特殊ガス考 |
更新日/2024(平成31.5.1栄和改元/栄和6)年.7.28日
(れんだいこのショートメッセージ) |
ここで、「特殊ガス考」をものしておく。 2024年.7.28日 れんだいこ拝 |
【特殊ガス考】 |
「特殊ガスのつくられ方」を参照する。 |
特殊ガスは、高純度ガス、半導体材料ガス、標準ガスと呼ばれる3種類のガスに大別することができる。 高純度ガスは、ヘリウム、水素、窒素、アルゴン等が挙げられ、分析機器の校正や半導体材料のキャリアガスなどとして使用されている。校正などに使用されることから、不純物は極力低減されている。 半導体材料ガスは、半導体製造工程に使用されるガスのことを指し、その数は実に30種類以上に及ぶ。一部アンモニアなどは自然界に存在しているが、ほとんどのガスはそれ自体としては自然界には存在していない。 標準ガスは、一般的に高純度標準物質と組成標準物質に分かれている。高純度標準物質は、分析機器のゼロ点指示を校正する際などに用いられる。組成標準物質は、自動車排気測定用などを目的として構成各成分の濃度を調整した物質で、いわば数種類のガスを混合した混合ガスである。 |
【製造システム】 |
製造システムは次の通リ。 高純度ガスは、校正などに使用されることから、各種ガスのつくられ方と比較してより緻密に行われており、不純物を極力抑え、低減されている。 半導体材料ガスは、ほとんどのガスが自然界には存在していないこともあって、専門の特殊ガスメーカーにより製造されている。 例えば、半導体材料ガスで大量に使用されているシラン(SiH4)は、還元(SiCl4+LiAlH4→SiH4)や不均化反応(1種類の物質が2分子あるいはそれ以上で相互に酸化、還元その他の反応を行った結果、2種類以上の物質を生じることを言う)によって製造することができるが、工業的には不均化反応で製造されている。 また、半導体のエッチングや光ファイバーの脱水工程などに使用される塩素(Cl2)は、一般的に電気分解(2NaCl→2Na+Cl2↑)によって製造される。一方、エッチングで使用される臭化水素(HBr)は、水素と臭素の直接反応(H2+Br2→ 2HBr)によって工業的に生産されている。 以上、ひとまとめで半導体材料ガスと言っても、その製造方法は合成、還元、不均化、分解などさまざまな化学反応が採用されている。また半導体材料ガスの原料の選定や製造方法、その純度等には各特殊ガスメーカーのノウハウが詰め込まれており、同じガスであっても、工業的には数種類の製造方法で製造されているガスも存在する。 標準ガスのうち一方の高純度標準物質は、高純度ガスと同様の工程で製造されている。もう一方の組成標準物質は、2種類以上のガスを均一に混合させて製造している。このため、製造する特殊ガスメーカーには、2種類以上のガスを混合したときの安全性や充填する容器、均一に混合させる方法などについてのノウハウが必要となる。 |
特殊ガスを製造している特殊ガスメーカーは毒性、可燃性、腐食性など、ガスの性質を十分に熟知している。その上で、ガスおよび原料の特性を十分考慮した装置材質の選定や安全性の高い装置の設計、作業者教育の徹底、ガス検知器の設置、さらに工場には、そのガスの特性を考慮した排ガス処理システム(燃焼法、乾式法、湿式法など)を設置するなど安全性、環境を十二分に考慮して製造している。また消防法、高圧ガス保安法、毒物劇物取締法、化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(略称:化審法)など関連法規を遵守した管理を行っている。 |
(私論.私見)