この度、叔父ジャニー喜多川により性被害に遭われた方々に、あらためて心からお詫び申し上げます。5月2日に被害に遭われた方とはじめてお会いしました。その後も色々と実際にお話を伺う中で、この方々にどのように補償していくのが良いのか、加害者の親族としてやれることが何なのか考え続けております。そしてジャニーズ事務所は、名称を変えるだけではなく、廃業する方針を決めました。これから、私は、被害に遭われた方々への補償や心のケアに引き続きしっかり対応させていただきます。叔父ジャニー、母メリーが作ったものを閉じていくことが、加害者の親族として私ができる償いなのだと思っております。私は4年前に母親であるメリーから、ジャニーズ事務所を相続いたしました。ジャニーズ事務所はジャニーだけではなく、私の母であるメリーも権力を握っていたと思います。ジャニーはメリーからお小遣いをもらうという形でしたので、経営的なことは全てメリーが決めていたと思います。ジャニーと私は生まれてから一度も2人だけで食事をしたことがありません。会えば普通に話をしていましたが、深い話をする関係ではありませんでした。ジャニーが裁判で負けた時も、メリーから「ジャニーは無実だからこちらから裁判を起こした。もしも有罪なら私たちから騒ぎ立てるはずがない。本人も最後まで無実だと言い切っている。負けてしまったのは弁護士のせい」と聞かされておりました。当時、メリーの下で働いていた人たちも同じような内容を聞かされて、それを信じていたと思います。
そんなはずはないだろと思われるかもしれないですが、ジャニーがある種、天才的に魅力的であり、みんなが洗脳されていたのかもしれません。私も含め良い面を信じたかったのだと思います。そして母メリーは私が従順なときはとても優しいのですが、私が少しでも彼女と違う意見を言うと、気が狂ったように怒り、叩き潰すようなことを平気でする人でした。20代の時から私はときどき過呼吸になり、倒れてしまうようになりました。当時病名はなかったのですが今ではパニック障害と診断されております。私はそんなメリーからの命令で、ジャニーズ事務所の取締役にされておりましたが、事実上、私には経営に関する権限はありませんでした。そして2008年春から新社屋が完成した2018年まで一度も、ジャニーズ事務所のオフィスには足を踏み入れておりません。これは性加害とは全く違う話で、私が事務所の改革をしようとしたり、タレントや社員の環境を整えようとしたことなどで2人を怒らせてしまったことが発端です。ジャニーとも2008年ごろから2016年ごろまで、ライブ会場ですれ違うことはあっても会話はしておりませんでした。その後、ジャニーのけいこ場に呼び出されて久しぶりに話しましたが、それ以降もジャニー本人に会ったのは数回です。その期間のJr.からのデビューや管轄外のグループの解散のプロセスにも関わっておりません。メリーからは私の娘である孫に会いたいと切望され、1年に数回、一緒に食事をすることや、お正月には孫と旅行をすることが決められていましたが、私自身はメリーと話をすることを極力避けて生きてきた人生でした。このような説明をすると、嘘だとか、親子で仲が良かったのを見たことがあるなど、またバッシングされる記事が大量に流れるのだと思いますが、近い関係者の皆様、タレントの方々、社員などであればこうした事情を知っていると思います。心療内科の先生に「メリーさんはライオンであなたはシマウマだから、パニック障害を起こさないようにするには、この状態から逃げるしかない」と言われ、自分で小さな会社を立ち上げ、そこに慕ってくれるグループが何組か集まり、メリー、ジャニーとは全く関わることなく、長年仕事をしておりました。このような理由で、ジャニーのいるけいこ場とは全く違う場所で働いており、Jr.の皆さんとの接点もなかったので、今回、申し出てくださった中で、私がお会いしたことがあるのは9人です。それ以外の多くの方々とはお会いしたことがないのです。今から思えばジャニーの親族であり、女性である私に、Jr.の皆さんはもちろんのこと、タレントの皆さんも噂話をすることや、相談もしにくかったのではないかと思います。いま被害を申告されている方々の中で私を含めて現在の役員が被害者の方々について直接知る情報は、在籍していたかどうか以外にほぼございません。そこで、ジャニーやJr.と私以上に近い距離で接していらした元役員、元社員、そして外部スタッフの皆様には被害者救済のご協力をぜひお願いできたらと思っております。ジャニーズ事務所は廃業に向かっておりますが、1人たりとも被害者を漏らすことなく、ケアしていきたいと思っております。知らなかったということを言い訳にするつもりは、全くありません。メリーが言うことを信じてしまっていたこと、そしてそれを放置してきた自分の鈍感さ、すべて私の責任です。また、今回、なぜ私が100%の株主で残るのか、と多くの方々から批判されました。実は多くのファンドの方々や企業の方々から、私個人に有利な条件で買収のお話もたくさんいただいております。そのお金で相続税をお支払いし、株主としていなくなるのが、補償責任もなくなり一番楽な道だとも、何度も何度も、多くの専門家の方々からアドバイスされました。しかし、100%株主として残る決心をしたのは、他の方々が株主で入られた場合、被害者の方々に法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした。そういう理由で現在の会社には株主100%として残りますが、チーフコンプライアンスオフィサーを外部から招聘し、今後、私は補償とタレントの心のケアに専念し、それ以外の業務には一切、当たりません。また、今後、私はすべての関係会社からも代表取締役を降ります。また、ジャニーとメリーから相続をしたとき、ジャニーズ事務所を維持するために事業承継税制を活用しましたが、私は代表権を返上することでこれをやめて、速やかに納めるべき税金を全てお支払いし、会社を終わらせます。ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやり切らねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います。最後に、ジャニーズ事務所に所属するタレントをこれまで応援してくださった世界中のファンの方々のお気持ちを考えると、本当に本当に申し訳なく、言葉にもなりません。また関係各所の皆様、ご迷惑、ご心配をおかけして大変申し訳ございません。今日、記者会見に出席せず、このようなお手紙をだすことで逃げた、卑怯だと言われることは重々承知です。今回初めて公にお話ししたメリーは、本当にひどい面も多くあったのですが、優しい時もあり、自分の母でもあり、皆様の前でお話したいことを過呼吸にならずにお伝えできる自信がなく、このようなお手紙にさせていただきました。まことに申し訳ございません。改めて被害者のみなさま、ジャニーのしたことを私も許すことができません。心から申し訳ないと思っております。また、タレント、社員の皆さんがこれから新しい道に思いっきり羽ばたき、みんなが幸せになれるよう、私はそれを後押しできるような形になるよう、精一杯頑張っていきたいと思っております。どうか引き続き、ご指導ご鞭撻いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
2023年10月2日 藤島ジュリー景子
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