共産党の党首公選考その3 |
更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5).3.29日
3.20日、「共産党が松竹伸幸氏に続き“京都の実力者”も除名の異常事態 問われる「市田」「穀田」の人間性」。 全国の有権者は心底、呆れている──。毎日新聞(電子版)は3月16日、「共産が志位氏の辞任求めた党員を除名 『分派活動』と認定」との記事を配信、YAHOO! ニュースのトピックスにも転載された。今年に入って日本共産党は党員の除名処分を“乱発”しているのだ。担当記者が言う。 *** 「今回、除名処分が下されたのは、ジャーナリストで党員の鈴木元さん(78)です。年齢からも分かる通り、まさに“古参党員”です。京都は共産党が推薦した候補者が市長選や府知事選で当選するなど、強固な支持基盤を構築しています。鈴木さんは、その立役者と言っていいでしょう」 念のため、京都の首長選で共産党の支援を受けた候補が当選した事例について説明しておこう。 1950年、蜷川虎三氏(1987~1981)が共産党や労組を含む全京都民主戦線統一会議(民統)推薦で京都府知事選に立候補し、当選を果たした。 さらに1967年、富井清氏(1903~1974)が日本社会党・日本共産党や府市内の労働組合に加え府医師連盟などで作る「全京都市民会議」の推選で京都市長選に立候補、当選を果たしている。 京都で鈴木氏を慕う党員は多いという。党のために長年尽力してきた古参党員を切り捨てたのは、今年1月、鈴木氏が『志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って』(かもがわ出版)を上梓したからだ。 「鈴木氏は自著で志位和夫委員長(68)の辞任を求め、党首公選制の導入を主張しました。同じく1月、ジャーナリストで党員だった松竹伸幸氏が『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)を上梓し、党首公選制の導入を訴えたところ、2月に除名処分が下りました。全く同じ構図だと言えます」 2冊の著作はどちらも今年1月に出版された。松竹氏は2月に除名されたが、鈴木氏は3月まで除名されなかった。 抵抗した京都の共産党 この“タイムラグ”に一部のメディアが着目した。デイリー新潮も3月14日、「共産党のダブルスタンダード 『党首公選』を主張した1人は除名、1人はスルー」との記事を配信している。 「鈴木氏の著書を出版した『かもがわ出版』の本社は京都市にあります。しかも、2006年に入社した松竹さんが編集主幹を務めているのです。党首公選制を主張しただけで除名されるのはおかしいと思う人は多いでしょうが、それは別として、共産党は松竹さんを除名したのですから、鈴木さんも除名しなければ道理が通りません」(同・記者)。もともと松竹氏は東京で党活動に従事してきたため、京都では“新参者”だ。一方の鈴木氏は、まさに京都の共産党を代表する人物だと言える。 “京都の実力者”である鈴木氏のクビを切るのは、共産党にとっては相当な“難事業”だったようだ。京都の共産党に詳しい関係者が言う。 「松竹氏の除名処分は、共産党の京都府委員会が決定し、中央委員会が承認しました。ところが、鈴木氏の場合、『松竹氏と同じように除名処分にすべき』という議論にはなったのですが、府委員会では『除名はおかしい』という反対意見も根強く、なかなか決定を下せなかったのです」 。 |
大学教授も批判 除名を巡る議論は、なかなか進まない。この状況に噛みついたのが、元参議院議員で共産党副委員長の市田忠義氏(80)だった。2月5日に自身のFacebookに「鈴木元氏も予想していた通りの転落ぶりですね。『俺が俺が』の人物の哀れな末路を見る思いがします」と投稿したのだ。 この投稿は後に削除されたが、リアルタイムで閲覧した関係者がTwitterにキャプチャー画像や感想を投稿している。 さらに、穀田恵二・国対委員長(76)も3月15日の記者会見で鈴木氏を「けしからん」と批判し、処分をどうするのか記者に質問されると「調査中」と答えた。 「結局、党中央はどうしても鈴木氏を除名したかったのでしょう。府委員会での決定プロセスを飛ばし、『中央委員会で除名処分を承認』という荒技で決着を図りました。とはいえ、鈴木氏を慕う党員の多さと党の焦りも浮き彫りにしたと言えます。もちろん鈴木氏は除名の決定プロセスがおかしいことは承知しており、これから正面切って批判するに違いありません」(同・関係者) YAHOO! ニュースに転載された毎日新聞記事のコメント欄に、一橋大学大学院社会学研究科教授の中北浩爾氏が《もうため息しか出ません》と投稿している。 《綱領や規約の解釈権を党指導部が独占し、それに基づき処分を行う。党内民主主義が十分に機能していないことを示しています》 内ゲバと同じ Twitterでも批判の声が相次いだ。《完全なる言論弾圧》、《言論の自由のない全体主義政党の共産党》、《共産党の下部員には言論の自由はなく、志位氏の独裁は続く》――という具合だ。 「批判が相次ぐのは当然ですが、『綱領や規約の解釈権』とか『言論弾圧』などの指摘は、やや高尚すぎるかもしれません。実際のところ、そんな次元の話ではないのです。除名騒動は人間関係の対立が原因で、要するに醜悪なケンカです。登場人物の経歴を見れば簡単に分かります」(同・関係者) 以下に市田、鈴木、穀田、松竹4氏の経歴を、世代が分かりやすいよう元号も併記して紹介する。 市田氏は1942(昭和17)年に大阪府で生まれ、立命館大学法学部の夜間部を卒業。1988(昭和63)年に日本共産党京都府委員会委員長に就任した。鈴木氏は1944(昭和19)年に同じく大阪府で生まれ、立命館大学経済学部を卒業。その後は日本共産党京都北地区委員会や府委員会で常任委員を務めた。 穀田氏は1947(昭和22)年に岩手県で生まれ、立命館大学文学部を卒業。1987(昭和62)年に共産党の公認候補として京都市議選に立候補して当選。1993(平成5)年の衆議院議員選挙で旧京都1区から立候補して当選を果たした。 一方、松竹氏は1955(昭和30)年に長崎県で生まれており、上の3人とは世代が違う。高校は兵庫の県立高校だったが、大学は東京の一橋大学を卒業。その後は日本民主青年同盟(民青同盟)役員、日本共産党国会議員秘書などを歴任した。 「市田さん、鈴木さん、穀田さんの3人は同じ立命館大学のOBで、京都での党活動で頭角を現しました。つまり今回の除名騒動は、内ゲバのようなものです。市田さんが“親分”で穀田さんが“子分”。そして市田さんと鈴木さんの対立は有名でした」(同・関係者) 京都の党員が「あと30分で会議が終わる。それまで待っていてくれ」と指示されたとする。だが、1時間が経っても会議は全く終わらない。 「不思議に思って会議室を覗いてみると、市田さんと鈴木さんが口角泡を飛ばす激しい議論を繰り広げていた、こんな話は枚挙に遑がありません。市田・穀田コンビと鈴木さんは、まさに水と油の関係なのです」(同・関係者) |
松竹氏を救った鈴木氏 市田氏は元党議長の不破哲三氏(93)に評価された。その結果、市田氏と穀田氏は“党内エリート”の道をまっしぐらに歩むことができたという。 「市田さんも穀田さんも、まるでエリート官僚のようなタイプです。京都にいても、彼らの視線は常に東京の党本部に向けられています。一方の鈴木さんは、京都に深く根ざし、草の根の党活動に従事してきた。感覚が合うはずもなく、党の運営や選挙活動の方向性など、何から何まで対立しました。市田さんと穀田さんにとって、昔から鈴木さんは“目の上のたんこぶ”だったのです」(同・関係者) 鈴木氏は松竹氏とも深いつながりを持っている。松竹氏は2005年、「自衛隊解消までの過渡的な時期に日本が他国から侵略を受けた場合、自衛隊を活用する」という趣旨の論文を発表した(註)。 「これを『自衛隊活用論』と呼び、実は志位さんも最近になって似たようなことを口にしました。しかし松竹さんが論文を発表すると志位さんは激しく批判し、松竹さんは“自己批判文”を書かされたのです。そして翌06年、勤務先だった党中央委員会から“放逐”されました。それを見た鈴木さんが松竹さんに声をかけ、かもがわ出版に招いたのです」(同・関係者) 自己批判や放逐など、まるで中国の文化大革命のようだ。共産党のアナクロニズムには驚かされる。 それはともかく、志位、市田、穀田の3氏が“人事権”を濫用し、松竹氏と鈴木氏の地位を不当に奪ったのは間違いない。彼らがやったことはブラック企業と全く同じだろう。 註:岐路に立つ共産党 「自衛隊活用論」の本気度(毎日新聞・電子版:2022年11月2日) デイリー新潮編集部 |
「文藝春秋2023年6月号」編集部「「志位和夫はもうあかん!」日本共産党を除名された伝説の幹部が激白」。
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2023.5.29日、デイリー新潮編集部 「前代未聞のことが起きた日本共産党 志位和夫も不破哲三も反論できず打つ手なしの大ピンチ」。
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2023.6.9日、「共産党が兵庫・南あわじ市議を除籍 2023年3人めとなる排除にSNS「独裁反対とかよー言うたもん」」。
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2023.6.12日、デイリー新潮編集部「日本共産党のやっていることが恐ろしすぎて有権者は目が点に…元幹部は「究極の無責任集団。終わりの始まり」」。
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2023.6.24日、共産党の志位和夫委員長は第8回中央委員会総会で、22年以上の長期に及ぶ在任期間に批判が出ていることについて「私個人が政治的に重大な誤りを犯したとか、品性の上で重大な問題点があるという批判ではない。党そのものに対する攻撃だ」と反論した。
共産党の志位和夫委員長は24日の党会合で、平成12年の委員長就任から20年以上がたつことを問題視する指摘に関して、「反共攻撃の中で支配勢力から意図的に持ち込まれた議論だ」と断じた。また、「『長すぎるのが問題』という攻撃を共産党そのものに対する攻撃ととらえ、皆で力を合わせて打ち破ることを心から訴えたい」とも呼びかけた。また、「この攻撃に対する最大の回答は、選挙でも党勢拡大でも前進、勝利を勝ちとることだと心して、全力を尽くす決意だ」と続投に意欲を示した。 志位氏は会合で、任期について「確かに他党に比べれば長いのは事実だ」と認めつつ、「結局、批判の中身は選挙で後退した、党勢が後退したというもので、私個人が政治的に重大な誤りをおかしたとか、品性の上で重大な問題点があるという批判ではない」と強調。その上で「つまり、この攻撃の本質は共産党そのものに対する攻撃ではないだろうか」と述べた。 志位氏はまた、「わが党が党員の直接選挙で党首を選んでいないことをもって『閉鎖的』などと批判、攻撃する主張がある。しかし、わが党は党規約に基づく現行の選出方法が(組織原則の)『民主集中制』とも合致した、最も民主的で合理的な選出方法だと考えている」と従来の主張を繰り返した。 |
2023.7.4日、「日本共産党の志位委員長が、批判されるといつも使う“決まり文句” 元幹部は「誤魔化す体質は今に始まったことではない」」
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(私論.私見)