コトの発端は一冊の本だった……
2000年に共産党委員長に就任し、22年にわたって“在位”する志位和夫氏(68)。さぞ権勢をほしいままにしてきたかと思われるが、さにあらず、なのだという。
「共産党の委員長を天皇にたとえるのは皮肉が過ぎるかもしれませんが、志位氏が天皇だとしたら、上皇としてまさに院政を敷くのが不破哲三前議長(93)です。不破氏の考えに志位氏が反対することはなかなか難しい。そんな不破氏がついに、志位氏の交代を視野に動き始めたようです」(共産党関係者)
コトの発端は、1月19日に同党の党員でジャーナリスト・松竹伸幸氏による『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)が刊行されたことだった。
「文字通りヒラ党員の松竹氏は同書で、党首公選制の採用、日米安保条約や憲法9条、自衛隊などに対して現実的な対応をすることに加え、野党共闘の強化を訴えました。出版に際して行った会見内容がヤフトピになるなど、相当硬いはずのテーマが広く話題になりました」(同前)。
朝日新聞と毎日新聞に反論
これを受けた当初の共産党の立場からしたら、「うっかり話題になってしまった」程度のことだったのかもしれない。「松竹氏は会見で、志位氏の在任期間が22年にわたっている点について、“国民の常識からかけ離れていると言わざるを得ない”と指摘しました。そう言われると政治に詳しくない人も“確かにそうだよなぁ”と感じるところもあり、共産党は時代錯誤的だと思った人も少なくないのかもしれません」(同前) 共産党の動きは速く、松竹氏の除名が2月6日に確定した。 これに対して朝日新聞は同月8日の社説で「共産党員の除名 国民遠ざける異論封じ」、毎日新聞も同様に10日、「共産の党員除名 時代にそぐわぬ異論封じ」との社説を展開した。 さらに志位氏は会見で「あまりに不見識。朝日に指図されるいわれはないんです」と訴え、毎日に対しては田村智子政策委員長(57)も会見で、「憲法上の結社の自由という立場に立った時に、この社説はあまりにも見識を欠いたものではないか」「党に対する攻撃と攪乱以外のなにものでもない」と主張した。 「共産党側の過剰なリアクションを見るにつけ、松竹氏が引き金を引いた一連の批判が共産党にとって痛かったのは間違いないでしょう。良くも悪くも共産党は世間の耳目を集めることがほとんどないため、危機管理に対する感覚も鈍くなっていたのかもしれません。少なくとも松竹氏をスピード除名したのは失策だと指摘されていますね」(同前)。 |