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〇すべてのイスラエル人は一定の法式に依り、動物及び動物視されている非ユダヤ人を屠ることを許さる。 |
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〇或る人刀を壁に突立てんとして投げしに、途中獣の首に当りてその獸を屠るに至りし時は、この屠殺は正式のものと見做され得るものなり。 |
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〇非ユダヤ人の刀なりとも、之を研ぎ、或は十度硬き土に突差したる時は、これを用ひて屠るを許さる。
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〇家禽の中、鵝鳥・鴨・鷄・鳩・鶉・雀は食種に供するも可なり。然れども此の他のものは食用に供すべからず。その故は、これらの鳥は、餌を食する時、先づそれを足にて蹂り、後に嘴にて引裂く故なり。・・屠りし後は血を蔽ひ隱さざるべからず。その故はカイン、アベルを殺せし時、彼アベルを幾度か打ちまた刺したるにも拘らず、その魂彼の身體より去ることを欲せざりしかば、カイン遂にアベルの首を切り落したるに、その時鹿來りて血を足にて掻き集めたれはなり。・・屠りし後は、屠殺者は家禽獸を切開き、何より先づ肺を檢すべし。その肺完全ならば、その禽獸は食用に供し得べきなり。肺葉の一が大に過ぎ他が小に過ぎる時、或はそれぞれの位置に異常のある時、この禽獸は食用に供することを許されず。 |
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〇血を飮むことの禁ぜらるるは、その血が祭壇に注ぎ得べきものたる時のみなり。されは煮られたる血又は凝固せる血は飮むことを許さる。
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〇卵を食するには、汚れなき鳥類のもののみを選ぶべし。その卵の一方の尖りたる鳥、例へば鷄の如きは汚れなきものなり。魚の血も飮むことを許されたれど、器に集めて飮むべからず。人間の血に關しても同樣にして、之を食することは禁ぜらるることなし。
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〇穢れたる畜獸又は野獸若くは法に則りて屠られざる畜獸の脂肪及び尿は用ふべからず。或教法學者は尿は差支へなしとも言へり。
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〇ユダヤ女を求め得る場合には、異邦女の乳を幼兒に吸はしむべからず。異邦女の乳は心眼を閉ざし、惡しき性格を形成するが故なり。 |
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〇淀める水に住む蟲類は、之を食するも差支へなし。利未記に禁じたるは地を匍ふ蟲類のみなればなり。
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〇熱き乳を容れたる鍋に肉片の落ちたる時は、假令橄欖の實程の小なるものといへども、その乳は非猶太人をして試味せしむべし。彼もし肉の味ありと言はば、この乳は用ふべからず。 |
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〇ユダヤ人も非ユダヤ人の判斷に信を置く事を、非猶太人をして知らしむべからず。
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〇然れど金錢の損害の生ずる恐れある時は、如何がはしき事をも許す教法學者に萬事を委ぬることを得。
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〇教法學者がユダヤ人にアクム(非猶太人)のパンを食することを禁じたるは、彼等との間に姻戚關係の生ずることを防がんが爲なり。またアクムの酒を飮むとこの禁ぜらるるも、彼等と姻戚となること無からんが爲なり。然れども、アクムをして飮料を持ち來らしめ、自宅にてそれを飮むは差支へなし。 |
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〇ユダヤ人の居合はせざる場所にて非ユダヤ人の搾れる乳は、之を用ふべからず。
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〇口の開きゐたる飮料は用ふべからず。肉と魚を同時に食すべからず。もししかせば癩病となる故なり。人間の汗は有毒なり。但し顏の汗は然らず。 |
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〇アクムより借金の代りに穢れたる物品を受取るも差支へなし。これ彼等の手中より何物かを救出すことなればなり。
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〇非ユダヤ人の酒を飮む事、及びその一切の享受使用を禁ず。かかる酒は偶像に供へらるる類のものなれはなり。ユダヤ人の酒と雖も非ユダヤ人がそれに觸れたる時は、この酒は用ふべからざるものなり。非ユダヤ人の酒の容器を持上げ或は運び歩くべからず。但しユダヤ式に封印されたるものはこの限りに非ず。
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〇十字架の繪は、人々それを拜跪する時には、偶像と見做さるべきものにして、禁制品なり。 |
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〇或人、偶像禮拜に密着して建てられたる家を持ちたるに、その家倒れたる時は、再び元の如く建つることを禁ぜらる。その時彼のなすべきは、前よりもやや多く間隔を取り、その空地を棘或は人糞にて充たすことなり。 |
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〇ユダヤ人にして偶像の名に於て誓ひ或は誓約を爲せる者ある時、彼は三十九の毆打刑に處せらるべし。必要の場合と雖も、偶像の名を口にすべからず。非ユダヤ人の祭日の中、人間の名を有するものは、之を呼ぶも差支へなし。但し、非ユダヤ人の爲す如く尊敬の念を以てすべからず。偶像を嘲りながらも、次の如く非ユダヤ人に言ふことは許さる、「汝の神汝を助けよかし」又は「汝の神汝の業に惠を垂れ給はんことを」と。 |
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〇非ユダヤ人の祭日前三日間は、彼等より物を買ひ、或は、保存され得べき物を彼等に賣る事を禁ぜらる。また彼等と貸借する事をも禁ず。但し、口約を以て貸したる負債を彼等に支拂はしむる事は差支へなし。然るに現在に於ては、彼等の數多數なる故に、證文ある負債をも彼等より受取るべし。かく爲すは、彼等の手より物を救出すこととなればなり。非ユダヤ人の間に住み、常に彼等と取引を爲す必要ある時は、敵對關係を生ぜしむるが如き事はすべて避くるを可とす。この故に異邦人の祭日には彼等と共に喜ぶべし。かくすることにより彼等の機嫌を取り得る故なり。 |
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〇アクムの祭日に彼等に贈物をすべからず。然れども現今に於ては、贈物を爲さんと欲する時は、彼等の降誕節より一週間後の「新年」と呼ばるる日に於て之を爲すべし。彼等それを縁起よきこと見做すべけれはなり。
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〇洗禮に用ふるものなる事判明せる場合には、非ユダヤ人に水を賣るべからず。
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〇知人に非ざる非ユダヤ人に施物を與ふべからず。然れども非ユダヤ人の中に居住する場合には、その貧民を養ひ、病者を訪ひ、死者を葬り、悼み、喪に在る者を慰むるもよし。これ平穩無事のためなれはなり。イスラエル人は、己が食物を食する場合と雖も、非猶太人と同一食卓に坐するべからず。非ユダヤ人の婚禮の宴に招かれたる時は、假令イスラエル人は、己が食物を食じ、己か召使によりて給仕さるる場合と雖も、其處にては食すべからず。
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〇非ユダヤ人の客亭に家畜を入るべからず。その故は、非ユダヤ人は家畜と××をさす疑あればなり。非ユダヤ人と唯二人にて居ること勿れ。その故は彼等は殺人をなす疑あるものなればなり。・・公共の浴場に裸體にて入る習慣ある場合に、既に浴槽内に非猶太人居る時は、イスラエル人は入浴すべからず。若しイスラエル人先にその中に居らば、出づべからず・・イスラエルの女は、假令非ユダヤ人が彼等の妻も共に在る時と雖も、その一人或は多數と共に居るべからず。・・非ユダヤ人に技藝を教ふべからず。
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〇安息日を穢す恐れある如き病或は傷は、一般に有能と認められざるアクムに治療せしむべからず、流血を恐るる故なり。病人の生死疑はしき場合と雖も、アクムに治療せしむべからず。但し死亡の確かなる場合は、アクムに治療をせしむるも可なり。一時間ほどの生命は顧みられざるが故なり。アクムしかじかの藥劑良し或は惡しと云ふ時はそを信ずるもよし。但しその藥劑をアクムより買ふべからず。
あらゆる誡律は、それを遵奉することに依つて生命に危険ある場合には、生命を救ふ爲にそを破るも差支へなし。但し、偶像を拜む事、禁じられたる女と交はること、殺人を犯すことの三つは然らず。若し金錢にて身を救ひ得る時は、全部を引渡すべし。
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〇偶像禮拜に歸依せる非猶太人及び賎しき牧人は之を殺すことを許さず。されど彼等が危險に面しまた死に瀕せりとて彼等を救ふことは許されず。例へば彼等の一人の水に落ちたる時、報酬ある場合と雖も彼を救ひ上ぐるべからず。また彼等を瀕死の病よりも癒すべからず・・報酬ある場合と雖も。然れども吾等と彼等との間に敵意の生ずるを防止する爲ならば、報酬無き場合にも彼等を救出しまた癒すことを許さる。然れども偶像を拜む者、罪を犯す者、掟と豫言者を否む者は、之を殺すべし。而して公然と殺すを得ば、その如く爲せ。しかするを得ざる場合には、彼等の死を促進せよ。例へば彼等の一人井戸に落ちたる時、その井戸に梯子あらば、之を取去り、直ちに再び持來るべしとの遁辭を用ひ、かくすることにより落ちたる者の身を救ひ得べき道を奪ふべし。 |
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〇トーラによれば、利子を取りてアクム(非ユダヤ人)に金を貸すは差支へなし。但し教法學者は生活に必要なる範圍の額の利子のみを取るを許さるのみ。然れども現在に於ては、如何樣に之を取るも差支へなし。
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〇ユダヤ人はユダヤ同族より利子を取るべからず。唯アクムよりのみ之を取るべし。而してかかる取引は使者をして之をなさしむべし。使者ならば、かく爲しても、罪を犯したるには非ずして、誡律もまた遵守されたるなり。・・貸出に際し取極められたる多額の利子は、誡律を以て禁ぜられたるものなる故に、法廷に於て返金請求の訴訟を受くることあるべし。裁判官は斯かる貸主を拘束して、氣を失するまで鞭打たしむるを得れども、貸主の財産は之を沒收するを得ず。 |
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〇非ユダヤ人の如き衣服を着け、彼等の風習を模することあるべからず。あらゆる點に於て彼等と異なるべし。但し非猶太人の君主の身近に在る時は、是等すべてをなすことも許さる。
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〇掟(申命記、一八、一三)に依れば、占星術者又は卜筮者の言を容るる事は禁ぜられたり。然れとも月曜日或は水曜日に業を始めざるは慣習にして、是等の日には星(月と水星)の位置惡きが故なり。また滿月の頃にのみ婚姻するを習慣とす。また月の第一日目に新しき書を讀み始めざるを習慣とす。自らの幸運に反すると信ぜらるるところの事は、すべて之を爲し續くべからず。
死者に詢ふことをなす筮者とは、空腹の状にて墓場に泊まり惡しき靈の彼の上に止らんことを計るものなり。病者に向ひて、死後に還り來り、彼に發せらるるすべての問に對し答をなせよと懇望するは差支へなし。死者を呼び出す場合にも、身體に非ずして靈のみを呼び出すは差支へなし。カバラ(譯註、ユダヤの神祕哲學の書)の諸書に依つて何事かを爲すはよし。失せ物に關し惡靈に詢ふはよし。但し良き香の草を火に投じたる香氣にて家を燻らすべからず。かく爲すは、惡魔を禮拜するものと解せらるる恐れあればなり。自ら文身すべからず。但し他人の手を借りて文身するはよし。
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〇宣誓を強ひられたる者は、假令(神の)名に依つて誓ふとも、これを心に懸くる事勿れ。斯かるものは宣誓に非ざればなり。王侯或は他の上司がイスラエル人に宣誓の命を與ふる時、彼の同信者に損害を與ふる恐れある時は、眞實を誓ふの義務無し。例へば、一人のイスラエル人或る女を辱めたるや否やに關し誓ふべき場合、證人として宣誓を要求されたる者は躊躇なしに彼の知れるところの反對を宣誓し、後直ちに心中にてこの誓を打消すことを得るなり。かかる誓は強制されたるものと見做され得るが故なり。また或上司がイスラエル人の金或は財産を沒收せんとせし時、そのイスラエル人用心のためにその金或は財産の保管を他の者に託するならば、金錢を保管せるところの者は、宣誓を求めらるるも眞實を自白すべからず。
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〇誓約を爲す者は、その誓を守りまた果す場合にも、惡人又は罪人と稱へらるべし。假令イスラエルの神の名に於て誓へる場合と雖も、三人の人の手によりてその誓を解かるるを得べし。而してこの三人は癡人にても差支へなし。 |
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〇ユダヤ人にしてアクムより盜みをなしたる時、もし誓ふことを強制さるるならば、彼はその心の中にて、その誓の無效なることを宣言すべし。そは強ひられたる誓なればなり。 |
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〇婢女或は異邦人の子は兩親に對して恩義を負ふこと無し。婢女或は非猶太女の胎内の子は畜獸に等しければなり。
イスラエル人の間の習慣は、トーラ(律法)と同等の價値あるものなり。
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〇教法師にして公然と侮辱を受けたる者は、恥辱に甘んずることなく、侮辱に對して復讎をなさざるべからず。侮辱したる者が赦しを乞ひまた彼にして赦さんと思ふに至る時までは、蛇の如くに怨恨を心の中に懷き居るべし。 各々の町はユダヤ人の兒童教師を任用せざるべからず。然らずんばその町は亡ぼさるべし。 |
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〇女も掟を教ふる時は報酬を期待するを得。但し男の如く多くを期待すべからず。女なるものは、神より之をなすべく命ぜられたるには非ざるなり。少女に律法を教ふべからず。女は眞面目なる心なく輕薄なる者なれば、己が考に從ひ律法より愚かしき事を捏造する故なり。この故に賢者は、「その娘にトーラを教ふるは、罪ある事柄を彼女に教ふるが如し」と言へり。
學舍は會堂よりも聖なるものなり。人死する時、先づ第一に神より尋ねらるるは、彼が果して勤勉に學びしや否やにあり。その時に至りて如何なる行爲をなせしやを問はるるなり。最も多くの知識は夜學ぶ時に得らる。學ぶ時大聲に唱する者は學びしところを良く記憶し、小聲に唱する者は速かに忘る。
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〇無事平穩なる爲ならば、非猶太人の貧民を養ふもよし。 |
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〇捕虜となれる間に非猶太人の宗教に改宗したるユダヤ人は、之を身請けすべからず。 |
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〇イスラエルの魂失はるるは、取返しのつかざる大事件なり。されば幼兒にして、割禮前(生後八日以前)に死せる場合には、墓所に於て、祝祷を唱ふることなしに、鋭利なる石を以て割禮を施すべし。彼世に於て、父祖アブラハムは割禮を受けし者を待ち居りて、割禮を受けし者の地獄に落つることを防止しをれり。故に割禮を疎かにすべからず。然らざれば父祖アブラハムを過つべければなり。割禮は次の如く行はる。即ち、包皮を伸ばし、之を櫛状の器具に挾み、その器具に沿ふて切斷して、之を砂中に投棄するなり。次に杯より口一杯に酒を含み、その少量を傷に吹きかけ、殘部を子供の顏に吹きかくべし。之によりて子供をして元氣を囘復せしむるなり。次に割禮施術者は爪を長く生ぜる拇指を以て××下の表皮を引裂き、××を完全に露出せしむべし。之を「露出」と言ひ、之を爲さざる割禮は無效なり。然る後施術者は再び口一杯に酒を含み、傷口より血を吸ひ取るなり。之を「吸ひ出し」と言ふ。次に藥粉を振りかけ、繃帶をなす・・教父敬虔なる者なる時は、豫言者エリヤ割禮の席に連なるなり。故に教會堂の聖檀に向ひて二つの座席を備ふべく、一は教父の爲、他はエリヤの爲なり。儀式終らば、施術者は手を洗ひ、祝祷を唱へ、幼兒に向ひ、「汝生くべし」と言ふなり。然る後、吸い出したる血を吹きかけたる杯に指を浸し、その指を割禮を受けし幼兒の口中に二囘或は三囘押し入れ、次いて教父及び同席の少年等にその杯より飮ましむるなり。
少女は勿論イスラエル人の盟約に加入(割禮を受くること)することを得ず。それ故に、少女生れし時は、生後六週間目の安息日に命名す。 |
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〇奴隸を買ひたる時は、之に割禮を施し、或は施さしむべし。 |
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〇非ユダヤ人にしてユダヤ教に改宗せんとする者は、先づ割禮を受けざるべからず。而して彼に、就中次の如く告げよ。「來世はただ敬虔なる者にのみ約し置かれたるが、その敬虔なる者とはイスラエル人に外ならず。非ユダヤ人は今生過ぎれば根絶し去らるへし」と。彼これ等すべてを受入るる時には、直ちに割禮を施すべし。而してその傷癒えなば、直ちに三人の教法學者の前にて入浴せしめ、この學者等に依りて多くの掟を學ばしむるべし。
女にしてユダヤ教に改宗せんとする者ある時は、イスラエル人の女達彼女を水に浸すべし。教法學者等は戸外に立ち、其處より多くの掟を傳ふべし。然る時教法學者の前にて水に入らざるべからず。但し學等は直ちに面を背け、其處より立去るなり。割禮なかりせば、神は晝と夜を創らず、また天と地をも創造し給はざりしならん。
改宗してユダヤ人となれる者は、同樣にユダヤ教に改宗せるその母或は伯母と婚姻するも差支へなし。改宗者は新たに生れたる者と見做され得る故なり。
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〇三百六十五箇條の誡律の一つなりとも犯したる者は、直ちに除名さるべし。除名の期間は三十日以上とす。當該者懺悔を爲さずば、更に三十日間の除名刑に處すべし。而してなほ從はずば、更に三十日の間待ち、然る後追放の刑に處すべし。除名されたる者はある時は、何人も彼の四エルレ以内に坐すべからず。又彼と共に飮食し、祈るべからず。但し、その妻子はこの限りに非ず。彼もし猶太會堂に入り來らば、之を追出すべし。彼は身體を洗ふを許されず、髮を刈り、髯を剃り、靴を履く事をも禁ぜらる。追放刑に處せられたる人死せる時は、裁判官は、命じてその棺の上に石を載せしむべし。人々彼の爲に衣を裂きて哀しむ事なく、その死を悼むことなし。 教法師より告示されたる者は(例へば不遜なる言行の故を以て)、身を隱して自ら恥じ、人の前にては悲歎して笑ふこと無く、業務をも多くは爲す勿れ。二十四項の罪あり、之に觸るる者は除名さる。例へば第八項、その地所を非ユダヤ人に賣りたる者、第九項、非ユダヤ人法廷に於てその隣人(即ちイスラエル人)に對し不當なる證言を爲せる者、等。 |
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〇非ユダヤ人の病人を見舞ふことは許される。・・平穩無事を保つ爲なり。ユダヤ會堂に於て病人を祝福し、彼に新たなる名を與へる慣習あり。名前を改むる事は、神の決定をも取消す力ある故なり。 |
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〇埋葬の濟みたる時は、死者のありたる家のみならずその近隣即ち兩隣三軒の家に於ても、直ちにすべての水を棄去るを慣習とす。その故は、死の使その血の滴を水中に落し、人それによりて死することあれはなり。
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〇死者の部屋にては食すべからず。但し死者との間に仕切りを置く時は差支へなし。
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〇婚約せる男の父死にたるに、既に婚姻の食事備はり、之を賣る事不可能にして腐敗の虞る場合、或は婚約の女の母死したるに、女の裝身品損ずべしと言ふ場合には、死者を別室に移し、新郎新婦は婚姻の席に行くべし。新郎は最初の××をなさば直ちに新婦より離るべし。而して婚姻の後七日間は宴を以て祝はれ、然の後服喪の日始まるべし。 |
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〇アクムと奴隸の死は之を悼むこと勿れ。彼等の葬式の列に加はる事勿れ。 盜みの故を以て猶太人の法廷より死刑の宣告を受けたる者の爲には、危險なき限りその死を悼まざるべからず。
追放刑を受けし者の死せる時は、之を悼まず。背教者・裏切者に對しても同樣なり。近親の者非ユダヤ人官憲により絞刑に處せられ、その身體なほ朽果てざる時は、親族の者はその事ありし町に留まるべからず。かく爲すは死者に對する侮辱なる故なり。
街上にて葬式の行列と婚禮の行列行き會はば、前者道を讓らざるべからず。 無事平穩のためならば、非ユダヤ人死者の葬ひ、その遺族を慰問するも差支へなし。非ユダヤ人の墓所は祭司を汚れしむる事なし。然れど彼處に赴かざる方更によし。
喪に服する者は、七日の間働くべからず、取引をなすべからず、浴し又は油を塗るべからず、靴を履くべからず、××すべからず、トーラを讀むべからず、また何人にも挨拶すべからず。頭をば布にて卷き、床を逆にすべし。三十日間は髯に手入をなし、髮を刈り、爪を切るべからず。 |