は是非とも日朝関係の正常化が必要だと判断しました。
 そして、今後、諸懸案はまだまだ解決したわけではありませんが、交渉再開の場を持たない限り、正常化への改善が図られません。日朝関係の改善というものは、単に日朝関係の利益だけではありません。朝鮮半島、北東アジア全体の地域の平和と安定にも関わっている。
 なおかつ、韓国、アメリカ、ロシア、中国、近隣諸国、ひいては国際社会の平和と安定にも大きく関わってくる問題であり、それにお互いが日朝の関係正常化に向けて大きく踏み出すということは、政治家として、平和づくり、安定の基盤づくりに努力するということは、政治家にとって大変やりがいのある仕事だし、互いに努力していかなければならない問題だと強く感じております。
 そういう意味において、まず、交渉なしに改善は図られません。総合的・包括的に考えて、日朝関係の正常化を図るためにも、まず交渉が必要だという認識で私は平壌にやってまいりましたし、金正日国防委員長との会談でも、委員長の誠意ある対応をするという感触を私は得ることができました。
 この共同宣言の約束をお互い誠意を持って実施に移していくということが最も肝要であると思います。

【質問】

 金正日総書記が、特殊機関の一部の者による、妄動主義、英雄主義に走ったというふうにこの背景を説明されている。いわば国家犯罪的な性格を帯びてきます。これについて、国家が関与した犯罪、それでこれだけの被害が出ている問題をどうお考えになってらっしゃって、なぜこんなに早く正常化交渉再開に踏み切ることができたのか。
 それと、国家犯罪ということになってきますと、賠償とか補償とか、いろんな付随してくる問題が出てくる。これについては、いかがお考えですか。

【小泉総理】  正常化交渉の場で議論していきたいと思います。


この政治スキャンダルを問え れんだいこ 2003/08/22
 2003.8.22日付け読売新聞は、「無断転載禁止」とした上で、「米に核カード堅持要請…政府、対『北』協議に備え」なる記事を公開している。それによると、北朝鮮の核開発問題に関する北京での6か国協議に当り、「日本政府が米政府に対し、核兵器の不使用を確約しないよう求めていた」ことが21日明らかになった、とある。

 ナンタルチアなことだろう、小泉政府の外交は既に狂いぱなし、としか思えない。れんだいこはそう訝るが、今のところこれが問題視されている形跡は無いようだ。読売記事はむしろかような政府の対応に理解のある風な書き方をしている。

 その理由付けがふるっている。日米安保で米国の保護下にある日本としては、米国の北朝鮮への核不使用宣明は米国の手足を縛ることになり得策ではない。むしろ、「日本の安全保障にとって重大な支障が出ると判断している」。

 小泉政府はそもそも、米国のクリントン前政権が為した1994年の米朝枠組み合意に不満がある。それによれば、北朝鮮の非核化が実現した場合の措置として、「米国が、米国による核兵器の威嚇もしくは使用はしないとの公式の保証を北朝鮮に対して与える」との条項が入っているが、これが気に入らない。

 「非核原則」を国是としている日本の政策は、米国の核戦力に依存する形で実現されている、その重石を取り外してくれるな、「核カード」を堅持して欲しい、というのが小泉政府のスタンスらしい。

 複数の日本政府関係者によると、今月13、14両日にワシントンで行われた日本、米国、韓国の3か国局長級協議で、藪中三十二外務省アジア大洋州局長がケリー米国務次官補(アジア・太平洋担当)に対し、核不使用を再び約束しないよう要請した、とある。

 藪中氏は、北朝鮮に対して、〈1〉侵略はしない〈2〉国連憲章が禁じる武力攻撃を行わない――との表現で安全の保証を約束することを提案した。国連憲章は自衛権の行使と国連安全保障理事会決議に基づく武力行使を容認している。「これ以外の武力行使をしないことは、国連加盟国として当然で、そのことを約束しても、支障はない」(政府筋)と判断したためだ、とある。

 全く出来レースの気がするが、これに対し、ケリー氏は「日本の提案に感謝する」と述べ、日本政府の意向を踏まえて6か国協議を進める方針だ、とある。

 世にさかしまという言葉がある。「非核原則」を国是としている日本の政策として米国にも核軍縮を要請するというのなら分かる。それを逆に、国是を守るために日本政府が率先して米国に核の保持と行使を担保するよう要請するなどというのは、これはスキャンダルだろう。

 以上から察するのに、小泉政府が、ブッシュが随喜の涙を流すような役回りをこなしている、つまりチンドン屋を演じていることが判明する。小泉は、一衣帯水の北朝鮮との国交を自力で打開できない。一国の首脳同士が手交した先の共同声明の重みなぞどこ吹く風の趣き加減だ。

 小泉はんはどうやら、米国、ロシア、中国の世話にならねばならぬことを恥ずるのではなく、米国に毅然とした態度を取るようお願いし、その遣り取りを楽しむのがオラのつとめだと合点しているらしい。

 それを思えば、れんだいこには日韓条約の様相が違う風に見えて来た。あれは日本政府と韓国政府が米国を上手にあやしながら成し遂げた偉業であった、のではないのか。なるほど同じ米国陣営だからというお目こぼしもあったのであろうが、米国にとって日韓の緊密化は危惧することもあったろうに。

 歴史は目くるめく。今や、当時の偉業精神を持ち合わせる者は居ない。誰よりもどこまでもブッシュ一途の競い合いに胸を張る被新植民地主義競争するしか能が無い手合いばかりになったようだ。これが戦後タカ派の正体だとするとえらいこっちゃな。

1844 返信 日朝首脳会談に関する日共の声明を論評する。 れんだいこ メール URL 2002/09/03 13:09
 2002.9.3日付け「しんぶん赤旗」は、「日朝首脳会談 直接対話の決断を歓迎 必要な協力は惜しまない 志位委員長が表明」なる見出しで、17日におこなわれる日朝首脳会談に関する日共の基本的立場を明らかにしたことを報じている。

 概要、「今回の両国政府の最高責任者同士による直接の対話という決断は、重要な意義があり、歓迎する」、「その立場から日本共産党は、今回の日朝首脳会談が、国交正常化にむけた前進の一歩となることを強く希望し、そのための必要な協力は惜しまない」、「首脳会談の結果として、継続的に日朝間で話しあえる関係が前進するということになれば、それ自体が一歩踏み出した意義あることになると思う」と述べている。

 具体的な交渉の進め方に対しても、「これは賢明な交渉のすすめ方だと思う」、「『国交正常化に関する諸問題』と『日朝間の諸懸案の解決』を、『包括的』に話し合って、問題解決の方式についての一致点を見いだそうというやり方は、現状からみて適切なやり方だと思う」、「必要ならば、大いに協力する」、「わが党は、小泉首相とは国政の基本問題で対立しているが、この問題では首相は前向きの方向に踏み出そうとしているわけだし、ことは日本の国益、アジアと世界の平和にかかわる重大な問題であるので、野党であっても必要な協力をすることは当然だ」と述べている。

 れんだいこが注目するのは、系譜上ハト派の田中角栄に対する「諸悪の根源」理論からするやること為すこと全否定論に対し、タカ派の系譜の者に対しては露骨な是々非々論で臨んでいるスタンスの違いである。こたびは、「協力をすることは当然だ」論まで踏み込んでいる。この党に一貫して流れているこの姿勢をここで確認することが肝要だ。口先に誤魔化されてはならない。

 日朝国交回復は日中のそれに継ぐ久しぶりの大型外交になりつつあるが、その背景にあるものの理論的な考察抜きにこうまで手放しで称賛する日共中央のおめでたさぶりに又しても口あんぐりさせられるのはれんだいこ一人だろうか。

 しかしそれにしても、国民葬背番号制を既に実施し、次に軍事法案、規制法案、基幹事業の民営化等々戦後史を画する重要法案を目白押しで何としてでも成立させようとしている小泉政権に対する、個別課題での諸手を挙げて賛成論の痴態はどうだろう。すっかり政府与党気分で、俺達は何だかんだ云いながら裏から支えてきているのだとの自負さえ感ぜられるのは、れんだいこの読み取り過ぎだろうか。

 このペテン構図にそろそろお別れしようや、これがれんだいこ党党首の述懐である。

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1841 返信 Re:小泉が朝鮮訪問 れんだいこ メール URL 2002/08/31 00:02
 飯田橋学生さんちわぁ。日朝トップ会談ということのようですが、れんだいこが思うに、政務の首相は既に福田官房長官であるからして福田が行けばよいのに。という訳には行かないのかなやっぱ。小泉では何を言い出すか危なかしい。「感動した」を連発するのなら無難だけどね。

 恐らく以前から何らかの日朝会談がセットされ続けており、こたび双方の日程が合ったということではないでせうか。小泉は、ブッシュはんの為なら直ぐに馳せ参じ長居しますが、官僚の用意したものにはあまり興味湧かさないので直ぐに帰り支度に入ると思われます。だから原稿棒読みして帰ってくるだけと違いますか。

> さて合意の内容が問題である。小泉はブッシュを出し抜いてジョンイルと取り引きするほどの器量のある政治家なのだろうか?

 そういうことは全然有りません、と思うよ。

> ブッシュが小泉を見捨てて倒閣しようとしたので先手を打ったということか?

 えっそういう動きがあるのですか。見捨てたというより見限ったというのなら有り得ますねぇ。

> だとすればかなり合意は歓迎できる内容になるかも知れない。しかしそうとは思えない。やはりブッシュの何らかの意思が働いているのでは?だとするとどういう意図であろうか。ブッシュは対朝鮮政策を前任政権時代のものに戻そうとしているのであろうか。国際世論からの孤立が激しいので、「悪の枢軸」から朝鮮を外してとりあえずイラクに集中するつもりか?

 なるほどねぇ、イラクと北朝鮮を分断し、北朝鮮を取り込もうということですか。ううんしかしそれなら、日本を使わないで直交渉するように思うな。やっぱここは官僚が何らかの根回ししただけのことと思いますねぇ。のんびりしたものか急を要することか何があるのかは分からないけど。

1884 返信 日朝首脳会談を予測する。 れんだいこ メール URL 2002/09/15 23:50
 小泉はんが長いアメリカ詣でから帰ってきた。帰って来るなり「日朝首脳会談:小泉首相、拉致問題優先の基本方針を最終確認」だと。毎日新聞によれば、小泉純一郎首相は15日午後、東京都内のホテルで福田康夫官房長官、安倍晋三官房副長官、竹内行夫外務事務次官らと朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問に向けた大詰めの協議を行い、日本人拉致問題が進展しなければ、国交正常化交渉は再開しないとの基本方針を最終確認した。また首脳会談後に発表される日朝共同宣言(仮称)には、日本人拉致問題について、北朝鮮の関与を認めない形で北朝鮮側の「遺憾の意」が盛り込まれる方向になった、とある。

 この間膝詰で交渉した相手はワシントンであり、どうやらそこで方針がガチガチに固まったらしい。思えば、田中角栄も日中国交回復交渉ではそういう手順を踏めば良かったのに。「8.31日ハワイのホノルル・クイリマホテルで日米首脳会談(田中.ニクソン会談)。アメリカ側は、ニクソン、キッシンジャー、日本側は田中、牛場信彦駐米大使。その後、ロジャーズ国務長官、大平外相が加わっている。この席で、中国問題、特に日中交渉、国際収支問題、日米貿易不均衡問題等が包括的に話し合われている。こうして。田中は、米国への根回しを終えた」が、一日では胸襟が開けていない。

 それと、「 9.25日田中首相一行が北京に向かった」が、間が三週間もあいておるので宜しくない。こたびの小泉さんのように直前までワシントンに居続けすべきだった。つまり、要領が悪かったということになるのかな。

 しかし、外務官僚には面子も何も無いのだな。全く打ち合わせが出来ていないことが見て取れるが、代わって下交渉しているから別に何とも無いという訳か。しかし、小泉はんは世界の外交史にあまり例の無いことをやってくれるな。マスコミも拉致疑惑優先一辺倒論をぶちまくっているので、こういうことはどうでもいいのだろうな。

 さて、17日の会談の推測をして見よう。恐らく金総書記は日朝百年の計からいろんな提案をするはずだ。事前にバカ殿だということは分かっているから、期待はしていまい。こうなると、小泉はんがどういうパフォーマンスをするかが興味深い。恐らく、会談の間中キョトンとして一つ覚えのことを云いぬくだろう。それ以上のことがありや無しや。恐らく無惨なことになり、誰も遠慮して云えなかったことを俺はちゃんと言って来たぞ、どうだと胸を張って帰ってくるシナリオ通りに進むだろう。

 それでも金総書記が食いつくのかつかないのかこの辺りに興味があるが、本音を云えば、おれんちの国も危ないけどあなたの国の破産も間近ですよ、お互い知恵を湧かしませんかという辺りを話したいのだろうが、何せ聞く耳持たずあらかじめ結論持ってきている御仁には馬耳東風なのでは無かろうか。そんな気がしますね。まっタカ派つうのがどの程度のものか見てみましょうか。

1886 返信 Re:日朝首脳会談を予測する。 れんだいこ メール URL 2002/09/16 11:28
 飯田橋学生さん皆さんおはよう。

> どうやら、小ブッシュにドウカツされて独自方針を引っ込めざるを得なかったのでは?どんな独自外交を考えたのかわからんが。ということはピョンヤンに行ってもたいした成果はないのではないか。せめてもうすこしましな外務大臣や官僚はいないのか。

> 日本のマスコミの姿勢は、全く許せない。イラク問題にしても、イラク側の言い分を全く伝えずに、あたかもイラクが査察を拒否しているかのように報道している。

 これについてですが、溶解しつつある日本にはそれにふさわしい支配階級とそれを提灯する自称インテリ族が群がっており、辻褄は合っているということでせうか。

 新聞の社説について思うことがあります。ほぼ政府の広報的な論調で明け暮れておりますが、これを執筆者署名入りで為させるべきではないでせうか。社説委員が何人で構成されているのか分かりませんが、せめて論に責任持たすべきです。無署名の陰に隠れての安逸な駄弁がこの国を悪くしていると思います。

 なぜなら、現代において何といってもマスコミの役割は大きいものがあります。インターネット掲示板の論調を見ても、持論を述べているようで実はマスコミの受け売り的なものがほとんどです。それに右派的だのサヨ的だのの胡椒を振りかけているだけで、その内容はオウム的です。

 それを思えば、政界の金権体質を批判するのなら、同じ意味でマスコミの提灯体質を自己切開せねばならない。常に政府に批判的であれというのでは無い。時には後押しせねばならないこともあるでせう。いずれにせよ先見力が必要で、それを多少なりとも持っているのが論説委員足るべきではないでせうか。

 公平客観的な観点から論を立て、それが官邸にもフィールドバックされるようでないと、意味が無いということを云いたいのです。どこの国でそういう理想的な関係が為されているのかいないのか分かりませんが、日本のマスコミ体質は凡そ民主国家を自賛する割にはひどいのではないでせうか。

 戦前の軍部とマスコミの一蓮托生ぶりにはひどいものがありましたが、今日も見ようによっては全く一緒で、行ってはならない方向へ相乗りで誘導しているように思います。何でこうなるのでせうね。最近は検察に対しても拍手拍手でもっと徹底せよ論が多い。昔は司法の有り様にチェックする記事もままあったというのに。れんだいこの子供の頃には、冤罪を取り上げて、それなりの関心を喚起させていたものです。

 こういうようなことから、歴史責任を取らせる意味でもマナーとしても、新聞記事には極力署名入りを原則とさせるべきでは無いでせうか。そういう緊張関係で記者も育つのでは無いでせうか。実際は得手勝手な著作権棒振り回すのに忙しく、肝心のこういうことにはまぁまぁこのままがええがなで行くようです。

 この推測が正しければ、そういう安逸分子の片手で高級ワイン、あいた手でペンを走らせる愚こそが国を滅ぼすというのに、そういう手合いに限って正義仮面を気取る癖があることを正視せねばならないと思います。ったく虫唾が走ることです。

1887 返信 Re:日朝首脳会談を批評する。 れんだいこ メール URL 2002/09/17 19:48
 2002.9.17日毎日新聞インターネットで、「日朝首脳会談:4人生存、6人死亡を確認 金総書記が拉致謝罪」の見出しで次のような速報が為されている。

 概略、17日午前11時すぎから百花園迎賓館で金正日総書記と史上初の日朝首脳会談を行った。この中で北朝鮮側は、北朝鮮に拉致されたと日本政府が認定した8件11人のうち2件4人が生存、5件6人の死亡(他の1人は北朝鮮国内に入っていないと回答)、さらに日本人男性2人の死亡を確認したとして日本側に伝えた。金総書記は事件を謝罪した。(以下略)

 首相は会談で「(事前の)事務会合の(拉致問題に関する)情報提供には留意するが、(その内容には)大きなショックを受けた。強く抗議する。家族の気持ちを思うといたたまれない。二度と起こらないよう適切な措置をとってほしい」と強調した。

 これに対し、金総書記は「(拉致問題の)背景には数十年の敵対関係があった。70年代から80年代にかけ、特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走った。2つの理由がある。一つが特殊機関の日本語学習、二つ目が人の身分を利用して南鮮(韓国)に入るため。私が承知するに至り、責任ある人々は処罰した。これからは絶対にないようにしたい。遺憾であり、率直にお詫びしたい。二度と許すことはしない」と謝罪し、再発防止を約束した。(以下略)以上

 こうした遣り取りを経て「日朝平壌共同宣言」が署名され、双方は10月中に国交正常化交渉を再開することで合意したとのことである。

 問題は、10月からの国交正常化交渉再開ぶりに焦点が移されたが、こたびの会談をどう論評すべきか。れんだいこは次のように考える。詳細な遣り取り内容、声明の内容について未確認のままであるが、これは小泉政府の外交上の偉業であろう。正直、事態がこのように進展するとは予想し得なかった。断固たる小泉首相の決意と金総書記の聡明さがハーモニーしてかように胸襟を開かしめたと思われる。双方が実を取った会談となったことを祝す。

 付言すれば、金総書記が拉致問題の背景として挙げた「特殊機関の一部の妄動主義、英雄主義」自己批判は史的に珍しい。「これからは絶対にないようにしたい。遺憾であり、率直にお詫びしたい。二度と許すことはしないと謝罪し、再発防止を約束した」とあるが、この発言の波紋は今後も続くであろう、北朝鮮の政治システム上の欠陥をも滲ませており、余震があると思われる。

 してみれば、こたびの会談は、金総書記の日朝友好関係の樹立に向かう熱意の凄まじさを感じさせるものとなった。この英断の帰趨は今後の歴史の波間で証されるであろう。この決断を引き立たせた小泉首相がこれに如何に応えるのか、ふうむ暫く見守りたい。

1889 返信 Re:日朝首脳会談を批評する。 れんだいこ 2002/09/18 10:30
 一夜明けてみて思うことは、こたびの日朝首脳会談の予想を超えた歴史的成果ぶりである。事前のれんだいこ予想は、小泉はんが拉致問題の解決無くして協議は進まないと談判しぬき、朝鮮側がその一辺倒ぶりに辟易して物別れになるという、継続審議の含みを残しての決裂という筋書きであった。

 ところが、北朝鮮が拉致の史実を認め関係者の安否情報とお詫びと教訓を披瀝した。その他日本の主張に沿って協議が進行した模様である。そういう過程を経て日朝共同宣言が締結された。ここまでの流れを見れば、小泉はんのワンサイドゲームの観がある。外交史上特筆される偉業であろう。この後の日朝交渉がその分責任重大となった訳であるが、ブッシュ丸と野党の狭間でどのように櫓を漕ぐか見ものとなった。

 ところで、我が野党の反応が興味深いので少し検証する。民主党の鳩山代表は、「首相は国益損なった」として日朝首脳会談を批判している。「一言で言えば、小泉首相は急ぎ過ぎて国益を損なった。その責任はきわめて重い」、「北朝鮮側の説明を鵜呑みにしたままでの国交正常化交渉の再開は時期尚早と言わざるを得ず、大変残念だ」と強調した、とある。

 要するに、日朝共同宣言に署名すべきでなかった論である。れんだいこに云わせれば、まことにナンセンスな観点であるように思う。突っ込み不足の面があるが共同宣言署名に漕ぎ着けたのはひとまずの成果であったと談話するのが然るべき政治家の証であろうに。鳩山を民主党の代表に居続けさせるならば、この党は無能により自滅的解体へ向かわざるを得ないであろう。

 自由党はどうか。自由党幹事長藤井氏が談話を発表し、「それにもかかわらず、北朝鮮への経済協力に向けて正常化交渉の再開を急ぐのは本末転倒である」論を述べている。「首脳会談の結果を見ても、共同宣言の内容を精査しても、事前に官僚同士で合意していたものをそのまま発表したにすぎず、小泉総理の政治パフォーマンスと言わざるを得ない。このような外交は、わが国の平和と安全にとって深刻な災いのもととなる」とも評している。

 自由党もダメだこれは。「北朝鮮への経済協力に向けて正常化交渉の再開を急ぐ」のを「本末転倒である」などという方が本末転倒しているだろう。北朝鮮の最高指導者が国の威信もあろうに謝罪した重みを踏まえる観点が全く欠落している。こたびの談話は藤井の識見の軽々しさを見せたと云って良かろう。民主党も自由党も自民党より数等倍劣っているのが良く分かる。

 次に公明党はどうか。神崎代表が、「拉致死亡は痛恨の極み、歴史的な一歩開いた日朝合意」と要約し、「今回の小泉首相の訪朝によって、日朝間の懸案事項を解決しつつ国交正常化に向けての合意がなされたことは、新しい歴史の1ページを切り開いたものと思う」と評している。

 この見解がポイントを掴んでおり、基準となるべきであろう。公明党が近年着々と力を付けているのは、こういう歴史を観る眼の確かな者が指導部に居るからであろう。

 他のメジャー政党として社民党と共産党を見れば、今のところコメントが見当たらない。恐らく党内外に向けての無難なコメントを書いては消し、直しを繰り返しているのだろう。

 総評として思うことは次のことである。小泉はんの毅然たる決意によってか、北朝鮮の窮状によってか、歴史の偶然か必然か、まさに九官鳥が胸に飛び込むような「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」式の芸当を金総書記にさせることになった。小泉は予想外の現場に踏み込んだことになる。これを弄ぶのかその意を受け止めるのか、当面小泉はんに負託される形になった。今後どういう歩みになろうとも、小泉はんの胸中に政治が真剣勝負であることを生涯刻み続けるであろう。

1898 返信 日朝首脳会談の余震 れんだいこ メール URL 2002/09/19 19:44
 うちはだいこさん精力的な書き込みご苦労さんです。ところで、日朝首脳会談の余震が続いております。れんだいこも正直驚いております。小泉はんがイスを蹴らず共同声明に調印した経過が次第に明らかにされておりますが、まさに薄氷の踏み込みだったようです。ワシントンも驚いた様子です。やっぱ思いがけぬことが起ったのだと思います。

 民主党、自由党、自民党の中には、共同声明に署名すべきで無かったとの見解が流行っておるようです。この連中は、塩爺の「小泉はんは度胸があるな、感心した」見解を見習うべきです。今更「署名すべきで無かった論」が何の役に立つでせうか。

 小泉はんが国の意思を署名行為で明確にした以上、今後はそれを踏まえて次に何を為すべきなのか知恵を出し合うべきです。いくら声明しても振り出しに戻る南北朝鮮との違いを見せるべきだと考えます。信義を守る国日本の面子がかかっていると考えます。与野党はこの姿勢で一致しつつ手法の違いで喧喧諤諤すべきでせう。こたびの共同声明を無視するような振り出し論の跋扈を許してはならない。

 それはそうと社民党が困ったようですね。日経ネットによると、「社民党、拉致問題で朝鮮労働党に抗議へ」の見出しで、「社民党はこれまで朝鮮労働党から拉致問題について『そういう事実はない』との説明を受けていた。幹事会後、保坂展人総合企画室長は記者団に『回答次第で友党関係の見直しもあり得る』と述べた」とあります。

 それに比べて共産党は困惑していない点が羨ましいですね。社民党が頭を抱えるのなら、本来なら共産党の方は寝込んで氷嚢の世話になっていなければおかしい。しかしお見事というべきか、ご都合の良い方の舌を持ち出してこたびの小泉はんの英断を祝しております。れんだいこにはこの種のあつかましさはとても真似できません。それが出来る党員の皆様が羨ましい。

 それはそうと、北朝鮮の報道は金総書記が拉致謝罪したことを伝えていないようです。この体制も困ったもんですね。翻って、日本のマスコミに対する特効薬としてNHK新聞も欲しくなりました。活用自由で著作権無しが条件ですが、標準的な活字報道をNHK新聞にして貰って、他社は見解で特徴を出すようなのが良いですね。こういう観点から見れば、かの国の改革もこの国の改革も道のりが遠い気がします。


1884 返信 日朝首脳会談を予測する。 れんだいこ メール URL 2002/09/15 23:50
 小泉はんが長いアメリカ詣でから帰ってきた。帰って来るなり「日朝首脳会談:小泉首相、拉致問題優先の基本方針を最終確認」だと。毎日新聞によれば、小泉純一郎首相は15日午後、東京都内のホテルで福田康夫官房長官、安倍晋三官房副長官、竹内行夫外務事務次官らと朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問に向けた大詰めの協議を行い、日本人拉致問題が進展しなければ、国交正常化交渉は再開しないとの基本方針を最終確認した。また首脳会談後に発表される日朝共同宣言(仮称)には、日本人拉致問題について、北朝鮮の関与を認めない形で北朝鮮側の「遺憾の意」が盛り込まれる方向になった、とある。

 この間膝詰で交渉した相手はワシントンであり、どうやらそこで方針がガチガチに固まったらしい。思えば、田中角栄も日中国交回復交渉ではそういう手順を踏めば良かったのに。「8.31日ハワイのホノルル・クイリマホテルで日米首脳会談(田中.ニクソン会談)。アメリカ側は、ニクソン、キッシンジャー、日本側は田中、牛場信彦駐米大使。その後、ロジャーズ国務長官、大平外相が加わっている。この席で、中国問題、特に日中交渉、国際収支問題、日米貿易不均衡問題等が包括的に話し合われている。こうして。田中は、米国への根回しを終えた」が、一日では胸襟が開けていない。

 それと、「 9.25日田中首相一行が北京に向かった」が、間が三週間もあいておるので宜しくない。こたびの小泉さんのように直前までワシントンに居続けすべきだった。つまり、要領が悪かったということになるのかな。

 しかし、外務官僚には面子も何も無いのだな。全く打ち合わせが出来ていないことが見て取れるが、代わって下交渉しているから別に何とも無いという訳か。しかし、小泉はんは世界の外交史にあまり例の無いことをやってくれるな。マスコミも拉致疑惑優先一辺倒論をぶちまくっているので、こういうことはどうでもいいのだろうな。

 さて、17日の会談の推測をして見よう。恐らく金総書記は日朝百年の計からいろんな提案をするはずだ。事前にバカ殿だということは分かっているから、期待はしていまい。こうなると、小泉はんがどういうパフォーマンスをするかが興味深い。恐らく、会談の間中キョトンとして一つ覚えのことを云いぬくだろう。それ以上のことがありや無しや。恐らく無惨なことになり、誰も遠慮して云えなかったことを俺はちゃんと言って来たぞ、どうだと胸を張って帰ってくるシナリオ通りに進むだろう。

 それでも金総書記が食いつくのかつかないのかこの辺りに興味があるが、本音を云えば、おれんちの国も危ないけどあなたの国の破産も間近ですよ、お互い知恵を湧かしませんかという辺りを話したいのだろうが、何せ聞く耳持たずあらかじめ結論持ってきている御仁には馬耳東風なのでは無かろうか。そんな気がしますね。まっタカ派つうのがどの程度のものか見てみましょうか。


1887 返信 Re:日朝首脳会談を批評する。 れんだいこ メール URL 2002/09/17 19:48
 2002.9.17日毎日新聞インターネットで、「日朝首脳会談:4人生存、6人死亡を確認 金総書記が拉致謝罪」の見出しで次のような速報が為されている。

 概略、17日午前11時すぎから百花園迎賓館で金正日総書記と史上初の日朝首脳会談を行った。この中で北朝鮮側は、北朝鮮に拉致されたと日本政府が認定した8件11人のうち2件4人が生存、5件6人の死亡(他の1人は北朝鮮国内に入っていないと回答)、さらに日本人男性2人の死亡を確認したとして日本側に伝えた。金総書記は事件を謝罪した。(以下略)

 首相は会談で「(事前の)事務会合の(拉致問題に関する)情報提供には留意するが、(その内容には)大きなショックを受けた。強く抗議する。家族の気持ちを思うといたたまれない。二度と起こらないよう適切な措置をとってほしい」と強調した。

 これに対し、金総書記は「(拉致問題の)背景には数十年の敵対関係があった。70年代から80年代にかけ、特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走った。2つの理由がある。一つが特殊機関の日本語学習、二つ目が人の身分を利用して南鮮(韓国)に入るため。私が承知するに至り、責任ある人々は処罰した。これからは絶対にないようにしたい。遺憾であり、率直にお詫びしたい。二度と許すことはしない」と謝罪し、再発防止を約束した。(以下略)以上

 こうした遣り取りを経て「日朝平壌共同宣言」が署名され、双方は10月中に国交正常化交渉を再開することで合意したとのことである。

 問題は、10月からの国交正常化交渉再開ぶりに焦点が移されたが、こたびの会談をどう論評すべきか。れんだいこは次のように考える。詳細な遣り取り内容、声明の内容について未確認のままであるが、これは小泉政府の外交上の偉業であろう。正直、事態がこのように進展するとは予想し得なかった。断固たる小泉首相の決意と金総書記の聡明さがハーモニーしてかように胸襟を開かしめたと思われる。双方が実を取った会談となったことを祝す。

 付言すれば、金総書記が拉致問題の背景として挙げた「特殊機関の一部の妄動主義、英雄主義」自己批判は史的に珍しい。「これからは絶対にないようにしたい。遺憾であり、率直にお詫びしたい。二度と許すことはしないと謝罪し、再発防止を約束した」とあるが、この発言の波紋は今後も続くであろう、北朝鮮の政治システム上の欠陥をも滲ませており、余震があると思われる。

 してみれば、こたびの会談は、金総書記の日朝友好関係の樹立に向かう熱意の凄まじさを感じさせるものとなった。この英断の帰趨は今後の歴史の波間で証されるであろう。この決断を引き立たせた小泉首相がこれに如何に応えるのか、ふうむ暫く見守りたい。

1889 返信 Re:日朝首脳会談を批評する。 れんだいこ 2002/09/18 10:30
 一夜明けてみて思うことは、こたびの日朝首脳会談の予想を超えた歴史的成果ぶりである。事前のれんだいこ予想は、小泉はんが拉致問題の解決無くして協議は進まないと談判しぬき、朝鮮側がその一辺倒ぶりに辟易して物別れになるという、継続審議の含みを残しての決裂という筋書きであった。

 ところが、北朝鮮が拉致の史実を認め関係者の安否情報とお詫びと教訓を披瀝した。その他日本の主張に沿って協議が進行した模様である。そういう過程を経て日朝共同宣言が締結された。ここまでの流れを見れば、小泉はんのワンサイドゲームの観がある。外交史上特筆される偉業であろう。この後の日朝交渉がその分責任重大となった訳であるが、ブッシュ丸と野党の狭間でどのように櫓を漕ぐか見ものとなった。

 ところで、我が野党の反応が興味深いので少し検証する。民主党の鳩山代表は、「首相は国益損なった」として日朝首脳会談を批判している。「一言で言えば、小泉首相は急ぎ過ぎて国益を損なった。その責任はきわめて重い」、「北朝鮮側の説明を鵜呑みにしたままでの国交正常化交渉の再開は時期尚早と言わざるを得ず、大変残念だ」と強調した、とある。

 要するに、日朝共同宣言に署名すべきでなかった論である。れんだいこに云わせれば、まことにナンセンスな観点であるように思う。突っ込み不足の面があるが共同宣言署名に漕ぎ着けたのはひとまずの成果であったと談話するのが然るべき政治家の証であろうに。鳩山を民主党の代表に居続けさせるならば、この党は無能により自滅的解体へ向かわざるを得ないであろう。

 自由党はどうか。自由党幹事長藤井氏が談話を発表し、「それにもかかわらず、北朝鮮への経済協力に向けて正常化交渉の再開を急ぐのは本末転倒である」論を述べている。「首脳会談の結果を見ても、共同宣言の内容を精査しても、事前に官僚同士で合意していたものをそのまま発表したにすぎず、小泉総理の政治パフォーマンスと言わざるを得ない。このような外交は、わが国の平和と安全にとって深刻な災いのもととなる」とも評している。

 自由党もダメだこれは。「北朝鮮への経済協力に向けて正常化交渉の再開を急ぐ」のを「本末転倒である」などという方が本末転倒しているだろう。北朝鮮の最高指導者が国の威信もあろうに謝罪した重みを踏まえる観点が全く欠落している。こたびの談話は藤井の識見の軽々しさを見せたと云って良かろう。民主党も自由党も自民党より数等倍劣っているのが良く分かる。

 次に公明党はどうか。神崎代表が、「拉致死亡は痛恨の極み、歴史的な一歩開いた日朝合意」と要約し、「今回の小泉首相の訪朝によって、日朝間の懸案事項を解決しつつ国交正常化に向けての合意がなされたことは、新しい歴史の1ページを切り開いたものと思う」と評している。

 この見解がポイントを掴んでおり、基準となるべきであろう。公明党が近年着々と力を付けているのは、こういう歴史を観る眼の確かな者が指導部に居るからであろう。

 他のメジャー政党として社民党と共産党を見れば、今のところコメントが見当たらない。恐らく党内外に向けての無難なコメントを書いては消し、直しを繰り返しているのだろう。

 総評として思うことは次のことである。小泉はんの毅然たる決意によってか、北朝鮮の窮状によってか、歴史の偶然か必然か、まさに九官鳥が胸に飛び込むような「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」式の芸当を金総書記にさせることになった。小泉は予想外の現場に踏み込んだことになる。これを弄ぶのかその意を受け止めるのか、当面小泉はんに負託される形になった。今後どういう歩みになろうとも、小泉はんの胸中に政治が真剣勝負であることを生涯刻み続けるであろう。

1998 返信 日朝交渉決裂について れんだいこ メール URL 2002/10/31 11:03
 日朝交渉は案の定決裂しました。日本側代表団(団長・鈴木勝也大使)のこたびの交渉振りなら、どっかそこらの北方領土返せ論をぶっている者に机叩いて貰った方が手っ取り早かった。ブッシュの意向から一歩も出られないのなら、そも共同宣言なぞ署名せねば良いのだ。

 これだけ衆人環視と関心の中にあるのだから、帰国者5名が一旦戻って家族会議開いて対応するという流れでどこがおかしいのだろう。帰国者5名が再入国できないなどとなったら一挙にきな臭くなるだろう。それを思えば、帰国者5名が我が政府により拉致されねばならない理屈は無かろう。

 核の持ち出しもアメリカ仕込みの流れだ。要するに先走って日朝交渉させないというシナリオだろうが、我等が新聞は結構なことで筋書き通りに囃し立ててらぁ。


1989 返信 拉致事件再考 れんだいこ メール URL 2002/10/27 11:43
 田川氏の「戦後日本革命運動史1」を読み進めておりますが、資料的に貴重なものが盛りだくさんです。戦後の日本と朝鮮の動きが並行的に記録されており為になります。思えば、拉致事件も、こうした歴史の中で読み取らねばならないのかも知れません。

 戦前の日本軍国主義の行為との相殺論よりも、「我が党はかねてよりこの種の事件の解明を云っていた、いや云うのが弱かった、そんなことはない取り組みはしなかったけど玉虫色だけどいろいろ饒舌していた」論よりも、ヤルタ体制以降翻弄され続けてきている朝鮮史の流れで位置付けるほうが望まれているのではないでせうか。

 日・韓・朝はそれぞれのお国柄に相応しい歩みをしておりますが、微妙に連動しており、この相互関係総体としての認識の上で拉致事件も俎上に乗せられないといけないのではないか、と思います。このスタンスを獲得しつつ、批判は手加減不要で根限りしないといけないと思います。それらを踏まえた上で問題は今後の舵取りにあると思います。

 拉致事件の被害者はそうした歴史の綾の中で直接的に翻弄された当事者です。人道的に扱われるべきことを北朝鮮にも日本政府にも主張し得る絶対根拠を持っているように思います。今後の身の振り方を含めて両国が国の面目において配慮せねばならない責任があると思います。生活権、子供の問題、夫婦の問題において叡智を寄せて解決せねばならないと思います。それを為すのが政治だと思います。

 聞くところによると、こたびの渡航・滞在費についても日本政府の対応はかなりシビアらしい。お上の腐敗は見逃して和気藹々で、こう云うときには厳格になるという習性をこたびも発揮しているらしい。その癖、再出国させないと云う。そういうからには、どういう待遇が為されているのか、為され続けるのか、こういう関心が誰にでも湧くところです。安倍はんから聞いてみたいところです。

 マスコミは情宣活動ばかりせず、こうした普通の疑問をも取り上げるべきではないでせうか。既に口コミ世界では我が身に引き換えた時のこういうところに関心が移っているように思います。

1988 返信 不謹慎ながら...... れんだいこ メール URL 2002/10/26 19:25
 10.26日「永住帰国問題 日朝交渉我慢くらべ」とある。29日に再開される日朝国交正常化交渉は冒頭から、この問題で紛糾する可能性が出てきた。

 29日の交渉で、日本側は5人の家族の早期来日を冒頭に持ち出し、北朝鮮側との新たな合意作りを目指すが、北朝鮮側の出方は読み切れない。2日間の正常化交渉の期間中に結論が出ない可能性もある。家族が来日できない状態が長期化すれば、5人に動揺が広がることも予想される、とある。

 こういうのを称して「ラチが開かない」と云う。昔の人はうまいこと云うもんだねぇ。












(私論.私見)