序文と目次

 汝は汝の神エホバの汝に付したまわんところの民をことごとく滅しつくすべし  申命記七・一六

 序

 世界的規模に於て戦われつつある今次の大戦は、果して枢軸国家群対反枢軸国家群の戦争という一事によって全部的に説明され得るであらうか。またそれは、暴漫なるアングロサクソン民族に対する被圧迫民族の戦いという一事によってその真相を尽くされ得るであらうか。時として説かるる所の東亞新秩序ないし世界新秩序の建設は、単に連合国の打倒とアングロサクソン民族の撃滅とによって達成され得るであらうか。

 かって我々は支那事変の経過中に、我々の真の敵は米英等であることが到るところに於て確認されていながらも、それと明らかに指摘し得ざる種々の事情のために、時として我々の敵愾心の向け方に多少とも迷ったことはなかったであらうか。そしてその敵愾心が、大東亞戦によって初めて真の敵が明示されることによって、一時に天をも衝かんばかりに燃え上るのを感じたのではなかったか。

 しかしその後時日の経つに連れて、再び我々の心には、大東亞戦の真の敵が単に米英に非ざることを予感しつつありはしないであらうか。これは最近の世界状勢を多少とも達観し得る者には、意識の程度に差こそあれ、必らず感得されつつあるかの如くである。しかしながら、如何なる理由によってか、いまだにわが国に於てはそれを公然と口にすることが遠慮されつつあるかの感を抱かしめられる。

 勿論この遠慮が、米英の背後に敵を見ることとは米英を敵として戦いつつある我々の戦争目標を曖昧にするという心配よりなされる場合には、一面に於ては尤ものことであって、我々としても決してそれを非難しようとする者ではないが、しかし事実はさやうに簡単ならざるごとく見えることも否定し得ないのである。日支事変中に真の敵を指示することを遠慮せしめたと同一ないし類似の理由が、あるいはこの場合にも存在しているのではないかと思わせられるのである。

 しかしながら我々はこの序文に於てはこれ以上に論議することを避けるであらう。本書の全部がかかる疑問に答うるものだからである。当事者が声を嗄らして呼号する対米英敵愾心の如きも、上述の点に関して勇気ある決断が下される時おのづから焔々と燃え上るであらう。その時には、我々の敵が同時に枢軸諸国の敵であるばかりか、また人類全部の敵である真相も判明するに至るであろうし、また我々の敵が如何に奸悪であり、従ってまた如何に強力であるかが判明するばかりか、我々の建設せんとする東亞ないし世界の新秩序の内容と意義もまたおのづから明らかになるであらう。


 ここに集められた諸篇はかって雑誌その他に発表されたものより選択されたものであるので、その性質上多少の重複を来している点もあるが、機会に触れてなされた言説のうちに反って我々の立場の正当性も証されると考えるので、各部の始めに「はしがき」めいたるものを加えるにとどめて、他の部分への加筆は差控えることにした。切に読者の寛恕を乞う所以である。

 昭和18年7月


 目次
ユダヤ魂の本質 一、ユダヤ問題研究の精神史的意義(3)
二、ユダヤ魂の本質(14)
三、ユダヤの神祕の謎を解く(69)
  「十五」なる数のユダヤ神祕力に対して有する意義
四、ユダヤの世界支配諸機関(77)
五、ユダヤ聖典及び法典の成立とユダヤ的「タルムード論理」(94)
六、「シオン議定書」の成立、伝播、真僞(102)
七、国際ユダヤ祕密力の世界新聞統制(訳補)(125)
ユダヤと世界戰争 一、ユダヤの人間還元・ユダヤ問題研究根本原則十箇条(165)
二、大東亞戦争勃発後の世界情勢(173)
三、今次世界大戦の性格(196)
四、世界大戦へと駆り立てるもの(206)
五、日本とユダヤ(219)
六、日ユ抗争としての日支事変(267)
七、前世界大戦に於けるユダヤの策謀とドイツの敗戦(297)

ユダヤ鏡

一、シュルハン・アルフ・・「用意の出来た食卓」(331)
二、著名なるユダヤ法師の言葉(259)




(私論.私見)