福本テーゼ

【「福本テーゼ」について】
 従来、テーゼ考において、1926.12.4日の共産党再建大会(第二次共産党結成大会)を指導した福本イズムをそれとして評する観点が見られない。しかし、れんだいこ史観によると、22年テーゼと27年テーゼの谷間に咲いた福本テーゼを顧慮せずんばおれない。もっとも、福本テーゼという言葉は史上に存在しない。それを用いるのはどうかと思うが、第二次共産党結成時の党理論として位置づけ、これを福本テーゼと呼ぶのに何ら差し支えないと思うので、以下れんだいこの造語により福本テーゼと云うことにする。

 では、福本テーゼにはどのような特徴が見られるのか、これを概略しておくことにする。その1・日本資本主義急速没落論の否定。その2・平板的二段階革命論から急速転化型二段階革命論への深化。つまり、まずはブルジョア民主主義革命という論に対し、急速にプロレタリア革命に転化するブルジョア民主主義革命の展望を打ち出した。その3・山川イズム的合法主義運動ではなく、前衛的組織論の下での運動を指針させた。これに基づく「山川氏の方向転換論の転換より始めざるべからず」論文が熱狂的に支持された。その4・明治維新のブルジョア革命性の評価。従来、封建革命として重視されなかったが、これを積極的に評価していた。その5・明治維新後の体制を絶対主義的天皇制と規定した。従来、封建的天皇制と近代的ブルジョア体制との両極端の論旨か無かったが、動態的に絶対主義的天皇制と規定した。その6・直接社会主義革命論の否定。

 概要以上のような特質を認めることが出来るように思われる。ここではこれ以上言及しないが、そのいずれも大いに議論されるべき内容を持っているように思われる。だがしかし、この福本テーゼがコミンテルンに否定されることにより一挙に放擲されていくことになる。




(私論.私見)