道路特定財源の一般財源化考

 (最新見直し2008.3.22日)

 関連サイト「田中角栄の議員立法

Re:れんだいこのカンテラ時評242 れんだいこ 2006/12/11
 【道路特定財源制度の一般財源化の虚妄】

 2001年誕生した小泉政権によって「道路特定財源制度の一般財源化」への見直しが強調され、道路特定財源制の暴力的改変が迫られることになった。小泉政権の正統の後継である安倍政権は、小泉政権時に打ち出されたこの方針を推進する以外に無い。ところが、党内からの根強い反発に遭い、実質上骨抜きの法案へと転換させた。

 それに対して、野党の民主、共産、社民が一斉に批判し、「道路特定財源制度の一般財源化」を迫っている。今、この制度の生みの親田中角栄有りせば、どのように発言するであろうか。如何なる対応策を講じるであろうか。

 れんだいこの見るところ、政府官庁及びその諸機構の腐敗は民営化で解決することはなく、むしろ外資ファンドの好餌にされるだけのことである。「道路特定財源制度の一般財源化」も然りで、その予算は軍事防衛費に化けるだけのことである。狂人小泉政権は、元々オツムの弱いマスコミを飼いならし総動員して、あたかも民営化すれば、「道路特定財源制度の一般財源化」すれば問題が片付くかのようにプロパガンダし続けてきた。

 れんだいこの見るところ、民営化は、中曽根政権以来の米英ユ同盟売国奴が推進した悪政である。民営化すれば、目先のゼニ効率で回り始め、採算の悪い地方が切り捨てられることは火を見るより明らかであった。しかも、民営化のターゲットとなったのは国家中枢機関ばかりであった。国家国民にとって何の利益も無い、今日の外資ファンドの暗躍する舞台が整えられたに過ぎない。「道路特定財源制度の一般財源化」もこの流れにある。地方議員が抵抗するのは当り前と云えよう。

 真の問題は次のことにある。政府官庁諸機関の特権的独善的権益にメスを入れ、これを如何にして国民受益の方向に改善するかである。道路特定財源制で云えば、それにより造られた有料道路の料金の引き下げ。債務超過にも拘わらずの特権官僚の優遇の廃止。天下り、指名業者制に伴う各種利権の廃止等々。これを議論することこそが肝要で、民営化するしないは何の関係も無い。おかしなことに、肝腎のこれを議論せず、民営化云々で大騒ぎする。中曽根ー小泉政権下で改革と称して為されたものは改悪でしかない。

 参考に述べれば、次のようなくだらない議論が横行する。本四架橋を三本も建設したことがケシカラン、あんなのは一本でよいのだなどと。無駄な公共事業として例示したりする。しかしなぁ。東京から見ればそう見えるだけのことで、本四架橋三ルートはそれぞれ経済圏が違い、かの時期に建設し得たことは壮挙であった。こう看做さないといけない。

 問題は、明らかに料金が高すぎて試算より通行量が少なすぎることにある。宝の持ち腐れが判明しているのに、諮問会議を開いてみても料金を目先いじることしかできない。資金不足となれば補助金を当てにして次第に累積債務が広がっている。しかるに問題を先送りして、誰も我が事のように動かない。ここに問題がある。

 早い話、本四架橋現行料金の「料金3分の1、通行量5倍化」すれば良い。あるいはいっそのこと、一般有料道路並の距離料金にすれば良い。これにより通行量が伸びれば廻り回って地域を活性化し、ひいては税収増になるというものだろう。これは普通に考えられる対策である。これに向わず、ヤレ三本作ったのが大間違いだとか、利権大橋だとか批判して事足れりとしている。気楽な野党稼業であり過ぎようぞ。一事万事これであるから情けない。

 もとへ。小泉後継の安倍政権は苦吟を余儀なくされる。なんとならば、小泉構造改革路線なるものが狂人路線であったからに他ならない。かの路線は身も心も米英ユ同盟に捧げるところに成り立っている。安倍がそこまで道化ることができるかどうかが問われている。道化れば政権安泰であり、道化なければ潰されよう。今は誰がなっても、この属州政治の構図から逃れられない。ここに現代日本政治の悲劇がある。

 我々は、かって現に存在した戦後保守本流のハト派政治こそが史上稀なる真の在地型左派政治であったと見直し、その復権と出藍をこそ目指すべきだろう。興味深いことに、そのハト派政治の総帥田中角栄を失脚させんとして躍り出たのが日共宮顕ー不破一派だった。彼等の本質反共性が分かろう。その癖、人を反共と云う。残念ながら、この認識が共有できない。今日の日共を人民大衆の味方だなどと信じている部分がまだ居る。政治的に遅れ過ぎているとしか言いようが無い。

 2006.12.10日 れんだいこ拝

Re:れんだいこのカンテラ時評366 れんだいこ 2008/02/03
 【2008.2.3日NHK日曜討論の道路特定財源法議論考】

 2008.1.30日、与野党は、道路特定財源法のつなぎ法案を廻る攻防下で、異例の衆参議長斡旋による「年度内(3月末まで)に一定の結論を得る他三項目案」を受け入れた。2008.2.3日のNHK日曜討論が、道路特定財源法議論を特集していた。前半のさわりを聞いたが、これに関して思うところが有るので一言発信しておく。

 何事も歴史を知らねばならない。という訳で、れんだいこは既に「田中角栄の議員立法」の「道路法について」で道路特定財源法の由来史を検証している。次に、2006.12.11日付のれんだいこのカンテラ時評242の【道路特定財源制度の一般財源化の虚妄】でコメントしている。格納しているサイトは「道路特定財源の一般財源化考」である。(ttp://www.marino.ne.jp/~rendaico/jinsei/mineicaco/dorozaigenco.htm)

 NHK日曜討論に於ける民主、共産、社民三党の「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ」論に疑問があるので再度コメントしておく。野党は、政府のやる事に難癖つけてスタンドプレーする事が習い性になっている。それで構わない事例が多いが、時にそうでない場合がある。「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ論」は最新のこの事例であるように思われる。

 現行の道路行政に対する批判であれば構わない。鋭くメスをいれ、どこをどう機構改革及び計画見直しするのか議論すればよかろう。しかし、「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ」となると話は別である。それが本当に正しい処方箋だろうか。

 一体、野党諸君は、道路特定財源法の由来について真摯に考えた事があるのか。れんだいこ理解に拠れば、道路特定財源法は、田中角栄の議員立法による1952年以来の折衝で、大蔵省の強い抵抗を押し切って勝ち取った歴史的壮挙であった。左派系の者なら本来、大蔵省の一元支配という絶対権力に風穴を開けたことを評して喝采を贈るべきことである。ところが、今日びの左派は宮顕−不破系日共の如くことごとく本来の共産党的在り方から逸脱しており、よく聞いてみれば単にネオ・シオニズムの忠実な下僕でしかないからして、角栄がらみの事に条件反射的に反対する癖がある。

 これを共産党の名を語ってやられるものだから堪ったものではない。多くの者は共産党とはそういう主張をするのかと面食らったり失望してしまい、かっての人民大衆の先頭に立って献身した姿よりも最近の姿を知るにつけ嫌悪の情を強めてしまっている。ここに日共支持の伸び悩みがある。これに代わる党派が台頭しないので相変わらず党中央の座椅子に温もっておられるだけのことに過ぎない。

 それはともかく、民主党の識見無能はとめどない気がするのは、れんだいこだけだろうか。先のテロ特措法では、海上自衛隊の再派遣に関連して、陸上自衛隊まで送り込む魂胆を明けすけにしていた。幾らかの制限をつけていたから良いようなものの国連軍指揮下ならという条件で自衛隊の海外派兵を押し進めようとしている。日本左派運動が飲める話ではない。小沢代表は、自衛隊の海外派兵は憲法違反であると不退転の主張をし、これを我々が支持したのだから筋を通せば良いのに、国連軍なら別だという論法を編み出し政府与党案よりも更に突出した方向へ自衛隊を誘おうとしている。ここら辺りが小沢の限界かも知れない。

 これに続いて、こたびは「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ論」の提唱である。れんだいこは急速にこの党の無能さを味わいつつある。本来主張すべきは、内治主義政策として勝ち取られた道路特定財源の意義を称揚し、その非利権的有効化を目指すべきである。去る日、田中角栄が提起した日本列島改造案を評価し、これに基く基幹道路網の一層の整備促進を図るべきである。都市と農村、表日本と裏日本の地域格差を是正すべく列島改造するという案は今なお有効であり、その政策が停止させられつつある事こそ批判すべきである。

 それを何と、日共の口車に乗せられ、「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ論」に唱和している。小泉が構造改革と称して打ち出した政策であるが、何とその小泉政策に戻れと言っているに等しい。その小泉は在任中、ことごとく戦後主流派を形成したハト派の内治主義政策の成果を解体し、ネオ・シオニズムの指針する外治政策に狂奔し、専守防衛区域は東南アジアまでとする政府の何度もの国会答弁確約を反故にし、自衛隊を一挙にインド洋、ペルシャ湾まで派兵せしめるという暴挙に踏み切った。引き続いて基地移転、ミサイル防衛網、戦略兵器の共同開発に卒倒すべき予算を計上している。返す刀で日本の国家的民族的解体へ向けての様々な陰謀的政策を導入してきた。

 民主−日共−社民は何と、この政策の延長上で口をパクパクしているに過ぎない。「国民の声を聞け」とスタンドプレーしているが、国際ネオ・シオニズムの裏御用聞きをしているだけではないのか。国民は本当のところは「つなぎ法案」自体はどうでも良いのだ。ガソリン代の急激な値上げに悲鳴を上げており、暫定税率廃止で安くなるのなら歓迎としているだけで、それは緊急間に合わせのものであることを知っている。

 根本は石油調達のオイルメジャー支配からの脱却にこそある。オイルメジャー政策によるガソリン代操作をこれほどいとも簡単にさせられる状況をこそ危ぶむべきだろう。一体、誰がこういう仕組みに誘導したのだ。角栄−大平同盟が主流派であった時代、石油調達はオイルメジャーに依存しながらも民族系石油会社が数社育成されており、カウンター勢力になりえていた。今このラインが解体されており、オイルメジャーの思うがままに操られるようになってしまっている。これを問う事こそが政治で有り、野党の任務とすべきところ、このように論を立て立ち向かう者がいない。

 あろうことか、その昔権限を奪われた大蔵省の策略に誘導され、当然ネオ・シオニズムの内治主義破壊政策に乗せられ、何ら合理性の無い「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ論」で政府与党に立ち向かい、テレビ映りを気にしながら歌舞伎役者を気取っている。愚劣極まれりと云うべきだろう。

 こういう倒錯がどこから発生するのか。それは、歴史観の歪みからとしか考えられない。彼らは、本来英明な政策ばかりであった戦後政府を主導した自民党ハト派の政策を否定し、構造改革という名ばかりのむしろ反動政治に狂奔しつつある。全てが現代世界を牛耳る国際金融資本帝国主義政策の御用聞きでしかない。一挙に事が進められないので与野党に分かれて両面から揺すっているだけのことで、所詮気楽な雇われ稼業でしかない。

 こういう馬鹿らしい政治を弾劾せよ。「道路特定財源を廃止し一般財源化せよ論」を唱えるのなら、道路特定財源を導入した経緯、その後の経緯、現段階での改革案と云う風に立論すべきところ、姑息な事に角栄の偉業を思い出させないネオ・シオニズム戦略に従い、極力角栄の名を出さないままの議論に耽ろうとしている。しかし、それは無理な話である。白を黒と云い含める詭弁なくしては越せまい。

 2008.2.3日付け日経新聞26面の「視点」が、この問題を解説している。参考になるので、れんだいこが補足しつつ要点を整理しておく。

 ガソリンにかかる税金のうち揮発油税と地方道路税の二つを合わせてガソリン税と呼ぶ。ガソリン税として集めた税金は原則として道路の建設や整備に使う。このように使い道を限定した財源を「特定財源」と云う。「特定財源」には、ガソリン税の他に軽油取引税や自動車重量税などがあり、これらを合わせて「道路特定財源」と云う。

 「道路特定財源」制度は1954年にできた。来るモータリーぜーション時代の到来を見据え道路建設を急ぐ必要があったところ、一般財源から回される予算では足りず、高速道路を有料化し、その利用者の受益者負担原則で税金を徴収すると云う方法で資金調達する事にした。有料道路を利用する者が予想以上に多く、その税金で更に有料道路を造っていく手法で急速に日本列島上に基幹道路網を整備する事ができた。

 1974年、財源を増やすために「暫定税率」の仕組みを導入した。本来の税率に暫定的に上乗せする仕組みとした発足したが、2−5年の期限のたびに延長され現在まで上乗せが続いている。ガソリン税の税率は現在の1リットル152.9円の場合、53.8円(本体89.8円、本来税28.7円、暫定税25.1円)。軽油取引税などにも設定されている。

 道路特定財源の税収は、2008年度国・地方合計予算でガソリン税3兆683億円、軽油引取税、自動車重量税などで2兆3360億円で合計5兆4043億円。暫定税率を全廃するとした場合、ガソリン税1兆6379億円、軽油引取税、自動車重量税などで1兆1660億円で合計2兆8039億円。

 現在の暫定税率は2008.3月末で期限切れを迎えている。政府は、昨年末に策定した「2008年度から十年間に59兆円の道路事業費が必要」とする中期計画案に基き、向こう十年延長する法案(租税特別措置法改正案)を今国会に退出した。

 民主党は、「暫定税率を全廃してガソリン値下げにつなげるべきだ。それが国民生活のためになる」などと主張し反対している。暫定税率を止めると、ガソリン1リットル当り約26円安くなり、道路特定財源が2008年度で約2兆6千億円減る試算になる。政府与党は、「暫定税率をなくせば税収が減り、道路整備が遅れ、地方自治体収入が減り、財政悪化に繋がる」などと反論している。

 さて、以上から、本来どう議論すべきであろうか。れんだいこならいとも簡単である。道路特定財源の意義を知り、これが正しく活用されているかを吟味する。有料道路料金を値下げする。特に本四架橋のように顕著な赤字の場合、思い切った低料金化する。不要道路を作らせない。必要道路は大いに作る。官僚の栄耀栄華はさせない。ガソリン料金の高騰に対して、他の供給ルートを探り対抗させ引き下げる。軍事防衛費をそれまでのようにせめてGNPの1%枠まで戻す。基地移転やらミサイル防衛網やら戦略兵器開発費用などに税金を使わせない。つまり、内治と外治の拮抗であり、全体に絡めて議論せねばならないだろう。そういうことになる。

 2008.2.3日 れんだいこ拝

【道路暫定税率の租税特別措置法の採択】
 1974(昭和49)年、田中内閣の時、列島改造によるインフレに第1次オイルショックが重なり、暫定税率導入でガソリンの節約を求める一方、景気対策として公共事業の規模を維持するため、道路財源を維持しようとした。衆院大蔵委員会で、採決に先立ち当選1回の小泉純一郎氏が、「揮発油税引き上げは、現今の石油情勢の下に於いて資源の節約と消費の節制を図るとともに、道路財源を充実するものとして当を得た措置だ」と賛成討論した。野党は、「道路を中心とした公共事業投資への固執であり、撤回を要求する」と反対した。委員長・安倍晋太郎が、「起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました」。揮発油税などに2年間の暫定税率を加える租税特別措置法改正案が可決された。

 暫定税率で膨らんだ道路特定財源は全国の道路整備に投入され、地域の発展に貢献した。その後三度の税率アップと7度の措置延長を繰り返している。

【道路法及び財源法の基礎知識】
 「道路特定財源の経済分析」その他を参照する。

 2005.10.3日付け読売新聞社説は、次のように述べている。
 国と地方の財政が火の車に陥る中、道路特定財源制度導入時に比べ、かなり整備が進んだ道路に、これまで通り潤沢な資金を注ぎ込む必要性は薄れた。

 2005.11.8日付け朝日新聞によれば、小泉首相が、道路特定財源について、使途を限定し無い一般財源に変更するよう指示を出したという。2006(平成18)年成立の行政改革推進法は道路特定財源の一般財源化を図ると明記した。

 その口火を切ったのは、財務相・塩川正十郎氏の「母屋(一般会計)でおかゆを食って節約しているのに、離れ(特別会計)で子供がすき焼きを食っておる」と国会答弁した。

 道路の種別

 道路は、無料の一般道路と高速自動車国道及び地方有料道路からなる有料道路に分かれる。一般道路は、一般国道と地方道からなる。一般国道は、指定区間内の直轄国道と指定区間外の補助国道に分かれる。地方道は都道府県道と市町村道に分かれる。

 道路の事業主体

 道路の事業主体が区分されており、高速自動車道国道及び直轄国道は国土交通省、補助国道は国土交通省叉は都道府県、都道府県道は都道府県、市町村道は市町村となっている。

 税制及び財源配分

 道路税は、道路特定財源税と一般財源税から成る。道路特定財源は、取得段階税、保有段階税、、使用段階税から構成されている。取得段階税には自動車取得税(2008.3.31日までは5%)、保有段階には車検ごとに自動車重量税、使用段階には揮発油税、地方道路税、タクシーなどが使うLPG(液化石油ガス)に掛かる石油ガス税、主にディーゼルエンジンに使う軽油に掛かる軽油引取税が課せられている。他に、一般財源として自動車関係税があり、自動車税(都道府県税)、軽自動車税(市町村税)から成る。

 道路特定財源税のうち揮発油税、地方道路税、石油ガス税、軽油引取税自動車重量税が国税であり、軽油引取税、自動車取得税は都道府県税である。2008.3.末までは、揮発油税と地方道路税合わせて1リットル当たり53.8円が課税されている。これとは別に末端売価に消費税5%が掛けられている。本来の法律は、1リットル当たり原則28.7円と定められている(本則の税率)。実際に課税される53.8円と28.7円の差額の25.1円が5年おきに見直される暫定税率で上乗せされている。


 国税は国と地方自治体に配分され、更に地方自治体間で配分される。都道府県税は、都道府県と指定市、市町村に配分される。ここに移転される税収が譲与税と呼ばれる。国が地方の道路事業を補助する場合、国庫支出金と呼ばれる補助金を支給する。

 道路特定財源は、2008年度予算で国と地方合わせて5兆4043億円。このうち暫定税率分は2兆6000億円。国税として徴収されるのは3兆3366億円だが、国の一般会計や道路整備特別会計を経由して国の道路整備に使われ、その他が国から交付金として地方に配分される。

 議論の様相

 財務省は、そもそも道路特定財源税に反対しており、こたびも一般財源化を主張している。これに対し、地方自治体、石油連盟、日本自動車工業会は一般財源化に反対している。現在、環境税転用案も浮上している。

Re:れんだいこのカンテラ時評383 れんだいこ 2008/03/28
 【れんだいこの特定財源の一般財源化反対声明】

 2008.3.27日、福田首相は、道路関連法案に関して新提案した。それによると、道路特定財源制を廃止し、21年度から一般財源化する。暫定税率の当面維持、道路中期計画を見直し、10年から5年に短縮して新たに策定する、というものである。

 これをどう評するべきだろうか。れんだいこは既に幾度も指摘しているが、道路財源の一般予算化は歴史の逆行と見る。これは田中角栄がその昔、特定財源化した英明策であり、これを元に戻すのは旧大蔵省の念願ではあっても、国民の為にはならない。にも拘らず、民主党、社民党、共産党、マスコミ、自称識者が世を挙げて牽引しているのは政治の識見不足極まれりである。

 れんだいこは、ロッキード事件以来の世論包囲網が敷かれていると見る。となると、ロッキード事件同様に、これを裏から操作している勢力の陰謀を見て取らねばなるまい。彼らは何を画策しているのだろうか。察するに、軍事防衛予算は、表向きはともかく目白押しで次から次へと予算計上されておるからして、これの財源に充てようとしているのではないかと思われる。

 道路財源の一般財源化論者は、軍事防衛費のザルの底抜け事態に対しては口をつむっていることで共通している。道路財源を社会保障費や環境対策に充てるというが、これを何ら保障せぬままに一般財源化論を唱えている事でも共通している。松岡農相変死事件に対して逸早く自殺認定し闇に葬ったこと、イージス艦の漁船転覆事件でも事故直後の救出活動に言及しなかったことでも共通している。

 これらは果たして偶然だろうか。れんだいこは、このところの民主党の魅力が急速に褪せてきたと思う。これまで幾分かは支持してきたが、彼らの狙いは政権取るだけのことで、政策的には自民党のそれと競うように阿呆政策に向けて構造改革しようとしているのではないのか。社民党、共産党がこれまた然りで、マスコミ然りで、よってこの国は無茶苦茶と云うしかない。

 恐らく近未来、自衛隊の海外武装派兵が恒常化し、国際責任論、一蓮托生論で米英ユ同盟の傭兵として次から次へと紛争地域に投入されるようになるのではなかろうか。社民党、共産党は反対意見表明の機会が与えられ責任果たしたとして事足り、結果的にガス抜きの役割を果たす。こうして、自民−民主−公明の圧倒的多数で法案が次から次へと採択されていく事になるのではなかろうか。

 国家予算の過半が戦前のように軍事防衛費、諸外国の復興支援、その他関連費に回され、国内は疲弊に次ぐ疲弊で荒廃していくことになるのではなかろうか。天変地変災害に対しても予算不足と云う事で後手後手に廻り、国内の中小零細企業は青息吐息もしくはバタバタと倒産を余儀なくされ、かつてのように食えない者が続出し、順に海外移民せざるを得なくなるのではなかろうか。

 大手企業、有望企業の多くが外資に寄生され、利益の殆どが吸い取られる仕掛けの中で企業活動し、新たな外資系財閥が登場し、にっちもさっちも行かない新日本がつくりあげられるのではなかろうか。こういうことが予見されるが、各界協働してこういう新日本建設に勤しむ構造改革論者をどう評するべきだろうか。

 れんだいこは幸いな事に、日本再建のシナリオを角栄の日本列島改造案の中に見て取っている。このバイブルありさえすれば、いつでも正しき日本再建可能と信じている。問題はいつ向かうかであり、ここ当分は逆コースに耐えねばならないと心得ている。それにしても暗い話しではある。
 
 2008.3.28日 れんだいこ拝

Re:れんだいこのカンテラ時評385 れんだいこ 2008/03/28
 【れんだいこの道路関連法案処理の緊急提言】

 福田首相の提案を見るのに、1・道路特定財源制を廃止し、2・暫定税率の当面維持という内容がどうも腑に落ちない。誰がこれを画策したのだろうか。れんだいこは、提案するなら逆に、1・道路特定財源制の当面維持、2・暫定税率の暫定凍結こそ望ましいものであると思う。つまり、逆提案している事になる。福田首相がよほど識見不足なのだろう、悪智恵を吹き込まれている可能性がある。

 各党派の対応を見るのに、国民新党が素晴らしい。れんだいこの読解に誤まりなければ、国民新党が野党で唯一、特定財源制維持を主張していることになる。他の民主党、社民党、共産党は、小泉構造改革の尻馬に乗って、小泉さえ果たせなかった暴挙を野党力で遂行しようとしていることになる。はしなくも、この重要課題で、誰と誰がつるんでいるのか露呈させた事になり興味深い。

 民主党よ、小沢よ、聞く耳があるなら聞け。道路財源の一般予算化は拙速することはない。それこそ十分時間をかけ、諮問委員会も受けて審議せよ。それは改憲に対する態度と同様である。それに引き換え、暫定税率は、石油価格の急騰に鑑み暫定的に2年間凍結させればよい。これしも難癖つけて国民の窮状を顧慮しようとしない自民党の対応能力との対応差を引き立て支持を受けるであろう。

 民主党よ、小沢よ、聞く耳があるなら聞け。内治主義的な政策の制度疲労にかように精力的に構造改革すると云うのなら、外治主義的な政策の見直しに倍して汗を流せ。軍事防衛、外交、海外援助利権を叩け。原子力もそうだ。こういうところに手をつけず、道路利権だけ槍玉に挙げるのは不正ではないのか。というか、そう操作されているんだなきっと。ということは、小沢よ、お前もか。ということになる。
 
 語呂がよいのでもう一度云っておく。「暫定税率の暫定凍結せよ」。これっきゃない。国民新党よ、こう主張しよう。但し、ガソリン価格が急降下したなら凍結解除できるという風にしておけば良いがな。れんだいこは知恵者だな実に。誰も言わないから、自分で自分を買ってやりたいふふふ。
 
 2008.3.28日 れんだいこ拝

Re:れんだいこのカンテラ時評386 れんだいこ 2008/03/31
 【毎日新聞の「変わるか土建国家論」を排す】

 2008.3.31日、毎日新聞3面は、「変わるか土建国家」と題して、こたびの福田首相提案「09年度から道路特定財源を一般財源化する」を支持する記事を載せている。「実現すれば半世紀ぶりの政策転換であり、『土建国家』と言われる政治のありようが変わる可能性がある」とまで評している。

 毎日新聞のこの見立ては果たして正論だろうか。毎日新聞のみならずほぼ全マスコミが、「道路特定財源の一般財源化」を目指す提灯記事を書き続けているが、これも一種の報道管制下の一斉同一内容記事なのではなかろうか。れんだいこは、そのように受け止めている。よって断じて受け入れ難い。

 同記事は、道路特定財源制が、1954年、田中角栄らの議員立法で始まったことを紹介しながら、この制度の非を重点的に論っている。それが如何に選挙の道具であったかとか、利権の温床であるとか、今や役目を終えたとか、手を替え品を替え論じている。民主党の殊のほか熱心な様を伝え、「一般財源化こそ改革の本質だ」なる前原誠司前代表の弁を紹介している。

 毎日新聞がどういう見解を載せるのかは自由であるが、あたうことなら同社内の異論派の記事をも載せれば良いのに、各社とも一本化しているようで、こうして巨大な洗脳記事が垂れ流されている。社共も率先しているので、今や人民大衆は、道路特定財源の一般財源化論洪水の中で暮らしていることになる。ここで敢えて、れんだいこが火中の栗を拾うことにする。

 毎日新聞よ、君達は排撃的土建国家論を述べているが、土建国家でどこがオカシイのかその根拠を論じて見よ。まさか、土建屋の風体が3K的であるので自称インテリを認ずる者には汚らしい、それに比べて我らがホワイトカラー族は云々という程度のものではあるまいな。いや、案外この程度のオツムかも知れない。

 一体、先生先生と云われる連中の仕事ほど仕事の成果がはっきりせず、仕事の割に高給取りで社会に迷惑をかけているのではないのか。小難しく小賢しいのが特徴で、本質的には、こちらの方が汚いと云うべきではないか。

 角栄は、次のように述べている。この言に耳を傾けよ。「私は世界的政治家や総理総裁になって一党をひきいようというような派手な夢や考えは持ちません。私が道路や橋や川や港、土地改良などに力を入れるので一部のかたがたは『田中は土方代議士だ』といわれるが、私は原水爆禁止運動も世界連邦運動も結構だが、『まず足元から』という気持ちであえてこの批判に甘んじておるわけであります」。

 角栄は、次のようにも述べている。「人間の一日の行動半径の拡大に比例して国民総生産と国民所得は増大する。地球上の人類の総生産の拡大や所得の拡大は、自らの一日の行動半径に比例する」。

 これは、角栄哲学の面目躍如な至言で、その通りではなかろうか。彼は政治家のみならず哲学者、思想家でもあるということになる。

 更に、次のようにも述べている。「新しい国土利用というものが何から始まるかといえば、それは交通網の整備と公共投資だ。そこのところを政策として体系的に述べているのが、昭和43年5月に発表された「都市政策大綱」だ。これは私が自民党の都市政策調査会長として1年2ヶ月かけてまとめたものでね、私の「日本列島改造論」の原点であると同時に、その後の歴代政権にとって国土政策の基本憲章となったものだ。

 私はこの「都市政策大綱」のなかで、新しい国土利用のカギは交通網の整備、公共投資、とりわけ先行投資であると指摘した。その後の発展はどうかといえば、37万8000平方キロの日本列島は今や新幹線と高速自動車道路網の整備で、時間距離が革命的に短縮されているじゃないか。こういった交通網の整備が、通信網の整備と合わせて日本経済に活力を与え、国民生活を格段に便利にしてきたということは、まさに事実が示しているんだ。だからわたしは、新幹線網をさらに全国に繰り広げ、高速道路のネットワークをさらに細かくすべきだと、そう確信している」。

 日本は、角栄のこのような観点に基く指導力で大いに発展した。現在制度疲労しているのは事実であるが、それはそれで解決すればよい。特定財源制を一般財源化すれば解決するなどと云うのは子供騙しではないのか。

 れんだいこがなぜ土建国家を支持するのか。それは、土建に象徴される社会基盤整備こそが社会進歩の確実な指標になり、幕末から明治維新以来の内治派系の政策の賜物であるからである。これを支持するのが本来の左派政治である。対比的に外治派は国内整備を重視せず、軍事防衛、対外侵略、国際責任に夢中になる癖がある。これを支持するのを御用政治と云う。

 幕末から明治維新以来、この両派が争ってきた。こういう見方が可能なほど、土建国家論の歴史的意味は深い。戦後、田中角栄がこの旗印を鮮明に掲げ、戦後政治を領導した。その政治履歴を見れば驚くほど軍事防衛利権には無縁で、逆に土建政治に重点を置いてきた。その角栄を利権批判するが、ならばこの国のマスコミはなぜ軍事防衛利権に筆を向けないのか。ここにマスコミ的正義のイカガワシサがある。

 マスコミは、角栄を利権の元祖元凶視して悪し様に言及するのが常である。しかしこれも、つくられた為にする批判でしかない。角栄は、不要な公共事業には手を出していない。彼が手掛けた事業は大義名分があり、国家百年の計に資するものばかりである。事業資金も適正額であり、割当ても公平であり、見返り献金を強制してはいない。政治に金が要るとするなら、自力調達し、或る時は小佐野辺りから引っ張ってきた。それは、財界のヒモ付きよりはマシという意味で、むしろ健全であった。これが深層の真相である。

 その角栄をなぜかくも悪し様に言うのが流行るのか。それは偶然か意図的故意かを詮索せねばならない。これを問うのがマスコミの本来ジャーナル精神であるところ、いかにも安逸に時流に乗ったペンを走らせるのが仕事になっている感がある。最近の紙面の詰まらなさは、これに起因しているように思える。

 さて、定番はここに落ち着く。日共式角栄批判、道路利権批判、箱もの行政批判の裏には臭いものが有るというべきではないか。原子力行政の推進論、北方領土での全千島返還論、冤罪批判に向かわず任意な政治責任追及論、著作権強権論これらは皆、現代世界を牛耳る国際金融資本の対日支配計画に裏から通じているのではないのか。れんだいこ研究によればそうなる。

 問題は、日共批判にあるのではない。その党中央批判を主眼にしている。党員が党中央の変調ぶりを的確に認識し、こういう執行部を引き摺り下ろし、早く人民大衆の側に立つ共産党へと戻さねばならない。社民党も然りである。れんだいこは、この党の無能さにあきれている。福島も色褪せた。

 我々は昔から、政権王手党をつくりださねばならなかった。その為に青写真が必要であった。今はその意欲も見受けられない。能力も無い。落ちるところまで落ちた感がある。

 2008.3.30日 れんだいこ拝




(私論.私見)