日共の破防法適用批判論考

 更新日/2016.4.3日

 【日共の破防法適用批判論考】
 ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK203 」の無段活用氏の 2016 年 3 月 31 日日付投稿「 「日本共産党と破壊活動防止法に関する質問主意書をめぐって」(衆議院・日本共産党中央委員会)」を転載しておく。
  (衆議院)
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a190189.htm

 平成二十八年三月十四日提出 質問第一八九号

 日本共産党と「破壊活動防止法」に関する質問主意書提出者 鈴木貴子

 日本共産党と「破壊活動防止法」(以下、「破防法」とする)に係る、過去の政府答弁を踏まえ、以下質問する。

 
 「破防法」で定める、暴力主義的破壊活動とはどのような活動であるか説明を求める。

 
 昭和五十七年四月一日、第九十六回国会、参議院法務委員会に於いて、公安調査庁は「破防法」に基づく調査対象団体として、左翼関係として七団体、右翼関係として八団体ある旨答弁されていると承知するが確認を求める。

 
 二にある「左翼関係として七団体」に日本共産党は含まれているか、また、平成十一年十二月二日、第百四十六回国会、参議院法務委員会に於いても、「公安調査庁長官にお尋ねしますが、平成元年の二月に衆議院の予算委員会で不破委員長が、共産党が破防法の調査対象団体になっていることについて質疑していますが、今日でも調査対象団体でしょうか。国民の多くはまさかと思っているんじゃないかと思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。」との質問に、「御指摘の点につきましては、今日でも調査対象団体でございます。」と答弁されているが、現在も公安調査庁は、日本共産党を「破防法」に基づく調査対象団体と認識しているか、確認を求める。

 
 昭和五十七年四月二十日、第九十六回国会、衆議院地方行政委員会に於いて、警察庁は「ただいまお尋ねの日本共産党につきましては、民青を含めまして、いわゆる敵の出方論に立ちました暴力革命の方針を捨て切っていないと私ども判断しておりますので、警察としましては、警察法に規定されます「公共の安全と秩序を維持する」そういう責務を果たす観点から、日本共産党の動向について重大な関心を払っている」旨答弁されているが、現在も警察庁は、日本共産党は暴力革命の方針を捨て切っていないと認識されているか、見解を求める。

 
 昭和二十年八月十五日以後、いわゆる戦後、日本共産党が合法政党となって以降、日本共産党及び関連団体が、日本国内に於いて暴力主義的破壊活動を行った事案があるか確認を求める。

 
 平成元年二月十八日、第百十四回国会、衆議院予算委員会において、石山政府委員が述べられている、日本共産党のいわゆる「敵の出方論」、並びに、同委員会に於ける不破委員の「政権についたときにその共産党の入った政権なるがゆえに従わないという勢力が出た場合、そういう勢力がさまざまな暴挙に出た場合、それに対して黙っているわけにはいかない、そういうのは力をもってでも取り締まるのが当たり前だ、これは憲法に基づく政府の当然の権利でしょう。そういうことについて我々は綱領に明記しているわけです。」に対する政府の見解を求める。

 右質問する。
 (衆議院)
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190189.htm

 平成二十八年三月二十二日受領 答弁第一八九号

 内閣衆質一九〇第一八九号 平成二十八年三月二十二日


 内閣総理大臣 安倍晋三 

 衆議院議長 大島理森 殿

 衆議院議員鈴木貴子君提出日本共産党と「破壊活動防止法」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 衆議院議員鈴木貴子君提出日本共産党と「破壊活動防止法」に関する質問に対する答弁書

 一について

 暴力主義的破壊活動とは、破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)第四条第一項各号に掲げる行為をいう。具体的には、刑法上の内乱、内乱の予備又は陰謀、外患誘致等の行為をなすこと、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもって刑法上の騒乱、現住建造物等放火、殺人等の行為をなすこと等である。

 二及び三について

 御指摘の昭和五十七年四月一日の参議院法務委員会において、鎌田好夫公安調査庁長官(当時)が、破壊活動防止法に基づく当時の調査対象団体の数について「いわゆる左翼系統といたしまして七団体、右翼系統といたしまして八団体程度」と答弁し、当該調査対象団体の名称について「左翼関係としましては日本共産党・・・等でございます」と答弁している。日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である。

 四について

 警察庁としては、現在においても、御指摘の日本共産党の「いわゆる敵の出方論」に立った「暴力革命の方針」に変更はないものと認識している。

 五について

 お尋ねのうち、「関連団体」については、その具体的な範囲が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、日本共産党が、昭和二十年八月十五日以降、日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している。

 六について

 お尋ねについては、御指摘の平成元年二月十八日の衆議院予算委員会において、石山陽公安調査庁長官(当時)が、御指摘の不破哲三委員の発言を踏まえて、「昭和三十六年のいわゆる綱領発表以降、共産党は議会制民主主義のもとで党勢の拡大を図るという方向で着々と党勢拡大を遂げられつつあることはお示しのとおりでございます。ただ問題は、それは政治的な最終目標であるのかあるいは戦略または戦術の手段であるのかということの問題でございます。私どもはそれらに対しまして、今冷静な立場でもって敵の出方論何かにつきましても調査研究を進めておる段階でございまして、今のところその結果として直ちに公党である共産党に対し規制請求すべき段階に立ち入っているとは思わないから請求もしていないということであります。なお、敵の出方論について今御教示を賜りましたが、一つだけ私からも申し上げておきたいことがございます。御存じのとおり、政権確立した後に不穏分子が反乱的な行動に出て、これを鎮圧するというのは、たとえどなたの政権であろうとも当然に行われるべき治安維持活動でございます。ところが敵の出方論という中には、党の文献等を拝見しておりますると、簡単に申しますと、三つの出方がございます。一つは、民主主義の政権ができる前にこれを抑えようという形で、不穏分子をたたきつけてやろうという問題であります。それから第二には、民主主義政権は一応確立された後に、その不満分子が反乱を起こす場合。三番目は、委員御指摘のような事態であります。ですから、それらにつきまして一部をおっしゃっておりますけれども、その全部について敵の出方論があり得る」と答弁しているとおりである。
 (日本共産党中央委員会)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-03-24/2016032401_03_0.html

 2016年3月24日(木)

 「議会の多数を得ての革命」の路線は明瞭 政府の「暴力革命」答弁書は悪質なデマ

 政府は22日の閣議で、鈴木貴子衆院議員の「日本共産党と『破壊活動防止法』に関する質問主意書」への答弁書を決定しました。このなかで政府は、日本共産党について「現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」とし、戦後、「暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」とか、「現在においても…『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はない」などといっています。これは党の綱領路線を百八十度ねじまげ、歴史の事実を歪曲(わいきょく)した悪質なデマです。

 「敵の出方論」=「暴力革命」が成り立たないことははるか前に決着ずみ

 「敵の出方論」をもちだして「暴力革命」の根拠とする議論が成り立たないことは、政府答弁が引用している1989年2月18日の衆議院予算委員会における不破哲三副議長(当時)と石山陽公安調査庁長官(当時)との論戦でも決着ずみのものです。

 同委員会で不破氏は、国民多数の支持のもとに政権を目指す日本共産党の綱領路線を説明し、「敵の出方論」について、日本共産党など統一戦線勢力が選挙で勝って政権についたとき、これに従わない勢力が暴挙に出た場合に、政府が取り締まることは憲法に基づく当然の権利であることを解明しました。これに対し、石山長官は、「政権を確立した後に、不穏分子が反乱的な行動に出てこれを鎮圧するというのは、たとえどの政権であろうとも、当然行われるべき治安維持活動です」と答えざるをえませんでした。

 その一方で、石山長官は、「敵の出方論」について、「民主主義の政権ができる前にこれを抑えようという形で、不穏分子をたたきつけてやろうという問題」もあると答弁しました。

 これに対しても、不破氏は、1970年の第11回党大会決議の「人民の政府ができる以前に、反動勢力が民主主義を暴力的に破壊し、運動の発展に非平和的な障害をつくりだす場合には、広範な民主勢力と民主的世論を結集してこのようなファッショ的攻撃を封殺することが当然の課題となる」との文言を読み上げ、反論しています。

 日本共産党が、かつての一連の決定で「敵の出方」を警戒する必要性を強調していたのは、反動勢力を政治的に包囲して、あれこれの暴力的策動を未然に防止し、社会進歩の事業を平和的な道で進めるためであって、これをもって「暴力革命」の根拠とするのは、あまりに幼稚なこじつけであり、成り立つものではありません。それは、国会の質疑でもはるか前に決着ずみのことです。

 日本共産党の綱領には、「『国民が主人公』を一貫した信条として活動してきた政党として、国会の多数の支持を得て民主連合政府をつくるために奮闘する」こと、さらに将来の社会主義的変革についても、「国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力」をつくるのをはじめ、「社会の多数の人びとの納得と支持を基礎に、社会主義的改革の道を進む」ことを明らかにしています。

 「議会の多数を得て社会変革を進める」――これが日本共産党の一貫した方針であり、「暴力革命」など縁もゆかりもないことは、わが党の綱領や方針をまじめに読めばあまりに明瞭なことです。

 党の正規の方針として「暴力革命の方針」をとったことは一度もない

 政府答弁書では、日本共産党が「暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」と述べています。1950年から55年にかけて、徳田球一、野坂参三らによって日本共産党中央委員会が解体され党が分裂した時代に、中国に亡命した徳田・野坂派が、旧ソ連や中国の言いなりになって外国仕込みの武装闘争路線を日本に持ち込んだことがあります。しかし、それは党が分裂した時期の一方の側の行動であって、1958年の第7回党大会で党が統一を回復したさいに明確に批判され、きっぱり否定された問題です。日本共産党が綱領路線を確立した1961年の第8回党大会では、日本の社会と政治のどのような変革も、「国会で安定した過半数」を得て実現することをめざすことを綱領上も明確にしました。これは外国の干渉者たちが押しつけてきた武装闘争方針を排除したことを綱領上はっきり表明したものでした。

 日本共産党は、戦前も戦後も党の正規の方針として「暴力革命の方針」をとったことは一度もありません。歴史の事実を歪曲した攻撃は成り立ちません。

 憲法が保障する結社の自由に対する重大な侵害行為をやめよ

 今回の政府答弁書は、このような使い古しのデマをもとに、今もなお日本共産党を「破壊活動防止法に基づく調査対象団体」だとしています。しかし、前述の1989年2月18日の衆院予算委員会での不破氏の追及の前に、石山公安調査庁長官は、当時までの36年間にわたって、「現実に規制の請求を致したことはありません」と述べ、「暴力革命」の「証拠」がそれまでに一つとして見つからなかったことを認めました。その後も、27年間が経過していますが、公安調査庁が多額の国民の税金を使い、不当な手段を弄(ろう)して日本共産党への「調査活動」を行っているにもかかわらず、「暴力革命」の「証拠」など、一つもあげることなどできません。天下の公党である日本共産党に対して、「暴力革命」という悪質なデマにもとづいて、不当な監視、スパイ活動を行うことは、憲法の保障する結社の自由にたいする重大な侵害であり、ただちにやめるべきです。
-付録-ニーメラー牧師の有名な箴言
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%88%9D%E5%85%B1%E7%
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 Als die Nazis die Kommunisten holten

 Als die Nazis die Kommunisten holten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Kommunist.

 Als sie die Sozialdemokraten einsperrten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Sozialdemokrat.

 Als sie die Gewerkschafter holten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Gewerkschafter.

 Als sie mich holten, gab es keinen mehr, der protestieren konnte.

 ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき

 ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
 私は共産主義者ではなかったから
 社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
 私は社会民主主義ではなかったから
 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
 私は労働組合員ではなかったから
 そして、彼らが私を攻撃したとき
 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

「坑道のカナリア」という言葉があります。


 何時ガスが出て中毒死するかもしれない危険な炭鉱には必ず籠に入れたカナリアを持っていく。もし有毒ガスが出始めれば、まずカナリヤが死に、それを見た鉱夫達は自分ではガスを吸い始めていることに気付いていなくてもあわてて外に逃げ、難を逃れることができる。


 元北海道開発庁長官にして新党大地代表を務めた鈴木宗男の長女の貴子は、2009年、日本放送協会(NHK)に入局。長野放送局でディレクターを務めていたが、2012年の第46回衆議院議員総選挙に、公民権停止中のため立候補できない父に代わり、NHKを退職して北海道7区から新党大地公認で出馬したが落選した。ところが、2013.5.21日、比例北海道ブロック選出の石川知裕が衆議院議員を辞職。同年5.31日、中央選挙管理会が比例北海道ブロック次点の鈴木貴子の繰り上げ当選を決定し衆議院議員となった。同年5.3日に告示された2014年の第47回衆議院議員総選挙で民主党公認で北海道7区から出馬、比例北海道ブロックで再選された。2016.2.26日、4月に実施される北海道第5区の補欠選挙において日本共産党と共同歩調を取る民主党の対応を「国家観が全く異なる。今のままでは地元有権者との約束を果たせない」と批判、民主党に離党届を提出した。党は受理せず、3.1日、除籍処分に附した。民主党幹事長の枝野幸男は、比例代表での当選は民主党の党名を書いた有権者の議席だから議員辞職せよとの旨を伝えたが拒否された、と述べている。

 2016(平成28).3.14日、無所属になった鈴木貴子が、「質問第189号/日本共産党と破壊活動防止法に関する質問主意書」を日本政府に提出した。論旨は、「共産党は現在でも破壊活動防止法の調査対象になっているか」と問うている。これを前者質問とする。もう一つ「日本共産党へのソ連からの秘密資金援助疑惑に関する質問主意書」を提出している。これを後者質問とする。その回答が政界に波紋を呼んでいる。小生は看過しようかと思ったが、そうもできぬ内容になっているので本ブログに記帳しておく。これを仮に「鈴木貴子の日本共産党問題質疑事件」(略して「鈴木貴子の日共問題質疑事件」)と命名しておく。

 「鈴木貴子の日共問題質疑事件」は、鈴木貴子が何故にこの時期に日本共産党の合法性如何を問うたのか、その背景にあるものに興味を覚える。鈴木貴子一人の知恵での質問とは思えないので、背後にある者たちの意図を探りたい。それが鈴木貴子を取り巻く個人的グループなのか、もっと大がかりな政治権力グループなのか、目下の時点では見えてこないので引き続き追跡していくことにする。それはそれとして、本件で、れんだいこが興味を覚えたのは、政府答弁、その答弁に対する批評家の答弁批判の方ではない。政府答弁に反論した日本共産党の反論の方に重大な疑念を持つ。これについては速攻で表明できるので発表しておく。以下、順に確認しておく。

 3.22日、政府は、日本共産党について次のような答弁書を決定した。「日本共産党は、現在においても破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」、「警察庁としては、現在においても共産党の『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している。共産党は(合法化した)昭和20年8月15日以降、日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがある。警察庁としては暴力革命の方針に変化はないと認識している」。後者質問については次のように述べている。「お答えすることは困難である。該当するとみられるようなものは見当たらない」。

 鈴木宗男は「鈴木宗男ブログ」の「5.22日ムネオ日記」で次のように述べている。

 鈴木貴子代議士が出した日本共産党と「破壊活動防止法」に関する質問主意書に答弁書が出た。 「日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」と答えている。 また「政府としては日本共産党が昭和20年8月15日以降、日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している」「警察庁としては、現在においても、御指摘の日本共産党の『いわゆる敵の出方論』に立った『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」とも答えている。政府答弁書は閣議決定で決済される。国会答弁よりも重いと私は認識している。この答弁書から見る限り、このような団体と選挙協力する民主党から離党した鈴木貴子代議士の判断は正しいものと理解するものである。

 れんだいこが興味を覚えるのは、日本共産党がこれにどう抗弁、反論したかである。まずは党書記局長・山下芳生の22日記者会見のコメントを確認しておく。

 概要「このタイミングの質問は、力を合わせて安倍晋三政権打倒を掲げる5野党に不当な攻撃を加えたいとの意図を感じる。政府の答弁書の時代錯誤の方が問題である。私たちは、日本の政治社会の変革については、言論や選挙を通じて、国民と共に一歩一歩、進歩させ前進させるという立場に立っており、日本共産党には憲法違反の破壊活動防止法の対象になるようなことは、過去にも、現在にも、将来にも一切ない。憲法上の結社の自由に対する不当な侵害であり、改めて厳重に抗議し、答弁書の撤回を求めたい。公安調査庁は、存在意義のない行政機関になっており、速やかに解散すべきである」。

 山下芳生のコメントは役職上のものだからひとまずは看過しよう。問題は、政府答弁を批判する側の論調である。概要次のように擁護している。
 「今の共産党に暴力革命の疑いなど全くないことは政府の公安組織が一番調査しつくしている。本当に怖いのはだれなのか。共産党が暴力革命を起こす可能性など皆無であり、安倍政権が戦争を始める危険性の方が何万倍も高い」。

 このような立場からの共産党擁護、政府答弁批判が通り相場になっているようだが、私には噴飯もののエセ擁護にしか聞こえない。とはいえひとまずは看過しよう。

 看過し難いのは、2016年3月24日付け赤旗の「議会の多数を得ての革命の路線は明瞭 政府の暴力革命答弁書は悪質なデマ」の内容である。以下、これを解析する。問題は執筆者名も責任機関も明らかにされておらず初手から怪しい内容になっている。

 赤旗は、政府答弁書に対し、「これは党の綱領路線を百八十度ねじまげ、歴史の事実を歪曲した悪質なデマです」と談じている。「敵の出方論」について次のように述べている。

 「敵の出方論」をもちだして「暴力革命」の根拠とする議論が成り立たないことは、政府答弁が引用している1989年2月18日の衆議院予算委員会における不破哲三副議長(当時)と石山陽公安調査庁長官(当時)との論戦でも決着ずみのものです。同委員会で不破氏は、国民多数の支持のもとに政権を目指す日本共産党の綱領路線を説明し、「敵の出方論」について、日本共産党など統一戦線勢力が選挙で勝って政権についたとき、これに従わない勢力が暴挙に出た場合に、政府が取り締まることは憲法に基づく当然の権利であることを解明しました。これに対し、石山長官は、「政権を確立した後に、不穏分子が反乱的な行動に出てこれを鎮圧するというのは、たとえどの政権であろうとも、当然行われるべき治安維持活動です」と答えざるをえませんでした。

 日共の論旨が今一つ分かりにくいのだが、「敵の出方論」、「暴力革命」の問題を、政権取る過程での暴力革命、その戦略戦術としての「敵の出方論」として論ずるのではなく、不破お得意のすり替え欺瞞論法で、日本共産党等の民主連合政権が政権奪取した際の、これに従わない勢力の暴挙問題が「敵の出方論」としているようである。これについては「政府が取り締まることは憲法に基づく当然の権利である」としている。石山長官の「政権を確立した後に、不穏分子が反乱的な行動に出てこれを鎮圧するというのは、たとえどの政権であろうとも、当然行われるべき治安維持活動です」を誇らしげに引用しているがバカ染みていよう。

 こういう論法ならば、現政権の取締り治安対策が丸ごと肯定されよう。なぜなら、手前たちも政権とったら同じことをすると公言しているようなものだから。こういうやりとりを自慢げにしているところが解せないというか気色悪い。日共はどうも石山長官発言がお気に入りなようで、「民主主義の政権ができる前にこれを抑えようという形で、不穏分子をたたきつけてやろうという問題もある」答弁を紹介し、これに対して不破が1970年の第11回党大会決議の「人民の政府ができる以前に、反動勢力が民主主義を暴力的に破壊し、運動の発展に非平和的な障害をつくりだす場合には、広範な民主勢力と民主的世論を結集してこのようなファッショ的攻撃を封殺することが当然の課題となる」との文言を読み上げ反論したとしている。これも同様の気色悪い発言である。これによると、政権も反政権側も互いに敵対勢力を封殺することを是認し合っている。具体的な手段を確認していないだけのことである。

 日共は次のようにも云う。

 日本共産党が、かつての一連の決定で「敵の出方」を警戒する必要性を強調していたのは、反動勢力を政治的に包囲して、あれこれの暴力的策動を未然に防止し、社会進歩の事業を平和的な道で進めるためであって、これをもって「暴力革命」の根拠とするのは、あまりに幼稚なこじつけであり、成り立つものではありません。それは、国会の質疑でもはるか前に決着ずみのことです。

 既に述べたが、不破お得意のすり替え欺瞞論法を満展開させている。 

 日共は次のようにも云う。

 日本共産党の綱領には、「『国民が主人公』を一貫した信条として活動してきた政党として、国会の多数の支持を得て民主連合政府をつくるために奮闘する」こと、さらに将来の社会主義的変革についても、「国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力」をつくるのをはじめ、「社会の多数の人びとの納得と支持を基礎に、社会主義的改革の道を進む」ことを明らかにしています。「議会の多数を得て社会変革を進める」――これが日本共産党の一貫した方針であり、「暴力革命」など縁もゆかりもないことは、わが党の綱領や方針をまじめに読めばあまりに明瞭なことです。

 ここの下りも大いに問題がある。日共の議会専一主義、議会制民主主義の粋としての多数派政権主義、多数決決定主義は現下の方針としてはそれで良かろうが、「これが日本共産党の一貫した方針であり、暴力革命など縁もゆかりもない」と云うのは云い過ぎと云うより無茶であろう。そのことは、「わが党の綱領や方針をまじめに読めばあまりに明瞭なことです」もいただけない。仮に現在の綱領や規約や方針がそうだったとしても党史としてのそれがどうだったのか確認すれば、ウソであることが「あまりに明瞭なことです」と云わざるをえまい。そういうウソがばれるから何かと党史を隠しまわっているのだけれども。だかられんだいこが暴きまくっているのだけれども。

 こういうウソが以下根限り続く。「党の正規の方針として暴力革命の方針をとったことは一度もない」の見出しで、かっての朝鮮動乱時の武装闘争路線をは党中央委員会が解体され党が分裂した時代の中国に亡命した徳田・野坂派の暴挙であって、「1958年の第7回党大会で党が統一を回復したさいに明確に批判され、きっぱり否定された」と云う。仮に片割れであれ、同じ党名で活動していた訳であるし、それまでは同志であるからして共同責任を引き受けるのが普通であり、関係ない宣言は無責任と云うものだろう。よって、「日本共産党は、戦前も戦後も党の正規の方針として暴力革命の方針をとったことは一度もありません。歴史の事実を歪曲した攻撃は成り立ちません」と言い切られると頭がくらくらさせられてしまう。

 日共は破防法問題でも石山公安調査庁長官答弁を引き出している。1989年2月18日の衆院予算委員会での不破氏の追及の前に、石山公安調査庁長官は、当時までの36年間にわたって、「現実に規制の請求を致したことはありません」と述べ、「暴力革命」の「証拠」がそれまでに一つとして見つからなかったことを認めた云々。権力側が破防法を適用しなかったこと、暴力革命の証拠が一つとして見つからなかったことを手柄のように吹聴しているが、それほど自慢すべきことだろうか。何か違うと思う。

 次のようにも云う。

 「この破防法はもとももと東西冷戦下の1952年に共産党を排除する政治的な目的でつくられた法律。しかしこの間、なんの具体的な成果も上げられず、破防法も公安庁も、自民党や警察関係者にすら「無用の長物」「予算の無駄遣い」と冷笑されてきた存在なのだ」。

 しかしそれを云うなら、ロッキード事件で、前首相の田中角栄を逮捕するのに、死に法と化していた外為法違反で逮捕した時、何も問題にせず角栄糾弾に精出していた過去履歴と辻褄合わせんとな。

 最後に。不破の上手過ぎる口にやられてしまうので、石山公安調査庁長官答弁に関する安倍政権側の認識を確認しておくと特段に日本共産党が例示するほどの弁を述べていない。




 



(私論.私見)