有料道路無料化マニュフェストの行方考

 (最新見直し2010.04.21日)

Re::れんだいこのカンテラ時評673 れんだいこ 2010/02/16
 【鳩山政権の高速道路無料化公約の結末を嗤う】

 鳩山政権の二大マニュフェストである子供手当と高速道路の無料化が座礁しつつある。鳩山政権は国策捜査により大きく揺さぶられているが、それは外部的要因であって、事実は内部的な政策的自滅によって倒壊する恐れがある。子供手当については別に言及することにして、ここでは鳩山政権の高速道路の無料化公約がどこに辿り着いたか、これを確認する。子供手当同様に稚拙な対応が透けて見えてくる。

 2010.2.2日、国土交通省は、平成22.6月度より社会実験として全国37路線50区間1626キロの無料化を発表した。様々な声を斟酌して、実施対象は地方の交通量の少ない区間を中心とすることになった。大半は100キロ未満で、中には大分県の日出ジャンクション−速見間の3キロ、北海道日高見の沼ノ端西−苫小牧東間の4キロなど極端に短い区間も含まれている。無料化区間は互いに接続されておらず、いわば細切れ指定されている。22年度の無料化区間計1626キロは、首都高速、阪神高速を除く高速道路全体の約18%に過ぎない。

 前原誠司国交相は「23年度以降に対象区間を拡大する」と云い、馬淵澄夫副大臣は「財政の制約がある」と言い訳しているが、この弁明は如何なものだろうか。れんだいこは、「高速道路無料化マニュフェスト」の見るも無残な改竄スタートと見立てる。この程度の実施になるのなら、自公政権時の「土日祝日のET車限定千円乗り放題」の方が、まだしも分かり易くマシなのではなかろうかと評したい。政策を戻すべきである。なぜなら、この種の政策の眼目は景気対策にあったことを思えば、こたびの施策がこれに棹差しているからである。本来の狙いと全く切り離されて、アリバイ証明的な辻褄合わせでお茶を濁そうとするのなら止めた方が良いと云わざるを得ない。

 一体全体、なぜこういう事態になるのだろうか。これを疑惑したい。元々に於いて、本来の施策は「現行通行料金の一律3分の1化、通行量5倍化」を目指すべきであった。それで十分である。敢えてわざわざ無料化するに及ばない。その経済効果は計り知れない。例えば、中四国を結ぶ瀬戸大橋が現行9千円から3千円になったとすると、通行量が5倍化するのは容易に推定できる。現行料金が高過ぎて敬遠されているという原因が明らかであるからである。

 せっかくの公共事業が高料金故に活かされていないという現実があるのに、これまでの自公政権は何ら有効な手を打たなかった。こういう事態が長い間続いた。ようやく手当てしたのが、自公政権末期の「土日祝日のET車限定1千円乗り放題」であった。ET機業界と土日祝日休日者には大いに歓迎されたが、自公政権らしいイヤラシイ政策でしかなかった。

 これに対して、民主党政権の掲げた「高速道路の無料化」は、ET機の仕分けせず、土日祝日の区別せず、等しく無料化としており自公政権的選別施策の閉塞を打ち破る画期的マニュフェストであった。それは、れんだいこの「現行通行料金の一律3分の1化、通行量5倍化」を上回る革命的なアイデアであった。それが、こたびのようなゴマカシに決着するのなら公約詐欺と云うべきであろう。誰しも子供の頃に経験したことがあろう、大きな箱の中の次の箱を開けると又箱があり、順次繰り返すうちに最後に小さな身が入っていた。この経験を想起させる期待外れ代物でしかない。

 れんだいこ的には「高速道路の無料化マニュフェスト」を意図的故意に愚劣化させたとしか思えない。その裏事情に何があるのだろうか。前原国交相、馬淵副大臣率いる国交省は何故にこういう愚策を採用したのだろうか。これは偶然ではない、工作されたと思われる。故に裏事情を考察せねばならないと考える。

 環境問題、混雑問題の見地から「高速道路の無料化」を批判する声が強いが、どれも為にする批判でしかなかろう。環境問題を云うのなら工場、施設のばい煙規制が筆頭だろうに、この問題は一番後回しにされている。混雑問題は、土日祝日から平日適用した場合にはどうなるのか、やってみないと分からない。高速道路が無料化されても走れば燃料を食うのだから誰しも無用な乗り方はしない。それを、土日祝日の混雑ぶりで推し量るのは不当ではなかろうか。これらのマイナス要因よりはるかに経済効果が凌ぐと思う。

 れんだいこは、こたびの貧相決着を前にして、要するに鳩山政権は革新的政権効果が生じないように操作されているのではなかろうかと考えている。敵味方論で云えば、敵は何とかして鳩山政権の骨抜きに取り掛かっていると考えている。「高速道路の無料化マニュフェスト」は、この観点から意図的故意に惨めな施策に帰着したと考えている。そういう意味では、前原国交相−馬淵副大臣−国交省も又影の政府の御用聞きをしているに過ぎない。これを俗にシオニスタンと云う。

 日本は中曽根政権以来のここ数10年、国内経済が活況化しないよう、内需が閉塞するよう、その結果として中小零細企業が倒産するよう、優良企業が外資ファンドに吸収されるよう誘導されている気配がある。いわゆる政治主導により不況を生みだし、その基盤の上で財政の大盤振る舞いによる更なる赤字国債の大量発行へと誘われている気がしてならない。財源不足を理由に消費税が導入され、それでも不足として第一次値上げされ、それでも不足として第二次値上げが画策されている。

 他方で、普通なら事業仕訳の筆頭に軍事防衛費の削減が上がるところ、これを咎めず相変わらず垂れ流しが続いている。そればかりか、思いやり予算のお手盛りが強化されようとしている。影の政府の指令通りにやれイラクやれアフガンやれどこそこへ復興資金の名目で海外援助させられている。米国経済の危機だと云っては株価下支えに巨額の資金が流用され続けている。財政危機だと云っては米国債を買わされ続けている。他方で公共事業が目の敵にされ、必要な事業さえたな晒しされつつある。こんな調子では日本がうまく行くわけないのは自明ではなかろうか。

 鳩山政権中枢の鳩山首相、小沢幹事長がこれらの問題にメスを入れようとした時、途端に集中的な国策捜査が始まっている。スッタモンダの挙句、政治的延命との引き替えに、妥協策として「引き続きの奈落の道政策」が維持されている気がしてならない。これに功があるのはご存じのマスコミ−ネチ共同盟である。これに評論家、コメンテーターが列なる。このシオニスタン同盟は「日本の奈落への道」を外野からの囃したて屋であり、雇われていると見るよりほかあるまい。あるいは、そのムードに乗る方が立身出世上好都合と云う単なる処世術屋に過ぎない。

 こう見立てると、正義屋が正義ではなくなり、検察に追われる者が不正義と云う訳ではないことになる。政治的道徳的責任追及屋が高潔ではなく、拵えられた時流受け狙いの単なる売文、口舌の徒に過ぎないということになる。子供では分からない政治が高等な所以がここにある。

 最後に提言しておく。「2.2国交省施策」は、その他の区間に対する「現行通行料金の一律3分の1化施策」と結合してのみ機能する。容易に思いつくこの施策をさせない闇こそ窺うべきではなかろうか。

 2010.02.16日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評705 れんだいこ 2010/04/10
 【鳩山政権の遅すぎた高速道路無料化公約の結末を評する】

 2010.4.9日、国土交通省(前原国土交通相)が、高速道路の新たな料金制度を公表した。既に発表している37路線、50区間の無料化とセットになる。来年3月までの試験的導入で効果を検証する。これに伴い、4.1日、国土交通省は組織変更で、道路局の「有料道路課」を「高速道路課」に名称変更している。

 以下、「国土交通省の新料金体系施策」を論ずることにする。民主党の総選挙公約である無料化マニュフェストがどう変容されたか、その評価如何が問われている。れんだいこ見解を発表する前に、新料金制度の内容を確認しておく。

 まず、6月から実施する予定だと云う。れんだいこ的には遅すぎる気がするが、それなりの調整期間が必要だったと云うことであれば容認できる。新たな料金制度は、首都高速や阪神高速を除いて「上限料金を軽自動車1000円、普通車2000円、中型車と大型車5000円、特大車1万円」としている。併せて、ETC、現金、曜日や時間帯による区別は行わない。これにより、自公政権時末期の政策「休日上限1000円制」は廃止になる。

 これをどう評するべきか。れんだいこは、「シンプルで良案」と評価したい。れんだいこ案は、自公政権時の料金体系の「3分の1低額化、交通量5倍化」を打ち出しているが、これと比べて遜色ない。むしろ、従前料金体系のチマチマとした上乗せ制を撤廃してスッキリさせており画期的とも云えよう。この限りで、れんだいこ案より優れている。

 例外として、首都高速と阪神高速では普通車の下限500円、上限900円、大型車下限1000円、上限1800円」を計画している。但し、「両高速は、出口料金所がないため現金利用者は入口で上限料金を支払う」とある。これは理解できない。そもそもの始発が無料化であったことを思えば、ワンコイン化すべきであろう。何らかの方法を編み出して入口料金所の混雑を避けねばならない。

 本四連絡橋は、競合するフェリー、JRに配慮して、他の高速よりも割高な3000円料金別枠制を設けた。これも問題がある。別枠制にするにしても1000円上乗せでも良かろう。あるいは片道をフェリー経由で利用する場合には特典付きとするなどもっと工夫すれば良かろう。

 2000円に達しない近距離の場合には恩恵を受けないことになった。普通車だと70キロ強で2000円に達するが、「時間帯割引」の縮小も考慮すると却って自公政権時のそれより値上がりすることになる。例えば、東名の東京―厚木(35キロ)は現在、午後10時以降は5割引きで650円。来年3月末までの激変緩和措置では3割引きの900円となる見通しだが、その後は通常料金の1250円となると云う。これも、ワンコイン化で対応すべきであろう。

 新たにエコカー(次世代自動車)割引を導入している。官僚お得意のチマチマした制度にしている。これは全く理解できない。エコカーは購入時に既にエコポイントメリットを受けており、走行時にもメリットがある訳だから屋上屋を重ねる必要はない。その他云々。

 結論として「国土交通省の新料金体系施策」をどう評するべきだろうか。れんだいこは、商業新聞の難癖論と違って画期的と好評価したい。問題は、6月からでは遅く何としてでも前倒しで5月連休から実施するのが良いと思う。本来なら、鳩山政権発足直後から実施すれば良かった政策である。

 それはなぜか。政策には前衛的なものと後衛的なものがある。鳩山政権の高速道路無料化公約は、数々の後衛的政策ばかりの中で唯一と言っても良い前衛政策である。優し過ぎる後衛的諸政策も良いが、財源を食い合うだけの事だからいずれ行き詰る。その果てに税金増が待ち受けているとしたら、これほど人をバカにした話はない。その点、高速道路無料化公約は景気カンフルとして税収増に繋がる可能性が強い。待ったなしでやるべきだろう。

 商業新聞は、高速道路収入の道路財源化が気に入らないらしい。殆どの社がそういう見地から批判している。れんだいこは、こういう手合いとは百年話しても通じない。高速道路収入の道路財源独自化は税金を食わぬだけ良策と評価すべきではないのか。問題は、それにしても料金体系が高過ぎることにあった。例えば瀬戸大橋のように料金高故に通行量が予定値より明らかに下回っていても打開策を打ち出さない官僚式硬直システムが弊害としてあった。これに断を下したことになる。

 高速道利用車が増えると環境汚染が広がると云う批判がある。こういう連中は、市街地の渋滞に伴う環境汚染を解消させる論とセットでもの云うべきだろう。高額料金でのスイスイ通行論者には、ここはひとつ我慢してご協力願うしかない。何しろ平日の低額開放は初めての事なんだから。案外とスイスイかも知れぬ。温泉旅館は土日祝日ばかり込み合うのがなくなり却って悦ぶかも。

 前原交通相のやること為すこと気に入らないれんだいこではあるが、まずまずの案を出したと褒めてやりたい。既に述べたように5月連休から実施させよ。人が遠出して見聞拡げるところから景気が回復すると思うから。これで遅まきながら漸く政権交代改革が始まったとみなしたい。一事万事で、この改革が他の守旧高慢腐敗制度の見直しに繋がれば良いと思う。

 2010.4.10日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評715 れんだいこ 2010/04/21
 【高速新料金案の再度見直しの動きについて】

 2010.4.21日、日経新聞報道によると、 政府・民主党はこの日の首脳会議で、前原誠司国土交通相が9日に発表した高速道路料金案を再度、見直すことを決めたと云う。それによると、新料金案が、自公政権末期の「休日上限1000円制」に対して、都市部の近距離で却って値上がりすることになるのを懸念する声があり、これを受けて民主党の小沢一郎幹事長が「無料化を掲げているのに、値上がりは有権者を説得できない」と見直しを求め、これにより6月に予定していた新料金への変更が先送りされる可能性が出てきた、とある。

 これに一言しておく。れんだいこは、小沢提案を支持するが、それにより6月予定の新料金制が先送りになることが最もイケナイこととして指弾したい。本来なら、鳩山政権直後の政策第一弾として、無料化ができなくても「既成料金の一律3分の1低額化、通行量5倍化」を打ち出すべきだった。それをモタモタさせて今日まで日延べしているのが一番イケナイ。

 前原国交相は、いの一番にこれをやるべきだったところ、ダム中止から始まりいたるところに首を突っ込んでは中途半端なことばかり云い、鳩山政権の政権交代効果に水を差して来た。これを咎められない鳩山首相の八方美人ならぬハトヤマ美人をみせられ続けてきている。これが、鳩山政権支持率低下の真因である。

 森田実の小沢パッシング(正確には「パ」ッシングと云うらしい。パッション又はパス送りを強めるという意味での「パ」ッシングでも意味が通じるかと思うが、ナイタ―のような和製英語として通用させて貰えないだろうか、と言い訳しておく)は、全くナンセンスである。一度、歴史観を廻って、彼と思想問答してみないとイケナイかなとも思う。とにかく、森田の反小沢論調は異常の臭いがする。

 もとへ。小沢提言「無料化を掲げているのに、値上がりは有権者を説得できない」それ自体は問題ない。それを口実に先送りするのが一番イケナイ。解決は全然難しくない。自公政権末期の「休日上限1000円制」以上になる区間に対してはワンコイン、ツ―コイン、スリ―コインで対応すればよいだけのことである。やろうとすればすぐできるのに、小沢提言をネタにして先送りするなぞ到底許し難い。

 れんだいこは週休一日休みの身である。土、日、祝日は休めないので平日休みになる。そうすると、自公政権の「休日上限1000円制」の恩恵を受けられない。それでも休みには高速使って2時間ばかりの温泉治療に行くことを楽しみにしている。その身からすると、「平日休日とも上限2000円制」は有り難い。即やるべきである。何をモタモタしているのか。こういう声は多い筈である。

 れんだいこのように高速使って遠出すれば、行く先々で何らかを消費する。その経済効果が大きい。「平日休日とも上限2000円制」になれば多くの人が繰り出し、現行のスカスカ高額料金収入より却って収入増になる可能性が強い。いわゆるユニクロ経営のようなものであろう。元々高速道無料化は景気刺激策として公約化されたのだから、これを躊躇する理由は何もない。現にユニクロ経営は成功し、百貨店、スーパーの減益を尻目に増収し続けているではないか。乗る人良し、乗せる公団良し、観光地良しの三方良しではないのか。なのになぜ直ぐにしないのか。

 環境汚染論を持ち出して反対する者が居る。こういう手合いは、先の投稿「イソップのロバを売りに行く親子の話」で述べたように、いろんな人が勝手に思い付きを云っているだけで、そういう意見に耳を傾けて延々と議論し続けるのが一番良くない。鳩山政権が小沢提言をネタにして先送りするなら、れんだいこは許さない。この内閣を本当に全力で潰そうと思う。原子力発電推進政策だって相当我慢しているんだこちとらは。

 学者バカを何人集めて議論してもバカはバカだからしてバカな議論しかできない。下々の生活の呼吸が分かる経世済民学者と政治家が指導力を発揮して、やる時には「決断と実行」あるのみではないのか。これをやった角さんはやっぱり偉かった。彼は公約通りにやった。その意味で裏表がなかった。角さん以降、せめて角さん並みの政治家が出てくれば良いのだけれど、国際金融資本にオツムと金玉の両方を握られたシオニスタン政治家ばかりが逆走政治ばかりしている。小泉のように狂人レイプ式にやるのか、右顧左眄しながらコソコソやるのかだけの違いでしかない。これでは日本が良くなる訳ない。まことにクダラン。

 2010.04.21日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評716 れんだいこ 2010/04/22
 【高速新料金案の再度見直しの動きについて補足】

 国交省の6月から実施予定の新料金政策について、与野党から「実質、値上げではないのかとの声」が上がっていると云う。れんだいこは冗談ではないと思う。そもそも普通車レベルで土、日、祝日にしか適用されない「ET車限定の1000円制」と「全曜日終日2000円制」と比べようがないではないか。「実質、値上げではないのか」論者は、どうやって比較しているのだろう。納得行く説明をお願いしたい。ステキな詭弁を聞かせてくれや。

 要するにやるのかやらないのか。というよりやる気があるのかないのかが問われている。「やらない方がマシ」論者にも申し渡しておく。物事はいっぺんには転換できない。こたびの新料金制は「いつでもどこまでも2000円」で分かり易い。恐らく却って現行収入より増えるはずだ。増えた分で新道路建設、補修に回す手もある。税金使わずにやるんだったら一石二鳥だろうが。それでも文句言う奴はよほどへそ曲がりではないかな。

 瀬戸大橋で文句言う四国の連中もオカシイ。平日基準で考えれば、現行の確か9000円(しかとは分からない6000円という人もいる。れんだいこは高過ぎるので長い間通ってないから忘れた)が3000円になるんだろうが。これぐらいなら、土佐の朝市に行って見ようかとか、讃岐のうどんを食いに行こうかと云うことになるでせうが。四国の連中もショッピングに出かけやすくなるでせうが。フェリーの件は、通行料収入増えたら補填すれば良いですが。何も難しいことあらへん。

 理屈はもういいの。とにかくすぐやるべきなの。アバウトで良い感触のものはやってみなはれでいいの。やらないよりは絶対いいの。やってから、もっと良くなるように改良すれば良いの。ああでもないこうでもないの長談議の賞味期限切れが多過ぎるわ。そういう連中が年収2000万円もそれ以上も取っていたら許されんぞなもし。これを補足しておく。

 2010.04.22日 れんだいこ拝

Re::れんだいこのカンテラ時評717 れんだいこ 2010/04/24
 【高速道新料金案に対する割高批判のナンセンス考】

 2010.4.10日付け毎日新聞社説「高速新料金 無料を掲げ値上げとは」のバカ丸出しぶりを評しておく。他の新聞のそれに目を通していないが、恐らくどこも似たり寄ったりの難癖批判でお茶を濁しているではなかろうか。こういう手合いがジャーナルしているところに政治の貧困が表れているとも云えるのではなかろうか。この連中が高給取りしているとしたら許せないことである。れんだいこは、この程度のオツムは精一杯高めに評価して年収500万円ぐらいを相当と診断するので、それ以上の給金はどこぞのボランティア機関に寄付して社会にお役立ちせよと意見しておく。

 社説士は云う。「発表された新たな料金制度によると、長距離の利用以外は、負担が増えてしまう」 、「上限の2000円は約70キロを走行した場合の料金に相当し、これより短い場合は、現在の割引がなくなるため、値上げとなる」。

 こういう論が今流行っているが、一体何を基準に云っているのだろう。れんだいこは頭がオカシクなる。自公政権のそれは「ET車に限り且つ土日祝日だけの普通車1000円制」である。国交省発表の新料金制案は「ET車の区別なく且つ曜日の区別なくいつでもどこでも普通車2000円制」である。両者は、基準ペースが異なるのでそもそも比較にならない。社説士が何をもって「負担が増えてしまう」と決めつけているのか、説明責任があると云うべきだろう。

 例えて見れば、ウサギとカメはどちらが働きものかの問いに似ている。お題そのものがナンセンスなのに、やれウサギだとかカメだとか云い合っているのに似ている。どちらが速く走るのかだとか、どちらが長寿なのかで比べれば自明なのだが、どちらが働きものかは比べること自体に意味がない。

 それと同様で、発表された新料金制度が「ET車に限り且つ土日祝日だけの普通車1000円制」と比べて割高かどうか、比べること自体に意味がない。比べるとするならば、同じ土俵の「限定1000円制以前の旧料金制度」と比較せねばならない。そうすると大幅且つ画期的な減額になっていることが自明ではなかろうか。

 この比較をしないままに社説士は敢えて逆に割高と云いなして批判していることになる。こういうのを為にする批判又は詐術批判と云うのではなかろうか。現代は、自称インテリによるこういう筋違い批判が多過ぎる。子供の頭がオカシクなるのも無理がないと云うべきではなかろうか。今では大人までオカシクなっているが、それは病状の進行を物語っているとみなすべきだろう。

 社説士の論の特徴としてもう一つに、高速道路建設敵視論が垣間見える。いわゆるムダな道路建設批判であるが、これもオカシイ。社説士よ、一体全体ムダな高速道路箇所を具体的に指摘して見よ。それをせぬまま高速道路建設批判をするのは卑怯姑息ではなかろうか。この社説士に、高速道路建設そのものに反対しているのか、「一般税収財源を高速道路建設に回す」ことに反対なのか聞いてみたい。れんだいこには、高速道路建設を敵視する論拠が分からない。ならば自主財源でもダメなのか、返答して見よ。

 これに関連する本四連絡橋批判の一つに三本も架橋した論がある。れんだいこに云わせれば、これもナンセンスな批判である。明石大橋と岡山大橋と広島大橋はそれぞれ経済圏が違っており必要な架橋である。それを思えば一本論は机上の空論でしかない。むしろ、かの時に三本架橋できた当時の日本の経済力の強さを称えるべきで、問題ありとすれば、料金が割高故に通行量が伸び悩んでいることが判明しても思い切った低額化対応せずに赤字累積させ続けた官僚式硬直対応ぶりであろう。これを批判せずに過剰架橋論でお茶を濁して評論したつもりになってきた。ナンセンスと云うべきではなかろうか。

 社説士はこそっと次のようにも述べている。「一方、恩恵を受けるのは長距離を運転する場合だ。どこまで走っても普通車ならいつでも2000円、中・大型車でも5000円だ。休日1000円がなくなるとはいえ、それでも十分に安い。しかも、ETCの搭載は不要だ」。

 本来なら、この下りに続けて、これにより高速道路の利用が増え、全国各地に及ぼす経済効果が期待できると論を張るべきだろう。現行の土、日、祝祭日限定による混雑が緩和されることも考えられると記すべきだろう。

 ところが、この社説士は次のように続ける。「ただし、長距離の利用が増えれば、鉄道やバスが影響を受けることになる。鉄道から自動車へとシフトすれば、二酸化炭素の排出量は増える。温室効果ガスの削減で現政権が掲げている高い目標の実現と、どう整合するというのだろうか」。

 こういう手合いを「賢こバカ」と云うのではなかろうか。ああ云えばこう云う堂々巡り論を唱えており、漬ける薬がない手合いと云うべきだろう。世の中で、世のすべての人や事を納得せしめられるような名案はないとしたものだ。あちら立てればこちら立たずが相場である。故に政治当局者には高等な判断が要求されることになる。指導者論が必要な所以がここにある。

 英明な指導者なら、新料金制度を優先させ、鉄道やバスの影響は様子見する。政策的補助が必要なら、後で手当てすれば良い。その間、鉄道やバス側も知恵を発揮させ新時代の対応を考える。そうやって競合が生まれ次第に世の中が良い方向に変わるのではなかろうか。二酸化炭素排出量危惧論はナンセンスである。第一、そんなに満杯になるほど車が走り続ける訳でもなく、それを云うなら市街地の混雑渋滞こそ問題にすべきであろうが。何をか況やではなかろうか。

 社説士は云う。「料金割引の財源のうち1・4兆円を高速道路建設に回す。しかし、値下げの財源を建設に流用するのはルール違反だ。国会の監視をすり抜ける便法として、同様のことが繰り返され、無駄な道路の建設が続くことにつながらないか、心配だ」、「簡素化などのメリットはある。しかし、無料化を掲げながら、利用者の多くが現状より値上げとなってしまう。しかも、それは、道路建設に資金を回すようにしたためだ」。

 社説士よ、元々自主財源にしていたのを取り上げおいて、料金割引の財源を宛てるのに文句云いだしたら高速道路道路はできなくなるではないか。もっとも、れんだいこの読みによると、新政策で通行量が増し旧制度時より収入増になる。これを宛がうから「料金割引の財源を宛てる」必要もなくなるであろう。こうなると、残る反対理由は道路建設イケナイ論だけになる。道路建設をそんなに敵視して何が嬉しいのだろうか。

 社説士は云う。「高速料金の無料化は、物流などのコストを下げて、経済の活性化につなげることが目的だったはずだ。この点も含め、昨年の総選挙での民主党の主張と、今回の高速料金制度がどのようにつながるのかを、へ理屈や言い訳、強弁ではなく、きちんと説明してもらいたい」。

 社説士や。「へ理屈や言い訳、強弁ではなく、きちんと説明してもらいたい」のはお前の方た。どういちお口をしているのだお前は。この減らず口めが。

 補足として、小沢幹事長の発言を採り上げておく。小沢幹事長は次のように述べている。

 「世界中でこんな高い高速料金をとっている国はありません。そういう意味で我々は皆さんにお約束して選挙戦も戦った。結果としてでてきたのは無料化どころか値上げになっている。これじゃあ、もう説明つかない。無料と言っていたのが無料どころか値上げするって言うのでは、皆さんにウソをついたことになる。そういうことで、皆の意見をぜひ政府もお聞きいただきたいと、私は丁寧に申し上げたわけでございます」、「無料と言っていたのが無料どころか値上げするって言うのでは、皆さんにウソをついたことになる」、「高速道路の新料金については、私が党を代表して発言したのはまちがいない。国民の意見を政府に、ていねいに申し上げたつもりだ。結局は役所を説得できないところに、こういう結果が出てくるのであり、われわれ自身が研さんを積まないといけない」、「このことについては皆を代表して(私が)発言したことは間違いない。私どもはそもそも、高速道路を無料にしようというところから始めたわけであります」。

 れんだいこの考えは少し違う。小沢は格好良過ぎることを云わずに、次のように述べるべきである。「高速道路の新料金制は不十分な面があるにしても、実施するに値する政策となっている。故に早急に実施せねばならない。もはや待てない。自公政権時の1000円制に較べて割高な面があるとすれば、ワンコイン、ツ―コインで対応させるべきだと思う。これの検討をお願いしたい。今や早急に実現する段階である。新政策の効果を見て更に公約に近づけるべきだ。国民の皆様の納得をお願いしたい」。

 こう述べて、前原国交相がこの発言にも抵抗するようなら、それこそ放り出さねばならない。本来なら、高速道路料金の無料化への見直しは鳩山政権第1号の公約実現施策になるべきだった。今日までお預けしてきたことこそ臭いと云うべきではなかろうか。ハトヤマ美人の指導力を期待したい。

 2010.4.24日 れんだいこ拝

 2010.12.15日、菅政権下の政府、与党は、高速道路の新しい上限料金制の対象を、ETC搭載車に限定する方針を固めた。現金支払いには料金所が対応できないと判断した。15日までの協議で、平日の普通車は上限2千円、中型車以上は走行距離に応じて設定することが固まった。来年3月で終了する普通車休日上限千円の割引は4月以降も継続する方向で大詰めの調整をしている。本州四国連絡道路は、他の路線と同じ料金を設定。





(私論.私見)