ジャニーズ事務所による記者会見考

 更新日/2023(平成31.5.1栄和改元/栄和5)年.10.9日

 (れんだいこのショートメッセージ)
 ここで、「ジャニーズ事務所による記者会見考」をものしておく。

 2023.6.29日再編集 れんだいこ拝


 「《東山紀之社長と井ノ原快彦副社長のジャニーズ事務所記者会見》糾弾するメディアにネットでは特大ブーメランの声「どの口が言ってんだ?」問われる“蜜月”の罪 」。
 2023年10月2日、『ジャニーズ事務所』という名称が消滅することが決まった。
 「故・ジャニー喜多川氏の性加害問題を受けて、ジャニーズ事務所の東山紀之社長、井ノ原快彦副社長、加えて担当弁護士らが9月7日に続き再度会見を開き、被害者の救済・補償、ジャニーズ事務所の社名変更を含む“ジャニー喜多川”氏に関する名称を今後一切使わないこと、新会社を立ち上げマネジメント業務を行うなどを発表しました」(スポーツ紙記者)。

 2日の会見は荒れた。確かにジャニー喜多川氏の性加害問題、そしてそれを“見て見ぬふり”をしたとされる事務所という糾弾されるべき問題……があったのだが、
 “こんな会見は茶番だ”怒号飛び交う会見に
 「会見場は“質問させろ”、“おかしい”、“こんな会見は茶番だ”というような怒号が飛び交うような様相でした。会見のルールを守らない記者が複数いて……。会見の時間は限られており、すべての記者を当てられない、質問できなかったのですが、それは会見では普通のこと。今回の会見は1社につき1質問と決められていたのですが、それを守らず、挙手もせず、勝手に叫ぶように質問するような記者が少なからずいました。会見の運営について怒る記者、それを諌めようとする記者の声が入り混じって……。ジャニーズ事務所にハラスメントという“社会のルール”を追求するのであれば、質問する記者側も決められた“会見のルール”を守れというのが、中継などで見ている一般の人の意見だったと思います。検索ワードでは“記者の質問”がトレンドに入っていましたね。あまりに野蛮な様子だったからでしょう。本当に知りたいのはジャニーズ事務所側の見解であり、記者の個人的な考えなどはどうでもいい話ですから」(会見に参加したスポーツ紙記者)
 「元ジャニーズ事務所所属のタレントさんによる告発も含め、ジャニー喜多川という圧倒的に“上”の立場を利用した性加害。この令和の時代、いや令和でなくとも厳しく断じられるべきである問題について、メディアは当然ながら追求しています。確かにそれは正しいと思いますが……」(前出・会見に参加したスポーツ紙記者)

 『ペンは剣よりも強し』。そんな言葉がある。しかし、それを持ったメディアの対応を疑問視する声がSNSを中心に上がっている(以下、『X』より引用)。
 《今まで黙認してきたメディア等が手のひら返してジャニーズ叩きとか。どの口が言ってるんだって感じ》
 《一般の人がジャニーズ事務所を叩くのはまあ理解できるけどメディアが叩くのはどの口で言ってんだと思う》

 性加害問題以降、メディアは東山らに“ジャニー氏の性加害を知っていたのか?”と激しく、厳しく追求しているが、
 業界では、ジャニー喜多川氏の性加害は“公然の秘密”
 「ジャニー喜多川氏のセクハラ・性加害は“公然の秘密”として業界で知られた話であり、ジャニーズ事務所内だけで知られ、そこだけで留まり鍵を掛けられてきたものでは、決してありません。それにも関わらず、テレビキー局、出版社などのメディアは、この問題が大きく取り沙汰されるまで彼らを起用し続けてきた。これは紛れもない事実です。“公然の秘密”を知りつつ使い続けた。ジャニーズ事務所が、つい先日に至るまで、芸能界においてこれほど権勢を振るえたのは、圧力のみならず、起用すれば視聴率が取れる、雑誌が売れるジャニーズタレントの恩恵を受けていたメディアが多かったから。単純明快な理由です。社内の部署ごとに主張が違うのは、報道機関・ジャーナリズムとして正しいことかもしれませんが、本件は犯罪といえるようなものなのでね……。それはある種“使うほうの責任”といえるのではないかと」(芸能プロ関係者)
 
 しかし、'23年夏、状況は変わった。
 「現時点のようにジャニー喜多川氏の性加害問題が公になる前の時点では、“事実”なのか“噂”なのか、ジャニーズ事務所内と外部であるメディアでは、その解像度には差があると思います。その一方で、20年前にジャニー氏のセクハラが裁判で認められていることも事実です」(前出・芸能プロ関係者)
 ジャニーズ使ってお金稼いでたじゃん
 2日のジャニーズ事務所の会見には300人以上の記者やライター、ジャーナリスト・レポーターが集まった。
 「会見場に集まったメディア関係者は、これまでジャニーズと関係性を持っていた会社に属する人が多数。会社によって関わりの度合いは異なりますが、自分が所属する部署、もしくは社内の他部署は少なからずジャニーズと付き合いがある企業ばかり。キー局、大手出版社……などですね。そりゃ一般の人にしてみれば、“あんたの会社、ジャニーズ使ってお金稼いでたじゃん”になりますよね」(前出・会見に参加したスポーツ紙記者)

 会見では「“ファンも共犯者だ”とするという声がある」と話した記者に対し、東山と井ノ原は明確にそれを否定し、ファンを擁護した。応援するファンは商品の対価として金銭を支払うが、ビジネス的な意味で“利害関係”にない。本当の意味で利害関係にあるのはジャニーズを起用し続けているメディアである。
 「ジャニーズを使い続けたメディアたちが、ジャニーズを追求する。それが今、起こっていることです。それこそジャニーズといろいろとあったライバル的な事務所は“なんなんだよ”と思いつつも、“チャンスだ”という感じですね」(前出・芸能プロ関係者、以下同)
 「ジャニー喜多川氏の性加害を知っていたのか?」
 東山、井ノ原らジャニーズ事務所だけでなく、この刃を突きつけられるべきは、起用し続けたメディア側でもあるはずだ。ジャニーズ事務所が記者会見で話したことを実現し、健全化できるどうかはわからない。しかし、同じように健全化するべき部分はメディア側にもあるだろう。 お互い「健全」になったうえで、改めて仕事ができれば、ジャニーズ・メディア・ファン、三方良しな仕事が出来るのではないだろうか──
 週刊女性PRIME井ノ原快彦「狡猾で腹黒」「そうとうな策士」NGリストを念頭に「どうか落ち着いて」発言を精神科医が分析」。
 10月2日に行われたジャニーズ事務所による2回目の会見だが、その余波が止まらない。
  「会見の質疑応答で指名してはいけない記者を挙げた“NGリスト”があったとNHKが報じました。ジャニーズ事務所は関与を否定し、会見を仕切った『FTIコンサルティング』というコンサル会社が作成したと明かしています」(スポーツ紙記者)   

 質問は“1社1問”と制限されたが、挙手しても延々と指名されない記者が大声を出す場面も。会見は2時間と決められており、自分の質問をしたい記者が他社に対して“ルールを守れ”と怒号を飛ばすこともあった。そこで新会社の副社長となる井ノ原快彦が、「ちょっと、ひと言いいですか?」とマイクを手に取り、こう切り出した。
 「会見は、全国に生放送で伝わっております。小さな子どもたち、自分にも子どもがいて、ジャニーズJr.の子たちも見ています。被害者のみなさんも“自分たちのことで、こんなに揉めているのか”っていうのは、僕は見せたくない。できる限り、ルールを守っていく大人たちの姿を、この会見では見せていきたいと、僕は思っています。どうか、どうか落ち着いて、お願いします」。 

 この発言に、会場からは拍手が起こり、SNSでも絶賛されていた。しかし、NGリストの存在が明らかとなって風向きが一変する。
 「ジャニーズ事務所の発表では、井ノ原さんはNGリストを見て“これどういう意味ですか? 絶対当てないとダメですよ”と言っていたとされています。そのため、NGリストの存在を知っていたから、あえて“落ち着いて”と発言していたのでは、と指摘されています」(前出・スポーツ紙記者)

 旧ツイッター『X』では、《ルールを守らない大人の姿を子供たちに見せたくないと言った井ノ原の腹黒いこと》《なぜ、この 井ノ原 という人物の好感度が高いのか謎。一体どこをどう見たのか。むしろ、すごく腹黒い人物に見えた》《NGリストがあるってことは最初から質問させる気が無かったってことで。なのに、憤慨する記者に冷静になれとはね。井ノ原は冷静で頭いいって人がいたけど、狡猾で腹黒いが正解だね》との声が続々……。これ以外にも、臨床心理士や大学教授などから、井ノ原の発言は相手の発言や態度などを批判して論点をずらす“トーン・ポリシング”との指摘もある。
 精神科医は「狡猾な自己保身」
 専門家は、井ノ原の発言をどのように見たか。著書に『自己正当化という病』(祥伝社新書)がある、精神科医の片田珠美氏に話を聞いた。
 「どれだけ井ノ原さんが意識していたかはわかりませんが、ものすごく巧妙なイメージ戦略を行っていた。もっと悪く言えば、狡猾な自己保身があるように見えました」。

 片田氏は、どのような点が気になったのか。
 「会見でたびたび“落ち着いて”と繰り返し、子どもというキーワードを挙げ“ルールを守りましょう”と訴えた部分です。これには2つの意味があると考えます。1つは分割統治です。これは古代ローマ帝国でも用いられた手法で、支配地域で被支配部族や民族が互いに対立するように仕向け、ローマの支配に対する彼らの敵対心を分散させたのです。これにより民衆の団結を妨げ、ローマへの忠誠心を生み出した。つまり、井ノ原さんの発言は、ルールを守らない記者とそれ以外の記者を分断させ、団結しないように仕向けたわけです」(片田氏、以下同)。

 こうして追及する声を弱めただけではない。
 「2つ目は、視聴者のマスコミや記者への反感に訴えかけることです。この性加害問題は、日本のほとんどのメディアが取り上げてこなかった。結局、国連人権委員会が調査に入って、各メディアも取り上げ始めた経緯がある。そのため、視聴者からすれば“メディアも共犯だ”という意識があるはず。前回の会見では、記者の振る舞いも問題視されており、批判的な眼差しを持っている視聴者もいるのです。井ノ原さんは、そうした人々に対して訴えて、世論を味方につけようとしたのでは」。

 会見では、指名されずに質問をする記者の言葉を、井ノ原が遮っているようにも見える場面がたびたびあった。
 井ノ原のイメージを守ろうとする、事務所の戦略の1つ
 「1回目の会見では、東山紀之さんに“性加害を受けたか?”などと乱暴な質問をする記者もいました。公の場でカミングアウトを強要するこの行為は、本人の了解を取らず秘密を暴露するアウティングと同列の行為です。だからこそ、今回はそうした行為を阻止し、会見が荒れるのを防ごうとした意図もあったのでしょう。ただ、NGリストの存在が明るみになり、『FTIコンサルティング』もその存在を認めました。仮に、リストにルールを無視していた記者の名前が載っていたのならば、なるほど……と感じる部分はありますよね」。

 ジャニーズ事務所の公式サイトのコメントには、NGリストを見た井ノ原から指摘を受けた『FTIコンサルティング』の担当者は《(会見の)前半ではなく後半で当てるようにします》(現在は削除)と答えたと書かれていた。
  「今回は2時間という時間制限のある会見でした。そのため、井ノ原さんがリストの存在を知って“落ち着いて”とか“できる限りルールを守って”と発言し、記者たちから文句が出ないようにすることで、時間稼ぎをしていたとも考えられます。そうして答えにくい質問を避け、波風を立てないようにしていたのであれば、本当に巧妙だなとも感じます。こうした一連の発言を井ノ原さんが単独で行っていたのか、それとも会見を仕切ったコンサル会社とよく相談したうえでの戦略だったのか、わかりません。もし、単独で考えたうえでの発言であれば、そうとうな策士と言えるでしょう」。

 このように会見で“盾”となった井ノ原が、ジャニーズ事務所にとって“最後の頼みの綱”だと、片田氏は言う。
 「井ノ原さんは、過去にNHKの朝の情報番組『あさイチ』にも出演されていたこともあり、主婦層の好感度が高い。誠実そうなイメージを持つ彼を、戦略的に使っていた印象です。藤島ジュリー景子さんの手紙を代読したのも、東山さんにはパワハラや性加害をした疑惑の一部報道が出ており、イメージが悪くなっていたため、いいイメージを持つ井ノ原さんでなければならなかった。NGリストの存在をめぐり、井ノ原さんが“当てないとダメですよ”と話したことを、事務所がわざわざ発表するのも、井ノ原さんのイメージをなんとしても守ろうとする、事務所の戦略の1つだと感じます」 。

 そして、こう続ける。
 「今後この2人で会見を開いても、逆効果だと思います。東山さんも井ノ原さんも若いころからジャニーズ事務所に所属していた人なわけですから。社長と副社長に担ぎ上げられていますが、断り切れなかったのでは。やってくれる人がいるのなら、私は経営のプロに任せたほうがいいと思いますけどね」。  ジャニーズという帝国の崩壊の結末は――。

 2023.10.10日、デイリー新潮編集部「【ジャニーズ会見】「売上4500億円」「ノーベル賞受賞者や元警官・軍人も社員に」 NG記者リストを作った「外資系コンサル」の正体」。
 「解体的出直し」のはずが
 ジャニーズ事務所の記者会見に「指名NGリスト」が存在したことを10月4日夜、NHK「ニュース7」がトップニュースで報じた。このリストを作成したのは「FTI」という、聞き慣れぬ名称の外資系コンサルティング会社だった。このリストを作った同社の正体とは?  【相関図をみる】そもそも“解体”されるジャニーズってどういう組織だったの? 影響力の大きさが分かる、驚異的な“紅白出場回数”一覧も  *****

 10月2日に開かれたジャニーズ事務所による記者会見。開始前のNHKカメラが偶然捉えたのは、演壇の前を横切る運営スタッフが小脇に抱えた「氏名NGリスト」なる一枚紙だ。 「氏名」が「指名」の誤記であることはご愛嬌として、今回の会見では、質疑応答中ずっと手を上げているが指名されない一部の記者が声を荒げ、会場は大荒れになった。その裏で「指名NGリスト」が用意されていたとなると、確かに穏やかではない。 「ジャニーズ事務所としては、『SMILE-UP.』への社名変更と補償終了後の廃業、タレントは今後、新会社でエージェント契約を結ぶといった『解体的出直し』を宣言して、世間の理解を得る算段でした、しかし、『NGリスト』の存在をNHKに暴露されたことで、会見自体の信用性を失う予想外の事態に陥っています」(芸能記者)。
 新宿にある外資系企業
 この「NGリスト」に掲載されているのは、以下の6名だった。
 尾形聡彦氏(Arc Times創業者兼CEO編集長)
 望月衣塑子氏(東京新聞記者・Arc Timesキャスター)
 本間龍氏(ノンフィクション作家、YouTube番組「一月万冊」)
 佐藤章氏(元朝日新聞記者、YouTube番組「一月万冊」)
 松谷創一郎氏(ジャーナリスト) 鈴木エイト氏(ジャーナリスト)  

 いずれも「うるさ型」というかスムーズに会見を進めたい側にとっては煙たいであろう「猛者」ばかり。 このリストを作成したのが、会見の運営を任された「FTIコンサルティング」。新宿にある外資系企業ということだが、「FTI」という名前を聞いたことがある人は多くあるまい。いったいどういう企業なのか。  FTIの元ディレクターで、現在コンプライアンスや情報戦略の専門家として知られる北島純教授(社会構想大学院大学)に聞いてみた。
 FTIはどういう企業なのか。
 「一部の報道ではPR会社と伝えられていますが、実際には金融や経営戦略からITや広報そして不正調査に至るまで、多くの部門を抱える『総合商社』のような巨大コンサルティング企業です。従業員は7800人、拠点は世界84ヵ所、2022年の売上額は30億ドル(約4504億円)で、ニューヨーク証券取引所に上場しています。社員にノーベル経済学賞受賞者がいるというのが定番の自慢ですね」。
 ――FTIという名称の意味は。
 「FTIの名称はもともとForensic Technologies Internationalの略です。フォレンジックというのは『法廷の』という意味で、『裁判の証拠となる鑑識』を指していましたが、今では広く、『不正の証拠調査』、『デジタル証拠の解析』といった意味も含めて使われています。そうした分野から出発した会社が世界中でM&Aを繰り返して、現在の巨大企業に成長した感じです」
 FTIがなぜ記者会見を運営したのか
 ――具体的にはどういう仕事をするのか。
  「例えば、私がいたのはグローバルリスク&インベスティゲーション部門というところですが、企業から依頼を受けて贈収賄やカルテルといった不正行為について調査します。アジア太平洋部門(APAC)のヘッドは香港にあったのですが、元ロイヤル香港ポリスとか、警察官や軍人、外交官やジャーナリスト出身者を主としたインテリジェンスのプロ連中が集まっていました。当時の日本法人は警察トップの子息が率いており、たいへん優秀でした。  2020年にアマゾン創業者ジェフ・ベゾスのスマホが、サウジ皇太子のワッツアップ個人アカウントからハッキングされた事件がありましたが、そのフォレンジック調査を手掛けたのもFTIです」 ――そのFTIがなぜ記者会見を運営したのか。 「FTIの中には戦略的コミュニケーションという広報部門がありますが、昔は日本法人にその部隊はいなかったと記憶しています。詳しくは知りませんが、今回ジャニーズ事務所から依頼を受けた日本法人が新たに、記者会見と危機管理を仕切るようになったのかもしれません」。
 最もやってはいけないこと
 ――で、大失敗したと。

 「大失敗かは分かりませんが、機密性の高い書類が表沙汰になって、クライアントの評判を更に下げるのは広報対応として最もやってはいけないことであることは間違いないと思います。藤島ジュリー景子前社長の手紙読み上げも、パニック障害(過呼吸)のご病気があることはお気の毒ですが、企業の代表取締役社長だった者の対応として、例えばビデオ中継とかビデオ録画の上映といった手段を取れなかったのか、事前の質問を受け付けた上で回答するとか、色々と工夫が出来たはずです。広報対応としては正直、心もとないという印象を受けました」。

  ――ジャニーズ事務所は今後どうすればよいのか。

 「これだけ批判が広がっている以上、改めて記者会見を開くことは必須だと思います。10月17日に社名を変更するということですから、そのタイミングで会見を開き、改めて被害者救済の具体的なプランを説明したり、藤島ジュリー景子氏が代表権を返上した後、株式の帰属や新会社の役員構成がどうなるかといった疑問に答えたりする機会を作るべきでしょう」  ジャニーズ事務所にとっては当面、記者会見が鬼門となりそうだ。FTIは今回の件について、「限られた会場使用時間の中で会見の円滑な運営準備のために弊社が作成し、運営スタッフ間で共有したもの」と説明している。心機一転、次の会見をFTIコンサルティングは仕切れるのだろうか――。注目だ。

 2023.10.14日、「ジャニーズ報道でスクープ連発 NHKが“身内の恥”を晒してまで報じた「意外な局内事情」」。
 ジャニー喜多川元社長(享年87)による性加害問題に揺れるジャニーズ事務所は10月2日、都内で2度目の会見を開いた。 NHKはその会見で、特定の記者を指名してはいけない「NG記者リスト」の存在をスクープ。さらに9日には、渋谷の放送センターのトイレでジャニー喜多川氏から複数回性被害に遭った男性の証言を報じた。特に9日のニュースについては局内事情が働いているという。NHKに詳しいメディア関係者が明かす。 「放送センターという本部・中枢で犯罪的行為が行われていたという疑惑に報道部門は怒りに震えていると聞きます。その憤激は喜多川氏だけでなく、薄々知りながら長年にわたり黙認してきた番組制作部門に対して向けられている。記者たちは徹底的に膿を出さなければならないと、自らの存在意義を示すために取材しているようです。報道と番組制作の両輪が外れかねない状況のNHKはどこへいくのか、かつてない岐路に立っています」 。

 NHKは大きく分けると、「報道」と「番組制作」の二本柱で成り立ち、後者のメインイベントは大晦日の紅白歌合戦である。最近のテレビ離れから視聴率の苦戦を強いられ、ギリギリで持ちこたえていたところに故ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所とのズブズブの関係まで明るみになった。 ちなみに、昨年の紅白歌合戦の平均世帯視聴率は第1部31.2%、第2部35.3%、一昨年は、それぞれ31.5%、34.3%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。苦戦が続くが、なんとか踏ん張れているのはジャニーズ事務所のお陰と言っても過言ではない。昨年の例でいえば、SixTONES、なにわ男子、Snow Man、King&Prince、関ジャニ∞、KinKi Kidsの計6組、スペシャルナビゲーターに桜井翔、審査員は「どうする家康」の松本潤と、まさに“ジャニーズ祭り状態”だったのだ。 紅白の出演者は例年、11月中旬に発表される。それに先立ち、9月末に行われた定例会見で、NHKの山名啓雄メディア総局長は「ジャニーズのタレントは一切出ないのか」と問われると「現時点ではそうなる」と述べた。さらに、渋谷の放送センター西館の7階にジャニーズ専用のリハーサル室があるのでは、と追及されると「特殊なことではない。一般的にいえば、何年も続いている番組であれば恒常的にリハーサル室が必要がある」と、その存在を認めた。 このリハーサル室は〝魔の7階〟と呼ばれ、性被害者の一人、元ジャニーズJr.の二本樹顕理(にほんぎ・あきまさ)氏はジャニー喜多川氏が「小学生のメンバーを膝の上にのせていた」というショッキングな証言をしている。そして、10月9日のニュースで報じられた許されざる行為の現場は、リハーサル室に隣接するトイレの可能性が高い。
 実際にジャニーズ事務所のタレントの出演がゼロになればファン離れが加速し、視聴率が史上ワーストまで落ち込む可能性がある。報道サイドにいる人たちは、そんな局内事情をわかった上であえて報じているというのだ。前出のメディア関係者が明かす。 「もし視聴率が落ち込むことに対して報道側が“忖度”してしまったら、是々非々のスタンスを求められる、彼らの存在価値そのものが問われることになってしまう。だから今回の一件は社内の疑惑にも関わらず、報じる必要性を感じたのでしょう。

 渋谷にある放送センターというのはNHK職員にとって中心的存在で“聖地”にもたとえられるぐらいの場所なんです。残念ながら、今回の一件で“いわくつきの場所”と見られても仕方がなくなった。それは被害者の気持ちを考えるとシャレでは済まされません。報道部門にいる人はそんな気持ちを抱いているのではないでしょうか」 。放送センターは1965年に東館、68年に西館、72年に本館、そして88年に北館が竣工し、半世紀以上が過ぎ老朽化が激しく、現在の敷地内に建て替えられる。西館も取り壊されるが、性被害者が受けた痛み、苦しみ、悔しさは永遠に消えない。 既に建設工事用の足場が組まれ、順調に進めば’25年から一部の運用が始まる。その費用は約1700億円にも達するといわれ、建設機材や人件費が高騰するなか、予算内に収まるのか懸念されている。 「建築計画のお知らせ」に工事完了予定日が「2036年12月31日」と記されているのには驚き、目を疑う。 「報道部門が入るニュースセンターを優先的に造り、他の部門をジグソーパズルのように建てていくのでしょう。でも、完成が’36年とは気が遠くなる話です。最近、画面にこそ登場しませんが、業界内でも有名な敏腕プロデューサー、ディレクター、カメラマンといわれる有能な人材が民放に移籍する動きがありましたが、『将来に希望が持てない』と有能な30代、40代の職員のなかには見切りをつけて転職する者がいますし、その流れは止まるどころか加速すると思います。新放送センターができても中核になる人材が残っているのかどうか。AI(人工知能)など技術革新が期待されますが、基本は『人』ですから」(NHK関係者) 忖度ない報道によって、皮肉にも「内部崩壊」の実態が明るみに出たNHK。新しい放送センターが完成したころには、これまで在籍していたような優秀な人材がいなくなっていた……なんてことになったら、それこそシャレにならないだろう。




(私論.私見)